説明

行動/環境証明システム、行動/環境証明方法、行動/環境証明プログラム、携帯情報端末及び管理サーバ

【課題】携帯情報端末の使用者が、特定の時刻間、何処で、どのような行動を、どのような環境で行っていたのかを客観的に証明することができる行動/環境証明システムを提供することにある。
【解決手段】使用者の指を検知し、時刻t1〜t2の間の検知結果を生成する検知部11と、指の指紋を読み取り、時刻t1とt2の指紋データを生成する読取部12と、指紋データを照合して認証結果を生成する照合部13と、時刻t1とt2の測位データを取得するGPS受信部3aと、時刻t1〜t2の間の振動データを生成する加速度測定部3bと、時刻t1〜t2の間の音声データを生成する音声取得部3dと、時刻t1〜t2の間の温湿度データを生成する温湿度測定部3eと、時刻t1〜t2の間の気圧データを測定する気圧測定部3fと、測定したデータに基づいて、時刻t1とt2の使用者の所在地を証明し、時刻t1〜t2の間における使用者の行動を証明し、時刻t1からt2の周囲の環境を証明する証明部5とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の行動とその場の状況とを証明するシステムに関し、特に、携帯情報端末を用いる行動/環境証明システム、行動/環境証明方法及び行動/環境証明プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去の特定時刻における、人の所在と人の行動とを証明する有効な方法の一つに、第3者の証言がある。しかし、第3者の証言は、第3者による偶然の目撃や第3者の善意に依存するため、証言として常に得られるとは限らない。そこで、第3者の証言に頼らず、特定時刻に特定場所に居た所在証明に関連する技術が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、本人の所在証明が可能な携帯電話機に関する技術が開示されている。この携帯電話機は、本人であることを認証する生体情報を読み取る読取手段と、携帯電話機の存在する位置を検出する位置検出手段と、発信操作又は着信操作がされたときに読み取られた生体情報、検出された位置情報および計時された時刻を記録する記憶手段とを備えることを特徴とする。このような携帯電話機は、携帯電話機を操作する人が、何時、何処で、電話を掛けたか或いは電話を受けたかを証明することができるというものである。
【0004】
特許文献2には、携帯情報端末を使用する者の本人認証と、使用者の時間的空間的な存在を証明する方法に関する技術が開示されている。この方法は、携帯情報端末に使用者が生体情報を入力することと、入力された生体情報の認証を行うことと、携帯情報端末を使用した時間と使用者の場所情報とを処理することと、生体情報と時間と場所情報とをネットワークを経由してサーバに格納することとを含む。このような方法は、携帯情報端末の使用者の本人認証と、使用者の時間的空間的な存在を担保する情報を保存することが可能になるというものである。
【0005】
その他、人の行動分析に関連する技術が特許文献3及び特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−95058号公報
【特許文献2】特開2005−354490号公報
【特許文献3】特開昭62−106742号公報
【特許文献4】特開平10−24026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載されている技術は、使用者が携帯情報端末を使用した時刻と場所とを証明することは可能であるが、携帯情報端末を使用していない間の証明はできず不連続な証明となる。また、携帯情報端末を使用した時刻と場所との証明はできても、その時刻にその場所で行っていた行動を証明することはできない。更に、その時刻のその場所の温度、湿度、気圧、及び騒音等の環境を証明することもできない。
【0008】
本発明の目的は、携帯情報端末の使用者が、特定の時刻から特定の時刻まで連続して、何処で、どのような行動をしていたのかを、使用者の周囲の環境も含めて客観的に証明することができる行動/環境証明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の行動/環境証明システムは、時刻t1から時刻t2の間における、使用者の情報を取得する携帯情報端末と、ネットワークを介して使用者の情報を携帯情報端末から取得する管理サーバとを具備する。携帯情報端末は、使用者の指を検知し、時刻t1から時刻t2の間の第1検知結果を生成する検知部と、指の指紋を読み取り、時刻t1の第1指紋データと、時刻t2の第2指紋データとを生成する読取部と、第1指紋データと予め格納されている第3指紋データとを照合し、時刻t1の第1認証結果を生成し、第2指紋データと第3指紋データとを照合し、時刻t2の第2認証結果を生成する照合部と、携帯情報端末の時刻t1の第1測位データと、時刻t2の第2測位データとを、GPS衛星から取得するGPS受信部と、携帯情報端末の振動の大きさ及び振動の回数を測定し、時刻t1から時刻t2の間の振動データを生成する加速度測定部と、携帯情報端末の周囲の音を測定し、時刻t1から時刻t2の間の音声データを生成する音声取得部と、携帯情報端末の周囲の温湿度を測定し、時刻t1から時刻t2の間の温湿度データを生成する温湿度測定部と、携帯情報端末の周囲の気圧を測定し、時刻t1から時刻t2の間の気圧データを生成する気圧測定部と、使用者の情報である、第1検知結果と、第1指紋データと、第2指紋データと、第1認証結果と、第2認証結果と、第1測位データと、第2測位データと、振動データと、音声データと、温湿度データと、気圧データとを格納する記憶部と、第1認証結果と、第2認証結果と、第1測位データと、第2測位データとに基づいて、時刻t1及び時刻t2の使用者の所在地を証明し、第1認証結果と、第2認証結果と、音声データと、温湿度データと、気圧データとに基づいて、時刻t1から時刻t2の間の使用者の周囲の環境を証明し、第1検知結果と、第1指紋データと、第2指紋データと、振動データとに基づいて、時刻t1から時刻t2の間における使用者の行動を証明する証明部と、使用者の情報を管理サーバへ送信する通信部とを具備する。
【0010】
本発明の行動証明方法は、時刻t1において、携帯情報端末を操作する使用者の指を検知するステップと、指の検知に基づいて、時刻t1から検知結果の生成を開始するステップと、使用者の入力に基づき、時刻t1の第1トリガー信号を出力するステップと、第1トリガー信号に基づき、指の指紋を読み取り、時刻t1の第1指紋データを生成するステップと、第1指紋データと予め格納されている第3指紋データとに基づき、第1指紋データの第1認証結果を生成するステップと、第1トリガー信号に基づき、携帯情報端末の時刻t1の第1測位データをGPS衛星から取得するステップと、第1トリガー信号に基づき、携帯情報端末の振動の大きさ及び振動の回数である振動データの生成を、時刻t1から開始するステップと、第1トリガー信号に基づき、携帯情報端末の周囲の音に基づく音声データの生成を時刻t1から開始するステップと、第1トリガー信号に基づき、携帯情報端末の周囲の温湿度に基づく温湿度データの生成を時刻t1から開始するステップと、第1トリガー信号に基づき、携帯情報端末の周囲の気圧に基づく気圧データの生成を時刻t1から開始するステップと、使用者の入力に基づき、時刻t2の第2トリガー信号を出力するステップと、生成している検知結果から時刻t1から時刻t2までの第1検知結果を抽出するステップと、第2トリガー信号に基づき、指の指紋を読み取り、時刻t2の第2指紋データを生成するステップと、第2指紋データと第3指紋データとに基づき、第2指紋データの第2認証結果を生成するステップと、第2トリガー信号に基づき、携帯情報端末の時刻t2の第2測位データを、GPS衛星から取得するステップと、第2トリガー信号に基づき、時刻t2において振動データの生成を終了するステップと、第2トリガー信号に基づき時刻t2において音声データの生成を終了するステップと、第2トリガー信号に基づき、時刻t2において温湿度データの生成を終了するステップと、第2トリガー信号に基づき、時刻t2において気圧データの生成を終了するステップと、第1認証結果と、第2認証結果と、第1測位データと、第2測位データとに基づいて、時刻t1及び時刻t2の使用者の所在地を証明するステップと、第1認証結果と、第2認証結果と、音声データと、温湿度データと、気圧データとに基づいて、時刻t1から時刻t2の間の使用者の周囲の環境を証明するステップと、第1検知結果と、第1指紋データと、第2指紋データと、振動データとに基づいて、時刻t1から時刻t2の間における使用者の行動を証明するステップと、第1検知結果と、第1指紋データと、第2指紋データと、第1認証結果と、第2認証結果と、第1測位データと、第2測位データと、振動データと、音声データと、温湿度データと、気圧データとを管理サーバへ送信するステップとを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の行動/環境証明システムは、携帯情報端末の使用者が、特定の時刻から特定の時刻まで連続して、何処で、どのような行動をしていたのかを、使用者の周囲の環境も含めて客観的に証明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態による行動/環境証明システム10の構成例を示すブロック図である。
【図2A】図2Aは、指紋認証部1が生成した時刻t1における使用者の指紋データである。
【図2B】図2Bは、指紋認証部1が生成した時刻t2における使用者の指紋データである。
【図3】図3は、行動/環境証明システム10の実施の形態における、ハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図4A】図4Aは、携帯情報端末20の外観例を示した図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの反対側を示した図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態による行動/環境証明システム10の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態による行動/環境証明システムを説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態による行動/環境証明システム10の構成例を示すブロック図である。図1を参照すると、行動/環境証明システム10は、携帯情報端末20と、管理サーバ30とを具備する。携帯情報端末20と、管理サーバ30とはネットワーク40を介して接続される。
【0015】
携帯情報端末20は、携帯電話機、携帯ゲーム機などの通信を行える端末装置である。携帯情報端末20は、使用者が何時、何処で、どのような行動を、どのような環境で行ったのかを示す使用者の情報を取得し、使用者の所在地と、周囲の環境と、行動とを証明する。また、携帯情報端末20は、使用者の情報を管理サーバ30へ送信することができる。携帯情報端末20は、指紋認証部1と、操作部2と、測定部3と、記憶部4と、証明部5と、出力部6と、通信部7とを備える。図1は、本発明の行動/環境証明システム10に関わる構成が示されており、電話機能や、ゲーム機能などの各種機能を実現するための構成は省略されている。
【0016】
指紋認証部1は、携帯情報端末20を操作する使用者の指紋認証を行う。指紋認証部1によって、使用者は特定される。指紋認証部1は、検知部11と、読取部12と、照合部13とを含む。
【0017】
検知部11は、携帯情報端末20の使用者の指を検知し、検知結果を生成する。検知部11は、検知結果を測定部3に含まれる時計部3cの時刻と関連づけて、読取部12及び記憶部4へ提供する。検知部11は、指を検知すると検知結果(指を検知している情報)の生成を開始して、任意の時間間隔で時計部3cの時刻と関連付けることができる。もしくは、検知部11は、指を検知すると検知結果(指を検知している情報)を生成し、指を検知できなくなると再び検知結果(指を検知できない情報)を生成して、それぞれの検知結果を時計部3cの時刻と関連付けてもよい。この様に、検知部11が検知結果と時刻とを関連付けることで、記憶部4は使用者が連続して携帯情報端末20に触れていた時刻を記録することができる。
【0018】
読取部12は、検知部11が指を検知している状態で、操作部2のトリガースイッチ部2aが提供するトリガー信号を取得すると、指の指紋を読み取り、指紋データを生成する。読取部12は、生成した指紋データを時計部3cの時刻と関連付けて照合部13及び記憶部4へ提供する。読取部12は、検知部11が指を検知しない場合、指紋の読み取りを開始しないことが好ましい。尚、携帯情報端末20の構造において検知部11と読取部12とは近接して設置され、検知された指と、読み取る指とが同一であることが好ましい。
【0019】
照合部13は、読取部12から指紋データを取得する。照合部13は、取得した指紋データと、予め格納している指紋データとが一致するか否かを照合し、認証結果を生成する。指紋データが一致する認証結果によって、使用者は特定される。照合部13は認証結果を時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する。
【0020】
操作部2は、使用者の入力を取得し、行動/環境証明システム10の各部へ提供する。操作部2は、トリガースイッチ部2aを含む。トリガースイッチ部2aは、使用者の入力に基づいて、指紋認証部1と、測定部3とに、トリガー信号を出力する。指紋認証部1と、測定部3は、トリガー信号に基づいて動作する。
【0021】
測定部3は、携帯情報端末20の使用者の所在地と、周囲の環境と、行動とを証明するための各種データを測定する。測定部3は、GPS(Global Positioning System)受信部3aと、加速度測定部3bと、時計部3cと、音声取得部3dと、温湿度測定部3eと、気圧測定部3fとを含む。
【0022】
GPS受信部3aは、トリガー信号を取得すると、GPS衛星の電波を受信して、測位データを取得する。GPS受信部3aは、取得した測位データと、時計部3c又はGPS衛星の時刻とを関連付けて記憶部4へ提供する。
【0023】
加速度測定部3bは、トリガー信号を取得すると、携帯情報端末20の振動の大きさ及び振動の回数の測定を開始し、振動データの生成を開始する。また、加速度測定部3bは、振動データの生成中にトリガー信号を取得すると、振動データの生成を終了する。加速度測定部3bは、振動データを生成している間、任意の時間間隔で、振動データを時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する。また、加速度測定部3bは、振動データの生成を終了した場合は、データの生成が終了した情報を記憶部4へ提供することが好ましい。尚、出力部6は、加速度測定部3bが振動データを生成中であることを使用者に認識させるために、生成中であることを表示することが好ましい。
【0024】
時計部3cは、時刻を各部へ提供する。音声取得部3dは、トリガー信号を取得すると、携帯情報端末20の周囲の騒音や使用者の声などの音の測定を開始し、音声データの生成を開始する。また、音声取得部3dは、音声データの生成中にトリガー信号を取得すると、音声データの生成を終了する。音声取得部3dは、音声データを生成している間、任意の時間間隔で、音声データを時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する。また、音声取得部3dは、音声データの生成を終了した場合は、データの生成が終了した情報を記憶部4へ提供することが好ましい。尚、出力部6は、音声取得部3dが音声データを生成中であることを使用者に認識させるために、生成中であることを表示することが好ましい。
【0025】
温湿度測定部3eは、トリガー信号を取得すると、携帯情報端末20の周囲の温湿度の測定を開始し、温湿度データの生成を開始する。また、温湿度測定部3eは、温湿度データの生成中にトリガー信号を取得すると、温湿度データの生成を終了する。温湿度測定部3eは、温湿度データを生成している間、任意の時間間隔で、温湿度データを時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する。また、温湿度測定部3eは、温湿度データの生成を終了した場合は、データの生成が終了した情報を記憶部4へ提供することが好ましい。尚、出力部6は、温湿度測定部3eが温湿度データを生成中であることを使用者に認識させるために、生成中であることを表示することが好ましい。
【0026】
気圧測定部3fは、トリガー信号を取得すると、携帯情報端末20の周囲の気圧の測定を開始し、気圧データの生成を開始する。また、気圧測定部3fは、気圧データの生成中にトリガー信号を取得すると、気圧データの生成を終了する。気圧測定部3fは、気圧データを生成している間、任意の時間間隔で、気圧データを時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する。また、気圧測定部3fは、気圧データの生成を終了した場合は、データの生成が終了した情報を記憶部4へ提供することが好ましい。尚、出力部6は、気圧測定部3fが気圧データを生成中であることを使用者に認識させるために、生成中であることを表示することが好ましい。
【0027】
記憶部4は、使用者の所在地と、使用者の行動と、使用者の周囲の環境とを証明するための使用者の情報を格納する。使用者の情報には、指紋認証部1から提供される時刻と関連付けられた、検知結果と、指紋データと、認証結果とが含まれる。更に、使用者の情報には、GPS受信部3aから提供される時刻と関連付けられた測位データ、加速度測定部3bから任意の時間間隔で提供される時刻と関連付けられた振動データ、音声取得部3dから任意の時間間隔で提供される時刻と関連付けられた音声データ、温湿度測定部3eから任意の時間間隔で提供される時刻と関連付けられた温湿度データ、及び、気圧測定部3fから任意の時間間隔で提供される時刻と関連付けられた気圧データが含まれる。また、使用者の情報には、後述する証明部5が証明できた内容も含まれる。尚、音声データと、温湿度データと、気圧データとは、周囲の環境を示す情報であるため、環境情報と称する。
【0028】
証明部5は、記憶部4に格納されている使用者の情報に基づいて、特定の時刻間の使用者の所在地と、使用者の行動と、使用者の周囲の環境とを証明する。以下に4つの具体例を挙げて、証明部5の証明方法を説明する。
【0029】
第1の事例:証明部5は、時刻t1において、使用者がA地点にいたことを証明することができる。尚、携帯情報端末20は、時刻t1のときに、使用者の操作に基づいてトリガー信号を出力し、認証結果の取得と、測位データの取得と、環境情報の取得とを既に行っている。証明部5は、使用者の操作に基づいて時刻t1を取得すると、記憶部4を参照し、時刻t1で、使用者が認証されていることと、使用者がいたA地点と、使用者の周囲の環境(騒音、温湿度、気圧)とを抽出し、出力部6へ提供する。証明部5の抽出に基づいて、時刻t1における使用者の所在地及び周囲の環境は証明される。尚、証明部5は、記憶部4に時刻t1の使用者の情報が格納されたことに基づいて、時刻t1における使用者の所在地及び周囲の環境を抽出してもよい。
【0030】
第2の事例:証明部5は、時刻t1において使用者がA地点にいて、時刻t2においてB地点にいたことを証明することができる。尚、携帯情報端末20は、時刻t1及び時刻t2の2点のそれぞれにおいて、認証結果の取得と、測位データの取得と、環境情報の取得とを既に行っている。証明部5は、使用者の操作に基づいて時刻t1及び時刻t2を取得すると、記憶部4を参照し、時刻t1及び時刻t2で、使用者が認証されていることを抽出する。更に、証明部5は、時刻t1の所在地のA地点と、時刻t2の所在地のB地点とを抽出する。また、証明部5は、時刻t1の周囲の環境と、時刻t2の周囲の環境とを抽出する。証明部5は、抽出した使用者の情報を出力部6へ提供する。証明部5の抽出に基づいて、時刻t1と時刻t2における使用者の所在地及び周囲の環境は証明される。尚、証明部5は、記憶部4に時刻t1及び時刻t2の使用者の情報が格納されたことに基づいて、時刻t1及び時刻t2における使用者の所在地及び周囲の環境を抽出してもよい。
【0031】
第3の事例:証明部5は、時刻t1から時刻t2の間、使用者が連続してA地点にいたことを証明することができる。尚、携帯情報端末20は、時刻t1及び時刻t2の2点で、指紋データと、認証結果の取得と、測位データの取得とを既に行っている。また、携帯情報端末20は、連続した情報として、時刻t1から時刻t2の間の検知結果と、時刻t1から時刻t2の間の振動データと、時刻t1から時刻t2の間の環境情報とを取得している。証明部5は、使用者の操作に基づいて時刻t1及び時刻t2を取得すると、記憶部4を参照し、時刻t1及び時刻t2で、使用者が認証されていることを抽出する。更に、証明部5は、時刻t1の所在地のA地点と、時刻t2の所在地のA地点とを抽出する。ここで、証明部5は、抽出した2つの場所が同じA地点であることに基づいて、使用者が時刻t1と時刻t2においてA地点にいたことを証明する。尚、証明部5は、記憶部4に時刻t1及び時刻t2の使用者の情報が格納されたことに基づいて、時刻t1及び時刻t2における使用者の所在地を抽出してもよい。この事例では更に、証明部5は、使用者がA地点に居続けたことを証明しなければならない。そのため、証明部5は、携帯情報端末20がA地点から移動していないことと、移動していない携帯情報端末20を使用者が持ち続けていたことの2つの判定によって、A地点に居続けたことを証明する。
【0032】
まず、証明部5が、時刻t1から時刻t2の間でA地点から携帯情報端末20が移動していないことを判定する方法を説明する。証明部5は、記憶部4を参照して、時刻t1から時刻t2の間の振動データを取得し、振動の大きさ及び振動の回数が所定の範囲内であるか否かを判定する。証明部5は、振動データが所定の範囲内であれば、携帯情報端末20は移動していないと判定し、所定の範囲にない場合は移動したものと判定する。証明部5が正確に携帯情報端末20の移動を判定するために、加速度測定部3bの測定精度を向上させて僅かな振動を探知できるようにすることが好ましい。但し、使用者は携帯情報端末20の振動を抑えて、車で移動することも考えられる。そこで、証明部5は、使用者が車で移動したことを判定できるように、人間の動きによる振動と車の動きによる振動の違いを周波数によって識別できることが好ましい。このように、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の振動データに基づいて、時刻t1から時刻t2の間の携帯情報端末20の移動を判定することができる。
【0033】
次に、証明部5が、携帯情報端末20を使用者が持ち続けていたことを判定する方法を説明する。証明部5は、使用者が携帯情報端末20に触れ続けていたことと、更に、触れている指が動いていないことの2つの判定が得られた場合、使用者が携帯情報端末20を持ち続けていたと判定する。
【0034】
証明部5は、時刻t1及び時刻t2を取得すると、記憶部4を参照して、時刻t1から時刻t2の間の検知結果を抽出し、検知結果に指を検知できない情報が含まれるか否かを検索する。証明部5は、検知結果に指を検知できない情報が含まれない場合、時刻t1から時刻t2の間、使用者が携帯情報端末20に触れ続けていたと判定する。証明部5は、検知結果に指を検知できない情報を抽出すると、時刻t1から時刻t2の間、使用者が携帯情報端末20に触れ続けていなかったと判定する。
【0035】
しかし、使用者が何らかの道具で検知部11の検知を維持させておくような細工をし、使用者が時刻t1で持っていた携帯情報端末20を一度離して、時刻t2で再度持ち直すことも考えられる。従って、検知部11の検知のみで、使用者が携帯情報端末20を持ち続けていたと判定するのは十分ではない。そこで、証明部5は、指紋データという不正しにくい情報に基づいて指の動きを判定し、使用者が携帯情報端末20を持ち続けていたことの信頼性を向上させる。証明部5は、記憶部4を参照して、時刻t1と時刻t2との2つの指紋データを取得する。証明部5は、2つの指紋データに基づいて、使用者の指がどの程度動いたのかを算出する。指の動きの算出方法は後述する。証明部5は、指の動きが所定の範囲内であれば、使用者の指は動いていないと判定する。証明部5は、指の動きが所定の範囲内になければ、使用者の指が動いたと判定する。証明部5は、使用者が携帯情報端末20に触れ続けていたことと、触れている指が動いていないことの2つの判定に基づいて、使用者が携帯情報端末20を持ち続けていたと判定する。
【0036】
また、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の環境情報を取得しているため、周囲の音の変化、温湿度の変化、気圧の変化を証明することができる。環境の変化に基づいて、例えば、使用者が騒音の大きい場所から小さい場所へ移動したことや、空調の効いている場所へ移動したことなどが証明される。証明部5は、周囲の環境変化という情報によって、使用者が時刻t1から時刻t2の間に連続してA地点にいたことを、客観性を向上させて証明することができる。
【0037】
以上のように、証明部5は、時刻t1及び時刻t2の2点において使用者がA地点にいたことを、時刻t1及び時刻t2の認証結果と、時刻t1及び時刻t2の測位データで証明する。また、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の振動データ、時刻t1から時刻t2の間の検知結果、及び、時刻t1と時刻t2との2つの指紋データのずれに基づいて、使用者がA点に居続けたこと(使用者の行動)を証明する。更に、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の環境情報に基づいて、使用者の周囲の環境変化を証明する。証明部5は、所在地と、行動と、周囲の環境とを含む証明できた内容を記憶部4及び出力部6へ提供する。この様にして、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間において、使用者が連続してA地点にいたことを証明することができる。尚、使用者は、証明の精度を高めるために、短い間隔(時刻t1と時刻t2の間隔)で証明を行うことが好ましい。
【0038】
尚、前述した第3の事例の場合、時刻t1と時刻t2の間に数十回も数百回も指紋認証の取得と、測位データの取得とを行うことでも、時刻間の所在地の証明は可能である。しかし、数十回も数百回も指紋認証と測位データの取得とを行うことは、非効率であり好ましくない。本発明の行動/環境証明システム10は、第3の事例のような、特定の時刻間における使用者の所在地を効率よく証明することができる。
【0039】
ここで、証明部5が、指の動きが所定の範囲内であれば、指は動いていないと判定する方法を説明する。図2Aは、指紋認証部1が生成した時刻t1における使用者の指紋データである。図2Bは、指紋認証部1が生成した時刻t2における使用者の指紋データである。図2A及び図2Bを参照すると、指紋データは複数の特徴点(中心点、三角州、端点、分岐点)を含む。□は指紋の中心点を表し、△は指紋の三方向からの集まりの三角州を表し、○は指紋の凸部模様の行き止まりの端点を表し、×は指紋の凸部模様の枝分かれの分岐点を表す。
【0040】
証明部5は、使用者の入力に基づく時刻t1及び時刻t2を取得すると、記憶部4を参照し、時刻t1及び時刻t2に取得された指紋データを取得する。証明部5は、平行移動と回転を組み合わせて、時刻t2の指紋データ(図2B)を時刻t1の指紋データ(図2A)に重ね合わせ、平行移動距離xと回転角θとを算出する。詳細には、証明部5は、指紋の特徴点が全て重なる平行移動距離xと回転角θとを算出する。記憶部4は、指が動いていないと判定するための所定の範囲を保持する。所定の範囲は、平行移動距離xと回転角θ(例えば、x≦300ミクロン、θ≦3°)で表される。証明部5は、算出した値と所定の範囲とを比較して、指が動いたか否かを判定することができる。
【0041】
第4の事例:証明部5は、時刻t1において使用者がA地点にいて、時刻t2においてB地点にいたことと、A地点からB地点までの使用者の行動とを証明することができる。尚、携帯情報端末20は、時刻t1及び時刻t2の2点のそれぞれにおいて、認証結果の取得と、測位データの取得とを既に行っている。また、携帯情報端末20は、連続した情報として、時刻t1から時刻t2の間の検知結果と、時刻t1から時刻t2の間の振動データと、時刻t1から時刻t2の間の環境情報とを取得している。証明部5は、使用者の操作に基づいて時刻t1及び時刻t2を取得すると、記憶部4を参照し、時刻t1及び時刻t2で、使用者が認証されていることを抽出する。更に、証明部5は、時刻t1の所在地のA地点と、時刻t2の所在地のB地点とを抽出する。ここで、証明部5は、使用者が時刻t1でA地点に居て、時刻t2でB地点に居たことを証明する。尚、証明部5は、記憶部4に時刻t1及び時刻t2の使用者の情報が格納されたことに基づいて、時刻t1及び時刻t2における使用者の所在地を抽出してもよい。この事例では更に、証明部5は、使用者のA地点からB地点までの行動を証明しなければならない。そのため、証明部5は、携帯情報端末20の動き(使用者の動作に相当する)と、動いている携帯情報端末20を使用者が持ち続けていたことの2つの判定によって、使用者の行動を証明する。
【0042】
証明部5が、時刻t1のA地点から時刻t2のB地点の間における、携帯情報端末20の動きを判定する方法を説明する。証明部5は、動きと、動きに伴う振動の大きさ及び振動の回数の振動データとを関連付けた動きデータを有する。例えば、証明部5は、人が歩いているときの振動データ、人が走っているときの振動データ、自転車に乗っているときの振動データ、車に乗っているときの振動データなどを有する。証明部5は、記憶部4を参照して、時刻t1から時刻t2の間の振動データを取得し、取得した振動データが動きデータのどの様な動きに対応するのか否かを判定する。この証明部5の判定に基づいて、携帯情報端末20の動きを判定することができる。
【0043】
証明部5が、携帯情報端末20を使用者が持ち続けていたことを判定する方法は、前述した通りである。従って、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の振動データ、時刻t1から時刻t2の間の検知結果、及び、時刻t1と時刻t2との2つの指紋データのずれに基づいて、携帯情報端末20の使用者の行動を証明できる。更に、証明部5は、第3の事例と同様に、時刻t1から時刻t2の間の環境の変化を証明することができる。
【0044】
以上のように、証明部5は、時刻t1において使用者がA地点にいて、時刻t2においてB地点にいたことを、時刻t1及び時刻t2の認証結果と、時刻t1及び時刻t2の測位データで証明する。また、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の振動データ、時刻t1から時刻t2の間の検知結果、及び、時刻t1と時刻t2との2つの指紋データのずれに基づいて、使用者の行動を証明する。更に、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の環境情報に基づいて、使用者の周囲の環境変化を証明する。証明部5は、所在地と、使用者の行動と、周囲の環境とを含む証明できた内容を記憶部4及び出力部6へ提供する。この様にして、証明部5は、時刻t1において使用者がA地点にいて、時刻t2においてB地点にいたことと、A地点からB地点までの使用者の行動とを証明することができる。尚、使用者は、証明の精度を高めるために、短い間隔(時刻t1と時刻t2の間隔)で証明を行うことが好ましい。
【0045】
また、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の振動データに基づいて、携帯情報端末20を持つ使用者の手や腕がどの程度動いたのかを、更に詳細に判定することもできる。証明部5が、動きデータとして、例えば、使用者が暴力行為を行っていない振動データや、痴漢行為を行っていない振動データを有すると、これらの行為の証明に利用できる。尚、動作をより精度良く判定するために、携帯情報端末20は、複数の指、特に両手の指を検知することが好ましい。
【0046】
図1を再び参照して、構成の続きを説明する。出力部6は、本発明に係るデータを使用者に認識できるように出力する。
【0047】
通信部7は、ネットワーク40を介して接続する管理サーバ30へ、記憶部4が格納する使用者の情報を送信する。通信部7が送信するデータは、指紋データ、認証結果、検知結果、測位データ、振動データ、環境情報及び証明できた内容が挙げられる。通信部7は、記憶部4にデータが格納されたことを検知して、各種データを管理サーバ30へ送信することができる。但し、検知結果については、通信部7は記憶部4が認証結果を取得したことに基づいて、前回の認証結果を取得した時間から今回取得した時間までを抽出して送信することや、任意の時間間隔分の検知結果を抽出して送信する方法でもよい。更に、通信部7は、振動データ及び環境情報については、記憶部4が取得するデータの生成が終了した情報に基づいて、管理サーバ30へ送信する方法でもよい。また、通信部7は、管理サーバ30が証明した内容を受信することもできる。尚、GPS受信部3aがGPS信号を受信できない状況下にある時、通信部7が基地局間の受信電力や位相のずれから位置の情報を計算し、記憶部4へ提供してもよい。
【0048】
また、本発明の携帯情報端末20は、指紋認証部1の他に、静脈認証部、虹彩認証部、顔認証部、音声認証部などの生体認証部をさらに備えてもよい。携帯情報端末20は、生体認証部を増やすことで、使用者の特定をより正確に行うことが出来る。
【0049】
管理サーバ30は、携帯情報端末20から受信した使用者の情報を格納する。そして、管理サーバ30は、携帯情報端末20と同様に、携帯情報端末20の使用者が何時、何処で、どのような行動を、どのような環境で行ったのかを証明することができる。また、管理サーバ30は、所在地と、周囲の環境と、行動とを含む証明できた内容を携帯情報端末20と、ネットワーク40に接続する端末(図示略)へ提供することができる。管理サーバ30は、記憶部31と、証明部32と、通信部33とを備える。
【0050】
記憶部31は、携帯情報端末20から受信した使用者の情報を格納する。証明部32は、携帯情報端末20の証明部5と同様である。証明部32は、記憶部31に格納されている使用者の情報に基づいて、特定の時刻間における携帯情報端末20の使用者の所在地、使用者の行動、及び周囲の環境を証明することがきる。通信部33は、ネットワーク40を介して携帯情報端末20及びその他の端末と、使用者の情報の送受信をする。
【0051】
管理サーバ30は、携帯情報端末20の使用者から離れた端末であり、証明としてより客観性を持たせる効果を奏する。また、携帯情報端末20と管理サーバ30とが同じ使用者の情報を供給することで、データをバックアップする効果も奏する。
【0052】
本発明の実施の形態による行動/環境証明システム10の携帯情報端末20および管理サーバ30は、コンピュータを用いて実現可能である。図3は、行動/環境証明システム10の実施の形態における、ハードウエア構成例を示すブロック図である。図3を参照すると、本発明の行動/環境証明システム10の各装置は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)101と、記憶装置102と、センサ103と、GPS受信装置104と、加速度計105と、温湿度計106と、気圧計107と、入力装置108と、出力装置109と、各装置を接続するバス110とを備えるコンピュータシステムで構成される。尚、管理サーバ30は、センサ103と、GPS受信装置104、加速度計105、温湿度計106、及び気圧計107を含まなくてもよい。
【0053】
CPU101は、記憶装置102に格納されている本発明の行動/環境証明システム10に係る演算処理及び制御処理を行う。記憶装置102は、ハードディスクやメモリなど、情報の記録を行う装置である。記憶装置102は、CD−ROMやDVD等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から読み取られたプログラム、GPS受信装置104、加速度計105、温湿度計106、気圧計107及び入力装置108から入力された信号やプログラム、及びCPU101の処理結果を格納する。センサ103は、検知部11に相当し、物体の存在を検知する装置である。GPS受信装置104は、GPS受信部3aに相当し、GPS衛星から測位データを取得する装置である。加速度計106は、加速度測定部3bに相当し、携帯情報端末20の振動の大きさ及び振動の回数を測定する装置である。温湿度計106は、温湿度測定部3eに相当し、周囲の温湿度を測定する装置である。気圧計107は、気圧測定部3fに相当し、周囲の気圧を測定する装置である。入力装置108は、キーボード、ボタン、マイクロフォンなど、ユーザがコマンド及び信号を入力できる装置である。出力装置109は、ディスプレイ、スピーカなど、ユーザに出力結果を認識させる装置である。尚、本発明はハードウエア構成例と示したものに限定されず、各部はハードウエアとソフトウエアとを単独又は組み合わせて実現することが出来る。
【0054】
図4Aは、携帯情報端末20の外観例を示した図である。図4Bは、図4Aの反対側を示した図である。図4A及び図4Bを参照すると、携帯情報端末20は折り畳み型の携帯電話機として示されている。図4Aには、第1面21と、第2面22とが示されている。図4Bには、第3面23と、第4面24とが示されている。指紋認証部1の読取部12は、使用者が指を接触させやすい場所が好ましく、図4Aでは第1面21に設置されている。また、検知部11は読取部12の近傍に設置されることが好ましい。図4Aでは、検知部11は、読取部12の中に含まれる例を示している。操作部2は第4面24に設置されている。操作部2は第4面24に示されているが、トリガースイッチ部2aは、第1面21の読取部12と同じ位置に設置されてもよい。トリガースイッチ部2aが読取部12と同じ位置に設置されると、使用者は読取部12に指を接触させて、その指を軽く押すことでトリガースイッチ部2aを入力することができる。
【0055】
図5は、本発明の実施の形態による行動/環境証明システム10の処理動作を示すフローチャートである。図5を参照して、行動/環境証明システム10の処理動作を説明する。
【0056】
携帯情報端末20の使用者は、時刻t1において、接触部11に指を接触させた状態(検知部11が指を検知した状態)でトリガースイッチ部2aを操作する。トリガースイッチ部2aは、使用者の入力に基づいて、指紋認証部1と、測定部3とへトリガー信号を出力する(ステップS101)。尚、検知部11は、時刻t1から検知結果の生成を開始し、検知結果を記憶部4へ提供する。検知部11は、時刻t1から検知し続けていることを任意の時間間隔で提供してもよいし、検知できなくなった場合に再度検知結果を提供してもよい。
【0057】
読取部12は、使用者の指紋を読み取り、時刻t1の指紋データを生成する。読取部12は、時刻t1の指紋データを記憶部4及び照合部13へ提供する。照合部13は、取得した時刻t1の指紋データと、予め保持している指紋データとを照合し、認証結果を生成する。照合部13は、時刻t1の認証結果を記憶部4へ提供する(ステップS102)。
【0058】
測定部3は、トリガー信号に基づいて時刻t1におけるデータを取得、或いは測定を開始する。詳細には、GPS受信部3aはトリガー信号に基づいて、GPS衛星の電波を受信して、測位データを取得する。GPS受信部3aは、取得した測位データと、時刻t1とを関連付けて記憶部4へ提供する(ステップS103)。
【0059】
加速度測定部3bは、トリガー信号を取得すると、携帯情報端末20の振動の大きさ及び振動回数の測定を開始し、振動データの生成を開始する。加速度測定部3bは、振動データを生成している間、任意の時間間隔で、振動データを時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する。音声取得部3dは、トリガー信号を取得すると、携帯情報端末20の周囲の騒音や使用者の声などの音の測定を開始し、音声データを生成する。音声取得部3dは、音声データを生成している間、任意の時間間隔で、音声データを時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する。温湿度測定部3eは、トリガー信号を取得すると、携帯情報端末20の周囲の温湿度の測定を開始し、温湿度データを生成する。温湿度測定部3eは、温湿度データを生成している間、任意の時間間隔で、温湿度データを時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する。気圧測定部3fは、トリガー信号を取得すると、携帯情報端末20の周囲の気圧の測定を開始し、気圧データを生成する。気圧測定部3fは、気圧データを生成している間、任意の時間間隔で、気圧データを時計部3cの時刻と関連付けて記憶部4へ提供する(ステップS104)。尚、ステップS102〜ステップS104は順不同である。
【0060】
記憶部4は、時刻t1の指紋データと、時刻t1の認証結果と、時刻t1の測位データとを格納する。また、記憶部4は、任意の時間間隔で振動データ及び環境情報を取得し、格納する。更に、記憶部4は検知部11から検知結果を取得し、格納する。通信部7は、記憶部4に格納されている時刻t1の指紋データと、時刻t1の認証結果と、時刻t1の測位データとを抽出し、ネットワーク40を介して管理サーバ30へ送信する(ステップS105)。
【0061】
携帯情報端末20の使用者は、時刻t2において、接触部11に指を接触させた状態(検知部11が指を検知した状態)でトリガースイッチ部2aを操作する。トリガースイッチ部2aは、使用者の入力に基づいて、指紋認証部1と、測定部3とへトリガー信号を出力する(ステップS106)。尚、検知部11は、時刻t1からt2までの間、指を検知し続けていた検知結果を記憶部4へ提供している。
【0062】
読取部12は、使用者の指紋を読み取り、時刻t2の指紋データを生成する。読取部12は、指紋データを記憶部4及び照合部13へ提供する。照合部13は、取得した時刻t2の指紋データと、予め保持している指紋データとを照合し、認証結果を生成する。照合部13は、時刻t2の認証結果を記憶部4へ提供する(ステップS107)。
【0063】
測定部3は、トリガー信号に基づいて時刻t2における測定データを取得、或いは測定中のデータ生成を終了する。詳細には、GPS受信部3aはトリガー信号に基づいて、GPS衛星の電波を受信して、測位データを取得する。GPS受信部3aは、取得した測位データと、時刻t2とを関連付けて記憶部4へ提供する(ステップS108)。
【0064】
加速度測定部3bは、トリガー信号を取得すると、振動データの生成を終了する。同様に、音声取得部3dと、温湿度測定部3eと、気圧測定部3fとは、トリガー信号に基づいて、環境情報の生成を終了する。このとき、各部は、各データの生成を終了した情報を記憶部4へ提供する(ステップS109)。尚、ステップS107〜ステップS109は順不同である。
【0065】
記憶部4は、時刻t2の指紋データと、時刻t2の認証結果と、時刻t2の測位データとを格納する。尚、記憶部4は、時刻t1から時刻t2の間の振動データと、環境情報と、検知結果とを格納している。通信部7は、記憶部4に格納されている時刻t2の指紋データと、時刻t2の認証結果と、時刻t2の測位データと、時刻t1から時刻t2の間の振動データと、時刻t1から時刻t2の間の環境情報と、時刻t1から時刻t2の間の検知結果とを抽出し、ネットワーク40を介して管理サーバ30へ送信する(ステップS110)。
【0066】
証明部5は、使用者の時刻t1と時刻t2の入力に基づいて、時刻t1及び時刻t2を取得する。証明部5は、時刻t1から時刻t2の間における、使用者の所在地と、周囲の環境と、行動とを証明する。もしくは、証明部5は、時刻t1及び時刻t2の使用者の情報が記憶部4へ格納されたことに基づいて、時刻t1から時刻t2の間における使用者の所在地と、行動と、周囲の環境とを証明してもよい。(ステップS111)。詳細には、証明部5は、時刻t1及び時刻t2を取得すると、記憶部4を参照し、時刻t1及び時刻t2で、使用者が認証されていることを抽出する。同様に、証明部5は、時刻t1における使用者の所在地と、時刻t2における使用者の所在地とを抽出する。また、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の検知結果と、時刻t1の指紋データと、時刻t2の指紋データと、時刻t1から時刻t2の間の振動データとを抽出し、時刻t1から時刻t2の間における使用者の行動を証明する。更に、証明部5は、時刻t1から時刻t2の間の環境情報を抽出し、時刻t1から時刻t2の間の使用者の周囲の環境変化を証明する。証明部5は、時刻t1と時刻t2の所在地と、時刻t1から時刻t2の間の使用者の行動と、時刻t1から時刻t2の周囲の環境とを含む証明できた内容を記憶部4及び出力部6へ提供する。証明部5によって、時刻t1から時刻t2の間において、使用者の所在地と、行動と、周囲の環境とは証明される。また、ステップS111は、管理サーバ30の証明部32が同様の処理をしてもよい。この場合、証明部32は、時刻t1及び時刻t2を取得して、記憶部31を参照し、証明部5と同様の処理を行う。
【0067】
記憶部4は、証明部5が証明できた内容を格納する。通信部7は、記憶部4を参照し、証明できた内容を管理サーバ30へ送信する(ステップS112)。ステップS111を管理サーバ30が行う場合は、管理サーバ30は、携帯情報端末20及びその他のネットワーク40に接続する端末へ証明できた内容を送信する。
【0068】
以上、本発明の行動/環境証明システム10は、携帯情報端末20の使用者が、特定の時刻間、何処で、どのような行動をしていたのかを、周囲の環境(騒音、温湿度、気圧)も含めて、第3者の証言に頼らずに客観的に証明することが可能である。本発明の行動/環境証明システム10は、携帯情報端末20の使用者が事件等に巻き込まれた場合に、第3者の証言が得られなくても、特定の時刻間に、何処で、どのような行動を、どのような環境において行っていたのかを客観的に証明することができるため、使用者の潔白を証明しやすくなる。
【符号の説明】
【0069】
1 指紋認証部
2 操作部
2a トリガースイッチ部
3 測定部
3a GPS受信部
3b 加速度測定部
3c 時計部
3d 音声取得部
3e 温湿度測定部
3f 気圧測定部
4 記憶部
5 証明部
6 出力部
7 通信部
10 行動/環境証明システム
11 検知部
12 読取部
13 照合部
20 携帯情報端末
30 管理サーバ
31 記憶部
32 証明部
33 通信部
40 ネットワーク
101 CPU
102 記憶装置
103 センサ
104 GPS受信装置
105 加速度計
106 温湿度計
107 気圧計
108 入力装置
109 出力装置
110 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻t1から時刻t2の間における、使用者の情報を取得する携帯情報端末と、
ネットワークを介して前記使用者の情報を前記携帯情報端末から取得する管理サーバと
を具備し、
前記携帯情報端末は、
前記使用者の指を検知し、前記時刻t1から前記時刻t2の間の第1検知結果を生成する検知部と、
前記指の指紋を読み取り、前記時刻t1の第1指紋データと、前記時刻t2の第2指紋データとを生成する読取部と、
前記第1指紋データと予め格納されている第3指紋データとを照合し、前記時刻t1の第1認証結果を生成し、前記第2指紋データと前記第3指紋データとを照合し、前記時刻t2の第2認証結果を生成する照合部と、
前記携帯情報端末の前記時刻t1の第1測位データと、前記時刻t2の第2測位データとを、GPS衛星から取得するGPS受信部と、
前記携帯情報端末の振動の大きさ及び振動の回数を測定し、前記時刻t1から前記時刻t2の間の振動データを生成する加速度測定部と、
前記携帯情報端末の周囲の音を測定し、前記時刻t1から前記時刻t2の間の音声データを生成する音声取得部と、
前記携帯情報端末の周囲の温湿度を測定し、前記時刻t1から前記時刻t2の間の温湿度データを生成する温湿度測定部と、
前記携帯情報端末の周囲の気圧を測定し、前記時刻t1から前記時刻t2の間の気圧データを生成する気圧測定部と、
前記使用者の情報である、前記第1検知結果と、前記第1指紋データと、前記第2指紋データと、前記第1認証結果と、前記第2認証結果と、前記第1測位データと、前記第2測位データと、前記振動データと、前記音声データと、前記温湿度データと、前記気圧データとを格納する記憶部と、
前記第1認証結果と、前記第2認証結果と、前記第1測位データと、前記第2測位データとに基づいて、前記時刻t1及び前記時刻t2の前記使用者の所在地を証明し、前記第1認証結果と、前記第2認証結果と、前記音声データと、前記温湿度データと、前記気圧データとに基づいて、前記時刻t1から前記時刻t2の間の前記使用者の周囲の環境を証明し、前記第1検知結果と、前記第1指紋データと、前記第2指紋データと、前記振動データとに基づいて、前記時刻t1から前記時刻t2の間における前記使用者の行動を証明する証明部と、
前記使用者の情報を前記管理サーバへ送信する通信部と
を具備する
行動/環境証明システム。
【請求項2】
請求項1に記載の行動/環境証明システムであって、
前記証明部は、動きと、動きに伴う振動とを関連付けた動きデータを参照して、前記振動データに対応する前記携帯情報端末の第1の動きを判定し、前記第1検知結果と、前記第1指紋データと、前記第2指紋データとに基づいて、前記第1の動きをしている前記携帯情報端末を前記使用者が持ち続けていたことを判定する
行動/環境証明システム。
【請求項3】
請求項2に記載の行動/環境証明システムであって、
前記証明部は、前記第1検知結果に基づいて、前記使用者が前記携帯情報端末に触れ続けていたことを判定し、前記第1指紋データと前記第2指紋データとに基づいて、触れている前記指が動いていないことを判定し、2つの判定結果に基づいて前記携帯情報端末を前記使用者が持ち続けていたことを判定する
行動/環境証明システム。
【請求項4】
請求項3に記載の行動/環境証明システムであって、
前記証明部は、前記第2指紋データを前記第1指紋データに重ね合わせるための平行移動距離と、回転角とを算出し、算出した値と所定の範囲とを比較して、前記使用者の指が動いていないことを判定する
行動/環境証明システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の行動/環境証明システムであって、
前記使用者の入力に基づいて、前記時刻t1及び前記時刻t2のぞれぞれで、トリガー信号を出力するトリガースイッチ部
を更に具備し、
前記トリガー信号に基づいて、前記読取部は前記第1指紋データと前記第2指紋データとを生成し、前記GPS受信部は前記第1測位データと前記第2測位データとを取得し、前記加速度測定部は前記振動データを生成し、前記音声取得部は前記音声データを生成し、前記温湿度測定部は前記温湿度データを生成し、前記気圧測定部は前記気圧データを生成する
行動/環境証明システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の行動/環境証明システムであって、
前記管理サーバは、
前記使用者の情報を格納するサーバ記憶部と、
前記第1認証結果と、前記第2認証結果と、前記第1測位データと、前記第2測位データとに基づいて、前記時刻t1及び前記時刻t2の前記使用者の所在地を証明し、前記第1認証結果と、前記第2認証結果と、前記音声データと、前記温湿度データと、前記気圧データとに基づいて、前記時刻t1から前記時刻t2の間の前記使用者の周囲の環境を証明し、前記第1検知結果と、前記第1指紋データと、前記第2指紋データと、前記振動データとに基づいて、前記時刻t1から前記時刻t2の間における前記使用者の行動を証明するサーバ証明部と、
前記時刻t1及び前記時刻t2の前記使用者の前記所在地と、前記時刻t1から前記時刻t2の間の前記使用者の周囲の環境と、前記時刻t1から前記時刻t2の間における前記使用者の行動とを、前記携帯情報端末へ送信するサーバ通信部と
を備える
行動/環境証明システム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の行動/環境証明システムで使用される
携帯情報端末。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の行動/環境証明システムで使用される
管理サーバ。
【請求項9】
時刻t1において、携帯情報端末を操作する使用者の指を検知するステップと、
前記指の検知に基づいて、前記時刻t1から検知結果の生成を開始するステップと、
前記使用者の入力に基づき、前記時刻t1の第1トリガー信号を出力するステップと、
前記第1トリガー信号に基づき、前記指の指紋を読み取り、前記時刻t1の第1指紋データを生成するステップと、
前記第1指紋データと予め格納されている第3指紋データとに基づき、前記第1指紋データの第1認証結果を生成するステップと、
前記第1トリガー信号に基づき、前記携帯情報端末の前記時刻t1の第1測位データを、GPS衛星から取得するステップと、
前記第1トリガー信号に基づき、前記携帯情報端末の振動の大きさ及び振動の回数である振動データの生成を、前記時刻t1から開始するステップと、
前記第1トリガー信号に基づき、携帯情報端末の周囲の音に基づく音声データの生成を、前記時刻t1から開始するステップと、
前記第1トリガー信号に基づき、前記携帯情報端末の周囲の温湿度に基づく温湿度データの生成を、前記時刻t1から開始するステップと、
前記第1トリガー信号に基づき、前記携帯情報端末の周囲の気圧に基づく気圧データの生成を、前記時刻t1から開始するステップと、
前記使用者の入力に基づき、時刻t2の第2トリガー信号を出力するステップと、
生成している前記検知結果から、前記時刻t1から前記時刻t2までの前記第1検知結果を抽出するステップと、
前記第2トリガー信号に基づき、前記指の指紋を読み取り、前記時刻t2の第2指紋データを生成するステップと、
前記第2指紋データと前記第3指紋データとに基づき、前記第2指紋データの第2認証結果を生成するステップと、
前記第2トリガー信号に基づき、前記携帯情報端末の前記時刻t2の第2測位データを、前記GPS衛星から取得するステップと、
前記第2トリガー信号に基づき、前記時刻t2において前記振動データの生成を終了するステップと、
前記第2トリガー信号に基づき、前記時刻t2において前記音声データの生成を終了するステップと、
前記第2トリガー信号に基づき、前記時刻t2において前記温湿度データの生成を終了するステップと、
前記第2トリガー信号に基づき、前記時刻t2において前記気圧データの生成を終了するステップと、
前記第1認証結果と、前記第2認証結果と、前記第1測位データと、前記第2測位データとに基づいて、前記時刻t1及び前記時刻t2の前記使用者の所在地を証明するステップと、
前記第1認証結果と、前記第2認証結果と、前記音声データと、前記温湿度データと、前記気圧データとに基づいて、前記時刻t1から前記時刻t2の間の前記使用者の周囲の環境を証明するステップと、
前記第1検知結果と、前記第1指紋データと、前記第2指紋データと、前記振動データとに基づいて、前記時刻t1から前記時刻t2の間における前記使用者の行動を証明するステップと、
前記第1検知結果と、前記第1指紋データと、前記第2指紋データと、前記第1認証結果と、前記第2認証結果と、前記第1測位データと、前記第2測位データと、前記振動データと、前記音声データと、前記温湿度データと、前記気圧データとを管理サーバへ送信するステップと、
を具備する
行動/環境証明方法。
【請求項10】
請求項9に記載の行動/環境証明方法であって、
前記使用者の行動を証明するステップは、
動きと、動きに伴うデータとを関連付けた動きデータを参照して、前記振動データに対応する前記携帯情報端末の第1の動きを判定するステップと、
前記第1検知結果と、前記第1指紋データと、前記第2指紋データとに基づいて、前記第1の動きをしている前記携帯情報端末を前記使用者が持ち続けていたことを判定するステップと
を備える
行動/環境証明方法。
【請求項11】
請求項10に記載の行動/環境証明方法であって、
前記携帯情報端末を前記使用者が持ち続けていたことを判定するステップは、
前記第1検知結果に基づいて、前記使用者が前記携帯情報端末に触れ続けていたことを判定するステップと、
前記第1指紋データと前記第2指紋データとに基づいて、触れている前記指が動いていないことを判定するステップと
を含む
行動/環境証明方法。
【請求項12】
請求項11に記載の行動/環境証明方法であって、
触れている前記指が動いていないことを判定するステップは、
前記時刻t2の指紋データを前記時刻t1の指紋データに重ね合わせるための平行移動距離及び回転角を算出するステップと、
前記平行移動距離及び回転と、所定の範囲とを比較するステップと
を含む
行動/環境証明方法。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れか一項に記載の方法をコンピュータに実行させる
行動/環境証明プログラム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−239402(P2010−239402A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85376(P2009−85376)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】