説明

蚊取り器

【課題】安全で消耗品が少なく、したがって安価に使用できる蚊取り器を提供する。
【解決手段】酸化チタン(2)と該酸化チタンに紫外線を照射する紫外線発生器(3)とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器(4、4)と、ガス透過体(11、11)と、空気吸引装置(20)とから構成する。炭酸ガス発生器と赤外線発生器が起動してから所定時間経過すると、付近にいる蚊は炭酸ガス、赤外線等に誘引されてガス透過体(11、11)に止まっていると見なし、空気吸引装置が作動する。ガス透過体に止まっている蚊は、空気吸引装置により吸引される空気流により捕虫ネット(22)に捕獲される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、空気吸引装置とからなり、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等に誘引されて、前記ガス透過体に止まる蚊あるいは近づいている蚊を前記空気吸引装置に吸引捕獲するようになっている蚊取り器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
殺虫剤を使用した蚊取り器としては、従来周知のように、蚊取り線香、マット式電子蚊取り器、液体式電子蚊取り器等が知られている。これらの蚊取り器は、いずれも殺虫成分を空気中に揮発あるいは噴霧させ、これにより殺虫するもので家庭的にも広く実用に供されている。このような殺虫剤を使用した蚊取り器は、殺虫効果の点では問題ないにしても、殺虫剤を空気中に揮散させるので、必ずしも好ましいとはいえない。特に、乳幼児、高齢者、病弱者等に対して使用するときは心理的に抵抗を感じる。そこで、特許文献1、2等により殺虫剤を使用しない蚊取り器が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−262886号公報
【特許文献2】実開昭62−83477号公報
【0004】
特許文献1に示されている蚊取り器は、炭酸ガスが封入されたガス透過性包装袋と、このガス透過性包装袋の前方の所定位置に装着される粘着体とから構成されている。粘着体の表面には、ポリブデン、ポリイソブデン、アクリル樹脂等の粘着剤が塗布されている。したがって、ガス透過性包装袋から発散される炭酸ガスに誘引されて集まる蚊は、粘着体に接触して捕捉されることになる。また、特許文献2に開示されている蚊取り器は、誘引灯の近くに配置されている炭酸ガス供給手段、ヒータ、加湿器、これらの機器を制御する制御手段等から構成されている。人の呼気に近い空気流が誘引灯の近くに発生し、この空気流に集まる蚊は吸引フアンの吸引力により捕虫フイルタに捕獲されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のそれぞれに記載されている蚊取り器は、炭酸ガスあるいは炭酸ガスと熱線とに誘引される蚊を粘着体あるいは捕虫フイルタにより捕獲するもので、人体に害を与える可能性のある殺虫成分は含まれていないので、それなりの効果は認められる。しかしながら、改良すべき点も多い。例えば、特許文献1に示されている蚊取り器は、炭酸ガスはガス透過性包装袋に入れられ、消耗品になっているので、家庭的に使用する場合コストが高くなり、頻繁な使用には適さない。また、使用済みのガス透過性包装袋を交換する煩わしさもある。さらには、粘着体の装着、廃棄等の取り扱いが面倒になることも予想される。また、粘着体に塵埃、ゴミ等が付着すると捕捉効果が落ちるので、早期に交換する必要が生じる。特許文献2に開示されている蚊取り器は、誘引灯に集まる蚊は吸引フアンにより補虫フイルタに捕獲されるようになっているので、粘着体により捕獲するときの、上記のような問題点はない。しかしながら、炭酸ガスはガスボンベから放散されるようになっているので、ガスボンベの入手にコストがかかることが予想される。また、炭酸ガス供給手段、ヒーター、加湿器等の制御手段は備えてはいるが、炭酸ガスの供給を制御するようにはなっていないので、炭酸ガスを徒に消耗する恐れもある。
【0006】
一般の家屋の戸、窓等の開口部には網戸が使用され、家屋あるいは室内に侵入する蚊の数は少なく、特に寝室、居間等に侵入してくる蚊は少ない。このような少ない蚊に対して、上記したような従来の蚊取り器は、コスト高になり、また取り扱いが面倒で必ずしも実用的ではない。
【0007】
本発明は、上記したような従来の欠点を解消した蚊取り器を提供することを目的とし、具体的には、安全で消耗品が少なく、したがって安価に使用できる蚊取り器を提供することを目的としている。また、限定するものではないが、限られた空間に侵入している少ない蚊の捕獲に適用して好適な蚊取り器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、炭酸ガス発生器と赤外線発生器とが適用される。そして、炭酸ガス発生器から出る炭酸ガスと水分、赤外線発生器から放射される赤外線あるいは熱線等は、ガス透過体から外部へ出るように構成される。外部へ出る炭酸ガス、赤外線等に誘引され、そしてガス透過体に止まる、あるいは近づくと、蚊センサがこれを検知する。そうすると、空気吸引装置が起動する。あるいはガス透過体に集まった頃合いに空気吸引装置が起動するように構成される。空気吸引装置の起動により空気流が生じ、ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、この空気流により例えば補虫ネットに捕獲される。
【0009】
炭酸ガス発生器は、酸化チタンと、この酸化チタンに紫外線を照射する紫外線発生器とから構成される。紫外線が酸化チタンに照射されると、酸化作用の強いオゾンガスが発生する。このオゾンガスは、付近に付着している汚れ、例えば酸化チタンの表面に付着している油類、空気中に浮遊している有機物等を炭酸ガスと水とに分解する。この分解により生じる炭酸ガスと水分とがガス透過体を通って外部へ出るように構成される。
【0010】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、酸化チタンと該酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、蚊を検知する蚊センサと、空気吸引装置とからなり、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等に誘引されて、前記ガス透過体に止まる蚊あるいは近づいている蚊を前記蚊センサが検知すると、前記空気吸引装置が所定時間作動して空気流が発生し、前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により捕虫ネットに捕獲されるように構成される。請求項2に記載の発明は、酸化チタンと該酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、空気吸引装置とからなり、前記炭酸ガス発生器と前記赤外線発生器が起動されてから所定時間経過すると、前記空気吸引装置が所定時間作動して空気流が発生し、前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により捕虫ネットに捕獲されるように構成される。 請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の蚊取り器において、酸化チタンが本体の表面に塗布あるいはコーテイングされて酸化チタン層になっている。請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の蚊取り器において、前記基体は略円筒状を呈し、その内部に前記紫外線発生器と前記赤外線発生器とが配置され、その両端の開口部に前記ガス透過体が設けられている。請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかの項に記載の蚊取り器において、酸化チタンには活性酸素で分解されて炭酸ガスを発生する有機物が塗布されるように構成される。
【0011】
請求項6に記載の発明は、酸化チタンが塗布あるいはコーテイングされているネット状の本体と前記酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、蚊を検知する蚊センサと、空気吸引装置とからなり、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等に誘引されて、前記ガス透過体に止まる蚊あるいは近づいている蚊を前記蚊センサが検知すると、前記空気吸引装置が設定時間作動して空気流を発生し、前記透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により前記ネット状の本体に捕獲されるように構成される。請求項7に記載の発明は、酸化チタンが塗布あるいはコーテイングされているネット状の本体と前記酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、空気吸引装置とからなり、前記炭酸ガス発生器と前記赤外線発生器が起動されてから設定時間経過すると、前記空気吸引装置が設定時間作動して空気流を発生し、前記透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により前記ネット状の本体に捕獲されるように構成される。そして、請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の蚊取り器において、前記ネット状の本体は略碗状を呈し、その内部に前記紫外線発生器と前記赤外線発生器とが配置され、その開口部に前記ガス透過体が開閉自在に設けられているように構成される。請求項9に記載の発明は、リン酸チタニウム系化合物あるいはその縮合体からなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、空気吸引装置とからなり、
前記炭酸ガス発生器と前記赤外線発生器が起動されてから所定時間経過すると、又は前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊をセンサが検知すると、前記空気吸引装置が所定時間作動して空気流が発生し、前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により捕虫ネットに捕獲されるように構成される。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によると、酸化チタンと該酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器、またはリン酸チタニウム系化合物あるいはその縮合体からなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、空気吸引装置とからなり、前記炭酸ガス発生器と前記赤外線発生器が起動されてから所定時間経過すると、又は前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊をセンサが検知すると、前記空気吸引装置が所定時間作動して空気流が発生し、前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により捕虫ネットに捕獲されるようになっているので、すなわち殺虫成分は含んでいないので、乳幼児、高齢者、病弱者等に対しても抵抗を感じることなく使用できる。また、消耗品も有機物、例えば廃棄食用油を補給する程度で、費用の点を無視して使用できる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1の(ア)は、本発明の第1の実施の形態を一部断面にして示す側面図、その(イ)は正面図であるが、これらの図に示されているように、本実施の形態に係る蚊取り器Mは、概略、円筒状を呈する円筒状本体1と、この円筒状本体1を覆っているカバー15と、このカバー15内の空気を排気するようになっている空気吸引装置20とから構成されている。
【0014】
円筒状本体1の内表面には、酸化チタンが塗布あるいはコーテイングされ酸化チタン層2が形成されている。そして、その内部に石英水銀灯、炭素アーク灯、蛍光ランプのような紫外線を放射する第1のランプ3が配置されている。この第1のランプ3から放射される紫外線が酸化チタン層2に照射されると、従来周知のように活性酸素あるいはオゾンガスが生成し、酸化チタン層2に付着している汚れ等の汚染物質あるいは有機物、空気中に浮遊している臭い成分等の有機物は、発生した活性酸素あるいはオゾンガスにより炭酸ガスと水とに分解される。また、本実施の形態によると、第1のランプ3から放射される紫外線を遮らないような位置に赤外線あるいは熱線を放射する第2のランプ4、4が設けられている。これらの第1、2のランプ3、4には、制御された電力が供給されるようになっているが、電力供給ラインは図1には示されていない。
【0015】
このように構成されている円筒状本体1の上下の開放端部には、開閉蓋10、10が設けられている。これらの開閉蓋10、10を開いて、第1、2のランプ3、4の保守点検ができると共に、酸化チタン層2の表面に有機物例えば食用油を適宜塗布することもできる。有機物を塗布することにより、炭酸ガスと水蒸気とがより確実に大量に発生する。このような開閉蓋10、10の一部には炭酸ガス、熱線、水蒸気等を通すガス透過体11が設けられている。このガス透過体11と関連した位置に蚊を検知する例えば赤外線センサ、羽根の振動数を検知して蚊が飛来していることを検知する振動センサ等からなる蚊センサが設けられている。蚊センサは、図1には示されていないが、制御装置と接続され、蚊を検知すると、後述する空気吸引装置20が所定時間作動するようになっている。
【0016】
カバー15は、円筒状本体1を覆って、該本体1との間に空気流路16、16を構成するもので、図1の(イ)にも示されているように、円筒状本体1の胴部との間には隙間はないが、開閉蓋10、10との間には所定の間隔Sが設けられている。この間隔Sは蚊は入ってくるが、一旦入ると逃げ出し難く、後述する空気吸引装置20が作動すると所定速さの空気流が得られるような大きさに選定されている。空気流路16、16のそれぞれには、円筒状本体1の後方において、逆止弁17、17がそれぞれ設けられている。これらの逆止弁17、17は、空気流路16、16を閉じる方向にバネにより付勢されている。したがって、円筒状本体1内で発生する炭酸ガス等は空気吸引装置20の方へ漏れることはないが、空気吸引装置20が作動すると、吸引力によりバネに抗して開き、空気流路16、16内の空気は排気されることになる。
【0017】
空気吸引装置20は、排気管21、捕虫ネット22、吸引フアン24等から構成されている。排気管21の所要箇所には開閉蓋25が設けられ、その一方の端部が空気流路16、16の合流した開放部に接続され、他端部は大気中に開放されている。このような排気管21の内部に捕虫ネット22が着脱自在に設けられている。そして、その下流側にモータ23で駆動される吸引フアン24が設けられている。モータ23には、制御装置により制御された電力が供給されるようになっているが、電力ラインは、図1には示されていない。
【0018】
本実施の形態によると、スタンド30内には制御装置が設けられている。制御装置は、演算器、比較器、タイマ等から構成され、設定器31〜33も備えている。これらの設定器31〜33により第1、2のランプ3、4の点灯時間、第2のランプ4、4の発熱温度、蚊センサからの信号を受けてから吸引フアン24が作動する時間等が設定されるようになっている。
【0019】
次に、上記実施の形態に係る蚊取り器Mの使用法について説明する。第1、2のランプ3、4の点灯時間、第2のランプ4、4の発熱温度、吸引フアン24の作動時間等を設定する。そして、例えばこれから入室予定の部屋に本蚊取り器Mを置く。そうすると、第1のランプ3からの紫外線が酸化チタン層2に照射され活性酸素あるいはオゾンガスが発生する。この活性酸素が酸化チタン層2の表面に付着している手垢、汗等の有機物を炭酸ガスと水とに分解する。有機物の汚れが少ないときは、食用油等を酸化チタン層2に付けておく。発生した炭酸ガスは、ガス透過体11、11から空気流路16、16内へ出る。このとき、本実施の形態によると円筒状本体1は鉛直方向に配置されているので、円筒状本体1内で暖められた空気は上昇し、上方のガス透過体11から多くの炭酸ガスが出ることになる。空気流路16、16内に出た炭酸ガスは、カバー15から外部へ出る。同時に第2のランプ4、4から放射される熱線も、さらには分解された水蒸気も出る。室内の蚊m、m、…は、炭酸ガス、熱線、水蒸気等に誘引されて空気流路16、16内に入り、そしてガス透過体11、11に止まる。あるいは近づく。蚊センサがこれを検知する。そうすると、吸引フアン24が急に作動する。吸引される空気は空気流路16、16の開口部から吸引され、そして逆止弁17、17を押し開き、捕虫ネット22を通って外部へ排気される。このとき、空気流路16、16内には所定の流速が得られるので、蚊m、m、…は空気と共に流され、捕虫ネット22に捕獲される。捕獲された蚊は、特に羽根は捕虫ネット22などで傷つけられているので、一旦捕獲されると逃げ出すことはできない。あるいは空気流路16、16内には逆止弁17、17が設けられているので逃げることはできない。設定時間が経過すると、吸引フアン24は停止する。空気流路16、16内の空気流は止まり、炭酸ガス等が再びガス透過体11、11から出る。以下同様にして設定回数だけ捕獲する。
【0020】
上記実施の形態では、蚊センサが蚊を検知すると、吸引フアン24が所定時間作動するようになっているが、吸引フアン24を制御装置のタイマで制御するように実施することもできる。例えば、第1、2のランプ3、4を点灯してから所定時間経過すると、蚊は誘引されていると見なし、所定時間吸引フアン24を作動させるように実施することもできる。同様にして捕獲できることは明らかである。以下、設定時間毎に吸引フアン24を作動させ捕獲する。
【0021】
次に、図2により本発明の第2の実施の形態を説明する。上記した第1の実施の形態の構成要素と同じ要素には同じ参照数字を付けて、また同じような構成要素には同じ参照数字にダッシュ「’」を付けて重複説明はしないが、第2の実施の形態によると、円筒状本体1’が捕虫ネットも兼ねている。また、ガス透過体11’は開閉可能になっている。すなわち、円筒状本体1’は多数の孔が明けられた多孔体から構成され、その内周面に酸化チタン層2’が形成されている。この円筒状本体1’の上方開口部に取り付けられている開閉蓋にガス透過体11’が開閉自在に設けられている。このガス透過体11’は、開口部を封鎖する方向にバネ付勢されているが、円筒状本体1’の内部が負圧になると、開く。開いた状態が、図2において鎖線で示されている。
【0022】
このように構成されているガス透過体11’の上方に所定の間隔をおいてカバー15’が設けられている。これにより、第1の空気流路16’が構成されている。また、円筒状本体1’の外周側には第2のカバー15’が設けられている。これにより、所定幅の第2の空気流路16’が形成されている。第2のカバー15’の下方の開口部は排気管21に接続されている。
【0023】
したがって、第1、2のランプ3’、4’を点灯すると、前述したように炭酸ガスと水蒸気が生じ、加熱された空気と共にガス透過体11’から第1の空気流路16’に出て、そして外部へ出る。同様に誘引される蚊はガス透過体11’の表面に止まる。あるいは、近づく。蚊センサがこれを検知すると、あるいは第1、2のランプ3’、4’を点灯してから設定時間経過すると、吸引フアン24が起動する。そうすると、円筒状本体1’の内部は負圧になる。ガス透過体11’が開く。室内の空気は、第1の空気流路16’、ガス透過体11’が開くことにより生じた開口部、円筒状本体1’に明けられている複数個の透孔、第2の空気流路16’および排気管21を通って外部へ排気される。このとき、ガス透過体11’に止まっている蚊、あるいは近づいている蚊は、円筒状本体1’の内部へ流れる空気流に巻き込まれ、そして円筒状本体1’に捕獲される。
【0024】
第2の実施の形態によると、円筒状本体1’が捕虫ネットも兼ねているので、構造が比較的簡単になる効果が得られる。また、捕獲された蚊の大部分が次の点灯で発生する活性酸素あるいはオゾンガスにより炭酸ガスと水とに分解されるので、捕獲された蚊の処理が簡単になる。さらには、捕獲される蚊から炭酸ガスと水とが得られるので、有機物の補給が少なくてすむ効果も得られる。
【0025】
第2の実施の形態によっても、円筒状本体1’の内部に捕虫ネットを設けることができることは明らかである。また、酸化チタンに代えて、特許第3829640号に開示されているような光を照射しなくても活性化するリン酸チタニウム系化合物あるいはその縮合体を適用することもできる。このときは、光を照射しないときにも有機物は炭酸ガスと水とに分解され炭酸ガスを発生するので、有機物は消耗品となる。したがって、使用に先立ち、所定量の有機物を塗布あるいは噴霧しておく必要がある。本実施の形態によると紫外線発生器が不要になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、その(ア)は一部を断面にして示す側面図、その(イ)は正面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を一部断面にして示す側面図である。
【符号の説明】
【0027】
M、M’ 蚊取り器 1、1’ 円筒状本体
2 酸化チタン層 3 第1のランプ
4 第2のランプ 10 開閉蓋
11、11’ ガス透過体 15、15’ カバー
16、16’ 空気流路 20、20’ 空気吸引装置
21 排気管 22 捕虫ネット
24 吸引フアン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタンと該酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、蚊を検知する蚊センサと、空気吸引装置とからなり、
前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等に誘引されて、前記ガス透過体に止まる蚊あるいは近づいている蚊を前記蚊センサが検知すると、前記空気吸引装置が所定時間作動して空気流が発生し、前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により捕虫ネットに捕獲されるようになっていることを特徴とする蚊取り器。
【請求項2】
酸化チタンと該酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、空気吸引装置とからなり、
前記炭酸ガス発生器と前記赤外線発生器が起動されてから所定時間経過すると、前記空気吸引装置が所定時間作動して空気流が発生し、前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により捕虫ネットに捕獲されるようになっていることを特徴とする蚊取り器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蚊取り器において、酸化チタンが本体の表面に塗布あるいはコーテイングされて酸化チタン層になっていることを特徴とする蚊取り器。
【請求項4】
請求項3に記載の蚊取り器において、前記基体は略円筒状を呈し、その内部に前記紫外線発生器と前記赤外線発生器とが配置され、その両端の開口部に前記ガス透過体が設けられていることを特徴とする蚊取り器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの項に記載の蚊取り器において、酸化チタンには活性酸素で分解されて炭酸ガスを発生する有機物が塗布されるようになっていることを特徴とする蚊取り器。
【請求項6】
酸化チタンが塗布あるいはコーテイングされているネット状の本体と前記酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、蚊を検知する蚊センサと、空気吸引装置とからなり、
前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等に誘引されて、前記ガス透過体に止まる蚊あるいは近づいている蚊を前記蚊センサが検知すると、前記空気吸引装置が設定時間作動して空気流を発生し、前記透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により前記ネット状の本体に捕獲されるようになっていることを特徴とする蚊取り器。
【請求項7】
酸化チタンが塗布あるいはコーテイングされているネット状の本体と前記酸化チタンに紫外線を照射するようになっている紫外線発生器とからなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、空気吸引装置とからなり、
前記炭酸ガス発生器と前記赤外線発生器が起動されてから設定時間経過すると、前記空気吸引装置が設定時間作動して空気流を発生し、前記透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により前記ネット状の本体に捕獲されるようになっていることを特徴とする蚊取り器。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の蚊取り器において、前記ネット状の本体は略碗状を呈し、その内部に前記紫外線発生器と前記赤外線発生器とが配置され、その開口部に前記ガス透過体が開閉自在に設けられていることを特徴とする蚊取り器。
【請求項9】
リン酸チタニウム系化合物あるいはその縮合体からなる炭酸ガス発生器と、赤外線発生器と、前記炭酸ガス発生器により発生する炭酸ガス、前記赤外線発生器から放射される赤外線等を透過するガス透過体と、空気吸引装置とからなり、
前記炭酸ガス発生器と前記赤外線発生器が起動されてから所定時間経過すると、又は前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊をセンサが検知すると、前記空気吸引装置が所定時間作動して空気流が発生し、前記ガス透過体に止まっている蚊あるいは近づいている蚊は、前記空気流により捕虫ネットに捕獲されるようになっていることを特徴とする蚊取り器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate