説明

血液処理フィルター、及び血液の濾過方法

【課題】濾過時に入口側の陽圧と出口側の陰圧とが生じても可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境を容易に構築でき、血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し易く、また、効率的な血液処理が可能になる血液処理フィルターを提供すること。
【解決手段】血液の入口5と出口6とを有する可撓性容器7と該容器内部を入口側と出口側とに隔てるように配置したシート状の血液処理フィルター材9を含む血液処理フィルター1Aであって、可撓性容器7は、血液処理フィルター材9を収容する容器本体10と、容器本体10に固定されて入口5または出口6を形成する入口側ポート部13と、を備え、入口側ポート部13は、血液を移送する導管に接続される入口側主管部21aと、入口側主管部21aを容器本体10の内部に連通させ、且つ入口側主管部21aを容器本体10の外表面に固定する固定部と、を有し、主管部の軸線は、容器本体の外表面の接線に対して傾斜している血液処理フィルターに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液から凝集物や白血球等の好ましくない成分を除去する為の血液処理フィルターに関する。特に輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などから副作用の原因となる微小凝集物や白血球を除去する目的で用いられる、精密で、且つ使い捨て可能な血液処理フィルターに関するものであって、特に容器の材質として樹脂材料などが用いられている可撓性のフィルター、及び該フィルターを用いた血液の濾過方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドナーから採血された全血は、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤等の血液成分製剤に分離され、貯蔵された後に輸血されるのが一般的となりつつある。またこれらの血液製剤に含まれる微小凝集物や白血球が種々の輸血副作用の原因となることから、輸血の前にこれらの好ましくない成分を除去してから輸血する、または、採血後これらの好ましくない成分を除去してから保存した後に輸血に用いられる方法が多く用いられている。
【0003】
血液製剤から白血球を除去する為の方法としては、血液製剤を白血球除去フィルターで処理するのが最も一般的である。白血球除去フィルターには、不織布や多孔質体からなるフィルター要素を、採血分離セットのバッグに使用されているものと同一または類似の、可撓性かつ蒸気浸透性に優れる素材を容器に用いた、可撓性容器の白血球除去フィルターまたは、不織布や多孔質体からなるフィルター要素をポリカーボネート等の硬質容器に充填したものの二種類が用いられている。
【0004】
通常これらの白血球除去フィルターで血液を処理する際は、フィルターの血液入口側に導管を介して接続されている、処理されるべき血液製剤が入ったバッグを、フィルターよりも20cmから100cm程高い位置に置き、重力の作用によって血液製剤をフィルターに通し、フィルターの血液出口側に導管を介して接続された回収バッグに濾過後の血液製剤を収容する。可撓性容器の白血球除去フィルターの場合、濾過の最中にはフィルター要素の抵抗によって圧力損失が生じ、フィルター入口側の空間は陽圧となる。可撓性容器からなるフィルターの場合、容器が可撓性であるが故、この陽圧によって容器は風船状に膨らみ、フィルター要素は出口側の容器に押しつけられる。
【0005】
一方、出口側容器とフィルター要素との空隙は、出口に接続された導管内の血液が重力によって落下して、通常フィルターよりも50〜100cm低い位置に置かれた濾過後の血液を収納するためのバッグへと移動しようとするため、この作用によって逆に陰圧となり、可撓性容器はフィルター要素に密着する傾向を示す。即ち、フィルター要素は二重の力によって出口側容器と密着し、血液の流れが阻害される。
【0006】
なお、フィルター要素と出口側容器との密着を防止するために、比較的安価なオートクレーブ滅菌時に対応可能なポリカーボネート等の硬質容器の採用も考えられる。しかしながら、血液製剤の処理に用いられるために装置全体の滅菌が必要となることを考慮すると、上記の硬質容器に充填した場合、蒸気の浸透性が悪く長時間の滅菌時間が必要となる。また、長時間のオートクレーブ滅菌を実施すると、血液保存液の劣化等が起こるため、フィルターで滅菌した後に、血液バック、回路等を接続した後に滅菌する等の煩雑な作業を実施する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、濾過時に入口側の陽圧と出口側の陰圧とが生じても可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境を容易に構築でき、血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し易く、また、効率的な血液処理が可能になる血液処理フィルター、及び該血液処理フィルターを用いた血液の濾過方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
可撓性容器を備えた従来の血液処理フィルターでは、血液の出入口となるポートが設けられている。そこで、例えば、出口側のポートに接続された血液チューブを引っ張ることで出口側容器がフィルター要素に密着することを防ぐことが可能である。しかしながら、従来の血液処理フィルターの場合、例えば、可撓性容器の外表面の接線方向に突き出したタンジェンシャルポートが採用されており、この種の血液処理フィルターでは、出口側容器をフィルター要素から離間させる方向に引っ張ると血液チューブなどの導管が折れて流路が閉塞してしまう可能性もあって改良の余地があった。本発明者らは、血液を移送する導管とポートとの間での流路閉塞の防止と出口側容器とフィルター要素との密着防止とを両立すべく鋭意研究した結果、本発明を得るに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、血液の入口と出口とを有する可撓性容器と該容器内部を入口側と出口側とに隔てるように配置したシート状の血液処理フィルター材を含む血液処理フィルターであって、可撓性容器は、血液処理フィルター材を収容する容器本体と、容器本体に固定されて入口または出口を形成する傾斜ポート部と、を備え、傾斜ポート部は、血液を移送する導管に接続される主管部と、主管部を容器本体の内部に連通させ、且つ主管部を容器本体の外表面に固定する固定部と、を有し、主管部の軸線は、容器本体の外表面の接線に対して傾斜している血液処理フィルターに関する。
【0010】
例えば、容器本体と血液処理フィルター材とを離間させようとして、血液チューブなどの導管に引っ張り力を付与した場合であっても、この血液処理フィルターでは、導管が接続された主管部の軸線が容器本体の外表面の接線に対して傾斜しているため、導管は折れ難くて流路の閉塞を誘発し難い。さらに、主管部に引っ張り力を付与することで容器本体と血液処理フィルター材とを簡単に離間させることができる。従って、上記の血液処理フィルターによれば、濾過時に入口側の陽圧と出口側の陰圧とが生じても可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境を容易に構築でき、血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し易く、また、効率的な血液処理が可能になる。
【0011】
さらに、傾斜ポート部は入口を形成する入口側ポート部である血液処理フィルターとすることも可能である。
【0012】
さらに、傾斜ポート部は出口を形成する出口側ポート部である血液処理フィルターとすることも可能である。
【0013】
さらに、傾斜ポート部は入口を形成する入口側ポート部と出口を形成する出口側ポート部の両方である血液処理フィルターとすることも可能である。
【0014】
また、本発明は、血液の入口と出口とを有する可撓性容器と該容器内部を入口側と出口側とに隔てるように配置したシート状の血液処理フィルター材とを含む血液処理フィルターを用いた血液の濾過方法であって、可撓性容器は、血液処理フィルター材を収容する容器本体と、容器本体に固定されて前記入口または前記出口を形成する傾斜ポート部と、を備え、傾斜ポート部は、管状の主管部と、主管部を容器本体の内部に連通させ、且つ主管部を容器本体の外表面に固定する固定部と、を有しており、主管部を容器本体の外表面に対して傾け、さらに主管部に対して血液処理フィルター材から離間する方向に引っ張り力を付与して血液処理フィルター材と容器本体との間に空間を確保しながら濾過する血液の濾過方法に関する。
【0015】
この濾過方法では、主管部を容器本体の外表面に対して傾けるので主管部に接続された導管は折れ難くて流路の閉塞を誘発し難い。さらに、さらに、主管部に対して血液処理フィルター材から離間する方向に引っ張り力を付与して血液処理フィルター材と容器本体との間に空間を確保しながら濾過することで、可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境を容易に構築でき、血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し易く、また、効率的な血液処理が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、濾過時に入口側の陽圧と出口側の陰圧とが生じても可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境を容易に構築でき、血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し易く、また、効率的な血液処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る血液処理フィルターの平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った縦断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る血液処理フィルターを使用して血液の濾過を行っている状態の断面を示す説明図である。
【図4】図4は、比較例に係る血液処理フィルターを使用して血液の濾過を行っている状態の断面を示す説明図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る血液処理フィルターの入口側ポート部を拡大して示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る血液処理フィルターの出口側ポート部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態中で説明する血液とは、輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などの血液製剤を含む。また、血液処理フィルターの外形は、矩形状、円盤状、長円盤状、楕円状などの様々態様を採用できるが、製造時の材料ロスを少なくするためには矩形状が好ましく、従って、以下の実施形態では矩形状を例に説明する。
【0019】
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aについて説明する。血液処理フィルター1Aは、血液の入口5と出口6を有する可撓性容器7と、可撓性容器7の内部を入口5側と出口6側とに隔てるように配置したシート状の血液処理フィルター材9とを備えている。以下の説明では、血液処理フィルター材9に沿った平面を第1平面と仮定し、入口5の中心と出口6の中心とを含む仮想の平面を第2平面と仮定した場合に、第1平面と第2平面との交線に沿った方向を縦方向Daとし、縦方向Daに直交し、且つ第1平面に沿った方向を横方向Dbとして説明する。
【0020】
可撓性容器7は、矩形扁平状の容器である。扁平状とは、厚みが薄くて面が広い形状を意図する。可撓性容器7は、入口5側となる矩形シート状の入口側容器11と、出口6側となる矩形シート状の出口側容器12とを備えている。入口側容器11と出口側容器12とは、矩形状の血液処理フィルター材9を介して重なり合っており、血液処理フィルター材9の周縁を挟み付けるように接着されている。血液処理フィルター材9の周縁に沿った帯状の接着領域は内側シール部7aであり、内側シール部7aよりも内側の内部領域は血液が流動する濾過領域となる。
【0021】
また、入口側容器11と出口側容器12とは、内側シール部7aよりも外側で周縁同士が互いに接着されている。入口側容器11と出口側容器12とが直接接着された帯状の接着領域は外側シール部7bである。入口側容器11と出口側容器12とによって血液処理フィルター材9を収容する容器本体10が形成される。
【0022】
入口側容器11には、血液を移送する血液チューブなどの導管14Aが接続される入口側ポート部(傾斜ポート部)13が一体的に形成されている。入口側ポート部13は、容器本体10の縦方向Daの一方の端部10a側にずれて配置されている。
【0023】
入口側ポート部13は、導管14Aが接続されて血液を受け入れる入口側主管部13aと、入口側主管部13aを入口側容器11に固定する入口側固定部13bとを備えている。入口側固定部13bは、入口側容器11に形成された土台部分であり、入口側主管部13aは、入口側固定部13bに対して屈曲して突き出すように設けられている。
【0024】
入口側主管部13aの先端には入口5が形成され、入口5には導管14Aが嵌め込まれて固定される連結穴20Aが形成されている。入口側主管部13aの内部には入口5に連通する入口流路13cが形成されている。入口流路13cは入口側固定部13bに形成された連通孔13dを介して容器本体10の内部(濾過領域)に連通している。なお、本実施形態に係る入口側ポート部13は入口側容器11に一体成形されているが、入口側ポート部13と入口側容器11とが別部材によって形成され、溶着などで一体化された態様であってもよい。
【0025】
入口側主管部13aの軸線Laは、入口側容器11の外表面11aの接線Taに対して傾斜角θaで傾斜している。なお、傾斜角θaは、0°<θa<90°であり、30°<θa<90°がより好ましい。また、傾斜角θaは、入口5側が上、出口6側が下となるように血液処理フィルター1Aを縦に配置した場合に、上側を基準として狭角となる角度を意図する。
【0026】
出口側容器12には、血液の出口6を形成する出口側ポート部(傾斜ポート部)15が一体的に形成されている。出口側ポート部15は、容器本体10の中心を基準にして入口側ポート部13と点対称となるように配置されている。
【0027】
出口側ポート部15は、導管14Bが接続されて血液を排出する出口側主管部15aと、出口側主管部15aを出口側容器12に固定する出口側固定部15bとを備えている。出口側固定部15bは、出口側容器12に形成された土台部分であり、出口側主管部15aは、出口側固定部15bに対して屈曲して突き出すように設けられている。
【0028】
出口側主管部15aの先端には出口6が形成され、出口6には導管14Bが嵌め込まれて固定される連結穴20Bが形成されている。出口側主管部15aの内部には出口6に連通する出口流路15cが形成されている。入口側主管部13aの基端側は出口側固定部15bに連結され、出口流路15cは出口側固定部15bに形成された連通孔15dを介して容器本体10の内部(濾過領域)に連通している。なお、本実施形態に係る出口側ポート部15は出口側容器12に一体成形されているが、出口側ポート部15と出口側容器12とが別部材によって形成され、溶着などで一体化された態様であってもよい。出口側ポート部15は成型品であることが好ましい。さらにインジェクション成型であることがより好ましい。
【0029】
出口側主管部15aの軸線Lbは、出口側容器12の外表面12aの接線Tbに対して傾斜角θbで傾斜している。なお、傾斜角θbは、0°<θb<90°であり、30°<θb<90°がより好ましい。また、傾斜角θbは、入口5側が上、出口6側が下となるように血液処理フィルター1Aを縦に配置した場合に、下側を基準として狭角となる角度を意図する。
【0030】
上述のように入口側容器11及び出口側容器12によって血液処理フィルター材9を収容する容器本体10が形成される。容器本体10は可撓性樹脂を用いて製造され、例えば、合成樹脂製のシート状部材を用いて形成されるのが好ましく、更に熱可塑性樹脂を用いて形成されることが好ましい。シート状部材を用いる理由は、外側シール部7bを周方向で均一な厚みとし、また、内側シール部7aを周方向で均一な厚みとする必要があるためである。つまり、外側シール部7bが均一の厚みとなり、また、内側シール部7aが均一の厚みとなるように形成される態様であれば、フィルム状部材を用いて形成する態様や射出成形品から容器本体10が作られた態様などであってもよい。
【0031】
本実施形態に係る入口側容器11または出口側容器12に用いる可撓性樹脂は、シートまたはフィルムとして市販されている材料であれば使用することはできる。例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン、スチレンーブタジエンースチレン共重合体の水添物、スチレンーイソプレンースチレン共重合体またはその水添物等の熱可塑性エラストマー、及び、熱可塑性エラストマーとポリオレフィン、エチレン−エチルアクリレート等の軟化剤との混合物等が好適な材料として挙げられる。血液との接触が考えられるため、好ましくは血液バック等の医療品の材料として用いられている、軟質塩化ビニル、ポリウレタン、ポリオレフィン、及び、これらを主成分とする熱可塑性エラストマーであり、更に好ましくは軟質塩化ビニルである。
【0032】
なお、入口側容器11は、すべてが硬質の樹脂からできていてもよいし、一部が可撓性樹脂となっていてもよい。入口側容器11の面積の10%以上の面積が可撓性容器となっていれば、オートクレーブ滅菌時の水蒸気透過性がよくなり、滅菌時間を短縮することができる。
【0033】
本実施形態に係る血液処理フィルター材9は、不織布や織布などの繊維状多孔性媒体や、スポンジ状構造物などの三次元網目状連続細孔を有する多孔質体などの公知の濾過媒体を用いることができ、メッシュやスクリーンなどの溶着性に優れないものは該当しない。血液処理フィルター材9としての利用に適した素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレンーイソブチレンースチレン共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、等が挙げられる。血液処理フィルター材9が不織布である場合には、生産性の点から特に好ましい。
【0034】
また、シート状の血液処理フィルター材9は、単一のフィルター要素でもよく、また複数のフィルター要素から形成されていてもよい。複数のフィルター要素から形成される場合、上流(入口5側)に配置された微小凝集物を除去する第一のフィルター要素と、第一のフィルター要素の下流に配置された白血球を除去するための第二のフィルター要素からなるのが好ましい。例えば、入口5側に繊維径が数〜数十μmの不織布からなるフィルター材を、凝集物除去のための第一のフィルター要素として配置し、次に繊維径が0.3〜3.0μmの不織布からなるフィルター材を、白血球を除去するための第二のフィルター要素として配置し、更に下流側に特定の空間を有するポストフィルターを積層して用いることができる。
【0035】
第一、第二のフィルター材は、それぞれが更に複数種類のフィルター材から構成されていてもよく、片方のみが複数種類のフィルター材から構成されてもよい。例えば繊維径が30〜40μmの不織布および/または繊維径が10〜20μmの不織布からなる(繊維径が30〜40μmの不織布および繊維径が10〜20μmの不織布の少なくとも一方からなる)第一のフィルター材を上流側(入口5側)に配置し、第一のフィルター材の下流側に繊維径が1.5〜2.5μmの不織布および/または繊維径が0.5〜1.8μmの不織布からなる(繊維径が1.5〜2.5μmの不織布および繊維径が0.5〜1.8μmの不織布の少なくとも一方からなる)第二のフィルター材を配置して用いても良い。また太い繊維径の不織布と細い繊維径の不織布が交互に配置されていても良いが、太い繊維径の不織布が上流側(入口5側)に配置されている方が好ましい。
【0036】
また、内側シール部7aを形成するために血液処理フィルター材9と入口側容器11及び出口側容器12との接着は、高周波溶着を用いて行いて行うことができ、入口側容器11及び出口側容器12と血液処理フィルター材9とを一括で溶着してもよいし、入口側容器11と血液処理フィルター材9とを溶着し、その時で血液処理フィルター材9と入口側容器11とを溶着するようにしてもよい。つまり、入口側容器11、血液処理フィルター材9、出口側容器12の順番に配置され、血液を入れても、系外に漏れることはなく、また、入口側容器11に設けられた入口5から入れられた血液(血液製剤)の99%以上が血液処理フィルター材9を通過した後に、出口側容器12に設けられた出口6から出る構造となっていれば、容器本体10と血液処理フィルター材9との接着方法は、溶着に限らず、他の方法でもよい。
【0037】
次に、血液処理フィルター1Aを用いた濾過方法及び血液処理フィルター1Aの利点について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、血液処理フィルター1Aを使用して血液の濾過を行っている状態の断面を示す説明図であり、図4は、比較例に係る血液処理フィルターを使用して血液の濾過を行っている状態の断面を示す説明図である。
【0038】
血液処理フィルター1Aを用いて血液の濾過処理を行う際は、処理されるべき血液(血液製剤)が入った第1のバッグを、血液処理フィルター1Aよりも20cmから100cm程高い位置に置き、第1のバッグと血液処理フィルター1Aの入口5側とを導管14Aを介して接続する。この状態で、血液処理フィルター1Aは入口5側の導管14Aで吊り下げられた状態になっている。そして、導管14Aが接続された入口側主管部13aは、入口側主管部13aの軸線Laが入口側容器11の外表面11aの接線Taに対して傾斜しているため、入口側主管部13aに対して血液処理フィルター材9から離間する方向に引っ張り力Faを付与した状態になっている。
【0039】
一方、濾過後の血液を収納するための第2のバッグを血液処理フィルター1Aよりも50〜100cm低い位置に置き、第2のバッグと血液処理フィルター1Aの出口6側とを導管14Bを介して接続する。この状態で、血液処理フィルター1Aは出口6側には、導管14Bを介して第2のバッグが吊り下げられた状態になっている。そして、導管14Bが接続された出口側主管部15aは、出口側主管部15aの軸線Lbが出口側容器12の外表面12aの接線Tbに対して傾斜しているため、第2のバッグに蓄えられる血液の増加に応じて、出口側主管部15aに対して血液処理フィルター材9から離間する方向に引っ張り力Fbが付与される状態になっている。
【0040】
上述のセッティングが完了した後にバルブなどを開いて流路を開放すると、血液の濾過が開始され、重力の作用によって第1のバッグから血液処理フィルター1Aに血液が流入し、さらに、血液処理フィルター1Aで濾過された血液が血液処理フィルター1Aから第2のバッグに流入する。
【0041】
ここで、血液処理フィルター1Aの入口5側では、血液処理フィルター材9の抵抗によって圧力損失が生じ、可撓性容器7の入口5側の空間Saは陽圧となる。この陽圧によって可撓性容器7の入口5側は風船状に膨らみ、血液処理フィルター材9は出口6側に押される。また、血液処理フィルター1Aの出口6側では、出口6から血液が重力によって吸い出されることで陰圧となり、従って、出口側容器12と血液処理フィルター9との空間Sbは狭くなる方向に力が作用する。
【0042】
しかしながら、血液処理フィルター1Aの入口5側では、入口側主管部13aに対して血液処理フィルター材9から離間する方向に引っ張り力Faを付与した状態になっている。従って、血液処理フィルター材9を出口6側に押し付ける力を低減でき、血液処理フィルター材9と容器本体10との間に空間を確保しながら濾過するようになる。
【0043】
また、血液処理フィルター1Aの出口6側では、出口側主管部15aに対して血液処理フィルター材9から離間する方向に引っ張り力Fbを付与する状態になっている。従って、血液処理フィルター材9から出口側容器12を積極的に引き離すことができて血液処理フィルター材9と容器本体10との間に空間Sbを確保しながら濾過するようになる。
【0044】
一方で、図4に示されるように比較例に係る血液処理フィルター(以下、「比較フィルター」という)100は、出入口となるポート101,102が容器本体103の外表面103aの接線Tk,Tmに沿って形成されている。従って、上述同様に比較フィルター100をセッティングしたとしても、入口側での比較フィルター100の吊り下げによって生じる引っ張り力Fkは容器本体103の外表面103aに沿った上方向に作用し、また、出口側での第2のバッグの吊り下げによって生じる引っ張り力Fmは容器本体103の外表面103aに沿った下方向に作用する。
【0045】
容器本体103の外表面103aは内部に収容された血液処理フィルター材104に略平行である。従って、上下に引っ張り力Fk,Fmが作用したとしても、実質的に血液処理フィルター材104と容器本体103とが離間する方向に力が作用しているとは言えず、血液処理フィルター材104と容器本体103との間の密着を防止できない。
【0046】
また、ポート101,102に接続された導管14C,14Dを強引に引っ張り、容器本体103を血液処理フィルター材104から離間させようとした場合、ポート101,102は容器本体103の接線Tk,Twに沿って形成されているため、どうしても導管14C,14Dを折り曲げる方向に力を加える必要があり、従って、導管14C,14Dが潰れて流路の閉塞を生じさせてしまう。
【0047】
比較フィルター100に対して血液処理フィルター1Aによれば、導管14Aが接続された入口側主管部13aは、入口側主管部13aの軸線Laが入口側容器11の外表面11aの接線Taに対して傾斜しているため、導管14Aを折り曲げる方向に力がかかり難く、従って、流路の閉塞も生じ難い。また、導管14Bが接続された出口側主管部15aも同様であり、出口側主管部15aの軸線Lbが出口側容器12の外表面12aの接線Tbに対して傾斜しているため、導管14Bを折り曲げる方向に力がかかり難く、従って、流路の閉塞も生じ難い。
【0048】
従って、本実施形態に係る血液処理フィルター1Aによれば、濾過時に入口5側の陽圧と出口6側の陰圧とが生じても可撓性容器7と血液処理フィルター材9との間で密着し難い環境を容易に構築でき、血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し易く、また、効率的な血液処理が可能になる。なお、本実施形態に係る血液処理フィルター1Aでは、傾斜ポート部を入口側と出口側との両方に形成しているが入口側及び出口側の一方のみを傾斜ポート部とすることも可能である。
【0049】
次に、第2実施形態に係る血液処理フィルター1Bについて、図5及び図6を参照して説明する。なお、本実施形態に係る血液処理フィルター1Bについて第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aと同様の要素や部材については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。また、本実施形態に係る血液処理フィルター1Bは、基本的に第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aと同一の材料を用いて製造することができる。
【0050】
図5及び図6に示されるように、第2実施形態に係る血液処理フィルター1Bは、入口側ポート部(傾斜ポート部)21と出口側ポート部(傾斜ポート部)23の形状が第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aとは異なる。
【0051】
本実施形態に係る入口側ポート部21(図5参照)は、入口側容器11から直線状に突き出すように形成されており、入口側容器11に結合する根本部分が入口側固定部21bであり、入口側固定部21bから突き出した外側の管状部分が入口側主管部21aである。入口側主管部21aの先端には入口5が形成され、入口5には導管14Aが嵌め込まれて固定される連結穴20Cが形成されている。入口側主管部21aの内部には入口5と容器本体10の内部とを連通する入口流路21cが形成されている。
【0052】
入口側主管部21aの軸線Lcは、入口側容器11の外表面11aの接線Taに対して傾斜角θcで傾斜している。なお、傾斜角θcは、0°<θc<90°であり、30°<θc<90°がより好ましい。また、傾斜角θcは、入口5側が上、出口6側が下となるように血液処理フィルター1Bを縦に配置した場合に、上側を基準として狭角となる角度を意図する。
【0053】
また、本実施形態に係る入口側ポート部21は、入口側主管部21aを所定の傾斜角θcで保持するためのスペーサ25を備えている。スペーサ25は、例えば、断面三角形状、断面扇状、断面四角形状(断面菱形や断面平行四辺形など)の部材であり、傾斜角θcとなる挟角側に固定されることで、入口側主管部21aを所定の傾斜角θcで保持する。また、スペーサ25は、入口側主管部21aの傾斜角θcとなる挟角側に所定の空間を形成できるような部材であってもよい。
【0054】
出口側ポート部23(図6参照)は、出口側容器12から直線状に突き出すように形成されており、出口側容器12に結合する根本部分が出口側固定部23bであり、出口側固定部23bから突き出した外側の管状部分が出口側主管部23aである。出口側主管部23aの先端には出口6が形成され、出口6には導管14Bが嵌め込まれて固定される連結穴20Dが形成されている。出口側主管部23aの内部には出口6と容器本体10の内部とを連通する出口流路23cが形成されている。
【0055】
出口側主管部23aの軸線Ldは、出口側容器12の外表面12aの接線Tbに対して傾斜角θdで傾斜している。なお、傾斜角θdは、0°<θd<90°であり、30°<θd<90°がより好ましい。また、傾斜角θdは、入口5側が上、出口6側が下となるように血液処理フィルター1Bを縦に配置した場合に、上側を基準として狭角となる角度を意図する。
【0056】
また、本実施形態に係る出口側ポート部23は、出口側主管部23aを所定の傾斜角θdで保持するためのスペーサ27を備えている。スペーサ27は、例えば、断面三角形状、断面扇状、断面四角形状(断面菱形や断面平行四辺形など)の部材であり、傾斜角θdとなる挟角側に固定されることで、出口側主管部23aを所定の傾斜角θdで保持する。また、スペーサ27は、出口側主管部23aの傾斜角θdとなる挟角側に所定の空間を形成できるような部材であってもよい。
【0057】
本実施形態に係る血液処理フィルター1Bによれば、濾過時に入口側の陽圧と出口側の陰圧とが生じても可撓性容器7と血液処理フィルター材9との間で密着し難い環境を容易に構築でき、血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し易く、また、効率的な血液処理が可能になる。
【0058】
例えば、血液処理フィルター1Bは、第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aと同様に、入口側主管部21a及び出口側主管部23aを容器本体10の外表面11a,12aに対して傾け、さらに、入口側主管部21a及び出口側主管部23aに対して血液処理フィルター材9から離間する方向に引っ張り力を付与して血液処理フィルター材9と容器本体10との間に空間を確保しながら濾過することができる。
【0059】
スペーサ25,27を用いることで傾斜角(図5のθcと図6のθd)を固定することが可能である。したがって、入口側と出口側の導管14A,14Bを単に引っ張るのみで目的とする空間Sbを作ることが容易である。さらに、入口側ポート部21または出口側ポート部23の強度を向上させるので、引っ張ることにより外表面11a,12aと各ポート部21,23との溶着部分が破損することを防ぐ効果を有する。
なお、本実施形態に係る血液処理フィルター1Bでは、傾斜ポート部を入口側と出口側との両方に形成しているが入口側及び出口側の一方のみを傾斜ポート部とすることも可能である。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0061】
[血液中の白血球数の定量方法]
血液中の白血球濃度は、フローサイトメトリー法で行った。フローサイトメーター(BECTON DICKINSON社製 FACSCalibur)を使用し、サンプリングした血液100μL中の白血球数を、ビーズ入りLeucocountキット(日本ベクトン・ディッキンソン社)を用いて計数した。
また、残存白血球数は下記式を用いて求めた。
【0062】
残存白血球数(個)=濾過後血液の白血球濃度(個/μL)×[(濾過後血液の回収重量(g)÷1.08(濾過後血液の比重))×10
【0063】
[実施例1]
図2に示す入口側ポート部と出口側ポート部を有するFlexRCフィルター(旭化成メディカル(株)社製、有効濾過膜面積42.2cm)を用いて赤血球製剤(白血球数:9.6×10個)320mlを濾過した。血液バックとFlexRCフィルター(以下、第1実施例フィルター)との間の落差75cmにした。
【0064】
図3における空間Sbが得られるように第1実施例フィルターに接続された導管を引っ張って固定した。図2におけるθaとθbのそれぞれの値は45°であった。
【0065】
初期線速0.21ml/分/cm、平均線速度ml/分/cm、最終線速度0.15ml/分/cmであった。濾過時間は42.1分、第1実施例フィルターでの濾過後の赤血球製剤中の残存白血球数は5.0(Log WBC)個であった。本発明の第1実施例に係る傾斜ポート部を用いることにより、可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境(空間)を容易に構築できることが明らかとなった。血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し、且つ、効率的な血液処理が可能になった結果、比較例1と比べて濾過時間並びに白血球除去能が向上した。
【0066】
[実施例2]
図2におけるθaとθbのそれぞれの値を78°にした以外は実施例1と同様な操作を行った。このFlexRCフィルターを以下、第2実施例フィルターという。
【0067】
初期線速0.24ml/分/cm、平均線速度0.20ml/分/cm、最終線速度0.17ml/分/cmであった。濾過時間は37.9分、第2実施例フィルターの濾過後の赤血球製剤中の残存白血球数は4.8(Log WBC)個であった。本発明の第2実施例に係る傾斜ポート部を用いることにより、可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境(空間)を容易に構築できることが明らかとなった。血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し、且つ、効率的な血液処理が可能になった結果、比較例1と比べて濾過時間並びに白血球除去能が向上した。
【0068】
[実施例3]
図5に示す入口側ポート部と図6に示す出口側ポート部を有するFlexRCフィルター(旭化成メディカル(株)社製、有効濾過膜面積42.2cm)を用いて赤血球製剤(白血球数:9.6×10個)320mlを濾過した。血液バックとFlexRCフィルター(以下、第3実施例フィルターという)との間の落差75cmにした。
【0069】
図6における空間Sbが得られるように第3実施例フィルターに接続された導管を引っ張って固定した。スペーサを用いて図5におけるθcと図6におけるθdのそれぞれの値が30°になるように設定した。
【0070】
初期線速0.19ml/分/cm、平均線速度0.17ml/分/cm、最終線速度0.14ml/分/cmであった。濾過時間は44.6分、第3実施例フィルターでの濾過後の赤血球製剤中の残存白血球数は5.1(Log WBC)個であった。本発明の第3実施例に係る傾斜ポート部を用いることにより、可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境(空間)を容易に構築できることが明らかとなった。血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し、且つ、効率的な血液処理が可能になった結果、比較例1と比べて濾過時間並びに白血球除去能が向上した。
【0071】
[実施例4]
図5におけるθcと図6におけるθdのそれぞれの値が88°になるように設定した以外は実施例3と同様な操作を行った。このFlexRCフィルターを以下、第4実施例フィルターという。
【0072】
初期線速0.26ml/分/cm、平均線速度0.22ml/分/cm、最終線速度0.18ml/分/cmであった。濾過時間は34.5分、第4実施例フィルターでの濾過後の赤血球製剤中の残存白血球数は5.5(Log WBC)個であった。本発明の第4実施例に係る傾斜ポート部を用いることにより、可撓性容器と血液処理フィルター材との間で密着し難い環境(空間)を容易に構築できることが明らかとなった。血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し、且つ、効率的な血液処理が可能になった結果、比較例1と比べて濾過時間並びに白血球除去能が向上した。
【0073】
[比較例1]
赤血球製剤(白血球数:9.6×10個)320mlをFlexRCフィルター(旭化成メディカル(株)社製、有効濾過膜面積42.2cm2)を用いて濾過を行った。血液バックとFlexRCフィルター(以下、第1比較例フィルター)との間の落差75cmにした。初期線速0.18ml/分/cm、平均線速度0.16ml/分/cm、最終線速度0.14ml/分/cmであった。濾過時間は47.4分、第1比較例フィルターでの濾過後の赤血球製剤中の残存白血球数は5.2(Log WBC)個であった。濾過時において、入口側は血液で満たされて陽圧状態であった。また、濾過時において、出口側は陰圧が生じて、可撓性容器と血液処理フィルター材との間が密着していた。濾過時における第1比較例フィルターの構造及び状態は図4に例示したとおりであった。
【0074】
[比較例2]
比較例1の導管(図4の14C及び14D)の、それそれを引っ張って出口側に空間を作ろうとした。しかしながら、該導管が折れてしまって、血液が流れない結果となった。
【0075】
[総合評価]
上記実施例に示すように、本発明の各実施例に係るフィルターは血液処理フィルター材と出口側容器との間に空間が得られるので、血液の流れが阻害されずに均一な流れを確保し、且つ、効率的な血液処理が可能になった結果、比較例と比べて濾過時間並びに白血球除去能が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の血液処理フィルターは、医薬用途、医療用途、及び一般工業用途の濾過膜として、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B…血液処理フィルター、5…入口、6…出口、7…可撓性容器、9…血液処理フィルター材、10…容器本体、11a,12a…外表面、13,21…入口側ポート部(傾斜ポート部)、13a,21a…入口側主管部、13b,21b…入口側固定部、15,23…出口側ポート部(傾斜ポート部)、15a,23a…出口側主管部、15b,23b…出口側固定部、La,Lb,Lc,Ld…軸線、Ta,Tb…接線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液の入口と出口とを有する可撓性容器と該容器内部を入口側と出口側とに隔てるように配置したシート状の血液処理フィルター材を含む血液処理フィルターであって、
前記可撓性容器は、前記血液処理フィルター材を収容する容器本体と、前記容器本体に固定されて前記入口または前記出口を形成する傾斜ポート部と、を備え、
前記傾斜ポート部は、血液を移送する導管に接続される主管部と、前記主管部を前記容器本体の内部に連通させ、且つ前記主管部を前記容器本体の外表面に固定する固定部と、を有し、
前記主管部の軸線は、前記容器本体の外表面の接線に対して傾斜している血液処理フィルター。
【請求項2】
前記傾斜ポート部は前記入口を形成する入口側ポート部である請求項1記載の血液処理フィルター。
【請求項3】
前記傾斜ポート部は前記出口を形成する出口側ポート部である請求項1記載の血液処理フィルター。
【請求項4】
前記傾斜ポート部は前記入口を形成する入口側ポート部と前記出口を形成する出口側ポート部の両方である請求項1記載の血液処理フィルター。
【請求項5】
血液の入口と出口とを有する可撓性容器と該容器内部を入口側と出口側とに隔てるように配置したシート状の血液処理フィルター材とを含む血液処理フィルターを用いた血液の濾過方法であって、
前記可撓性容器は、前記血液処理フィルター材を収容する容器本体と、前記容器本体に固定されて前記入口または前記出口を形成する傾斜ポート部と、を備え、前記傾斜ポート部は、血液を移送する導管に接続される主管部と、前記主管部を前記容器本体の内部に連通させ、且つ前記主管部を前記容器本体の外表面に固定する固定部と、を有しており、
前記主管部を前記容器本体の外表面に対して傾け、さらに、前記主管部に対して血液処理フィルター材から離間する方向に引っ張り力を付与して前記血液処理フィルター材と前記容器本体との間に空間を確保しながら濾過する血液の濾過方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−72816(P2011−72816A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−293735(P2010−293735)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(507365204)旭化成メディカル株式会社 (65)
【Fターム(参考)】