説明

蛍光ランプ

【課題】画像処理によって、口金に取り付けられたピンの不良を検出する場合の画像認識性向上を図り、ピンの検査の精度、効率を高める。
【解決手段】この発明に係る片口金形蛍光ランプ100は、突出部分の周囲にピン112が取り付けられた口金110の画像を画像処理して口金110に対するピン112の取り付け不良を検出する場合の画像認識性向上のための口金組成物として黒色と暗色とのいずれかの着色剤を使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蛍光ランプの口金に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプは、その形によって、口金本体へピンを圧入する口金を有する。このような蛍光ランプの一例として、片口金形蛍光ランプがある。上記片口金形蛍光ランプは、上記圧入したピンへリード線を挿入して、電源と蛍光ランプとを電気的に接続する。
【0003】
上記ピンは、製品製造工程において、最終的に目視チェックを実施して、ピンが口金本体へ正確に圧入されているか、あるいは、ピンに挿入されたリード線がピンから露出していないか、等の検査を実施する。検査にあたっては、ピンへ光を照射してピンの輪郭を目視チェックすることによって実施する。あるいは、ピンの状態をセンサーによって検知し、ピンの画像を撮影する画像処理によって不良品を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−97839号公報
【特許文献2】特開平08−273602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ピンの検査にあたっては、ピンへ光を照射するため、ピンに光が反射し、チェックがしにくいことが多い。そこで、ピンの背景として、黒色、あるいは、暗色の背景を設置して、光の反射を防止することができる。この場合、黒色、あるいは、暗色の背景を設置した場所へ、蛍光ランプを配置し、蛍光ランプへ光を照射することによって、蛍光ランプの外側の輪郭を明確にする手法がとられていた。
【0006】
しかしながら、片口金形蛍光ランプは、突出部の周囲にピンが配置されているため、ピンの背景に突出部が存在している。また、突出部は、通常、口金本体の色と同じ白色である。従って、片口金形蛍光ランプにおいて、ピンと突出部との間に、黒色、あるいは、暗色の背景を設置するには、検査する場合に、突出部とピントの間に、黒色、あるいは、暗色の背景を設置する必要が生じる。このため、製品製造工程におけるピンの検査では、作業量が多くなるという課題があった。
【0007】
一方、白色の突出部を背景としてピンの検査を実施した場合には、光が反射して、ピンの輪郭がはっきりせず、検査の誤差が発生しやすい環境となっていた。
【0008】
この発明では、ピンの検査の精度を向上させることを目的の一つとする。
【0009】
また、ピンの検査の効率を向上させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る蛍光ランプは、突出部分の周囲にピンが取り付けられた口金の画像を画像処理して口金に対するピンの取り付け不良を検出する場合の画像認識性向上のための口金組成物として黒色と暗色とのいずれかの着色剤を使用することを特徴とする。
【0011】
この発明に係る蛍光ランプは、突出部分の周囲にピンが取り付けられた口金の画像を画像処理して口金に対するピンの取り付け不良を検出する場合の画像認識性向上のための、黒色と暗色とのいずれかに着色した突出部分を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る蛍光ランプは、突出部分の周囲にピンが取り付けられた口金の画像を画像処理して口金に対するピンの取り付け不良を検出する場合の画像認識性向上のための口金組成物として黒色と暗色とのいずれかの着色剤を使用することにより、検査を容易にし、検査の精度を向上させることが可能となる。
【0013】
この発明に係る蛍光ランプは、突出部分の周囲にピンが取り付けられた口金の画像を画像処理して口金に対するピンの取り付け不良を検出する場合の画像認識性向上のための、黒色と暗色とのいずれかに着色した突出部分を使用することにより、検査を容易にし、検査の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態において説明する蛍光ランプの一例を示した図である。
【図2】図1で示した片口金形蛍光ランプを、構成する部品に分離して示した図である。
【図3】口金110の詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
実施の形態1では、蛍光ランプの一例として片口金形蛍光ランプ100を一例として用いて説明する。
【0016】
図1は、片口金形蛍光ランプ100の一例の斜視図を示した図である。
【0017】
図2は、図1で示した片口金形蛍光ランプ100を、構成する部品に分離して示した図である。
【0018】
図1及び図2において、片口金形蛍光ランプ100は、口金110と、カバー部120と、発光管130とを有する。
【0019】
次に、構成要素について説明する。
【0020】
口金110は、受金(器具、ソケットを有する照明器具)へ挿入する部分と、カバー部120とかん合する部分とを有する。また、口金110は、熱可塑性樹脂からなる口金本体111と、四つの金属製のピン112とを含む。口金本体111は、四つの穴113が形成され、形成された四つの穴113それぞれにピン112が圧入されている。この実施の形態では、ピン112を四つ有する口金110の一例を示しているが四つに限られるわけではない。
【0021】
実施の形態1では、口金本体111は、黒色または暗色である場合(白色ではない場合)を一例として説明する。このため、図1,図2では、口金本体111へ斜線を付して、着色されていることを明示している。
【0022】
カバー部120は、熱可塑性樹脂からなり、口金110と発光管130とを接合する。カバー部120は、発光管130を設置する穴を有する。また、カバー部120は、口金110とかん合する。
【0023】
発光管130は、点灯する部分であり、カバー部120へ設置される。発光管130は、リード線(図示していない)によって電気的に接続される。
【0024】
熱可塑性樹脂としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート),PET(ポリエチレンテレフタレート)等がある。
【0025】
図3は、口金の詳細な図である。図3(A)、(B)は、口金本体111の側面図を示している。図3(A)は、各部位の長さを説明する図であり、口金本体111へ斜線を付すことを省略している。図3(B)は、口金本体111を黒色、あるいは、暗色とした場合の効果を示すイメージ図である。
【0026】
さらに、口金本体111は、ソケットへ挿入する方向へ突出する突出部を形成している。突出部は、図3(A)において、口金本体111のうち、少なくとも、Hcで示す高さの範囲の部分であって、口金本体111からソケット挿入方向へ突出した部分が突出部に相当する。ピン112の高さHpと突出部の高さHcとは、Hp<Hcの関係にある。また、ピン112の外径Dpと突出部の幅Wcとは、Dp<Wcの関係にある。
【0027】
また、図3では、ピン112は、一つの側面に二つずつ配置されている例を示しているが、二つのピン112は、いずれも突出部の内側に配置される。具体的には、突出部によって形成されるHc×Wcの四角形部分の内側に配置される。上記四角形部分は、ピン112の検査の場合に、ピンの背景部分となる。背景部分が黒色、あるいは、暗色であることにより、ピン112へ光を照射した場合の反射を抑制する。このため、ピン112の輪郭を明瞭にすることが可能となる。特に、ピン112が金属製である場合、金属光沢(金属色)が光に反射して検査しにくくなる。このような場合、背景部分が白色等の光を反射する色彩(反射率の高い色彩)である場合に比べ、背景部分が黒色、あるいは、暗色であることによって、検査を容易にし、検査の精度を向上させることが可能となる。また、背景部分の一例として四角形の形状を示したが、四角形に限られることはなく、多角形あるいは、楕円形、その他の形状であってもよい。また、背景部分は、平面に限られることはなく、立体の一部分であってもよい。例えば、図3の突出部において、二つの平面部分が接合する角の部分が背景部分となってもよい。あるいは、突出部が円柱等である場合は、曲面が背景部分となりうる。
【0028】
蛍光ランプの製品製造工程(蛍光ランプ製造ライン)の最終検査では、ピン112の状態をセンサーにより検知し、画像処理により、ピン112の不良(圧入不良、リード線突出等の不良)検出する。画像処理する場合に、突出部が着色され、ピン112の背景となることによって、画像認識性を向上させることができる。このため、ピン112の不良検出の精度を向上させることが可能になる。
【0029】
片口金形蛍光ランプ100は、JIS規格では、G24,GX24が一例として挙げられる。蛍光ランプが、四本のピンが二本ずつ平行して設置され、二本のピンと二本のピンとの間に突起部(突起物)を有する場合に、突起部によって形成される四角形部分を有効利用することが可能となる。
【0030】
さらに、図1に示すように、口金本体111を黒色、あるいは、暗色にしても、蛍光ランプをソケットに装着した場合には、ソケットと蛍光ランプのカバー部120とに、口金本体111は、覆われる。このため、蛍光ランプの外観は、白色となり、利用者には口金本体111の色彩(黒色、あるいは、暗色)は見えなくなる。このことは、蛍光ランプとしては、白色が好まれ、黒色,あるいは、暗色が好まれない現状においては、消費者の好みにも合致することになる。
【0031】
また、黒色、あるいは、暗色は、光を反射しない色彩が含まれる。暗色は、光を反射する反射率が白色の場合よりも小さい暗色を含む。図1〜図3では、口金本体111が黒色、あるいは、暗色である場合を示しているが、突出部の部分のみ黒色、あるいは、暗色であってもよい。ピン112の検査において、背景部分が黒色、あるいは、暗色であればよい。
【0032】
実施の形態2.
また、図1〜図3では、片口金形蛍光ランプ100を一例として示したが、これに限られるわけではない。ピン112が口金本体へ圧入され、かつ、突出部がピン112の検査において背景となる部分へ配置されている場合には、適用することが可能となる。
【0033】
また、図2に示した位置からピンを検査する場合には、口金の背景に黒色、あるいは、暗色の背景を設置することによって、ピン112の検査が可能となることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
100 片口金形蛍光ランプ、110 口金、111 口金本体、112 ピン、113 穴、120 カバー部、130 発光管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出部分の周囲にピンが取り付けられた口金の画像を画像処理して口金に対するピンの取り付け不良を検出する場合の画像認識性向上のための口金組成物として黒色と暗色とのいずれかの着色剤を使用することを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
突出部分の周囲にピンが取り付けられた口金の画像を画像処理して口金に対するピンの取り付け不良を検出する場合の画像認識性向上のための、黒色と暗色とのいずれかに着色した突出部分を使用することを特徴とする蛍光ランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−97955(P2010−97955A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20431(P2010−20431)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【分割の表示】特願2003−310868(P2003−310868)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(591015625)オスラム・メルコ株式会社 (123)
【Fターム(参考)】