説明

衛生洗浄装置

【課題】使用者がノズルが殺菌されていることを容易に認識できるような衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】人体局部に向けて洗浄水を吐水する衛生洗浄装置4は、水を吐水する吐水口を有する洗浄ノズル14と、殺菌水を生成する電解槽ユニット32と、殺菌水生成装置により生成した殺菌水により洗浄ノズルを洗浄するノズル殺菌モードと、吐水口から人体局部に向けて洗浄水を吐水する人体局部洗浄モードと、を実行する制御部20と、ノズル殺菌モードを開始させるためのノズル殺菌モード開始信号を制御部20に送信するノズル殺菌モード開始スイッチ54と、人体局部洗浄モードを開始させるための人体局部洗浄開始信号を制御部20に送信する人体局部洗浄モード開始スイッチ50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関し、特に、人体局部に向けて洗浄水を吐水する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、給水を加熱タンク内で加熱し、加熱した温水を浄水用のノズルから人体局部に向けて吐出する衛生洗浄装置が広く用いられている。このような衛生洗浄装置では、ノズルヘッド部分が人体の局部に接近した状態で温水を吐出するため、汚水や汚物を浴びやすい。このため、ノズル自体を洗浄する機能を備えた衛生洗浄装置が開発されている。
【0003】
ノズルを洗浄する方法の一つとして、例えば特許文献1には、電解槽内で洗浄水を電気分解し、これにより発生した次亜塩素酸を含む電解水によりノズルを殺菌洗浄する機能を備えた衛生洗浄装置が開示されている(特に、段落0036−0043参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3487447号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなノズルの殺菌洗浄は、例えば、引用文献1の段落0031−0034などに記載されているように、人体局部の洗浄と連動して行ったり、使用者の着座を検知すると行ったりするなど自動で殺菌洗浄を行っている。
本願発明者らは、ノズルの殺菌洗浄は衛生洗浄装置の内部において行われているため、使用者が実際に殺菌洗浄が行われているか否かを確認することができず、ノズルが殺菌されているのか不明であり、安心して衛生洗浄装置を使用できないという問題を認識した。さらに、発明者らは、ノズルの殺菌洗浄が他の動作と連動して行われてしまうため、使用者の所望のタイミングに行うことができず、衛生洗浄装置を使用する際に不快感を生じる原因となっていたことを認識した。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、使用者が所望のタイミングでノズルの殺菌洗浄を行い、ノズルが殺菌されていることを容易に認識できるような衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目標を達成するために、本発明は、人体局部に向けて洗浄水を吐水する衛生洗浄装置であって、水を吐水する吐水口を有する洗浄ノズルと、殺菌水を生成する殺菌水生成装置と、殺菌水生成装置により生成した殺菌水により洗浄ノズルを洗浄するノズル殺菌モードと、吐水口から人体局部に向けて洗浄水を吐水する人体局部洗浄モードと、を実行する制御部と、ノズル殺菌モードを開始させるためのノズル殺菌モード開始信号を制御部に送信するノズル殺菌モード開始スイッチと、人体局部洗浄モードを開始させるための人体局部洗浄開始信号を制御部に送信する人体局部洗浄モード開始スイッチと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、使用者が所望の時にノズルの殺菌洗浄を行うことができる。これにより、使用者はノズルが、確実に殺菌洗浄されていることを認知することができるため、不快感をともなわずに衛生洗浄装置を使用することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、さらに、ノズル殺菌モードが行われていることを報知する報知装置を有し、制御部は、人体局部に向けて殺菌水を吐水しないようにノズル殺菌モードを実行する。
このように構成された本発明によれば、ノズルの殺菌洗浄は洗浄殺菌水が周囲に飛散しないように衛生洗浄装置内で行うため、使用者は殺菌洗浄が行われているのを確認することはできないが、このように指示装置を備えることにより、確認することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、殺菌洗浄モードの後に、洗浄ノズルを洗浄水で洗浄するプレ洗浄を行う。
このように構成された本発明によれば、ノズルの殺菌洗浄後、局部洗浄の前にプレ洗浄を行うため、ノズル内に殺菌水が残っていたとしても、この殺菌水を外部に排出することができ、人体に殺菌水が付着することを防止できる。
本発明において、好ましくは、制御部は、プレ洗浄を人体局部洗浄モードの前に実行する。
このように構成された本発明によれば、プレ洗浄をおしり洗浄などの人体局部の洗浄の直前に行うことにより、殺菌洗浄の後、局部洗浄の直前まで、ノズルに殺菌水が付着した状態を維持することができ、殺菌水の殺菌効果を最大限に利用できる。
【0011】
本発明において、好ましくは、さらに、温水ヒーターを有し、制御部は、プレ洗浄を温水ヒーターで加熱された温水で行う。
このように構成された本発明によれば、局部洗浄直前に殺菌洗浄を行い、ノズルの温度が低下してしまったような場合であっても、プレ洗浄によりノズルを温めることができ、おしりに冷たい上水が当たってしまうことを防止できる。
【0012】
本発明において、好ましくは、殺菌水生成装置は、少なくとも一対の電極間に電圧を印加することにより水を電気分解して殺菌水を生成し、さらに、殺菌洗浄モードの後、所定時間、殺菌洗浄モードの実施を規制する規制手段を備える。
所望のタイミングでノズルの殺菌洗浄を行うことができることにより、不必要な殺菌洗浄が繰り返し行われてしまい、殺菌洗浄装置の電極の寿命が著しく低下してしまうという問題が新たに生じる。これに対して、このように構成された本発明によれば、ノズルの殺菌洗浄後、所定時間、殺菌洗浄装置の電極の劣化を抑止できる。
【0013】
本発明において、好ましくは、さらに、使用者の有無を検知する検知手段を有し、規制手段は、殺菌洗浄モード開始スイッチが押された後、検知手段により使用者が検知される間、殺菌済であることを報知することにより殺菌洗浄モードの実施を規制する。
このように構成された本発明によれば、使用者が殺菌済であることを認知できるため、不必要な殺菌洗浄を減らすことができる。
本発明において、好ましくは、さらに、使用者の有無を検知する検知手段を有し、規制手段は、殺菌洗浄モード開始スイッチが押された後、検知手段により使用者が検知される間、電極に印加する電圧を小さくする。
このように構成された本発明によれば、例え、不必要な殺菌洗浄が行われたとしても、殺菌水生成装置の電極へ印加される電圧が低いため、電極の劣化を抑えることができる。
本発明において、好ましくは、さらに、使用者の有無を検知する検知手段を有し、規制手段は、殺菌洗浄モード開始スイッチが押された後、検知手段により使用者が検知される間、殺菌洗浄モード開始スイッチが押された場合に、殺菌水生成装置による殺菌水の生成を行わず、洗浄水でノズルを洗浄する。
このように構成された本発明によれば、例え、殺菌洗浄モード開始スイッチが押されたとしても、殺菌水の生成を行わないため、電極の劣化を抑えることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、制御部に殺菌洗浄モードと、人体局部洗浄モードとを連続して行わせるための、殺菌−洗浄開始信号を送信する殺菌−洗浄モード開始スイッチを備える。
このように構成された本発明によれば、ノズルの殺菌洗浄と、人体局部の洗浄とが連動することにより、不必要な殺菌洗浄を削減することができ、殺菌水生成装置の電極の長寿命化を図れる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使用者が所望の時にノズルの殺菌洗浄を行うことができる。これにより、使用者は、ノズルが殺菌洗浄されていることを確実に認知することができるため、不快感をともなわずに衛生洗浄装置を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による第1実施形態の衛生洗浄装置が設置された洋式トイレを示す斜視図である。
【図2】図1に示す衛生洗浄装置の水路及び電気系統の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す衛生洗浄装置のノズルの詳細な構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示す衛生洗浄装置の操作部を示す正面図である。
【図5】図1に示す衛生洗浄装置における使用者の着座の検知から殺菌洗浄を完了するまでの流れを説明するための図である。
【図6】本発明による第2実施形態の衛生洗浄装置の操作部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による衛生洗浄装置の一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態による衛生洗浄装置が設置された洋式トイレを示す斜視図である。
また、図2は、図1に示す衛生洗浄装置の水路及び電気系統の構成を示すブロック図である。
また、図3は、図1に示す衛生洗浄装置のノズルの詳細な構成を示す斜視図である。
また、図4は、図1に示す衛生洗浄装置の操作部を示す正面図である。
図1に示すように、洋式トイレ1は、ボウル状の便器2と、操作部(図1には図示せず)により無線操作可能な便器2上部に設置された衛生洗浄装置4と、を備える。
衛生洗浄装置4は、洗浄装置本体6と、便座8と、便蓋10とからなる。便座8及び便蓋10は洗浄装置本体6に上方に向かって開閉可能に接続されている。
洗浄装置本体6は、便器2に向かって進出可能なノズル12を含み、操作部への使用者の入力に応じて、給水源から供給された洗浄水を便器内に進出したノズル12から吐出することにより、便座8に着座した使用者のおしりなどを洗浄するものである。また、本実施形態の衛生洗浄装置4内は、この電解槽で生成した殺菌水によりノズル12を殺菌洗浄する機能を備えている。
【0018】
図2に示すように、洗浄装置本体4には、入室検知センサ14、人体検知センサ16、及び着座センサ18が組み込まれている。
入室検知センサ14は、トイレ室内への使用者の入室を検知することができる。このような入室検知センサ14としては、例えば、マイクロ波センサなどを用いることができる。
【0019】
人体検知センサ16は、便座8の前方にいる使用者を検知することができる。このような人体検知センサ16としては、例えば、赤外線式の測距センサなどを用いることができる。これら入室検知センサ14及び人体検知センサ16は、トイレ室の暖房や、便座8の暖房機能などに連動している。
【0020】
着座検知センサ18は、便座8に着座した使用者を検知することができる。このような着座検知センサ18としては、例えば、赤外線式の測距センサなどを用いることができる。
入室検知センサ14、人体検知センサ16、及び着座検知センサ18は、洗浄装置本体4に組み込まれた制御部20に通信可能に接続されている。また、操作部22は、洗浄装置本体4の制御部20と無線通信可能に接続されている。
【0021】
また、衛生洗浄装置4は、給水源24からノズル12まで延びる流路26を有する。この流路26の上流側には、制御部20と通信可能に接続された電磁弁28が設けられている。電磁弁28は流路26を開閉可能な電磁バルブであり、制御部20からの指令に基づいて水の供給を制御する。
【0022】
流路26の電磁弁28の下流側には、制御部20と通信可能に接続された温水ヒーター30が設けられている。温水ヒーター30は、制御部10の指令に基づいて、流路26を介して供給された水を設定温度まで加熱する。なお、この設定温度は、使用者が操作部22により設定することができる。
【0023】
温水ヒーター30の下流には、制御部20と通信可能に接続された電解槽ユニット32が設けられている。電解槽ユニット32は、制御部20からの指令に基づき、一対の電極間に電圧を印加することにより、塩素を含む水を電気分解して、次亜塩素酸を含む殺菌水(ジア水)を生成する。
【0024】
電解槽ユニット32の下流には、制御部20と通信可能に接続された圧力変調装置34が設けられている。圧力変調装置34は、制御部20からの指令に基づき、流路26内の水の流れに脈動を与える。
【0025】
流路26の圧力変調装置34の下流には、制御部20と通信可能に接続された流量切替弁36が設けられている。流量切換弁36は、制御部20の指令に基づいて、流量の調整を行う。流量切換弁36により流量調整を行うことにより、ノズル12の吐出口から噴射される水の勢いを調整することができる。なお、流量切換弁36による流量調整は、使用者が操作部22により設定した水勢に基づき決定される。
【0026】
流路26の圧力変調装置34の下流には、制御部20と通信可能に接続された流路切替弁38が設けられている。流路切替弁38は、制御部20の指令に基づいて、流路26を介して供給された上水又は殺菌水を、ノズル12へ供給する状態と、ノズル洗浄室40へ供給する状態とを切替可能である。
【0027】
図3に示すように、ノズルユニット44は、ノズル12と、ノズル洗浄室40と、ノズル12を支持する取付台46と、取付台46に取り付けられたノズルモータ44と、を有する。
ノズル12は、流路切替弁38の下流に接続されており、流路切替弁38がノズル12へ水を供給する状態に切り替えられると、供給された上水又は殺菌水を先端部の上面に向けて形成された吐出口12aから上方に向かって噴射する。
【0028】
取付台46は、ノズル12を、先端が斜め下方に向くように傾斜した状態で、ノズル12の長手方向に進退可能に支持している。
ノズルモータ44は制御部20に通信可能に接続されており、制御部20の指令に基づき駆動し、ノズル12を進退させる。
【0029】
ノズル洗浄室40は、取付台46に固定された中空の部材であり、内部をノズル12が挿通している。ノズル洗浄室40の内面には、吐水口40aが形成されており、この吐水口40aは、流路切替弁38の下流側に接続されている。流路切替弁38がノズル洗浄室40へ水を供給する状態に切り替えられると、流路26を介して供給された上水又は殺菌水が吐水口40aから中心に向けて噴射する。これにより、内部を挿通するノズル12の外周面を洗浄することができる。
【0030】
図4に示すように本実施形態による衛生洗浄装置の操作部22は、電源スイッチ48と、「おしり洗浄」などを開始するための局部洗浄スイッチ50と、水温や水勢を設定するための設定スイッチ52と、ノズルを殺菌洗浄するためのノズル殺菌スイッチ54と、ディスプレイ56とを備えている。
使用者により局部洗浄スイッチ50が押されると、操作部22は制御部20へおしり洗浄開始信号を無線送信する。また、ノズル洗浄スイッチ54が押されると、操作部22は制御部20へノズル洗浄開始信号を無線送信する。
また、操作部22は制御部20から情報を受信すると、この情報をディスプレイ56へ表示することができる。
【0031】
以下、本実施形態の衛生洗浄装置4の動作を説明する。
図5は、衛生洗浄装置4における使用者の着座の検知から殺菌洗浄を完了するまでの流れを説明するための図である。
まず、着座検知センサ18が使用者の着座を検知し、制御部20に着座検知信号が送信されると、制御部20は流路26内の水を温水に置換する「着座捨て水(通水路洗浄)」を行う。具体的には、制御部20は、電磁弁28を開放させるとともに、温水ヒーター30を作動させる。これにより、流路26内の水が外部に排出され、流路26内に温水が満たされる。なお、この「着座捨て水(通水路洗浄)」は、例えば、6〜15秒程度行う。
【0032】
次に、洋式トイレ1の使用者は、おしり洗浄の前にノズル12を殺菌洗浄するため、操作部22のノズル洗浄スイッチ54を押す。操作部22のノズル洗浄スイッチ54が使用者により押されると、操作部22は制御部20へノズル洗浄開始信号を送信する。制御部20は、ノズル洗浄開始信号を受信すると、殺菌水(ジア水)による「通水路洗浄」を行う。具体的には、制御部20は、電磁弁28を開放した状態で、電解槽ユニット32を作動するとともに、ノズル12の吐水口12aがノズル洗浄室40内に収容された状態で、流路切替弁38を切替え、ノズル12の吐水口12aから電解槽ユニット32で生成された殺菌水を吐水させる。これにより、ノズル12の吐水口12aから噴射された水がノズル洗浄室40内の内壁に反射されて吐水口12aを洗浄することができる。なお、この殺菌水による「通水路洗浄」の実行時間は、例えば、約6秒間である。なお、この殺菌水を用いた洗浄作業は、殺菌水が人体に触れないように、ノズル12が外部に露出していない(すなわち、衛生洗浄装置4内に収容された)状態で行われる。
【0033】
また、この殺菌水による「通水路洗浄」の実施中、制御部20は操作部22のディスプレイ56に例えば「ノズル殺菌洗浄中」等の表示をすることにより、ノズル12の殺菌洗浄が行われていることを使用者に報知する。なお、報知の方法は、ディスプレイ表示に限られず、例えば、「ノズル殺菌洗浄中」である旨の音声を流したり、「ノズル殺菌洗浄中」であることを表示するライトを点灯したりするなど音や色彩表示等によって行うことができる。
【0034】
そして、制御部20は、殺菌洗浄が完了した後、着座検知センサ18により使用者が着座していることを検知されなくなるまでの間、操作部22のディスプレイ56に、例えば、「殺菌洗浄済」等の視覚表示又は音声表示などにより、殺菌洗浄が完了していることを使用者に報知する。
【0035】
次に、洋式トイレ1の使用者は、おしり洗浄を行うため、操作部22の「おしり洗浄」などを開始するための局部洗浄スイッチ50を押す。操作部22は局部洗浄スイッチ50が押されると、おしり洗浄開始信号を制御部20へと送信する。制御部20は、おしり洗浄開始信号を受信すると、電解槽ユニット32を停止した状態で、おしり洗浄を行う前に流路26内を上水に置換する「通水路洗浄」と、ノズル12を上水で洗浄する「胴体洗浄」とからなる「プレ洗浄」を行う。
【0036】
具体的には、制御部20は、「通水路洗浄」として、温水ヒーター30を作動させるとともに電解槽ユニット32を停止した状態で、流路切替弁38をノズル12に水を供給する状態に切り替えることにより、給水源24から供給された上水をノズル12の吐出口12aから吐出させる。この際、ノズル12の吐水口12aから噴射された水がノズル洗浄室40内の内壁に反射されて吐水口12aを洗浄することができる。なお、この上水による「通水路洗浄」は、例えば、2〜7秒程度行う。
【0037】
次に、制御部20は、「胴体洗浄」として、流路切替弁38をノズル洗浄室40に水を供給する状態に切替えて、ノズル洗浄室40の吐出口40aから上水を噴射しながら、ノズルモータ42を駆動してノズル12を進退させる。これにより、吐水口40aから噴射された上水によりノズル12の胴体を洗浄することができる。なお、この上水による「胴体洗浄」は、例えば、3秒程度行う。
【0038】
次に、制御部20は、「おしり洗浄」を行う。具体的には、制御部20は、ノズルモータ42を駆動してノズル12を便器のボウル内に進出させる。さらに、この状態で流路切替弁38をノズル12に上水を供給する状態に切り替えて、ノズル12の吐出口12aから使用者のおしりに向けて上水を噴射する。
【0039】
そして、使用者が操作部20によりおしり洗浄を停止させる旨の入力を行うと、制御部20は、「胴体洗浄」を行いながら、ノズル12を収納する。具体的には、制御部20は、流路切替弁38をノズル洗浄室40の吐水口40aに接続された状態に切替え、ノズル洗浄室40の吐水口40aから上水を噴射しながら、ノズルモータ42を駆動してノズル12を退行させる。これにより、ノズル洗浄室40の吐出口40aから噴射された上水によりノズル12の外面を洗浄することができる。なお、この上水による「胴体洗浄」は、例えば、3秒程度行う。
【0040】
次に、制御部20は上水により「通水路洗浄」を行う。具体的には、制御部20はノズル12の吐水口12aがノズル洗浄室40内に収容された状態で、流路切替弁38を切替え、ノズル12の吐水口12aから上水を吐水させる。この際、ノズル12の吐水口12aから噴射された水がノズル洗浄室40内の内壁に反射されて吐水口12aを洗浄することができる。
【0041】
そして、使用者が便座から離れ、着座検知センサ18により使用者が検出されない状態で、所定時間(例えば、25秒間程度)経過すると、制御部20は、殺菌水(ジア水)による「通水路洗浄(前洗浄)」を行う。具体的には、制御部20は、電解槽ユニット32を作動させるとともに、流路切替弁38をノズル12に水を供給する状態に切り替えることにより、給水源24から供給された上水をノズル12の吐出口12aから吐出させる。これにより、流路26が殺菌水により殺菌洗浄される。また、この際、ノズル12の吐水口12aから噴射された殺菌水がノズル洗浄室40内の内壁に反射されて吐水口12aを洗浄することができる。なお、この殺菌水(ジア水)による「通水路洗浄」は、例えば約3秒間行う。
【0042】
次に、制御部20は、殺菌水(ジア水)による「胴体洗浄」を行う。具体的には、制御部20は、電解槽ユニット32が作動した状態で、流路切替弁38を切り替えて、ノズル洗浄室40の吐水口40aから殺菌水を吐出しながら、ノズルモータ42によりノズル12を進退させる。これにより、ノズル洗浄室40の吐水口40aから吐出された殺菌水によりノズル12の胴体が殺菌洗浄される。なお、この殺菌水による「胴体洗浄」は、例えば、約6秒間行う。
【0043】
次に、制御部20は再び殺菌水による「通水路洗浄」を行う。具体的には、制御部20は、電解槽ユニット32が作動した状態で、流路切替弁38を殺菌水がノズル12に供給されるように切替える。これにより、ノズル12の吐水口12aから殺菌水が噴射され、このノズル12の吐水口12aから噴射された殺菌水がノズル洗浄室40内の内壁に反射されて吐水口12aを殺菌洗浄することができる。なお、この殺菌水による「通水路洗浄」は、例えば、3秒間程度行われる。
以上の工程により、使用者のおしり洗浄及び衛生洗浄装置4のノズル12の殺菌洗浄を行うことができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、「おしり洗浄」などを開始するための局部洗浄スイッチ50と、ノズル12を殺菌洗浄するためのノズル洗浄スイッチ54とを別々に設けることとしたため、使用者が所望の時にノズル12の殺菌洗浄を行うことができる。これにより、使用者はノズル12が、確実に殺菌洗浄されていることを認知することができるため、不快感をともなわずに衛生洗浄装置4を使用することができる。
【0045】
また、このような殺菌水によるノズルの殺菌洗浄は、殺菌水が使用者にかからないようにノズル12が衛生洗浄装置4内に収容された状態で行われるため、使用者がノズル12の殺菌洗浄が行われているのを目視等により確認することはできない。しかしながら、本実施形態によれば、操作部22のディスプレイ56にディスプレイ表示されるため、使用者はノズル12の殺菌洗浄が行われていることを確認することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、殺菌水による「通水路洗浄」の後、おしり洗浄の前にプレ洗浄を行うため、ノズル12内に殺菌水が残っていたとしても、この殺菌水を外部に排出することができる。これにより、人体に殺菌水が付着することを防止できる。
【0047】
また、本実施形態によれば、プレ洗浄をおしり洗浄などの人体局部の洗浄の直前に行うこととしている。これにより、殺菌水による「通水路洗浄」の後、「おしり洗浄」の直前まで、ノズル12に殺菌水が付着した状態を維持することができ、殺菌水の殺菌効果を最大限に利用できる。
【0048】
また、本実施形態では、プレ洗浄を温水ヒーター30により加熱された上水により行っている。このため、「おしり洗浄」の直前に殺菌水による「通水路洗浄」を行い、ノズル12の温度が低下してしまったような場合であっても、プレ洗浄によりノズル12を温めることができ、おしりに冷たい上水が当たってしまうことを防止できる。
【0049】
また、本実施形態では、ノズル洗浄スイッチ54を押すことで、所望のタイミングでノズルの殺菌洗浄を行うことができる。しかしながら、所望のタイミングでノズルの殺菌洗浄を行うことができることにより、不必要な殺菌洗浄が繰り返し行われてしまい、電解槽ユニット32の電極が急速に劣化し、寿命が著しく低下してしまう問題が新たに生じる。
【0050】
これに対して、本実施形態では、ノズル12の殺菌洗浄後、所定時間、操作部22のディスプレイ56に、殺菌洗浄済みである旨の表示をすることとしたため、不必要な殺菌洗浄作業を行うことを防止することができ、電解槽ユニット32の電極の劣化を抑止し、長寿命化を図れる。
【0051】
なお、本実施形態では、殺菌洗浄が完了した後、着座検知センサ18により使用者が着座していることを検知されなくなるまでの間、殺菌済みである旨の表示をすることにより、不要な殺菌洗浄作業を規制して電解槽ユニット32の電極の劣化を抑止することとしたが、これに限らず、制御部20により殺菌洗浄が完了した後、着座検知センサ18により使用者が着座していることを検知されなくなるまでの間において、再度ノズル洗浄スイッチ54が押された場合に、電解ユニット32の電極間に印加する電圧を小さくして「通水路洗浄」を行うこととしてもよい。このような構成によっても、電解槽ユニット32の電極の劣化を抑止し、長寿命化を図れる。
【0052】
さらに、殺菌洗浄が完了した後、着座検知センサ18により使用者が着座していることを検知されなくなるまでの間において、再度ノズル洗浄スイッチ54が押された場合に、殺菌水に代えて上水により通水路洗浄を行うこととしてもよい。このような構成によっても、電解槽ユニット32の電極の劣化を抑えることができる。なお、殺菌洗浄作業は一度行ってしまえば、それ以降におこなわれる殺菌洗浄作業は不要である。したがって、殺菌洗浄後の所定時間は、電解ユニット32の電極間に印加する電圧を小さくしたり、殺菌水に代えて上水を用いたりしても、ノズルの清潔性が損なわれることはない。
【0053】
さらに、上記の実施形態では、電源スイッチ48と、「おしり洗浄」などを開始するための局部洗浄スイッチ50と、ノズルを殺菌洗浄するためのノズル殺菌スイッチ54と、を別個に設けることとしたが、これに限らず図6に示すように、ノズル殺菌スイッチが押された場合の動作と、局部洗浄スイッチがおされた場合の動作とを連続して行うための「殺菌−おしり洗浄」スイッチ58を操作部22に設けることとしてもよい。かかる第2実施形態では、使用者が「殺菌−おしり洗浄」スイッチ58を押すと、操作部22は制御部へ殺菌−おしり洗浄開始信号を送信する。制御部20は、この信号を受信すると、殺菌水による「通水路洗浄」、上水による「プレ洗浄」、上水による「おしり洗浄」、上水による「胴体洗浄」及び上水による「通水路洗浄」を連続して行う。このような実施形態によれば、「殺菌−おしり洗浄」スイッチ58が押されることにより、おしり洗浄の前に必ずノズルの殺菌洗浄が行われることにより、確実に殺菌洗浄されていることを認知することができるため、不快感をともなわずに衛生洗浄装置4を使用することができる。また、ノズルの殺菌洗浄と、おしり洗浄とが連動することにより、不必要な殺菌洗浄作業を削減することができ、電解槽ユニット32の電極の長寿命化を図れる。
【符号の説明】
【0054】
2 便器
4 衛生洗浄装置
12 ノズル
20 制御部
22 操作部
32 電解槽ユニット
50 局部洗浄スイッチ
54 ノズル殺菌スイッチ
56 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部に向けて洗浄水を吐水する衛生洗浄装置であって、
水を吐水する吐水口を有する洗浄ノズルと、
殺菌水を生成する殺菌水生成装置と、
前記殺菌水生成装置により生成した殺菌水により前記洗浄ノズルを洗浄するノズル殺菌モードと、前記吐水口から人体局部に向けて洗浄水を吐水する人体局部洗浄モードと、を実行する制御部と、
前記ノズル殺菌モードを開始させるためのノズル殺菌モード開始信号を前記制御部に送信するノズル殺菌モード開始スイッチと、人体局部洗浄モードを開始させるための人体局部洗浄開始信号を前記制御部に送信する人体局部洗浄モード開始スイッチと、を備えることを特徴とする、衛生洗浄装置。
【請求項2】
さらに、前記ノズル殺菌モードが行われていることを報知する報知装置を有し、
前記制御部は、人体局部に向けて前記殺菌水を吐水しないように前記ノズル殺菌モードを実行することを特徴とする、請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記殺菌洗浄モードの後に、前記洗浄ノズルを洗浄水で洗浄するプレ洗浄を実行することを特徴とする、請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記プレ洗浄を前記人体局部洗浄モードの前に実行することを特徴とする、請求項3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
さらに、温水ヒーターを有し、
前記制御部は、前記プレ洗浄を前記温水ヒーターで加熱された温水で行うことを特徴とする、請求項4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
さらに、前記殺菌洗浄モードの後、所定時間、前記殺菌洗浄モードの実施を規制する規制手段を備えることを特徴とする、請求項3記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
さらに、使用者の有無を検知する検知手段を有し、
前記規制手段は、前記殺菌洗浄モード開始スイッチが押された後、前記検知手段により使用者が検知される間、殺菌済であることを報知することにより前記殺菌洗浄モードの実施を規制することを特徴とする、請求項6記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
さらに、使用者の有無を検知する検知手段を有し、
前記規制手段は、前記殺菌洗浄モード開始スイッチが押された後、前記検知手段により使用者が検知される間、前記電極に印加する電圧を小さくすることを特徴とする、請求項6記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
さらに、使用者の有無を検知する検知手段を有し、
前記規制手段は、前記殺菌洗浄モード開始スイッチが押された後、前記検知手段により使用者が検知される間、前記殺菌洗浄モード開始スイッチが押された場合に、前記殺菌水生成装置による殺菌水の生成を行わず、洗浄水で前記ノズルを洗浄することを特徴とする、請求項6記載の衛生洗浄装置。
【請求項10】
前記制御部に前記殺菌洗浄モードと、前記人体局部洗浄モードとを連続して行わせるための、殺菌−洗浄開始信号を送信する殺菌−洗浄モード開始スイッチを備えることを特徴とする、請求項3記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−207457(P2012−207457A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74115(P2011−74115)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】