説明

蛇腹式伸縮ストロー

【課題】 蛇腹式伸縮ストローの伸張操作によって、内側の細径ストローが外側の太径ストロー内に没入するのを防止する。
【解決手段】 蛇腹式伸縮ストローAの異径一対のうち外側の太径ストロー2に、長手方向全長の識別ライン3を配置して、該蛇腹式伸縮ストローAに内側の細径ストロー1があることを識別できるようにして、内側の細径ストロー1が外側の太径ストロー2に没入するストロートラブルを防止する。識別ライン3は、外側の太径ストロー2の透明地、着色地に対して目立つブルー、レッド等の色調とし、円周方向に1/2円の間隔をおいて2条配置することによって、常に需要者に認識し得るようにする。押出成形を2色成形で行うことによって、識別ライン3配置によるコストアップを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばジュース、牛乳等の飲料を充填したパック容器に添付して、その飲用に使用する蛇腹式伸縮ストローに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蛇腹式伸縮ストローは、スライド引出自在に異径一対の内外ストローを嵌挿するとともに内側の細径ストローの差込先端部を外側の太径ストローより突出配置し且つ該外側の太径ストローの長手方向中間に蛇腹折曲部を配置したものとされ、一般に、フィルム個装の状態でパック容器の壁面に接着固定したものとされている。従って需要者は、該パック容器からこれを取り外して、個装フィルムからストローを出し、内側の細径ストローを外側の太径ストローからスライド引出して全体を伸張した上で、パック容器のシール部に内側の細径ストローの差込先端部を差込んで、パック容器に充填の飲料を吸引飲用するように用いるものとされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】日本ストロー株式会社 ホームページ(http:www.nipponstraw.com)「製品紹介」頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、蛇腹式伸縮ストローは、その伸縮性によって、縮小状態でパック容器にコンパクトに添付することができ、また、蛇腹折曲部が付されているから、パック容器に対してストローを曲げ使用することができる利点があるが、一般に、フィルム個装状態でパック容器に添付されるストローは、例えば5〜10cm程度の長さとされるところ、内側の細径のストローは、その大半が、外側の太径のストロー内に収容され、その差込先端部が、例えば0.5〜1.5cm程度突出した状態とされているために、その全体の伸張に際して、外側の太軸ストローの長手方向両端を手持ちしてそのスライド引出をしようとすると、その引出力を受けて、該外側の太軸ストローの長手方向中間の蛇腹折曲部が伸張することによって、内側の細径ストローが、外側の太軸ストロー内に没入して、ストローのスライド引出とこれによる全体の伸張が困難になり、パック容器添付のストローが使用不能になるというストロートラブルを招き易い。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、スライド引出時に内側の細径ストローが外側の太径ストローに没入するストロートラブルを可級的に防止し得るようにした蛇腹式伸縮ストローを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は、蛇腹式伸縮ストローが2部材の異径一対の内外ストローが嵌挿されて構成されていることを、可及的低コストによって簡易且つ一見して確実に識別し得るように、内外一方のストローに識別ラインを配置し、識別ラインの終端位置を境界として、該一方のストローに対して他方のストローが嵌挿されていることを需要者が認識し得るようにして、上記外側の太径ストローを手持ちして伸張するストロートラブルを防止するようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、スライド引出自在に異径一対の内外ストローを嵌挿するとともに内側の細径ストローの差込先端部を外側の太径ストローより突出配置し且つ該外側の太径ストローの長手方向中間に蛇腹折曲部を配置したストローであって、上記異径一対の内外一方に透明地に対して有色とし又は着色地に対して異色とした識別ラインを長手方向一連に配置することによって異径一対のうち内側の細径ストローをスライド引出用として識別自在としてなることを特徴とする蛇腹式伸縮ストローとしたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、ストローを手持ちしたときに、上記識別ラインを常に認識し得て、識別ラインの見落しに起因する上記ストロートラブルを更に確実に解消し得るものとするように、これを、上記識別ラインを、異径一対のうち一方の外周方向に平行に複数条配置してなることを特徴とする請求項1に記載の蛇腹式伸縮ストローとしたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、識別ラインの配置を可及的に目立つようにするとともに該識別ラインがストローのデザイン要素として機能するものとするように、これを、上記識別ラインを、上記異径一対のうちの外側の太径ストローに配置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛇腹式伸縮ストローとしたものである。
【0009】
本発明は、これらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段としたものである。
【0010】
なお、本発明でストローについて透明とは、粗面化乃至マット剤添加等の措置による半透明のものを含む意味に用いる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、蛇腹式伸縮ストローが2部材の異径一対の内外ストローが嵌挿されて構成されていることを、可及的低コストによって簡易且つ一見して確実に識別し得るように、内外一方のストローに識別ラインを配置し、識別ラインの終端位置を境界として、該一方のストローに対して他方のストローが嵌挿されていることを需要者が認識し得るようにして、上記外側の太径ストローを手持ちして伸張する上記外側の太径ストローを手持ちして伸張するストロートラブルを防止するようにした蛇腹式伸縮ストローを提供できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、ストローを手持ちしたときに、上記識別ラインを常に認識し得て、識別ラインの見落しに起因する上記ストロートラブルを更に確実に解消し得るものとすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、識別ラインの配置を可及的に目立つようにするとともに該識別ラインがストローのデザイン要素として機能するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】蛇腹式伸縮ストローの正面図である。
【図2】蛇腹式伸縮ストローを伸張した状態の正面図である。
【図3】内側の細径ストローの正面図である。
【図4】外側の太径ストローの正面図である。
【図5】ストロートラブルの状態を示す正面図である。
【図6】蛇腹式伸縮ストローを添付したパック容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、例えばジュース、牛乳等の飲料を充填したパック容器にフィルム個装して添付して、その飲用に使用するようにした、例えば、ポリプロピレン樹脂製とした蛇腹式伸縮ストローであり、該ストローAは、スライド引出自在に異径一対の内外ストローを嵌挿するとともに内側の細径ストロー1の差込先端部12を外側の太径ストロー2より突出配置し且つ該外側の太径ストロー2の長手方向中間に蛇腹折曲部23を配置したものとしてあり、このとき、該ストローAは、上記異径一対の内外一方に透明地に対して有色とし又は着色地に対して異色とした識別ライン3を長手方向一連に配置することによって異径一対のうち内側の細径ストロー1をスライド引出用として識別自在としたものとしてある。
【0016】
本例にあって該蛇腹式伸縮ストローAは、その伸張長さを10cmとしてあり、例えば、該異径一対のうち外側の太径ストロー2を、長さ8cm、外径0.6cm程度、内側の細径ストロー1を、長さ10cm弱、外径0.5cm程度のものとしてあり、このとき、上記外側の太径ストロー2は、その長手方向中間、特に中央乃至中央近傍位置に、例えば縮小長さを1cm弱程度、伸張長さを2cm程度とする多段、例えば8段程度とした上記蛇腹折曲部23を配置してある。
【0017】
内側の径小ストロー1は、その後端に抜け止め用の径大部11を、先端に、例えば、角度を50°程度の鋭角とするように斜切りして形成した先端差込部12を配置したものとしてあり、また、外側の太径ストロー2は、その後端に径内方向に屈曲した僅少幅の抜け止め21を、先端近傍に内側に対向突出した図示省略の抜け止めリブを、また、先端に上記内側の細径ストロー1の外形に合わせて該内側の細径ストロー1の揺動を防止して、内側の細径ストロー1のスライド引出を直進案内し且つ内側の細径ストロー1の径大部11のストッパーを兼ねる径小ガイド22を配置したものとしてある。このとき、外側の太径ストロー2における上記後端の抜け止め21形成前に、該外側の太径ストロー2に内側の細径ストロー1を挿入することによって、外側の太径ストロー2から内側の細径ストロー1をスライド引出して全体を伸張し、その上記先端差込部12を、パック容器Bの差込口に差し込んで、その密封シールを破断しパック容器B充填の飲料を吸引するように使用するものとしてある。
【0018】
本例にあって該蛇腹式伸縮ストローAは、その色調を、例えば、内側の細径ストロー1を白色とし、外側の太径ストロー2を透明とした内外異色のものとしてあり、また、内側の細径ストロー1の先端差込部12は、これを、外側の太径ストロー2の先端から、例えば1cm弱程度、即ち、上記外側の太径ストロー2における蛇腹折曲部23の縮小長さと同等の突出長さとしてあり、これによって、該先端突出部12の突出長さは、これを、上記蛇腹折曲部23の伸張長さに対し同等乃至相対的に短寸、本例にあっては相対的に短寸のものとしてある。
【0019】
このとき、本例にあって識別ライン3は、これを、上記異径一対のうちの、本例にあって透明地とした上記外側の太径ストロー2に配置してあり、該識別ライン3の配置は、該外側の太径ストロー2の押出成形を、例えば2色成形とすることによって、その長手方向全長に亘るように、長手方向中間の蛇腹折曲部23を含めて一連に配置してあり、該識別ライン3の配置によって、該蛇腹式伸縮ストローAが異径一対の内外ストロー1、2の嵌挿による2部材構成のものとし、このうち内側の細径ストロー1をスライド引出の対象部位としていることを、需要者が一見して識別し得るようにしてある。該識別ライン3は、上記透明地に対して、例えば、ブルー、レッド等の色調として、デザイン要素を兼ねて、その識別に適した目立つ形態をなすものとしてある。
【0020】
識別ライン3は、上記識別可能であれば、その幅を問わないが、本例にあって該幅は、例えば0.数mmから2mm程度、本例にあっては1mm弱程度の比較的細幅のものとしてある。
【0021】
本例にあって、上記識別ライン3は、これを、上記外側の太径ストロー2の外周方向に平行に複数条、例えば2条配置したものとしてある。このとき、本例の識別ライン3は、該2条を、その外周方向表裏に1/2円の間隔を置いて配置してあり、これによって、該識別ライン3は、パック容器Bに透明フィルムによって個装添付した状態や、スライド引出するために手持ちした状態を含めて、常に需要者の目に触れるようにして、更に上記識別を確実になし得るようにしてある。
【0022】
従って、先端差込部12の突出を、上記1cm弱の長さとする一方、伸張長さが、これを超える相対的な長さの関係にある蛇腹折曲部23を外側の太径ストロー2に備えることによって、外側の太径ストロー2の両端を手持ちしてスライド引出動作を行うことによって、内側の細径ストロー1が外側の太径ストロー2に没入する可能性を、上記識別ライン3、特に、複数条の識別ラインの配置によって可及的に防止して、需要者のストロートラブルを可及的確実に解消することができる。また、該識別ライン3は、上記外側の太径ストロー2の押出成形に際して2色成形の手法を用いてその配置を行ったから、その生産コストを可及的に防止し、蛇腹式伸縮ストローAを可及的に低コストのものとすることができる。
【0023】
図示した例は以上のとおりとしたが、識別ラインを、上記異径一対のうちの内側の細径ストローに配置すること、識別ラインを一対の細線によるものとすること、識別ラインを、外周方向に平行に複数条配置するとき、これを円周方向1/3円の等間隔の3条とし、また、1/4円の等間隔の4条とする如くにその条数及び間隔を適宜のものとすること等を含めて、内側の細径ストロー、その差込先端部、外側の太径ストロー、その蛇腹折曲部、これらストローの地色、識別ライン、その色調等の各具体的形状、構造、材質、寸法、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0024】
A 蛇腹式伸縮ストロー
B パック容器
1 内側の細径ストロー
11 径大部
12 差込先端部
2 外側の太径ストロー
21 抜け止め
22 径小ガイド
23 蛇腹折曲部
3 識別ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド引出自在に異径一対の内外ストローを嵌挿するとともに内側の細径ストローの差込先端部を外側の太径ストローより突出配置し且つ該外側の太径ストローの長手方向中間に蛇腹折曲部を配置したストローであって、上記異径一対の内外一方に透明地に対して有色とし又は着色地に対して異色とした識別ラインを長手方向一連に配置することによって異径一対のうち内側の細径ストローをスライド引出用として識別自在としてなることを特徴とする蛇腹式伸縮ストロー。
【請求項2】
上記識別ラインを、異径一対のうち一方の外周方向に平行に複数条配置してなることを特徴とする請求項1に記載の蛇腹式伸縮ストロー。
【請求項3】
上記識別ラインを、上記異径一対のうちの外側の太径ストローに配置してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛇腹式伸縮ストロー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−148019(P2012−148019A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10530(P2011−10530)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(390001270)グリコ乳業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】