衛生洗浄装置
【課題】殺菌後すぐに使用することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】便器に付設される衛生洗浄装置であって、吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して使用者の身体を洗浄するノズルと、給水源から供給される水を前記吐水口へ導く流路と、前記流路の途中に設けられ、殺菌水を生成可能な殺菌水生成手段と、前記殺菌水生成手段よりも上流に設けられ、前記給水源から供給される水を加熱可能な加熱手段と、前記殺菌水により前記ノズルを殺菌する殺菌動作の指示が入力される殺菌スイッチと、前記殺菌スイッチに前記指示が入力されると、前記殺菌動作を実行させ、前記加熱手段により加熱した水を前記流路内に供給させる制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置が提供される。
【解決手段】便器に付設される衛生洗浄装置であって、吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して使用者の身体を洗浄するノズルと、給水源から供給される水を前記吐水口へ導く流路と、前記流路の途中に設けられ、殺菌水を生成可能な殺菌水生成手段と、前記殺菌水生成手段よりも上流に設けられ、前記給水源から供給される水を加熱可能な加熱手段と、前記殺菌水により前記ノズルを殺菌する殺菌動作の指示が入力される殺菌スイッチと、前記殺菌スイッチに前記指示が入力されると、前記殺菌動作を実行させ、前記加熱手段により加熱した水を前記流路内に供給させる制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関し、具体的には洋式腰掛便器に腰掛けた使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
便座に座った使用者の「おしり」などの身体を洗浄する洗浄ノズルは、その洗浄ノズルや温水タンクなどの所定の機能部品を取り付けるケーシングから少なくとも一部を外部に露出（進出）した状態で身体に洗浄水を噴射する。そのため、洗浄ノズルには汚水や汚物が付着するおそれがある。これに対して、身体洗浄を行う前や行った後において、洗浄ノズルに付着した汚水や汚物を洗い流し除去する衛生洗浄装置がある。これにより、洗浄ノズルは清潔に保たれている。
【０００３】
しかしながら、衛生洗浄装置がパブリック用として使用される場合には、不特定多数の使用者が洗浄ノズルを使用する。そのため、洗浄ノズルの清潔性について不安を持つ使用者は比較的多い。
【０００４】
そこで、リモコンの除菌スイッチを押すことにより、人体洗浄ノズルであるお尻ノズルおよびビデノズルの吐出口の外側表面に高温の湯が吐出され、高温洗浄除菌される構成の衛生洗浄装置がある（特許文献１）。特許文献１に記載された衛生洗浄装置は、人体洗浄ノズルの少なくとも吐出口の外側表面を４５〜７０℃の温水で高温洗浄除菌する。また、人体洗浄ノズルは、微生物の増殖を抑制する抗菌性物質を有する。
【０００５】
しかしながら、高温の湯による除菌では、十分な除菌効果や殺菌効果を期待できない場合がある。また、高温洗浄除菌の後には、熱水ユニットから人体洗浄ノズルまでの流路内に高温の熱水が貯留するため、人体洗浄ノズルを使用する場合には、その高温の熱水を除く必要がある。流路内の高温の熱水を除き、人体洗浄に適する温度まで流路を冷ますためには時間がかかる。そのため、衛生洗浄装置の使用者は、高温洗浄除菌の後すぐに衛生洗浄装置を使用できないという問題がある。
【０００６】
また、蒸気および温度の異なる複数の物性のノズル洗浄水でノズル洗浄可能に構成された衛生洗浄装置がある（特許文献２）。特許文献２に記載された衛生洗浄装置においてノズル洗浄を実行する場合には、リモコンのノズル洗浄スイッチを押釦することで実行される。しかしながら、特許文献２に記載された衛生洗浄装置においても、蒸気および温度の異なる複数の物性のノズル洗浄水でノズル洗浄が行われるため、特許文献１に関して前述した問題と同様の問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００５−９００３０号公報
【特許文献２】特許第４１７５１４２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、殺菌後すぐに使用することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
第１の発明は、便器に付設される衛生洗浄装置であって、吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して使用者の身体を洗浄するノズルと、給水源から供給される水を前記吐水口へ導く流路と、前記流路の途中に設けられ、殺菌水を生成可能な殺菌水生成手段と、前記殺菌水生成手段よりも上流に設けられ、前記給水源から供給される水を加熱可能な加熱手段と、前記殺菌水により前記ノズルを殺菌する殺菌動作の指示が入力される殺菌スイッチと、前記殺菌スイッチに前記指示が入力されると、前記殺菌動作を実行させ、前記加熱手段により加熱した水を前記流路内に供給させる制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１０】
この衛生洗浄装置によれば、制御部は、殺菌スイッチに殺菌動作の指示が入力されると、殺菌動作を実行させ、加熱手段により加熱した水を流路内に供給させ制御を実行する。そのため、ノズルは、殺菌水生成手段により生成された殺菌水で殺菌されるとともに、殺菌水生成手段よりも下流側の流路は、加熱手段により加熱された水に置換される。これにより、使用者は、ノズルの殺菌後すぐに衛生洗浄装置を使用することができる。
【００１１】
また、第２の発明は、第１の発明において、前記流路から分岐し、前記給水源から供給される水を前記ノズルの表面へ導く分岐路と、前記ノズルを進退させるノズル駆動手段と、をさらに備え、前記殺菌動作は、前記ノズル駆動手段により前記ノズルを進退させつつ前記分岐路に前記殺菌水を通水させることにより前記ノズルの表面を殺菌する動作を含むことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１２】
この衛生洗浄装置によれば、殺菌動作は、ノズル駆動手段によりノズルを進退させつつ分岐路に殺菌水を通水させることによりノズルの表面を殺菌する動作を含む。また、例えば便蓋が開いている場合や、例えばパブリック用の衛生洗浄装置などのように便蓋が設けられていない場合には、使用者は、ノズルが殺菌動作中に進出したり後退したりする状態を目視することができる。そのため、使用者は、ノズルの殺菌動作が確実に行われていることを容易に確認することができ、より安心して衛生洗浄装置を使用することができる。
【００１３】
また、第３の発明は、第１の発明において、前記制御部は、前記殺菌動作を実行させた後に、前記殺菌水を前記流路内に充填した状態で維持させる制御を実行することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１４】
この衛生洗浄装置によれば、殺菌動作が実行された後、殺菌水は、流路内に充填した状態で維持される。つまり、殺菌水生成手段よりも下流側の流路内に殺菌水が保持され、その保持された殺菌水により殺菌効果がより長く維持される。そのため、殺菌水生成手段よりも下流側の流路をより効率的に殺菌することができる。
【００１５】
また、第４の発明は、第３の発明において、前記制御部は、前記ノズルから水を噴射して前記身体を洗浄する指示が入力されると、前記流路内に充填された前記殺菌水を排出させる制御を実行することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１６】
この衛生洗浄装置によれば、身体を洗浄する指示が入力されると、流路内に充填された殺菌水は排出される。そのため、便座に座った使用者の「おしり」などの身体を洗浄するときに、殺菌水が使用者の身体に噴射されることを防止することができる。
【００１７】
また、第５の発明は、第２の発明において、前記使用者の着座を検知する着座検知手段をさらに備え、前記着座検知手段が前記使用者の着座を検知しているときに前記殺菌スイッチに前記殺菌動作の指示が入力されると、前記制御部は、前記ノズルを進退させずに前記殺菌動作を実行させることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１８】
この衛生洗浄装置によれば、着座検知手段が使用者の着座を検知しているときに殺菌スイッチに殺菌動作の指示が入力されると、制御部は、ノズルを進退させずに殺菌動作を実行させる。使用者が着座しているときに、制御部がノズルを進退させて殺菌させると、使用者の排泄物がノズルにかかったり、着座している使用者に殺菌水がかかるおそれがある。そのため、第５の発明では、使用者が着座しているときには、制御部は、ノズルを進退させずに殺菌動作を実行させる。これにより、使用者の排泄物がノズルにかかったり、着座している使用者に殺菌水がかかることを抑えることができる。
【００１９】
また、第６の発明は、第１〜第５のいずれか１つの発明において、前記殺菌スイッチに前記殺菌動作の指示が入力されると前記殺菌動作の実行を報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００２０】
この衛生洗浄装置によれば、報知手段は、殺菌スイッチに殺菌動作の指示が入力されると殺菌動作の実行を報知する。そのため、使用者は、ノズルの殺菌を行ったか否か、あるいはノズルを殺菌中であるか否かを報知手段により確認することができる。これにより、使用者がノズルの殺菌を無駄に何回も行うことを抑えることができ、殺菌水が無駄に使われることを抑えることができる。
【発明の効果】
【００２１】
本発明の態様によれば、殺菌後すぐに使用することができる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
【図２】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
【図３】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作を説明するための概念模式図である。
【図４】本実施形態の電解槽ユニットの具体例を例示する断面模式図である。
【図５】本実施形態のノズルユニットの具体例を例示する斜視模式図である。
【図６】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を表すタイミングチャートである。
【図７】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の他の具体例を表すタイミングチャートである。
【図８】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
【図９】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
また、図２は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。 なお、図２は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
【００２４】
図１に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器（以下説明の便宜上、単に「便器」と称する）８００と、その上に設けられた衛生洗浄装置１００と、を備える。衛生洗浄装置１００は、ケーシング４００と、便座２００と、便蓋３００と、を有する。便座２００と便蓋３００とは、ケーシング４００に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【００２５】
ケーシング４００の内部には、便座２００に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング４００には、使用者が便座２００に座ったことを検知する着座検知センサ（着座検知手段）４０４が設けられている。着座検知センサ４０４が便座２００に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部５００を操作すると、洗浄ノズル（以下説明の便宜上、単に「ノズル」と称する）４７３を便器８００のボウル８０１内に進出させることができる。なお、図１に表した衛生洗浄装置１００では、ノズル４７３がボウル８０１内に進出した状態を表している。
【００２６】
ノズル４７３の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口４７４が設けられている。そして、ノズル４７３は、その先端部に設けられた吐水口４７４から水を噴射して、便座２００に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【００２７】
より具体的に説明すると、本実施形態にかかる衛生洗浄装置１００は、図２に表したように、水道や貯水タンクなどの給水源１０から供給された水をノズル４７３の吐水口４７４に導く流路２０を有する。流路２０の上流側には、電磁弁４３１が設けられている。電磁弁４３１は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング４００の内部に設けられた制御部４０５からの指令に基づいて水の供給を制御する。なお、流路２０は、電磁弁４３１から下流側の２次側とする。
【００２８】
電磁弁４３１の下流には、熱交換器ユニット（加熱手段）４４０が設けられている。熱交換器ユニット４４０は、温水ヒータ４４１を有する。温水ヒータ４４１は、供給された水を加熱し、所定の温水にする。なお、温水温度については、例えば、使用者が操作部５００を操作することにより設定することができる。
【００２９】
温水ヒータ４４１の下流には、殺菌水を生成可能な電解槽ユニット（殺菌水生成手段）４５０が設けられている。使用者が操作部５００に設けられた殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水を生成させる制御を実行する。電解槽ユニット４５０において生成された殺菌水は、ノズル４７３の吐水口４７４から噴射されたり、あるいはノズル４７３の吐水口４７４や外周表面（胴体）へ向かって噴射される。これにより、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０および後述する分岐路２２や、ノズル４７３の吐水口４７４の部分および外周表面は、殺菌水により殺菌される。すなわち、殺菌スイッチ５１０は、ノズル４７３の殺菌動作の指示が入力される。そして、使用者は、殺菌スイッチ５１０を押してノズル４７３の殺菌を指示することにより、使用者の意思でノズル４７３の殺菌を行うことができる。電解槽ユニット４５０については、後に詳述する。
【００３０】
電解槽ユニット４５０の下流には、水勢（流量）の調整を行う流量切替弁４７１と、ノズル４７３やノズル洗浄室４７８への給水の開閉や切替を行う流路切替弁４７２と、が設けられている。なお、流量切替弁４７１および流路切替弁４７２は、１つのユニットとして設けられていてもよい。
【００３１】
続いて、流量切替弁４７１および流路切替弁４７２の下流には、ノズル４７３が設けられている。ノズル４７３は、ノズルモータ（ノズル駆動手段）４７６からの駆動力を受け、便器８００のボウル８０１内に進出したり後退することができる。つまり、ノズルモータ４７６は、制御部４０５からの指令に基づいてノズル４７３を進退させることができる。一方、ノズル洗浄室４７８は、その内部に設けられた吐水部４７９（図５参照）から殺菌水あるいは水を噴射することにより、ノズル４７３の外周表面を殺菌あるいは洗浄することができる。
【００３２】
ここで、流路切替弁４７２の下流には、流路切替弁４７２とノズル洗浄室４７８とを接続する分岐路２２が設けられている。つまり、分岐路２２は、流路２０から分岐している。分岐路２２は、給水源１０から供給される水や、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水をノズル洗浄室４７８に導くことができる。すなわち、制御部４０５は、流路切替弁４７２を制御することにより、流路２０を通してノズル４７３の吐水口４７４に水や殺菌水を導かせたり、分岐路２２を通してノズル洗浄室４７８の吐水部４７９に水や殺菌水を導かせることができる。そして、分岐路２２を通してノズル洗浄室４７８の吐水部４７９に導かれた水や殺菌水は、ノズル４７３の吐水口４７４や外周表面へ向かって噴射される。
【００３３】
制御部４０５は、電源回路４０１から電力を供給され、トイレ室への使用者の入室を検知する入室検知センサ（入室検知手段）４０２や、便座２００の前方にいる使用者を検知する人体検知センサ（人体検知手段）４０３や、便座２００への使用者の着座を検知する着座検知センサ４０４や、操作部５００などからの信号に基づいて、電磁弁４３１や、温水ヒータ４４１や、電解槽ユニット４５０や、流量切替弁４７１や、流路切替弁４７２や、ノズルモータ４７６の動作を制御することができる。
【００３４】
着座検知センサ４０４は、使用者が便座２００に着座する直前において便座２００の上方に存在する人体や、便座２００に着座した使用者を検知することができる。すなわち、着座検知センサ４０４は、便座２００に着座した使用者だけではなく、便座２００の上方に存在する使用者を検知することができる。このような着座検知センサ４０４としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
【００３５】
また、人体検知センサ４０３は、便器８００の前方にいる使用者、すなわち便座２００から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサ４０３は、トイレ室に入室して便座２００に近づいてきた使用者を検知することができる。このような人体検知センサ４０３としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
【００３６】
また、入室検知センサ４０２は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサ４０２は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。このような入室検知センサ４０２としては、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅（強度）に基づいて被検知体を検出するセンサなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。
【００３７】
図１に表したトイレ装置では、ケーシング４００の上面に凹設部４０９が形成され、この凹設部４０９に一部が埋め込まれるように入室検知センサ４０２が設けられている。入室検知センサ４０２は、便蓋３００が閉じた状態では、その基部付近に設けられた透過窓３１０を介して使用者の入室を検知する。そして、例えば、入室検知センサ４０２が使用者を検知すると、制御部４０５は、入室検知センサ４０２の検知結果に基づいて便蓋３００を自動的に開く制御を実行することができる。また、着座検知センサ４０４および人体検知センサ４０３は、ケーシング４００の前方の中央部に設けられている。但し、着座検知センサ４０４、人体検知センサ４０３、および入室検知センサ４０２の設置形態は、これだけに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【００３８】
衛生洗浄装置１００は、図２に表したように、報知手段６００を有する。報知手段６００は、ノズル４７３の殺菌を行った後に、制御部４０５からの指令に基づいてノズル４７３を殺菌したことを報知する。あるいは、報知手段６００は、ノズル４７３の殺菌中に制御部４０５からの指令に基づいてノズル４７３を殺菌していることを報知する。つまり、報知手段６００は、殺菌スイッチ５１０に殺菌動作の指示が入力されると、殺菌動作の実行を報知する。報知方法としては、例えば音や光や表示などによる方法が挙げられる。また、報知手段６００は、操作部５００やケーシング４００の一部として設けられていてもよく、また、操作部５００やケーシング４００とは別体として設けられていてもよい。これによれば、使用者は、ノズル４７３の殺菌を行ったか否か、あるいはノズル４７３を殺菌中であるか否かを報知手段６００により確認することができる。そのため、使用者がノズル４７３の殺菌を無駄に何回も行うことを抑えることができ、殺菌水が無駄に使われることを抑えることができる。
【００３９】
また、ケーシング４００には、便座２００に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング４００の側面には、脱臭ユニットからの排気口４０７及び室内暖房ユニットからの排出口４０８が適宜設けられる。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【００４０】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作について、図面を参照しつつ説明する。 図３は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作を説明するための概念模式図である。 また、図４は、本実施形態の電解槽ユニットの具体例を例示する断面模式図である。
また、図５は、本実施形態のノズルユニットの具体例を例示する斜視模式図である。
なお、図３は、使用者がトイレ室に入室してから退室するまでの動作、およびそのときの衛生洗浄装置の動作の一例を時系列として表している。
【００４１】
図３に表したように、使用者がトイレ室に入室すると、入室検知センサ４０２は、例えばトイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者を検知する（タイミングｔ１）。続いて、使用者が便座２００に着座すると、着座検知センサ４０４は、例えば便座２００に着座した使用者を検知する（タイミングｔ２）。続いて、使用者は、操作部５００に設けられた図示しないおしり洗浄スイッチなどを押すことにより、例えば「おしり」などの身体を洗浄する（タイミングｔ３）。続いて、使用者が便座２００から離座すると、着座検知センサ４０４は、便座２００に着座した使用者を検知しなくなる（タイミングｔ４）。続いて、使用者がトイレ室から退室すると、入室検知センサ４０２は、トイレ室内の使用者を検知しなくなる（タイミングｔ５）。
【００４２】
本実施形態にかかる衛生洗浄装置１００では、使用者は、好みのタイミングで殺菌スイッチ５１０を押してノズル４７３の殺菌を指示することにより、ノズル４７３の殺菌を行うことができる。すなわち、使用者がノズル４７３の殺菌を指示するタイミングは、入室検知センサ４０２が使用者を検知してから着座検知センサ４０４が使用者を検知するまでの期間Ｔ１であってもよい。あるいは、そのタイミングは、着座検知センサ４０４が使用者を検知してから使用者が身体洗浄を指示するまでの期間Ｔ２であってもよい。あるいは、そのタイミングは、使用者が身体洗浄を指示してから着座検知センサ４０４が使用者を検知しなくなるまでの期間Ｔ３であってもよい。あるいは、そのタイミングは、着座検知センサ４０４が使用者を検知しなくなってから入室検知センサ４０２が使用者を検知しなくなるまでの期間Ｔ４であってもよい。
【００４３】
そして、使用者が期間Ｔ１、Ｔ２、Ｔ３、Ｔ４の少なくともいずれかのタイミングで殺菌スイッチ５１０を押すと、本実施形態の制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水を生成させ殺菌動作を実行させる。また、制御部４０５は、温水ヒータ４４１により加熱した水を流路２０内に供給する温水準備を実行させる。温水準備では、制御部４０５は、温水ヒータ４４１を制御し、吐水口４７４から水を排出させる。つまり、温水準備は、流路２０内の水を吐水口４７４から排出し、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０内の水を熱交換器ユニット４４０において加熱された水に入れ替える動作である。これにより、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０を温めることができる。そのため、便座２００に座った使用者の「おしり」などを洗浄するときに、冷水が使用者の「おしり」などに噴射されることを防止することができる。
【００４４】
本実施形態では、使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作を実行させ、温水準備を実行させる。そのため、ノズル４７３は、電解槽ユニット４５０により生成された殺菌水で殺菌されるとともに、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、温水ヒータ４４１により加熱された水に置換される。これにより、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００４５】
ここで、本実施形態の電解槽ユニット４５０について、図面を参照しつつ説明する。
電解槽ユニット４５０は、図４に表したように、その内部に陽極板４５１および陰極板４５２を有し、制御部４０５からの通電の制御によって、内部を流れる水道水を電気分解できる。ここで、水道水は、塩素イオンを含んでいる。この塩素イオンは、水源（例えば、地下水や、ダムの水や、河川などの水）に食塩（ＮａＣｌ）や塩化カルシウム（ＣａＣｌ２）として含まれている。そのため、その塩素イオンを電気分解することにより次亜塩素酸が生成される。その結果、電解槽ユニット４５０において電気分解された水は、次亜塩素酸を含む液に変化する。
【００４６】
次亜塩素酸は、殺菌成分として機能し、その次亜塩素酸を含む溶液すなわち殺菌水は、アンモニアなどによる汚れを効率的に除去あるいは分解したり、殺菌することができる。ここで、本願明細書において「殺菌水」とは、次亜塩素酸などの殺菌成分を水道水（単に「水」ともいう）よりも多く含む溶液をいうものとする。
【００４７】
このように、熱交換器ユニット４４０から供給された水道水は、電解槽ユニット４５０において電気分解されて次亜塩素酸を含む溶液となり、ノズルユニットに導かれる。ノズルユニットは、流量切替弁４７１と、流路切替弁４７２と、ノズル４７３と、を有する。そして、流路切替弁４７２は、電解槽ユニット４５０から供給された殺菌水をノズル４７３の吐水口４７４あるいはノズル洗浄室４７８に導くことができる。ここで、本実施形態のノズルユニットについて、図面を参照しつつ説明する。
【００４８】
本実施形態のノズルユニット４７０は、図５に表したように、基台としての取付台４７５と、取付台４７５に支持されたノズル４７３と、ノズル４７３を移動させるノズルモータ４７６と、を有する。ノズル４７３は、図５に表した矢印Ａのように、ベルトなどの伝動部材４７７を介してノズルモータ４７６から伝達される駆動力により、取付台４７５に対して摺動自在に設けられている。すなわち、ノズル４７３は、ノズル４７３自身の軸方向（進退方向）に直進移動することができる。そして、ノズル４７３は、ケーシング４００および取付台４７５から進退自在に移動できる。
【００４９】
また、本実施形態のノズルユニット４７０には、ノズル洗浄室４７８が設けられている。ノズル洗浄室４７８は、取付台４７５に対して固定され、その内部に設けられた吐水部４７９から殺菌水あるいは水を噴射することにより、ノズル４７３の外周表面を殺菌あるいは洗浄することができる。すなわち、制御部４０５が電解槽ユニット４５０の陽極板４５１および陰極板４５２に通電することにより殺菌水を生成させる場合には、ノズル４７３の胴体は、吐水部４７９から噴射される殺菌水により殺菌される。一方で、制御部４０５が電解槽ユニット４５０の陽極板４５１および陰極板４５２に通電しない場合には、ノズル４７３の胴体は、吐水部４７９から噴射される水により物理的に洗浄される。
【００５０】
より具体的には、ノズル４７３がケーシング４００に収納された状態において、ノズル４７３の吐水口４７４の部分はノズル洗浄室４７８の中にほぼ収容されている。そのため、ノズル洗浄室４７８は、その内部に設けられた吐水部４７９から殺菌水あるいは水を噴射することにより、収納された状態のノズル４７３の吐水口４７４の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。また、ノズル洗浄室４７８は、ノズル４７３の進退時において吐水部４７９から水あるいは殺菌水を噴射することにより、吐水口４７４の部分だけではなく他の部分の外周表面を殺菌あるいは洗浄することができる。
【００５１】
また、本実施形態のノズル４７３は、ノズル４７３がケーシング４００に収納された状態において、ノズル４７３自身が有する吐水口４７４から殺菌水あるいは水を吐水することにより吐水口４７４の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。さらに、ノズル４７３がケーシング４００に収納された状態では、ノズル４７３の吐水口４７４の部分はノズル洗浄室４７８の中にほぼ収容されているため、ノズル４７３の吐水口４７４から吐水された殺菌水あるいは水は、ノズル洗浄室４７８の内壁により反射して吐水口４７４の部分にかかる。そのため、ノズル４７３の吐水口４７４の部分は、ノズル洗浄室４７８の内壁で反射した殺菌水あるいは水によっても殺菌あるいは洗浄される。
【００５２】
次に、図３に戻ってさらに説明する。
まず、使用者が期間Ｔ１において殺菌スイッチ５１０を押した場合について説明する。 この場合、使用者は、便座２００に着座する前に殺菌スイッチ５１０を押すことによりノズル４７３の殺菌を行っている。そのため、使用者は、衛生洗浄装置１００を使用する前に予めノズル４７３を殺菌しておくことができる。また、図５に関して前述したように、本実施形態のノズル４７３の殺菌動作では、ノズル４７３の進退時において吐水部４７９から殺菌水を噴射することにより、ノズル４７３の外周表面を殺菌することができる。
【００５３】
このとき、便蓋３００が開いている場合や、例えばパブリック用の衛生洗浄装置などのように便蓋３００が設けられていない場合には、使用者は、ノズル４７３が殺菌動作中に進出したり後退したりする状態を目視することができる。そのため、使用者は、ノズル４７３の殺菌動作が確実に行われていることを容易に確認することができ、より安心して衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００５４】
また、使用者が便座２００に着座する前に、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作を実行させ、温水準備を実行させるため、流路２０内の水を吐水口４７４から排出する捨て水動作を使用者の着座によっては実行しない。すなわち、使用者が殺菌スイッチ５１０を押すことにより殺菌動作とともに温水準備が実行されるため、制御部４０５は、使用者の着座に基づいた捨て水動作をわざわざ実行させない。これによれば、温水準備の短縮化を図ることができ、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。また、無駄に水を排出しないため、節水を図ることができる。
【００５５】
次に、使用者が期間Ｔ２において殺菌スイッチ５１０を押した場合について説明する。 この場合、使用者は、便座２００に着座した状態で身体洗浄を行う前に殺菌スイッチ５１０を押すことによりノズル４７３の殺菌を行っている。そのため、使用者は、便座２００に着座した状態のままで身体洗浄を行う前に予めノズル４７３を殺菌しておくことができる。これにより、使用者は、より清潔な状態のノズル４７３を使用して身体洗浄を行うことができる。
【００５６】
このとき、使用者は便座２００に着座している。つまり、着座検知センサ４０４は、使用者が便座２００に着座している状態を検知している。そのため、制御部４０５がノズル４７３をケーシング４００の外部にまで進出させて外周表面を殺菌させると、使用者の排泄物がノズル４７３にかかったり、便座２００に着座した使用者に殺菌水がかかるおそれがある。そのため、使用者が期間Ｔ２において殺菌スイッチ５１０を押した場合には、制御部４０５は、ノズル４７３を進退させずに吐水口４７４から殺菌水を吐水させることにより吐水口４７４の部分を殺菌させる。あるいは、制御部４０５は、ノズル４７３がケーシング４００の外部に露出しない程度にノズル４７３を進退させて外周表面を殺菌させる。これによれば、使用者の排泄物がノズル４７３にかかったり、便座２００に着座した使用者に殺菌水がかかることを抑えることができる。また、ノズル４７３がケーシング４００の外部に露出しない程度にノズル４７３を進退させて殺菌する場合には、ケーシング４００の外部にノズル４７３を露出させる場合よりも狭いが、吐水口４７４の部分だけを殺菌する場合よりも広い外周表面を殺菌することができる。
【００５７】
次に、使用者が期間Ｔ３および期間Ｔ４において殺菌スイッチ５１０を押した場合について説明する。
この場合、使用者は、身体洗浄を行った後に殺菌スイッチ５１０を押すことによりノズル４７３の殺菌を行っている。そのため、使用者は、例えば次に衛生洗浄装置１００を使用する使用者のためにノズル４７３を殺菌することができる。
【００５８】
また、期間Ｔ３においては、使用者は、便座２００に着座している。つまり、着座検知センサ４０４は、使用者が便座２００に着座している状態を検知している。そのため、使用者が期間Ｔ３において殺菌スイッチ５１０を押した場合には、制御部４０５は、ノズル４７３を進退させずに吐水口４７４から殺菌水を吐水させることにより吐水口４７４の部分を殺菌させる。あるいは、制御部４０５は、ノズル４７３がケーシング４００の外部に露出しない程度にノズル４７３を進退させて外周表面を殺菌させる。これによれば、使用者の排泄物がノズル４７３にかかったり、便座２００に着座した使用者に殺菌水がかかることを抑えることができる。
【００５９】
ここで、本実施形態にかかる衛生洗浄装置１００の動作の変形例について説明する。
使用者が身体洗浄を行った後に殺菌スイッチ５１０を押した場合には、すなわち使用者が期間Ｔ３および期間Ｔ４の少なくともいずれかのタイミングで殺菌スイッチ５１０を押した場合には、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作のみを実行させ、温水準備を実行させなくともよい。あるいは、使用者が期間Ｔ３および期間Ｔ４の少なくともいずれかのタイミングで殺菌スイッチ５１０を押した場合には、使用者が殺菌スイッチ５１０を押してから所定時間が経過するまでの間には、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作のみを実行させ、温水準備を実行させなくともよい。これらは、使用者が身体洗浄を行った後すぐには、身体洗浄を再び行う可能性が低いためである。言い換えれば、身体洗浄を行った後すぐには、温水準備をわざわざ実行する必要がないからである。
【００６０】
但し、使用者が身体洗浄を行った後すぐに再び身体洗浄を行う場合には、制御部４０５は、捨て水動作を実行させた後に、ノズル４７３の吐水口４７４から温水を噴射させる。あるいは、使用者がトイレ室から退室した後すぐに他の使用者が入室し便座２００に着座した場合には、制御部４０５は、着座検知センサ４０４が便座２００に着座した他の使用者を検知すると捨て水動作を実行させる。そのため、いずれの場合でも、冷水が使用者の「おしり」などに噴射されることを防止することができる。
【００６１】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図６は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を表すタイミングチャートである。
【００６２】
使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電磁弁４３１を開き電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を開始させる（タイミングｔ１１）。そして、電解槽ユニット４５０において生成された殺菌水は、流路２０あるいは分岐路２２を通り、ノズル４７３の吐水口４７４あるいはノズル洗浄室４７８の吐水部４７９から噴射される。これにより、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０および分岐路２２や、ノズル４７３の吐水口４７４の部分および外周表面が殺菌水により殺菌される。つまり、ノズル４７３の殺菌動作が行われる。
【００６３】
制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を終了させると、温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させる（タイミングｔ１２）。このとき、電磁弁４３１は開いたままであるため、温水ヒータ４４１により加熱された水は、流路２０を通り、ノズル４７３の吐水口４７４から排出される。これにより、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０が温められる。つまり、温水準備が行われる。また、タイミングｔ１２〜ｔ１３において、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、次亜塩素酸などの殺菌成分を含まない水に置換される。続いて、制御部４０５は、温水ヒータ４４１に水の加熱を終了させ電磁弁４３１を閉じる（タイミングｔ１３）。
【００６４】
本具体例によれば、ノズル４７３の殺菌動作が行われると、その動作に引き続き温水準備が行われる。そのため、ノズル４７３は、電解槽ユニット４５０により生成された殺菌水で殺菌され、それに引き続き、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、温水ヒータ４４１により加熱された水に置換される。これにより、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００６５】
図７は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、ノズル４７３の殺菌動作が行われた後に温水準備が行われるわけではなく、ノズル４７３の殺菌動作の実行時間と温水準備の実行時間との一部が重複する。
【００６６】
使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電磁弁４３１を開き電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を開始させる（タイミングｔ２１）。このタイミングの動作は、図６に関して前述した具体例のタイミングｔ１１の動作と同様である。
【００６７】
続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を終了させる前に温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させる（タイミングｔ２２）。これによれば、制御部４０５が温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させた後には、温水ヒータ４４１により加熱された水で殺菌水が生成される。つまり、制御部４０５が温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させた後には、温水の殺菌水が電解槽ユニット４５０において生成される。これにより、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水の次亜塩素酸の濃度をより高めることができる。そして、殺菌水の殺菌力の低下を抑制し、殺菌水の殺菌効果をより長く維持することができる。そのため、殺菌水の殺菌効率をより高めることができる。
【００６８】
続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を終了させる（タイミングｔ２３）。その後、制御部４０５は、温水ヒータ４４１に水の加熱を終了させ電磁弁４３１を閉じる（タイミングｔ２４）。タイミングｔ２３〜ｔ２４において、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、次亜塩素酸などの殺菌成分を含まない温水に置換される。
【００６９】
本具体例によれば、前述したように、ノズル４７３の殺菌動作の一部において温水の殺菌水が生成されるため、ノズル４７３をより効率的に殺菌することができる。また、ノズル４７３の殺菌動作と一部重複して温水準備が行われるため、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００７０】
図８は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、温水準備の実行時間がノズル４７３の殺菌動作の実行時間に含まれる。
【００７１】
使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電磁弁４３１を開き電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を開始させる（タイミングｔ３１）。このタイミングの動作は、図６に関して前述した具体例のタイミングｔ１１の動作と同様である。
【００７２】
続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を終了させる前に温水ヒータ４４１の動作を開始する（タイミングｔ３２）。これにより、制御部４０５が温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させた後には、温水の殺菌水が電解槽ユニット４５０において生成される。これは、図７に関して前述した如くである。続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成および温水ヒータ４４１に水の加熱を終了させ電磁弁４３１を閉じる（タイミングｔ３３）。
【００７３】
本具体例によれば、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０は、温水の殺菌水により温められる（タイミングｔ３２〜ｔ３３）。そのため、使用者が期間Ｔ１および期間Ｔ２（図３参照）の少なくともいずれかにおいて殺菌スイッチ５１０を押した場合には、使用者が殺菌スイッチ５１０を押してからおしり洗浄スイッチなどを押すまでの間、温水の殺菌水は、流路２０内に充填した状態で維持される。これにより、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、温水の殺菌水により温められつつ殺菌される。つまり、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０内に殺菌水が保持され、その保持された殺菌水により殺菌効果がより長く維持される。そのため、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０をより効率的に殺菌することができる。
【００７４】
また、本具体例では、使用者がおしり洗浄スイッチなどを押すと、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０内に保持された温水の殺菌水を排出させ、次亜塩素酸などの殺菌成分を含まない温水に置換させる。これにより、便座２００に座った使用者の「おしり」などを洗浄するときに、殺菌水が使用者の「おしり」などに噴射されることを防止することができる。
【００７５】
このとき、流路２０内に保持された温水の殺菌水を排出し殺菌成分を含まない温水に置換する時間は、温水準備の動作時間よりも短い。これは、温水準備の場合には、流路２０を温める時間や身体洗浄に適する温度まで冷ます時間が必要であるのに対し、殺菌成分を含まない温水に置換する場合には、殺菌成分を含まない温水をノズル４７３の吐水口４７４まで通水する時間があれば十分だからである。つまり、本具体例では、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０は、ノズル４７３の殺菌動作において温水の殺菌水により温められているため、おしり洗浄スイッチなどが押されたときに殺菌成分を含まない温水をノズル４７３の吐水口４７４まで通水すれば十分である。そのため、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０内に殺菌水が保持された場合でも、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００７６】
図９は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、温水準備の実行時間とノズル４７３の殺菌動作の実行時間とは同じである。
【００７７】
使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電磁弁４３１を開き電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成および温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させる（タイミングｔ４１）。これにより、温水の殺菌水が電解槽ユニット４５０において生成される。そして、電解槽ユニット４５０において生成された温水の殺菌水は、流路２０あるいは分岐路２２を通り、ノズル４７３の吐水口４７４あるいはノズル洗浄室４７８の吐水部４７９から噴射される。これにより、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０および分岐路２２や、ノズル４７３の吐水口４７４の部分および外周表面は、温水の殺菌水により殺菌される。続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成および温水ヒータ４４１に水の加熱を終了させ電磁弁４３１を閉じる（タイミングｔ４２）。
【００７８】
本具体例によれば、使用者が期間Ｔ１および期間Ｔ２（図３参照）の少なくともいずれかにおいて殺菌スイッチ５１０を押した場合には、温水の殺菌水は、図８に関して前述した具体例の場合よりも長い時間、流路２０内に充填した状態で維持される。そのため、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０をさらに効率的に殺菌することができる。本具体例でも、使用者がおしり洗浄スイッチなどを押すと、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０内に保持された温水の殺菌水を排出させ、次亜塩素酸などの殺菌成分を含まない温水に置換する。使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００７９】
以上説明したように、本実施形態によれば、使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作を実行させ、温水準備を実行させる。そのため、ノズル４７３は、電解槽ユニット４５０により生成された殺菌水で殺菌されるとともに、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、温水ヒータ４４１により加熱された水に置換される。これにより、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００８０】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置１００などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや殺菌スイッチ５１０の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【００８１】
また、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水は、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。あるいは、殺菌水生成手段は、電解槽に限定されるわけではない。すなわち、殺菌水は、殺菌剤および殺菌液を水に溶解させることによって生成される殺菌水であってもよい。
【符号の説明】
【００８２】
１０ 給水源、 ２０ 流路、 １００ 衛生洗浄装置、 ２００ 便座、 ３００ 便蓋、 ３１０ 透過窓、 ４００ ケーシング、 ４０１ 電源回路、 ４０２ 入室検知センサ、 ４０３ 人体検知センサ、 ４０４ 着座検知センサ、 ４０５ 制御部、 ４０７ 排気口、 ４０８ 排出口、 ４０９ 凹設部、 ４３１ 電磁弁、 ４４０ 熱交換器ユニット、 ４４１ 温水ヒータ、 ４５０ 電解槽ユニット、 ４５１ 陽極板、 ４５２ 陰極板、 ４７０ ノズルユニット、 ４７１ 流量切替弁、 ４７２ 流路切替弁、 ４７３ ノズル、 ４７４ 吐水口、 ４７５ 取付台、 ４７６ ノズルモータ、 ４７７ 伝動部材、 ４７８ ノズル洗浄室、 ４７９ 吐水部、 ５００ 操作部、 ５１０ 殺菌スイッチ、 ６００ 報知手段、 ８００ 便器、 ８０１ ボウル
【技術分野】
【０００１】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関し、具体的には洋式腰掛便器に腰掛けた使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
便座に座った使用者の「おしり」などの身体を洗浄する洗浄ノズルは、その洗浄ノズルや温水タンクなどの所定の機能部品を取り付けるケーシングから少なくとも一部を外部に露出（進出）した状態で身体に洗浄水を噴射する。そのため、洗浄ノズルには汚水や汚物が付着するおそれがある。これに対して、身体洗浄を行う前や行った後において、洗浄ノズルに付着した汚水や汚物を洗い流し除去する衛生洗浄装置がある。これにより、洗浄ノズルは清潔に保たれている。
【０００３】
しかしながら、衛生洗浄装置がパブリック用として使用される場合には、不特定多数の使用者が洗浄ノズルを使用する。そのため、洗浄ノズルの清潔性について不安を持つ使用者は比較的多い。
【０００４】
そこで、リモコンの除菌スイッチを押すことにより、人体洗浄ノズルであるお尻ノズルおよびビデノズルの吐出口の外側表面に高温の湯が吐出され、高温洗浄除菌される構成の衛生洗浄装置がある（特許文献１）。特許文献１に記載された衛生洗浄装置は、人体洗浄ノズルの少なくとも吐出口の外側表面を４５〜７０℃の温水で高温洗浄除菌する。また、人体洗浄ノズルは、微生物の増殖を抑制する抗菌性物質を有する。
【０００５】
しかしながら、高温の湯による除菌では、十分な除菌効果や殺菌効果を期待できない場合がある。また、高温洗浄除菌の後には、熱水ユニットから人体洗浄ノズルまでの流路内に高温の熱水が貯留するため、人体洗浄ノズルを使用する場合には、その高温の熱水を除く必要がある。流路内の高温の熱水を除き、人体洗浄に適する温度まで流路を冷ますためには時間がかかる。そのため、衛生洗浄装置の使用者は、高温洗浄除菌の後すぐに衛生洗浄装置を使用できないという問題がある。
【０００６】
また、蒸気および温度の異なる複数の物性のノズル洗浄水でノズル洗浄可能に構成された衛生洗浄装置がある（特許文献２）。特許文献２に記載された衛生洗浄装置においてノズル洗浄を実行する場合には、リモコンのノズル洗浄スイッチを押釦することで実行される。しかしながら、特許文献２に記載された衛生洗浄装置においても、蒸気および温度の異なる複数の物性のノズル洗浄水でノズル洗浄が行われるため、特許文献１に関して前述した問題と同様の問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００５−９００３０号公報
【特許文献２】特許第４１７５１４２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、殺菌後すぐに使用することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
第１の発明は、便器に付設される衛生洗浄装置であって、吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して使用者の身体を洗浄するノズルと、給水源から供給される水を前記吐水口へ導く流路と、前記流路の途中に設けられ、殺菌水を生成可能な殺菌水生成手段と、前記殺菌水生成手段よりも上流に設けられ、前記給水源から供給される水を加熱可能な加熱手段と、前記殺菌水により前記ノズルを殺菌する殺菌動作の指示が入力される殺菌スイッチと、前記殺菌スイッチに前記指示が入力されると、前記殺菌動作を実行させ、前記加熱手段により加熱した水を前記流路内に供給させる制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１０】
この衛生洗浄装置によれば、制御部は、殺菌スイッチに殺菌動作の指示が入力されると、殺菌動作を実行させ、加熱手段により加熱した水を流路内に供給させ制御を実行する。そのため、ノズルは、殺菌水生成手段により生成された殺菌水で殺菌されるとともに、殺菌水生成手段よりも下流側の流路は、加熱手段により加熱された水に置換される。これにより、使用者は、ノズルの殺菌後すぐに衛生洗浄装置を使用することができる。
【００１１】
また、第２の発明は、第１の発明において、前記流路から分岐し、前記給水源から供給される水を前記ノズルの表面へ導く分岐路と、前記ノズルを進退させるノズル駆動手段と、をさらに備え、前記殺菌動作は、前記ノズル駆動手段により前記ノズルを進退させつつ前記分岐路に前記殺菌水を通水させることにより前記ノズルの表面を殺菌する動作を含むことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１２】
この衛生洗浄装置によれば、殺菌動作は、ノズル駆動手段によりノズルを進退させつつ分岐路に殺菌水を通水させることによりノズルの表面を殺菌する動作を含む。また、例えば便蓋が開いている場合や、例えばパブリック用の衛生洗浄装置などのように便蓋が設けられていない場合には、使用者は、ノズルが殺菌動作中に進出したり後退したりする状態を目視することができる。そのため、使用者は、ノズルの殺菌動作が確実に行われていることを容易に確認することができ、より安心して衛生洗浄装置を使用することができる。
【００１３】
また、第３の発明は、第１の発明において、前記制御部は、前記殺菌動作を実行させた後に、前記殺菌水を前記流路内に充填した状態で維持させる制御を実行することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１４】
この衛生洗浄装置によれば、殺菌動作が実行された後、殺菌水は、流路内に充填した状態で維持される。つまり、殺菌水生成手段よりも下流側の流路内に殺菌水が保持され、その保持された殺菌水により殺菌効果がより長く維持される。そのため、殺菌水生成手段よりも下流側の流路をより効率的に殺菌することができる。
【００１５】
また、第４の発明は、第３の発明において、前記制御部は、前記ノズルから水を噴射して前記身体を洗浄する指示が入力されると、前記流路内に充填された前記殺菌水を排出させる制御を実行することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１６】
この衛生洗浄装置によれば、身体を洗浄する指示が入力されると、流路内に充填された殺菌水は排出される。そのため、便座に座った使用者の「おしり」などの身体を洗浄するときに、殺菌水が使用者の身体に噴射されることを防止することができる。
【００１７】
また、第５の発明は、第２の発明において、前記使用者の着座を検知する着座検知手段をさらに備え、前記着座検知手段が前記使用者の着座を検知しているときに前記殺菌スイッチに前記殺菌動作の指示が入力されると、前記制御部は、前記ノズルを進退させずに前記殺菌動作を実行させることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００１８】
この衛生洗浄装置によれば、着座検知手段が使用者の着座を検知しているときに殺菌スイッチに殺菌動作の指示が入力されると、制御部は、ノズルを進退させずに殺菌動作を実行させる。使用者が着座しているときに、制御部がノズルを進退させて殺菌させると、使用者の排泄物がノズルにかかったり、着座している使用者に殺菌水がかかるおそれがある。そのため、第５の発明では、使用者が着座しているときには、制御部は、ノズルを進退させずに殺菌動作を実行させる。これにより、使用者の排泄物がノズルにかかったり、着座している使用者に殺菌水がかかることを抑えることができる。
【００１９】
また、第６の発明は、第１〜第５のいずれか１つの発明において、前記殺菌スイッチに前記殺菌動作の指示が入力されると前記殺菌動作の実行を報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【００２０】
この衛生洗浄装置によれば、報知手段は、殺菌スイッチに殺菌動作の指示が入力されると殺菌動作の実行を報知する。そのため、使用者は、ノズルの殺菌を行ったか否か、あるいはノズルを殺菌中であるか否かを報知手段により確認することができる。これにより、使用者がノズルの殺菌を無駄に何回も行うことを抑えることができ、殺菌水が無駄に使われることを抑えることができる。
【発明の効果】
【００２１】
本発明の態様によれば、殺菌後すぐに使用することができる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
【図２】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
【図３】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作を説明するための概念模式図である。
【図４】本実施形態の電解槽ユニットの具体例を例示する断面模式図である。
【図５】本実施形態のノズルユニットの具体例を例示する斜視模式図である。
【図６】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を表すタイミングチャートである。
【図７】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の他の具体例を表すタイミングチャートである。
【図８】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
【図９】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
また、図２は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。 なお、図２は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
【００２４】
図１に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器（以下説明の便宜上、単に「便器」と称する）８００と、その上に設けられた衛生洗浄装置１００と、を備える。衛生洗浄装置１００は、ケーシング４００と、便座２００と、便蓋３００と、を有する。便座２００と便蓋３００とは、ケーシング４００に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【００２５】
ケーシング４００の内部には、便座２００に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング４００には、使用者が便座２００に座ったことを検知する着座検知センサ（着座検知手段）４０４が設けられている。着座検知センサ４０４が便座２００に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部５００を操作すると、洗浄ノズル（以下説明の便宜上、単に「ノズル」と称する）４７３を便器８００のボウル８０１内に進出させることができる。なお、図１に表した衛生洗浄装置１００では、ノズル４７３がボウル８０１内に進出した状態を表している。
【００２６】
ノズル４７３の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口４７４が設けられている。そして、ノズル４７３は、その先端部に設けられた吐水口４７４から水を噴射して、便座２００に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【００２７】
より具体的に説明すると、本実施形態にかかる衛生洗浄装置１００は、図２に表したように、水道や貯水タンクなどの給水源１０から供給された水をノズル４７３の吐水口４７４に導く流路２０を有する。流路２０の上流側には、電磁弁４３１が設けられている。電磁弁４３１は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング４００の内部に設けられた制御部４０５からの指令に基づいて水の供給を制御する。なお、流路２０は、電磁弁４３１から下流側の２次側とする。
【００２８】
電磁弁４３１の下流には、熱交換器ユニット（加熱手段）４４０が設けられている。熱交換器ユニット４４０は、温水ヒータ４４１を有する。温水ヒータ４４１は、供給された水を加熱し、所定の温水にする。なお、温水温度については、例えば、使用者が操作部５００を操作することにより設定することができる。
【００２９】
温水ヒータ４４１の下流には、殺菌水を生成可能な電解槽ユニット（殺菌水生成手段）４５０が設けられている。使用者が操作部５００に設けられた殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水を生成させる制御を実行する。電解槽ユニット４５０において生成された殺菌水は、ノズル４７３の吐水口４７４から噴射されたり、あるいはノズル４７３の吐水口４７４や外周表面（胴体）へ向かって噴射される。これにより、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０および後述する分岐路２２や、ノズル４７３の吐水口４７４の部分および外周表面は、殺菌水により殺菌される。すなわち、殺菌スイッチ５１０は、ノズル４７３の殺菌動作の指示が入力される。そして、使用者は、殺菌スイッチ５１０を押してノズル４７３の殺菌を指示することにより、使用者の意思でノズル４７３の殺菌を行うことができる。電解槽ユニット４５０については、後に詳述する。
【００３０】
電解槽ユニット４５０の下流には、水勢（流量）の調整を行う流量切替弁４７１と、ノズル４７３やノズル洗浄室４７８への給水の開閉や切替を行う流路切替弁４７２と、が設けられている。なお、流量切替弁４７１および流路切替弁４７２は、１つのユニットとして設けられていてもよい。
【００３１】
続いて、流量切替弁４７１および流路切替弁４７２の下流には、ノズル４７３が設けられている。ノズル４７３は、ノズルモータ（ノズル駆動手段）４７６からの駆動力を受け、便器８００のボウル８０１内に進出したり後退することができる。つまり、ノズルモータ４７６は、制御部４０５からの指令に基づいてノズル４７３を進退させることができる。一方、ノズル洗浄室４７８は、その内部に設けられた吐水部４７９（図５参照）から殺菌水あるいは水を噴射することにより、ノズル４７３の外周表面を殺菌あるいは洗浄することができる。
【００３２】
ここで、流路切替弁４７２の下流には、流路切替弁４７２とノズル洗浄室４７８とを接続する分岐路２２が設けられている。つまり、分岐路２２は、流路２０から分岐している。分岐路２２は、給水源１０から供給される水や、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水をノズル洗浄室４７８に導くことができる。すなわち、制御部４０５は、流路切替弁４７２を制御することにより、流路２０を通してノズル４７３の吐水口４７４に水や殺菌水を導かせたり、分岐路２２を通してノズル洗浄室４７８の吐水部４７９に水や殺菌水を導かせることができる。そして、分岐路２２を通してノズル洗浄室４７８の吐水部４７９に導かれた水や殺菌水は、ノズル４７３の吐水口４７４や外周表面へ向かって噴射される。
【００３３】
制御部４０５は、電源回路４０１から電力を供給され、トイレ室への使用者の入室を検知する入室検知センサ（入室検知手段）４０２や、便座２００の前方にいる使用者を検知する人体検知センサ（人体検知手段）４０３や、便座２００への使用者の着座を検知する着座検知センサ４０４や、操作部５００などからの信号に基づいて、電磁弁４３１や、温水ヒータ４４１や、電解槽ユニット４５０や、流量切替弁４７１や、流路切替弁４７２や、ノズルモータ４７６の動作を制御することができる。
【００３４】
着座検知センサ４０４は、使用者が便座２００に着座する直前において便座２００の上方に存在する人体や、便座２００に着座した使用者を検知することができる。すなわち、着座検知センサ４０４は、便座２００に着座した使用者だけではなく、便座２００の上方に存在する使用者を検知することができる。このような着座検知センサ４０４としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
【００３５】
また、人体検知センサ４０３は、便器８００の前方にいる使用者、すなわち便座２００から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサ４０３は、トイレ室に入室して便座２００に近づいてきた使用者を検知することができる。このような人体検知センサ４０３としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。
【００３６】
また、入室検知センサ４０２は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサ４０２は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。このような入室検知センサ４０２としては、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅（強度）に基づいて被検知体を検出するセンサなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。
【００３７】
図１に表したトイレ装置では、ケーシング４００の上面に凹設部４０９が形成され、この凹設部４０９に一部が埋め込まれるように入室検知センサ４０２が設けられている。入室検知センサ４０２は、便蓋３００が閉じた状態では、その基部付近に設けられた透過窓３１０を介して使用者の入室を検知する。そして、例えば、入室検知センサ４０２が使用者を検知すると、制御部４０５は、入室検知センサ４０２の検知結果に基づいて便蓋３００を自動的に開く制御を実行することができる。また、着座検知センサ４０４および人体検知センサ４０３は、ケーシング４００の前方の中央部に設けられている。但し、着座検知センサ４０４、人体検知センサ４０３、および入室検知センサ４０２の設置形態は、これだけに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【００３８】
衛生洗浄装置１００は、図２に表したように、報知手段６００を有する。報知手段６００は、ノズル４７３の殺菌を行った後に、制御部４０５からの指令に基づいてノズル４７３を殺菌したことを報知する。あるいは、報知手段６００は、ノズル４７３の殺菌中に制御部４０５からの指令に基づいてノズル４７３を殺菌していることを報知する。つまり、報知手段６００は、殺菌スイッチ５１０に殺菌動作の指示が入力されると、殺菌動作の実行を報知する。報知方法としては、例えば音や光や表示などによる方法が挙げられる。また、報知手段６００は、操作部５００やケーシング４００の一部として設けられていてもよく、また、操作部５００やケーシング４００とは別体として設けられていてもよい。これによれば、使用者は、ノズル４７３の殺菌を行ったか否か、あるいはノズル４７３を殺菌中であるか否かを報知手段６００により確認することができる。そのため、使用者がノズル４７３の殺菌を無駄に何回も行うことを抑えることができ、殺菌水が無駄に使われることを抑えることができる。
【００３９】
また、ケーシング４００には、便座２００に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング４００の側面には、脱臭ユニットからの排気口４０７及び室内暖房ユニットからの排出口４０８が適宜設けられる。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【００４０】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作について、図面を参照しつつ説明する。 図３は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作を説明するための概念模式図である。 また、図４は、本実施形態の電解槽ユニットの具体例を例示する断面模式図である。
また、図５は、本実施形態のノズルユニットの具体例を例示する斜視模式図である。
なお、図３は、使用者がトイレ室に入室してから退室するまでの動作、およびそのときの衛生洗浄装置の動作の一例を時系列として表している。
【００４１】
図３に表したように、使用者がトイレ室に入室すると、入室検知センサ４０２は、例えばトイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者を検知する（タイミングｔ１）。続いて、使用者が便座２００に着座すると、着座検知センサ４０４は、例えば便座２００に着座した使用者を検知する（タイミングｔ２）。続いて、使用者は、操作部５００に設けられた図示しないおしり洗浄スイッチなどを押すことにより、例えば「おしり」などの身体を洗浄する（タイミングｔ３）。続いて、使用者が便座２００から離座すると、着座検知センサ４０４は、便座２００に着座した使用者を検知しなくなる（タイミングｔ４）。続いて、使用者がトイレ室から退室すると、入室検知センサ４０２は、トイレ室内の使用者を検知しなくなる（タイミングｔ５）。
【００４２】
本実施形態にかかる衛生洗浄装置１００では、使用者は、好みのタイミングで殺菌スイッチ５１０を押してノズル４７３の殺菌を指示することにより、ノズル４７３の殺菌を行うことができる。すなわち、使用者がノズル４７３の殺菌を指示するタイミングは、入室検知センサ４０２が使用者を検知してから着座検知センサ４０４が使用者を検知するまでの期間Ｔ１であってもよい。あるいは、そのタイミングは、着座検知センサ４０４が使用者を検知してから使用者が身体洗浄を指示するまでの期間Ｔ２であってもよい。あるいは、そのタイミングは、使用者が身体洗浄を指示してから着座検知センサ４０４が使用者を検知しなくなるまでの期間Ｔ３であってもよい。あるいは、そのタイミングは、着座検知センサ４０４が使用者を検知しなくなってから入室検知センサ４０２が使用者を検知しなくなるまでの期間Ｔ４であってもよい。
【００４３】
そして、使用者が期間Ｔ１、Ｔ２、Ｔ３、Ｔ４の少なくともいずれかのタイミングで殺菌スイッチ５１０を押すと、本実施形態の制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水を生成させ殺菌動作を実行させる。また、制御部４０５は、温水ヒータ４４１により加熱した水を流路２０内に供給する温水準備を実行させる。温水準備では、制御部４０５は、温水ヒータ４４１を制御し、吐水口４７４から水を排出させる。つまり、温水準備は、流路２０内の水を吐水口４７４から排出し、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０内の水を熱交換器ユニット４４０において加熱された水に入れ替える動作である。これにより、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０を温めることができる。そのため、便座２００に座った使用者の「おしり」などを洗浄するときに、冷水が使用者の「おしり」などに噴射されることを防止することができる。
【００４４】
本実施形態では、使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作を実行させ、温水準備を実行させる。そのため、ノズル４７３は、電解槽ユニット４５０により生成された殺菌水で殺菌されるとともに、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、温水ヒータ４４１により加熱された水に置換される。これにより、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００４５】
ここで、本実施形態の電解槽ユニット４５０について、図面を参照しつつ説明する。
電解槽ユニット４５０は、図４に表したように、その内部に陽極板４５１および陰極板４５２を有し、制御部４０５からの通電の制御によって、内部を流れる水道水を電気分解できる。ここで、水道水は、塩素イオンを含んでいる。この塩素イオンは、水源（例えば、地下水や、ダムの水や、河川などの水）に食塩（ＮａＣｌ）や塩化カルシウム（ＣａＣｌ２）として含まれている。そのため、その塩素イオンを電気分解することにより次亜塩素酸が生成される。その結果、電解槽ユニット４５０において電気分解された水は、次亜塩素酸を含む液に変化する。
【００４６】
次亜塩素酸は、殺菌成分として機能し、その次亜塩素酸を含む溶液すなわち殺菌水は、アンモニアなどによる汚れを効率的に除去あるいは分解したり、殺菌することができる。ここで、本願明細書において「殺菌水」とは、次亜塩素酸などの殺菌成分を水道水（単に「水」ともいう）よりも多く含む溶液をいうものとする。
【００４７】
このように、熱交換器ユニット４４０から供給された水道水は、電解槽ユニット４５０において電気分解されて次亜塩素酸を含む溶液となり、ノズルユニットに導かれる。ノズルユニットは、流量切替弁４７１と、流路切替弁４７２と、ノズル４７３と、を有する。そして、流路切替弁４７２は、電解槽ユニット４５０から供給された殺菌水をノズル４７３の吐水口４７４あるいはノズル洗浄室４７８に導くことができる。ここで、本実施形態のノズルユニットについて、図面を参照しつつ説明する。
【００４８】
本実施形態のノズルユニット４７０は、図５に表したように、基台としての取付台４７５と、取付台４７５に支持されたノズル４７３と、ノズル４７３を移動させるノズルモータ４７６と、を有する。ノズル４７３は、図５に表した矢印Ａのように、ベルトなどの伝動部材４７７を介してノズルモータ４７６から伝達される駆動力により、取付台４７５に対して摺動自在に設けられている。すなわち、ノズル４７３は、ノズル４７３自身の軸方向（進退方向）に直進移動することができる。そして、ノズル４７３は、ケーシング４００および取付台４７５から進退自在に移動できる。
【００４９】
また、本実施形態のノズルユニット４７０には、ノズル洗浄室４７８が設けられている。ノズル洗浄室４７８は、取付台４７５に対して固定され、その内部に設けられた吐水部４７９から殺菌水あるいは水を噴射することにより、ノズル４７３の外周表面を殺菌あるいは洗浄することができる。すなわち、制御部４０５が電解槽ユニット４５０の陽極板４５１および陰極板４５２に通電することにより殺菌水を生成させる場合には、ノズル４７３の胴体は、吐水部４７９から噴射される殺菌水により殺菌される。一方で、制御部４０５が電解槽ユニット４５０の陽極板４５１および陰極板４５２に通電しない場合には、ノズル４７３の胴体は、吐水部４７９から噴射される水により物理的に洗浄される。
【００５０】
より具体的には、ノズル４７３がケーシング４００に収納された状態において、ノズル４７３の吐水口４７４の部分はノズル洗浄室４７８の中にほぼ収容されている。そのため、ノズル洗浄室４７８は、その内部に設けられた吐水部４７９から殺菌水あるいは水を噴射することにより、収納された状態のノズル４７３の吐水口４７４の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。また、ノズル洗浄室４７８は、ノズル４７３の進退時において吐水部４７９から水あるいは殺菌水を噴射することにより、吐水口４７４の部分だけではなく他の部分の外周表面を殺菌あるいは洗浄することができる。
【００５１】
また、本実施形態のノズル４７３は、ノズル４７３がケーシング４００に収納された状態において、ノズル４７３自身が有する吐水口４７４から殺菌水あるいは水を吐水することにより吐水口４７４の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。さらに、ノズル４７３がケーシング４００に収納された状態では、ノズル４７３の吐水口４７４の部分はノズル洗浄室４７８の中にほぼ収容されているため、ノズル４７３の吐水口４７４から吐水された殺菌水あるいは水は、ノズル洗浄室４７８の内壁により反射して吐水口４７４の部分にかかる。そのため、ノズル４７３の吐水口４７４の部分は、ノズル洗浄室４７８の内壁で反射した殺菌水あるいは水によっても殺菌あるいは洗浄される。
【００５２】
次に、図３に戻ってさらに説明する。
まず、使用者が期間Ｔ１において殺菌スイッチ５１０を押した場合について説明する。 この場合、使用者は、便座２００に着座する前に殺菌スイッチ５１０を押すことによりノズル４７３の殺菌を行っている。そのため、使用者は、衛生洗浄装置１００を使用する前に予めノズル４７３を殺菌しておくことができる。また、図５に関して前述したように、本実施形態のノズル４７３の殺菌動作では、ノズル４７３の進退時において吐水部４７９から殺菌水を噴射することにより、ノズル４７３の外周表面を殺菌することができる。
【００５３】
このとき、便蓋３００が開いている場合や、例えばパブリック用の衛生洗浄装置などのように便蓋３００が設けられていない場合には、使用者は、ノズル４７３が殺菌動作中に進出したり後退したりする状態を目視することができる。そのため、使用者は、ノズル４７３の殺菌動作が確実に行われていることを容易に確認することができ、より安心して衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００５４】
また、使用者が便座２００に着座する前に、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作を実行させ、温水準備を実行させるため、流路２０内の水を吐水口４７４から排出する捨て水動作を使用者の着座によっては実行しない。すなわち、使用者が殺菌スイッチ５１０を押すことにより殺菌動作とともに温水準備が実行されるため、制御部４０５は、使用者の着座に基づいた捨て水動作をわざわざ実行させない。これによれば、温水準備の短縮化を図ることができ、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。また、無駄に水を排出しないため、節水を図ることができる。
【００５５】
次に、使用者が期間Ｔ２において殺菌スイッチ５１０を押した場合について説明する。 この場合、使用者は、便座２００に着座した状態で身体洗浄を行う前に殺菌スイッチ５１０を押すことによりノズル４７３の殺菌を行っている。そのため、使用者は、便座２００に着座した状態のままで身体洗浄を行う前に予めノズル４７３を殺菌しておくことができる。これにより、使用者は、より清潔な状態のノズル４７３を使用して身体洗浄を行うことができる。
【００５６】
このとき、使用者は便座２００に着座している。つまり、着座検知センサ４０４は、使用者が便座２００に着座している状態を検知している。そのため、制御部４０５がノズル４７３をケーシング４００の外部にまで進出させて外周表面を殺菌させると、使用者の排泄物がノズル４７３にかかったり、便座２００に着座した使用者に殺菌水がかかるおそれがある。そのため、使用者が期間Ｔ２において殺菌スイッチ５１０を押した場合には、制御部４０５は、ノズル４７３を進退させずに吐水口４７４から殺菌水を吐水させることにより吐水口４７４の部分を殺菌させる。あるいは、制御部４０５は、ノズル４７３がケーシング４００の外部に露出しない程度にノズル４７３を進退させて外周表面を殺菌させる。これによれば、使用者の排泄物がノズル４７３にかかったり、便座２００に着座した使用者に殺菌水がかかることを抑えることができる。また、ノズル４７３がケーシング４００の外部に露出しない程度にノズル４７３を進退させて殺菌する場合には、ケーシング４００の外部にノズル４７３を露出させる場合よりも狭いが、吐水口４７４の部分だけを殺菌する場合よりも広い外周表面を殺菌することができる。
【００５７】
次に、使用者が期間Ｔ３および期間Ｔ４において殺菌スイッチ５１０を押した場合について説明する。
この場合、使用者は、身体洗浄を行った後に殺菌スイッチ５１０を押すことによりノズル４７３の殺菌を行っている。そのため、使用者は、例えば次に衛生洗浄装置１００を使用する使用者のためにノズル４７３を殺菌することができる。
【００５８】
また、期間Ｔ３においては、使用者は、便座２００に着座している。つまり、着座検知センサ４０４は、使用者が便座２００に着座している状態を検知している。そのため、使用者が期間Ｔ３において殺菌スイッチ５１０を押した場合には、制御部４０５は、ノズル４７３を進退させずに吐水口４７４から殺菌水を吐水させることにより吐水口４７４の部分を殺菌させる。あるいは、制御部４０５は、ノズル４７３がケーシング４００の外部に露出しない程度にノズル４７３を進退させて外周表面を殺菌させる。これによれば、使用者の排泄物がノズル４７３にかかったり、便座２００に着座した使用者に殺菌水がかかることを抑えることができる。
【００５９】
ここで、本実施形態にかかる衛生洗浄装置１００の動作の変形例について説明する。
使用者が身体洗浄を行った後に殺菌スイッチ５１０を押した場合には、すなわち使用者が期間Ｔ３および期間Ｔ４の少なくともいずれかのタイミングで殺菌スイッチ５１０を押した場合には、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作のみを実行させ、温水準備を実行させなくともよい。あるいは、使用者が期間Ｔ３および期間Ｔ４の少なくともいずれかのタイミングで殺菌スイッチ５１０を押した場合には、使用者が殺菌スイッチ５１０を押してから所定時間が経過するまでの間には、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作のみを実行させ、温水準備を実行させなくともよい。これらは、使用者が身体洗浄を行った後すぐには、身体洗浄を再び行う可能性が低いためである。言い換えれば、身体洗浄を行った後すぐには、温水準備をわざわざ実行する必要がないからである。
【００６０】
但し、使用者が身体洗浄を行った後すぐに再び身体洗浄を行う場合には、制御部４０５は、捨て水動作を実行させた後に、ノズル４７３の吐水口４７４から温水を噴射させる。あるいは、使用者がトイレ室から退室した後すぐに他の使用者が入室し便座２００に着座した場合には、制御部４０５は、着座検知センサ４０４が便座２００に着座した他の使用者を検知すると捨て水動作を実行させる。そのため、いずれの場合でも、冷水が使用者の「おしり」などに噴射されることを防止することができる。
【００６１】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図６は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を表すタイミングチャートである。
【００６２】
使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電磁弁４３１を開き電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を開始させる（タイミングｔ１１）。そして、電解槽ユニット４５０において生成された殺菌水は、流路２０あるいは分岐路２２を通り、ノズル４７３の吐水口４７４あるいはノズル洗浄室４７８の吐水部４７９から噴射される。これにより、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０および分岐路２２や、ノズル４７３の吐水口４７４の部分および外周表面が殺菌水により殺菌される。つまり、ノズル４７３の殺菌動作が行われる。
【００６３】
制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を終了させると、温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させる（タイミングｔ１２）。このとき、電磁弁４３１は開いたままであるため、温水ヒータ４４１により加熱された水は、流路２０を通り、ノズル４７３の吐水口４７４から排出される。これにより、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０が温められる。つまり、温水準備が行われる。また、タイミングｔ１２〜ｔ１３において、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、次亜塩素酸などの殺菌成分を含まない水に置換される。続いて、制御部４０５は、温水ヒータ４４１に水の加熱を終了させ電磁弁４３１を閉じる（タイミングｔ１３）。
【００６４】
本具体例によれば、ノズル４７３の殺菌動作が行われると、その動作に引き続き温水準備が行われる。そのため、ノズル４７３は、電解槽ユニット４５０により生成された殺菌水で殺菌され、それに引き続き、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、温水ヒータ４４１により加熱された水に置換される。これにより、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００６５】
図７は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、ノズル４７３の殺菌動作が行われた後に温水準備が行われるわけではなく、ノズル４７３の殺菌動作の実行時間と温水準備の実行時間との一部が重複する。
【００６６】
使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電磁弁４３１を開き電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を開始させる（タイミングｔ２１）。このタイミングの動作は、図６に関して前述した具体例のタイミングｔ１１の動作と同様である。
【００６７】
続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を終了させる前に温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させる（タイミングｔ２２）。これによれば、制御部４０５が温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させた後には、温水ヒータ４４１により加熱された水で殺菌水が生成される。つまり、制御部４０５が温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させた後には、温水の殺菌水が電解槽ユニット４５０において生成される。これにより、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水の次亜塩素酸の濃度をより高めることができる。そして、殺菌水の殺菌力の低下を抑制し、殺菌水の殺菌効果をより長く維持することができる。そのため、殺菌水の殺菌効率をより高めることができる。
【００６８】
続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を終了させる（タイミングｔ２３）。その後、制御部４０５は、温水ヒータ４４１に水の加熱を終了させ電磁弁４３１を閉じる（タイミングｔ２４）。タイミングｔ２３〜ｔ２４において、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、次亜塩素酸などの殺菌成分を含まない温水に置換される。
【００６９】
本具体例によれば、前述したように、ノズル４７３の殺菌動作の一部において温水の殺菌水が生成されるため、ノズル４７３をより効率的に殺菌することができる。また、ノズル４７３の殺菌動作と一部重複して温水準備が行われるため、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００７０】
図８は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、温水準備の実行時間がノズル４７３の殺菌動作の実行時間に含まれる。
【００７１】
使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電磁弁４３１を開き電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を開始させる（タイミングｔ３１）。このタイミングの動作は、図６に関して前述した具体例のタイミングｔ１１の動作と同様である。
【００７２】
続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成を終了させる前に温水ヒータ４４１の動作を開始する（タイミングｔ３２）。これにより、制御部４０５が温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させた後には、温水の殺菌水が電解槽ユニット４５０において生成される。これは、図７に関して前述した如くである。続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成および温水ヒータ４４１に水の加熱を終了させ電磁弁４３１を閉じる（タイミングｔ３３）。
【００７３】
本具体例によれば、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０は、温水の殺菌水により温められる（タイミングｔ３２〜ｔ３３）。そのため、使用者が期間Ｔ１および期間Ｔ２（図３参照）の少なくともいずれかにおいて殺菌スイッチ５１０を押した場合には、使用者が殺菌スイッチ５１０を押してからおしり洗浄スイッチなどを押すまでの間、温水の殺菌水は、流路２０内に充填した状態で維持される。これにより、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、温水の殺菌水により温められつつ殺菌される。つまり、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０内に殺菌水が保持され、その保持された殺菌水により殺菌効果がより長く維持される。そのため、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０をより効率的に殺菌することができる。
【００７４】
また、本具体例では、使用者がおしり洗浄スイッチなどを押すと、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０内に保持された温水の殺菌水を排出させ、次亜塩素酸などの殺菌成分を含まない温水に置換させる。これにより、便座２００に座った使用者の「おしり」などを洗浄するときに、殺菌水が使用者の「おしり」などに噴射されることを防止することができる。
【００７５】
このとき、流路２０内に保持された温水の殺菌水を排出し殺菌成分を含まない温水に置換する時間は、温水準備の動作時間よりも短い。これは、温水準備の場合には、流路２０を温める時間や身体洗浄に適する温度まで冷ます時間が必要であるのに対し、殺菌成分を含まない温水に置換する場合には、殺菌成分を含まない温水をノズル４７３の吐水口４７４まで通水する時間があれば十分だからである。つまり、本具体例では、熱交換器ユニット４４０よりも下流側の流路２０は、ノズル４７３の殺菌動作において温水の殺菌水により温められているため、おしり洗浄スイッチなどが押されたときに殺菌成分を含まない温水をノズル４７３の吐水口４７４まで通水すれば十分である。そのため、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０内に殺菌水が保持された場合でも、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００７６】
図９は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャートである。
本具体例では、温水準備の実行時間とノズル４７３の殺菌動作の実行時間とは同じである。
【００７７】
使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、電磁弁４３１を開き電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成および温水ヒータ４４１に水の加熱を開始させる（タイミングｔ４１）。これにより、温水の殺菌水が電解槽ユニット４５０において生成される。そして、電解槽ユニット４５０において生成された温水の殺菌水は、流路２０あるいは分岐路２２を通り、ノズル４７３の吐水口４７４あるいはノズル洗浄室４７８の吐水部４７９から噴射される。これにより、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０および分岐路２２や、ノズル４７３の吐水口４７４の部分および外周表面は、温水の殺菌水により殺菌される。続いて、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０に殺菌水の生成および温水ヒータ４４１に水の加熱を終了させ電磁弁４３１を閉じる（タイミングｔ４２）。
【００７８】
本具体例によれば、使用者が期間Ｔ１および期間Ｔ２（図３参照）の少なくともいずれかにおいて殺菌スイッチ５１０を押した場合には、温水の殺菌水は、図８に関して前述した具体例の場合よりも長い時間、流路２０内に充填した状態で維持される。そのため、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０をさらに効率的に殺菌することができる。本具体例でも、使用者がおしり洗浄スイッチなどを押すと、制御部４０５は、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０内に保持された温水の殺菌水を排出させ、次亜塩素酸などの殺菌成分を含まない温水に置換する。使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００７９】
以上説明したように、本実施形態によれば、使用者が殺菌スイッチ５１０を押すと、制御部４０５は、ノズル４７３の殺菌動作を実行させ、温水準備を実行させる。そのため、ノズル４７３は、電解槽ユニット４５０により生成された殺菌水で殺菌されるとともに、電解槽ユニット４５０よりも下流側の流路２０は、温水ヒータ４４１により加熱された水に置換される。これにより、使用者は、ノズル４７３の殺菌後すぐに衛生洗浄装置１００を使用することができる。
【００８０】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置１００などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや殺菌スイッチ５１０の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【００８１】
また、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水は、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット４５０において生成される殺菌水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。あるいは、殺菌水生成手段は、電解槽に限定されるわけではない。すなわち、殺菌水は、殺菌剤および殺菌液を水に溶解させることによって生成される殺菌水であってもよい。
【符号の説明】
【００８２】
１０ 給水源、 ２０ 流路、 １００ 衛生洗浄装置、 ２００ 便座、 ３００ 便蓋、 ３１０ 透過窓、 ４００ ケーシング、 ４０１ 電源回路、 ４０２ 入室検知センサ、 ４０３ 人体検知センサ、 ４０４ 着座検知センサ、 ４０５ 制御部、 ４０７ 排気口、 ４０８ 排出口、 ４０９ 凹設部、 ４３１ 電磁弁、 ４４０ 熱交換器ユニット、 ４４１ 温水ヒータ、 ４５０ 電解槽ユニット、 ４５１ 陽極板、 ４５２ 陰極板、 ４７０ ノズルユニット、 ４７１ 流量切替弁、 ４７２ 流路切替弁、 ４７３ ノズル、 ４７４ 吐水口、 ４７５ 取付台、 ４７６ ノズルモータ、 ４７７ 伝動部材、 ４７８ ノズル洗浄室、 ４７９ 吐水部、 ５００ 操作部、 ５１０ 殺菌スイッチ、 ６００ 報知手段、 ８００ 便器、 ８０１ ボウル
【特許請求の範囲】
【請求項１】
便器に付設される衛生洗浄装置であって、
吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して使用者の身体を洗浄するノズルと、
給水源から供給される水を前記吐水口へ導く流路と、
前記流路の途中に設けられ、殺菌水を生成可能な殺菌水生成手段と、
前記殺菌水生成手段よりも上流に設けられ、前記給水源から供給される水を加熱可能な加熱手段と、
前記殺菌水により前記ノズルを殺菌する殺菌動作の指示が入力される殺菌スイッチと、
前記殺菌スイッチに前記指示が入力されると、前記殺菌動作を実行させ、前記加熱手段により加熱した水を前記流路内に供給させる制御を実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項２】
前記流路から分岐し、前記給水源から供給される水を前記ノズルの表面へ導く分岐路と、
前記ノズルを進退させるノズル駆動手段と、
をさらに備え、
前記殺菌動作は、前記ノズル駆動手段により前記ノズルを進退させつつ前記分岐路に前記殺菌水を通水させることにより前記ノズルの表面を殺菌する動作を含むことを特徴とする請求項１記載の衛生洗浄装置。
【請求項３】
前記制御部は、前記殺菌動作を実行させた後に、前記殺菌水を前記流路内に充填した状態で維持させる制御を実行することを特徴とする請求項１記載の衛生洗浄装置。
【請求項４】
前記制御部は、前記ノズルから水を噴射して前記身体を洗浄する指示が入力されると、前記流路内に充填された前記殺菌水を排出させる制御を実行することを特徴とする請求項３記載の衛生洗浄装置。
【請求項５】
前記使用者の着座を検知する着座検知手段をさらに備え、
前記着座検知手段が前記使用者の着座を検知しているときに前記殺菌スイッチに前記殺菌動作の指示が入力されると、前記制御部は、前記ノズルを進退させずに前記殺菌動作を実行させることを特徴とする請求項２記載の衛生洗浄装置。
【請求項６】
前記殺菌スイッチに前記殺菌動作の指示が入力されると前記殺菌動作の実行を報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項１】
便器に付設される衛生洗浄装置であって、
吐水口を有し、前記吐水口から水を噴射して使用者の身体を洗浄するノズルと、
給水源から供給される水を前記吐水口へ導く流路と、
前記流路の途中に設けられ、殺菌水を生成可能な殺菌水生成手段と、
前記殺菌水生成手段よりも上流に設けられ、前記給水源から供給される水を加熱可能な加熱手段と、
前記殺菌水により前記ノズルを殺菌する殺菌動作の指示が入力される殺菌スイッチと、
前記殺菌スイッチに前記指示が入力されると、前記殺菌動作を実行させ、前記加熱手段により加熱した水を前記流路内に供給させる制御を実行する制御部と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項２】
前記流路から分岐し、前記給水源から供給される水を前記ノズルの表面へ導く分岐路と、
前記ノズルを進退させるノズル駆動手段と、
をさらに備え、
前記殺菌動作は、前記ノズル駆動手段により前記ノズルを進退させつつ前記分岐路に前記殺菌水を通水させることにより前記ノズルの表面を殺菌する動作を含むことを特徴とする請求項１記載の衛生洗浄装置。
【請求項３】
前記制御部は、前記殺菌動作を実行させた後に、前記殺菌水を前記流路内に充填した状態で維持させる制御を実行することを特徴とする請求項１記載の衛生洗浄装置。
【請求項４】
前記制御部は、前記ノズルから水を噴射して前記身体を洗浄する指示が入力されると、前記流路内に充填された前記殺菌水を排出させる制御を実行することを特徴とする請求項３記載の衛生洗浄装置。
【請求項５】
前記使用者の着座を検知する着座検知手段をさらに備え、
前記着座検知手段が前記使用者の着座を検知しているときに前記殺菌スイッチに前記殺菌動作の指示が入力されると、前記制御部は、前記ノズルを進退させずに前記殺菌動作を実行させることを特徴とする請求項２記載の衛生洗浄装置。
【請求項６】
前記殺菌スイッチに前記殺菌動作の指示が入力されると前記殺菌動作の実行を報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載の衛生洗浄装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図４】
【図２】
【図３】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図４】
【公開番号】特開２０１１−２５２３７１（Ｐ２０１１−２５２３７１Ａ）
【公開日】平成２３年１２月１５日（２０１１．１２．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１２８９５９（Ｐ２０１０−１２８９５９）
【出願日】平成２２年６月４日（２０１０．６．４）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１２月１５日（２０１１．１２．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月４日（２０１０．６．４）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
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