蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置
【課題】一部の蛍光灯を任意に消灯させ、製造コストを低減し、蛍光灯への取り付けが簡単であり、優れた信頼性及び視認性を有する蛍光灯用消灯具及びこれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】蛍光灯2に用いられる消灯具1であって、挿通孔13が、第1の面領域11において、端子ピン22と重なる位置に開設され、基板部10を厚み方向Tに貫通している。筒状部16は、電気絶縁材料で構成され、中空部17を有し、挿通孔13の開口端15に立設されている。中空部17は、挿通孔13を通じて外部に繋がっている。照明装置を構成する装置本体部3は、蛍光灯2に電力を供給するためのソケット30を有しており、蛍光灯2は、取付端面21に端子ピン22が立設されている。消灯具1は、端子ピン22に分離可能に取り付けられている。端子ピン22は、筒状部16に覆われた状態でソケット30に取り付けられている。
【解決手段】蛍光灯2に用いられる消灯具1であって、挿通孔13が、第1の面領域11において、端子ピン22と重なる位置に開設され、基板部10を厚み方向Tに貫通している。筒状部16は、電気絶縁材料で構成され、中空部17を有し、挿通孔13の開口端15に立設されている。中空部17は、挿通孔13を通じて外部に繋がっている。照明装置を構成する装置本体部3は、蛍光灯2に電力を供給するためのソケット30を有しており、蛍光灯2は、取付端面21に端子ピン22が立設されている。消灯具1は、端子ピン22に分離可能に取り付けられている。端子ピン22は、筒状部16に覆われた状態でソケット30に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯用消灯具、及び、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般住宅や商業施設、工業施設は、複数の蛍光灯を有する照明装置が天井などに配置され、この複数灯式照明装置によって屋内の照明がなされている。蛍光灯のそれぞれは、ガラス管に備えられている電極部の端子ピンを、特許文献1で開示されているのようなソケットに差し込みし、前記ソケットの内部の給電電極と接触させることにより、点灯が可能となる。
【0003】
ところで、この種の複数灯式照明装置には、昼間など全ての蛍光灯を点灯させる必要がない場合、節電の観点から、一部の蛍光灯を消灯させたいという市場の要請がある。特に、既設の複数灯式照明装置に対して、特許文献2に記載されているような反射板を後付けした場合、前記反射板によって照明効果が向上されるから、一部の蛍光灯を消灯させて節電をはかりつつ、取り付け前と同等の明るさを維持することができる。
【0004】
これに対し、通常、この種の複数灯式照明装置は、壁面などに取り付けられたスイッチボタンを操作して、その全灯を一括して点灯及び消灯させる電気回路となっており、一部の蛍光灯のみを任意に消灯させることはできないという問題が生じる。
【0005】
もっとも、消灯させたい蛍光灯をソケットから取り外してしまえば、所期の目的を達成することは可能ではあるが、その場合、取り外した蛍光灯の保管場所が別途必要になる。しかも、本来そこにあるべき蛍光灯が取り外されてしまうことにより、見た目も悪くなるという新たな問題が生じる。
【0006】
上述した問題を解決しようとする従来技術として、例えば、特許文献3乃至5が知られている。特許文献3に係る発明は、複数灯式照明装置の電気回路に、予め点灯制御回路を組み込むことにより、壁面などに取り付けられたスイッチボタンを操作して、一部の蛍光灯を点灯及び消灯させるものである。
【0007】
他方、特許文献4、5は、蛍光灯の端子ピンと、ソケット内部の給電電極との間に取り付けられ、前記蛍光灯を点灯及び消灯させるために用いられるスイッチ器具に係る発明である。具体的に、特許文献4記載のスイッチ器具は、端子ピンに装着される絶縁体と、操作部材とで構成されており、絶縁体が端子ピンに装着された状態で、操作部材を操作して、絶縁体を端子ピンの外周面に沿って回転移動させることにより、絶縁体が端子ピンと給電電極との間に介在する状態と、介在しない状態とを取り得るものである。
【0008】
特許文献5記載のスイッチ器具は、端子ピンに装着される電気絶縁性の筒状部材と、第1の電極と、第2の電極と、開閉機構とで構成されており、第1の電極は筒状部材の内側に設けられて端子ピンと接触し、第2の電極は筒状部材の外側に設けられて給電電極と接触し、開閉機構は第1、第2の電極間の電気的接続をオンオフするものである。
【0009】
しかし、上述した特許文献3乃至5に係る発明では、以下の点で新たな問題が生じる。まず、特許文献3の点灯制御回路は、照明装置の電気回路の一部を構成するものであるから、照明装置全体の製造コスト高を招くこととなる。しかも、特許文献3の点灯制御回路は、予め照明装置の製造工程で組み込まれるべきものであるから、例えば、既設の照明装置に後付けして使用することができない。
【0010】
他方、特許文献4に係るスイッチ器具は、消灯させた蛍光灯を再点灯させることを本質的な特徴としており、端子ピンと給電電極との間の開閉機構が必要となる分、スイッチ器具自体の製造コスト高を招く。特に、特許文献4のスイッチ器具は、絶縁体を端子ピンに装着した状態で、ソケットに差込可能な程度に薄型化及び小型化されなければならない。その結果、開閉機構自体も薄型化及び小型化せざるをえず、製造コスト高を招く。
【0011】
また、特許文献4のスイッチ器具は、絶縁体を端子ピンに装着した状態で、回転移動させるものであるから、端子ピンとソケットとの間の摩擦や押し圧力などにより、絶縁体及び開閉機構が破損する。特に、この種の照明装置を構成するソケットが、特許文献1に開示されているような回転式である場合、端子ピンとソケットとの間の摩擦や押し圧力などにより、破損事故が頻発する。
【0012】
上述した特許文献4に係る製造コストの問題、及び、破損の問題は、特許文献5のスイッチ器具においても同様に生じる。
【0013】
さらに、特許文献4及び5のスイッチ器具は、絶縁体を端子ピンに装着した状態で、ソケットに差込可能な程度に薄型化及び小型化されている。その結果、この種の複数灯式照明装置が天井などの高い位置に配置されている場合、脚立などを用いて間近で確認しない限り、肉眼では前記スイッチ器具を取り付けた蛍光灯が何れの蛍光灯かが分らなくなり、管理が面倒になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−105035号公報
【特許文献2】特開平06−111608号公報
【特許文献3】特許第4584153号公報
【特許文献4】特開2009−224230号公報
【特許文献5】実用新案登録第3104539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、一部の蛍光灯を任意に消灯させることができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの課題は、製造コストを低減することができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【0017】
本発明の更にもう1つの課題は、蛍光灯への取り付けが簡単であり、既設の照明装置に後付けして使用することができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【0018】
本発明の更にもう1つの課題は、優れた信頼性を有する蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【0019】
本発明の更にもう1つの課題は、優れた視認性を有し、管理が容易である蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するため、本発明に係る消灯具は、基板部と、筒状部とを含み、蛍光灯に着脱可能に取り付けて用いられる。蛍光灯は、電極部の端面に複数の端子ピンが立設されている。基板部は、複数の挿通孔と、電極部の端面に向かい合う第1の面領域と、電極部の端面の領域外にはみ出す第2の面領域とを有している。複数の挿通孔は、第1の面領域において、複数の端子ピンのそれぞれと重なる位置に開設され、基板部を厚み方向に貫通している。筒状部は、電気絶縁性を有する樹脂材料で構成され、中空部を有し、複数の挿通孔のうち少なくとも1つの開口端に立設されている。中空部は、挿通孔を通じて外部に繋がっている。
【0021】
本発明に係る消灯具は、蛍光灯と、ソケットとの間に取り付けられることにより照明装置を構成する。より詳細に説明すると、本発明に係る照明装置は、消灯具と、装置本体部と、少なくとも1つの蛍光灯とを含む。装置本体部は、蛍光灯に電力を供給するためのソケットを有している。蛍光灯は、電極部の端面に複数の端子ピンが立設されている。消灯具は、蛍光灯を構成する複数の端子ピンに分離可能に取り付けられている。複数の端子ピンは、消灯具を構成する複数の挿通孔のそれぞれに挿通され、且、複数の端子ピンのうち少なくとも1つが筒状部に覆われた状態で、ソケットに取り付けられている。
【0022】
上述したように本発明に係る照明装置を構成する消灯具において、基板部は、複数の挿通孔を有している。複数の挿通孔は、第1の面領域において、複数の端子ピンのそれぞれと重なる位置に開設され、基板部を厚み方向に貫通しているから、前記蛍光灯に立設された端子ピンの数、及び、配置を確認しながら、消灯具を端子ピンに簡単、且、適正に位置決めして取り付けることができる。
【0023】
また、消灯具は、挿通孔と、端子ピンとが対応する関係にありさえすれば、前記蛍光灯に取り付けることが可能である。従って、既設の照明装置に後付けして使用することができる消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0024】
さらに、消灯具は、蛍光灯に取り付けられた状態で、複数の挿通孔のそれぞれに端子ピンが挿通されている。すなわち、消灯具の基板部は、複数の端子ピンによって貫かれた状態となっているから、外部からの摩擦や押し圧力などによる消灯具の不正移動を抑制し、破損が回避される。従って、優れた信頼性を有する消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0025】
筒状部は、中空部を有し、複数の挿通孔において、少なくとも1つの開口端に立設されている。中空部は、挿通孔を通じて外部に開口している。この構成によると、挿通孔に挿通された複数の端子ピンのうち、少なくとも1つが筒状部によって覆われることとなる。しかも、筒状部は、電気絶縁性を有する樹脂材料で構成されているから、端子ピンが筒状部に覆われた状態で、ソケットに取り付けられたとき、蛍光灯に対する電力の供給が遮断される。従って、一部の蛍光灯を任意に消灯させることができる消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0026】
本発明に係る消灯具は、蛍光灯に着脱可能に取り付けて用いられるものであるから、取り外すことにより蛍光灯を点灯させることができる。本発明に係る消灯具は、複雑な取り付けることにより蛍光灯を消灯させ、取り外すことにより蛍光灯を点灯させるものである。換言すれば、機械要素を用いることなく、蛍光灯の点灯及び消灯を制御することができるから、製造コストを低減することができる。
【0027】
基板部は、蛍光灯とソケットとの間に取り付けられた状態で、ソケットと蛍光灯のソケット取付部との相対向面間に第1の面領域が向かい合い、相対向面の領域外に第2の面領域が突出する。この構成によると、照明装置が天井などの高い位置に配置されている場合であっても、第2の面領域を目印として、消灯具を取り付けた蛍光灯を容易に確認しうる。従って、優れた視認性を有し、管理が容易である消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)一部の蛍光灯を任意に消灯させることができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
(2)製造コストを低減することができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
(3)蛍光灯への取り付けが簡単であり、既設の照明装置に後付けして使用することができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
(4)優れた信頼性を有する蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
(5)優れた視認性を有し、管理が容易である蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0029】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る蛍光灯用消灯具の斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】図1及び図2に示した消灯具について使用状態を示す部分断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図5】図4に示した照明装置の分解構造を示す斜視図である。
【図6】図4の照明装置について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図7】図4の照明装置について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図8】本発明のもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図9】図8に示した照明装置の分解構造を示す斜視図である。
【図10】本発明の更にもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図11】本発明の更にもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図12】本発明のもう一つの実施形態に係る消灯具の斜視図である。
【図13】本発明の更にもう一つの実施形態に係る消灯具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1乃至13において同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。まず、図1及び図2の消灯具1は、電気絶縁性を有する樹脂材料を主成分とする一体成形物である。具体的に用いられる樹脂材料としては、上述した電気絶縁性に加え、耐摩擦性、耐衝撃性、耐候性、耐熱性、加工容易性、材料コスト等の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フェノール樹脂(PF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂(EP)等をあげることができる。
【0032】
さらに図1及び図2を参照すると、消灯具1は、基板部10と、筒状部16とを含む。基板部10は、平板状、かつ、薄板状であって、第1の面領域11と、第2の面領域12と、複数の挿通孔13とを有している。第1の面領域11は、基板部10の板面中央を構成する面領域である。第2の面領域12は、基板部10の板面の全面から第1の面領域11を除いた面領域であって、基板部10の周縁部分を構成している。第1、第2の面領域11、12の境界を示す一点鎖線BLは、説明の都合上の図示である。
【0033】
挿通孔13の数および配置は、組み合わされる蛍光灯(2)の端子ピン(22)の数および配置に追従して決定される。図1及び図2の挿通孔13は、2つ一対であって、一対の挿通孔13、13は、第1の面領域11に横並びに開設され、基板部10を厚み方向Tに貫通し、一面側に開口端縁14を有し、他面側に破線で示す開口端縁15を有している。
【0034】
筒状部16は、先端部分が閉じられた有底筒状であって、中空部17を有し、複数の挿通孔13のうち少なくとも1つの開口端15に立設されている。中空部17は、挿通孔13を通じて外部に繋がっている。
【0035】
筒状部16の数および配置は、組み合わされる端子ピン(22)の数および配置に追従して決定される。図1及び図2の筒状部16は、2つ一対であって、一対の筒状部16、16が、破線で示す開口端縁15によって基板部10に一体的に立設されている。図1及び図2の開口端縁15は、説明の都合上、基板部10と筒状部16との境界線を破線を用いて示している。中空部17は、挿通孔13、及び、開口端縁14を通じて外部に開口している。
【0036】
図1及び図2の消灯具1は、蛍光灯(2)に対して、分離可能、及び、着脱可能に取り付けて用いられる。消灯具1と、蛍光灯(2)との相対関係について、図3を参照しながら説明する。もっとも、蛍光灯(2)は、当該技術分野において、周知の構成部分であるから、以下、簡単に説明する。
【0037】
図3からは必ずしも明らかではないが、蛍光灯2は、所謂直管型蛍光灯であって、長手方向でみたガラス管の両端に、ソケット(30)へ取り付けられる電極部20を有している。電極部20は、取付端面21を有し、取付端面21に2つ一対の端子ピン22、22が横並びに立設されている。
【0038】
消灯具1に開設される挿通孔13のそれぞれは、第1の面領域11において、一対の端子ピン22、22のそれぞれと重なる位置に開設されている。消灯具1は、図3に示すように、挿通孔13のそれぞれに端子ピン22が挿通され、挿通された状態で、端子ピン22を筒状部16によって覆い、第1の面領域11が取付端面21の領域内に向かい合い、且、第2の面領域12が取付端面21の領域外にはみ出している。図3からは必ずしも明らかではないが、図1に示した一点鎖線BLは、好ましくは取付端面21の周縁と一致する。
【0039】
図4は本発明の一実施形態に係る照明装置の斜視図、図5は図4に示した照明装置の分解構造を示す斜視図である。また、図6及び図7は図4の照明装置について一部を拡大して示す部分断面図である。
【0040】
図1乃至図3の消灯具1は、既設の照明機器において、現に用いられている蛍光灯(2)の両端に、後付けして使用することができる。本明細書において「既設の照明機器」とは、一般住宅や商業施設、工業施設などの室内、及び、街灯などの室外において、現に用いられている照明機器、照明機器製造メーカによって安定器、点灯用電気回路、電気配線などが予め一体的に組み立てられている照明機器、照明機器製造メーカの名が付された純正の照明機器、照明機器製造メーカのカタログ等に掲載されている照明機器などをいう。
【0041】
図4及び図5の実施形態は、現在、最も普及している逆富士型の複数灯式照明装置であって、消灯具1と、2つ一対の蛍光灯2、2と、装置本体部3とを含む。
【0042】
蛍光灯2と同様に、装置本体部3は、当該技術分野において周知の構成部分であるから、以下、簡単に説明する。装置本体部3は、反射器35と、一対のソケット30、30を2組と、止め螺子5とを有し、2つの蛍光灯2とともに、既設の照明機器を構成している。
【0043】
反射器35は、断面V字状であって、台座部37に対するカバー部材として用いられるものである。図4及び図5の反射器35は、V字状の頂部351を挟んだ両斜面352、353のそれぞれに貫通孔36を有している。反射器35のV字状の内側には、点灯回路(図示しない)などの回路要素が、台座部37に搭載された状態で収納されている。装置本体部3は、台座部37を介して天井などの取り付け面に取り付けられる。
【0044】
一対のソケット30、30は、互いに間隔G1を隔てて、両斜面352、353のそれぞれに設けられている。止め螺子5は、貫通孔36を貫通し、反射器35を台座部37に螺子止めしている。装置本体部3において、ソケット30は、蛍光灯2に電力を供給するための構成部品である。次にソケット30の内部構造について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6及び図7のソケット30は、ハウジング31と、可動部32と、給電電極33とを有している。ハウジング31は、収納空間を外部に開口する開口部310を有している。
【0045】
可動部32は、厚み方向Tに貫通する貫通孔34を有し、厚み方向Tでみた一面321側が開口部310の周縁に掛け止められ、掛け止められ状態で一面321が開口部310から外部に露出し、他面322が給電電極33に支持されている。一面321は、取付端面21を支持する。
【0046】
給電電極33は、好ましくは弾性、及び、導電性を有する金属板材で構成されており、一端が内部配線(図示しない)を通じて外部電源と接続されている。給電電極33の他端は、他面322を支持し、貫通孔34と重なる位置に位置決めされている。図6に示すように、蛍光灯2は、端子ピン22が貫通孔34に差し込まれ、差し込まれた状態で、貫通孔34を貫通し、その先端部分が給電電極33と直接接触することにより、外部電力と電気的に接続され、点灯が可能となる。
【0047】
消灯具1は、蛍光灯2の長手方向の両端において、一対の端子ピン22、22に着脱可能に取り付けられている。図7に示すように消灯具1は、一面321と、取付端面21との対向面間G2に取り付けられ、取り付けられた状態で、挿通孔13に端子ピン22が挿通され、筒状部16が端子ピン22を覆っている。端子ピン22は、筒状部16に覆われた状態で、貫通孔34に案内されている。図7に示す状態では、端子ピン22の先端部分は、筒状部16によって覆われており、筒状部16の底部(先端部)によって給電電極33との電気的な接触が遮断されているから、蛍光灯2に対する外部電力の供給が遮断され、点灯不能となる。
【0048】
図7に示すように、基板部10の厚み、及び、筒状部16の厚みは、消灯具1が端子ピン22に取り付けられた状態で、貫通孔34に差し込み可能な範囲で決定される。すなわち、基板部10の厚み寸法T10は、ソケット30の対面間隔G1から、蛍光灯2の全長寸法L2を引いた数値を上限として設定され、筒状部16の厚み寸法T16は、貫通孔34の内寸法I34から、端子ピン22の最大差し渡し径寸法O22を引いた数値を上限として設定される(図3、図5参照)。さらに、第2の面領域12は、取付端面21から外部に突出可能な範囲で設定される。
【0049】
ところで、この種の複数灯式照明装置には、昼間など全灯(2、2)を点灯させる必要がない場合、節電の観点から、一部の蛍光灯(2)を消灯させたいという市場の要請がある。これに対し、通常、この種の複数灯式照明装置は、壁面などに取り付けられたスイッチボタンを操作して、その全灯(2、2)を一括して点灯及び消灯させる電気回路となっており、一部の蛍光灯(2)のみを任意に消灯させることはできない。同様の問題は、1つの蛍光灯(2)で構成された、いわゆる単灯式照明装置が天井などに複数設けられ、それら複数の単灯式照明装置が1つのスイッチにより、一括して点灯及び消灯させる場合にも生じる。
【0050】
もっとも、消灯させたい蛍光灯(2)を一対のソケット(30、30)から取り外してしまえば、所期の目的を達成することは可能ではあるが、その場合、取り外した蛍光灯(2)の保管場所が別途必要になる。しかも、本来そこにあるべき蛍光灯(2)が取り外されてしまうことにより、見た目も悪くなるという新たな問題が生じる。
【0051】
さらに、ソケット30についても、差込式(図4乃至図7参照)に限らず、様々な態様のものが普及している。例えば、端子ピン(22)を可動部(32)に差込し、差込した状態で可動部(32)を軸回動させることにより、可動部(32)を回転不能に固定する態様(回転式)のものも知られている。従って、この種の消灯具(1)は、様々な態様のソケット(30)に取り付け可能な構造を有することが求められる。
【0052】
図1乃至図7を参照して説明した消灯具1、及び、これを用いた照明装置によると、上述した市場の要請に応え、前記諸問題を解決することができる。具体的に、消灯具1を構成する基板部10は、一対の挿通孔13、13を有している。一対の挿通孔13、13は、第1の面領域11において、一対の端子ピン22、22と重なる位置に開設され、基板部10を厚み方向Tに貫通しているから、蛍光灯2に立設された端子ピン22の数および配置を確認しながら、消灯具1を端子ピン22に簡単、且、適正に位置決めして取り付けることができる。
【0053】
また、消灯具1は、挿通孔13と端子ピン22との数および配置が対応する関係にありさえすれば、蛍光灯2に取り付けることが可能である。従って、既設の照明機器に後付けして使用することができる消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0054】
さらに、消灯具1は、蛍光灯2に取り付けられた状態で、一対の挿通孔13に一対の端子ピン22が挿通されているから、外部からの摩擦や押し圧力などによる消灯具1の不正移動を抑制し、不正移動による破損が回避される。従って、優れた信頼性を有する消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0055】
筒状部16は、中空部17を有し、複数の挿通孔13において、少なくとも1つの開口端15に立設されている。中空部17は、挿通孔13を通じて外部に開口している。この構成によると、挿通孔13に挿通された端子ピン22のうち、少なくとも1つが筒状部16によって覆われることとなる。ここで筒状部16は、電気絶縁性を有する樹脂材料で構成されているから、端子ピン22が筒状部16に覆われた状態で、ソケット30に取り付けらたとき、蛍光灯2に対する電力の供給が筒状部16によって遮断される。従って、一部の蛍光灯2を任意に消灯させることができる消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0056】
消灯具1は、蛍光灯2に着脱可能に取り付けて用いられるものであるから、取り外すことにより蛍光灯2を点灯させることができる。すなわち、消灯具1は、着脱操作のみによって、蛍光灯2の点灯及び消灯を制御するものであるから、安価に製造することができる。
【0057】
基板部10は、取付端面21の領域内に向かい合う第1の面領域11と、取付端面21の領域外にはみ出す第2の面領域12とを有しているから、消灯具1が蛍光灯2とソケット30との間に取り付けられた状態で、電極部20とソケット30との相対向面間G2の領域外に第2の面領域12が突出する。この構成によると、照明装置が天井などの高い位置に配置されている場合であっても、第2の面領域12の有無を目印として、消灯具1を取り付けた蛍光灯2を容易に確認しうる。従って、優れた視認性を有し、管理が容易である消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0058】
消灯具1は、薄板状であって、基板部10の厚み寸法T10は、ソケットの対面間隔G1から、蛍光灯2の全長寸法L2を引いた数値を上限として設定される。また、筒状部16の厚み寸法T16は、貫通孔34の内寸法I34から、端子ピン22の最大差し渡し径寸法O22を引いた数値を上限として設定される。この構成によると、ソケット30と、蛍光灯2との間に取り付けることができる。
【0059】
消灯具1は、端子ピン22に取り付けられ、蛍光灯2とソケット30との間に介装されるものである。すなわち、消灯具1は、装置本体部3の電気回路の一部を構成するものではないから、照明装置の製造コスト高を招くことはない。しかも、消灯具1は、予め照明装置の製造工程で組み込まれるべきものでもないから、既設の照明機器に後付けして使用することができる。
【0060】
消灯具1は、樹脂材料を用いた一体成形物であるから、製造コストを低減することができる。しかも、消灯具1は、端子ピン22と給電電極33との間の開閉機構、又は、電気的な部品要素を有しないからから、薄型化及び小型化の必要が生じたとしても、製造コスト高を招くことはない。
【0061】
消灯具1は、蛍光灯2に取り付けられた状態で、一対の挿通孔13、13に端子ピン22が挿通されているから、外部からの摩擦や押し圧力などによる消灯具1の不正移動が抑制される。従って、ソケット30が回転式であったとしても、消灯具1が、端子ピン22とソケット30との間の摩擦や押し圧力を受けることはなく、破損が回避される。
【0062】
本発明の一実施形態に係る消灯具1によると、区画された1エリアに設けられた蛍光灯数が、そのスイッチボタン数よりも多い場合に、スイッチボタンでは消灯させられない一部の蛍光灯2を任意に、且、選択的に消灯させることができる。従って、一部の蛍光灯2を任意に消灯させることができる消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0063】
図8は本発明のもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図、図9は図8に示した照明装置の分解構造を示す斜視図である。図8及び図9の照明装置は、図1乃至図7を参照して説明した消灯具1、及び、これを用いた照明装置の構成を全て有し、さらに反射板4を有している点に特徴がある。以下、反射板4を中心に説明する。
【0064】
図8及び図9の照明装置を構成する反射板4は、光反射面を有し、装置本体部3に取り付けられており、光反射面は、蛍光灯2に向かい合っている。より詳細に説明すると、図8及び図9の反射板4は、既設の照明機器を構成する反射器35に取り付けられるものであって、基板部40と、貫通孔41とを含む。
【0065】
基板部40は、平面からみて長方形形状であって、長辺の長さ寸法L4が、一対のソケット30、30の間隔G1以下となっている。基板部40は、好ましくはアルミ、ステンレスなど金属材料でなる断面V字形状の薄板であって、屈曲部44によって画定される2つの面部45、46で構成され、内面42が鏡面状に平滑化されて光反射面を構成し、外面43が反射器35への取付面となっている。
【0066】
屈曲部44は、断面V字形状の頂点であり、基板部40において、第1の面部45と、第2の面部46とを画定している。第1の面部45は、断面V字形状を有する基板部40の一方斜面である。第2の面部46は、断面V字形状を有する基板部40の他方斜面であって、屈曲部44を介して第1の面部45と連続している。図8及び図9において、第1、第2の面部45、46の形状、及び、面積は、屈曲部44を挟んでほぼ左右対称である。
【0067】
貫通孔41は、第1、第2の面部45、46において、反射器35の貫通孔36に重なる位置に設けられている。貫通孔41は、反射器35を台座部37に固定するために用いられている止め螺子5を挿通させるために用いられる螺子孔である。
【0068】
さらに、反射板4を既設の照明機器に設置する取り付け方法について、図9を参照して説明すると、まず、止め螺子5を反射器35、及び、台座部37から取り外し、次に、貫通孔41と、貫通孔36とが重なる関係で、反射板4を反射器35に位置決めし、次に、取り外した止め螺子5を、貫通孔41と、貫通孔36とを貫通させ、反射板4と、反射器35とを台座部37に螺子止めする。反射板4の長さ寸法L4は、一対のソケット30、30の対向間隔G1以下であり、反射板4は、第1の面部45の外面43を取付面として、斜面352に配置される。
【0069】
ところで、従来の複数灯式照明装置は、壁面などに取り付けられたスイッチボタン(図示しない)を操作して、全灯を一括して点灯及び消灯させる電気回路となっており、一部の蛍光灯2のみを任意に消灯させることはできない。
【0070】
上述した問題を解決するため、図8及び図9の照明装置は、一対の蛍光灯2、2のうち、反射板4が取り付けられていない蛍光灯2、すなわち点灯させる必要の無い蛍光灯2に消灯具1を取り付けることにより、スイッチボタンでは消灯させられない蛍光灯2を任意に、且、選択的に消灯させることができる。
【0071】
図10及び図11は、本発明の更にもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図である。図10及び図11の照明装置は、見栄えを考慮して一対の蛍光灯2、2のそれぞれに反射板4が取り付けられている点で、図8及び図9の照明装置とは異なる。
【0072】
まず、図10において、照明装置は、一対の蛍光灯2、2に反射板4、4が取り付けられている。反射板4のそれぞれは、図8及び図9を参照して説明したものでなり、両斜面352、353のそれぞれに、左右対称に設置されている。
【0073】
他方、図11の反射板4は、端的に言えば、図10に示した反射板4、4を一体的に結合した構造であって、連続する2つの反射板(4、4)でなり、幅方向に沿って凹凸を繰り返す断面W字形状、又は、断面M字形状となっている。
【0074】
図10及び図11の照明装置の実施形態によっても、図1乃至図9を参照して説明した消灯具1、及び、これを用いた照明装置の利点を全て有することができる。例えば、一対の蛍光灯2、2のうち、点灯させる必要の無い蛍光灯2に対して任意に消灯具1を取り付けることにより、一部の蛍光灯2を選択的に消灯させることができる。
【0075】
図8乃至図11を参照して説明したように、既設の複数灯式照明装置に対して反射板4を後付けした場合、反射板4によって照明効果が向上した分、一部の蛍光灯2を消灯させて節電をはかりつつ、反射板4の取り付け前と同等の明るさを維持することが可能となる。すなわち、消灯具1の利便性は、反射板4との組み合わせにおいて最もよく現れるから、例えば一対の消灯具1と反射板4とをセットとし、蛍光灯用節電アタッチメントとして販売することができる。
【0076】
図12及び図13は、本発明のもう一つの実施形態に係る消灯具の斜視図である。図1乃至図11を参照して説明したように、消灯具1は電極部(20)に回転不能に取り付けられること、端子ピン(22)を筒状部(16)で覆うことにより蛍光灯(2)への電力供給を遮断すること、及び、取付端面(21)の領域外にはみ出す第2の面領域12を有することにより取り付けの有無を外部から視認しやすくすることなどを、発明の特徴として有している。消灯具1は、上述した基本的構成を有し、同構成による作用効果を奏しうる限り、様々な具体的態様を有することができる。以下、図12及び図13において、特徴部分を中心に説明する。
【0077】
図12の消灯具1において、筒状部16は、複数の挿通孔13のうちの、1つの開口端15にのみ立設されている。第2の面領域12は、複数が第1の面領域11の周縁に等配されている。
【0078】
図12の実施形態によっても、図1乃至図11を参照して説明した利点を全て有することができる。さらに、第2の面領域12は、複数が第1の面領域11の周縁に等配されていることにより、取り付けの有無を外部から視認しやすくするとともに、花弁様の装飾効果を奏することができる。
【0079】
また、消灯具1は、一対の挿通孔13、13に一対の端子ピン22、22が挿通されているから、蛍光灯2の取付端面21に回転不能に取り付けられる。
【0080】
さらに図12の実施形態において、一対の端子ピン22、22の一方は、筒状部16に案内されず、基板部10の一面に露出しているから、露出している方の端子ピン22を操作することにより、消灯具1の位置決め作業、及び、着脱作業を容易に行うことができる。
【0081】
図13の消灯具1において、第2の面領域12は第1の面領域11の周縁部分から、筒状部16の立ち上がり方向T1とは反対方向T2に、鍔状に立ち上がっている。第1の面領域11の内面によって画定される空間110は、電極部(20)の収納空間となる。すなわち、消灯具1は、端子ピン(22)が筒状部(16)に案内された状態で、第2の面領域12が、蛍光灯(2)の端部から長手方向の中間部分までを覆うこととなる。この構成によると、蛍光灯2の端部に対する消灯具1の一体性が向上し、外部からの摩擦や、押し圧力に対する不正移動が回避される。
【0082】
また、第2の面領域12が、蛍光灯(2)の端部から長手方向の中間部分までを覆うこととにより、照明装置が天井などの高い位置に配置されている場合であっても、第2の面領域12を目印として、消灯具1を取り付けた蛍光灯(2)を容易に確認することができる。
【0083】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0084】
1 消灯具
10 基板部
11 第1の面領域
12 第2の面領域
13 挿通孔
15 開口端縁
16 筒状部
17 中空部
2 蛍光灯
20 電極部
21 取付端面
22 端子ピン
3 装置本体部
30 ソケット
4 反射板
T 厚み方向
T1 筒状部の立ち上がり方向
T2 反対方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯用消灯具、及び、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般住宅や商業施設、工業施設は、複数の蛍光灯を有する照明装置が天井などに配置され、この複数灯式照明装置によって屋内の照明がなされている。蛍光灯のそれぞれは、ガラス管に備えられている電極部の端子ピンを、特許文献1で開示されているのようなソケットに差し込みし、前記ソケットの内部の給電電極と接触させることにより、点灯が可能となる。
【0003】
ところで、この種の複数灯式照明装置には、昼間など全ての蛍光灯を点灯させる必要がない場合、節電の観点から、一部の蛍光灯を消灯させたいという市場の要請がある。特に、既設の複数灯式照明装置に対して、特許文献2に記載されているような反射板を後付けした場合、前記反射板によって照明効果が向上されるから、一部の蛍光灯を消灯させて節電をはかりつつ、取り付け前と同等の明るさを維持することができる。
【0004】
これに対し、通常、この種の複数灯式照明装置は、壁面などに取り付けられたスイッチボタンを操作して、その全灯を一括して点灯及び消灯させる電気回路となっており、一部の蛍光灯のみを任意に消灯させることはできないという問題が生じる。
【0005】
もっとも、消灯させたい蛍光灯をソケットから取り外してしまえば、所期の目的を達成することは可能ではあるが、その場合、取り外した蛍光灯の保管場所が別途必要になる。しかも、本来そこにあるべき蛍光灯が取り外されてしまうことにより、見た目も悪くなるという新たな問題が生じる。
【0006】
上述した問題を解決しようとする従来技術として、例えば、特許文献3乃至5が知られている。特許文献3に係る発明は、複数灯式照明装置の電気回路に、予め点灯制御回路を組み込むことにより、壁面などに取り付けられたスイッチボタンを操作して、一部の蛍光灯を点灯及び消灯させるものである。
【0007】
他方、特許文献4、5は、蛍光灯の端子ピンと、ソケット内部の給電電極との間に取り付けられ、前記蛍光灯を点灯及び消灯させるために用いられるスイッチ器具に係る発明である。具体的に、特許文献4記載のスイッチ器具は、端子ピンに装着される絶縁体と、操作部材とで構成されており、絶縁体が端子ピンに装着された状態で、操作部材を操作して、絶縁体を端子ピンの外周面に沿って回転移動させることにより、絶縁体が端子ピンと給電電極との間に介在する状態と、介在しない状態とを取り得るものである。
【0008】
特許文献5記載のスイッチ器具は、端子ピンに装着される電気絶縁性の筒状部材と、第1の電極と、第2の電極と、開閉機構とで構成されており、第1の電極は筒状部材の内側に設けられて端子ピンと接触し、第2の電極は筒状部材の外側に設けられて給電電極と接触し、開閉機構は第1、第2の電極間の電気的接続をオンオフするものである。
【0009】
しかし、上述した特許文献3乃至5に係る発明では、以下の点で新たな問題が生じる。まず、特許文献3の点灯制御回路は、照明装置の電気回路の一部を構成するものであるから、照明装置全体の製造コスト高を招くこととなる。しかも、特許文献3の点灯制御回路は、予め照明装置の製造工程で組み込まれるべきものであるから、例えば、既設の照明装置に後付けして使用することができない。
【0010】
他方、特許文献4に係るスイッチ器具は、消灯させた蛍光灯を再点灯させることを本質的な特徴としており、端子ピンと給電電極との間の開閉機構が必要となる分、スイッチ器具自体の製造コスト高を招く。特に、特許文献4のスイッチ器具は、絶縁体を端子ピンに装着した状態で、ソケットに差込可能な程度に薄型化及び小型化されなければならない。その結果、開閉機構自体も薄型化及び小型化せざるをえず、製造コスト高を招く。
【0011】
また、特許文献4のスイッチ器具は、絶縁体を端子ピンに装着した状態で、回転移動させるものであるから、端子ピンとソケットとの間の摩擦や押し圧力などにより、絶縁体及び開閉機構が破損する。特に、この種の照明装置を構成するソケットが、特許文献1に開示されているような回転式である場合、端子ピンとソケットとの間の摩擦や押し圧力などにより、破損事故が頻発する。
【0012】
上述した特許文献4に係る製造コストの問題、及び、破損の問題は、特許文献5のスイッチ器具においても同様に生じる。
【0013】
さらに、特許文献4及び5のスイッチ器具は、絶縁体を端子ピンに装着した状態で、ソケットに差込可能な程度に薄型化及び小型化されている。その結果、この種の複数灯式照明装置が天井などの高い位置に配置されている場合、脚立などを用いて間近で確認しない限り、肉眼では前記スイッチ器具を取り付けた蛍光灯が何れの蛍光灯かが分らなくなり、管理が面倒になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−105035号公報
【特許文献2】特開平06−111608号公報
【特許文献3】特許第4584153号公報
【特許文献4】特開2009−224230号公報
【特許文献5】実用新案登録第3104539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、一部の蛍光灯を任意に消灯させることができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの課題は、製造コストを低減することができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【0017】
本発明の更にもう1つの課題は、蛍光灯への取り付けが簡単であり、既設の照明装置に後付けして使用することができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【0018】
本発明の更にもう1つの課題は、優れた信頼性を有する蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【0019】
本発明の更にもう1つの課題は、優れた視認性を有し、管理が容易である蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するため、本発明に係る消灯具は、基板部と、筒状部とを含み、蛍光灯に着脱可能に取り付けて用いられる。蛍光灯は、電極部の端面に複数の端子ピンが立設されている。基板部は、複数の挿通孔と、電極部の端面に向かい合う第1の面領域と、電極部の端面の領域外にはみ出す第2の面領域とを有している。複数の挿通孔は、第1の面領域において、複数の端子ピンのそれぞれと重なる位置に開設され、基板部を厚み方向に貫通している。筒状部は、電気絶縁性を有する樹脂材料で構成され、中空部を有し、複数の挿通孔のうち少なくとも1つの開口端に立設されている。中空部は、挿通孔を通じて外部に繋がっている。
【0021】
本発明に係る消灯具は、蛍光灯と、ソケットとの間に取り付けられることにより照明装置を構成する。より詳細に説明すると、本発明に係る照明装置は、消灯具と、装置本体部と、少なくとも1つの蛍光灯とを含む。装置本体部は、蛍光灯に電力を供給するためのソケットを有している。蛍光灯は、電極部の端面に複数の端子ピンが立設されている。消灯具は、蛍光灯を構成する複数の端子ピンに分離可能に取り付けられている。複数の端子ピンは、消灯具を構成する複数の挿通孔のそれぞれに挿通され、且、複数の端子ピンのうち少なくとも1つが筒状部に覆われた状態で、ソケットに取り付けられている。
【0022】
上述したように本発明に係る照明装置を構成する消灯具において、基板部は、複数の挿通孔を有している。複数の挿通孔は、第1の面領域において、複数の端子ピンのそれぞれと重なる位置に開設され、基板部を厚み方向に貫通しているから、前記蛍光灯に立設された端子ピンの数、及び、配置を確認しながら、消灯具を端子ピンに簡単、且、適正に位置決めして取り付けることができる。
【0023】
また、消灯具は、挿通孔と、端子ピンとが対応する関係にありさえすれば、前記蛍光灯に取り付けることが可能である。従って、既設の照明装置に後付けして使用することができる消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0024】
さらに、消灯具は、蛍光灯に取り付けられた状態で、複数の挿通孔のそれぞれに端子ピンが挿通されている。すなわち、消灯具の基板部は、複数の端子ピンによって貫かれた状態となっているから、外部からの摩擦や押し圧力などによる消灯具の不正移動を抑制し、破損が回避される。従って、優れた信頼性を有する消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0025】
筒状部は、中空部を有し、複数の挿通孔において、少なくとも1つの開口端に立設されている。中空部は、挿通孔を通じて外部に開口している。この構成によると、挿通孔に挿通された複数の端子ピンのうち、少なくとも1つが筒状部によって覆われることとなる。しかも、筒状部は、電気絶縁性を有する樹脂材料で構成されているから、端子ピンが筒状部に覆われた状態で、ソケットに取り付けられたとき、蛍光灯に対する電力の供給が遮断される。従って、一部の蛍光灯を任意に消灯させることができる消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0026】
本発明に係る消灯具は、蛍光灯に着脱可能に取り付けて用いられるものであるから、取り外すことにより蛍光灯を点灯させることができる。本発明に係る消灯具は、複雑な取り付けることにより蛍光灯を消灯させ、取り外すことにより蛍光灯を点灯させるものである。換言すれば、機械要素を用いることなく、蛍光灯の点灯及び消灯を制御することができるから、製造コストを低減することができる。
【0027】
基板部は、蛍光灯とソケットとの間に取り付けられた状態で、ソケットと蛍光灯のソケット取付部との相対向面間に第1の面領域が向かい合い、相対向面の領域外に第2の面領域が突出する。この構成によると、照明装置が天井などの高い位置に配置されている場合であっても、第2の面領域を目印として、消灯具を取り付けた蛍光灯を容易に確認しうる。従って、優れた視認性を有し、管理が容易である消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)一部の蛍光灯を任意に消灯させることができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
(2)製造コストを低減することができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
(3)蛍光灯への取り付けが簡単であり、既設の照明装置に後付けして使用することができる蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
(4)優れた信頼性を有する蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
(5)優れた視認性を有し、管理が容易である蛍光灯用消灯具、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0029】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る蛍光灯用消灯具の斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】図1及び図2に示した消灯具について使用状態を示す部分断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図5】図4に示した照明装置の分解構造を示す斜視図である。
【図6】図4の照明装置について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図7】図4の照明装置について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図8】本発明のもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図9】図8に示した照明装置の分解構造を示す斜視図である。
【図10】本発明の更にもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図11】本発明の更にもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図12】本発明のもう一つの実施形態に係る消灯具の斜視図である。
【図13】本発明の更にもう一つの実施形態に係る消灯具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1乃至13において同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。まず、図1及び図2の消灯具1は、電気絶縁性を有する樹脂材料を主成分とする一体成形物である。具体的に用いられる樹脂材料としては、上述した電気絶縁性に加え、耐摩擦性、耐衝撃性、耐候性、耐熱性、加工容易性、材料コスト等の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フェノール樹脂(PF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂(EP)等をあげることができる。
【0032】
さらに図1及び図2を参照すると、消灯具1は、基板部10と、筒状部16とを含む。基板部10は、平板状、かつ、薄板状であって、第1の面領域11と、第2の面領域12と、複数の挿通孔13とを有している。第1の面領域11は、基板部10の板面中央を構成する面領域である。第2の面領域12は、基板部10の板面の全面から第1の面領域11を除いた面領域であって、基板部10の周縁部分を構成している。第1、第2の面領域11、12の境界を示す一点鎖線BLは、説明の都合上の図示である。
【0033】
挿通孔13の数および配置は、組み合わされる蛍光灯(2)の端子ピン(22)の数および配置に追従して決定される。図1及び図2の挿通孔13は、2つ一対であって、一対の挿通孔13、13は、第1の面領域11に横並びに開設され、基板部10を厚み方向Tに貫通し、一面側に開口端縁14を有し、他面側に破線で示す開口端縁15を有している。
【0034】
筒状部16は、先端部分が閉じられた有底筒状であって、中空部17を有し、複数の挿通孔13のうち少なくとも1つの開口端15に立設されている。中空部17は、挿通孔13を通じて外部に繋がっている。
【0035】
筒状部16の数および配置は、組み合わされる端子ピン(22)の数および配置に追従して決定される。図1及び図2の筒状部16は、2つ一対であって、一対の筒状部16、16が、破線で示す開口端縁15によって基板部10に一体的に立設されている。図1及び図2の開口端縁15は、説明の都合上、基板部10と筒状部16との境界線を破線を用いて示している。中空部17は、挿通孔13、及び、開口端縁14を通じて外部に開口している。
【0036】
図1及び図2の消灯具1は、蛍光灯(2)に対して、分離可能、及び、着脱可能に取り付けて用いられる。消灯具1と、蛍光灯(2)との相対関係について、図3を参照しながら説明する。もっとも、蛍光灯(2)は、当該技術分野において、周知の構成部分であるから、以下、簡単に説明する。
【0037】
図3からは必ずしも明らかではないが、蛍光灯2は、所謂直管型蛍光灯であって、長手方向でみたガラス管の両端に、ソケット(30)へ取り付けられる電極部20を有している。電極部20は、取付端面21を有し、取付端面21に2つ一対の端子ピン22、22が横並びに立設されている。
【0038】
消灯具1に開設される挿通孔13のそれぞれは、第1の面領域11において、一対の端子ピン22、22のそれぞれと重なる位置に開設されている。消灯具1は、図3に示すように、挿通孔13のそれぞれに端子ピン22が挿通され、挿通された状態で、端子ピン22を筒状部16によって覆い、第1の面領域11が取付端面21の領域内に向かい合い、且、第2の面領域12が取付端面21の領域外にはみ出している。図3からは必ずしも明らかではないが、図1に示した一点鎖線BLは、好ましくは取付端面21の周縁と一致する。
【0039】
図4は本発明の一実施形態に係る照明装置の斜視図、図5は図4に示した照明装置の分解構造を示す斜視図である。また、図6及び図7は図4の照明装置について一部を拡大して示す部分断面図である。
【0040】
図1乃至図3の消灯具1は、既設の照明機器において、現に用いられている蛍光灯(2)の両端に、後付けして使用することができる。本明細書において「既設の照明機器」とは、一般住宅や商業施設、工業施設などの室内、及び、街灯などの室外において、現に用いられている照明機器、照明機器製造メーカによって安定器、点灯用電気回路、電気配線などが予め一体的に組み立てられている照明機器、照明機器製造メーカの名が付された純正の照明機器、照明機器製造メーカのカタログ等に掲載されている照明機器などをいう。
【0041】
図4及び図5の実施形態は、現在、最も普及している逆富士型の複数灯式照明装置であって、消灯具1と、2つ一対の蛍光灯2、2と、装置本体部3とを含む。
【0042】
蛍光灯2と同様に、装置本体部3は、当該技術分野において周知の構成部分であるから、以下、簡単に説明する。装置本体部3は、反射器35と、一対のソケット30、30を2組と、止め螺子5とを有し、2つの蛍光灯2とともに、既設の照明機器を構成している。
【0043】
反射器35は、断面V字状であって、台座部37に対するカバー部材として用いられるものである。図4及び図5の反射器35は、V字状の頂部351を挟んだ両斜面352、353のそれぞれに貫通孔36を有している。反射器35のV字状の内側には、点灯回路(図示しない)などの回路要素が、台座部37に搭載された状態で収納されている。装置本体部3は、台座部37を介して天井などの取り付け面に取り付けられる。
【0044】
一対のソケット30、30は、互いに間隔G1を隔てて、両斜面352、353のそれぞれに設けられている。止め螺子5は、貫通孔36を貫通し、反射器35を台座部37に螺子止めしている。装置本体部3において、ソケット30は、蛍光灯2に電力を供給するための構成部品である。次にソケット30の内部構造について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6及び図7のソケット30は、ハウジング31と、可動部32と、給電電極33とを有している。ハウジング31は、収納空間を外部に開口する開口部310を有している。
【0045】
可動部32は、厚み方向Tに貫通する貫通孔34を有し、厚み方向Tでみた一面321側が開口部310の周縁に掛け止められ、掛け止められ状態で一面321が開口部310から外部に露出し、他面322が給電電極33に支持されている。一面321は、取付端面21を支持する。
【0046】
給電電極33は、好ましくは弾性、及び、導電性を有する金属板材で構成されており、一端が内部配線(図示しない)を通じて外部電源と接続されている。給電電極33の他端は、他面322を支持し、貫通孔34と重なる位置に位置決めされている。図6に示すように、蛍光灯2は、端子ピン22が貫通孔34に差し込まれ、差し込まれた状態で、貫通孔34を貫通し、その先端部分が給電電極33と直接接触することにより、外部電力と電気的に接続され、点灯が可能となる。
【0047】
消灯具1は、蛍光灯2の長手方向の両端において、一対の端子ピン22、22に着脱可能に取り付けられている。図7に示すように消灯具1は、一面321と、取付端面21との対向面間G2に取り付けられ、取り付けられた状態で、挿通孔13に端子ピン22が挿通され、筒状部16が端子ピン22を覆っている。端子ピン22は、筒状部16に覆われた状態で、貫通孔34に案内されている。図7に示す状態では、端子ピン22の先端部分は、筒状部16によって覆われており、筒状部16の底部(先端部)によって給電電極33との電気的な接触が遮断されているから、蛍光灯2に対する外部電力の供給が遮断され、点灯不能となる。
【0048】
図7に示すように、基板部10の厚み、及び、筒状部16の厚みは、消灯具1が端子ピン22に取り付けられた状態で、貫通孔34に差し込み可能な範囲で決定される。すなわち、基板部10の厚み寸法T10は、ソケット30の対面間隔G1から、蛍光灯2の全長寸法L2を引いた数値を上限として設定され、筒状部16の厚み寸法T16は、貫通孔34の内寸法I34から、端子ピン22の最大差し渡し径寸法O22を引いた数値を上限として設定される(図3、図5参照)。さらに、第2の面領域12は、取付端面21から外部に突出可能な範囲で設定される。
【0049】
ところで、この種の複数灯式照明装置には、昼間など全灯(2、2)を点灯させる必要がない場合、節電の観点から、一部の蛍光灯(2)を消灯させたいという市場の要請がある。これに対し、通常、この種の複数灯式照明装置は、壁面などに取り付けられたスイッチボタンを操作して、その全灯(2、2)を一括して点灯及び消灯させる電気回路となっており、一部の蛍光灯(2)のみを任意に消灯させることはできない。同様の問題は、1つの蛍光灯(2)で構成された、いわゆる単灯式照明装置が天井などに複数設けられ、それら複数の単灯式照明装置が1つのスイッチにより、一括して点灯及び消灯させる場合にも生じる。
【0050】
もっとも、消灯させたい蛍光灯(2)を一対のソケット(30、30)から取り外してしまえば、所期の目的を達成することは可能ではあるが、その場合、取り外した蛍光灯(2)の保管場所が別途必要になる。しかも、本来そこにあるべき蛍光灯(2)が取り外されてしまうことにより、見た目も悪くなるという新たな問題が生じる。
【0051】
さらに、ソケット30についても、差込式(図4乃至図7参照)に限らず、様々な態様のものが普及している。例えば、端子ピン(22)を可動部(32)に差込し、差込した状態で可動部(32)を軸回動させることにより、可動部(32)を回転不能に固定する態様(回転式)のものも知られている。従って、この種の消灯具(1)は、様々な態様のソケット(30)に取り付け可能な構造を有することが求められる。
【0052】
図1乃至図7を参照して説明した消灯具1、及び、これを用いた照明装置によると、上述した市場の要請に応え、前記諸問題を解決することができる。具体的に、消灯具1を構成する基板部10は、一対の挿通孔13、13を有している。一対の挿通孔13、13は、第1の面領域11において、一対の端子ピン22、22と重なる位置に開設され、基板部10を厚み方向Tに貫通しているから、蛍光灯2に立設された端子ピン22の数および配置を確認しながら、消灯具1を端子ピン22に簡単、且、適正に位置決めして取り付けることができる。
【0053】
また、消灯具1は、挿通孔13と端子ピン22との数および配置が対応する関係にありさえすれば、蛍光灯2に取り付けることが可能である。従って、既設の照明機器に後付けして使用することができる消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0054】
さらに、消灯具1は、蛍光灯2に取り付けられた状態で、一対の挿通孔13に一対の端子ピン22が挿通されているから、外部からの摩擦や押し圧力などによる消灯具1の不正移動を抑制し、不正移動による破損が回避される。従って、優れた信頼性を有する消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0055】
筒状部16は、中空部17を有し、複数の挿通孔13において、少なくとも1つの開口端15に立設されている。中空部17は、挿通孔13を通じて外部に開口している。この構成によると、挿通孔13に挿通された端子ピン22のうち、少なくとも1つが筒状部16によって覆われることとなる。ここで筒状部16は、電気絶縁性を有する樹脂材料で構成されているから、端子ピン22が筒状部16に覆われた状態で、ソケット30に取り付けらたとき、蛍光灯2に対する電力の供給が筒状部16によって遮断される。従って、一部の蛍光灯2を任意に消灯させることができる消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0056】
消灯具1は、蛍光灯2に着脱可能に取り付けて用いられるものであるから、取り外すことにより蛍光灯2を点灯させることができる。すなわち、消灯具1は、着脱操作のみによって、蛍光灯2の点灯及び消灯を制御するものであるから、安価に製造することができる。
【0057】
基板部10は、取付端面21の領域内に向かい合う第1の面領域11と、取付端面21の領域外にはみ出す第2の面領域12とを有しているから、消灯具1が蛍光灯2とソケット30との間に取り付けられた状態で、電極部20とソケット30との相対向面間G2の領域外に第2の面領域12が突出する。この構成によると、照明装置が天井などの高い位置に配置されている場合であっても、第2の面領域12の有無を目印として、消灯具1を取り付けた蛍光灯2を容易に確認しうる。従って、優れた視認性を有し、管理が容易である消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0058】
消灯具1は、薄板状であって、基板部10の厚み寸法T10は、ソケットの対面間隔G1から、蛍光灯2の全長寸法L2を引いた数値を上限として設定される。また、筒状部16の厚み寸法T16は、貫通孔34の内寸法I34から、端子ピン22の最大差し渡し径寸法O22を引いた数値を上限として設定される。この構成によると、ソケット30と、蛍光灯2との間に取り付けることができる。
【0059】
消灯具1は、端子ピン22に取り付けられ、蛍光灯2とソケット30との間に介装されるものである。すなわち、消灯具1は、装置本体部3の電気回路の一部を構成するものではないから、照明装置の製造コスト高を招くことはない。しかも、消灯具1は、予め照明装置の製造工程で組み込まれるべきものでもないから、既設の照明機器に後付けして使用することができる。
【0060】
消灯具1は、樹脂材料を用いた一体成形物であるから、製造コストを低減することができる。しかも、消灯具1は、端子ピン22と給電電極33との間の開閉機構、又は、電気的な部品要素を有しないからから、薄型化及び小型化の必要が生じたとしても、製造コスト高を招くことはない。
【0061】
消灯具1は、蛍光灯2に取り付けられた状態で、一対の挿通孔13、13に端子ピン22が挿通されているから、外部からの摩擦や押し圧力などによる消灯具1の不正移動が抑制される。従って、ソケット30が回転式であったとしても、消灯具1が、端子ピン22とソケット30との間の摩擦や押し圧力を受けることはなく、破損が回避される。
【0062】
本発明の一実施形態に係る消灯具1によると、区画された1エリアに設けられた蛍光灯数が、そのスイッチボタン数よりも多い場合に、スイッチボタンでは消灯させられない一部の蛍光灯2を任意に、且、選択的に消灯させることができる。従って、一部の蛍光灯2を任意に消灯させることができる消灯具1、及び、これを用いた照明装置を提供することができる。
【0063】
図8は本発明のもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図、図9は図8に示した照明装置の分解構造を示す斜視図である。図8及び図9の照明装置は、図1乃至図7を参照して説明した消灯具1、及び、これを用いた照明装置の構成を全て有し、さらに反射板4を有している点に特徴がある。以下、反射板4を中心に説明する。
【0064】
図8及び図9の照明装置を構成する反射板4は、光反射面を有し、装置本体部3に取り付けられており、光反射面は、蛍光灯2に向かい合っている。より詳細に説明すると、図8及び図9の反射板4は、既設の照明機器を構成する反射器35に取り付けられるものであって、基板部40と、貫通孔41とを含む。
【0065】
基板部40は、平面からみて長方形形状であって、長辺の長さ寸法L4が、一対のソケット30、30の間隔G1以下となっている。基板部40は、好ましくはアルミ、ステンレスなど金属材料でなる断面V字形状の薄板であって、屈曲部44によって画定される2つの面部45、46で構成され、内面42が鏡面状に平滑化されて光反射面を構成し、外面43が反射器35への取付面となっている。
【0066】
屈曲部44は、断面V字形状の頂点であり、基板部40において、第1の面部45と、第2の面部46とを画定している。第1の面部45は、断面V字形状を有する基板部40の一方斜面である。第2の面部46は、断面V字形状を有する基板部40の他方斜面であって、屈曲部44を介して第1の面部45と連続している。図8及び図9において、第1、第2の面部45、46の形状、及び、面積は、屈曲部44を挟んでほぼ左右対称である。
【0067】
貫通孔41は、第1、第2の面部45、46において、反射器35の貫通孔36に重なる位置に設けられている。貫通孔41は、反射器35を台座部37に固定するために用いられている止め螺子5を挿通させるために用いられる螺子孔である。
【0068】
さらに、反射板4を既設の照明機器に設置する取り付け方法について、図9を参照して説明すると、まず、止め螺子5を反射器35、及び、台座部37から取り外し、次に、貫通孔41と、貫通孔36とが重なる関係で、反射板4を反射器35に位置決めし、次に、取り外した止め螺子5を、貫通孔41と、貫通孔36とを貫通させ、反射板4と、反射器35とを台座部37に螺子止めする。反射板4の長さ寸法L4は、一対のソケット30、30の対向間隔G1以下であり、反射板4は、第1の面部45の外面43を取付面として、斜面352に配置される。
【0069】
ところで、従来の複数灯式照明装置は、壁面などに取り付けられたスイッチボタン(図示しない)を操作して、全灯を一括して点灯及び消灯させる電気回路となっており、一部の蛍光灯2のみを任意に消灯させることはできない。
【0070】
上述した問題を解決するため、図8及び図9の照明装置は、一対の蛍光灯2、2のうち、反射板4が取り付けられていない蛍光灯2、すなわち点灯させる必要の無い蛍光灯2に消灯具1を取り付けることにより、スイッチボタンでは消灯させられない蛍光灯2を任意に、且、選択的に消灯させることができる。
【0071】
図10及び図11は、本発明の更にもう一つの実施形態に係る照明装置の斜視図である。図10及び図11の照明装置は、見栄えを考慮して一対の蛍光灯2、2のそれぞれに反射板4が取り付けられている点で、図8及び図9の照明装置とは異なる。
【0072】
まず、図10において、照明装置は、一対の蛍光灯2、2に反射板4、4が取り付けられている。反射板4のそれぞれは、図8及び図9を参照して説明したものでなり、両斜面352、353のそれぞれに、左右対称に設置されている。
【0073】
他方、図11の反射板4は、端的に言えば、図10に示した反射板4、4を一体的に結合した構造であって、連続する2つの反射板(4、4)でなり、幅方向に沿って凹凸を繰り返す断面W字形状、又は、断面M字形状となっている。
【0074】
図10及び図11の照明装置の実施形態によっても、図1乃至図9を参照して説明した消灯具1、及び、これを用いた照明装置の利点を全て有することができる。例えば、一対の蛍光灯2、2のうち、点灯させる必要の無い蛍光灯2に対して任意に消灯具1を取り付けることにより、一部の蛍光灯2を選択的に消灯させることができる。
【0075】
図8乃至図11を参照して説明したように、既設の複数灯式照明装置に対して反射板4を後付けした場合、反射板4によって照明効果が向上した分、一部の蛍光灯2を消灯させて節電をはかりつつ、反射板4の取り付け前と同等の明るさを維持することが可能となる。すなわち、消灯具1の利便性は、反射板4との組み合わせにおいて最もよく現れるから、例えば一対の消灯具1と反射板4とをセットとし、蛍光灯用節電アタッチメントとして販売することができる。
【0076】
図12及び図13は、本発明のもう一つの実施形態に係る消灯具の斜視図である。図1乃至図11を参照して説明したように、消灯具1は電極部(20)に回転不能に取り付けられること、端子ピン(22)を筒状部(16)で覆うことにより蛍光灯(2)への電力供給を遮断すること、及び、取付端面(21)の領域外にはみ出す第2の面領域12を有することにより取り付けの有無を外部から視認しやすくすることなどを、発明の特徴として有している。消灯具1は、上述した基本的構成を有し、同構成による作用効果を奏しうる限り、様々な具体的態様を有することができる。以下、図12及び図13において、特徴部分を中心に説明する。
【0077】
図12の消灯具1において、筒状部16は、複数の挿通孔13のうちの、1つの開口端15にのみ立設されている。第2の面領域12は、複数が第1の面領域11の周縁に等配されている。
【0078】
図12の実施形態によっても、図1乃至図11を参照して説明した利点を全て有することができる。さらに、第2の面領域12は、複数が第1の面領域11の周縁に等配されていることにより、取り付けの有無を外部から視認しやすくするとともに、花弁様の装飾効果を奏することができる。
【0079】
また、消灯具1は、一対の挿通孔13、13に一対の端子ピン22、22が挿通されているから、蛍光灯2の取付端面21に回転不能に取り付けられる。
【0080】
さらに図12の実施形態において、一対の端子ピン22、22の一方は、筒状部16に案内されず、基板部10の一面に露出しているから、露出している方の端子ピン22を操作することにより、消灯具1の位置決め作業、及び、着脱作業を容易に行うことができる。
【0081】
図13の消灯具1において、第2の面領域12は第1の面領域11の周縁部分から、筒状部16の立ち上がり方向T1とは反対方向T2に、鍔状に立ち上がっている。第1の面領域11の内面によって画定される空間110は、電極部(20)の収納空間となる。すなわち、消灯具1は、端子ピン(22)が筒状部(16)に案内された状態で、第2の面領域12が、蛍光灯(2)の端部から長手方向の中間部分までを覆うこととなる。この構成によると、蛍光灯2の端部に対する消灯具1の一体性が向上し、外部からの摩擦や、押し圧力に対する不正移動が回避される。
【0082】
また、第2の面領域12が、蛍光灯(2)の端部から長手方向の中間部分までを覆うこととにより、照明装置が天井などの高い位置に配置されている場合であっても、第2の面領域12を目印として、消灯具1を取り付けた蛍光灯(2)を容易に確認することができる。
【0083】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0084】
1 消灯具
10 基板部
11 第1の面領域
12 第2の面領域
13 挿通孔
15 開口端縁
16 筒状部
17 中空部
2 蛍光灯
20 電極部
21 取付端面
22 端子ピン
3 装置本体部
30 ソケット
4 反射板
T 厚み方向
T1 筒状部の立ち上がり方向
T2 反対方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と、筒状部とを含み、蛍光灯に分離可能に取り付けて用いられる消灯具であって、
前記蛍光灯は、電極部の端面に複数の端子ピンが立設されており、
前記基板部は、複数の挿通孔と、前記端面の領域内に向かい合う第1の面領域と、前記端面の領域外にはみ出す第2の面領域とを有しており、
前記複数の挿通孔は、前記第1の面領域において、前記複数の前記端子ピンのそれぞれと重なる位置に開設され、前記基板部を厚み方向に貫通しており、
前記筒状部は、電気絶縁性を有する樹脂材料で構成され、中空部を有し、前記複数の挿通孔のうち少なくとも1つの開口端に立設されており、
前記中空部は、前記挿通孔を通じて外部に繋がっている、
蛍光灯用消灯具。
【請求項2】
請求項1に記載された消灯具であって、
前記第2の面領域は、前記筒状部の立ち上がり方向とは反対方向に立ち上がっている、
蛍光灯用消灯具。
【請求項3】
消灯具と、装置本体部と、少なくとも1つの蛍光灯とを含む照明装置であって、
前記装置本体部は、蛍光灯に電力を供給するためのソケットを有しており、
前記蛍光灯は、前記電極部の端面に複数の端子ピンが立設されており、
前記消灯具は、請求項1又は2に記載されたものでなり、
前記複数の端子ピンは、前記複数の挿通孔のそれぞれに挿通され、且、前記複数の端子ピンのうち少なくとも1つが前記筒状部に覆われた状態で、前記ソケットに取り付けられている、
照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載された照明装置であって、さらに反射板を含み、
前記反射板は、光反射面を有し、前記装置本体部に取り付けられており、
前記光反射面は、蛍光灯に向かい合っている、
照明装置。
【請求項1】
基板部と、筒状部とを含み、蛍光灯に分離可能に取り付けて用いられる消灯具であって、
前記蛍光灯は、電極部の端面に複数の端子ピンが立設されており、
前記基板部は、複数の挿通孔と、前記端面の領域内に向かい合う第1の面領域と、前記端面の領域外にはみ出す第2の面領域とを有しており、
前記複数の挿通孔は、前記第1の面領域において、前記複数の前記端子ピンのそれぞれと重なる位置に開設され、前記基板部を厚み方向に貫通しており、
前記筒状部は、電気絶縁性を有する樹脂材料で構成され、中空部を有し、前記複数の挿通孔のうち少なくとも1つの開口端に立設されており、
前記中空部は、前記挿通孔を通じて外部に繋がっている、
蛍光灯用消灯具。
【請求項2】
請求項1に記載された消灯具であって、
前記第2の面領域は、前記筒状部の立ち上がり方向とは反対方向に立ち上がっている、
蛍光灯用消灯具。
【請求項3】
消灯具と、装置本体部と、少なくとも1つの蛍光灯とを含む照明装置であって、
前記装置本体部は、蛍光灯に電力を供給するためのソケットを有しており、
前記蛍光灯は、前記電極部の端面に複数の端子ピンが立設されており、
前記消灯具は、請求項1又は2に記載されたものでなり、
前記複数の端子ピンは、前記複数の挿通孔のそれぞれに挿通され、且、前記複数の端子ピンのうち少なくとも1つが前記筒状部に覆われた状態で、前記ソケットに取り付けられている、
照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載された照明装置であって、さらに反射板を含み、
前記反射板は、光反射面を有し、前記装置本体部に取り付けられており、
前記光反射面は、蛍光灯に向かい合っている、
照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−243594(P2012−243594A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113036(P2011−113036)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(593031470)河政工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(593031470)河政工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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