説明

行動基準推定装置、方法及びプログラム

【課題】ユーザの行動基準を的確に推定できるようにする。
【解決手段】レコメンドサーバWSV1,WSV2からレコメンドログデータを取得して記憶すると共に、決済サーバBSVから訪問先ログデータを取得して記憶する。そして、この取得されたレコメンドログデータと訪問先ログデータとを比較して両者に共通に出現する店舗を抽出し、レコメンドされかつ訪問された第1の店舗と、レコメンドされたが訪問されていない第2の店舗のそれぞれについて、店舗の特徴量x1,x2,…,xNを抽出する。続いて、ピーク分析処理部25により、上記抽出された店舗の特徴量のピーク値に着目した行動基準推定処理を行い、このピーク分析処理により行動基準が推定できなかった場合に、ゾーン分析処理部26により、ゾーン分析処理による行動基準の推定処理を行うようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばレコメンドサービスの提供を受けたユーザが実際に行動を起こした場合に、何を基準に行動したかを推定するための行動基準推定装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末やパーソナル・コンピュータ等の情報端末を使用して、ユーザに対しWeb情報の検索を勧めたり商品情報を提供する、いわゆるレコメンドサービスが実用化されている。この種のサービスは、一般にユーザ自身が情報端末を操作して自身の性別や年齢、職業、興味分野等の自身の属性や特徴を表す特徴量情報をサーバに登録し、サーバがこの登録された特徴量情報とユーザの日常生活の行動状況を表す情報に基づいて、ユーザに対し適応的にWeb情報の検索を勧めたり商品情報を提供するものとなっている。
【0003】
ところで、レコメンドサービスによる情報提供後にユーザが行動を起こした場合に、当該ユーザが何を基準に行動を起こしたかを把握できるようになると、さらに効果的なレコメンドサービスを実現できる。
そこで、ユーザの行動基準を推定する手法として以下のような二つの手法が提案されている。その一つは、例えばレコメンドサービスによりユーザに提供したWebページの情報(レコメンド結果)と、当該ユーザが実際に購入した商品名とをそれぞれキーワードに分解して共通点を検出し、この検出された共通点をユーザの行動基準とするものである(例えば非特許文献1を参照。)。他の一つは、ユーザによるWebの閲覧履歴とGPS等を利用して検出したユーザの行動履歴との間の類似部分を重ね合わせた部分と、その周辺にユーザの関心があると推定し、この推定結果を行動基準とするものである(例えば非特許文献2を参照。)。
すなわち、従来提案されている上記各推定手法は、いずれもレコメンド結果と実際のユーザの行動との間の類似点または共通点をユーザの行動基準と推定し、次のレコメンドに生かすものとなっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】山下 真理子、鈴木 優、川越 恭二、「利用者の商品購入とWebページ閲覧の履歴を用いたWebページ推薦手法」、情報処理学会第70回全国大会、 pp1-653,1-654, 2008
【非特許文献2】田中 克明、堀 浩一、山本 真人、「個人行動履歴に基づく情報推薦システムの開発」、人工知能学会論文誌、Vol. 23, No. 6,pp 412-423,2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レコメンドサービスにより提供した情報とユーザが実際に起こした行動との類似点又は共通点の全特徴が重要な訳ではなく、レコメンドサービスにより提供された幾つかの情報の中でユーザが実際に行動を起こしたものと起こさなかったものとの間で異なる特徴にユーザの行動基準があることが多い。例えば、レコメンドサービスにより10個の店舗がユーザに提供され、ユーザがその中の1つの店舗に来店したとする。このとき、来店された店舗の価格帯、駅からの距離、口コミ点数といった特徴量の全てがユーザの行動基準と適合する訳ではない。来店された店舗が、来店されなかった店舗と比べて最安価格だったならば、ユーザは最安価格を行動基準として店舗に来店したと推測することができる。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ユーザの行動基準を的確に推定できるようにした行動基準推定装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、ユーザに対し提供されたレコメンド情報及び上記ユーザの行動履歴を表す情報をそれぞれ収集して、これらを当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する。そして、この状態で上記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報に共通に含まれる第1の情報要素を抽出して、この抽出された共通の第1の情報要素から少なくとも一つの第1の特徴量を抽出すると共に、上記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報のうちレコメンド情報にのみ含まれる第2の情報要素を抽出して、この抽出された第2の情報要素から少なくとも一つの第2の特徴量を抽出する。そして、第1の分析処理により、上記第1の情報要素と第2の情報要素との間で、上記抽出された第1の特徴量と第2の特徴量とを同じもの同士で比較して、上記第1の特徴量がピーク値をとるか否かを判定し、ピーク値をとると判定された場合に当該第1の特徴量を上記ユーザの行動基準を表す情報として記憶するようにしたものである。
【0008】
従って、この発明の第1の観点によれば、レコメンドされかつ実際にユーザによりアクセスされた第1の情報要素と、レコメンドされたがアクセスされていない第2の情報要素との間において、第1の情報要素から抽出された特徴量がピーク値をとる場合、つまり第1の情報要素と第2の情報要素との間で特徴量の差が大きい場合に、この第1の特徴量がユーザの行動基準と推定される。このため、レコメンド後のユーザの行動基準をレコメンド情報に含まれる情報要素の特徴量ベースで的確に推定することが可能となる。
【0009】
またこの発明の上記第1の観点は、上記第1の分析処理において上記第1の特徴量がピーク値をとらないと判定された場合に、第2の分析処理を起動して、上記第2の情報要素から抽出された第2の特徴量の分布領域を求め、この分布領域と上記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該第1の特徴量をユーザの行動基準を表す情報として記憶することを特徴とする。
このようにすると、特徴量のピーク値をもとに行動基準を推定できなかった場合でも、上記特徴量の分布をもとに行動基準を推定することが可能となる。
【0010】
この発明の第2の観点は、ユーザに対し提供されたレコメンド情報及び上記ユーザの行動履歴を表す情報をそれぞれ収集して、これらを当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する。そして、この状態で上記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報に共通に含まれる第1の情報要素を抽出して、この抽出された共通の第1の情報要素から少なくとも一つの第1の特徴量を抽出すると共に、上記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報のうちレコメンド情報にのみ含まれる第2の情報要素を抽出して、この抽出された第2の情報要素から少なくとも一つの第2の特徴量を抽出する。そして、第2の分析処理により、上記第2の情報要素から抽出された第2の特徴量の分布領域を求め、この分布領域と上記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該第1の特徴量をユーザの行動基準を表す情報として記憶するようにしたものである。
【0011】
従って、この発明の第2の観点によれば、レコメンドされかつ実際にユーザによりアクセスされた第1の情報要素と、レコメンドされたがアクセスされていない第2の情報要素との間において、第2の情報要素から抽出された第2の特徴量の分布領域と上記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離がしきい値以上離間している場合、つまり第1の情報要素と第2の情報要素との間で特徴量の差が大きい場合に、この第1の特徴量がユーザの行動基準と推定される。このため、先に述べた第1の観点と同様に、レコメンド後のユーザの行動基準をレコメンド情報に含まれる情報要素の特徴量ベースで的確に推定することが可能となる。
【0012】
また、この発明の第1の観点は、上記第1の分析処理の一態様として次のような処理を行うことも特徴とする。すなわち、先ず第1の情報要素と第2の情報要素との間で、これらから抽出された第1の特徴量と第2の特徴量とを同種のもの同士で個別に比較して、上記第1の特徴量がピーク値をとるか否かを判定し、ピーク値をとると判定された場合に当該第1の特徴量をユーザの行動基準を表す情報として記憶する。次に、上記第1の特徴量がピーク値をとらないと判定された場合には、上記抽出された複数の第1の特徴量及び複数の第2の特徴量の中からそれぞれ同種の複数の特徴量を選択してこれらを予め決められた比率で組み合わせ、この組み合わされた第1の特徴量の値と組み合わされた第2の特徴量の値とを比較して、上記組み合わされた第1の特徴量の値がピーク値をとるか否かを判定し、ピーク値をとると判定された場合に当該組み合わされた第1の特徴量をユーザの行動基準を表す情報として記憶する。
【0013】
このようにすると、特徴量のピーク値に着目した第1の分析処理を行う場合に、先ず個々の特徴量に対しピーク分析が行われてその結果をもとに行動基準が推定され、この処理により行動基準が推定できなかった場合に、複数の特徴量の組み合わせに対しピーク分析が行われてその結果をもとに行動基準が推定される。したがって、特定の特徴量に顕著な差がある場合には、少ない分析処理量で行動基準を推定することができ、これにより装置の処理負荷をさらに軽減することができる。
【0014】
さらにこの発明の第2の観点は、上記第2の分析処理の一態様として次のような処理を行うことも特徴とする。すなわち、先ず第2の情報要素から抽出された複数の第2の特徴量の分布領域を個々の特徴量ごとに求め、この分布領域と上記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該第1の特徴量をユーザの行動基準を表す情報として記憶する。一方、上記分布領域と第1の特徴量との間の距離がしきい値以上離間していないと判定された場合には、上記抽出された複数の第1の特徴量及び複数の第2の特徴量の中からそれぞれ同種の複数の特徴量を選択してこれらを予め決められた比率で組み合わせ、この組み合わされた第2の特徴量の分布領域と上記組み合わされた第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該組み合わされた第1の特徴量をユーザの行動基準を表す情報として記憶する。
【0015】
このようにすると、特徴量の分布状態に着目した第2の分析処理を行う場合に、先ず個々の特徴量に対しその分布状態の分析が行われてその結果をもとに行動基準が推定され、この処理により行動基準が推定できなかった場合に、複数の特徴量の組み合わせに対しその分布状態の分析が行われてその結果をもとに行動基準が推定される。したがって、第2の分析処理においても、特定の特徴量に顕著な差がある場合には、少ない分析処理量で行動基準を推定することができ、これにより装置の処理負荷をさらに軽減することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
すなわちこの発明によれば、ユーザの行動基準を正確に推定できるようにした行動基準推定装置、方法及びプログラムを提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態に係わる行動基準推定装置を備えたレコメンドサービスシステムの全体構成を示す図。
【図2】この発明の一実施形態に係わる行動基準推定装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】図2に示した行動基準推定装置による行動基準推定処理の処理手順と処理内容を示すフローチャート。
【図4】図3に示した行動基準推定処理手順のうちピーク分析を用いた行動基準推定処理を説明するための図。
【図5】図3に示した行動基準推定処理手順のうちピーク分析を用いた行動基準推定処理を説明するための図。
【図6】図3に示した行動基準推定処理手順のうちゾーン分析を用いた行動基準推定処理を説明するための図。
【図7】図3に示した行動基準推定処理手順のうちゾーン分析を用いた行動基準推定処理を説明するための図。
【図8】図3に示した行動基準推定処理手順のうちゾーン分析を用いた行動基準推定処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる行動基準推定装置を備えたレコメンドサービスシステムの全体構成を示す図である。
このシステムは、レコメンドサービスを行う複数のレコメンドサーバWSV1,WSV2を備え、これらのレコメンドサーバWSV1,WSV2に対し、ユーザが所持する複数の携帯端末MS1〜MSnを通信ネットワークNWを介して接続可能としている。また、店舗にそれぞれ設置された複数の決済端末FS1〜FSmを、通信ネットワークNWを介して決済サーバSV1に接続可能としている。さらに、上記レコメンドサーバWSV1,WSV2及び決済サーバBSVに対し、通信ネットワークNWを介して行動基準推定装置ASVを接続可能としている。
【0019】
通信ネットワークNWは、IP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするためのアクセス網とから構成される。アクセス網としては、公衆通信網、携帯電話網、LAN(Local Area Network)、無線LAN、CATV(Cable Television)網等が用いられる。
【0020】
携帯端末MS1〜MSnは、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)、スマートホン等と呼ばれる携帯型のパーソナル・コンピュータからなり、WebサーバWSV1〜WSV2から提供される店舗を表すレコメンド情報を受信するためのメーラ又はWebブラウザと、自端末の位置情報を上記WebサーバWSV1〜WSV2に送信するためのGPS(Global Positioning System)等を利用した位置検出機能を備えている。
【0021】
決済端末FS1〜FSmは、店舗等において例えばクレジットカードやICカードによる支払いを決済するための端末であり、その決済情報を通信ネットワークNWを介して上記決済サーバBSVへ送信する。決済サーバBSVは、各決済端末FS1〜FSmから送信された決済情報を受信して記憶し、行動基準推定装置ASVからの要求に応じて行動基準推定装置ASVへ送信する機能を備える。
【0022】
ところで、行動基準推定装置ASVは例えばWebサーバからなり、以下のように構成される。図2はその機能構成を示すブロック図である。
すなわち、行動基準推定装置ASVは、通信インタフェースユニット1と、制御ユニット2と、記憶ユニット3とを備えている。通信インタフェースユニット1は、制御ユニット2の制御の下で、通信ネットワークNWを介して上記レコメンドサーバWSV1,WSV2及び決済サーバBSVとの間で情報の送受信を行う。
【0023】
記憶ユニット3は、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)を使用したランダムアクセス可能な不揮発性メモリを使用したもので、この発明を実現するために必要な記憶部として、レコメンドログ記憶部31と、訪問先ログ記憶部32と、行動基準記憶部33とを備えている。
【0024】
レコメンドログ記憶部31は、上記レコメンドサーバWSV1,WSV2から取得したレコメンドサービス対象ユーザのレコメンド情報を記憶するために用いられる。レコメンド情報は、ユーザの識別情報(ユーザID)に、当該ユーザに提供した店舗等を表すレコメンド情報を関連付けたものからなる。訪問先ログ記憶部32は、上記決済サーバBSVから取得したレコメンドサービス対象ユーザの決済情報を記憶するために用いられる。決済情報は、ユーザの識別情報(ユーザID)に、当該ユーザが利用した店舗に関する情報を関連付けたものからなる。行動基準記憶部33は、後述する制御ユニット2により得られたユーザの行動基準の推定結果を表す情報を、ユーザIDに関連付けて記憶するために用いられる。
【0025】
制御ユニット2は、中央処理ユニット(CPU;Central Processing Unit)を中核として備えるもので、この発明を実施するために必要な処理機能として、レコメンドログ取得部21と、訪問先ログ取得部22と、共通訪問先抽出処理部23と、特徴量抽出処理部24と、ピーク分析処理部25と、ゾーン分析処理部26とを備えている。これらの処理機能は、いずれもアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0026】
レコメンドログ取得部21は、上記レコメンドサーバWSV1,WSV2に対し新たなレコメンド情報の送信が行われたか否かを問い合わせ、新たなレコメンド情報の送信が行われた場合には、レコメンドサーバWSV1,WSV2から当該レコメンド情報を受信して、これをレコメンドログデータとしてレコメンドログ記憶部31に格納する処理を実行する。
【0027】
訪問先ログ取得部22は、上記レコメンドログ記憶部31にレコメンド情報が記憶されたユーザについて、当該ユーザの決済情報の有無を決済サーバBSVに対し定期的に問い合わせ、新たな決済情報がある場合にこの決済情報を受信して、これを訪問先ログデータとして訪問先ログ記憶部32に格納する処理を実行する。
【0028】
共通訪問先抽出処理部23は、ユーザIDごとに、上記レコメンドログ記憶部31に記憶されたレコメンドログデータと上記訪問先ログ記憶部32に記憶された訪問先ログデータとを比較し、レコメンド情報に含まれる店舗を表す情報と共通の店舗を表す情報を決済情報中から抽出する処理を実行する。
【0029】
特徴量抽出処理部24は、上記共通訪問先抽出処理部23により抽出された店舗を表す情報、つまりレコメンドされかつ訪問された店舗を表す情報と、上記レコメンドされたが訪問されていない店舗を表す情報のそれぞれについて、店舗の特徴量を抽出する処理を行う。店舗の特徴量としては、例えば特定の商品の「価格」、最寄り駅からの「距離」、レコメンドされた時刻からの「経過時間」、口コミ評価の「点数」、レコメンドの「お奨め度」が挙げられる。
【0030】
ピーク分析処理部25は、特徴量のピーク値を見つけてこれをユーザの行動基準とするもので、特徴量が1つの場合と複数の場合とで異なる処理を行う。特徴量が1つの場合には、レコメンドされかつ訪問された第1の店舗の特徴量を、レコメンドされたが訪問されていない第2の店舗の特徴量と比較し、その差分値が最も大きいか又は小さかったときの第1の店舗の特徴量をユーザの行動基準とする。特徴量が複数の場合には、これら複数の特徴量をある比率で組み合わせた軸上で、第1の店舗の特徴量の組み合わせを、第2の店舗の特徴量の組み合わせと比較し、第1の店舗の特徴量の組み合わせが最も大きいか又は小さかった場合に、この特徴量の組み合わせをユーザの行動基準とする。
【0031】
ゾーン分析処理部26は、特徴量の値の分布領域に着目してユーザの行動基準を推定するもので、この場合においても特徴量が1つの場合と複数の場合とで異なる処理を行う。特徴量が1つの場合には、特徴量が第1の店舗より小さい第2の店舗の集合の特徴量の分布領域(第1の範囲)と、大きい第2の店舗の集合の特徴量の分布領域(第2の範囲)をそれぞれ定義し、第1の店舗の特徴量が上記第1の範囲より大きくかつ第2の範囲より小さい第3の範囲に属するとき、この第3の範囲の特徴量をユーザの行動基準とする。特徴量が複数の場合には、これら複数の特徴量をある比率で組み合わせた軸上で、上記第1及び第2の範囲をそれぞれ定義し、第1の店舗の特徴量の組み合わせが上記第1の範囲より大きくかつ第2の範囲より小さい第3の範囲に属するとき、この第3の範囲の特徴量の組み合わせをユーザの行動基準とする。
【0032】
次に、以上のように構成された装置による行動基準を推定するための処理動作を説明する。図3はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
なお、ここでは店舗の特徴量、例えば価格、最寄駅からの距離、レコメンドされた時刻(0:00からの経過時間で24時間ごとにリセットされる)、口コミ評価の点数、レコメンドのお奨め度をx1,x2,…,xNで表わし、レコメンドされかつ訪問された店舗(第1の店舗)をv、レコメンドされたが訪問されていない店舗(第2の店舗)をw1,w2,…,wk と表して説明を行う。すなわち、x1 を価格とすると、x1 (w1)は店舗w1 の価格を表すことになる。
【0033】
(1)レコメンドログ及び訪問先ログの取得処理
行動基準推定装置ASVの制御ユニット2は、先ずステップS11においてレコメンドログ取得部21を起動し、このレコメンドログ取得部21の制御の下で、レコメンドサーバWSV1,WSV2に対し新たなレコメンド情報の送信を行ったか否かを問い合わせる。そして、この問い合わせの結果、新たなレコメンド情報の送信が行われた場合には、WebサーバWSV1〜WSV2から当該レコメンド情報を通信ネットワークNWを介して受信し、この受信されたコメンド情報をレコメンドログデータとしてレコメンドログ記憶部31に格納する。
【0034】
また制御ユニット2は、ステップS12において訪問先ログ取得部22を起動する。そして、この訪問先ログ取得部22の制御の下で、上記レコメンドログ記憶部31にレコメンド情報が記憶されたユーザのIDを検索し、このユーザIDについて、当該ユーザの決済情報の有無を決済サーバBSVに対し問い合わせる。そして、新たな決済情報がある場合には、この決済情報を決済サーバBSVから通信ネットワークNWを介して受信し、この受信された決済情報を訪問先ログデータとして訪問先ログ記憶部32に格納する。
【0035】
(2)共通訪問先の抽出処理
さて、あるユーザについて、上記新たなレコメンドログデータと訪問先ログデータが取得されると、制御ユニット2は共通訪問先抽出処理部23を起動する。そして、この共通訪問先抽出処理部23の制御の下で、上記取得されたレコメンドログデータと訪問先ログデータとを比較し、これらのレコメンドログデータ及び訪問先ログデータの中から、共通の店舗を抽出する。この抽出処理の結果、共通の店舗を抽出できなければ、ステップS13からステップS11,S12に戻ってレコメンドログデータ及び訪問先ログデータの取得処理を行う。
【0036】
(3)店舗の特徴量の抽出処理
一方、上記抽出処理の結果、共通の店舗が抽出されたとする。この場合制御ユニット2はステップS13からステップS14に移行し、ここで特徴量抽出処理部24を起動する。そして、この特徴量抽出処理部24の制御の下で、レコメンドされかつ訪問された店舗(第1の店舗)を表す情報v、つまり上記抽出された共通の店舗の情報と、上記レコメンドされたが訪問されていない店舗(第2の店舗)を表す情報w1,w2,…,wk のそれぞれについて、店舗の特徴量x1,x2,…,xNを抽出する。
【0037】
(4)ピーク分析による行動基準推定処理
次に制御ユニット2は、ピーク分析処理部25を起動し、このピーク分析処理部25の制御の下で特徴量のピーク値に着目した行動基準推定処理を以下のように実行する。
すなわち、先ずステップS15において、上記抽出された特徴量x1,x2,…,xNを1つずつ順次選択する。そして、特徴量を1つ選択するごとに、当該選択した特徴量を第1の店舗と第2の店舗との間で比較し、第1の店舗の特徴量が最も大きいか又は小さいかを判定する。この判定の結果、上記選択した各特徴量の中にargmax(x)=v又はargmin(x)=vを満たす特徴量があれば、この特徴量を行動基準とする。例えば、いま特徴量x1を「価格」とした場合、argmin(x)=vとなるならば、この「価格が安価なこと」を行動基準と見なす。そして、ステップS16からステップS18を経由してステップS21に移行し、ここで上記特徴量、例えば「価格が安価なこと」を、ユーザの行動基準表す情報として行動基準記憶部33に記憶させる。
【0038】
これに対し、上記個々の特徴量x1,x2,…,xNの中に、argmax(x)=v又はargmin(x)=vを満たす特徴量が見つからなかったとする。この場合、ピーク分析処理部25はステップS17に移行する。そして、複数の特徴量x1,x2,…,xNを選択的に予め決められた比率で組み合わせた軸を定義し、この軸上で第1の店舗の特徴量の組み合わせを第2の店舗の特徴量の組み合わせと比較する。そして、第1の店舗の特徴量の組み合わせが最も大きいか又は小さかった場合に、この特徴量の組み合わせをユーザの行動基準とする。
【0039】
この複数の特徴量の組み合わせを用いたピーク分析処理をさらに詳しく述べる。
先ず各特徴量x1,x2,…,xNを、その特徴量内で店舗がとる最大値で割り、全ての値が0から1に収まるように正規化する。次に、各特徴量(N個)について、(1−x)を求める。これは、例えば「価格:駅からの距離」(価格が高く、駅に近い)の価値観を持つユーザが存在する可能性があるためである。
【0040】
次に、2N個の特徴量の中から2個を選び、この選択した2個の特徴量を予め決められた比率で組合せた軸を定義し、この軸上で第1の店舗vの特徴量の組み合わせの値が最大又は最小になるか否かを分析する。この分析処理は、(2N2)通りに渡って行われる。この分析処理によって、例えば図4に示すように、訪問された店舗の特徴量の組み合わせの値がx1の軸でもx2の軸でも最小にはならないのに、新しく定義したx1 :x2 =3:4の軸では最小になるといった状況を抽出することができる。
【0041】
2個の特徴量の組合せでピークとしての最小値が見つからないときは、3個の組合せで上記ピーク分析処理を行い、3個の組み合わせでもピークが見つからない場合には4個の組み合わせというように順次組み合わせる特徴量の数を増やしていき、2N−1個の組合せでピークが見つからないときは2N個の組み合せについてピーク分析処理を行う。ただし、組み合せる特徴量の数が多いと計算量が膨大になり、かつ価値観が複雑で曖昧になる(例えば(「価格:駅:時刻:口コミ点数」がいくつというのは複雑過ぎる)。従って、ピーク分析の対象とする特徴量の組み合わせの数は、例えば3個までというように制限するとよい。
【0042】
m個(m≧2)の特徴量の組合せの場合には、具体的に以下のピーク分析処理を採用する。すなわち、直線xm =r1 ・x1 ,xm =r2 ・x2 ,…,xm =rm-1・xm-1のr(傾き、比率)を調整して、点(x1(v),…,xm(v))からその直線への射影の原点からの距離が、点(x1(w1),…,xm(w1)),…,(x1(wk),…,xm(wk))からその直線への射影の原点からの距離と比べて最大又は最小となるならば、
1:x2:…:xm-1:xm=1/r1:1/r2:…:1/rm-1:1
をそのユーザの行動基準とする。それぞれのrの調整は、例えば点(x1(v),…,xm(v))を通る直線から開始してrが9になるまで0.1ずつ増加させることにより行う。そして、rが9になると反対にrが1/9になるまで0.1ずつ減少させる。
【0043】
図5は、2個の特徴量の組合せの場合を示したものである。図5のd(点(x1(a),x2(a))から直線x2=r・x1への射影の原点からの距離)が、rを調整してa=vのときa=w1,w2,…,wkと比べて最大又は最小となるならば、x1:x2=1/r:1をそのユーザの行動基準とする。このときrの調整は、例えば点(x1(v),x2(v))を通る直線から開始してrが9になるまで0.1ずつ増加させることにより行う。そして、rが9になると反対にrが1/9になるまで0.1ずつ減少させる。
以上述べたピーク分析処理が終了すると、制御ユニット2はステップS18においてピーク分析処理により行動基準とすべき特徴量の組み合わせが見つかったか否かを判定する。そして、行動基準とすべき特徴量の組み合わせが見つかった場合には、ステップS21に移行して当該見つかった特徴量の組み合わせを対象ユーザの行動基準を表す情報として行動基準記憶部33に記憶させる。
【0044】
(5)ゾーン分析による行動基準推定処理
一方、上記ピーク分析処理により行動基準とすべき特徴量の組み合わせが見つからなかったとする。この場合制御ユニット12は、ステップS19に移行してゾーン分析処理部26を起動する。そして、このゾーン分析処理部26の制御の下で、以下のようにゾーン分析処理による行動基準の推定処理を実行する。
【0045】
すなわち、ゾーン分析処理では、例えば図6に示すように、レコメンドされかつ訪問された第1の店舗と、レコメンドされたが訪問されなかった第2の店舗とを比較したときに、第1の店舗が第2の店舗と比べて特徴量が大きく異なるゾーンにあるか否かを分析する。このゾーン分析の方法としては、図6に示すように単純に第1の店舗vから最も近い第2の店舗wまでの特徴量x1の距離が、あるしきい値以上か否か分析する方法が考えられる。この方法は単純な処理により実現できる利点がある。また、他の方法として以下の2つの方法が考えられる。
【0046】
第1の方法は標準偏差を考慮したもので、1つの特徴量を用いる場合と、複数の特徴量の組み合わせを用いる場合が考えられる。
先ず1つの特徴量の場合について述べる。特徴量x1について、第1の店舗vよりも小さい値の第2の店舗wの集合を集合S、大きい値の第2の店舗wの集合をBとする。なお、集合S,Bが共に存在するときのみ分析処理を進める。なぜならば、集合S,Bのどちらか一方が存在しないということは第1の店舗vが最大又は最小になるので、先に述べたピーク分析処理によって既に行動基準の推定が完了しているからである。
【0047】
図7に示した例では、集合Bの分散が大きいので、単純に第1の店舗vから集合Bに含まれる第2の店舗wまでの距離が大きくても、集合Bの分布に問題なく収まる場合は、第1の店舗vが第2の店舗wと比べて大きく異なるゾーンに存在するとは言い難い。そこで、μs+Cσs<x1(v)<μB−CσB(例えば、Cは1.5≦C≦3を満たす定数)を満たす場合には、特徴量x1のx1(v)−σs 〜x1(v)+σBの範囲を行動基準とする。
【0048】
一方、1つの特徴量を用いたゾーン分析によりピークが見つからないときは、複数の特徴量の組み合わせを用いて次のようにゾーン分析を行う。
すなわち、先ず各特徴量x1,x2,…,xNを、その特徴量内で店舗がとる最大値で割り、全ての値が0から1に収まるように正規化する。続いて、N個の特徴量の中から2個を選び、この選択した2個の特徴量を予め定めた比率で組合せた軸を定義する。そして、μs+Cσs<x(v)<μB−CσB(例えば、Cは1.5≦C≦3を満たす定数)を満たすか否か分析し、満たす場合にはその軸のx(v)−σs 〜x(v)+σBの範囲を行動基準とする。
【0049】
2個の特徴量の組み合わせで上記条件を満たす範囲が見つからない場合には、先に述べたピーク分析処理の場合と同様に、特徴量の3個の組み合せで上記ゾーン分析処理を行い、3個の組み合わせでも上記条件を満たす範囲が見つからない場合には4個の組み合わせというように順次組み合わせる特徴量の数を増やしていき、2N−1個の組合せで上記条件を満たす範囲が見つからないときは2N個の組み合せについてゾーン分析処理を行う。ただし、組み合せる特徴量の数が多いと計算量が膨大になり、かつ価値観が複雑で曖昧になるので、先に述べたピーク分析処理の場合と同様に、ゾーン分析の対象とする特徴量の組み合わせの数は例えば3個までというように制限するとよい。
【0050】
第2の方法はサポートベクターマシン(SVM)を用いたものである。図8はこのSVMを用いたゾーン分析方法を説明するための図である。
この方法では、先ず1つの特徴量もしくは複数の特徴量について、SVMによって第1の店舗vと第2の店舗wとを分類する。例えば、ガウシアンカーネルを用いてそれぞれの特徴量におけるマージンの大きさを保存する。
【0051】
次に、この保存された各特徴量のマージンの大きさを比較し、マージンの大きさが最大となる特徴量又は特徴量の組み合せを選択して、その特徴量又は特徴量の組み合せの識別超平面を行動基準とする。なぜならば、ある特徴量について見た場合に、図8の右側に示すように第1の店舗vが第2の店舗wの集合と比べて大きく異なるゾーンに存在する場合は、図8の左側に示すように第1の店舗vと第2の店舗wの集合とがあまり変わらない場合と比べて、マージンが大きくなるからである。なお、図8中のφ(xi)は、軸xiを特徴空間に写像した軸である。
【0052】
これを、式で表わすと以下のようになる。
いま、データ集合をy1,y1、重みベクトルをw、バイアス項をb、fw,b=sgn((w,y)+b)、fw,b(yi)=ziとし、φ(yi)を入力ベクトルyiを特徴空間に写像した結果とする。そして、zi((w・φ(yi))+b≧1という制約条件で1/‖w‖を最大化して求めた(1/‖w‖)が、その特徴量又は特徴量の組み合せにおけるマージンの大きさとなる。最後に、個々の特徴量x1,x2,…,xNとそれらの組み合せのマージンの大きさを比較し、マージンの大きさが最大となる特徴量の識別超平面を対象ユーザの行動基準とする。
【0053】
以上述べたゾーン分析処理が終了すると、制御ユニット2はステップS20においてゾーン分析処理により行動基準とすべき特徴量又はその組み合わせが見つかったか否かを判定する。そして、行動基準とすべき特徴量又はその組み合わせが見つかった場合には、ステップS21に移行して当該見つかった特徴量又はその組み合わせを対象ユーザの行動基準を表す情報して行動基準記憶部33に記憶させる。
なお、上記ゾーン分析処理により行動基準とすべき特徴量又はその組み合わせが見つからなかった場合には、ステップS11,S12によるレコメンドログデータ及び訪問先ログデータの取得処理に戻る。
【0054】
以上詳述したようにこの実施形態では、レコメンドサーバWSV1,WSV2からレコメンドログデータを取得して記憶すると共に、決済サーバBSVから訪問先ログデータを取得して記憶する。そして、この取得されたレコメンドログデータと訪問先ログデータとを比較して両者に共通に出現する店舗を抽出し、レコメンドされかつ訪問された第1の店舗と、レコメンドされたが訪問されていない第2の店舗のそれぞれについて、店舗の特徴量x1,x2,…,xNを抽出する。続いて、ピーク分析処理部25により、上記抽出された店舗の特徴量のピーク値に着目した行動基準推定処理を行い、このピーク分析処理により行動基準が推定できなかった場合に、ゾーン分析処理部26により、ゾーン分析処理による行動基準の推定処理を行うようにしている。
【0055】
従って、レコメンドされかつ実際に訪問された第1の店舗と、レコメンドされたが訪問されていない第2の店舗との間の、個々の特徴量又はその組み合わせのピーク値の違い、又は分布領域の違いにより行動基準が推定される。このため、レコメンド後のユーザの行動基準を店舗の特徴量ベースで的確に推定することができる。
【0056】
また、上記行動基準の推定に際し、先ずピーク分析処理が行われ、このピーク分析処理により行動基準が推定できなかった場合にゾーン分析処理が行われる。このため、無条件にピーク分析及びゾーン分析の両方の処理を実行しその結果からユーザの行動基準を推定する場合に比べ、ユーザ一人当たりの平均的な分析処理量を減らすことができ、これにより装置ASVの処理負荷を軽減することができる。
【0057】
さらに、上記ピーク分析処理及びゾーン分析処理の各々において、先ず店舗の個々の特徴量ごとに分析処理が行われ、これにより行動基準が推定できなかった場合に、複数の特徴量の組み合わせについて分析処理が行われる。このため、特定の特徴量に顕著な差がある場合には、少ない分析処理量で行動基準を推定することができ、これにより装置の処理負荷をさらに軽減することができる。
【0058】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では行動基準推定装置ASVの機能として、推定された行動基準を表す情報を行動基準記憶部33に記憶するまでの処理を説明した。しかし、これに限らず、上記推定された行動基準を表す情報を行動基準記憶部33から読み出してレコメンドサーバWS1,WS2へ通信ネットワークNWを介して通知し、レコメンドサーバWS1,WS2が当該ユーザに対する次回のレコメンド時に、上記通知された行動基準を表す情報を考慮してレコメンド情報を作成するようにしてもよい。このようにすると、推定された行動基準を表す情報が行動基準推定装置ASVからレコメンドサーバWS1,WS2へ自動的にフィードバックされることになり、これによりレコメンドサーバWS1,WS2は次回以降のレコメンド情報の作成にユーザの行動基準を応答性良く効果的に反映させることが可能となる。
【0059】
また、前記実施形態では、行動基準推定装置ASVをレコメンドサーバWSV1,WSV2とは独立して設けた場合を例にとって説明したが、行動基準推定装置ASVの処理機能を各レコメンドサーバWSV1,WSV2内に設けるようにしてもよい。
さらに、レコメンド情報としては「店舗」以外に図書館や博物館、コンサート等のイベント会場等の「施設」を対象としてもよい。また、特徴量についても前記実施形態で述べた「価格」、「距離」、「時間」、口コミ評価の「点数」、「お奨め度」以外のものを追加してもよく、また限定してもよい。その他、ピーク分析処理及びゾーン分析処理の処理手順や処理内容などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0060】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0061】
ASV…行動基準推定装置、BSV…決済サーバ、WS1,WS2…レコメンドサーバ、MS1〜MSn…携帯端末、FS1〜FSm…決済端末、NW…通信ネットワーク、1…通信インタフェースユニット、2…制御ユニット、3…記憶ユニット、21…レコメンドログ取得部、22…訪問先ログ取得部、23…共通訪問先抽出処理部、24…特徴量抽出処理部、25…ピーク分析処理部、26…ゾーン分析処理部、31…レコメンドログ記憶部、32…訪問先ログ記憶部、33…行動基準記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対し提供されたレコメンド情報を収集し、このレコメンド情報を当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する手段と、
前記レコメンド情報が提供されたユーザの行動履歴を表す情報を収集し、この行動履歴情報を当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する手段と、
前記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報に共通に含まれる第1の情報要素を抽出し、この抽出された共通の第1の情報要素から少なくとも一つの第1の特徴量を抽出する手段と、
前記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報のうちレコメンド情報にのみ含まれる第2の情報要素を抽出し、この抽出された第2の情報要素から少なくとも一つの第2の特徴量を抽出する手段と、
前記第1の情報要素と第2の情報要素との間で、前記抽出された第1の特徴量と第2の特徴量とを同じもの同士で比較して、前記第1の特徴量がピーク値をとるか否かを判定し、ピーク値をとると判定された場合に当該第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する第1の分析処理手段と
を具備することを特徴とする行動基準推定装置。
【請求項2】
前記第1の分析処理手段において、前記第1の特徴量がピーク値をとらないと判定された場合に、前記第2の情報要素から抽出された第2の特徴量の分布領域を求め、この分布領域と前記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する第2の分析処理手段
を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の行動基準推定装置。
【請求項3】
ユーザに対し提供されたレコメンド情報を収集し、このレコメンド情報を当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する手段と、
前記レコメンド情報が提供されたユーザの行動履歴を表す情報を収集し、この行動履歴情報を当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する手段と、
前記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報に共通に含まれる第1の情報要素を抽出し、この抽出された共通の第1の情報要素から少なくとも一つの第1の特徴量を抽出する手段と、
前記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報のうちレコメンド情報にのみ含まれる第2の情報要素を抽出し、この抽出された第2の情報要素から少なくとも一つの第2の特徴量を抽出する手段と、
前記第2の情報要素から抽出された第2の特徴量の分布領域を求め、この分布領域と前記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する第2の分析処理手段と
を具備することを特徴とする行動基準推定装置。
【請求項4】
前記第1の分析処理手段は、
前記第1の情報要素と第2の情報要素との間で、前記抽出された第1の特徴量と第2の特徴量とを同種のもの同士で個別に比較して、前記第1の特徴量がピーク値をとるか否かを判定し、ピーク値をとると判定された場合に当該第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する個別分析手段と、
前記第1の特徴量がピーク値をとらないと判定された場合に、前記抽出された複数の第1の特徴量及び複数の第2の特徴量の中からそれぞれ同種の複数の特徴量を選択してこれらを予め決められた比率で組み合わせ、この組み合わされた第1の特徴量の値と組み合わされた第2の特徴量の値とを比較して、前記組み合わされた第1の特徴量の値がピーク値をとるか否かを判定し、ピーク値をとると判定された場合に当該組み合わされた第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する組み合わせ分析手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の行動基準推定装置。
【請求項5】
前記第2の分析処理手段は、
前記第2の情報要素から抽出された複数の第2の特徴量の分布領域を個々の特徴量ごとに求め、この分布領域と前記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する個別分析手段と、
前記分布領域と前記第1の特徴量との間の距離がしきい値以上離間していないと判定された場合に、前記抽出された複数の第1の特徴量及び複数の第2の特徴量の中からそれぞれ同種の複数の特徴量を選択してこれらを予め決められた比率で組み合わせ、この組み合わされた第2の特徴量の分布領域と前記組み合わされた第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該組み合わされた第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する組み合わせ分析手段と
を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の行動基準推定装置。
【請求項6】
ユーザに対し提供されたレコメンド情報を収集し、このレコメンド情報を当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する過程と、
前記レコメンド情報が提供されたユーザの行動履歴を表す情報を収集し、この行動履歴情報を当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する過程と、
前記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報に共通に含まれる第1の情報要素を抽出し、この抽出された共通の第1の情報要素から少なくとも一つの第1の特徴量を抽出する過程と、
前記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報のうちレコメンド情報にのみ含まれる第2の情報要素を抽出し、この抽出された第2の情報要素から少なくとも一つの第2の特徴量を抽出する過程と、
前記第1の情報要素と第2の情報要素との間で、前記抽出された第1の特徴量と第2の特徴量とを対応するもの同士で比較して、前記第1の特徴量がピーク値をとるか否かを判定し、ピーク値をとると判定された場合に当該第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する第1の分析処理過程と
を具備することを特徴とする行動基準推定方法。
【請求項7】
前記第1の分析処理過程において、前記第1の特徴量がピーク値をとらないと判定された場合に、前記第2の情報要素から抽出された第2の特徴量の分布領域を求め、この分布領域と前記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する第2の分析処理過程
を、さらに具備することを特徴とする請求項6記載の行動基準推定方法。
【請求項8】
ユーザに対し提供されたレコメンド情報を収集し、このレコメンド情報を当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する過程と、
前記レコメンド情報が提供されたユーザの行動履歴を表す情報を収集し、この行動履歴情報を当該ユーザの識別情報と関連付けて記憶する過程と、
前記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報に共通に含まれる第1の情報要素を抽出し、この抽出された共通の第1の情報要素から少なくとも一つの第1の特徴量を抽出する過程と、
前記記憶されたレコメンド情報及び行動履歴情報のうちレコメンド情報にのみ含まれる第2の情報要素を抽出し、この抽出された第2の情報要素から少なくとも一つの第2の特徴量を抽出する過程と、
前記第2の情報要素から抽出された第2の特徴量の分布領域を求め、この分布領域と前記第1の情報要素から抽出された第1の特徴量との間の距離が予め設定したしきい値以上離間しているか否かを判定し、距離がしきい値以上離間していると判定された場合に当該第1の特徴量を前記ユーザの行動基準を表す情報として記憶する第2の分析処理過程と
を具備することを特徴とする行動基準推定方法。
【請求項9】
前記行動基準推定装置がコンピュータを備える場合に、請求項1乃至5のいずれかに記載の行動基準推定装置が備える各手段に対応する処理を、前記コンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−253316(P2011−253316A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126210(P2010−126210)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】