説明

衛生物品

接着締結手段を採用する衛生物品、特に、別個の剥離ライナーの使用を必要としない成人用失禁パッドが開示される。本衛生物品は、背面シートと前面シートとの間に挟持された細長い吸収性コアを備え、背面シート及び前面シートが、吸収性コアを越えて十分に延在して、吸収性コアに隣接するシール縁領域を形成している。少なくとも1つの接着締結手段が、シール縁領域の上に、又は隣接して位置付けられ、隣接する剥離面で被覆されている。剥離面の少なくとも一部が、シール縁領域の一部分上に担持されている。好ましくは、剥離手段が衛生物品から取り外し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生物品に関し、具体的には、背面シートと前面シートとの間に挟持された細長い吸収性コアを有し、使い捨ての成人用失禁パッドとしての使用に好適な衛生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生物品、特に使い捨ての衛生物品は、幼児用おむつ(diaper)(時には、おむつ(nappy)としても知られる)、婦人衛生物品(生理用タオル又はナプキン、及びパンティライナー等)、並びに成人用失禁衣料(例えば、失禁パッド及び使い捨て下着)を含む、様々な用途を有する。これらの物品のそれぞれは、液体及び他の排泄物を吸収及び/又は保持するように設計され、その物品が着用者の体に対して適切な位置に固定される必要性を、共通して有する。これは、その物品が着用者を囲むようにその物品をそれ自体に直接(幼児用おむつ及び使い捨て下着の場合)、又は衣料品に(婦人衛生物品及び成人用失禁パッドの場合)、あるいは使用者の皮膚に直接(婦人衛生物品及び失禁パッドの場合)接着させることによって、なされてもよい。最も一般的な固定機構の1つは、衛生物品を衣料品、例えば下着に接着することである。広くは、(a)接着締結手段を使用して、又は(b)機械的締結手段を使用して、これが達成され得る2つの主要な方法がある。機械的締結手段は、使用後の衛生物品の除去可能性に関して利点を提示するが、接着締結手段は、それらの低費用、多用途性、及び使い勝手のよさから、製造者及び使用者にも同様に、依然として非常に一般的である。
【0003】
しかしながら、接着剤が保管若しくは移送の間に損傷又は汚染されないことを確実にするために、接着剤の露出面を保護し、不必要な接着又は接着剤の付着を防止する必要がある。これは、通常、接着剤領域を被覆していて、衛生物品が着用者の衣料に接触して位置付けられる直前に除去される、剥離ライナーを使用して達成されるか、又は、衛生物品が包装から取り出された際に露出される、衛生物品上の任意の接着剤領域のための剥離ライナーとして機能する、除去可能な包装内に衛生物品を提供することによって、達成される。
【0004】
そのようなライナーは、疑う余地なく極めて有用であるが、それらは、衛生物品の構造に使用される追加の材料だけでなく、包装する前に衛生物品に適用されるための追加の製造工程も必要とする。代替のアプローチは、剥離ライナーの使用を必要としない接着剤を使用すること、あるいはフラップ若しくは「ウィング」を有する生理用タオル又はナプキンの場合には、この追加の材料の一部分を剥離ライナーとして使用することを含む。
【0005】
フラップ若しくは「ウィング」を、生理用タオル又はナプキン上の接着剤領域のための剥離ライナーとして取り付ける使用例は、米国特許第US 5,472,437号において開示されている。生理用ナプキンは、ナプキン本体を備え、ナプキン本体から延在する辺フラップが提供されている。フラップは、ナプキンの本体からの体液の横漏れを防止するために提供されていて、その結果、使用者の下着の縁の裏側への接着が必要とされて、ナプキンが下着の中に固定される。この接着は、辺フラップの裏面上に位置付けられる接着剤材料の領域によって提供されていて、ナプキンの本体が、ナプキン本体の裏面上に位置付けられる接着剤材料のストリップによって下着に接着される。剥離ライナーの代替として、辺フラップの裏面の一部分が使用されて、未使用時に接着剤材料の領域を被覆する。剥離ライナー機能は、シリコーン又はウレタン離型剤等の離型剤を使用して、あるいは、フラップを貼り付けるために使用される接着剤と不適合であり、その接着剤に対して非接着性である、接着剤の領域を提供することによって、提供され得る。
【0006】
この設計は、典型的な生理用ナプキンの設計が、生理用ナプキンの本体に対する追加の材料から形成される辺フラップを備えるという事実に依存し、その結果として、剥離ライナーとして使用可能な材料の十分な範囲が存在する。しかしながら、成人用失禁パッドのように、全ての衛生物品が、そのような辺フラップを組み込むわけではない。これは、いくつかの理由のためであり得、例えば、余分な材料を提供することにおける追加の費用、及び成形されたナプキンの設計が、衛生物品の前面シート及び背面シートを形成するために使用される材料の長い矩形の巻かれたシートから切断される際の関連廃棄物、あるいは、体液が衛生物品の異なる部分上に偶発するために、辺フラップが体液の漏れを防止する必要がなく、その異なる部分は、使用中、そのようなフラップが下着の裏面に容易に接触して位置付けられ得る下着のまち部分に対応しないこと等の理由である。成人用失禁パッドにおいて、例えば、着用者の脚のより容易な動きを可能にするために、幼児用おむつと同様の形で、パッドが、着用される際にパッドの前面及び裏面に対応する、各末端部におけるより大きい領域と、まちに対応する、より狭い中央の領域とを有することが望ましい場合がある。吸収性コアを囲む前面シート及び背面シートを備えている、基本的な矩形を有する低費用の衛生物品においては、製造費用を最小限に保つために提供されている余分な材料が全くない。これらの状況のどちらにおいても、使用前の接着剤領域を保護するためには、別個の剥離ライナーを使用する以外の選択肢はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、別個の剥離ライナーの代替を、辺フラップ又は余分な材料の他の領域を組み込まない衛生物品の設計に見出すことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、背面シートと前面シートとの間に挟持された細長い吸収性コアであって、背面シート及び前面シートが、前記吸収性コアを越えて十分に延在して、前記吸収性コアに隣接するシール縁領域を形成している、吸収性コアと、少なくとも1つの接着締結手段であって、シール縁領域の上に、又は隣接及び近接して位置付けられ、接着締結手段に隣接して位置付けられる剥離面で被覆されている、接着締結手段と、を備え、剥離面の少なくとも一部が、シール縁領域の一部分上に担持されている、衛生物品を提供することによって、これらの課題に取り組むことを目的とする。
【0009】
接着締結手段及び関連する剥離面をシール縁の上に、又はシール縁に隣接して提供することによって、衛生物品自体が、その上に位置付けられる接着締結手段に対する剥離ライナーとして機能するため、別個の剥離ライナーの使用を避けることができる。接着締結手段及び剥離面の両方をシール縁上に位置付け、かつシール縁によって担持されていることは、剥離面が、そのように使用されなければ製造プロセスの間に廃棄されたであろうシール縁の領域上に提供されていて、結果として使い捨ての剥離ライナーを作るために、特に有利である。剥離面を接着締結手段に隣接して位置付けさせる、つまり、近く近接して接着締結手段を隣接させることによって、衛生物品の一部分として剥離面を担持するために必要とされる材料の量が、最小化される。衛生物品の全般的な形は、使用者には既知の、使用者好まれるサイズに対応する、既知の製品と同じもののままである。
【0010】
好ましくは、剥離面の実質的に全てが、シール縁領域上に担持されている。
【0011】
衛生物品は、接着締結手段と対応する剥離面との間に折り目を備えてもよい。この状況において、剥離面は、衛生物品から着脱可能であってもよく、及び/又は穿孔が折り目に沿って提供されていてもよい。剥離面を使い捨てにすることによって、剥離面は衛生物品が使用される前に別個のライナーを有する既存の製品と類似の様式で除去されることが可能であり、それは、使用者にとって好ましくあり得る。更に、剥離面を、処分され得るシール縁の一部分上に設置することによって、剥離ライナーを担持するための利用可能な表面を提供するための、形状及び/又はサイズの大幅な再設計は必要とされない。
【0012】
衛生物品は、第1及び第2の対向する長手方向の辺(つまり、実質的に矩形の細長い形状の長い辺)と、第1及び第2の対向する横方向の辺(つまり、実質的に矩形の細長い形状の短い辺)とを、各対向する長手方向の辺上に提供されている少なくとも1つの接着締結手段を伴って備える細長い形状を有してもよい。
【0013】
衛生物品は、第1及び第2の対向する長手方向の辺(つまり、実質的に矩形の細長い形状の長い辺)と、第1及び第2の対向する横方向の辺(つまり、実質的に矩形の細長い形状の短い辺)とを、各対向する横方向の辺上に提供されている少なくとも1つの接着締結手段を伴って備える細長い形状を有してもよい。
【0014】
好ましくは、接着締結手段は、背面シート上に提供されている。これは、衛生物品が着用者の衣料に直接接着されることを可能にするため、有利な構造である。あるいは、接着締結手段は、前面シート上に提供されてもよい。例えば、着用者の皮膚と適合性のある接着剤が使用されてもよい。
【0015】
接着締結手段はまた、第1及び第2の対向する長手方向の辺と、第1及び第2の対向する横方向の辺との交点によって画定される角部に提供されていてもよい。これは、接着締結手段を実装するために、辺又は末端部のフラップを提供することを必要とすることによって、物品の全体のサイズを増加させることなく、衛生物品の角部で下着に増加された接着を与える。
【0016】
第1及び第2の対向する長手方向の辺が、シール縁に沿って、それぞれ着用者の脚に合うように適合された切り欠き領域を、少なくとも1つの接着締結手段が、切り欠き領域に隣接して提供されている。剥離面を担持するシール縁の部分が、好ましくは、切り欠き領域の耳である。このアプローチは、そのように使用されなければ、無駄になるであろう材料が、剥離面として使用されることを可能にする。
【0017】
好ましくは、剥離面は、低接着性裏糊コーティングから形成されている。そのようなコーティングは、個人衛生用途において使用される、感圧性接着剤を用いた使用に特に好適であり、追加の剥離ライナーの優れた代替を提示する。
【0018】
本発明はまた、上述のように、成人用失禁パッドとしての衛生物品の使用を提供する。
【0019】
本発明を実施例により、かつ添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】物品の形状及び製造時の物品の原形線を示す、典型的な衛生物品の概略平面図。
【図2】物品の層構造を示す、図1の衛生物品の概略断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に従った衛生物品の概略平面図。
【図4】シール縁の折り畳まれる領域を図示する、図3の衛生物品の概略平面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に従った衛生物品の概略平面図。
【図6】シール縁の折り畳まれる領域を図示する、図5の衛生物品の概略平面図。
【図7】本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品の第1の製造段階を示す、概略平面図。
【図8】本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品の第2の製造段階を示す、概略平面図。
【図9】本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品の第3の製造段階を示す、概略平面図。
【図10】本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品の第4の製造段階を示す、概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
別個の剥離ライナー、又は衛生物品の表面上に提供されている接着剤のための剥離ライナーとして機能する余分な材料の任意の領域を提供するのではなく、本発明は、前面シート及び背面シートが細長い吸収性コアを収容するためにともに結合される際に、衛生物品の周辺部の周囲に形成されているシール縁が、剥離面を担持するために使用され得るか、あるいは剥離面がこのシール縁に隣接及び近接して位置付けられ得るアプローチをとる。この剥離面は、それが保護することが意図される接着締結手段に隣接して位置付けられてもよく、衛生物品の製造時に、従来耳として廃棄される材料の領域から形成されていてもよい。このようにして、剥離面は、物品が使用中の場合は、衛生物品に取り付けられたままであってもよく、あるいは、それが保護する接着締結手段から除去された時点で処分されてもよい。衛生物品上に提供されている接着締結手段の形状及び位置付けは、変化し得るため、剥離面を担持するシール縁の採用は、設計の柔軟性、製造の容易さ(製造ラインを流れる材料の長さから切り取られなければならない複雑な形状が全くないため)、並びに製造費用の縮小(衛生物品の構造において無駄になる材料がほとんど又は全くないため)をもたらす。衛生物品自体は、好ましくは、典型的には縁フラップ又は余分な材料の他の領域で提供されておらず、実質的に矩形の周辺部を有する概して細長い形状か、あるいは着用者の脚に動きの容易さを提供する切り欠き領域を提供するように成形される、成人用失禁パッドである。しかしながら、本発明は、例えばパンティライナー等の、縁フラップ又は他の延在部を採用しない婦人衛生物品での使用にも好適である。
【0022】
図1は、物品の形状及び製造時の物品の原形線を示す、典型的な衛生物品の概略平面図である。衛生物品1は、第1及び第2の対向する長手方向の辺2及び3、並びに第1及び第2の対向する横方向の辺4及び5を備える、概して細長い形状である。Y衛生物品1は、背面シート10と前面シート11との間に挟持された吸収性コア9を備え(図2を参照のこと)、背面シート及び前面シートは、吸収性コアを越えて十分に延在して、吸収性コアに隣接するシール縁領域6を形成している。このシール縁6は、衛生物品1の周辺部を形成している。第1及び第2の長手方向の辺2及び3は、シール縁6に沿って、それぞれ着用者の脚に合うように適合された切り欠き領域7、8を備える。これは、切り欠き領域7、8の位置によって画定される中央の領域より幅がわずかに大きい、衛生物品1の対向する横方向の辺4、5に隣接する2つの領域A、Bを作り、その領域が、使用時に着用される際、衛生物品1の前部及び後部を形成している。同様に(破線として)示されるのは、背面シート及び前面シートが製造時の物品の原形線を作るように延在する範囲である。図1に見られるように、この初期の延在部は、耳としての除去を必要とする領域を作る。製造時の原形線は、衛生物品1の周辺部の周囲の太い破線として示される。
【0023】
図2は、物品の層構造を示す、図1の衛生物品の概略断面図である。上述のように、衛生物品は、液体及び他の排泄物を吸収並びに/又は保持する能力がある、圧縮性の、適合性のある材料から形成される、細長い吸収性コア9を備える。好適な材料には、粉砕木材パルプ(エアフェルト)、捲縮セルロース塊、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル材料、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。吸収性コア9は、実質的に矩形であってもよく、あるいは衛生物品の輪郭に従うように成形されてもよく、つまり、着用者の脚の位置に対応する切り欠き領域を備えてもよい。これらの切り欠き領域は、例えば、伸縮性のある領域を提供するために、ギャザーの縁を有してもよく、又は平らであってもよい。吸収性コア9は、吸収性コア9を十分に越えて延在する背面シート10と前面シート11との間に挟持されていて、シール縁6を形成している。背面シート10は、薄いプラスチックフィルム等の可撓性の液体不浸透性材料、例えば、0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さを有するポリエチレンフィルムから作られてもよい。トップシート11は、多孔質発泡体、多孔質フィルム、あるいは天然繊維(例えば木質若しくは綿)及び/又は合成繊維(例えばポリエステル若しくはポリエチレン)の織布又は不織布等の液体透過性の材料から形成されてもよい。必要に応じて、トップシート11はまた、着用者の皮膚が液体又は他の排泄物と接触することを防止するために疎水性の性質を有してもよい。シール縁6は、背面シート10及び前面シート11を、接着剤又は熱接着若しくは超音波溶接等の他の固着プロセスを使用して、ともに固着することによって形成され得る。シール縁6は、十分に吸収性コア9を越えて延在して、吸収性コア9が適切な位置にしっかりと保たれ、背面シート10及び前面シート11によって完全に被覆されていることを確実にする。必要に応じて、吸収性コア9は、接着剤を使用して背面シート10に固着され得るか、又は純粋にシール縁6の存在によって、背面シート10と前面シート11との間で適切な位置に保たれ得る。
【0024】
図3は、本発明の第1の実施形態に従った、衛生物品の概略平面図である。衛生物品12は、図1及び2に図示されるものと同一の一般構造を有する、つまり、第1及び第2の対向する長手方向の辺13及び14と、第1及び第2の対向する横方向の辺15及び16を備える、概して細長い形状である。衛生物品12は、背面シートと前面シートとの間に挟持された細長い吸収性コアを備え、背面シート及び前面シートは、吸収性コアを越えて十分に延在して、吸収性コアに隣接するシール縁領域17を形成している。このシール縁17が、衛生物品12の周辺部を形成している。第1及び第2の長手方向の辺13及び14は、シール縁17に沿って、それぞれ着用者の脚に合うように適合された切り欠き領域18、19を備える。衛生物品12は、各対向する長手方向の辺13、14上に、接着締結手段20a、20bを伴って提供されている。各接着締結手段20a、20bが、各対向する長手方向の辺13、14内に、隣接する切り欠き領域18、19が提供されている。これらの接着締結手段20a、20bは、実質的に矩形であり、隣接する切り欠き領域18、19とほぼ同一の長さである。衛生物品12はまた、第1及び第2の対向する長手方向の辺13及び14と、第1及び第2の横方向の辺15及び16との交点によって画定される角部に、接着締結手段21a、21b、21c、21dが提供されている。これらの接着締結手段21a、21b、21c、21dのそれぞれは、実質的に三角形をなしている。この実施形態において、各接着締結手段20a、20b、21a、21b、21c、21dは、衛生物品12の背面シート上に位置付けられ、そうすることで、使用時に着用される際に、衛生物品12を適切な位置にしっかりと保つように着用者の下着に接触することができる。
【0025】
剥離面が、接着締結手段20a、20b、21a、21b、21c、21dのそれぞれのために、シール縁17上に提供されている。剥離面は、それぞれの接着締結手段に隣接して提供されている。剥離面22a、22bは、各切り欠き領域18、19内に提供されている。これらは、切り欠き領域18、19の耳上、つまり、図1に示される従来の衛生物品1の設計から廃棄物として除去される材料上に、担持されている。剥離面23a、23b、23c、23dは、各接着締結手段21a、21b、21c、21dに対して、第1及び第2の対向する長手方向の辺13及び14と、第1及び第2の対向する横方向の辺との交点によって画定される角部に、提供されている。これらの剥離面のそれぞれは、交点領域の耳上、つまり、図1に示される従来の衛生物品1の設計から廃棄物として除去される材料上に担持されている。その位置に関わらず、各剥離面22a、22b、23a、23b、23c、23dは、好ましくは、それが保護することが意図される、隣接する接着締結手段20a、20b、21a、21b、21c、21dが提供されている。更に、各剥離面22a、22b、23a、23b、23c、23dは、好ましくは、それが保護することが意図される接着締結手段20a、20b、21a、21b、21c、21dと実質的に同一の形状であり、自動処理に役立つためだけでなく、剥離面22a、22b、23a、23b、23c、23dの除去をより容易にするために、対応する接着締結20a、20b、21a、21b、21c、21dよりもわずかにサイズが大きい。本発明の第1の実施形態は、剥離面が、そのように使用されなければ廃棄物として処分され得る衛生物品の領域から形成されることを可能にするため、特に有利である。この実施形態は、衛生物品の角部に提供されている接着締結手段の使用を図示するが、これらは必要に応じて省略されてもよく、切り欠き領域内に提供されている接着締結手段に対する随意的な追加である。
【0026】
好ましくは、使用される接着剤は、感圧性接着剤である。それは、背面シート11に固着される接着剤ストリップ又はテープの形状で提供されていてもよく、あるいは熱溶解のスプレー接着剤であってもよい。剥離面は、好ましくは低接着性裏糊コーティング(LABコーティングとして知られる)であり、例えば、参照がなされるべき、国際公開第WO99/011683号又は米国特許US5,571,586において開示されるもの等であるが、これらに限定されない。
【0027】
図4は、シール縁の折り畳まれる領域を図示する、図3の衛生物品の概略平面図である。上述の剥離面23a、23b、23c、23dのそれぞれは、それが保護することが意図される接着締結手段21a、21b、21c、21dから、剥離面23a、23b、23c、23dを分離する折り目(示されない)の隣に提供されている。この折り目は、図7〜10への参照を用いて以下により詳細に記載されるように、剥離面23a、23b、23c、23dが、特に製造ライン上での機械的処理の間に、それが保護することが意図される接着締結手段21a、21b、21c、21d上に容易に折り畳まれることを可能にする。この実施形態において、折り目は、その長さに沿って穿孔(示されない)を提供されている。これは、剥離面23a、23b、23c、23dが衛生物品21から着脱可能であることを確実にし、そうすることで、衛生物品21が使用時に着用される際、剥離面は処分され得る。折り畳まれる際(図4に示されるように)、剥離面22b、23b、23dは、それが保護することが意図される接着締結手段20b、21b、21dを被覆する。
【0028】
剥離面22a、22bが、切り欠き領域18、19内に提供されている接着締結手段20a、20bを被覆するために、2つの切れ目が穿孔(示されない)の適切な位置に提供されている。これらの切れ目は、剥離面22a、22bを担持しているシール縁17の部分を、衛生物品12の本体から分離し、余分な材料が廃棄物として除去される場所を示す線に沿って、つまり、切り欠き領域18、19の奥行きを画定する内側の斜線に沿って、提供されている。切り欠き領域18、19が及ぶ最も奥の範囲の境界は、折り目で提供されていて、穿孔が折り目に沿って提供されていて、それにより、剥離面22a、22bが、保護することが意図されている接着締結手段20a、20b上に折り畳まれる。穿孔は、使用時に着用される際に、剥離面22a、22bが衛生物品12の本体から着脱可能であるように提供されている。
【0029】
図5は、本発明の第2の実施形態に従った衛生物品の概略底面図である。この第2の実施形態は、接着締結手段及び剥離面の代替位置の使用を図示し、衛生物品のシール縁上に担持されているというよりも、シール縁に隣接及び近接している場合がある。衛生物品の構成要素(吸収性コア、背面シート、前面シート、接着剤、及び剥離面)は、本発明の第1の実施形態において上述されたものと同一である。これらの代替の接着締結手段24a、24b、24c及び剥離面25a、25b、25cの位置のそれぞれは、衛生物品27のシール縁26に隣接して位置付けられる接着締結手段を採用する。剥離面の実質的に全てがシール縁上に担持されている本発明の第1の実施形態とは対照的に、剥離面25a、25b、25cの少なくとも一部は、シール縁上に担持されている。例えば、衛生物品27の上の長手方向の辺28に沿って、2つの接着締結手段24a、24bが提供されている。これらの領域のそれぞれは、実質的に矩形であり、第1と第2の対向する横方向の辺30と31との間で、シール縁26の大部分に沿って平行して延在する。それぞれ、それが保護することが意図される接着締結手段24a、24bに隣接して位置付けられ、接着締結手段24a、24bよりもわずかにサイズが大きく、また実質的に矩形である、剥離面25a、25bが提供されている。更に、接着締結手段及び剥離面の両方は、衛生物品の背面シート上に提供されている。
【0030】
衛生物品27の下の長手方向の辺29に沿って、実質的に下の長手方向の辺29の全長に沿って、シール縁26に平行かつ隣接して延在する単一の接着締結手段24cが提供されている。剥離面25cは、接着締結手段24cに隣接して提供されていて、また、実質的に矩形をしており、それが保護することが意図される接着締結手段24cよりもわずかに大きい。この代替構成において、剥離面25cの中央部は、着用者の脚に合うように設計される切り欠き領域が及ぶ最も奥の範囲を画定するシール縁26上に担持されている。剥離面25cの残余は、衛生物品27の本体上に、シール縁に隣接及び平行して担持されている。
【0031】
図6は、シール縁の折り畳まれる領域を図示する、図5の衛生物品の概略平面図である。各接着締結手段24a、24cを被覆するために、シール縁26は、剥離面25a、25cが保護することが意図される接着締結手段24a、24cに接触するように折り畳まれる。
【0032】
本発明に従って採用され得る接着剤領域及び剥離面のサイズ、形状、並びに位置付けには多数の変動があることが理解されるであろう。例えば、上述の実施形態において、接着締結手段は衛生物品の対向する長手方向の辺上に位置付けられるが、それらは、あるいは衛生物品の対向する横方向の辺に沿って位置付けられてもよい。剥離面は、それが保護することが意図される接着締結手段と、衛生物品の周辺部との間に位置付けられてもよく、この位置付けは、接着締結手段が剥離面と衛生物品の周辺部との間に位置付けられる状態で、逆転されてもよい。衛生物品の長手方向の辺に沿って提供されている接着締結手段が実質的に矩形として示されるが、他の形状が代わりに使用されてもよく、例えば、様々な形状を有する接着剤スポット等の、楕円又は小さい分離した接着締結手段が接着剤の単一の矩形ストリップの代わりに使用されてもよい。
【0033】
上述の実施形態において、接着締結手段及び剥離面は、衛生物品の背面シート上に提供されている。しかしながら、代替方法は、衛生物品の前面シート上の接着締結手段並びに剥離面がまた、シール縁の傍、又は隣接及び近接して担持されていることである。この状況において、衛生物品を着用者の皮膚に接着するために好適な当該技術分野において既知の接着剤が、使用されてもよい。これは、下着又は他の衣料品とは対照的に、衛生物品が着用者の皮膚に直接貼り付けられることを可能にする。
【0034】
本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品を製造する方法が、これから説明される。これらの段階がまた、本発明の第2の実施形態に従った衛生物品の製造においても使用され、上述の接着剤及び剥離面の代替構成を製造するために容易に改善されることは明白であろう。
【0035】
図7は、本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品の第1の製造段階を示す、概略平面図である。衛生物品12は、第1及び第2の対向する長手方向の辺13及び14、第1及び第2の対向する横方向の辺15及び16、切り欠き領域18、19、並びに衛生物品12の周辺部の周囲のシール縁17の位置付けを示す輪郭において示される。これらは、個々の衛生物品12が廃棄を最小化するために端と端を接する形で位置付けられ、背面シート10、前面シート11、及び吸収性コア9を有する連続的な層状の衛生物品構造に関して示される。この原形線は、シール縁17を提供することによって作製され、固着及び溶接を含む、様々な技術を使用してなされ得る。これは、以下の製造段階と同一の製造ライン上でなされてもよく、その場合、まずは背面シート、前面シート、及び吸収性コアの材料の別個のロールがローラーシステム上に供給され、整列され、シール縁17が形成され、あるいは、以下の製造段階のための製造ラインとは別個になされてもよく、その場合は前もって形成された衛生物品12の形のロールがローラーシステム上に供給される。衛生物品12は、背面シート10を一番上にして示される。
【0036】
第1の段階は、シール縁17上に、剥離範囲22a、22b、23a、23b、23c、23dを形成している低接着性裏糊(LAB)コーティングを適用することである。LABコーティングは、対向する長手方向の辺13、14と対向する横方向の辺15、16との交点で、切り欠き領域18、19において塗付される。これは、衛生物品12が静止位置に保たれる間か、又は製造ラインに沿って移動している間に、既知のスプレー技術を使用してなされてもよい。選択されたLABが、国際公開第WO 00/31203号において開示されるもののような紫外線硬化LAB等の硬化性LABである場合、LABが硬化されるまで、剥離範囲22a、22b、23a、23b、23c、23dを紫外線源に露出する追加の工程が、この段階に含まれる。
【0037】
図8は、本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品の第2の製造段階を示す、概略平面図である。第1の段階は、シール縁17上に、剥離範囲22a、22b、23a、23b、23c、23dを形成している低接着性裏糊(LAB)コーティングを塗付することである。LABコーティングは、対向する長手方向の辺13、14と対向する横方向の辺15、16との交点で、切り欠き領域18、19内に塗付される。これは、衛生物品12が静止位置に保たれる間か、又は製造ラインに沿って移動している間に、スプレーコーティング又は印刷等の既知のコーティング技術を使用してなされてもよい。
【0038】
図9は、本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品の第3の製造段階を示す、概略平面図である。この段階の間に、接着締結手段20a、20b、21a、21b、21c、21dが追加される。これは、例えば、選択される接着剤がスプレー可能なホットメルト接着剤である場合に、スプレー技術システムを使用してなされてもよく、あるいは裏側に接着剤を有する接着剤材料のストリップを背面シート10上に位置付けることによってなされてもよい。更に、これは、衛生物品12が静止位置に保たれる間か、又は製造ラインに沿って移動している間になされてもよい。選択される接着剤が、紫外線(UV)硬化性接着剤である場合、接着締結手段20a、20b、31a、21b、21c、21d(及び衛生物品12)を接着剤が硬化されるまで、紫外線源に露出する追加の工程が、この製造段階の間に含まれる。
【0039】
また、この段階の間に、折り目及び穿孔(鎖線によって示される)が、接着締結手段20a、20b、21a、21b、21c、21dとLABコーティングによって形成される剥離面22a、22b、23a、23b、23c、23dとの間に提供されている。切れ目(破線によって示される)もまた、連続的な層構造上の個々の衛生物品12間で、それぞれを互いから分離して、切り欠き領域18、19の内側の斜線の折り目上に提供されている。これは、折り目を提供するための機械的折り目付け装置、並びに穿孔及び切れ目の両方を提供するための機械的切断機を使用してなされる。
【0040】
図10は、本発明の第1の実施形態に従って、衛生物品の第4の製造段階を示す、概略平面図である。この時点で、一旦衛生物品12が分離されると、LABコーティングされた剥離面22a、22b、23a、23b、23c、23dは、自動機械的折り畳み装置を使用して接着締結手段20a、20b、21a、21b、21c、21d上に折り畳まれる。接着締結手段20a、20b、21a、21b、21c、21dが完全に保護されると、衛生物品12は、そのような製品にはよくあるように、包装のために縦方向(例えば国際公開第WO94/04111号において示されるように、例えば、対向する長手方向の辺13、14に沿って中央に位置付けられる折り目で2つに折り畳むこと、又は、対向する長手方向の辺13、14に沿って位置付けられる2つの折り目で3つに折り畳むことによって)に折り畳まれてもよい。
【0041】
上述の製造プロセスは、スプレー可能なコーティングに関して記載されるが、接着剤ストリップ装置及び、機械的折り目付け装置、切断及び折り畳み装置、並びに他の好適な技術が代用されてもよい。例えば、レーザー切断プロセスが、機械的切断プロセスの代わりに使用されてもよく、他の接着剤コーティング方法が、スプレー可能又はストリップの接着剤材料を置き換えるために使用されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面シートと前面シートとの間に挟持された細長い吸収性コアであって、前記背面シート及び前記前面シートが、前記吸収性コアを越えて十分に延在して、前記吸収性コアに隣接するシール縁領域を形成している、吸収性コアと、
少なくとも1つの接着締結手段であって、前記シール縁領域の上に、又は隣接及び近接して位置付けられ、前記接着締結手段に隣接して位置付けられる剥離面で被覆されている、接着締結手段と、
を備え、前記剥離面の少なくとも一部が、前記シール縁領域の一部分上に担持されている、衛生物品。
【請求項2】
前記剥離面の実質的に全てが、前記シール縁領域上に担持されている、請求項1に記載の衛生物品。
【請求項3】
前記接着締結手段と、前記対応する剥離面との間に折り目を備える、請求項1又は2に記載の衛生物品。
【請求項4】
前記剥離面が、前記衛生物品から着脱可能である、請求項3に記載の衛生物品。
【請求項5】
穿孔が、前記折り目に沿って提供されている、請求項4に記載の衛生物品。
【請求項6】
前記物品が、第1及び第2の対向する長手方向の辺と、第1及び第2の対向する横方向の辺と、を備える細長い形状を有し、少なくとも1つの接着締結手段が、各対向する長手方向の辺上に提供されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項7】
前記物品が、第1及び第2の対向する長手方向の辺と、第1及び第2の対向する横方向の辺と、を備える細長い形状を有し、少なくとも1つの接着締結手段が、各対向する横方向の辺上に提供されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項8】
前記接着締結手段が、前記背面シート上に提供されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項9】
前記接着締結手段が、前記前面シート上に提供されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項10】
接着締結手段が、前記第1及び第2の対向する長手方向の辺と、前記第1及び第2の対向する横方向の辺との交点によって画定される角部にも提供されている、請求項6又は7に記載の衛生物品。
【請求項11】
前記第1及び第2の対向する長手方向の辺が、前記シール縁に沿って、それぞれ着用者の脚に合うように適合された切り欠き領域を備え、少なくとも1つの接着締結手段が、前記切り欠き領域に隣接して提供されている、請求項6〜10のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項12】
前記剥離面を担持する前記シール縁の前記部分が、前記切り欠き領域の耳上にある、請求項11に記載の衛生物品。
【請求項13】
前記剥離面が、低接着性裏糊コーティングから形成される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項14】
成人用失禁パッドとしての、請求項1〜13のいずれか一項に記載の衛生物品の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−515569(P2013−515569A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546086(P2012−546086)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061066
【国際公開番号】WO2011/079046
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】