説明

衛生用紙製品

【課題】
フェイシャルティシュやトイレットペーパー等の衛生用紙を2枚あるいはそれ以上の複数枚重ねに保持するためにシートに施す型押し(ナーリング)において、接合強度を高めるために型押し圧力を高めるとシート破れや穴あきが生じやすく、圧力を弱めるとシートの剥がれが起き製品の品質低下や生産効率の低下を生じさせ、また型押しによる外観上の美粧性にも問題がありこの課題を解決することを目的とする。
【解決手段】
衛生用紙シートを2枚あるいはそれ以上の複数枚重ねに保持するためにシートに型押し(ナーリング)を施した衛生用紙製品において、型押しによるシートの接合域がその型押しの長手方向に向って夫々分離独立した線状接合部の集合からなり、かつ上記の各線状接合部は上記の型押しの長手方向中心線に対し左右対称又は非対称であることを特徴とする衛生用紙製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフェイシャルティシュ、トイレットペーパー、紙タオル等の衛生用紙製品に関する。
【背景技術】
【0002】
フェイシャルティシュやトイレットペーパー等の衛生用紙を2枚あるいはそれ以上の複数枚重ねに保持するためにシートに施す型押し(ナーリング)において、接合強度を高めるために押し圧力を高めるとシート破れや穴あきが生じやすく、圧力を弱めるとシートの剥がれが起き製品の品質低下や生産効率の低下を生じさせ、また型押しによる外観上の美粧性にも問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−180550公報
【特許文献2】特願2003−391878公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は衛生用紙シートを2枚あるいはそれ以上の複数枚重ねに保持するためにシートに型押し(ナーリング)を施した衛生用紙製品において、型押しによるシートの接合域がその型押しの長手方向に向って夫々分離独立した線状接合部の集合からなり、かつ上記の各線状接合部は上記の型押しの長手方向中心線に対し左右対称又は左右非対称であることを特徴とする衛生用紙製品に係わる。
【0005】
本発明は上記において型押しによるシートの接合域が幅1.5mm以下の直線状の接合域である衛生用紙製品および各線状接合部が型押しの長手方向中心線を斜めに横切る直線状、曲線状またはV字状のものである衛生用紙製品に係わる。
【0006】
また本発明は上記において各線状接合部が型押しの長手方向に向って密等間隔に配列されている衛生用紙製品および線状接合部とこの線状接合部を左右反転した反転線状接合部とが型押しの長手方向に向って順次交互に配列されている衛生用紙製品に係わる。
【0007】
更に本発明は上記においてシートの接合域が型押し用ロールの表面にロール接線方向に対して傾斜して配置される複数の凸部を備えたロールによって型押しされるあるいは凸部の平面形状は略矩形形状を基本とし、また台形、ひし形あるいは曲線で構成され、矩形の長辺もしくは長軸とロール接線方向との角度が0°より大きく90°より小さい衛生用紙製品あるいは型押し用ロールに係わる。
【0008】
以上申し述べた通り、本発明はフェイシャルティシュやトイレットペーパー等の衛生用紙の型押しにおいて、幅1.5mm以下の直線状の接合域が形成され、この接合域は、中央に対して左右対称又は左右非対称の独立した接合部から成る。型押し用ロールの表面上に、ロール接線方向に対して傾斜して配置する複数の凸部を備えたロールにより型押しされる。凸部の平面形状は、略矩形形状を基本形とするが、台形やひし形、あるいは曲線で構成されていてもよい。矩形の場合には長辺(あるいは長軸)とロール接線方向との角度が0°より大きく、90°未満である。
型押しは、衛生用紙製品シートの幅方向両側に、それぞれ施される。
【発明の効果】
【0009】
(1)フェイシャルティシュを箱から取り出す時(ポップアツプ時)や、トイレットペーパーを引き出す時の2枚以上のプライ剥がれを確実に防止できる。
(2)接合域が目立たずに外観状の違和感が少なく、充分な接着強度が得られる。
(3)凸部を接線方向に傾斜させることにより従来の圧着方式に比べ、ロ−ル接面においてプレス圧が凸部前端(エッジ)部に集中して接着効果が発現するものと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明を図面に示す実施例によって説明するが、これは例示の目的で掲げたもので、これによって本発明を制約するものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は従来汎用の型押し用ロールの端面図、図2は従来例(特開2003−180550による)の型押し用ロールの端面図、図3は従来例(特開2003−391878による)の型押し用ロールの端面図、図4は本発明の型押し用ロールの端面図で1は線状接合部を形成するための凸部を示す。
【実施例2】
【0012】
線状接合部を形成するための右下り傾斜の直線状凸部、本発明例1では(1−1)と左右反転した左下り傾斜の直線状凸部(1−2)とが長手方向に向って交互密等間隔に配列されている。
本発明例2では右側が開放され左側が閉じた横向きV字状の凸部(1−3)が長手方向に向って密間隔に配列されている。
本発明例3は左右対称型押しの例を示し図5eに示すように上方に向って「ハ」の字形に開いた左右対を示すハの字状凸部(1−8)が長手方向に向って密間隔(等間隔)に配列されている。
本発明例1、2および3と従来例のナーリングによる接着強度の比較を行い下表の結果を得た。
【0013】
【表1】

【実施例3】
【0014】
実施例2で示した本発明例1、2以外のパターンの例を示す。
図5のaでは右下がり傾斜の矩形直線状の凸部(1−1)が長手方向に等間隔に平行して配列されている。
図5のbでは右下がり傾斜の台形直線状の凸部(1−4)が長手方向に等間隔に平行に配列され、かつ台形の広巾部が型押し方向上流側に、台形の狭巾部が型押し方向下流側に指向している。
図5のcでは右横向きのV字状の凸部(1−3)と左横向きのV字状の凸部(1−5)とが型押し方向に向って順次交互に配列されている。
図5のdでは上面が上向き弧状に、下面が直線状のカマボコ型の左下がり傾斜の凸部(1−6)と同じく右下がり傾斜の凸部(1−7)とが型押し方向に順次交互に配列されている。
【実施例4】
【0015】
図6は型押しの施工例の説明図でaの従来の施工例の場合、直線状の接合部(2)が型押し方向(5)に向って平行に型押しされるが、bの本発明の施工例の場合、線状の接合部(3)が型押し方向に対し、これを横切るように傾斜して配列される。
このように本発明の場合、押しロールの凸部(1)を接線方向(4)に傾斜させることにより、従来の圧着方式に比べロール接面においてプレス圧が凸部前端(エッジ)部に集中して接着効果が発現するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来例の型押し用ロールの端面図である。
【図2】他の従来例の型押し用ロールの端面図である。
【図3】更に他の従来例の型押し用ロールの端面図である。
【図4】本発明の型押し用ロールの端面図である。
【図5】a〜eは本発明の型押し用ロールの端面パターン例を示す。
【図6】型押しの施工例を示しaは従来例、bは本発明例である。
【符号の説明】
【0017】
1……型押しロール端面の凸部パターン
1−1…右下がり傾斜の直線状凸部パターン
1−2…左下がり傾斜の直線状凸部パターン
1−3…右横向きV字状の凸部パターン
1−4…右下がり傾斜の台形直線状の凸部パターン
1−5…左横向きのV字状の凸部パターン
1−6…カマボコ型の左下がり傾斜の凸部パターン
1−7…カマボコ型の右下がり傾斜の凸部パターン
1−8…上方に向ってハの字状に開いた左右対の凸部パターン
2……従来の直線状の接合部
3……本発明の直線状の接合部
4……接線方向
5……型押し方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用紙シートを2枚あるいはそれ以上の複数枚重ねに保持するためにシートに型押し(ナーリング)を施した衛生用紙製品において、型押しによるシートの接合域がその型押しの長手方向に向って夫々分離独立した線状接合部の集合からなり、かつ上記の各線状接合部は上記の型押しの長手方向中心線に対し左右対称又は左右非対称であることを特徴とする衛生用紙製品。
【請求項2】
型押しによるシートの接合域が幅1.5mm以下の直線状の接合域である請求項1記載の衛生用紙製品。
【請求項3】
各線状接合部が型押しの長手方向中心線を斜めに横切る直線状、曲線状またはV字状のものである請求項1または2記載の衛生用紙製品。
【請求項4】
各線状接合部が型押しの長手方向に向って密等間隔に配列されている請求項1から3までのいずれか1項記載の衛生用紙製品。
【請求項5】
線状接合部とこの線状接合部を左右反転した反転線状接合部とが型押しの長手方向に向って順次交互に配列されている請求項1から4までのいずれか1項記載の衛生用紙製品。
【請求項6】
シートの接合域が型押し用ロールの表面にロール接線方向に対して傾斜して配置される複数の凸部を備えたロールによって型押しされる請求項1から5までのいずれか1項記載の衛生用紙製品。
【請求項7】
凸部の平面形状は略矩形形状を基本とし、また台形、ひし形あるいは曲線で構成され、矩形の長辺もしくは長軸とロール接線方向との角度が0°より大きく90°より小さい請求項6記載の衛生用紙製品。
【請求項8】
請求項6または7記載の型押し用ロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−271458(P2006−271458A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91103(P2005−91103)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000183462)株式会社クレシア (112)
【Fターム(参考)】