蛍光ランプ用発光管とその製造方法、ならびにこれを用いた安定器内蔵蛍光ランプ
【課題】端部に最冷点を有し、かつ生産性にもすぐれた、螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管とその製造方法、ならびにこれを用いた安定器内蔵蛍光ランプを提供する。
【解決手段】螺旋部2を有し、かつ、少なくとも一端部に直線部3を有するガラスバルブ6と、ガラスバルブ6内に配設された一対のフィラメント5a、5bと、ガラスバルブ6内に水銀蒸気を放出する水銀アマルガム4とを備える蛍光ランプ用発光管であって、一対のフィラメントのうち、少なくともフィラメント5aは直線部3内であって直線部3の端部からの高さが20mm以上の位置に配設されていることを特徴とする、蛍光ランプ用発光管とその製造方法。ならびにこれを用いた安定器内蔵蛍光ランプ。
【解決手段】螺旋部2を有し、かつ、少なくとも一端部に直線部3を有するガラスバルブ6と、ガラスバルブ6内に配設された一対のフィラメント5a、5bと、ガラスバルブ6内に水銀蒸気を放出する水銀アマルガム4とを備える蛍光ランプ用発光管であって、一対のフィラメントのうち、少なくともフィラメント5aは直線部3内であって直線部3の端部からの高さが20mm以上の位置に配設されていることを特徴とする、蛍光ランプ用発光管とその製造方法。ならびにこれを用いた安定器内蔵蛍光ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ用発光管とその製造方法、ならびにこれを用いた安定器内蔵蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプ用発光管は、内面に蛍光層が被着されたガラスバルブの両端部にフィラメントを取り付け、該ガラスバルブの内部に水銀蒸気を含む放電ガスを封入して構成されている。
蛍光ランプは白熱灯に比べて小さな消費電力で同等以上の照度が得られるので、各種の照明器具の光源として使用されている。
しかし、蛍光ランプには白熱電球と比べて点灯直後の明るさの立ち上がりが遅いという欠点がある。これは、点灯直後は発光管の温度が低く、発光管内の水銀蒸気圧が低いためである。
【0003】
点灯直後の明るさの立ち上がりを速くするために、比較的低温で水銀蒸気を放出する水銀アマルガムを使用する方法が知られている。
しかし、水銀アマルガムを使用した場合、安定点灯時の照度が低くなるという問題がある。これは、放電によって発光管の温度が上昇したときに、発光管内の水銀蒸気圧が最適範囲よりも高くなるためである。
【0004】
この問題は、安定器内蔵蛍光ランプによく用いられる、螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管において特に顕著である。
螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管は、発光管の長さあたりの放熱面積が、直管型や円環型の発光管に比べて小さく、発生した熱が内部にこもりやすい。その結果、点灯直後の温度と安定点灯時の温度の差が直管型や円環型の発光管よりも大きくなり、水銀蒸気圧を最適範囲に保つことがより難しい。
【0005】
安定点灯時の照度の低下を避けるためには、発光管内で最も温度が低くなる部分、いわゆる最冷点の温度を低くすることが有効である。最冷点温度を低くすることによって、発光管内に放出された過剰の水銀蒸気は該最冷点において凝縮し、水銀蒸気圧が適正範囲に保たれる。
【0006】
理論上は、最冷点は発光管内のどの部分に存在してもよい。しかし、発光時にはフィラメント、及びフィラメント間に形成される放電路において熱が生じる。このため、最冷点をフィラメントや放電路から離れた位置に設けた方が、最冷点温度をより低くしやすい。
【0007】
特許文献1には、螺旋部を有する発光管の端部に、発光管と連通した突出部を設ける構成が開示されている。
この構成では、突出部が最冷点として機能する。
【0008】
特許文献2には、円環状の蛍光ランプにおいて、発光管の一端部を最冷点とする構成が開示されている。
この構成では、発光管の両端部に配設される一対のフィラメントのうち、一端部に配設されるフィラメントが、他端部に配設されるフィラメントよりも長い。このため、一端部は他端部よりもフィラメント及び放電路において生じる熱の影響を受けにくく、最冷点として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−347236号公報
【特許文献2】特開2002−329481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、突出部の構造が複雑なため発光管の成形が難しいという問題がある。
さらに安定器内蔵蛍光ランプの組み立て工程において突出部が破損しやすく、生産性の点でも問題がある。
【0011】
一方、特許文献2に開示されている構成は、円環状の発光管を対象としたものである。
螺旋部を有するガラスバルブにフィラメントを挿入する場合、ガラスバルブ及びフィラメントの方向や角度を精密に調整しなければならず、生産が難しい。
加えて、挿入の方向や角度を誤るとガラスバルブに被着された蛍光層とフィラメントが接触して、蛍光層に傷が付いたり、フィラメントが破損したりするおそれがある。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、端部に最冷点を有し、かつ生産性にもすぐれた、螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管とその製造方法、ならびにこれを用いた安定器内蔵蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る蛍光ランプ用発光管は、螺旋部を有し、かつ、少なくとも一端部に直線部を有するガラスバルブと、前記ガラスバルブ内に配設された一対のフィラメントと、前記ガラスバルブ内に水銀蒸気を放出する水銀アマルガムとを備える蛍光ランプ用発光管であって、前記一対のフィラメントのうち、少なくとも一方のフィラメントは前記直線部であって直線部の端部からの高さが20mm以上の位置に配設されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法は、前記フィラメントを直線部の端部から該直線部と略平行方向に挿入した後、該直線部の端部を封止することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプは、前記発明に係る蛍光ランプ用発光管と、電源とフィラメントとの間に電気的に接続され、該フィラメントに電圧を印加する電子安定器と、前記電子安定器を内蔵するカバーとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生産性にすぐれ、比較的低温で水銀蒸気を放出する水銀アマルガムを用いるにも関わらず、安定点灯時の照度の低下を防ぐことができる蛍光ランプ用発光管を提供できる。
本発明によれば、前記本発明に係る蛍光ランプ用発光管を生産性よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管の正面図である。
【図2】図1に示した蛍光ランプ用発光管の上面図である。
【図3】図1及び図2に示した蛍光ランプ用発光管の内部構成図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る蛍光ランプ用発光管の正面図である。
【図5】図4に示した蛍光ランプ用発光管の上面図である。
【図6】本発明の第二の他の実施形態に係る蛍光ランプ用発光管の正面図である。
【図7】図6に示した蛍光ランプ用発光管の右側面図である。
【図8】本発明の第三の他の実施形態に係る蛍光ランプ用発光管の正面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法を示す模式図である。(a)はフィラメントを挿入する前の状態であり、(b)はフィラメントを挿入する過程であり、(c)はフィラメントの挿入が完了した状態であり、(d)はガラスバルブの直線部の端部が封止された状態である。
【図10】本発明の実施形態3に係る安定器内蔵蛍光ランプの内部構成図である。
【図11】本発明の実施形態4に係る安定器内蔵蛍光ランプの内部構成図である。
【図12】図11に示した安定器内蔵蛍光ランプの一部を切り欠いて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る蛍光ランプ用発光管とその製造方法、ならびにこれを使用した安定器内蔵蛍光ランプについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施形態1)
まず本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管1について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管1の正面図である。図2は、蛍光ランプ用発光管1の上面図である。図3は蛍光ランプ用発光管1の内部構成図である。
【0020】
蛍光ランプ用発光管1は、図3に示すように、ガラスバルブ6に、フィラメント5a、5b、水銀アマルガム4を封入して構成されている。
【0021】
ガラスバルブ6は、図1及び図2に示すように、一本の円柱状のガラス管を屈曲させて形成されている。ガラス管の一端部を長さLの直線部3とし、残り部分は、直線部3を中心軸とし、かつ直線部3の端部方向へ向かう螺旋を形成するように巻かれ、螺旋部2が形成される。直線部3は、螺旋部2の螺旋の回転軸に沿って、かつ、螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するよう配置されている。
【0022】
ガラスバルブ6の内面には、蛍光層が被着されている。
さらに、ガラスバルブ6の内部には、希ガスと水銀蒸気とを含む放電ガスが封入されている。
【0023】
図3に図示するように、フィラメント5aはガラスバルブ6の直線部3の端部に配設されている。フィラメント5bはガラスバルブ6の螺旋部2の端部に配設されている。
フィラメント5a、5bはタングステンで構成されている。
水銀アマルガム4は、直線部3の端部に配置されている。
【0024】
フィラメント5aはその両端部において、二本の金属線からなる支持部材7aに支持されている。フィラメント5bも同様に支持部材7bに支持されている。
支持部材7a、7bは、フィラメント5a、5bを支持してその配設位置及び端部からの高さを規定する役割と、フィラメント5a、5bと電源とを電気的に接続する役割とを有する。
【0025】
支持部材7aは、ガラス製のステム8を貫通しており、かつステム8に固定されている。ステム8の長さは25mmである。
ステム8は二本の金属線からなる支持部材7aを絶縁して短絡を防いでいる。さらに、支持部材7aを補強し、フィラメント5aが蛍光層に接触することを防いでいる。
なお、ステム8はフィラメント5aから直線部3の端部までの空間をすべて塞ぐものではない。水銀蒸気は、水銀アマルガム4とガラスバルブ6内の他の部位との間を自由に行き来することができる。
【0026】
支持部材7aの先端は、直線部3の端部から30mmの高さに位置している。支持部材7aによって支持されたフィラメント5aの、直線部3の端部からの高さHaは30mmである。
支持部材7bの先端は、螺旋部2の端部から15mmの高さに位置している。支持部材7bによって支持されたフィラメント5bの、螺旋部2の端部からの高さは15mmである。
【0027】
フィラメント5a、5bには、熱せられると電子を放出するエミッターが塗布されている。
【0028】
電源から支持部材7a、7bを通じてフィラメント5a、5bに電圧が印加されると、フィラメント5a、5bは発熱する。この結果、フィラメント5a、5bに塗布されたエミッターから電子が放出され、フィラメント5aとフィラメント5bとの間に放電路が形成される。
【0029】
電子は、放電路を移動中に、放電ガス中に含まれる水銀原子に衝突する。電子に衝突された水銀原子は紫外線を放出する。
紫外線はガラスバルブ6の内面に被着されている蛍光層に当たり、蛍光層に可視光線を発生させる。この結果、蛍光ランプ用発光管1は照明装置としての機能を発揮する。
【0030】
蛍光ランプ用発光管1で放電が起きると、熱が発生する。
しかし、直線部3の端部は、放電路の外側に位置し、かつフィラメント5aから30mm離れているため、フィラメント5a及び放電路において発生する熱の影響を受けにくい。この結果、直線部3の端部が最冷点として機能する。
【0031】
蛍光ランプ用発光管1内に存在する過剰の水銀蒸気は最冷点において凝縮するか、最冷点に配置された水銀アマルガム4に吸収される。この結果、安定点灯時における蛍光ランプ用発光管1内の水銀蒸気圧は最適範囲に保たれ、照度の低下を防ぐことができる。
【0032】
蛍光ランプ用発光管1は螺旋部2を有するため、限られた容積内により長い発光管を収容することができ、小型でも高い照度が得られる。
【0033】
フィラメント5aは直線部3に配設されているため、フィラメント5aをガラスバルブ6に挿入する前に支持部材7aを曲げたり、挿入する際に支持部材7a又はガラスバルブ6の向きや角度を精密に調整したりする必要がない。また、挿入する際にガラスバルブ6の内面に被着された蛍光層を傷つけるおそれも少ない。このため、蛍光ランプ用発光管1は生産性にすぐれている。
【0034】
以上、本発明に係る蛍光ランプ用発光管について、実施形態1を示しながら説明したが、本発明の範囲は実施形態1に限定されるものではない。
【0035】
ガラスバルブ6は、1本の円柱状のガラス管を屈曲させて形成されたものを用いたが、螺旋形状のガラス管と、直線状のガラス管とが接合されて形成されたものでもよい。
【0036】
ガラスバルブ6は、一端部に直線部3を有し、他端部に螺旋部2を有するものを使用したが、他端部にも直線部を有するものであってもよい。ただし、他端部に螺旋部2を有する形態の方が、限られた容積内により長い発光管を収容でき、照度を高くできるためより好ましい。
【0037】
螺旋部2の長さがガラスバルブ6全体の長さに占める割合は、大きいほど、限られた容積内で発光管を長くでき、照度が高くなるため有利である。
上記割合は50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
【0038】
ガラスバルブ6の直線部3は螺旋部2の螺旋の回転軸に沿って、かつ螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するよう配置したが、これに限定されない。
【0039】
例えば、図4及び図5に示すように、直線部3が螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するよう配置されている場合において、螺旋部2の螺旋が描く円の円周上の一点と、該円の中心とを結ぶ線を略二分する点を通るように直線部3が配置されていてもよい。
あるいは、直線部3が螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するように配置されている場合において、直線部3が螺旋部2の螺旋が描く円の外側を通るように配置されていてもよい。
【0040】
さらには、直線部3が螺旋部2の螺旋の回転面と略平行に配置されていてもよい。
このとき、例えば図6及び図7に示すように、直線部3は螺旋部2の螺旋の回転軸と直交する線と平行に配置されていてもよい。
あるいは図8に示すように、直線部3の端部が螺旋部2の端部に近接するよう配置されていてもよい。
ただし、ガラスバルブ6の直線部3は螺旋部2の螺旋の回転軸に沿って、かつ螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するよう配置されている形態が、発光管長さあたりの容積を小さくでき、より好ましい。
【0041】
水銀アマルガム4は、最冷点となる直線部3の端部に配置したが、これに限定されない。
螺旋部2の端部に配置してもよいし、蛍光ランプ用発光管1の内部に位置を限定することなく投入してもよい。
その他、必要に応じて、蛍光ランプ用発光管1の内部に、点灯直後や安定点灯時の水銀蒸気圧を最適化するための純水銀や補助アマルガムを配置もしくは投入することもできる。
【0042】
フィラメント5a、5bの材質としてはタングステンを用いたが、所望の耐熱性、電気伝導性を備えるものであれば特に限定されない。
【0043】
フィラメント5aの高さHaを30mmとしたが、フィラメント5aの高さHaは20mm以上であればよい。
フィラメント5aの高さHaは、好ましくは30mm以上であり、特に好ましくは50mm超である。
フィラメント5aの高さHaが20mm未満だと、フィラメント5aから生じる熱が直線部3の端部に伝わるのを十分に抑制できず、直線部3の端部に最冷点が形成されにくくなる。この場合、安定点灯時の照度の低下を防ぐことが難しくなる。
【0044】
フィラメント5aの高さHaが大きいほど最冷点となる直線部3の端部の温度を低く保つことができるが、大きくするとその分放電路が短くなり、発光管の有効発光長さが減ずる。このため、フィラメント5aの高さHaは直線部Lの長さの70%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
【0045】
フィラメント5bは、螺旋部2の端部に配設したが、配設位置は限定されない。
【0046】
フィラメント5bの、螺旋部2の端部からの高さを15mmとしたが、これに限定されない。
フィラメント5bの高さは、通常は5〜30mmであり、好ましくは8〜25mmであり、より好ましくは10〜20mmである。30mmを超えると、挿入の際に蛍光層を傷つけたり、フィラメント5b又は支持部材7bが破損したりするおそれがある。
【0047】
直線部3の端部はステム8を挿入した後、直線部3の端部を加熱し、外部から力を加えることによって封止したが、ステム8を挿入した後、封止ガラスによって封止してもよい。
【0048】
ステム8の材質にはガラスを用いたが、絶縁性及び耐熱性を有するものであれば特に限定されない。また、ステムの形状も、ステム8のようにフレア型のステムに限定されない。たとえば平たい円盤状のステムも用いることができる。
【0049】
ステム8の長さを25mmとしたが、フィラメント5aの高さHa未満であればよく、限定されない。
ただし、支持部材7aを長くするほどフィラメント5aは不安定になるため、ステム8はフィラメント5aの高さHaに対して1/2以上の長さを有することが好ましい。
フィラメント5aの高さHaに対して2/3以上であればより好ましく、3/4以上であれば特に好ましい。
【0050】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法について図9を参照しながら説明する。
ガラスバルブ6は、先に述べた通り、螺旋部2を有し、一端部に長さLの直線部3を有している(図9においては、理解を容易にするため螺旋部2は省略している)。ガラスバルブ6の内面には蛍光層が被着されている。
【0051】
フィラメント5aにはエミッターが塗布され、その両端部において支持部材7aに支持されている。なお、理解を容易にするために図9には図示していないが、支持部材7aはステム8(図示しない)に固定されている。ステム8には、水銀アマルガム4(図示しない)が配置されている。
【0052】
フィラメント5aを挿入する前の段階として、まず、図9(a)に示すように、支持部材7aの長手方向の軸線(図9においては一点鎖線で示す。)と、直線部3の長手方向の軸線とが、ほぼ同一直線上に並ぶよう配置する。
【0053】
次に、図9(b)に示すように、フィラメント5aを、直線部3の端部の開口部に向かって、直線部3と略平行方向に挿入する。少なくともフィラメント5aが直線部3の端部の開口部に挿入されてから所定の位置に到達するまでの間、支持部材7aの長手方向の軸線と、直線部3の長手方向の軸線とは、常にほぼ同一直線上にあるよう挿入する。
【0054】
図9(c)に示すように、フィラメント5aが所定の位置まで達したら、挿入を停止する。フィラメント5aとガラスバルブ6の相対位置を固定する。このとき、ステム8(図示しない)は直線部3の端部の開口部の内側に嵌合されている。
つづいて直線部3の端部を加熱しつつ外部から力を加え、直線部3の端部を封止するとともに支持部材7aを固定する。直線部3の端部には封止部12が形成される。
フィラメント5aは支持部材7aに固定されているため、支持部材7aを固定すれば、図9(d)に示すように、フィラメント5aの高さHaが定まる。
つづいて、ガラスバルブ6内にフィラメント5aと対を成すフィラメント5bを配設し、ガラスバルブ6に連通させて設けた排気管(図9においては省略されている)を通じて内部に放電ガスを封入することで、蛍光ランプ用発光管が得られる。
【0055】
この方法では、支持部材7aに固定されたフィラメント5aを、直線部3に対して略平行方向に挿入する。挿入の過程において、挿入の向きや角度を変更することがないため、工程が簡便である。さらに、ガラスバルブ6の内面に被着された蛍光層にフィラメント5aや支持部材7aが接触するおそれが少ない。このため、蛍光層の損傷や、フィラメント5aの破損が起きにくい。
【0056】
以上、本発明に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法について実施形態2を示しながら説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0057】
実施形態2ではフィラメント5aをガラスバルブ6に向かって移動させて挿入したが、固定されたフィラメント5a及び支持部材7に、ガラスバルブ6を近づけて挿入してもよい。
【0058】
直線部3の端部は、直線部3の端部の開口部にステム8を嵌合させ、端部を加熱しつつ外部から力を加えて封止したが、この方法に限定されない。例えば、ステム8を嵌合させた後、ステム8と開口部との空隙を封止ガラス等によって封止してもよい。また、ステム8を用いずに、直線部3の端部の開口部を加熱しつつ、外部から力を加えて封止してもよい。
ステムを使用すると、封止後の端部の形状を均一化しやすく、フィラメント5aの高さHaをより正確に制御できるため好ましい。
【0059】
実施形態2ではフィラメント5aを配設した後、フィラメント5bを配設したが、順序は特に限定されない。
【0060】
フィラメント5aと対を成すフィラメント5b(図9においては図示していない。)は、螺旋部2の端部の開口部と嵌合するステムにあらかじめ支持部材7bを固定し、ステムを開口部に嵌合させ、端部を加熱しつつ外部から力を加えて封止したが、この方法に限定されない。
ステムを嵌合させた後、ステムと嵌合部との空隙を封止ガラス等によって封止してもよい。
あるいは、螺旋部2の端部を加熱しつつ外部から圧力を加えて封止してもよい。
ステムを使用すると、封止後の端部の形状を均一化しやすく、封止後のフィラメント5bの配設位置をより正確に制御できるため、好ましい。
【0061】
実施形態2では、ガラスバルブ6に連通した排気管を設け、この排気管を通じて内部ガスを置換することにより内部に放電ガスを封入したが、封入方法は特に限定されない。
例えば、ガラスバルブ6を放電ガスによって置換されたチャンバー内に配置し、該チャンバー内で両端を封止してもよい。
【0062】
水銀アマルガム4は、ステム8に配置された状態でガラスバルブ6に挿入したが、水銀アマルガム4を配置もしくは封入する方法は、特に限定されない。ガラスバルブ6内に直接水銀アマルガム4を投入してもよい。
ステム8上に水銀アマルガム4を配置する方法によれば、水銀アマルガム4を確実に最冷点に配置することができるため、より好ましい。
【0063】
以上、本発明に係る蛍光ランプ用発光管及びその製造方法について実施形態を示して説明した。
本発明に係る蛍光ランプ用発光管は螺旋部を有しているため、長い発光管を限られた容積内に収容することができ、小型でも高い照度が得られる。このため、特に小型の安定器内蔵蛍光ランプに好適に用いることができる。
【0064】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る安定器内蔵蛍光ランプ11aについて図10を参照しながら説明する。
安定器内蔵蛍光ランプ11aは、本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管1を備え、さらに電子安定器9と、電子安定器9を内蔵する樹脂製のカバー10とを備える。蛍光ランプ用発光管1は、カバー10に固定されている。
【0065】
蛍光ランプ用発光管1は、本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管1と同じである。
【0066】
電子安定器9は、電源と、蛍光ランプ用発光管1の内部に配設されているフィラメント5a、5b(図示しない)との間に接続されており、フィラメント5a、5bに電圧を印加する役割と、ランプ電流を適正な値に制御する役割とを有する。
【0067】
カバー10は、安定器内蔵蛍光ランプ11aの電気回路部(電子安定器9を含む)を外部から絶縁する役割を有する。
また、蛍光ランプ用発光管1と電子安定器9との間を物理的に遮蔽し、放電時に蛍光ランプ用発光管1から発する熱から、電子安定器9を保護する。
さらに、カバー10は、電子安定器9及び電子安定器9と蛍光ランプ用発光管1との接続部を物理的に保護する役割をも有する。
【0068】
安定器内蔵蛍光ランプ11aが点灯される際、電子安定器9はまず、予熱電圧をフィラメント5a、5bに印加する。予熱電圧を印加されたフィラメント5a、5bは発熱し、表面に塗布されたエミッターを加熱する。
次に、電子安定器9は始動電圧をフィラメントに印加する。すると蛍光ランプ用発光管1内で放電が始まる。
放電が始まると、電子安定器9は蛍光ランプ用発光管1が安定した照度と高い発光効率を維持するよう、ランプ電流を制御する。
【0069】
電子安定器9がフィラメントに予熱電圧と始動電圧とを印加することで、蛍光ランプ用発光管1を、より迅速に点灯させることが可能となる。このため、安定器内蔵蛍光ランプ11aは、点灯直後の明るさの立ち上がりにすぐれる。
安定点灯時においては、電子安定器9がランプ電流を適正な値に制御するため、安定器内蔵蛍光ランプ11aは安定した照度と、高い発光効率とを維持することができる。
【0070】
さらに、カバー10によって電子安定器9が保護されていることで、高い電圧を印加する電子安定器9をより安全に用いることができる。
また、カバー10は蛍光ランプ用発光管1から発生する熱が電子安定器9に伝わるのを抑制するので、電子安定器9をより安定に作動させることができる。
【0071】
以上、本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプについて、実施形態3を示して説明したが、本発明の範囲は実施形態3に限定されるものではない。
【0072】
蛍光ランプ用発光管1は、直線部が螺旋部の螺旋の回転軸に沿って、かつ、螺旋部の螺旋の回転面と略直交するよう配置されているが、形状はこれに限定されない。本発明に係る蛍光ランプ用発光管であれば、いずれも好適に用いることができる。
【0073】
電子安定器9としては、インバータ式を用いたが、グロー式、ラピッド式等、周知の電子安定器のいずれであっても用いることができる。
【0074】
カバー10の材質は樹脂を使用した。通常は、耐熱性と絶縁性とにすぐれるポリブチレンテレフタレート(PBT)が使用されるが、所望の耐熱性と絶縁性、及び機械的強度を有するものであればよく、限定されない。
【0075】
なお、実施形態3においては、カバー10に、カバー10を挟んで蛍光ランプ用発光管1と対向する位置に、白熱電球用ソケットに螺合する口金を設けた。
電子安定器9と口金を備えた安定器内蔵蛍光ランプは、従来の白熱電球用照明器具に取り付けて使用することができるため、特に好ましい。
【0076】
さらに、本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプには、透光性のグローブを付加することもできる。
グローブはカバーによって固定され、蛍光ランプ用発光管を覆う。
グローブの材質としては、通常は透光性と耐熱性にすぐれるガラスが用いられるが、これらの条件を満たすものであれば樹脂でもよく、特に限定されない。
【0077】
以上、本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプについて、実施形態2を示しつつ説明した。
本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプでは、直線部の端部に設けた最冷点の温度をより低く、かつ安定させることができればさらに好ましいことは言うまでもない。
以下、本発明の安定器内蔵蛍光ランプをより好ましい形で実施するための形態について、図11及び図12を参照しながら説明する。
【0078】
(実施形態4)
図11は、本発明の実施形態3に係る安定器内蔵蛍光ランプ11bを示す。図12は、安定器内蔵蛍光ランプ11bのうち、蛍光ランプ用発光管1bの一部を切り欠いて示した図である。
【0079】
安定器内蔵蛍光ランプ11bに使用される蛍光ランプ用発光管1bは、直線部3の端部がカバー10の内部に向かって延伸され、端部から15mmがカバー10内に収容されている。カバー10の内部と蛍光ランプ用発光管1bとの間は、カバー10に設けられた直線部3を挿通するための孔と、同じくカバー10に設けられた電子安定器9と蛍光ランプ用発光管1bとの間を電気的に接続するための導線を通すための孔を除き、物理的に遮蔽されている。
【0080】
カバー10の内部と蛍光ランプ用発光管1bとの間が物理的に遮蔽されていることにより、放電時に蛍光ランプ用発光管1bから発生する熱がカバー10の内部に伝わるのを防ぐことができる。カバー10の内部に直線部3の端部を収容することで、フィラメント5a、5bや放電路において生ずる熱、特に螺旋部に配置されたフィラメント5b(図示しない)から生ずる熱の影響を防ぐことができる。このため、直線部3の端部に設けられた最冷点の温度をより低く、かつ安定させることができ、より好ましい。
【0081】
さらに、図12に示すように、安定器内蔵蛍光ランプ11bにおいては、直線部3に配設されたフィラメント5aが、カバー10の外側に位置している。
カバー10からフィラメント5aまでの高さは15mmであり、直線部3の端部からフィラメント5aまでの高さHaは、30mmである。
【0082】
フィラメント5aをカバー10の外側となる位置に配設することで、フィラメント5aから発生する熱が、直線部3の端部及びカバー10内に伝わるのを抑制することができる。
このため、直線部3の端部に設けられた最冷点の温度をより低く、かつ安定させることができる。
さらに、フィラメント5aから発生した熱がカバー10に内蔵された電子安定器9に伝わるのも抑制することができる。この結果、電子安定器9をより安定に動作させることができ、より好ましい。
【0083】
以上、本発明の安定器内蔵蛍光ランプについて、実施形態4を示しながら説明したが、これ以外の形態も可能である。
【0084】
蛍光ランプ用発光管1bのうち、カバー内に収容される部分の長さは15mmとしたが、限定されない。好ましくは2〜50mmであり、より好ましくは5〜30mmである。
2mm未満では蛍光ランプ用発光管1bから生じる熱の影響を防ぐのに十分ではない。
【0085】
直線部に配設されるフィラメント5aの位置は15mmとしたが、これに限定されない。カバーからの高さは、好ましくは1〜30mmであり、より好ましくは2〜20mmである。
1mm未満では、フィラメント5aから生じる熱がカバー内に伝わるのを十分に抑制できない。
【0086】
以上説明したように、本発明の蛍光ランプ用発光管は、螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管において、比較的低温で水銀蒸気を放出する水銀アマルガムを用いても、安定点灯時の照度の低下を防ぐことができる。この蛍光ランプ用発光管は、一端部に直線部を有し、該直線部に一方のフィラメントを配設するため、該フィラメントの挿入が容易であり、生産性にもすぐれている。
本発明に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法によれば、直線部に配設するフィラメントを、直線部に対して略平行方向に挿入する。挿入の過程において、フィラメントの向きや角度を変更することがないため、工程が簡便である。さらに、ガラスバルブの内面に被着された蛍光層にフィラメントや支持部材が接触するおそれが少ない。このため、蛍光層の損傷や、フィラメントの破損が起きにくく、前記本発明に係る蛍光ランプ用発光管が生産性よく得られる。
本発明の蛍光ランプ用発光管は、特に安定器内蔵蛍光ランプに好適である。
【符号の説明】
【0087】
1、1b 蛍光ランプ用発光管
2 螺旋部
3 直線部
4 水銀アマルガム
5a、5b フィラメント
6 ガラスバルブ
7a、7b 支持部材
8 ステム
9 電子安定器
10 カバー
11a、11b 安定器内蔵蛍光ランプ
12 封止部
L 直線部長さ
Ha 直線部3の端部から測定したフィラメント5aの高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ用発光管とその製造方法、ならびにこれを用いた安定器内蔵蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプ用発光管は、内面に蛍光層が被着されたガラスバルブの両端部にフィラメントを取り付け、該ガラスバルブの内部に水銀蒸気を含む放電ガスを封入して構成されている。
蛍光ランプは白熱灯に比べて小さな消費電力で同等以上の照度が得られるので、各種の照明器具の光源として使用されている。
しかし、蛍光ランプには白熱電球と比べて点灯直後の明るさの立ち上がりが遅いという欠点がある。これは、点灯直後は発光管の温度が低く、発光管内の水銀蒸気圧が低いためである。
【0003】
点灯直後の明るさの立ち上がりを速くするために、比較的低温で水銀蒸気を放出する水銀アマルガムを使用する方法が知られている。
しかし、水銀アマルガムを使用した場合、安定点灯時の照度が低くなるという問題がある。これは、放電によって発光管の温度が上昇したときに、発光管内の水銀蒸気圧が最適範囲よりも高くなるためである。
【0004】
この問題は、安定器内蔵蛍光ランプによく用いられる、螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管において特に顕著である。
螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管は、発光管の長さあたりの放熱面積が、直管型や円環型の発光管に比べて小さく、発生した熱が内部にこもりやすい。その結果、点灯直後の温度と安定点灯時の温度の差が直管型や円環型の発光管よりも大きくなり、水銀蒸気圧を最適範囲に保つことがより難しい。
【0005】
安定点灯時の照度の低下を避けるためには、発光管内で最も温度が低くなる部分、いわゆる最冷点の温度を低くすることが有効である。最冷点温度を低くすることによって、発光管内に放出された過剰の水銀蒸気は該最冷点において凝縮し、水銀蒸気圧が適正範囲に保たれる。
【0006】
理論上は、最冷点は発光管内のどの部分に存在してもよい。しかし、発光時にはフィラメント、及びフィラメント間に形成される放電路において熱が生じる。このため、最冷点をフィラメントや放電路から離れた位置に設けた方が、最冷点温度をより低くしやすい。
【0007】
特許文献1には、螺旋部を有する発光管の端部に、発光管と連通した突出部を設ける構成が開示されている。
この構成では、突出部が最冷点として機能する。
【0008】
特許文献2には、円環状の蛍光ランプにおいて、発光管の一端部を最冷点とする構成が開示されている。
この構成では、発光管の両端部に配設される一対のフィラメントのうち、一端部に配設されるフィラメントが、他端部に配設されるフィラメントよりも長い。このため、一端部は他端部よりもフィラメント及び放電路において生じる熱の影響を受けにくく、最冷点として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−347236号公報
【特許文献2】特開2002−329481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、突出部の構造が複雑なため発光管の成形が難しいという問題がある。
さらに安定器内蔵蛍光ランプの組み立て工程において突出部が破損しやすく、生産性の点でも問題がある。
【0011】
一方、特許文献2に開示されている構成は、円環状の発光管を対象としたものである。
螺旋部を有するガラスバルブにフィラメントを挿入する場合、ガラスバルブ及びフィラメントの方向や角度を精密に調整しなければならず、生産が難しい。
加えて、挿入の方向や角度を誤るとガラスバルブに被着された蛍光層とフィラメントが接触して、蛍光層に傷が付いたり、フィラメントが破損したりするおそれがある。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、端部に最冷点を有し、かつ生産性にもすぐれた、螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管とその製造方法、ならびにこれを用いた安定器内蔵蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る蛍光ランプ用発光管は、螺旋部を有し、かつ、少なくとも一端部に直線部を有するガラスバルブと、前記ガラスバルブ内に配設された一対のフィラメントと、前記ガラスバルブ内に水銀蒸気を放出する水銀アマルガムとを備える蛍光ランプ用発光管であって、前記一対のフィラメントのうち、少なくとも一方のフィラメントは前記直線部であって直線部の端部からの高さが20mm以上の位置に配設されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法は、前記フィラメントを直線部の端部から該直線部と略平行方向に挿入した後、該直線部の端部を封止することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプは、前記発明に係る蛍光ランプ用発光管と、電源とフィラメントとの間に電気的に接続され、該フィラメントに電圧を印加する電子安定器と、前記電子安定器を内蔵するカバーとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生産性にすぐれ、比較的低温で水銀蒸気を放出する水銀アマルガムを用いるにも関わらず、安定点灯時の照度の低下を防ぐことができる蛍光ランプ用発光管を提供できる。
本発明によれば、前記本発明に係る蛍光ランプ用発光管を生産性よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管の正面図である。
【図2】図1に示した蛍光ランプ用発光管の上面図である。
【図3】図1及び図2に示した蛍光ランプ用発光管の内部構成図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る蛍光ランプ用発光管の正面図である。
【図5】図4に示した蛍光ランプ用発光管の上面図である。
【図6】本発明の第二の他の実施形態に係る蛍光ランプ用発光管の正面図である。
【図7】図6に示した蛍光ランプ用発光管の右側面図である。
【図8】本発明の第三の他の実施形態に係る蛍光ランプ用発光管の正面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法を示す模式図である。(a)はフィラメントを挿入する前の状態であり、(b)はフィラメントを挿入する過程であり、(c)はフィラメントの挿入が完了した状態であり、(d)はガラスバルブの直線部の端部が封止された状態である。
【図10】本発明の実施形態3に係る安定器内蔵蛍光ランプの内部構成図である。
【図11】本発明の実施形態4に係る安定器内蔵蛍光ランプの内部構成図である。
【図12】図11に示した安定器内蔵蛍光ランプの一部を切り欠いて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る蛍光ランプ用発光管とその製造方法、ならびにこれを使用した安定器内蔵蛍光ランプについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施形態1)
まず本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管1について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管1の正面図である。図2は、蛍光ランプ用発光管1の上面図である。図3は蛍光ランプ用発光管1の内部構成図である。
【0020】
蛍光ランプ用発光管1は、図3に示すように、ガラスバルブ6に、フィラメント5a、5b、水銀アマルガム4を封入して構成されている。
【0021】
ガラスバルブ6は、図1及び図2に示すように、一本の円柱状のガラス管を屈曲させて形成されている。ガラス管の一端部を長さLの直線部3とし、残り部分は、直線部3を中心軸とし、かつ直線部3の端部方向へ向かう螺旋を形成するように巻かれ、螺旋部2が形成される。直線部3は、螺旋部2の螺旋の回転軸に沿って、かつ、螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するよう配置されている。
【0022】
ガラスバルブ6の内面には、蛍光層が被着されている。
さらに、ガラスバルブ6の内部には、希ガスと水銀蒸気とを含む放電ガスが封入されている。
【0023】
図3に図示するように、フィラメント5aはガラスバルブ6の直線部3の端部に配設されている。フィラメント5bはガラスバルブ6の螺旋部2の端部に配設されている。
フィラメント5a、5bはタングステンで構成されている。
水銀アマルガム4は、直線部3の端部に配置されている。
【0024】
フィラメント5aはその両端部において、二本の金属線からなる支持部材7aに支持されている。フィラメント5bも同様に支持部材7bに支持されている。
支持部材7a、7bは、フィラメント5a、5bを支持してその配設位置及び端部からの高さを規定する役割と、フィラメント5a、5bと電源とを電気的に接続する役割とを有する。
【0025】
支持部材7aは、ガラス製のステム8を貫通しており、かつステム8に固定されている。ステム8の長さは25mmである。
ステム8は二本の金属線からなる支持部材7aを絶縁して短絡を防いでいる。さらに、支持部材7aを補強し、フィラメント5aが蛍光層に接触することを防いでいる。
なお、ステム8はフィラメント5aから直線部3の端部までの空間をすべて塞ぐものではない。水銀蒸気は、水銀アマルガム4とガラスバルブ6内の他の部位との間を自由に行き来することができる。
【0026】
支持部材7aの先端は、直線部3の端部から30mmの高さに位置している。支持部材7aによって支持されたフィラメント5aの、直線部3の端部からの高さHaは30mmである。
支持部材7bの先端は、螺旋部2の端部から15mmの高さに位置している。支持部材7bによって支持されたフィラメント5bの、螺旋部2の端部からの高さは15mmである。
【0027】
フィラメント5a、5bには、熱せられると電子を放出するエミッターが塗布されている。
【0028】
電源から支持部材7a、7bを通じてフィラメント5a、5bに電圧が印加されると、フィラメント5a、5bは発熱する。この結果、フィラメント5a、5bに塗布されたエミッターから電子が放出され、フィラメント5aとフィラメント5bとの間に放電路が形成される。
【0029】
電子は、放電路を移動中に、放電ガス中に含まれる水銀原子に衝突する。電子に衝突された水銀原子は紫外線を放出する。
紫外線はガラスバルブ6の内面に被着されている蛍光層に当たり、蛍光層に可視光線を発生させる。この結果、蛍光ランプ用発光管1は照明装置としての機能を発揮する。
【0030】
蛍光ランプ用発光管1で放電が起きると、熱が発生する。
しかし、直線部3の端部は、放電路の外側に位置し、かつフィラメント5aから30mm離れているため、フィラメント5a及び放電路において発生する熱の影響を受けにくい。この結果、直線部3の端部が最冷点として機能する。
【0031】
蛍光ランプ用発光管1内に存在する過剰の水銀蒸気は最冷点において凝縮するか、最冷点に配置された水銀アマルガム4に吸収される。この結果、安定点灯時における蛍光ランプ用発光管1内の水銀蒸気圧は最適範囲に保たれ、照度の低下を防ぐことができる。
【0032】
蛍光ランプ用発光管1は螺旋部2を有するため、限られた容積内により長い発光管を収容することができ、小型でも高い照度が得られる。
【0033】
フィラメント5aは直線部3に配設されているため、フィラメント5aをガラスバルブ6に挿入する前に支持部材7aを曲げたり、挿入する際に支持部材7a又はガラスバルブ6の向きや角度を精密に調整したりする必要がない。また、挿入する際にガラスバルブ6の内面に被着された蛍光層を傷つけるおそれも少ない。このため、蛍光ランプ用発光管1は生産性にすぐれている。
【0034】
以上、本発明に係る蛍光ランプ用発光管について、実施形態1を示しながら説明したが、本発明の範囲は実施形態1に限定されるものではない。
【0035】
ガラスバルブ6は、1本の円柱状のガラス管を屈曲させて形成されたものを用いたが、螺旋形状のガラス管と、直線状のガラス管とが接合されて形成されたものでもよい。
【0036】
ガラスバルブ6は、一端部に直線部3を有し、他端部に螺旋部2を有するものを使用したが、他端部にも直線部を有するものであってもよい。ただし、他端部に螺旋部2を有する形態の方が、限られた容積内により長い発光管を収容でき、照度を高くできるためより好ましい。
【0037】
螺旋部2の長さがガラスバルブ6全体の長さに占める割合は、大きいほど、限られた容積内で発光管を長くでき、照度が高くなるため有利である。
上記割合は50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
【0038】
ガラスバルブ6の直線部3は螺旋部2の螺旋の回転軸に沿って、かつ螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するよう配置したが、これに限定されない。
【0039】
例えば、図4及び図5に示すように、直線部3が螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するよう配置されている場合において、螺旋部2の螺旋が描く円の円周上の一点と、該円の中心とを結ぶ線を略二分する点を通るように直線部3が配置されていてもよい。
あるいは、直線部3が螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するように配置されている場合において、直線部3が螺旋部2の螺旋が描く円の外側を通るように配置されていてもよい。
【0040】
さらには、直線部3が螺旋部2の螺旋の回転面と略平行に配置されていてもよい。
このとき、例えば図6及び図7に示すように、直線部3は螺旋部2の螺旋の回転軸と直交する線と平行に配置されていてもよい。
あるいは図8に示すように、直線部3の端部が螺旋部2の端部に近接するよう配置されていてもよい。
ただし、ガラスバルブ6の直線部3は螺旋部2の螺旋の回転軸に沿って、かつ螺旋部2の螺旋の回転面と略直交するよう配置されている形態が、発光管長さあたりの容積を小さくでき、より好ましい。
【0041】
水銀アマルガム4は、最冷点となる直線部3の端部に配置したが、これに限定されない。
螺旋部2の端部に配置してもよいし、蛍光ランプ用発光管1の内部に位置を限定することなく投入してもよい。
その他、必要に応じて、蛍光ランプ用発光管1の内部に、点灯直後や安定点灯時の水銀蒸気圧を最適化するための純水銀や補助アマルガムを配置もしくは投入することもできる。
【0042】
フィラメント5a、5bの材質としてはタングステンを用いたが、所望の耐熱性、電気伝導性を備えるものであれば特に限定されない。
【0043】
フィラメント5aの高さHaを30mmとしたが、フィラメント5aの高さHaは20mm以上であればよい。
フィラメント5aの高さHaは、好ましくは30mm以上であり、特に好ましくは50mm超である。
フィラメント5aの高さHaが20mm未満だと、フィラメント5aから生じる熱が直線部3の端部に伝わるのを十分に抑制できず、直線部3の端部に最冷点が形成されにくくなる。この場合、安定点灯時の照度の低下を防ぐことが難しくなる。
【0044】
フィラメント5aの高さHaが大きいほど最冷点となる直線部3の端部の温度を低く保つことができるが、大きくするとその分放電路が短くなり、発光管の有効発光長さが減ずる。このため、フィラメント5aの高さHaは直線部Lの長さの70%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
【0045】
フィラメント5bは、螺旋部2の端部に配設したが、配設位置は限定されない。
【0046】
フィラメント5bの、螺旋部2の端部からの高さを15mmとしたが、これに限定されない。
フィラメント5bの高さは、通常は5〜30mmであり、好ましくは8〜25mmであり、より好ましくは10〜20mmである。30mmを超えると、挿入の際に蛍光層を傷つけたり、フィラメント5b又は支持部材7bが破損したりするおそれがある。
【0047】
直線部3の端部はステム8を挿入した後、直線部3の端部を加熱し、外部から力を加えることによって封止したが、ステム8を挿入した後、封止ガラスによって封止してもよい。
【0048】
ステム8の材質にはガラスを用いたが、絶縁性及び耐熱性を有するものであれば特に限定されない。また、ステムの形状も、ステム8のようにフレア型のステムに限定されない。たとえば平たい円盤状のステムも用いることができる。
【0049】
ステム8の長さを25mmとしたが、フィラメント5aの高さHa未満であればよく、限定されない。
ただし、支持部材7aを長くするほどフィラメント5aは不安定になるため、ステム8はフィラメント5aの高さHaに対して1/2以上の長さを有することが好ましい。
フィラメント5aの高さHaに対して2/3以上であればより好ましく、3/4以上であれば特に好ましい。
【0050】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法について図9を参照しながら説明する。
ガラスバルブ6は、先に述べた通り、螺旋部2を有し、一端部に長さLの直線部3を有している(図9においては、理解を容易にするため螺旋部2は省略している)。ガラスバルブ6の内面には蛍光層が被着されている。
【0051】
フィラメント5aにはエミッターが塗布され、その両端部において支持部材7aに支持されている。なお、理解を容易にするために図9には図示していないが、支持部材7aはステム8(図示しない)に固定されている。ステム8には、水銀アマルガム4(図示しない)が配置されている。
【0052】
フィラメント5aを挿入する前の段階として、まず、図9(a)に示すように、支持部材7aの長手方向の軸線(図9においては一点鎖線で示す。)と、直線部3の長手方向の軸線とが、ほぼ同一直線上に並ぶよう配置する。
【0053】
次に、図9(b)に示すように、フィラメント5aを、直線部3の端部の開口部に向かって、直線部3と略平行方向に挿入する。少なくともフィラメント5aが直線部3の端部の開口部に挿入されてから所定の位置に到達するまでの間、支持部材7aの長手方向の軸線と、直線部3の長手方向の軸線とは、常にほぼ同一直線上にあるよう挿入する。
【0054】
図9(c)に示すように、フィラメント5aが所定の位置まで達したら、挿入を停止する。フィラメント5aとガラスバルブ6の相対位置を固定する。このとき、ステム8(図示しない)は直線部3の端部の開口部の内側に嵌合されている。
つづいて直線部3の端部を加熱しつつ外部から力を加え、直線部3の端部を封止するとともに支持部材7aを固定する。直線部3の端部には封止部12が形成される。
フィラメント5aは支持部材7aに固定されているため、支持部材7aを固定すれば、図9(d)に示すように、フィラメント5aの高さHaが定まる。
つづいて、ガラスバルブ6内にフィラメント5aと対を成すフィラメント5bを配設し、ガラスバルブ6に連通させて設けた排気管(図9においては省略されている)を通じて内部に放電ガスを封入することで、蛍光ランプ用発光管が得られる。
【0055】
この方法では、支持部材7aに固定されたフィラメント5aを、直線部3に対して略平行方向に挿入する。挿入の過程において、挿入の向きや角度を変更することがないため、工程が簡便である。さらに、ガラスバルブ6の内面に被着された蛍光層にフィラメント5aや支持部材7aが接触するおそれが少ない。このため、蛍光層の損傷や、フィラメント5aの破損が起きにくい。
【0056】
以上、本発明に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法について実施形態2を示しながら説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0057】
実施形態2ではフィラメント5aをガラスバルブ6に向かって移動させて挿入したが、固定されたフィラメント5a及び支持部材7に、ガラスバルブ6を近づけて挿入してもよい。
【0058】
直線部3の端部は、直線部3の端部の開口部にステム8を嵌合させ、端部を加熱しつつ外部から力を加えて封止したが、この方法に限定されない。例えば、ステム8を嵌合させた後、ステム8と開口部との空隙を封止ガラス等によって封止してもよい。また、ステム8を用いずに、直線部3の端部の開口部を加熱しつつ、外部から力を加えて封止してもよい。
ステムを使用すると、封止後の端部の形状を均一化しやすく、フィラメント5aの高さHaをより正確に制御できるため好ましい。
【0059】
実施形態2ではフィラメント5aを配設した後、フィラメント5bを配設したが、順序は特に限定されない。
【0060】
フィラメント5aと対を成すフィラメント5b(図9においては図示していない。)は、螺旋部2の端部の開口部と嵌合するステムにあらかじめ支持部材7bを固定し、ステムを開口部に嵌合させ、端部を加熱しつつ外部から力を加えて封止したが、この方法に限定されない。
ステムを嵌合させた後、ステムと嵌合部との空隙を封止ガラス等によって封止してもよい。
あるいは、螺旋部2の端部を加熱しつつ外部から圧力を加えて封止してもよい。
ステムを使用すると、封止後の端部の形状を均一化しやすく、封止後のフィラメント5bの配設位置をより正確に制御できるため、好ましい。
【0061】
実施形態2では、ガラスバルブ6に連通した排気管を設け、この排気管を通じて内部ガスを置換することにより内部に放電ガスを封入したが、封入方法は特に限定されない。
例えば、ガラスバルブ6を放電ガスによって置換されたチャンバー内に配置し、該チャンバー内で両端を封止してもよい。
【0062】
水銀アマルガム4は、ステム8に配置された状態でガラスバルブ6に挿入したが、水銀アマルガム4を配置もしくは封入する方法は、特に限定されない。ガラスバルブ6内に直接水銀アマルガム4を投入してもよい。
ステム8上に水銀アマルガム4を配置する方法によれば、水銀アマルガム4を確実に最冷点に配置することができるため、より好ましい。
【0063】
以上、本発明に係る蛍光ランプ用発光管及びその製造方法について実施形態を示して説明した。
本発明に係る蛍光ランプ用発光管は螺旋部を有しているため、長い発光管を限られた容積内に収容することができ、小型でも高い照度が得られる。このため、特に小型の安定器内蔵蛍光ランプに好適に用いることができる。
【0064】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る安定器内蔵蛍光ランプ11aについて図10を参照しながら説明する。
安定器内蔵蛍光ランプ11aは、本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管1を備え、さらに電子安定器9と、電子安定器9を内蔵する樹脂製のカバー10とを備える。蛍光ランプ用発光管1は、カバー10に固定されている。
【0065】
蛍光ランプ用発光管1は、本発明の実施形態1に係る蛍光ランプ用発光管1と同じである。
【0066】
電子安定器9は、電源と、蛍光ランプ用発光管1の内部に配設されているフィラメント5a、5b(図示しない)との間に接続されており、フィラメント5a、5bに電圧を印加する役割と、ランプ電流を適正な値に制御する役割とを有する。
【0067】
カバー10は、安定器内蔵蛍光ランプ11aの電気回路部(電子安定器9を含む)を外部から絶縁する役割を有する。
また、蛍光ランプ用発光管1と電子安定器9との間を物理的に遮蔽し、放電時に蛍光ランプ用発光管1から発する熱から、電子安定器9を保護する。
さらに、カバー10は、電子安定器9及び電子安定器9と蛍光ランプ用発光管1との接続部を物理的に保護する役割をも有する。
【0068】
安定器内蔵蛍光ランプ11aが点灯される際、電子安定器9はまず、予熱電圧をフィラメント5a、5bに印加する。予熱電圧を印加されたフィラメント5a、5bは発熱し、表面に塗布されたエミッターを加熱する。
次に、電子安定器9は始動電圧をフィラメントに印加する。すると蛍光ランプ用発光管1内で放電が始まる。
放電が始まると、電子安定器9は蛍光ランプ用発光管1が安定した照度と高い発光効率を維持するよう、ランプ電流を制御する。
【0069】
電子安定器9がフィラメントに予熱電圧と始動電圧とを印加することで、蛍光ランプ用発光管1を、より迅速に点灯させることが可能となる。このため、安定器内蔵蛍光ランプ11aは、点灯直後の明るさの立ち上がりにすぐれる。
安定点灯時においては、電子安定器9がランプ電流を適正な値に制御するため、安定器内蔵蛍光ランプ11aは安定した照度と、高い発光効率とを維持することができる。
【0070】
さらに、カバー10によって電子安定器9が保護されていることで、高い電圧を印加する電子安定器9をより安全に用いることができる。
また、カバー10は蛍光ランプ用発光管1から発生する熱が電子安定器9に伝わるのを抑制するので、電子安定器9をより安定に作動させることができる。
【0071】
以上、本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプについて、実施形態3を示して説明したが、本発明の範囲は実施形態3に限定されるものではない。
【0072】
蛍光ランプ用発光管1は、直線部が螺旋部の螺旋の回転軸に沿って、かつ、螺旋部の螺旋の回転面と略直交するよう配置されているが、形状はこれに限定されない。本発明に係る蛍光ランプ用発光管であれば、いずれも好適に用いることができる。
【0073】
電子安定器9としては、インバータ式を用いたが、グロー式、ラピッド式等、周知の電子安定器のいずれであっても用いることができる。
【0074】
カバー10の材質は樹脂を使用した。通常は、耐熱性と絶縁性とにすぐれるポリブチレンテレフタレート(PBT)が使用されるが、所望の耐熱性と絶縁性、及び機械的強度を有するものであればよく、限定されない。
【0075】
なお、実施形態3においては、カバー10に、カバー10を挟んで蛍光ランプ用発光管1と対向する位置に、白熱電球用ソケットに螺合する口金を設けた。
電子安定器9と口金を備えた安定器内蔵蛍光ランプは、従来の白熱電球用照明器具に取り付けて使用することができるため、特に好ましい。
【0076】
さらに、本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプには、透光性のグローブを付加することもできる。
グローブはカバーによって固定され、蛍光ランプ用発光管を覆う。
グローブの材質としては、通常は透光性と耐熱性にすぐれるガラスが用いられるが、これらの条件を満たすものであれば樹脂でもよく、特に限定されない。
【0077】
以上、本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプについて、実施形態2を示しつつ説明した。
本発明に係る安定器内蔵蛍光ランプでは、直線部の端部に設けた最冷点の温度をより低く、かつ安定させることができればさらに好ましいことは言うまでもない。
以下、本発明の安定器内蔵蛍光ランプをより好ましい形で実施するための形態について、図11及び図12を参照しながら説明する。
【0078】
(実施形態4)
図11は、本発明の実施形態3に係る安定器内蔵蛍光ランプ11bを示す。図12は、安定器内蔵蛍光ランプ11bのうち、蛍光ランプ用発光管1bの一部を切り欠いて示した図である。
【0079】
安定器内蔵蛍光ランプ11bに使用される蛍光ランプ用発光管1bは、直線部3の端部がカバー10の内部に向かって延伸され、端部から15mmがカバー10内に収容されている。カバー10の内部と蛍光ランプ用発光管1bとの間は、カバー10に設けられた直線部3を挿通するための孔と、同じくカバー10に設けられた電子安定器9と蛍光ランプ用発光管1bとの間を電気的に接続するための導線を通すための孔を除き、物理的に遮蔽されている。
【0080】
カバー10の内部と蛍光ランプ用発光管1bとの間が物理的に遮蔽されていることにより、放電時に蛍光ランプ用発光管1bから発生する熱がカバー10の内部に伝わるのを防ぐことができる。カバー10の内部に直線部3の端部を収容することで、フィラメント5a、5bや放電路において生ずる熱、特に螺旋部に配置されたフィラメント5b(図示しない)から生ずる熱の影響を防ぐことができる。このため、直線部3の端部に設けられた最冷点の温度をより低く、かつ安定させることができ、より好ましい。
【0081】
さらに、図12に示すように、安定器内蔵蛍光ランプ11bにおいては、直線部3に配設されたフィラメント5aが、カバー10の外側に位置している。
カバー10からフィラメント5aまでの高さは15mmであり、直線部3の端部からフィラメント5aまでの高さHaは、30mmである。
【0082】
フィラメント5aをカバー10の外側となる位置に配設することで、フィラメント5aから発生する熱が、直線部3の端部及びカバー10内に伝わるのを抑制することができる。
このため、直線部3の端部に設けられた最冷点の温度をより低く、かつ安定させることができる。
さらに、フィラメント5aから発生した熱がカバー10に内蔵された電子安定器9に伝わるのも抑制することができる。この結果、電子安定器9をより安定に動作させることができ、より好ましい。
【0083】
以上、本発明の安定器内蔵蛍光ランプについて、実施形態4を示しながら説明したが、これ以外の形態も可能である。
【0084】
蛍光ランプ用発光管1bのうち、カバー内に収容される部分の長さは15mmとしたが、限定されない。好ましくは2〜50mmであり、より好ましくは5〜30mmである。
2mm未満では蛍光ランプ用発光管1bから生じる熱の影響を防ぐのに十分ではない。
【0085】
直線部に配設されるフィラメント5aの位置は15mmとしたが、これに限定されない。カバーからの高さは、好ましくは1〜30mmであり、より好ましくは2〜20mmである。
1mm未満では、フィラメント5aから生じる熱がカバー内に伝わるのを十分に抑制できない。
【0086】
以上説明したように、本発明の蛍光ランプ用発光管は、螺旋部を有する蛍光ランプ用発光管において、比較的低温で水銀蒸気を放出する水銀アマルガムを用いても、安定点灯時の照度の低下を防ぐことができる。この蛍光ランプ用発光管は、一端部に直線部を有し、該直線部に一方のフィラメントを配設するため、該フィラメントの挿入が容易であり、生産性にもすぐれている。
本発明に係る蛍光ランプ用発光管の製造方法によれば、直線部に配設するフィラメントを、直線部に対して略平行方向に挿入する。挿入の過程において、フィラメントの向きや角度を変更することがないため、工程が簡便である。さらに、ガラスバルブの内面に被着された蛍光層にフィラメントや支持部材が接触するおそれが少ない。このため、蛍光層の損傷や、フィラメントの破損が起きにくく、前記本発明に係る蛍光ランプ用発光管が生産性よく得られる。
本発明の蛍光ランプ用発光管は、特に安定器内蔵蛍光ランプに好適である。
【符号の説明】
【0087】
1、1b 蛍光ランプ用発光管
2 螺旋部
3 直線部
4 水銀アマルガム
5a、5b フィラメント
6 ガラスバルブ
7a、7b 支持部材
8 ステム
9 電子安定器
10 カバー
11a、11b 安定器内蔵蛍光ランプ
12 封止部
L 直線部長さ
Ha 直線部3の端部から測定したフィラメント5aの高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋部を有し、かつ、少なくとも一端部に直線部を有するガラスバルブと、
前記ガラスバルブ内に配設された一対のフィラメントと、
前記ガラスバルブ内に水銀蒸気を放出する水銀アマルガムと、
を備える蛍光ランプ用発光管であって、
前記一対のフィラメントのうち、少なくとも一方のフィラメントは前記直線部内であって直線部の端部からの高さが20mm以上の位置に配設されている、
ことを特徴とする、蛍光ランプ用発光管。
【請求項2】
前記直線部が、前記螺旋部の螺旋の回転軸に沿って配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光ランプ用発光管。
【請求項3】
前記直線部が、前記螺旋部の螺旋の回転面と略直交するように配置されている、
ことを特徴とする、請求項2に記載の蛍光ランプ用発光管。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光ランプ用発光管の製造方法であって、
前記フィラメントを前記直線部の端部から該直線部と略平行方向に挿入した後、
該直線部の端部を封止する、
ことを特徴とする、蛍光ランプ用発光管の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光ランプ用発光管と、
電源と前記フィラメントとの間に電気的に接続され、該フィラメントに電圧を印加する電子安定器と、
前記電子安定器を内蔵するカバーと、
を備えることを特徴とする、安定器内蔵蛍光ランプ。
【請求項6】
請求項5に記載の安定器内蔵蛍光ランプであって、
前記直線部の少なくとも一部が、前記カバー内に収容されている、
ことを特徴とする、安定器内蔵蛍光ランプ。
【請求項7】
前記直線部に配設されている前記一方のフィラメントは、前記蛍光ランプ用発光管が前記カバーに固定されたときに、前記カバーの外側に位置する位置に配設されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載の安定器内蔵蛍光ランプ。
【請求項1】
螺旋部を有し、かつ、少なくとも一端部に直線部を有するガラスバルブと、
前記ガラスバルブ内に配設された一対のフィラメントと、
前記ガラスバルブ内に水銀蒸気を放出する水銀アマルガムと、
を備える蛍光ランプ用発光管であって、
前記一対のフィラメントのうち、少なくとも一方のフィラメントは前記直線部内であって直線部の端部からの高さが20mm以上の位置に配設されている、
ことを特徴とする、蛍光ランプ用発光管。
【請求項2】
前記直線部が、前記螺旋部の螺旋の回転軸に沿って配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光ランプ用発光管。
【請求項3】
前記直線部が、前記螺旋部の螺旋の回転面と略直交するように配置されている、
ことを特徴とする、請求項2に記載の蛍光ランプ用発光管。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光ランプ用発光管の製造方法であって、
前記フィラメントを前記直線部の端部から該直線部と略平行方向に挿入した後、
該直線部の端部を封止する、
ことを特徴とする、蛍光ランプ用発光管の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光ランプ用発光管と、
電源と前記フィラメントとの間に電気的に接続され、該フィラメントに電圧を印加する電子安定器と、
前記電子安定器を内蔵するカバーと、
を備えることを特徴とする、安定器内蔵蛍光ランプ。
【請求項6】
請求項5に記載の安定器内蔵蛍光ランプであって、
前記直線部の少なくとも一部が、前記カバー内に収容されている、
ことを特徴とする、安定器内蔵蛍光ランプ。
【請求項7】
前記直線部に配設されている前記一方のフィラメントは、前記蛍光ランプ用発光管が前記カバーに固定されたときに、前記カバーの外側に位置する位置に配設されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載の安定器内蔵蛍光ランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−232024(P2010−232024A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78537(P2009−78537)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]