説明

薬袋

【課題】薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなったり、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなったりすることを抑制することのできる薬袋を提供する。
【解決手段】本発明の薬袋10は、表側シート部11bと表側シート部11bの裏面に袋状に貼り合わされた裏側シート部11dとを有する薬袋本体11と、薬袋本体11に収容される処方薬の用法等に関する情報を説明するための処方薬説明シート12とからなる。処方薬説明シート12は、薬袋本体11の開口部11aに隣接して裏側シート部11dと一体に形成されている。処方薬の説明事項は、薬袋本体11の表面部12aに印刷された処方薬の提供者情報と同時に、処方薬説明シート12の表面部12aに印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤薬局や病院などで提供される処方薬を患者に渡すときに用いられる薬袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調剤薬局や病院などで提供される処方薬は、患者名等が印刷された薬袋に入れられて患者に渡されるのがほとんどである。この場合、近年のコンピュータによる薬剤情報管理システムの普及に伴い、薬袋と一緒に処方薬情報を印刷した印刷物を患者に渡すことが広く行われている。しかし、処方薬情報の印刷は薬袋への印刷とは別のシステムで行われることが多いため、設備コストやランニングコストが嵩み、印刷も手間がかかるという問題がある。
そこで、薬袋の表面に、処方した薬の名称、用法および写真等を表示する欄を印刷しておき、処方薬の提供時に患者名や薬の名称、用法および写真等を薬袋の表面に印刷する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、中央シートの上辺に続いて上部シートが、同じく下辺に続いて下部シートが連接された用紙の、中央シートの下辺を第1谷折線として下部シートを中央シートの上面に折り畳み、かつ中央シートと下部シートの互いに相対する左右の縁部を貼り合わせて下部シートを表面部、中央シートを裏面部とする上部開口の袋本体を構成し、上部シートを中央シートの上辺を第2谷折線として袋本体の表面部上に折り畳み、袋本体の開口上部を塞ぐように構成するとともに、上部シートの背面に薬情報を印刷した薬袋が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録公報第3030269号(0012−0023)
【特許文献2】特開2007−99311号公報(0014−0019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した先行技術によると、処方薬情報の印刷と薬袋への印刷とを別々のシステムで行わずに済むが、特許文献1に記載された先行技術では、処方薬の写真を含めた処方薬情報を印刷するための領域を薬袋の表面に確保しなければならないため、薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなってしまうなどの問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載された先行技術では、上部シートの背面に処方薬情報を印刷すると共に下部シートの背面に患者名等を印刷した後、中央シートと下部シートとを袋状を貼り合わせて袋本体を作成しなければならないため、袋本体を作成に時間がかかり、その結果、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなってしまうという問題がある。さらに、上部シートを袋本体の表面部上に折り返したときに上部シートの背面に印刷された情報が袋本体の表面部上に来てしまい、患者のプライバシーが損なわれてしまうおそれがある。
本発明は上記のような問題点に着目してなされたものであり、その目的は、薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなったり、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなったりすることを抑制することのできる薬袋を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、表側シート部と該表側シート部の裏面に袋状に貼り合わされた裏側シート部とを有する方形状の薬袋本体と、該薬袋本体に収容される処方薬の用法等に関する情報を説明するための処方薬説明シートとからなり、前記処方薬説明シートが前記薬袋本体の開口部または前記薬袋本体の一側辺部に隣接して前記裏側シート部または前記表側シート部と一体に形成された薬袋であって、前記表側シート部により形成される前記薬袋本体の表面部に前記処方薬の提供者情報が印刷され、かつ前記薬袋本体の表面部と同じ側の前記処方薬説明シートの表面部に前記処方薬の説明事項が印刷されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の薬袋において、前記薬袋本体の開口部の両端側に形成された一対の貼り合わせ部のうち少なくとも一方の貼り合わせ部の開口部側端部に帯状貼り合わせ部を前記開口部の幅方向に沿って形成し、前記薬袋本体の開口幅を前記帯状貼り合わせ部により狭めたことを特徴とする。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1に記載の薬袋において、前記薬袋本体の開口部から処方薬が落下するのを防ぐ処方薬落下防止片を、前記表側シート部または前記裏側シート部の4つの端辺部のうち前記開口部を形成する端辺部に折り返し可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬袋において、前記薬袋本体は、該薬袋本体の中に入り込んだ空気を抜くための空気抜きを有することを特徴とする。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項4に記載の薬袋において、前記薬袋本体は、前記裏側シート部と共に1枚のシートから形成された前記表側シート部の左右側辺部と前記裏側シート部の左右側辺部とを貼り合わせて形成され、前記空気抜きは、前記表側シート部と前記裏側シート部とが連接する部分の左右両端部に、前記表側シート部と前記裏側シート部との非貼り合わせ領域を形成して形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬袋において、前記薬袋本体は、前記裏側シート部と共に1枚のシートから形成された前記表側シート部の裏面と前記裏側シート部の表面とを袋状に貼り合わせて形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項7に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬袋において、前記処方薬説明シートは、前記薬袋本体の開口部または前記薬袋本体の一側辺部に隣接して前記表側シート部と一体に形成され、前記薬袋本体は、前記表側シート部の裏面に透明フィルムからなる裏側シート部を袋状に貼り合わせて形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の薬袋において、前記処方薬説明シートは、前記薬袋本体の外形寸法とほぼ同じ大きさで方形状に形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬袋において、前記処方薬説明シートの裏面部に広告が印刷されていることを特徴とする。
本発明の請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の薬袋において、前記薬袋本体の表面部と前記処方薬説明シートの表面部のいずれか一方のみに、前記処方薬の提供日時と処方者情報が印刷されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、処方薬の品名や用法等に関する情報を印刷するための領域を薬袋本体の表面部に確保しなくてもよいので、薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなったりすることを抑制することができる。また、薬袋本体の表面部に印刷される処方薬の提供者情報と同時に処方薬説明シートの表面部に処方薬の説明事項を印刷でき、処方薬の提供者情報や説明事項を印刷した後に薬袋本体を作成したりする必要がないので、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなったりすることを抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、薬袋本体の開口部を例えば横向きにしたときに処方薬が薬袋本体の開口部から落下することを防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、薬袋本体の開口部を下向きや横向きにしたときに処方薬が薬袋本体の開口部から落下することを防止することができる。
請求項4〜6に記載の発明によれば、薬袋本体の表面部や処方薬説明シートの表面部に印刷を施すときに薬袋本体の中に入り込んだ空気によって印刷時に薬袋が破損したりプリンタに紙詰りが発生したりすることを防止することができる。
【0014】
また、請求項7に記載の発明によれば、薬袋本体の中に収容された処方薬を透明フィルムからなる裏側シート部を通して視認することができ、従って、処方薬の服用忘れを防止することができる。さらに、薬袋本体の中に収容された処方薬を視認するための透視窓を薬袋本体の裏側シート部に形成する必要がなく、透明フィルムからなる裏側シート部を表側シート部の裏面に袋状に貼り合わせるだけで薬袋本体を形成することができ、従って、薬袋本体の形成に多くの手間を要することなく薬袋を製造することができる。また、薬袋本体の裏側シート部のみが透明フィルムから形成され、処方薬の提供者情報を薬袋本体の表側シート部に印刷する際にプリンタの印字ヘッドと接触したりすることがないので、薬袋本体の裏側シート部にシワなどが発生することを防止することができる。
【0015】
請求項8に記載の発明によれば、処方薬説明シートを薬袋本体の表側に折り返すことによってテーブルの上面などに薬袋本体を立てた状態で置くことができるとともに、処方薬が薬袋本体の内部から脱落することが防止できる。
請求項9に記載の発明によれば、処方薬説明シートを薬袋本体の表側に折り返したときに処方薬説明シートの表面部に印刷された情報が透けて見えることを防止することができる。
請求項10に記載の発明によれば、処方薬の提供日時や処方医師などの処方者情報を薬袋本体の表面部と処方薬説明シートの表面部に重複して印刷する必要がないので、印刷に要するコストを削減できると共に印刷に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る薬袋を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る薬袋の薬袋本体を展開した状態を示す平面図である。
【図3】図1のA−A断面を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る薬袋を作成するときに手順を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る薬袋の処方薬説明シートを薬袋本体の表面部側に折り返した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る薬袋を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る薬袋を示す平面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る薬袋を示す平面図である。
【図9】図8のB−B断面を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る薬袋の表面を示す平面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る薬袋の背面を示す平面図である。
【図12】図10のC−C断面を示す図である。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る薬袋の表面を示す平面図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る薬袋の表面を示す平面図である。
【図15】本発明の第8の実施形態に係る薬袋の表面を示す平面図である。
【図16】本発明の第9の実施形態を説明するための図である。
【図17】本発明の第10の実施形態に係る薬袋を示す斜視図である。
【図18】本発明の第11の実施形態に係る薬袋の表面を示す平面図である。
【図19】本発明の第12の実施形態に係る薬袋の表面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る薬袋を示す平面図、図2は図1のA−A断面を示す図、図3は第1の実施形態に係る薬袋の薬袋本体を展開した状態を示す斜視図であって、第1の実施形態に係る薬袋10は薬袋本体11と処方薬説明シート12とから構成されている。
【0018】
薬袋本体11は調剤薬局や病院などで処方薬を患者に提供するときに処方薬を入れるものであって、袋状に形成されている。そして、薬袋本体11は薬袋本体11の中に処方薬を入れるための開口部11aを有しているとともに、長方形などの方形状に形成された表側シート部11bを有している。この表側シート部11bは薬袋本体11の表面部11cを形成しており、表側シート部11bによって形成された薬袋本体11の表面部11cには、患者に処方薬を提供する処方薬提供者(例えば薬局名や病院名、処方薬提供者の住所、電話番号、ファクシミリ番号、薬剤師名など)の情報が印刷されている。
【0019】
また、薬袋本体11は薬袋本体11の裏面部11eを形成する裏側シート部11dを有し、この裏側シート部11dは表側シート部11bと同じ大きさで方形状に形成されていると共に、表側シート部11bの裏面に袋状に貼り合わされている。
薬袋本体11の表側シート部11bは、裏側シート部11dと共に1枚のシートから形成されている。そして、薬袋本体11は表側シート部11bの裏面の左右側辺部と裏側シート部11dの表面の左右側辺部とを貼り合わせて形成され、図2に示すように、表側シート部11bと裏側シート部11dとの貼り合わせ領域13を表側シート部11bと裏側シート部11dの左右側辺部に有している。
【0020】
処方薬説明シート12は薬袋本体11の中に収容される処方薬の用法等に関する情報を患者に説明するためのものであって、この処方薬説明シート12は薬袋本体11の開口部11aに隣接して薬袋本体11の裏側シート部11dと一体に形成されている。そして、処方薬説明シート12は薬袋本体11の表面部11cと同じ側に表面部12aを有し、この表面部12aには、処方薬の説明事項(例えば、処方薬の品名、用量、用法、効能、注意事項などの薬剤情報)が患者名、処方薬の提供日時、特記事項、処方医師名等と共に印刷されている。また、処方薬説明シート12は薬袋本体11の裏面部11eと同じ側に裏面部12bを有し、この裏面部12bと薬袋本体11の裏面部11eには、広告などがカラー印刷されている。
【0021】
薬袋本体11は、空気抜き14a,14bを有している。これらの空気抜き14a,14bは薬袋本体11の中に入り込んだ空気を抜くためのものであって、図2に示すように、表側シート部11bと裏側シート部11dが連接する部分の左右両端部に、表側シート部11bと裏側シート部11dとの非貼り合わせ領域15を形成して薬袋本体11に形成されている。
【0022】
図4は本発明の第1の実施形態に係る薬袋を作成する場合の手順を概略的に示す図であって、第1の実施形態に係る薬袋を作成する場合には、図4(a)に示すように、ロール紙16を用意する。次に、ロール紙16の表面または裏面に広告を印刷した後、ロール紙16を所定寸法に裁断し、薬袋本体11の表側シート部11bと裏側シート部11dおよび処方薬説明シート12が連続して形成された1枚のシート紙17を作成する(図4(b)参照)。そして、表側シート部11bと裏側シート部11dとの貼り合わせ領域13に接着剤を塗布する。このとき、表側シート部11bと裏側シート部11dとの非貼り合わせ領域15が所定位置(表側シート部11bと裏側シート部11dが連接する部分の左右両端部)に形成されるように、接着剤を貼り合わせ領域13に塗布する。
【0023】
表側シート部11bと裏側シート部11dとの貼り合わせ領域13に接着剤を塗布したならば、図4(c)に示すように、薬袋本体11の表側シート部11bを裏側シート部11dの表面側に折り返し、表側シート部11bの左右側辺部と裏側シート部11dの左右側辺部とを接着剤により貼り合わせて処方薬説明シート付き薬袋10を作成する(図4(d)参照)。
【0024】
このようにして処方薬説明シート付き薬袋10を作成したならば、薬局などに設置されたプリンタに処方薬説明シート付き薬袋10をセットする。そして、処方薬を患者に提供するときにプリンタを作動させ、薬袋本体11の表面部11cに処方薬の提供者情報を印刷し、これと同時に処方薬説明シート12の表面部12aに処方薬の用法等に関する説明事項を印刷する。
【0025】
上述した本発明の第1の実施形態では、処方薬の用法等に関する情報を説明するための処方薬説明シート12が薬袋本体11の裏側シート部11dと一体に形成されていることで、特許文献1に記載されたもののように、処方薬の品名や用法、注意事項等に関する情報を印刷するための領域を薬袋本体の表面部に確保する必要がないので、薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなったりすることを抑制することができる。
【0026】
また、薬袋本体11の表面部11cに処方薬の提供者情報を薬局などで印刷するときに処方薬説明シート12の表面部12aに処方薬の説明事項(処方薬情報)を同時に印刷することができ、特許文献2に記載されたもののように、上部シートと下部シートの背面に患者名や処方薬情報を印刷した後に中央シートと下部シートとを袋状に貼り合わせて袋本体を作成する必要がないので、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなったりすることを抑制することができる。
【0027】
また、薬袋本体11の中に入り込んだ空気を抜くための空気抜き14a,14bを薬袋本体11に設けたことで、薬袋本体11の表面部11cや処方薬説明シート12の表面部12aに印刷を施すときに薬袋本体11の中に入り込んだ空気によって印刷時に薬袋が破損したりプリンタに紙詰りが発生したりすることを防止することができる。
さらに、処方薬説明シート12を薬袋本体11の外形寸法と同じ大きさで方形状に形成したことで、図5に示すように、処方薬説明シート12を薬袋本体11の表面部側に折り返すことによって、テーブルの上面などに薬袋本体11を立てた状態で置くことができ、これにより紛失や服用忘れ等のおそれがない。また、処方薬が薬袋本体11の内部から脱落して散乱することも防止できる。
【0028】
また、処方薬説明シート12の裏面部12bに広告を印刷したことで、処方薬説明シート12を薬袋本体11の表面部側に折り返したときに処方薬説明シート12の表面部12aに印刷された情報が透けて見えることを防止することができる。
さらに、処方薬の説明事項が患者名、処方薬の提供日時、特記事項、処方医師名等と共に処方薬説明シート12の表面部12aに印刷されることで、薬袋本体11の表面部11cに患者名、処方薬の提供日時、特記事項、処方医師名等を重複して印刷する必要がないので、印刷に要するコストを削減できると共に印刷に要する時間を短縮することができる。
上述した第1の実施形態では、薬袋本体11が1枚のシートからなるものを例示したが、図6に示す第2の実施形態のように、薬袋本体11を2枚のシート18,19から形成してもよい。
【0029】
また、上述した第1の実施形態では、処方薬を調合した薬剤師の名前を処方薬の提供者情報と共に薬袋本体の表面部に記載するようにしたが、図7に示す第3の実施形態のように、処方薬の提供者情報のみを薬袋本体11の表面部11cに印刷し、薬剤師名等は処方薬説明シート12の表面部12aに印刷するようにしてもよい。
また、上述した第1の実施形態では、処方薬が提供される患者の名前や処方薬の用法などを処方薬説明シートの表面部に記載するようにしたが、患者の名前や処方薬の用法などを薬袋本体の表面部にも印刷するようにしてもよい。
【0030】
次に、図8及び図9を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。
図8は本発明の第4の実施形態に係る薬袋の表面を示す平面図、図9は図8のB−B断面を示す図であり、第4の実施形態に係る薬袋は、薬袋本体11と処方薬説明シート12とから構成されている。
【0031】
薬袋本体11は調剤薬局や病院などで処方薬を患者に提供するときに処方薬を入れるものであって、袋状に形成されている。そして、薬袋本体11は薬袋本体11の中に処方薬を入れるための開口部11aを有しているとともに、長方形などの方形状に形成された表側シート部11bを有している。この表側シート部11bは薬袋本体11の表面部11cを形成しており、表側シート部11bによって形成された薬袋本体11の表面部11cには、患者に処方薬を提供する処方薬提供者(例えば薬局名や病院名、処方薬提供者の住所、電話番号、ファクシミリ番号、薬剤師名など)の情報が印刷されている。そして、表側シート部11bは指掛け部20を有し、この指掛け部20は薬袋本体11の開口部を形成する表側シート部11bの上辺部を例えば円弧状に切り欠いて形成されている。
【0032】
また、薬袋本体11は薬袋本体11の裏面部11eを形成する裏側シート部11dを有し、この裏側シート部11dは表側シート部11bと同じ大きさで方形状に形成されていると共に、表側シート部11bの裏面に袋状に貼り合わされている。
処方薬説明シート12は薬袋本体11の中に収容される処方薬の用法等に関する情報を患者に説明するためのものであって、この処方薬説明シート12は薬袋本体11の一側辺部に隣接して薬袋本体11の裏側シート部11dと一体に形成されている。そして、処方薬説明シート12は薬袋本体11の表面部11cと同じ側に表面部12aを有し、この表面部12aには、処方薬の説明事項(例えば、処方薬の品名、用量、用法、効能、注意事項などの薬剤情報)が患者名、処方薬の提供日時等と共に印刷されている。また、処方薬説明シート12は薬袋本体11の裏面部11eと同じ側に裏面部12bを有し、この裏面部12bと薬袋本体11の裏面部11eには、広告などがカラー印刷されている。
【0033】
薬袋本体11は、裏側シート部11dと共に1枚のシートから形成された表側シート部11bの裏面と裏側シート部11dの表面とを袋状に貼り合わせて形成されている。そして、薬袋本体11は薬袋本体11の中に入り込んだ空気を抜くための空気抜き14a,14bを有し、これらの空気抜き14a,14bは表側シート部11bと裏側シート部11dとの非貼り合わせ領域に形成されている。
上述した本発明の第4の実施形態では、処方薬の品名や用法、注意事項等に関する情報を印刷するための領域を薬袋本体の表面部に確保する必要がないので、第1の実施形態と同様に、薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなったりすることを抑制することができる。
【0034】
また、特許文献2に記載されたもののように、上部シートと下部シートの背面に患者名や処方薬情報を印刷した後に中央シートと下部シートとを袋状に貼り合わせて袋本体を作成する必要がないので、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなったりすることを抑制することができる。
さらに、第1の実施形態と同様に、薬袋本体11の表面部11cや処方薬説明シート12の表面部12aに印刷を施すときに薬袋本体11の中に入り込んだ空気によって印刷時に薬袋が破損したりプリンタに紙詰りが発生したりすることを防止することができる。
【0035】
なお、上述した本発明の第4の実施形態では、処方薬説明シート12が薬袋本体11の裏側シート部11dと一体に形成されたものを例示したが、これに限られるものでなく、処方薬説明シート12は薬袋本体11の表側シート部11bと一体に形成されていてもよい。
【0036】
次に、図10及び図11を参照して本発明の第5の実施形態について説明する。
図10は本発明の第5の実施形態に係る薬袋の表面の表面を示す平面図、図11は同実施形態に係る薬袋の背面を示す平面図、図12は図10のC−C断面を示す図であり、第5の実施形態に係る薬袋は、薬袋本体11と処方薬説明シート12とから構成されている。
【0037】
薬袋本体11は調剤薬局や病院などで処方薬を患者に提供するときに処方薬を入れるものであって、袋状に形成されている。そして、薬袋本体11は薬袋本体11の中に処方薬を入れるための開口部11aを有しているとともに、長方形などの方形状に形成された表側シート部11bを有している。この表側シート部11bは薬袋本体11の表面部11cを形成しており、表側シート部11bによって形成された薬袋本体11の表面部11cには、患者に処方薬を提供する処方薬提供者(例えば薬局名や病院名、処方薬提供者の住所、電話番号、ファクシミリ番号、薬剤師名など)の情報が印刷されている。
【0038】
また、薬袋本体11は薬袋本体11の裏面部11eを形成する裏側シート部11dを有し、この裏側シート部11dは表側シート部11bと同じ大きさで方形状に形成されている。また、裏側シート部11dは透明フィルムからなり、表側シート部11bの裏面に袋状に貼り合わされている。
薬袋本体11は、また、薬袋本体11の中に入り込んだ空気を抜くための空気抜き14a,14bを有し、これらの空気抜き14a,14bは表側シート部11bと裏側シート部11dとの非貼り合わせ領域に形成されている。
【0039】
処方薬説明シート12は薬袋本体11の中に収容される処方薬の用法等に関する情報を患者に説明するためのものであって、この処方薬説明シート12は薬袋本体11の一側辺部に隣接して薬袋本体11の表側シート部11bと一体に形成されている。そして、処方薬説明シート12は薬袋本体11の表面部11cと同じ側に表面部12aを有し、この表面部12aには、処方薬の説明事項(例えば、処方薬の品名、用量、用法、効能、注意事項などの薬剤情報)が患者名、処方薬の提供日時等と共に印刷されている。
処方薬の品名、用量、用法、効能、注意事項などの薬剤情報は、処方薬説明シート12の表面部12aに形成された薬剤情報印刷領域21に印刷されている。
【0040】
また、処方薬説明シート12は表面部12aに調剤明細書印刷領域22を有し、この調剤明細書印刷領域22に処方薬の点数などが調剤明細書として印刷されている。
処方薬説明シート12は薬袋本体11の裏面部11eと同じ側に裏面部12bを有し、この裏面部12bと薬袋本体11の裏面部11eには、広告などがカラー印刷されている。
上述した本発明の第5の実施形態では、処方薬の品名や用法、注意事項等に関する情報を印刷するための領域を薬袋本体の表面部に確保する必要がないので、第1の実施形態と同様に、薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなったりすることを抑制することができる。
【0041】
また、特許文献2に記載されたもののように、上部シートと下部シートの背面に患者名や処方薬情報を印刷した後に中央シートと下部シートとを袋状に貼り合わせて袋本体を作成する必要がないので、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなったりすることを抑制することができる。
さらに、第1の実施形態と同様に、薬袋本体11の表面部11cや処方薬説明シート12の表面部12aに印刷を施すときに薬袋本体11の中に入り込んだ空気によって印刷時に薬袋が破損したりプリンタに紙詰りが発生したりすることを防止することができる。
【0042】
また、薬袋本体11の中に収容された処方薬を透明フィルムからなる裏側シート部11dを通して視認することができ、従って、処方薬の服用忘れを防止することができる。
さらに、薬袋本体11の中に収容された処方薬を視認するための透視窓を薬袋本体11の裏側シート部11dに形成する必要がなく、透明フィルムからなる裏側シート部11dを表側シート部11aの裏面に袋状に貼り合わせるだけで薬袋本体を形成することができ、従って、薬袋本体11の形成に多くの手間を要することなく薬袋を製造することができる。
【0043】
また、薬袋本体11の裏側シート部11dのみが透明フィルムから形成され、処方薬の提供者情報を薬袋本体11の表側シート部11bに印刷する際にプリンタの印字ヘッドと接触したりすることがないので、薬袋本体11の裏側シート部11dにシワなどが発生することを防止することができる。
さらに、薬袋本体11の裏側シート部11dが透明フィルムから形成されているので、表側シート部11bの裏面部に処方薬の注意事項を印刷しておくことで、表側シート部11bの裏面部に印刷された処方薬の注意事項を裏側シート部11dを通して視認することができる。
【0044】
上述した第5の実施形態では、処方薬説明シート12の表面部12aに薬剤情報印刷領域21と調剤明細書印刷領域22とを形成したものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、図13に示す本発明の第6の実施形態のように、処方薬説明シート12の表面部12aに薬剤情報印刷領域21、調剤明細書印刷領域22および領収書印刷領域23を形成してもよい。
【0045】
図14は本発明の第7の実施形態に係る薬袋の表面を示す平面図であり、この薬袋10が第1〜第6の実施形態と異なる点は、開口部11aの両端側に形成された貼り合わせ部25a,25bのうち一方の貼り合わせ部(例えば貼り合わせ部25a)の開口部側端部に帯状貼り合わせ部26を開口部11aの幅方向に沿って形成し、薬袋本体11の開口幅を帯状貼り合わせ部26により狭めた点である。
【0046】
このような構成によると、第1〜第6の実施形態と同様に、薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなったり、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなったりすることを抑制できるのに加え、図14のように、例えば薬袋本体11の開口部11aを横向きにしたときに薬袋本体11に収容された処方薬が開口部11aから落下することを防止することができる。
【0047】
図14に示した第7の実施形態では、帯状貼り合わせ部26を貼り合わせ部25a,25bの一方に形成したものを例示したが、これに限られるものではなく、貼り合わせ部25a,25bの両方に帯状貼り合わせ部26を形成してもよい。また、第7の実施形態では、薬袋本体11と処方薬説明シート12との境界部にミシン目等からなる切取り線27が形成されたものを例示したが、切取り線27は無くてもよい。
【0048】
図15は本発明の第8の実施形態に係る薬袋の表面を示す平面図であり、この薬袋10が第1〜第6の実施形態と異なる点は、薬袋本体11の開口部11aから処方薬が落下するのを防ぐ処方薬落下防止片28を、表側シート部11bまたは裏側シート部11dの4つの端辺部のうち開口部11aを形成する端辺部に折り返し可能に設けた点である。
このような構成によると、第1〜第6の実施形態と同様に、薬袋自体の外形寸法が必要以上に大きくなったり、処方薬を患者に提供するまでの時間が長くなったりすることを抑制できるのに加え、薬袋本体11の開口部11aを下向きや横向きにしたときに薬袋本体11に収容された処方薬が開口部11aから落下することを防止することができる。
【0049】
図15に示した第8の実施形態では、第1〜第5の実施形態と同様に、薬袋本体11の中に入り込んだ空気を抜くための空気抜き14a,14bが表側シート部11bと裏側シート部11dとの非貼り合わせ領域15から形成されたものを例示したが、これに限られるものではない。たとえば、図14に示すように、表側シート部11b及び/または裏側シート部11dにパンチ孔を穿設して空気抜き14a,14bを形成してもよい。
【0050】
また、図16に示す本発明の第9の実施形態のように、薬袋本体11に指掛け部20と空気抜き部14を形成する場合には、例えば図16(a)に示すような形状の抜き型29、すなわち山形の形状を有する空気抜き形成部29aと、この空気抜き形成部29aの底辺部に形成された半円形状の指掛け形成部29bとからなる抜き型29を用いる。そして、図16(b)に示すように、薬袋本体の例えば表側シート部11bに指掛け部20と空気抜き部14とを抜き型29で形成した後、表側シート部11bと裏側シート部11dとを袋状に貼り合わせることで、薬袋本体11に指掛け部20と空気抜き部14とを同時に形成することができる。
上述した第1〜第9の実施形態では、処方薬説明シート12が1枚のものを例示したが、図17に示す本発明の第10の実施形態のように、処方薬説明シート12は2枚であってもよい。
【0051】
また、図18に示す第11の実施形態のように、開口部11aの両側に非貼り合わせ部30が20mm程度の長さで形成されるように、表側シート部11bと裏側シート部11dとの貼り合わせ長さを小さくしてもよい。このような構成によると、薬袋本体11の開口部11aが通常よりも大きく開くことになるので、薬袋本体11の中に処方薬を入れやすくすることができるという効果がある。
【0052】
また、図19に示す第12の実施形態のように、薬袋本体11の開口部11aや薬袋本体11と処方薬説明シート12との境界部に折り目31を予め形成しておいてもよい。このような構成によると、薬剤師や患者は薬本体11の中に処方薬を入れた後、処方薬説明シート12や薬袋本体11の開口部11aを折り目31に沿って自然に折り返すことになるので、処方薬が薬本体11から脱落することを防止することができる。
【符号の説明】
【0053】
10…薬袋
11…薬袋本体
11a…薬袋本体の開口部
11b…薬袋本体の表側シート部
11c…薬袋本体の表面部
11d…薬袋本体の裏側シート部
11e…薬袋本体の裏面部
12…処方薬説明シート
12a…処方薬説明シートの表面部
12b…処方薬説明シートの裏面部
13…表側シート部と裏側シート部との貼り合わせ領域
14,14a,14b…空気抜き
15…表側シート部と裏側シート部との非貼り合わせ領域
16…ロール紙
17,18,19…シート紙
20…指掛け部
21…薬剤情報印刷領域
22…調剤明細書印刷領域
23…領収書印刷領域
25a,25b…貼り合わせ部
26…帯状貼り合わせ部
27…切取り線
28…処方薬落下防止片
29…抜き型
29a…空気抜き形成部
29b…指掛け形成部
30…非貼り合わせ部
31…折り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側シート部と該表側シート部の裏面に袋状に貼り合わされた裏側シート部とを有する方形状の薬袋本体と、該薬袋本体に収容される処方薬の用法等に関する情報を説明するための処方薬説明シートとからなり、前記処方薬説明シートが前記薬袋本体の開口部または前記薬袋本体の一側辺部に隣接して前記裏側シート部または前記表側シート部と一体に形成された薬袋であって、
前記表側シート部により形成される前記薬袋本体の表面部に前記処方薬の提供者情報が印刷され、かつ前記薬袋本体の表面部と同じ側の前記処方薬説明シートの表面部に前記処方薬の説明事項が印刷されることを特徴とする薬袋。
【請求項2】
前記薬袋本体の開口部の両端側に形成された一対の貼り合わせ部のうち少なくとも一方の貼り合わせ部の開口部側端部に帯状貼り合わせ部を前記開口部の幅方向に沿って形成し、前記薬袋本体の開口幅を前記帯状貼り合わせ部により狭めたことを特徴とする請求項1に記載の薬袋。
【請求項3】
前記薬袋本体の開口部から処方薬が落下するのを防ぐ処方薬落下防止片を、前記表側シート部または前記裏側シート部の4つの端辺部のうち前記開口部を形成する端辺部に折り返し可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の薬袋。
【請求項4】
前記薬袋本体は、該薬袋本体の中に入り込んだ空気を抜くための空気抜きを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬袋。
【請求項5】
前記薬袋本体は、前記裏側シート部と共に1枚のシートから形成された前記表側シート部の左右側辺部と前記裏側シート部の左右側辺部とを貼り合わせて形成され、前記空気抜きは、前記表側シート部と前記裏側シート部とが連接する部分の左右両端部に、前記表側シート部と前記裏側シート部との非貼り合わせ領域を形成して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の薬袋。
【請求項6】
前記薬袋本体は、前記裏側シート部と共に1枚のシートから形成された前記表側シート部の裏面と前記裏側シート部の表面とを袋状に貼り合わせて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬袋。
【請求項7】
前記処方薬説明シートは、前記薬袋本体の開口部または前記薬袋本体の一側辺部に隣接して前記表側シート部と一体に形成され、前記薬袋本体は、前記表側シート部の裏面に透明フィルムからなる裏側シート部を袋状に貼り合わせて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬袋。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の薬袋において、前記処方薬説明シートは、前記薬袋本体の外形寸法とほぼ同じ大きさで方形状に形成されていることを特徴とする薬袋。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬袋において、前記処方薬説明シートの裏面部に広告が印刷されていることを特徴とする薬袋。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の薬袋において、前記薬袋本体の表面部と前記処方薬説明シートの表面部のいずれか一方のみに、前記処方薬の提供日時と処方者情報が印刷されていることを特徴とする薬袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−101856(P2012−101856A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85692(P2011−85692)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(593026742)株式会社タイセイ・エンタープライズ (8)
【Fターム(参考)】