説明

蘇生装置

【課題】コンパクトで、持ち運び可能または搬送可能で、小さい電源による自己動力を備え、しかも、訓練を全く又はほとんどすることなく容易に使用可能な蘇生装置の提供。
【解決手段】蘇生装置1は、胸腔全体に均一に力を作用させる圧縮ベルト3l、3rを用いて被害者の胸部を自動的に圧縮するためのものである。繰り返し、かつ迅速に胸部圧縮を行うためにベルトを繰り返し締め付けたり緩めたりする電動スプールアセンブリ7によってベルト3l、3rは締め付けられたり緩められたりする。アセンブリは、胸部圧縮装置2、細動除去装置)、および装置の使用に応じて自動的に緊急医療局と通信を始めるセンサを含む種々の蘇生装置を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急医療装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生(CPR)は、応急処置としてよく知られた有効な方法である。CPRは、心臓発作、電気ショック、胸のけが、および他の原因により心停止になった人を蘇生させるために用いられる。心停止の間、心臓は血液の送り出しを行わず、心停止になった人は、脳への血液供給不足により間もなく脳にダメージを受けることになる。このため、CPRでは、心臓および胸腔を押して血液を体に送るために胸部圧縮を繰り返し行う。多くの場合、被害者は呼吸をしておらず、胸部圧縮で血液を体に送りながら、肺に空気を送るために口移し人工呼吸またはバッグバルブマスクが用いられる。
【0003】
CPRや胸部圧縮は、特に心停止した後すぐに行えば、心停止の被害者を救えることが広く知られている。胸部圧縮では、胸部圧縮を行う人が毎分80−100回、被害者の胸骨の当たりを押すことが必要である。CPRや胸部圧縮は、被害者が心停止を起こしたところでどこでも行うことが可能である。病院から離れた場所では、訓練を受けている傍観者(by-standers)またはよく訓練された救護員や救急隊員が行ってもよい。
【0004】
応急処理者が胸部圧縮を十分に行うと、体内の血流は通常の血流の25−30%になる。これは脳のダメージを防ぐのに十分な血流である。しかしながら、胸部圧縮が長時間必要とされるとき、胸部および胸郭の適度な圧縮を続けることは困難なことである。経験豊富な救護員でさえも、適度な胸部圧縮を2,3分以上続けることはできない。「Hightower, et al., Decay In Quality Of Chest Compression Over Time, 26 Ann. Emerg. Med. 300 (Sep. 1995)」を参照されたい。したがって、長時間のCPRが必要とされるときには、被害者の生命を維持すること、または、被害者を生き返らせることがうまくいかないことが多い。同時に、胸部圧縮が適度に継続されれば、その間は心停止の被害者の生命を維持することができることは明らかである。長時間(45−90分)のCPRの効果についてのレポートが、最終的には冠状動脈バイパス手術により助かった被害者により報告されている。「Tovar, et al., Successful Myocardial Revascularization and Neurologic Recovery, 22 Texas Heart J. 271 (1995)」を参照されたい。
【0005】
血流をより増加させて傍観者による蘇生努力の効果を高めるために、基本的CPR手順の改良されたものが提案され使用されている。以下に示される装置および方法についての主なものは、CPRの効果的活動すなわち胸腔の反復圧縮に使用されるために提案された種々の機械的装置である。
【0006】
バーコローの米国特許第4,570,615号「心肺蘇生器マッサージパッド」に示される装置、商業的に売られているサンパー装置(Thaumper device)、および他の同様の装置は、連続的な自動胸部圧縮を与えるものである。バーコローおよび他の装置は、胸腔の上に配置されて梁で支持されたピストンを有する。ピストンは患者の胸骨の上に配置されて、空気力により胸部を繰り返し押すようになっている。この場合、まず装置内に被害者を入れて、使用前に患者のためにピストンの高さおよびストローク長を調節しなければならず、胸部圧縮の開始が遅くれることになる。他の類似の装置では、胸骨上に手動ピストン動作を与えるものがある。例えば、米国特許第5,257,619号「外部心臓圧縮装置」は、患者の上で支持された回転アームに取り付けられた簡単な胸パッドを有しており、回転アームの押し下げにより胸部を圧縮するように使用される。これらの装置は、臨床的に見て手による胸部圧縮よりも好結果を生むとは言えない。「Taylor, et al., External Cardiac Compression, A Randomized Comparison of Mechanical and Manual Techniques, 240 JAMA 644 (Aug. 1978)」を参照されたい。機械的に胸部圧縮する他の装置は、胸部の周囲のベストまたはストラップにより胸骨の上の適所に固定される圧縮ピストンを有する。ウォーデンバーグの米国特許第4,664,098号「心肺蘇生器」(1987年5月12日)には、エアシリンダで駆動されるそのような装置が示されている。ワイダーらの米国特許第5,399,148号「外部心臓マッサージ装置」(1995年3月21日)には、手動で操作される別の装置が示されている。このような装置の他の変形では、胸部の周囲に配置されるようにしたベストまたはベルトに、胸部に圧縮力を作用させるように充填される空気袋が設けられている。スカーベリーの米国特許第5,222,478号「人体への圧力適用装置」(1993年6月29日)や、ハルペリンの米国特許第4,928,674号「心肺蘇生および補助循環装置」(1990年5月29日)には、そのような装置の例が示されている。
【0007】
有効な蘇生装置では、いつくかの操作パラメータを処理しなければならない。また、胸部圧縮が有効であるためにはそれは勢いよく行われなくてはならない。胸部圧縮の作用のうち、実際に心臓や胸部大動脈を圧縮するのは僅かであり、その大部分は胸部や胸郭を変形に費やされる。効果的な胸部圧縮を行うのに必要な力は、他のけがを発生させる危険がある。CPRの際に心臓を突き刺すのを防ぐために胸骨の上に手を置くことがよく知られている。胸部圧縮によって多数の他のけがが発生している。「Jones and Fletter, Complications After Cardiopulmonary Resuscitation, 12 AM. J. Emerg. Med. 687(Nov. 1994)」を参照されたい。これには、CPRによって心臓および冠状動脈の裂傷、大動脈の動脈瘤や破裂、肋骨骨折、肺脱漏、胃や肝臓の裂傷が発生していることが示されている。このように胸部圧縮に伴うけがの危険は高く、これらのけがを防止できる蘇生技術に比べて明らかに被害者の生き残る可能性を低くする。大きいか又は肥満の心停止被害者では、血流を起こすほどに心臓を十分に圧縮することができないので、胸部圧縮は全く効果がないものになる。空気装置による胸部圧縮は、乳房を傷つけないように保護する設備や、乳房よりも胸腔を変形させるように圧縮力を適用するための設備がないために、女性に対しては使用できない。
【0008】
その効果を最大限のものにするとともに脳への血流不足による神経的ダメージを避けるために、CPRや胸部圧縮は心停止の後できるだけ早く開始されるべきである。心停止後約2分で低酸素症になり、脳の血流がなくなって約4分で脳がダメージを受けることが多く、神経的欠損が時間が経つにつれて急速にひどくなる。2、3分の遅れが生存の可能性を大きく低下させるとともに脳へのダメージを大きくすることになる。しかしながら、このような時間内でCPRやACLSを開始することは難しい。心停止への対応は、一般に、傍観者によるCPR、基本的生命維持、進歩的生命維持(ALS)、および緊急医療室の4つの段階において起こると考えられる。傍観者によるCPRは、心停止後2,3分内に行われる。基本的生命維持は、現場に急派されて4−6分内に到着した第1対応者によって行われる。第1対応者には、救急隊員、緊急医療技術者、消防員および警察官が含まれる。彼らは、一般に、CPRを行うことはできるが、投薬、血管の処置、細動除去、あるいは挿管を行うことはできない。進歩的生命維持は、第1対応者に続いて急派後約8−15分で到着する救護員やナースプラクティショナによって行われる。ALSは、CPR、静脈への薬物注入を含む薬物治療、細動除去、および挿管を一般的に行うことができる救護員、ナースプラクティショナまたは緊急医療医によって行われる。ALSを行う人は、被害者が近くの病院へ運ばれるまで、その場に被害者と共に20分〜30分間いてもよい。細動除去や薬物治療は被害者を蘇生させるのに有効である場合が多いが、行っている人が疲れると胸部圧縮は効果のないものになるので、よく訓練された第1対応者やALS局員が行ったとしてもCPRは無駄であることが多い。したがって、第1対応者が到着する前にCPRを開始することが、生命維持を成功させるうえで重要である。また、CPRの効果を維持するために、基本的生命維持および進歩的生命維持の段階における機械的胸部圧縮装置の補助が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
後述する装置は、コンパクトで、持ち運び可能または搬送可能で、小さい電源による自己動力を備え、しかも、訓練を全く又はほとんどすることなく傍観者により容易に使用可能な装置で胸部周囲の圧縮を行うものである。装置の商業的形態として考えられる電源および構造上のサポートボードを利用して、追加の特徴を設けてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その最も簡単な形態において、装置は、胸部の周囲を包んで心停止被害者の正面で留められる幅広ベルトを有する。ベルトは、CPRに必要な胸部圧縮を行うために胸部の周囲で繰り返し締め付けられる。バックルおよび/またはベルトの前部は、女性または肥満の人の胸肉を構造的に収容し、これにより装置は男性だけでなく女性にも効果的である。バックルは、装置の始動前の適当な装着により作動状態になるインターロックを有していてもよく、これにより無駄なベルトサイクルが防止される。ベルトを繰り返し締め付ける作動機構は、サポートボードに設けられ、胸部周囲の締め付けを行うためにベルトの中間部を巻き取る回転機構からなる。ローラは小さいな電気モータにより駆動され、モータは、120ボルト家庭電気ソケットまたは12ボルトDC自動車電力ソケット(自動車シガレットライタソケット)のようなバッテリおよび/または標準的電源により駆動される。(初期の試作品は、単一の9.6ボルト再充電可能バッテリを使用して、約10分間の強力な胸部圧縮を行った。)バッテリおよび必要なトランスは、サポートボードに収納してもよい。サポートボードは、被害者の頭を支えるのに役立ち、バッテリや他の付属品を収納するのに適当で、しかも、オフィースビル、工場、飛行機および潜在需要がある他の場所に設置するのに便利な大きさに作られてもよい。これにより、多くの発明が後述する持ち運び可能な蘇生装置に組み込まれる。
【0011】
持ち運び可能な蘇生装置には、CPR施与や他の治療の補助となる幾つかの特徴や付属品を組み込んでもよい。傍観者は、胸部圧縮が必要な場合や、胸部圧縮をいつ止めたらよいのかについて自信を持って決めることができないかもしれない。そのために、装置は、患者の状態を診断する心臓モニタまたはEKG(心電計)や、ベルト操作を始動、許可または禁止する回路またはコンピュータと組み合わされてもよい。ベルト締め付け用に設けられた電源は、細動除去(心停止に対する適当な治療)用の電力を供給するのにも使用されてもよい。また、多くの場合、傍観者は、細動除去をいつ行うのが適当なのかを決めることができない。そのため、装置の細動除去部に、患者の状態を診断する心臓モニタまたはEKGや、細動除去を開始、許可、または禁止する回路を設けてもよい。回路またはコンピュータモジュールにより作動する特別な装置は、これらの機能を実行することができる。
【0012】
この種の自動コンピュータ駆動治療は、死ぬであろう多くの心停止患者に、迅速でかつ適当な人命救助対応を提供する。しかしながら、装置を使用するかもしれない状況では、緊急医療技術者、緊急治療室の医師、または心臓学者によるCPR処置の専門の指揮が要求されるかもしれない。このため、上述した特別な装置は、装置のサポートボード内に収納された遠隔測定装置により医療局の専門的な診断および決断に取って代わることができる。サポートボードは、近くの病院の医療局、緊急医療員、救急車、または、中央診断制御施設に自動的に電話をかける遠隔測定装置を備えることができる。患者の胸部の周囲でのベルトの適当な位置および閉鎖を検知するために、インターロック、リミットスイッチ、および他の代表的なセンサを用いることができる。心臓モニタおよびEKG電極は、被害者の心拍数およびEGK(心電図)を検知できる。装置内の通信設備を用いて、この情報は、装置から、被害者から離れた医療局へ伝送されることができる。同じ装置により、医療局は、好ましい医療手順に示される通りに、ベルト締め付けまたは細動除去の開始、許可、または禁止を行うために装置と通信できる。通信は、通常の電話回線およびコードレス電話によって、または、携帯電話システム、ページングシステム、インターネットもしくは他の通信システムによって、行うことができる。装置には、装置の場所を決定するために、場所の情報がプログラム可能であるか、または、GPS機能を備えることができる。この場所の情報は、装置が使用されているとき、911システムのような緊急応答システムに自動的に伝送される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】部分的に開いた内側および外側ベストを示す蘇生装置の全体図。
【図2】留められた状態にある蘇生装置の全体図。
【図3】被害者の周囲に装置を閉じるために使用されるバックルの詳細図。
【図4】圧縮ベルトを操作するために使用されるスプールアセンブリを示す図。
【図5】圧縮ベルトを操作するために使用されるスプールアセンブリの別の実施形態を示す図。
【図6】被害者に適当に装着された蘇生装置を示す図。
【図7】蘇生の際に使用される幾つかの補助装置を有する蘇生装置を示す図。
【図8】図7のCPRモジュールの詳細図。
【図9】図7の細動除去モジュールの詳細図。
【図10】図7の気道確保モジュールの詳細図。
【図11】図7の制御および通信モジュールの詳細図。
【図12】通信システムのブロック図。
【図13】モータ制御システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は簡略タイプの蘇生装置1を示す。胸部圧縮のために使用される機構は、バックル4l,4rをもつ胸部圧縮ベルト3、フリクションライナ5、サポートボード6、およびモータ駆動スプールアセンブリ7を含む圧縮アセンブリ2を有する。サポートボード6は心停止の被害者の下に置かれ、圧縮ベルト3とフリクションライナ5は被害者の胸部の周囲を包む。左サイド3lと右サイド3rを有する胸部圧縮ベルトは、バックル4l,4rを互いに引っ掛けることにより被害者の胸部の上で留められる。この構成では、フリクションライナ5は胸部圧縮ベルト3と被害者または被害者の着ている衣服との間に挟まることになる。圧縮ベルトは、硬度のある材料で作られていればよく、粗麻布が適している。また、圧縮ベルトは、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップ、またはバンドと称してもよい。フリクションライナは、テフロン(登録商標)、チベク(tyvek)(トレードマーク)または他の低摩擦材料で作られていればよい(低摩擦とは、ベルトと被害者の衣服または皮膚との間で生じると予想されるものよりも小さい摩擦で圧縮ベルトを滑らせることができる材料を意図している)。フリクションライナは適当な裏地材料を有していてもよく、その目的は圧縮ベルトによって生じるすり傷から被害者を守るためであるが、圧縮ベルトの操作を妨げる摩擦力を制限するのにも役立つ。フリクションライナは、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップ、またはバンドの形態をとることもでき、胸部の周囲を部分的または完全に取り巻くものでもよい。
【0015】
バックル4l,4rを含む圧縮ベルト3の前部は、被害者の胸骨の上に広い圧力点を与えるように形成されている。これは図2に示されている。女性の乳房や肥満男性の胸肉を収容するために大きな開口8を設けてもよい。バックル4l,4rの下側は滑らかで広くなっており、これにより胸骨に対応する胸部の広い領域に圧縮力が均一に分配される。胸部圧縮ベルトに取り付けられるバックルの位置は胸部の正面から圧縮アセンブリの背面へと大きく変えてもよい。開口8は、ベルト自体にではなくバックルに設けられてもよい。図3は、被害者の胸部に圧縮ベルトを締め付けるために用いられるバックル4の詳細を示す。バックルはどのようなタイプであってもよいが、装置が被害者の胸部に取り付けられて圧縮サイクル開始の準備ができたことを指示するモータ制御システム(図13参照)に配線10を介して作動可能に接続されたラッチ感知センサ9を有していることが好ましい。図3に示すバックルは、圧縮ベルト3に取り付けられた、大きな開口8を有するD型リング状バックルである。他のファスナや留め手段を用いてもよい。
【0016】
胸部圧縮ベルト3は、サポートボード6内に配置されたスプールアセンブリ7を構成する1つ以上のスプールの作動によって被害者の胸部の周囲で繰り返し締め付けられる。図4に示すスプールアセンブリは、ベルトの背面部、好ましくは圧縮ベルトの中心または矢状縫合(saggital)の線11の近傍で、圧縮ベルト3に連結されている少なくとも1つのスプールまたはリールを有する(ただし、スプールアセンブリは、圧縮ベルトの前部または側部に配置されていてもよい)。図4は、スプールアセンブリおよび圧縮ベルトへのその取り付け状態を示す図である。スプールアセンブリは、ドライブシャフト15を介してモータ14に作動可能に連結された単一の駆動スプール12を有する。圧縮ベルトは適当な方法で駆動スプールに固定される。この場合、駆動スプール12には縦スロット16が設けてある。スロットは、駆動スプールを貫通して径方向に弦のように延びるとともに、駆動シャフト15およびジャーナルシャフト18の連結部である中実の端部17を残して、圧縮ベルトの幅に対応する長さだけ軸方向に延びている。ベルトはスロットを通っており、これによりベルトと駆動スプールとの強固な連結が達成されている。このように固定された状態で、駆動スプール12が回転すると、圧縮ベルトの右サイド3rおよび左サイド3lが巻き取られてスプール上に巻き付き、これにより装置を着た被害者の胸部の周囲に圧縮ベルトを締め付ける。スピンドルまたはアライメントローラ19は、ドライブシャフトの動作により行われるローラ上でのベルトの調節および低摩擦送りを実現している。
【0017】
回転機構として多くの代替実施形態を考えることができ、そのうちの1つの代替案を図5に示す。スプール12l,12rは、平行に配置され、伝達ギヤ20および遊星式ギヤ21によって相互に連結され、かつ、シャフト18l,18rにより軸支されている。駆動シャフト15は、スプール12r(またはスプール12l)に取り付けられるとともに、モータ12に作動可能に取り付けられている。モータはシャフト18rおよびスプール12rを反時計回り方向に回転させ、これにより圧縮ベルトの右サイド3rを左側に引っ張ってスプールに巻く。伝達ギヤ20は遊星式ギヤ21により動作してスプール12lを時計回り方向に回転させ、これにより圧縮ベルトの左サイド3lを引っ張ってスプール12lに巻く。
【0018】
このように、被害者の胸部の周囲を圧縮ベルトで繰り返して周期的に締め付ける機構については、多くの形態が考えられる。圧縮ベルトは、ベルト、ボードおよびバックルの協働動作により胸部を径方向に圧縮するとともに、胸部周りの圧縮力を分散させる働きをする。
【0019】
モータはスプールを回転駆動することにより、圧縮ベルトを被害者の胸部の周囲に締めつける。バッテリー作動ハンドドリルモータのようなモータは、CPRの目的のための適当な胸部圧縮を提供する。圧縮ベルト3による反復締め付けを行うために、モータ14はクラッチ22または他の同様な機構を介して取り付けられていなければならない。モータ14は、トルクスリップクラッチ機構を介して駆動シャフト15に取り付けられてもよい。このクラッチ機構は、高いトルクに達するまで(すなわち、さらなる締め付けには大きな抵抗を示し、これにより被害者の胸部が圧縮されていることを示す)駆動シャフトに係合し、そのような高いトルクによって自動的に係合を解除し、被害者の胸部の通常の弾性的拡張に応じてベルトが広がったのちに再係合する。このようにすれば、モータの駆動および停止を繰り返し行うことなく反復圧縮を実施することができ、これによりバッテリ電源の作動時間の長さを引き伸ばすことができる。一方、ベルトが締め付けられていないときにはスプールが自由に回転できる状態で、モータの駆動および停止を繰り返し行ってもよい。この場合、クラッチ機構22は電気ドリルに使用されるクラッチ機構(ドリル動作のときに係合し、ドリルを行わないときには自由に回転する)と同様である。胸部の自然な弾性的拡張はベルトを緩んだ状態に向けて駆動することを不必要にすべきであるが、モータを逆回転させるか、または、適当なクラッチ機構やギヤ機構によりモータの作動を逆にすることによってベルトを緩めることを積極的に行ってもよい。圧縮のタイミングはコンピュータモジュールまたは簡単なリレー(ウインドシールドワイパー型リレー)により調整されるが、好ましくは、アドバンスト・カーデアック・ライフ・サポート・ガイドライン(Advanced Cardiac Life Support guidelines)、心肺機能蘇生ガイドライン、または他の医療的に許容できる蘇生法などの基準と同様である。アメリカ心臓協会(American Heart Association)により発表されている現在のガイドラインは、毎分60−100回の胸部圧縮を要求している。
【0020】
モータは、利用できる電源から電力をとるための設備を備えたバッテリ駆動のものが好ましい。バッテリ23は、サポートボード6内に収容されていてもよい。多数の電動工具の使用のために既に利用可能な、便利なサイズの3ボルトバッテリは、バッテリ当たり約5分の圧縮を提供する一方、12ボルトバッテリ(バッテリ当たり1700mA-h)は、バッテリ当たり約10分の圧縮を提供する。(心停止から病院への搬送までの推定平均時間に対応して)30分の総バッテリ容量が望ましい。したがって、数個のバッテリをサポートボード内に設置してモータおよびそのコントローラに電気的に接続してもよい。バッテリは、装置が使用されていないときに充電ソケットおよび充電プラグを120ボルト交流電源に差し込むことにより細流充電される(装置は、工場、オフィスビル、飛行機、および比較的安定した電源を有する他の設備内に設置されていて、不使用時にプラグで接続して充電することを想定している)。交流電源が使用場所で簡単に利用できるのであれば、後の使用に備えてバッテリを残すために交流電源による装置の駆動を続けてもよい。装置はまた、適当なアダプタを用いて自動車の電源ジャックに差し込むんでもよく、これにより自動車が唯一の電源である場所での使用や救急車内での長時間の使用に供される。
【0021】
図6は、心停止の被害者に装着された蘇生装置を示す。サポートボード6は被害者の下に置かれ、圧縮ベルトの右と左の部分3r,3lは被害者の胸部の周囲を包んで、矢印25で示す胸部の前部で留められている。装着されたら、装置は、手動でモータを始動させることにより、または、装置に配置されたバックルラッチセンサを含むセンサからの適当なフィードバックによる自動開始により、作動を開始してもよい。
【0022】
上述した基本的な装置にいくつかの特徴を組み合わせてもよい。上記ではサポートボードとして参照したベルト用操作機構を収容する構造は、蘇生の間に使用する補助装置のための収納部であってもよい。図7は、可能性のある商業的実施形態における蘇生装置1を示す。サポートボード6は、被害者の腰の下部当たりから肩におおよそ届く程度の大きさに形成されている。圧縮モジュール26は、サポートボード6から分離可能になっており、圧縮モジュール内に収納された圧縮ベルトおよびフリクションベストを有している。スプールアセンブリおよびモータもまた、圧縮モジュール内に収納されているが、モータはサポートボード内に配置してもよい。この図において、圧縮モジュールは、より大きな装置サポートボード28内にはめ込まれる小さいサポートボード27を備えている。装置サポートボードにおける利用可能な空間を利用して、気道確保装置(袋状マスク、酸素マスクなど)を収納する区画29と、細動除去装置(電極、パドルなど)を収納する区画30とが、サポートボードとともに含まれている。制御および通信モジュール31もまた、サポートボードに組み込まれてもよい。小さい酸素ボトル32は、ボードの接続点につながったホースや、酸素ボトルと気道確保区画に収納された装置との間を接続するために必要なコネクタと共に、収納されてもよい。バッテリ23は、サポートボード内に収納される(バッテリの数は必要な作動時間に応じて選択され、バッテリの配置は利用可能な空間によって決まる)。バッテリは、電気コネクタ33やサポートボード内を通る適当な配線を介して、圧縮モジュール内のモータに作動可能に接続されている。バッテリはまた、細動除去モジュールや制御および通信モジュールにも作動可能に接続されることができる。長寿命のバッテリを使用することもできるが、再充電可能なバッテリを用いてもよい。そのために、サポートボードには、外部電源によりバッテリを充電したり装置を作動させるための充電接続部34が設けられている。
【0023】
装置は、長期間使用されずに収納されていることを想定されており、このために収納ホルダ35が設けられている。収納ホルダは、電源コネクタ、電源プラグ、充電変圧器などの必需品を収納可能である。サポートボードには、収納ホルダからサポートボードが取り外されたときを検知する取り外しセンサ36が設けられている(後述するように、このセンサは装置の使用を指示するものとして用いることができ、そのために緊急医療局に警報を出すのに必要なものである)。この取り外しセンサは装置の取り外しを物理的に検知する簡単なリミットスイッチで構成されることができ、このリミットスイッチは装置を始動させるパワースイッチまたは始動スイッチとして使用できる。取り外しセンサはまた、充電電流の停止、充電装置を流れる電流の増加、または使用を示すモータ電流などを扱う充電配線上の電流センサで構成されることもできる。センサの選択は、例えば使用を示すような電力低下や他の意図しない始動などの取り扱いを避けたいという要求のような多くの実際的な考慮のもとに行ってもよい。装置が使用中であると考えられる状態は実際的な考慮によって選択可能であり、多くの場合において、ホルダからの蘇生装置の単なる取り外しは、被害者がその使用を要求していると誰かが決めたという明らかなシグナルをなすものであり、緊急医療局が装置の場所に直ちに駆けつけるべきであるということが予想される。装置が使用中であることを示すために、もっとあとの条件が用いられるであろう状況がある。例えば、装置が救急車、飛行機、病院などに設置されている場合である。または、用心または予備的措置として収納ホルダから装置を取り外したり、装置が被害者に装着されるまで通信の開始を遅らせるたりすることが望ましいような他の状況もある。このような場合、図3に示すバックルラッチは、蘇生装置が使用中であることを指示するセンサとして使用可能である。
【0024】
図8は圧縮モジュール26の詳細を示す。使用されていないとき、モジュールは、圧縮ベルトを摩損から保護するための剥ぎ取れるシート37で覆われている。バックルはシート37の下に容易に見てとれる。電気コネクタ38は、サポートボード内のバッテリを圧縮モジュール内部のモータに接続している。圧縮ベルトの内側には、EKG検知に必要な電極接触をとるために、右側胸骨位置(right sternum parasaggital location)と左側肋骨中央位置とに貫通電極39がそれぞれ配置されている。これらの電極は、普通の傍観者や第1対応者のうち高いレベルのトレーニングを受けた者によって細動除去電極の配置が行われると仮定される状況では、省くことができる。フリクションベスト5は、スプールアセンブリ位置で圧縮モジュールに固定されている。
【0025】
図9は、細動除去モジュールの詳細図を示す。細動除去モジュールは、電力接続部43によりバッテリに接続されている一対の細動除去電極42を有している。細動除去電極は、細動除去モジュール内に収納された回路によって制御されることになっており、データポート44を介して制御モジュールに接続されてもよい。細動除去モジュールは、迅速解除ラッチ45によってサポートボード28に取り外し可能に取り付けられている。剥ぎ取れるシート46は、保管時に細動除去モジュール内の構成部品を保護するとともに、使用時に前記構成部品の容易な取り出しを可能にする。図10は、気道確保モジュール29の詳細図を示す。気道確保モジュール29は、酸素マスク47、ある長さのチューブ48、およびサポートボード内の酸素ボトルに酸素マスクを接続する空気導入口49を有している。酸素マスクは、二酸化炭素のような血液ガスを交換するために肺に酸素を供給する血液ガス交換手段である。任意の薬注入器50は、気道にACLS薬剤を自動注入するために、マスクまたはホースに作動可能に接続されてもよい。細動除去モジュールは、迅速解除ラッチ51によりサポートボード28に取り外し可能に取り付けられる。剥ぎ取れるシート46は、保管時に気道確保モジュール内の構成部品を保護するとともに、使用時に前記構成部品の容易な取り出しを可能にする。生物学的フィードバックやCPRの成功の監視を行うために、呼気終末CO2モニタ52をマスクに設けることもできる。同じ目的のために、皮膚に接触する血液酸素レベルモニタ53をマスクに取り付けることもできる(指先血液酸素センサもまた使用可能であり、容易に利用可能にするために全体のアセンブリ内に収納しておいてもよい)。センサによって得られた生物学的データは、マスクおよびサポートボード内の適当な配線を介して制御モジュールに送られる。
【0026】
図11は、制御および通信モジュールの詳細図を示す。制御ユニット54は、サポートボードを通る適当な配線を介して圧縮モジュール、細動除去モジュール、および気道確保モジュールに接続されている。制御ユニットは、通信ユニット55に任意に接続される。通信ユニットは、ボード上で検知されたEKGや測定された他の医療パラメータをスクリーン56へ伝送するとともに、電話回線を通じて離れた医療局へ伝送するための手段を有している。通信ユニットは、電話の受話器またはスピーカホンを有することもできる。装置は収納ホルダから離れた位置で使用されることが多いので、通信モジュールは、ワイヤレス電話、無線電話、携帯電話などのワイヤレス通信装置を有していることが好ましく、必要な電話基部は収納ホルダ内に設置されることになる。
【0027】
通信ユニットおよび制御ユニットは、図12のブロック図に示される通りに以下のように作動するように設定されている。装置は、不使用時には何ヶ月も充電ユニットに取り付けたままでもよく、使用時に充電ユニットから取り外されることになる。装置がその保管位置から取り外されると、制御ユニットのセンサは、(リミットスイッチ、磁気スイッチ、動作センサ、充電装置内の電流センサ、または同様のものにより)その取り外しを検知してシステムを始動し、機能をチェックし、表示ユニットを駆動し、他の特有のウォームアップ機能を立ち上げる。
第1ステップで、システムは、通信ユニットにより医療施設との電話通信を開始する。その通信は、標準電話回線、携帯電話システム、ページングシステム、無線伝送などのいかなる通信媒体を使用してもよい。システムは、地域の911緊急システム、近くの病院、救急車サービスなどの中央医療施設や、装置の遠隔使用について特別に訓練を受けた医療局員がいる中央施設(これら全てを総称して医療局という)との通信を開始するように設定されてもよい。通信が開始されると、通信ユニットは装置の場所または登録番号を医療局に知らせる(この情報は、通信ユニットのコンピュータメモリに格納しておいてもよいし、GPSまたは他の同様のシステムにより決定されてもよい)。この情報は、装置の場所に緊急医療チームを直ちに派遣するのに使用される。警報動作を制御するコンピュータを必要としない簡単な実施の形態では、取り外しセンサがリミットスイッチからなり、かつ、通信モジュールが、メッセージが録音されたテープと共に収納ホルダに設置された簡単な電話ユニットを備えていてもよい。この場合、蘇生装置の取り外しに対応した中継操作では、911に電話をかけて、装置の場所などの警告情報を提供する警告メッセージの再生を行う。また、通信ユニットは、蘇生装置の状態にかかわらずその場所に緊急チームを呼び出すために、装置の使用にかかわらず傍観者により操作される得る警告ボタンを備えていてもよい。
【0028】
緊急医療チームが到着する前に、傍観者は被害者の下にボードを置き、被害者の周囲に圧縮ベルトを留めて、細動除去および/または検知センサ(またはその逆)を当てることになる(代わりに、検知センサを圧縮ベルトの内面に設置しておくこともできる)。システムは、バックル内のラッチセンサからの信号によりベルトの装着を監視する。システムは、生物学的入力を監視する。この監視には、細動除去モジュールのEKG電極パッチからのEKG信号の監視、ベルトに取り付けた電極からのEKG信号の監視、気道確保モジュールの呼気終末CO2モニタからの信号の監視、および装置に組み込まれた他の生物学的信号センサからの信号の監視などが含まれる。システムはまた、現場に到着した緊急医療局が装置の制御をその場で行えるようにするために、制御ユニットから手動で入力された指示を監視したり、これに応答したりすることもできる。作動時において、システムは、EKG信号、血圧、呼気終末CO2、および監視された他の生物学的パラメータを含むすべての利用可能な生物学的情報を離れた医療施設に伝送する。また、システムは、バッテリ寿命、システム操作限界設定(すなわち、システムが自動操作、操作可能、またはすべての機能について操作不能のいずれに設定されているか)などの装置の設定に関する情報を伝送することもでき、これにより医療局は適当な設定になっているかが分かる。
【0029】
緊急医療局は、医療施設との通信により患者の状態を診断できるとともに、医療局から通信ユニットに伝送された信号により補助治療のACLS動作を許可したり、開始したり、あるいは、禁止したりすることができる。例えば、細動除去が必要であることを示すEKG状態の診断により、医療局は、傍観者による細動除去電極の手動操作を許可するように制御ユニットに作用する信号を通信ユニットに伝送することができる。装置はまた、医療局からの遠隔信号により細動除去ショックを与える。装置には、自動外部細動除去器のような特別な装置を組み込むこともできる。医療局は通信システムにより他の行為を伝えて、傍観者に所定の行為を引き受けてもらうことを確実にすることができる。例えば、医療局は、心停止の原因、酸素マスクの適当な配置、気道の適切な清掃、および他の情報を確かめるように、傍観者に言葉で伝えてもよい。エピネフリン、リドカイン、ブレチリウム、またはACLSガイドラインで要求される他の薬(またはT3のような新たに提案された薬)が気道確保モジュールに入っている場合、医療局は気道に適当な薬を注入するように傍観者に指示できる。クレイマーの米国特許第5,405,362号(1995年4月11日)「対話式外部細動除去および薬物注入装置」に開示されるような自動注入器、または、骨のない注入器をもつ同様の装置が設けられている場合、医療局はそれらの注入器により適当な薬を注入するように傍観者に指示できる。測定されたEKG信号、血圧、および呼気終末CO2に基づいて自動で操作する手段をもつ注入器が設けられている場合、医療局はシステムに信号を送ることで、医療局の遠隔制御による注入を開始したり、特別な装置の決定にしたがってその場での制御による注入を許可したり、傍観者による注入を許可したり、あるいは、システムまたは傍観者による注入を禁止したりすることができる。例えば、システムは、いかなる注入も禁止するように最初に設定されることができる。医療局は、通信ユニットにより提供された情報により心室細動であると診断したとき、適当な信号を送ってエピネフリンの注入を許可または開始することができ、また、信号を送ることでACLSガイドラインの下で要求されるまでアトロピンの注入を禁止することができる。新たに提案された薬T3は、心停止の治療として、気道を介して肺に投与可能である。同じようにして、気道への制御された注入を開始したり禁止したりすることができる。このように、圧縮、細動除去、薬物注入などのACLSにおける全ての動作は、離れた場所からの医療局の指示に基づきシステムにより達成可能であり、または、制御モジュールに設けた特別な装置により達成可能である。これらの機能のそれぞれは、医療局との通信を自動的に開始して装置の場所を医療局に知らせるシステムに組み込まれており、これにより緊急医療局がその場所に急行することができる。
【0030】
繰り返し圧縮は、ベルトを留めることによって(自動的に)開始されることになるが、傍観者が圧縮を開始させるためのスイッチを設けてもよい。システムは、図13のモータ制御ブロック図にしたがって、不活性になるまで圧縮サイクルを続けることになる。システムの始動により、制御ユニットは、バックル内の適当なセンサまたは他のセンサによってベルトの装着を監視することになる。モータ制御部57が制御ユニットから最初の圧縮信号を受信すると、モータが始動する。モータは、始動電流を繰り返し印加するのを避けてバッテリ電力を節約するために、止めたり駆動したりするよりも、連続的に駆動するのが好ましい。モータがある速度に達すると、クラッチが係合する。基準としては、クラッチは1秒ごとに0.5秒間だけ係合する。クラッチのこの周期的係合は、現在のCPRガイドラインで推奨されるように、5周期だけ繰り返し続けられ、必要に応じてひと呼吸の休止のために中断される。バッテリの過度の消耗を避けるために、モータコントローラはトルクセンサ(例えば、モータへの電流供給を検知する)を有しており、モータのトルクまたは負荷を監視する。それ以上ではさらなる圧縮が望ましくないか、または、有効でないという閾値が設定されており、クラッチが係合する0.5秒の間に閾値越えが起きた場合には、クラッチを係合解除してサイクルを続行する。システムは、被害者の呼気中のCO2含有量を監視することにより、圧縮ストロークの実効を監視できる。CO2含有量が低い場合、不適当な循環を示しており、制御システムはCO2レベルが許容値になるまで(または、モータの最大トルクに達するまで)トルクリミットを増加させる。これは、システムの動作を制御するために、生物学的信号を装置で使用する別の例である。サイクル時間および期間、ひと呼吸の休止間のサイクル数、およびトルクリミットは、現在のガイドラインにしたがって設定されることができ、制御ユニットの遠隔制御能力によって、離れた医療局により変更され得る。
【0031】
上記では装置および方法の好適な実施形態が発展させた状態を参照して説明されているが、それらは本発明の原理を単に例示したにすぎない。本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲から外れることなく他の実施の形態を考えてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 蘇生装置
3 圧縮ベルト
4 バックル
5 フリクションライナ
6 サポートボード
7 スプールアセンブリ
8 開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにしたベルトと、
胸部の周囲に前記ベルトを締め付けるために前記ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記ベルトと人間の胸部との間に配置されるようにしたフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは、人間の胸部の周囲に延びるようにしてあるとともに、前記ベルトが前記フリクションライナ上を自由に滑ることを許容することを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項2】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項1の胸部圧縮装置。
【請求項3】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1の胸部圧縮装置。
【請求項4】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにしたベルトと、
胸部の周囲に前記ベルトを締め付けるために前記ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記ベルトと人間の胸部との間に配置されるようにしたフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは、人間の胸部の周囲に延びるようにしてあるとともに、前記ベルトが前記フリクションライナ上を自由に滑るように前記ベルトに取り付けられていないことを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項5】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項4の胸部圧縮装置。
【請求項6】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項4の胸部圧縮装置。
【請求項7】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにしたベルトと、
胸部の周囲に前記ベルトを締め付けるために前記ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記ベルトと人間の胸部との間に配置されるようにしたフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは、人間の胸部の周囲に延びるようにしてあるとともに、前記ベルトから分離していることを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項8】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項7の胸部圧縮装置。
【請求項9】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項7の胸部圧縮装置。
【請求項10】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにした第1ベルトと、
胸部の周囲に前記第1ベルトを締め付けるために前記第1ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記第1ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記第1ベルトと人間の胸部との間に配置されるようにした、第2ベルトの形態をなすフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは、人間の胸部の周囲に延びるようにしてあるとともに、前記回転部材に作動可能に連結されていないことを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項11】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項10の胸部圧縮装置。
【請求項12】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにしたベルトと、
胸部の周囲に前記ベルトを締め付けるために前記ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記ベルトと人間の胸部との間に配置されるようにしたフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは人間の胸部の周囲に延びるようにしてあり、
前記フリクションライナは、前記ベルトが前記回転部材により胸部の周囲に締め付けられるときに前記ベルトが滑るように、ほぼ固定の表面をもたらすことを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項13】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項12の胸部圧縮装置。
【請求項14】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項12の胸部圧縮装置。
【請求項15】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにしたベルトと、
胸部の周囲に前記ベルトを締め付けるために前記ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記ベルトと人間の胸部との間に配置されるように、人間が着用する衣服に加えて設けられたフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは、人間の胸部の周囲に延びるようにしてあるとともに、前記ベルトが前記フリクションライナ上を自由に滑ることを許容することを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項16】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項15の胸部圧縮装置。
【請求項17】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項15の胸部圧縮装置。
【請求項18】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにしたベルトと、
胸部の周囲に前記ベルトを締め付けるために前記ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記ベルトと人間の胸部との間に配置されるように、人間が着用する衣服に加えて設けられたフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは、人間の胸部の周囲に延びるようにしてあるとともに、前記ベルトが前記フリクションライナ上を自由に滑るように前記ベルトに取り付けられていないことを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項19】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項18の胸部圧縮装置。
【請求項20】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項18の胸部圧縮装置。
【請求項21】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにしたベルトと、
胸部の周囲に前記ベルトを締め付けるために前記ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記ベルトと人間の胸部との間に配置されるように、人間が着用する衣服に加えて設けられたフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは、人間の胸部の周囲に延びるようにしてあるとともに、前記ベルトから分離していることを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項22】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項21の胸部圧縮装置。
【請求項23】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項21の胸部圧縮装置。
【請求項24】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにした第1ベルトと、
胸部の周囲に前記第1ベルトを締め付けるために前記第1ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記第1ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記第1ベルトと人間の胸部との間に配置されるように、人間が着用する衣服に加えて設けられるとともに、第2ベルトの形態をなすフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは、人間の胸部の周囲に延びるようにしてあるとともに、前記回転部材に作動可能に連結されていないことを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項25】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項24の胸部圧縮装置。
【請求項26】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項24の胸部圧縮装置。
【請求項27】
人間の胸部の周囲に少なくとも部分的に延びるようにしたベルトと、
胸部の周囲に前記ベルトを締め付けるために前記ベルトに作動可能に連結された回転部材と、
前記ベルトが人間の胸部の周囲に延びているときに前記ベルトと人間の胸部との間に配置されるように、人間が着用する衣服に加えて設けられたフリクションライナとを備え、
前記フリクションライナは人間の胸部の周囲に延びるようにしてあり、
前記フリクションライナは、前記ベルトが前記回転部材により胸部の周囲に締め付けられるときに前記ベルトが滑るように、ほぼ固定の表面をもたらすことを特徴とする胸部圧縮装置。
【請求項28】
前記フリクションライナが低摩擦材料から成ることを特徴とする請求項27の胸部圧縮装置。
【請求項29】
前記フリクションライナが、ベルト、ベスト、コルセット、ガードル、ストラップとバンドよりなる群から選択されることを特徴とする請求項27の胸部圧縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−172406(P2009−172406A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84852(P2009−84852)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【分割の表示】特願2000−507323(P2000−507323)の分割
【原出願日】平成10年8月24日(1998.8.24)
【出願人】(500087017)ゾール・サーキュレイション・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Zoll Circulation, Inc.
【Fターム(参考)】