説明

街路灯ユニット

【課題】専用のアンテナを支柱の外部に設置することなく、支柱の内部に設置した制御装置にリモコン装置から信号を送ることができる街路灯ユニットを提供する。
【解決手段】支柱14の上部に照明灯20が取り付けられ、かつ、支柱の内部に収容室22が形成されているとともに、収容室が開閉蓋により閉塞された街路灯10と、収容室内に設置され、照明灯の制御を行う制御装置24と、街路灯の外部から制御装置に制御信号を送信するリモコン装置32とを備えた街路灯ユニットとする。そして、リモコン装置から送信された信号が、街路灯の支柱本体34と開閉蓋との間、制御装置に接続された電源線28および制御装置と照明灯とを接続する電灯線30から選ばれる少なくとも1つを介して制御装置に送信されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路、公園等に設置される街路灯を備えた街路灯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路、公園等に設置される街路灯として、支柱の上部に照明灯が取り付けられたものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の街路灯は、支柱と、この支柱の上部に取り付けられた照明灯と、この照明灯の近傍に取り付けられた照明用のバッテリと、このバッテリを太陽光線から遮るように上記支柱上部に方向可変に取り付けられソーラーパネルとを備えたものである(請求項1)。
【0003】
一方、照明装置とリモコン装置とを備えた照明システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の照明システムは、光を発する発光部材に電力を供給して発光させる発光部と前記発光部に予め設定された発光動作をさせるべく第1の発光制御を行う発光制御部と前記発光制御部に前記第1の発光制御を指示する第1の設定指示を収容する第1の設定信号を無線通信により受信する信号受信部と前記発光部材を発光させるための電力を取得する電力取得部とを備えた照明装置と、前記第1の設定指示の入力を受け付ける操作部と前記操作部により前記第1の設定指示の入力が受け付けられた際に、当該第1の設定指示を収容する第1の設定信号を前記照明装置へ無線通信により送信するリモコン送信部とを備えたリモコン装置とを備えたものである(請求項1)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−151320号公報
【特許文献2】特開2006−59667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような街路灯の支柱の内部に制御装置を設置し、この制御装置にリモコン装置から信号を送ることにより、街路灯の照明灯の点灯・消灯を制御することが考えられる。
【0006】
しかし、街路灯の支柱の内部に制御装置を設置した場合、支柱によってリモコン装置からの信号が遮られるため、リモコン装置からの信号を受信するための専用のアンテナを支柱の外部に設置する必要が生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、専用のアンテナを支柱の外部に設置することなく、支柱の内部に設置した制御装置にリモコン装置から信号を送ることができる街路灯ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するため、支柱の上部に照明灯が取り付けられ、かつ、前記支柱の内部に収容室が形成されているとともに、前記収容室が開閉蓋により閉塞された街路灯と、前記収容室内に設置され、前記照明灯の制御を行う制御装置と、前記街路灯の外部から前記制御装置に制御信号を送信するリモコン装置とを備え、前記リモコン装置から送信された信号が、街路灯の支柱本体と前記開閉蓋との間、制御装置に接続された電源線および制御装置と照明灯とを接続する電灯線から選ばれる少なくとも1つを介して前記制御装置に送信されることを特徴とする街路灯ユニットを提供する。
【0009】
本発明において、リモコン装置から送信された信号が、街路灯の支柱本体と開閉蓋との間を介して制御装置に送信されるようにする手段に限定はないが、例えば、街路灯の支柱本体と開閉蓋との間のパッキングを電波が透過可能な材質で形成する手段、上記パッキングに電波が通過可能な切れ目を設ける手段などを挙げることができる。
【0010】
本発明において、リモコン装置から送信された信号が、制御装置に接続された電源線あるいは電灯線を介して制御装置に送信されるようにする手段に限定はないが、例えば、リモコン装置からの電波を電源線あるいは電灯線に向けて送信する手段などを挙げることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の街路灯ユニットは、リモコン装置から送信された信号が、街路灯の支柱本体と開閉蓋との間、制御装置に接続された電源線および照明灯に接続された電灯線から選ばれる少なくとも1つを介して制御装置に送信されるので、専用のアンテナを支柱の外部に設置することなく、支柱の内部に設置した制御装置にリモコン装置から信号を送ることができ、これにより街路灯の照明灯の制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1は本発明に係る街路灯ユニットの一実施形態を示す概略図である。
【0013】
図中10は街路灯を示す。この街路灯10は、下部が地中12に埋設された金属製支柱14の上部に、金属製アーム16を介して金属製カバー18が取り付けられ、このカバー18に照明灯20が取り付けられているものである。なお、カバー18の下端開口部は、透光性を有するガラスあるいはプラスチックの板21により閉塞されている。また、支柱14の内部には収容室22が形成され、この収容室22内に照明灯20の制御を行う制御装置24が設置されているとともに、図2に示すように、上記収容室22は金属製開閉蓋26により閉塞されている。制御装置24には外部から電源線28が接続されているとともに、制御装置24と照明灯20とは電灯線30によって接続されている。さらに、本例の街路灯ユニットは、街路灯10の外部から制御装置24に制御信号を送信するリモコン装置32を有する。
【0014】
本例の街路灯ユニットでは、リモコン装置32から送信された信号が、街路灯10の支柱本体34と開閉蓋26との間、電源線28および電灯線30から選ばれる少なくとも1つを介して制御装置24に送信されるようになっている。この場合、本例の街路灯ユニットでは、上記機能を実現するため、街路灯の支柱本体と開閉蓋との間のパッキングを電波が透過可能な材質で形成する手段、上記パッキングに電波が通過可能な切れ目を設ける手段、リモコン装置からの電波を電源線あるいは電灯線に向けて送信する手段などを用いている。
【0015】
以下、本例の街路灯ユニットにおける制御装置およびリモコン装置についてさらに詳しく述べる。制御装置は、バックアップ電源(バッテリー)を含むカスタム電源部、受信部および照明灯制御部を有し、下記の機能を有する。
(1)無線受信機能
電波状態を監視してリモコン装置からの信号を待ち、IDが一致した正常な信号を受信した場合に、リモコン装置からの信号を受信する。
(2)時計機能
内蔵時計により、現在時刻のカウントを行う。
(3)地区・モード設定機能
無線で受信したデータをもとに地区・モードデータを設定する。地区は全国を複数のブロックに分割し、各地区毎に1年間の日の入り・日の出時刻に関連させて照明灯の点灯・消灯を行うように制御する。また、複数のモードから特定のモードを選択することにより、照明灯の点灯・消灯を任意に制御することができる。
(4)照明灯制御機能
現在時刻と地区・モードデータをもとに、対応する点灯時刻から消灯時刻の間、照明灯制御リレーをオンにし、照明灯を点灯させる。
(5)照明灯テスト機能
リモコン装置から無線で照明灯テスト信号を受信した場合に、照明灯の点灯・消灯状態を切り換えることにより、照明灯のテストを行う。
(6)バッテリー放電対策機能
街路灯は、現地に設置され、AC電源が供給されるまでは停電状態となるが、その間のバッテリーの放電を防止するために、バッテリー部のFET(半導体素子)のオン・オフを行う。制御装置にAC電源が印加されると、自動的にFETがオンとなり、バッテリーは回路と接続される。また、停電時には、バッテリーでのデータ保持が可能となる。
【0016】
リモコン装置は、電池を電源とするもので、制御装置と組み合わせて使用され、内蔵の時計を基準にした制御装置への時刻設定、地区・モード設定等を電波を用いた無線により行う。リモコン装置は、下記機能を有する。
(1)電源制御機能
リモコン装置の電源を制御する。リモコン装置に電池をセットすることにより、スリープ状態となる。スリープ状態では、時計のカウント動作のみ行う。スリープ状態において電源スイッチを押すことにより、待機状態となり、全てのキー操作を受け付ける。
(2)設定送信機能
現在時刻、地区・モード、ID、点灯時間、消灯時間等の設定データを制御装置に連続で無線送信する。
(3)設定表示機能
年、月日、時分、地区・モード、ID、点灯時間、消灯時間等の設定データをLEDで表示する。
(4)時計機能
内蔵時計により、現在時刻のカウントを行う。
(5)設定データ校正機能
年、月日、時分、地区・モード、ID、点灯時間、消灯時間等の設定データを校正する。
(6)照明灯保守機能
制御装置に照明灯テスト信号を無線送信することにより、照明灯の保守を行う。
(7)ID機能
IDを設定するとともに、制御装置に他のデータとともに設定されたIDを送信し、リモコン装置のIDと制御装置のIDとが一致しないと、制御装置がリモコン装置からの信号を受信できないようにする。
(8)制御装置のバッテリー放電対策機能
街路灯は、現地に設置され、AC電源が供給されるまでは停電状態となるが、その間のバッテリーの放電を防止するために、バッテリー部のFET(半導体素子)のオン・オフ機能を内蔵する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る街路灯ユニットの一実施形態を示す概略図である。
【図2】図1の街路灯ユニットの街路灯の一部拡大図である。
【符号の説明】
【0018】
10 街路灯
14 支柱
20 照明灯
22 収容室
24 制御装置
26 開閉蓋
28 電源線
30 電灯線
32 リモコン装置
34 支柱本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の上部に照明灯が取り付けられ、かつ、前記支柱の内部に収容室が形成されているとともに、前記収容室が開閉蓋により閉塞された街路灯と、前記収容室内に設置され、前記照明灯の制御を行う制御装置と、前記街路灯の外部から前記制御装置に制御信号を送信するリモコン装置とを備え、前記リモコン装置から送信された信号が、街路灯の支柱本体と前記開閉蓋との間、制御装置に接続された電源線および制御装置と照明灯とを接続する電灯線から選ばれる少なくとも1つを介して前記制御装置に送信されることを特徴とする街路灯ユニット。

【図1】
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【図2】
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