説明

血液等の生体液を分析するモジュラー装置

本発明は、生体液分析システムにおける使用を意図したモジュラー装置(100)に関する。本発明の装置は、油圧部品(103、104、105)を支持する支持部をそれぞれ有する複数の機能モジュール(101、102)を備え、支持部は、少なくとも二枚の板(101’および101”、102’および102”)であって、並んで組み立てられるとチャネルを画成する回路がエッチングされた少なくとも二枚の板を含む。本発明によると、機能モジュールは、分析されるべき流体を調製し、かつ少なくとも一つの希釈タンク(103)を支持する調製第1機能モジュール(101)と、希釈タンク(103)で調製された流体を分析ユニットに注入する注入第2機能モジュール(102)とを少なくとも含み、第1および第2機能モジュール(101、102)は互いに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、血漿等の生体液を分析するシステムの一般分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明は、血液分析装置としても公知の血液サンプル分析装置に適用される。
細胞計数として知られている主な血液検査は、血液中の細胞成分を計数することを含む。主な成分は、赤血球、白血球、および、血小板である。これは、医師や獣医にとって重要な診断ツールである。
【0003】
通常、該計数は、資格のある技師によって私的または公的な医療分析研究所で行われる。国によっては、医師は自身の診療室で分析を行うこともできる。毎日実施される計数の数は、非常に変わりやすく、私的か公的かに関わらず、医師の診療室で行われる一日当たり数回の試験から非常に大きな研究所で行われる数千回といった範囲に及ぶ。
【0004】
そのため、分析システムの製造業者は、クライアントそれぞれの特定のニーズを満たすよう幅広い種類のシステムを入手可能にすることが強いられている。分析システムは、そのスループット率、供給する血液パラメータ数、および、自動化される程度によって特徴付けられる。
【0005】
スループット率は、範囲内のシステムのレベルに依存して、1時間当たり60乃至120回の試験の範囲にあり、この際、操作者はより多くのあるいはより少ない数の操作を手動で行い、場合よっては、細胞の計数が制限されるか、さもなければ、特に白血球のサブファミリーを区別するためにスループット率が拡大される。
【0006】
マニホールド式油圧回路が長い間知られている。このような回路を使用することで、油圧部品を共に連結するに必要となる配管の数を相当削減することができる。この削減により、装置の信頼性を向上させ、ひいては、メンテナンスを減少させることができる。マニホールドの採用により、漏れのリスクを下げ、流体回路の耐試薬能力を向上させることもできる。
【0007】
特に、油圧部品を支持するアクリル製支持部上に生体液分析システムを構成することが公知である。マニホールド技術では、支持部は、回路が内部にエッチングされている少なくとも二枚の板を含み、該二枚の板が並んで組み立てられるとチャネルが画成される。使用される油圧部品としては、特に、希釈容器、圧力/吸引切換によって制御されるダイヤフラム弁、シリンジ、サンプリング弁、ダイヤフラムポンプ、一体化されたダイヤフラム弁を制御する空気弁等が挙げられる。
【0008】
上述のシステムの一つは米国特許第5788927号明細書に開示されている。該文献に記載されるアクリル製支持部は、明確に特定された機能グループを実行することができ、従って、特定のシステムに対して固有である。支持部は、並んで組み立てられる比較的多数の板を用いて形成され、チャネルのみでなく希釈容器や、圧力/吸引切換によって制御されるダイヤフラム弁も組み込む。支持部は、サンプリング弁、ダイヤフラムポンプ、一体化されたダイヤフラム弁を制御する空気弁、および、ヒータ用の支持部としても機能する。
【0009】
当該文献に記載されるシステムは、多数の機能が共通のアクリル製支持部に一体化されているため非常に小型である。反対に、このシステムは、製造の際に柔軟性がない。このようなシステムは、少なくとも、流体の調製、注入、および、分析を含む機能グループを実行するために設けられ、モジュラーではない、つまり、並行に実行される分析の数を増やすこと等を目的としていない。並行に実行される分析の数を増やすためには、完全に新しいシステムを設計、製造することが必要である。
【0010】
C2診断なる名称の仏国特許発明第2862387号明細書には、分析のために流体を調製、注入、且つ、測定するプラスチック材料の支持部を含むシリンジの塊の形態を有するシステムが開示されている。シリンジ・ブロックは独立しており、空気ポンプで動作する。電磁弁も支持部と一体化されており、該支持部は支持部に搭載される油圧回路を用いて光学ベンチに接続され得る。
【0011】
しかしながら、シリンジ・ブロックは、製造の際に柔軟性がない。上述の米国特許第5788927号明細書で提案される装置のように、該装置は、所与のブロック内で変えることができない所定の複数の機能を組み込んでいる。機能を追加または変更するためには、新しいシリンジ・ブロックを設計することが必要となる。
【0012】
従って、所与の製造業者にとって、測定技術や血液と試薬の混合物を調製する方法は範囲内のシステムのレベルによって異なる場合があるため、従来技術の教示に従って構成される種類のシステムはそれぞれ固有であり、独自の部品を用いて構築され、固有のメンテナンスを必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、生体液分析システムに実装されるモジュラー装置であって、油圧部品を支持する支持部をそれぞれ有する機能モジュールであって、支持部が少なくとも二枚の板であって、並んで組み立てられるとチャネルを画成する回路が内部にエッチングされた二枚の板を含む、機能モジュールを備え、分析用の流体を調製し、かつ少なくとも一つの希釈容器を支持する調製第1機能モジュールと、上記希釈容器で調製された流体を分析ユニットに注入する注入第2機能モジュールとを少なくとも含み、上記第1および第2のモジュールが互いに接続されている、モジュラー装置を提供することで上述の欠点を軽減することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願で使用される「調製」といった用語は、分析用の流体のサンプルを調製することを意味する、特に、希釈剤で希釈する、一つ以上の試薬と混合する、および、抗体、酵素、または、染料を添加する段階を意味する。これらの段階は、混合容器としても称される希釈容器を少なくとも一つ用いて従来から実施されている。「注入」といった用語は、希釈容器から流体を取り込み、流体を分析するために分析ユニットに注入する段階を意味するとして使用される。
【0015】
本発明のモジュラー装置によると、異なる機能モジュールを用いて分析用の生体液が調製され、注入される。一連のシステムに共通の機能は、範囲内のレベルに応じて異なり得る他の機能とは独立して所与の機能モジュールで実行される。
【0016】
従って、一種類の機能モジュールのみが全種類に共通の機能それぞれに対して製造される。機能の一つとして流体の注入が挙げられる。製造業者は、製造される必要のある異なる機能モジュールの複雑性と個数を減少することができる。
【0017】
流体を注入する方法を変更しつつ流体の調製特性を維持することができ、また、その逆も可能である。分析装置の二つの主な機能は、二つの別個の機能モジュールによって実施されるため、モジュラー式とすることができる。このため、現在のようにシステム全体を変更する必要性を伴うことなく、最終要件に応じて、分析システムに対して特性の選択を与えることができる。
【0018】
独立して、且つ、別々に異なる機能を実行することにで分析システムのメンテナンスが容易になる。
有利な実施形態では、注入機能モジュールの支持部は、注入機能モジュールの並んで組み立てられた二枚の板の外面における端面の一つを介して調製機能モジュールの支持部に対して略垂直に取り付けられる。
【0019】
このため、モジュラー装置、従って、分析システムはより小型化され、システムはより簡単にモジュラー式に構成され、例えば、システムの全体的な矩形体積を増大させることなく調製モジュール上に複数の注入機能モジュールを並列に配置することが簡単に行われる。それにより、全体的な大きさを増大させることなく分析システムのスループット率を高めることができる。更に、このような配置により流体の流路が短くなるため、必要となる流体サンプルおよび試薬の量が減少する。
【0020】
有利な実施形態では、調製および注入機能モジュールは配管を用いることなく接続される。
本願で使用される「配管」といった用語は、通常プラスチック材料よりなり、機能モジュールの外側に延在し、上記機能モジュールの支持部に存在するチャネルとは異なる管状の要素を意味する。
【0021】
機能モジュール間を接続するための配管を排除することで、故障のリスクが低下し、装置の製造、設定、および、メンテナンスが簡略化される。
有利には、調製機能モジュールの一方の支持板を貫通する少なくとも一つのオリフィスは、注入機能モジュールを上記板に略垂直に接続するために設けられる。
【0022】
これにより、垂直方向に接続される注入機能モジュールと調製機能モジュールとの間の経路を短くすることができる。
有利には、少なくとも一つのオリフィスは、調製機能モジュールのスルーオリフィスへの接続のために注入機能モジュールの外面における端面に設けられる。
【0023】
配管を用いない簡便な接続は、調製機能モジュールを貫通するオリフィスを注入モジュールの端面にあるオリフィスに嵌合することで実現される。
有利な実施形態では、少なくとも一つの機能モジュールは、上記支持部の外側に油圧部品が取り付けられるようになっている。
【0024】
例として、油圧部品は、弁、シリンジ、および、希釈容器の構成要素から選択される。
本願で使用される「取り付ける」といった用語は、二つの機能モジュールの支持部間、または、油圧部品と機能モジュールの支持部との間の直接的且つ着脱可能な機械的接続を示す。油圧部品を支持部の外側に取り付けることで、その個数および特性を引き続き変えることができ、追加的な配管の使用が回避される。
【0025】
最新技術では、板に直接的に一体化されていない各種油圧部品と、サンプルを取り込み血液を分留する手段とは、最上位装置において相当量の柔軟な配管によって互いに接続されている。このような配管は、生産中に操作者によって慎重に配置される必要がある。配管は、時間と共に劣化する傾向があるため、多くの高価なメンテナンスを必要とする。更に、配管は、事故、即ち、分析の質に対するリスクの主な原因となる。
【0026】
更に、全種類の分析システムを構成するための油圧部品の要件の調査によると、上記要件は限定され、容積が異なる幾つかのシリンジ、希釈容器、ヘモグロビンの測光的測定も実施可能な特定の希釈容器、および、少なくとも一つの光学および/またはインピーダンス測定容器に過ぎないことが示される。
【0027】
本発明によると、油圧部品は、機能モジュールの外側に取り付けられ、好ましくは配管無しで使用されることが有利であり、それにより、ユニットの形態で標準化され得る。例えば、同じ型のシリンジが複数のシステムで使用され得る。
【0028】
従って、アクリル製の支持部は、従来のように所定の且つ正確な機能のグループを提供する目的で弁、シリンジ、または、希釈チャンバのような構成要素を組み込まないことが好ましい。つまり、本発明はよりモジュラー式のシステムを提供する。
【0029】
油圧部品は大量に生産され得るため、型で作られることが有利である。機械加工されてもよい。
更に、取り替え可能なファスナや接続インタフェースを有するように油圧部品が構成されていると有利である。
【0030】
本発明によると、調製機能モジュールに取り付けられる油圧部品の数は、範囲内のシステムのレベルに応じて変更可能である。
一実施形態では、本発明のモジュラー装置は、複数の機能モジュールを並列接続するための複数の接続インタフェースを有する少なくとも一つの調製機能モジュールであって、上記機能モジュールそれぞれが調製機能モジュールの上記接続インタフェースと補完的な接続インタフェースを有し、上記各接続インタフェースが調製機能モジュール内の少なくとも一つのチャネルの配列に接続されている、調製機能モジュールを更に備える。
【0031】
好ましい実施形態では、本発明で使用するようなアクリル製の支持部は、チャネルによって接続する目的で油圧部品および複数の機能モジュールのための剛性の支持部として使用される。モジュールを形成する支持部が剛性であるため、機械的支持部として機能する。これは、現在のように分析システムの各種構成要素を支持するために設けられる構造物の使用を回避するため、無視できない利点である。
【0032】
調製機能モジュールに接続される注入機能モジュールの数が増加可能なため、本発明は、分析スループット率を増やすことで範囲内において異なるレベルで分析システムを製造することができ、同じ基本機能モジュールを用いて実現することができる。
【0033】
このために、接続インタフェースは、幅広い種類の機能モジュールを接続させる一方で同一であることが有利であるが、特徴のある、各タイプの機能モジュールの特定の特性に適応した特性を発揮してもよい。
【0034】
好ましい実施形態では、調製機能モジュールは、希釈容器に導入される一つの試薬当たりに一つの流体入口オリフィスと、上記モジュラー装置に対して単一のオリフィスである一つの廃棄出口オリフィスとを含む。
【0035】
従って、調製モジュールに接続される機能モジュールは、廃棄物が調製モジュールにおいて中心に集められて、モジュラー装置に対する単一の出口オリフィスを介して排出されるよう接続されることが有利である。「廃棄物」といった用語は、容器を洗浄した後の残留物、残留する希釈物または混合物、測定手段に注入される希釈物または混合物、および、チャネルに存在する希釈物または混合物を示すものとして定義される。
【0036】
本発明は、本発明のモジュラー装置で使用可能な調製機能モジュールを提供する。その調製機能モジュールは、油圧部品を支持する支持部を含み、その支持部は回路が中にエッチングされる少なくとも二枚の板を含み、二枚の板が並んで組み立てられるとチャネルを形成し、調製機能モジュールは少なくとも一つの希釈容器を支持し、かつ希釈容器で調製された流体を分析ユニットに注入するいわゆる注入第2機能モジュールに接続されるのに好適である。
【0037】
有利には、この調製モジュールは、少なくとも一つの調製機能モジュールを含む複数の機能モジュールを直列または並列接続するための複数の接続インタフェースを有し、各機能モジュールは上記調製機能モジュールの接続インタフェースと補完的な接続インタフェースを有し、各接続インタフェースは上記調製機能モジュール内のチャネルの少なくとも一つの配列に接続される。
【0038】
好ましい実施形態では、調製機能モジュールは、希釈容器に導入される一つの試薬当たりに一つの流体入口オリフィスと、上記モジュラー装置に対して単一のオリフィスである一つの廃棄出口オリフィスとを有する。
【0039】
本発明は、更に、本発明のモジュラー装置で使用可能な注入機能モジュールを提供する。その注入機能モジュールは、油圧部品を支持する支持部を含み、その支持部は回路が中にエッチングされる少なくとも二枚の板を含み、二枚の板が並んで組み立てられるとチャネルが形成され、注入機能モジュールは、少なくとも一つの希釈容器を支持するいわゆる調製機能モジュールに接続されるのに好適である。
【0040】
最後に、本発明は、生体液分析システムを形成する方法を提供し、その方法はモジュラー装置を構成するステップを備え、そのステップでは、分析されるべき流体を調製する少なくとも一つの第1機能モジュールが、調製された流体を分析ユニットに注入する第2機能モジュールに接続され、上記各機能モジュールは油圧部品を支持する支持部を有し、上記支持部は少なくとも二枚の板であって、並んで組み立てられるとチャネルを形成する回路が内部にエッチングされた二枚の板を含む。
【0041】
最後に、本発明、生体液分析システムの製造における上述の少なくとも一つの調製機能モジュールの利用法を提供する。
本発明の他の特徴および利点は、限定的な参照符号を含まない実施形態を示す添付の図面を参照して、以下の説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下の説明では、各図において同様の要素には、図面の番号を表す桁が先行する二桁の共通の参照番号が付与される。
図1は、本発明のモジュラー装置100の斜視図である。
【0043】
図1に示すように、本発明のモジュラー装置は、少なくとも一つの調製機能モジュール101を有し、その調製機能モジュール101の上には少なくとも一つの注入機能モジュールを含む一つ以上の標準機能モジュールが接続されている。
【0044】
各機能モジュールは、101’、101”と102’、102”でそれぞれ示される少なくとも二枚の支持部形成板を含む。二対の板それぞれの内面には回路がエッチングされている。図1に示すように、回路は、板が対になって並んで組み立てられると、板によって形成される支持部内にチャネルが画成されるように対称的に形成され、該チャネルによって油圧部品が相互に接続される。
【0045】
図から明らかなように、本発明の原理は、別個の機能モジュール101および102に対して分析システムの主な機能、特に、分析用流体の調製および注入を与えることにある。以下に説明するように、限定された数の部品を用いて能力および複雑性が異なる全種類のシステムを設計することが可能となるため装置がモジュラー性質であることが確実になる。
【0046】
専用の機能を実行するために、各機能モジュールは板の外面に取り付けられる様々な油圧部品を提供する。
このために、調製機能モジュール101は希釈を実施するに必要な手段を備え、該手段はモジュラー装置が動作すべき範囲内のレベルに応じて提供される。
【0047】
希釈物を調製するに必要な油圧部品は、少なくとも希釈容器103、弁104、および、シリンジ105を含み、これら要素は特に試薬を測定するために必要となる。油圧部品は、モジュール101の支持部の外側に取り付けられる。シリンジ105を作動するステッパ・モータは、良好な精度を維持しながら速度および量を公知の方法で変えることができる。
【0048】
調製機能モジュール101には、油圧部品を接続するための接続インタフェース106が設けられる。本願で使用される「接続インタフェース」といった用語は、配管を用いることなく二つの機能モジュール、または、機能モジュールと油圧部品を接続することができる、通常オリフィスよりなるインタフェースを意味する。接続インタフェース106は、少なくとも一つの流体入口オリフィスと少なくとも一つの流体出口オリフィスとを備えることが有利である。有利には、これらオリフィスは、機能モジュールの一方の支持板に形成される貫通孔である。
【0049】
調製機能モジュール101を構成する板にエッチングされるチャネルにより、接続インタフェース、より具体的には、各種油圧部品を互いに接続可能となる。
機能モジュールの外側に油圧部品を取り付けることで、それぞれの機能的能力を調節することが簡単になる。特に、特定の調製モジュール101で実施され得る希釈回数を増減するために、調製機能モジュール上で希釈容器103を追加または除去することができる。
【0050】
注入機能モジュールが接続される面に配置されるため図1には示されていない接続インタフェースも、機能モジュール、特に、注入機能モジュール102との接続専用に設けられる。例として、該接続インタフェースは、注入モジュールについて図6に示されるものに対して補完的である。その形状は、調製機能モジュールの面に対して垂直に形成されることを除いて、図6に示すインタフェースの形状と同一であることが有利である。
【0051】
調製機能モジュール101には、配管を用いて調製機能モジュールを機能モジュールまたは油圧部品に接続するコネクタ108が設けられる。
本発明の簡単な実施形態では、配管およびコネクタ108を用いて調製機能モジュール101と注入機能モジュール102とを接続することが想定される。
【0052】
接続されるより多くのあるいはより少ない数の油圧部品および機能モジュールと関連する調製機能モジュール101の大きさにより、分析システムの大きさ、スループット率、場合によっては、自動化、従って、所与の範囲のシステムのレベルが決定される。
【0053】
可能な希釈回数は、範囲内のシステムの位置付けと密接に関係している。最下位の装置では一つの希釈剤で希釈が一回実施される一方で、より多くの血液パラメータを供給し、より迅速に動作することができる最上位のシステムでは特定の試薬で実施される一般的に4回といった複数回の希釈を必要とする。
【0054】
希釈回数は範囲内で著しく変動し、必ずしも血液を分留する必要はない。本発明の原理によると、血液を取り出して分留する手段を調製機能モジュールの外側に、板の外面に取り付けられる油圧部品の形態で、または、同様に板の外面に取り付けられる特定の機能モジュールの形態で、設けることができる。例えば、調製機能モジュールに取り付けられる油圧部品としてサンプリング弁を用いるか、または、サンプリング弁を支持する支持部マニホールドを備える機能モジュールとしてサンプリング弁を用いることが想定され、支持部マニホールドは調製機能モジュールに取り付けられるよう設計される。
【0055】
油圧部品の形態、または、機能モジュールの形態で機能が外付けされるといった態様は、特に所望のスループット率、所望の自動化レベル、および、分析されるべきパラメータに応じて分析システムをカスタマイズすることができるようになるため、特に有利である。
【0056】
本発明による調製機能モジュールは、接続される機能モジュールの機能とは明確、且つ、別個の機能を有する。本発明により、一連のシステムにおいて特定のレベルのシステムを構築するために、種々の数の機能モジュールを共に接続することが可能となる。これは、図1および図2に示される。
【0057】
図1および図2は、本発明のモジュラー装置のモジュラー性質を明確に示している。これら二つの図は、特に、シリンジおよび/または弁を「ストラップ」で置き換え、相互に互換性のある異なる直径のシリンジを用い、更に、種々の数の機能モジュール、この場合、注入モジュール102を接続することによって、数の増減を伴って装備され得る同じ調製機能モジュール101を示す。
【0058】
図1は、最下位の装置を示す。調製機能モジュール101は、四つの希釈容器103と、弁104と、シリンジ105とを備える。該モジュールは、一つの希釈容器と、少数の弁およびシリンジのみを備えてもよい。
【0059】
調製機能モジュール101は、単一の注入機能モジュール102を具備する。測定は、一回以上の希釈から始まって順次行われる。典型的には、赤血球に関連する測定は、白血球に関連する一回または二回の測定に後続される。
【0060】
このようなモジュラー装置は、高い分析スループット率を必要としない研究所のための、最下位システムに適応される。より小型で、単一の注入機能モジュールへの接続に必要な部分のみを有する特定の調製機能モジュールを構成することも可能である。
【0061】
図2は、最上位分析システムで使用するモジュラー装置を示す。調製機能モジュール201には、より多い数で、図1の調製機能モジュールと同じ油圧部品が取り付けられる。並列に接続され、六つの希釈容器203で行われる希釈から同時に実施される三つの一連の測定を可能にする、三つの注入機能モジュール202a、202b、および、202cも取り付けられる。このようなモジュラー装置200は、分析スループット率の高いシステムに適応される。
【0062】
モジュラー装置200を用いて、複数の希釈が同時に実行される。この状況下では、少なくとも全ての分析に必要な総血液量が吸引され、その後、適当な試薬と異なる希釈容器で混合される「アリコート」と呼ばれる複数の部分に分留される。以下に詳述する分留段階は、調製機能モジュールの外部で実施されることが好ましい。
【0063】
本発明は、図1および図2に示される二つの構成に制限されず、機能モジュールの接続インタフェースの数を増やすこともでき、また、一つ以上の機能モジュールまたは分留、測定用等の油圧部品を調製機能モジュールに接続し取り付けることもできる。注入モジュールは同じとして、調製機能モジュールは、より多数のまたは少数の機器を備える、または、範囲内の各レベルに対して特定の特性を示す、例えば、より小型の単一モジュールであってもよい。従って、本発明のモジュラー装置を用いて形成される分析システムのモジュラー性質が排除されることはない。範囲内の各レベルに適応した複数の調製モジュールが有利には想定されるであろう。
【0064】
図1および図2に示す例の調製モジュール用機器に関して、容器の数は、一つから六つの容器の範囲内で可変である。容器の数は、意図する分析を実施するに必要ないわゆる「培養」時間、所望のスループット率、分析されるべきパラメータ数等に応じて選択される。
【0065】
培養時間は、典型的には10乃至15秒であり、本発明の装置では、それを考慮して分析サイクルにおけるタイム・シフトを整理することが必要である。そのため、ある時間長さ経過した後、ある容器がもはや使用に適さなくなる一方で、他の容器は使用され続ける場合もある。
【0066】
複数の容器を設ける利点は、特に、培養時間に応じて容器の使用を最適化できる点である。二つの希釈容器により、順次的に、従って、より遅くではあるが、四つの容器と同じ分析を行うことができる。
【0067】
一般的に、希釈容器の使用は、分析システムの動作を制御するソフトウェアを利用して実行される。容器が効率的に使用されると、スループット率は著しく上昇する。
例として、分析されるパラメータは、計数した赤血球のみでなく、計数した単球、リンパ球、および、顆粒球も含む。このような状況下では、一つの容器で十分足りる。好中球、好塩基球、および、好酸球の量に関連する余分な分析が顆粒球に含まれる場合、少なくとも二つの容器が必要となる。
【0068】
図1および図2のモジュラー装置では、調製機能モジュール上に全ての容器を集め、分析ユニットへの注入に対して少なくとも一つの機能モジュールを接続することにより分析手段の全ての希釈容器を近接させることが可能となる。一般的に、従来では、希釈容器は分析手段に近く、その結果、互いに離間するよう実装される。そのため、分析中に接続配管で発生する廃棄物の量、および、必要となる試薬および採取されるサンプルの量は大きい。
【0069】
本発明では、容器が測定手段に近く、且つ、本発明のモジュラー装置で得られる分析システムが一般的に小型であるため、廃棄物の量は減少し、必要となる試薬および採取されるサンプルの量も減少する。これは、生体液を分析する分野で直面する、試薬を節約し、採取されるサンプルの大きさを制限し、廃棄物を減少するといった要件を満たしている。
【0070】
血液等の流体の分析は、調製機能モジュール、注入機能モジュール、および、接続される他の機能モジュールを連続的に用いて順次に且つ独立して実行される幾つかの段階で実施される方法である。様々な機能モジュールの組み合わされた動作を以下に説明する。
【0071】
分析の第1の段階は、患者用管に含まれる血液の一部を試薬と混合することである。「希釈」と呼ばれるこの動作は、少なくとも細胞の濃度を分析ユニットに適応させ、特に後に行われる測定に応じて調製するために必要である。特定の細胞のファミリー、例えば、赤血球を破壊するためにも使用され、その結果、白血球のみが残されるため、計数、サブファミリー別の区別、または、細胞の核の着色あるいは特定の抗体でのマーキングが容易になる。
【0072】
第1の公知の分留方法では、サンプリング弁が使用される。血液は、サンプリング弁を介して吸引され所定の容積のループを充填する。サンプリング弁は、対応する試薬を収容している異なる希釈容器に各ループ中の血液を押し出すよう切り換えられる。
【0073】
仏国特許発明第2770299号明細書に記載する第2の分留方法では、針に含まれる血液の一部が各希釈容器上で試薬の流れに押し出される。
これら二つの方法では、希釈容器で行われる混合が非常に正確でなくてはならない。試薬に対して最も幅広く使用される測定要素はシリンジであり、その容積は測定されるべき量に適合される。
【0074】
前述の通り、調製機能モジュールは、油圧部品、シリンジ、弁、容器、および、分留後に希釈を実施するための油圧接続回路を支持する。
血液と試薬との反応が完全に行われることを確実にすると共に、正確な反応温度を確実にするためにいわゆる培養時間に準じることがしばしば必要である。本発明によると、当該段階は、他の段階とは独立して調製機能モジュールで実施される。
【0075】
図3は、本発明の調製機能モジュール301の動作を示す。調製機能モジュール301は、希釈容器303を有する。採取されたサンプルは、選択された分留方法に依存して、調製機能モジュール301のチャネルを通り試薬の押し出しによって、または、サンプル採取針322を介して送られる。試薬も選択された分留方法に依存して、希釈容器に押し出される分析用サンプルの後に、または、単独でチャネル321を通って送られる。
【0076】
試薬を分析用の流体と良好に混合するためには、チャネル329および弁328を通って希釈容器で得られた混合物に空気を送り込む手段が希釈容器に設けられることが有利である。
【0077】
得られた希釈物または混合物323は、反応動力学に従うためにある培養時間にわたって容器中に任意には放置される。
注入を可能にするためには、希釈容器303は、調製機能モジュール301に接続される注入機能モジュール302につながるチャネル324に接続される。混合物323は、以下に説明する方法により注入機能モジュール302によって上記チャネル324を介して取り込まれる。
【0078】
取り込まれない混合物の残留物は、調製機能モジュール301が実装されるモジュラー装置に対して有利には単一のオリフィスである廃棄出口オリフィス326に弁327を介して接続されるチャネル325によって抽出され、排出される。
【0079】
希釈段階に後続して分析用の流体を分析ユニットに注入する段階が設けられる。「分析」は細胞を計数することを含む総称である。
分析ユニットは、本発明の原理が適用される測定機能モジュールであることが好ましいが、配管を用いて本発明のモジュラー装置に接続される測定装置でもよい。
【0080】
主な公知の測定方法は、インピーダンス変化または光学手段を用いる。
発明者の名前にちなんでコールター(Coulter)方法として知られている、1966年7月5日に特許を受けた米国特許第3259842号明細書に記載されるインピーダンス変化によって測定する方法は、細胞を食塩水に混ぜ、一般的には50マイクロメートル(μm)乃至100μmの範囲の直径を有し、かつ電流が中を流れる小サイズの目盛り付きオリフィスを通じて吸引することを含む。オリフィスを通過する各細胞は、絶縁体のように作用して電流を変更し、それにより、細胞の体積に比例し、且つ、計数、測定することができる一連のパルスが生成される。該方法は、本発明の調製機能モジュールに取り付けられる希釈容器に対して直接的に実行されるか、希釈液が注入される測定ユニットで実行される。
【0081】
この方法の重要な改善点は、シース液としても既知の流体を利用してオリフィス中に細胞を集める点である。
当業者には公知のシージング方法は、測定オリフィスを通過する際に細胞の経路を集中させる。この改善の効果は、混合物の濃度および測定オリフィスの直径に対する細胞の小サイズにより対になって通過する細胞の影響を制限することである。電気信号の質は改善され、電子機器により後に実施される処理が良好になる。
【0082】
細胞の油圧集束としても既知の、シース液によって測定手段に細胞を集める方法は、光学手段のみで方法が実施される場合に重要であり、インピーダンスによって測定が行われる場合に重要な改善点となる。反対に、追加的な油圧手段従って追加的コストが必要となるため、最下位システムへの適用は抑制される。
【0083】
本発明により、追加的コストは、全種類のシステムに油圧集束を一般化することに関連してより多くの量を生産することで補償される。このような一般化により、範囲内のシステムのレベルとは関係なく、分析において一定の品質レベルを得ることが可能となる。
【0084】
光学方法を用いる測定技術は、シース液によって光学毛細管に先に集められた細胞が、細胞に焦点が合わされた光源上を通過するようにする。計数と測定は、細胞の吸収力、様々な角度で光を回折する能力、または、特定の着色あるいは抗体によるマーキング後の蛍光性を利用して実施される。
【0085】
両方法が組み合わされても良い。例えば、仏国特許発明第2653885号明細書には、両タイプの測定が組み合わされる循環容器が開示されている。
図4A及び4Bに示すように、注入機能モジュール402は、注入機能モジュール402を形成する板の外側に取り付けられる各種油圧部品を組み合わせて、接続インタフェース410を介して接続される調製機能モジュールの希釈容器からの分析用の流体を、コネクタ433a、433b、433c、433dに接続され、かつ細胞を計数することで分析を実施するユニットに注入する。接続インタフェース410は、注入機能モジュール402の端面(図示せず)に設けられるオリフィス411a、411b、411c、411dを有する。有利には、コネクタは、本発明の定義では接続インタフェースのオリフィスである。五本のシリンジ405a、405b、405c、405d、および、405eと、複数の弁404と、二つのモータ407が注入機能モジュール402に取り付けられる。油圧手段の中でもこれら油圧部品は、油圧集束された細胞を細胞計数ユニットに注入するために必要である。
【0086】
モータ407aおよび407bは、移動させるためにブラケット413aおよび413bを介してシリンジに接続される。モータはステッパ式であるため、測定される量は非常に正確になり、分析のために細胞により良好に適応するために注入速度を容易に変えることができる。ラック414aおよび414bは、モータ407aおよび407bの回転運動を線形運動に変換する。本発明はこの特定の構造に制限されないことに注意すべきである。
【0087】
図4に例として示す注入機能モジュール402は、仏国特許発明第2653885明細書に開示する種類の光学容器に流体ひいては細胞を送り込むのに特に適している。
本発明の原理によると、光学容器は、独立しており、少なくとも上記測定用光学容器と光学ベンチとを支持する光学測定機能モジュールに設置されることが好ましい。
【0088】
このような容器は、公知の方法でインピーダンス測定を吸収性、回折性、または、蛍光性を用いて実施される少なくとも一つの光学測定と共に関連付けることができる。光学測定は組み合わされてもよい。選択される技法は、分析用の細胞の種類に依存する。反対に、使用される油圧手段は、同一のままのため、本発明の原理によると、選択された測定の種類とは関係なく標準的な注入機能モジュールに一般化される。
【0089】
図5は、図4に示す注入機能モジュール502の油圧回路図である。
注入機能モジュール502は、コネクタ533a、533b、533c、533dを介して光学測定容器531に接続され、コネクタ533a、533b、533c、533dによって、配管を用いることなく図5に破線で示され、かつ分析ユニットを構成する光学測定機能モジュール532に好ましくは直接的に接続することが可能となる。測定組立体の大きさが小さい場合に本発明のモジュール502に直接的に接続される測定機能モジュールを構成することが可能である。
【0090】
注入機能モジュール502は、同図に概略的に示す調製モジュール501によって支持される一つのまたは二つの希釈容器503aおよび503bにコネクタ511a、511bによって接続される。
【0091】
注入機能モジュール502に取り付けられるシリンジ505a、505b、505c、505d、および、505eは、二つのグループに分けられる。シリンジの各グループは、参照番号407aおよび407bとして図4に示される単一のモータによって作動される。シリンジ505aおよび505bは、ブラケット513aによって機械的に接続され、シリンジ505c、505d、および、505eはブラケット513bによって接続される。
【0092】
シリンジ505aおよび505bの群は注入目的に設けられ、505c、505d、および、505eの郡は、具体的にはシースを確立し、一つまたは二つの希釈容器からサンプルを取り込むために使用される。
【0093】
測定サイクルは、入口511aまたは511bに接続される調製機能モジュール501の一つまたは二つの希釈容器から測定ループ534に分析用のサンプルを取り込むことから開始される。弁516は、希釈容器を選択する機能を担う。取り込みは、ループ534に希釈容器から液体を吸引するよう引き出されたシリンジ505cによって行われる。
【0094】
分析用のサンプルは、弁518および519の状態に依存してインジェクタ535にシリンジ505bによって、またはシリンジ505aおよび505bによって押し込まれる。この配置により、量が多い場合にはシリンジ505aおよび505bの両方の容積を関連付けることで注入量の範囲を選択することが可能となる。
【0095】
シリンジ505dは、インピーダンス・カウント・オリフィス537を通過する際に細胞を集めるためにチャンバ536中の細胞の周りにシースを形成する役割を有する。
シリンジ505eは、廃棄物を排出するオリフィス538を通って細胞が排出される前に光学測定手段(図示せず)の前を通過するよう測定チャンバ539に第2のシースを形成する役割を有する。
【0096】
廃棄物は、廃棄物を集中させて収集する調製機能モジュール501に方向付けられる前に、配管を介してまたはチャネルを介して注入機能モジュール502に方向付けられるか、あるいは配管を通り注入機能モジュール502を通過することなく調製機能モジュール501に直接的に方向付けられることが好ましい。
【0097】
シース液は、入口511dから注入される。
排出されるべき廃棄物、特に、注入機能モジュールのチャネル中に存在する廃棄物は、調製機能モジュール501の方向にシリンジ505cによって出口511cから押し出される。
【0098】
注入機能モジュールを最適化するためには、機能モジュール502が同じ容積範囲で動作し続ける場合には弁518およびシリンジ505aを省略してもよい。この場合、構成部材は油圧ストラップで置換される。マニホールドは変化しない。
【0099】
機能モジュールが単一の希釈物から常時動作する場合には容器516および入口511bを省略することもできる。この場合、構成部材は油圧ストラップで置換される。マニホールドは同一のままである。
【0100】
シリンジは機械的に相互に取り替え可能であり、シリンジ505a、505b、および、505dの容積は用途に応じて選択される。
注入機能モジュール502は、独立しており、当該目的のために調製される一つ以上の希釈物から様々なファミリーの細胞を計数するに好適な測定状態を作るに必要な全ての油圧段階を管理することができる。二つの異なる容器から分析用の細胞を取り込むことができ、一つのシリンジを選択するか二つのシリンジの容積を組み合わすことで分析に容積の範囲を適応することができる。
【0101】
この点は、約3マイクロリットル(μL)のサンプルを必要とする赤血球の分析から100μL乃至200μLのサンプルを必要とする白血球の分析に移行する際に重要となる。
【0102】
図6は、図4に示す注入機能モジュール602の板602’および602”にエッチングされた回路609の例を破線で示す。
回路609は、一方のおよび/または他方の板を貫通するオリフィスを通じて開口される。オリフィスは、油圧部品を接続するか、または、調製機能モジュール等の機能モジュールを接続するために設けられる。
【0103】
注入機能モジュール602には、共に組み合わされたときに二枚の板602’および602”の周りに形成される外形の端面上に配置される接続インタフェース610が設けられることが有利である。接続インタフェース610は、図5の油圧回路図に示すように、油圧回路を介して弁に接続される少なくとも一つの流体入口オリフィス611aと少なくとも一つの流体出口オリフィス611dとを有する。
【0104】
図6に示すように、注入モジュール602の端面において、オリフィス611aおよび611dが中心に配置されるか僅かに中心から外れて配置されてもよいことは分かるであろう。これは、マニホールドのチャネルが形成される方法の結果である。
【0105】
図6に示す実施形態は二つのオリフィスのみを備えるが、図5に参照番号511bおよび511cで示される他の追加的な流体入口オリフィスも本発明の注入機能モジュールに同様の方法で設けられてもよい。
【0106】
調製機能モジュール上で各オリフィスの周囲にオリフィスと補完的な形状で配置されるOリング(図示せず)は、二つの機能モジュールを定位置で保持する手段と組み合わさって調製モジュールとの接続を密封する。このようなホルダ手段は、例えば、調製モジュールを貫通し、当該目的のために設けられる穴617に螺入されるねじよりなる。
【0107】
調製機能モジュール上に注入機能モジュール602を直接的に接続することで、配管の数を減少し、両タイプの機能モジュール間でチャネルを可能な限り短くすることができる。
【0108】
接続インタフェース610は、配管を用いることなく注入機能モジュール602を調製機能モジュール601に端面を介して直接的に接続する。
このため、本発明は、少なくとも一つの注入モジュールを含む機能モジュールが接続される調製機能モジュールの中心的な使用に基づいてモジュラー装置の周りに分析システムを形成することができる。
【0109】
マニホールドの使用に基づき、本発明は、立体障害や配管の使用によるメンテナンスの困難性を含む幾つかの技術的問題を解決することができる。
調製機能モジュールは、電子的構成要素が取り付けられた電子カードと同様の効果を発揮する。ここでは、構成要素は油圧部品または機能モジュールである。調製機能モジュールは、分析システム全体の小型支持部として機能し、分析用のサンプルを調製することができる「インテリジェント・ベース」として機能する。可能な限り標準的な油圧部品および機能モジュールは、簡単且つ直接的な方法で接続される。本発明の原理によると、非常に少ない数の異なる部品で全種類のシステムを生産するために、調製機能モジュールを少なくとも一つの注入機能モジュールと関連付けることで様々なモジュラー装置を構成することができる。
【0110】
調製機能モジュールに接続される油圧部品および機能モジュールのそれぞれは、ねじ、スナップ・ファスナ、または、図面では具体的に示されないが当業者に公知の全ての他の保持手段により取り付けられる。
【0111】
本発明の原理により分析工程の各種機能を、実行する機能に依存して直列にまたは並列に互いに直接的に接続することができる多数の独立した機能モジュールに分けることができるため、比較的小型の装置に特有の光学測定ベンチと、比較的大型の装置に特有の別の機能モジュール、例えば、一方は比較的小型の装置に特有のサンプル吸引および/または血液分留機能モジュール、他方は比較的大型の装置に特有のモジュールを有する一つの測定機能モジュールを開発することが可能である。
【0112】
更に、標準的な機能モジュールの開発により、様々な機能モジュールを様々な方法で異なる個数で本発明のモジュラー装置内に配置することにより範囲内で異なるレベルを有するシステムを製造することが可能となる。
【0113】
本発明の原理によると、分析システムによって提供される機能のそれぞれに対して機能モジュールを開発することができる。このような機能モジュールは、特に、サンプルを調製する機能モジュールおよび注入機能モジュールによって構成されるが、更に、光学測定機能モジュール、サンプルを吸引して血液を分留する機能モジュール(モジュールによって支持されるサンプリング弁)、注入機能モジュールを介することなく調製機能モジュールに直接的に接続されるに特に好適な生化学分析用の機能モジュール、抽出機能モジュール、希釈容器を洗浄する機能モジュール、サンプル吸引機能モジュール等により構成される。
【0114】
各種機能モジュールは、直接的に接続されて動作するよう有利には開発され、互いに接続されるのに好適であり、有利にはアダプタを必要とすることなく直接的に接続される。典型的には15個といった少数の部品を用いてモジュラー式の全種類の分析システムを構成することが可能となる。
【0115】
図2に示すような複数の注入機能モジュールが共通の調製機能モジュールに並列に接続されるモジュラー装置の側にサンプル吸引装置を配置することでシステムを製造することもでき、この際、各注入モジュールは、測定モジュールと直列に接続される。
【0116】
例えば、調製機能モジュールに後続して注入機能モジュール、更に、後続して測定機能モジュールのように直列に接続されるか、または、複数の注入機能モジュールが調製機能モジュールと並列に接続されるように並列に接続することができる機能モジュールを用いると、製造およびメンテナンスが簡易となり、スペースを節約することができることが強調される。取り扱いやすく、モジュラー式で、小型で、必要であれば高いスループット率で分析を実施することができる分析システムを得ることができる。
【0117】
最後に、互いに略垂直になるようモジュールが共に取り付けられるといった特徴は、共に取り付けられる機能モジュールの性質とは無関係であり、分析システムの全体的な大きさの観点から特に有利な特徴であることは明らかであろう。
【0118】
これは、調製機能モジュールに後続して注入機能モジュールといったように直列に動作する複数の機能モジュールが、他の方法、例えば、互いを短いカラムによって相互接続して物理的に並列にする等して互いに取り付けることができないことは意味していない。特に、メンテナンスの観点からさほど有利でないが、本発明はこのような実施形態も網羅する。結果的に、機能モジュールによって支持される油圧部品が支持部の外面に取り付けられる代わりに支持部と一体化された場合には、更なる小型化が実現される。
【0119】
どの状況下でも、サンプルの調製を中心として一つ以上の機能モジュールが上に接続される調製機能モジュールの使用は、更なる小型化を実現すると共に流体路を短縮することで廃棄物の量を減少させるのみでなく、更に、各種油圧部品を備える金属構造物等の他の従来の支持手段の使用を回避する。二枚の剛性を有する板により形成される調製モジュールの支持部は、有利且つ簡単な方法で機械的支持機能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、第1の適用法における本発明のモジュラー装置の斜視図である。
【図2】図2は、第2の適用法における本発明のモジュラー装置の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の調製機能モジュールの動作を示す略図である。
【図4】図4Aおよび4Bは、本発明の注入機能モジュールの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の注入機能モジュールの油圧回路図である。
【図6】図6は、本発明の注入機能モジュールで組み立てられる板を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体液分析システムに実装されるモジュラー装置(100)であって、油圧部品(103、104、105)を支持する支持部をそれぞれ有する複数の機能モジュール(101、102)を備え、前記支持部が少なくとも二枚の板(101’、101”、102’、102”)であって、並んで組み立てられるとチャネルを画成する回路が内部にエッチングされた少なくとも二枚の板を含み、前記複数の機能モジュールは、分析用の流体を調製し、かつ少なくとも一つの希釈容器(103)を支持する調製第1機能モジュール(101)と、前記希釈容器(103)で調製された前記流体を分析ユニットに注入する注入第2機能モジュール(102)とを少なくとも含み、前記第1および第2機能モジュール(101、102)が互いに接続されている、モジュラー装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュラー装置(100)において、前記注入機能モジュール(102)の支持部は、前記注入機能モジュール(102)の並んで組み立てられた前記二枚の板(102’、102”)の外面における端面の一つを介して前記調製機能モジュール(101)の支持部に対して略垂直に取り付けられている、モジュラー装置。
【請求項3】
請求項1に記載のモジュラー装置(100)において、前記調製および注入機能モジュール(101、102)は配管を用いることなく互いに接続されている、モジュラー装置。
【請求項4】
請求項2に記載のモジュラー装置(100)において、前記調製機能モジュールの一方の支持板を貫通する少なくとも一つのオリフィスは、前記注入機能モジュールを前記板に略垂直に接続するために設けられる、モジュラー装置。
【請求項5】
請求項3および4に記載のモジュラー装置において、少なくとも一つのオリフィス(611a)が、前記調製機能モジュールのスルーオリフィスへの接続のために前記注入機能モジュール(602)の外面における端面に設けられている、モジュラー装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載のモジュラー装置において、少なくとも一つの機能モジュールは、前記支持部の外側に前記油圧部品(103、104、105)が取り付けられるようになっている、モジュラー装置。
【請求項7】
請求項6に記載のモジュラー装置において、前記油圧部品は、弁(104)、シリンジ(105)、希釈容器(103)、および、サンプル弁の構成要素から選択される、モジュラー装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載のモジュラー装置において、複数の機能モジュール(202a、202b、202c)を並列接続するための複数の接続インタフェースを有する少なくとも一つの調製機能モジュール(201)を備え、前記少なくとも一つの調製機能モジュールのそれぞれが前記調製機能モジュール(201)の前記接続インタフェースと補完的な接続インタフェースを有し、前記各接続インタフェースが前記調製機能モジュール(201)内の少なくとも一つのチャネルの配列に接続されている、モジュラー装置(200)。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載のモジュラー装置において、前記調製機能モジュールは、希釈容器に導入される一つの試薬当たりに一つの流体入口オリフィスと、前記モジュラー装置に対して単一のオリフィスである一つの廃棄出口オリフィスとを含む、モジュラー装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載のモジュラー装置で使用可能な調製機能モジュール(301)であって、油圧部品(303、328、327)を支持する支持部を備え、該支持部は、回路が内部にエッチングされる少なくとも二枚の板を含み、前記二枚の板が並んで組み立てられるとチャネルを画成し、前記調製機能モジュール(301)は、少なくとも一つの希釈容器(303)を支持し、かつ前記希釈容器(303)で調製された流体(323)を分析ユニットに注入する注入第2機能モジュールに接続されるのに好適である、調製機能モジュール(301)。
【請求項11】
請求項10に記載の調製機能モジュール(201)において、少なくとも一つの調製機能モジュールを含む複数の機能モジュール(202a、202b、202c)を直列または並列接続するための複数の接続インタフェースを含み、前記各機能モジュールは前記調製機能モジュール(201)の前記接続インタフェースと補完的な接続インタフェースを有し、前記各接続インタフェースは前記調製機能モジュール(201)内の少なくとも一つのチャネルの配列に接続されている、調製機能モジュール。
【請求項12】
請求項10または11に記載の調製機能モジュール(302)において、希釈容器(303)に導入される一つの試薬当たりに一つの流体入口オリフィス(321)と、前記モジュラー装置(301)に対して単一のオリフィスである一つの廃棄出口オリフィス(326)とを含む、調製機能モジュール。
【請求項13】
生体液分析システムを形成する方法であって、請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載のモジュラー装置(100)を構成するステップを備え、該ステップでは、分析されるべき流体を調製する少なくとも一つの第1機能モジュール(101)が、前記調製された流体を分析ユニットに注入する第2機能モジュール(102)に接続され、前記各機能モジュールは油圧部品(103、104、105)を支持する支持部を含み、前記支持部は少なくとも二枚の板(101’、101”、102’、102”)であって、並んで組み立てられるとチャネルを画成する回路が内部にエッチングされた少なくとも二枚の板を含む、方法。
【請求項14】
生体液分析システムの製造において請求項10乃至12のうちいずれか一項に記載の少なくとも一つの調製機能モジュール(101)を利用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−511869(P2009−511869A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534050(P2008−534050)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050904
【国際公開番号】WO2007/042691
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508000537)
【氏名又は名称原語表記】HORIBA ABX SAS
【Fターム(参考)】