説明

衛生薄葉紙ディスペンサー

【課題】大きさの異なる衛生薄葉紙に対応できるディスペンサーを提供する。
【解決手段】背板部とこの背板部の両側から手前に延在する側片部とを有するケース本体と、前記側片部間で位置固定され、スリット状の取出口を有し、衛生薄葉紙が重層された衛生薄葉紙積層体を上面で支持するペーパー支持体と前記ケース本体及びペーパー支持体を被覆する蓋体とを備え、前記ペーパー支持体のケース本体に対する固定位置が、複数の固定位置から選択可能とされ、その固定位置の選択によってペーパー支持体と背板部と離間距離が異なるように構成された衛生薄葉紙ディスペンサーにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生薄葉紙ディスペンサーに関する。さらに詳しくは、キッチンペーパー、ペーパータオル、手ふき用等の清拭用ワイプなどの衛生薄葉紙が重層された衛生薄葉紙積層体を内部に収納し、底部に設けられた取出口から衛生薄葉紙積層体のうち最下面の最下衛生薄葉紙を1枚ずつ取り出すための衛生薄葉紙ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のディスペンサーは、その形状は種々であるが、基本的には衛生薄葉紙の積層体を入れるケースの底部に取出口が形成されていて、その取出口から衛生薄葉紙を1枚ずつつまんで取り出せるようにした構造を採る。
衛生薄葉紙積層体は、四角形の衛生薄葉紙を折り畳まれて一部が重なるようにして積層されており、個々の衛生薄葉紙の紙特有の摩擦によって、最底部の衛生薄葉紙を取出口から引き出すと、次の衛生薄葉紙の一部が取出口から露出される。
他方、この種の従来のディスペンサーは、内部に収める衛生薄葉紙の大きさにより、ケース内の大きさを設計するのが一般的であり、衛生薄葉紙の各種の規格に応じた大きさのディスペンサーが用意されている。
【特許文献1】特開2001−87161
【特許文献2】実開平4−100480
【特許文献3】実開昭62−58375
【特許文献4】実開平6−42751
【特許文献5】実開平4−50681
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、従来のディスペンサーは、種々の衛生薄葉紙の大きさに対応できるものではなく、収める衛生薄葉紙の大きさを変更する際には、ディスペンサーの取り替えも必要となっていた。
そこで、本発明の主たる課題は、異なる大きさの衛生薄葉紙に対応可能な衛生薄葉紙ディスペンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
背板部とこの背板部の両側から手前に延在する側片部とを有するケース本体と、
前記側片部間で位置固定され、スリット状の取出口を有し、衛生薄葉紙が重層された衛生薄葉紙積層体を上面で支持するペーパー支持体と
前記ケース本体及びペーパー支持体を被覆する蓋体と、を備え
前記薄葉紙積層体のうちの最下面の最下薄葉紙を、前記取出口から1枚ずつ取り出すためのディスペンサーであって、
前記ペーパー支持体のケース本体に対する固定位置が、複数の固定位置から選択可能とされ、
その固定位置の選択によってペーパー支持体と背板部と離間距離が異なるように構成されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【0005】
<請求項2記載の発明>
前記ペーパー支持体は、両側一対の位置決め用突起部を有し、
前記ケース本体は、両側片部一対の位置決め用孔を、背板部に対する離間距離が相違する位置に複数有し、
前記位置決め用突起部を、複数ある一対の位置決め用孔の何れに嵌合させるかを選択することにより、ケース本体に対する前記ペーパー支持体の固定位置が異なるように構成されていることを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【発明の効果】
【0006】
以上のとおり、本発明によれば、異なる大きさの衛生薄葉紙に対応可能な衛生薄葉紙ディスペンサーが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次いで、本発明の実施の形態を図1〜5を参照しながら以下に詳述する。
本発明の衛生薄葉紙ディスペンサーは、その素材が例えばABS樹脂等の合成樹脂であり、特に図1の分解斜視図に示されるように、ケース本体1と、ペーパー支持体2と、蓋体3とで構成されている。
【0008】
ケース本体1は、天板部10と背板部11とこの背板部11の両側縁において、前記背板部11と直角をなして手前に延在する左右一対の側片部12,12とを有する。
側片部12,12の下部には、ペーパー支持体2を固定及び位置決めするための複数の一対の位置決め用孔12A,12A(12B,12B)が形成されている。
【0009】
本形態では、背板部11に近い位置に一対の第1位置決め用孔12A,12Aが形成され、背板部11から遠い位置に一対の第2位置決め用孔12B,12Bが形成されている。また、前記第1位置決め用孔12Aは、第2位置決め用孔12Bよりも、若干上部側に形成されている。
各位置決め用孔12A,12Bの形状については特に限定されない。円形孔であっても四角形孔であってもよい。図示例では、円形孔を採用している。
【0010】
他方、側片部12,12の下部には、さらに各位置決め孔12A,12Bとは別に、ペーパー支持体2の固定を確実にするために、各位置決め孔12A,12Bに対応する係止用長孔12a,12bが形成されている。
図示例では、係止用長孔12a,12bは、各位置決め孔12A,12Bの上部側に適当距離離間した位置に形成されている。
なお、この係止用長孔の形状も適宜変更することが可能である。
【0011】
さらに、側片部12,12の下部には、前記ペーパー支持体2を固定するための位置決め用孔等12A,12a(12B,12b)とは別に、前記蓋体3が連結される複数の一対の円形孔13A,13A(13B,13B)が形成されている。
図示の形態では、背板部11に近い位置に一対の第1の蓋体連結用円孔13A,13Aが、背板部11から遠い位置に一対の第2の蓋体連結用円孔13B,13Bが形成されている。
【0012】
他方、ペーパー支持体2は、前記背板部11と略平行であって中央部が幅広とされたスリット状の取出口20を有し、前記ケース本体1の下部において前記各側片部12,12に対して固定されていてディスペンサーX1の底部を構成している。
このペーパー支持体2は、左右側部に位置決め用突起部21,21を有しており、この位置決め用突起部21,21を前記一対の第1又は第2の位置決め用孔のいずれかに嵌合して、前記側片部間の所定位置に位置決めされる。
【0013】
図3は、第1位置決め用孔に嵌合させた状態であり、図4は第2位置決め用孔に嵌合させた状態を示している。なお、図3及び4は、蓋体3を取り外した状態である。
また、ペーパー支持体2は、左右側部に位置決め用突起部21,21とは別の係止片22,22を有しており、前記位置決め用突起部21,21の位置決め孔12A、12A(12B、12B)への嵌合とともに、係止片22,22を係止長孔12a,12a(12b、12b)に嵌合して、ペーパー支持体2がケース本体1の側片部12,12間に固定されている。
【0014】
他方、蓋体3は、図2に示す通り、天板部30と前板部31と前板部31の両側縁において前記前板部31と直角をなして奧側に延在する蓋側片部32,32とを有し、底側は解放されている。
前板部31の高さはケース本体1の背板部11より若干高く、また両蓋側片部32,32の間はケース本体1の側片部間12,12よりも若干幅広に形成されている。
【0015】
さらに、蓋体3は、その蓋側片部32,32の下部に形成された、対面する蓋側片部に向かって突出する円形突起33,33を有し、この円形突起33,33がケース本体1の前記一対の蓋体連結用円孔13A(13B)の何れかに、側片外方側から回動自在に嵌合されて、この突起部を軸にしてケース本体1に対して開閉可能とされている。
なお、図5は、第2の蓋体連結用円孔13B、13Bに嵌合されている状態を示す図である。
【0016】
このように、本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1では、各突起21,22,33と孔12A,12a,13A(12B,12b,13B)との嵌合によって、ケース本体1、ペーパー支持体2、蓋体3とが連結されている。
好適には、この連結状態は、背板部11内面と前板部31内面との中間にペーパー支持体2の取出口20が位置されるのがよい。従って、かかる配置となるように各突起21,22,33及び孔12A…の位置が定められている形態が特に望ましい。
【0017】
各突起の孔へ嵌合については、例えばABS樹脂等の素材が有する撓みを利用して、側片部間を広げておき、その間に突起部を孔に嵌合させればよい。この場合、突起長さは限界撓み量や側片部の厚さ等を考慮して適宜定めればよい。
そして、本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1は、以上の構成であることにより、ペーパー支持体2の突起21,22等を、ケース本体1の第1位置決め孔12A又は第2位置決め孔12Bの何れに嵌合するかによって、ペーパー支持体2とケース本体1の背板部11との離間距離が調整できる。
【0018】
さらに、蓋体3の突起部33,33をそれに応じてケース本体1の背板部に近い位置にある円孔か遠い位置にある円孔の何れに嵌合させるかによって、ペーパー支持体2と蓋体の前板との離間距離も調整できる。これら構成により、ディスペンサーX1の蓋を閉めた状態における内部の奥行きが調整可能となる。
【0019】
なお、一方側片部における各孔間の距離、具体的な位置、蓋連結用孔と位置決め用孔との離間距離や位置関係は、奥行き調整幅に応じて適宜定めるものであり、必ずしも限定されるものではない。そして、その調整幅は、ペーパータオル、キッチンペーパーのサイズ規格、例えば、大判、中判、小判等の規格を考慮して定めればよい。なお、大判としては、230〜250mm×230〜250mm、中判としては、200〜230mm×200〜230mm、小判としては、150〜180mm×200〜230mmのサイズが好適である。
【0020】
かくして、本形態の衛生薄葉紙ディスペンサーX1は、収納する衛生薄葉紙の大きさに応じた、適当なケース内奥行きを選択することができる。
なお、ディスペンサーの内部の構成については、特に限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない範囲で、従来技術を採用できる。例えば、背板部内面、前板部外面にガイドリブ等を設けて、衛生薄葉紙の加重を調整する加重調整機構などを有する構造など、代表的に特開2001−87161に開示される内部構造を採ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、キッチンペーパー、ペーパータオル、手拭き用等の清拭用ワイプ等の衛生薄葉紙が重層された衛生薄葉紙積層体を内部に収納し、底部に設けられた取出口から衛生薄葉紙積層体のうち最下面の最下衛生薄葉紙を1枚ずつ取り出すための衛生薄葉紙ディスペンサーで利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の衛生薄葉紙ディスペンサーを構成するケース本体、ペーパー支持体、蓋体を示す分解斜視図である。
【図2】蓋体を示す斜視図である。
【図3】位置決め用突起を第1位置決め用孔に嵌合させた状態を示す斜視図である。
【図4】位置決め用突起を第2位置決め用孔に嵌合させた状態を示す斜視図である。
【図5】蓋体を開けた状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1…ケース本体、2…ペーパー支持体、3…蓋体、10…天板部、11…背板部、12…側片部、12A…第1位置決め用孔、12B…第2位置決め用孔、12a(12b)…係止用長孔、13A…第1の蓋体連結用円孔、13B…第2の蓋体連結用円孔、20…取出口、21…位置決め用突起部、22…係止片、30…天板部、31…前板部、32…蓋側片部、33…円形突起、X1…衛生薄葉紙ディスペンサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板部とこの背板部の両側から手前に延在する側片部とを有するケース本体と、
前記側片部間で位置固定され、衛生薄葉紙の取出口が設けられ、衛生薄葉紙が重層された衛生薄葉紙積層体を上面で支持するペーパー支持体と
前記ケース本体及びペーパー支持体を被覆する蓋体と、を備え
前記薄葉紙積層体のうちの最下面の最下薄葉紙を、前記取出口から1枚ずつ取り出すためのディスペンサーであって、
前記ペーパー支持体のケース本体に対する固定位置が、複数の固定位置から選択可能とされ、
その固定位置の選択によってペーパー支持体と背板部と離間距離が異なるように構成されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。
【請求項2】
前記ペーパー支持体は、両側一対の位置決め用突起部を有し、
前記ケース本体は、両側片部一対の位置決め用孔を、背板部に対する離間距離が相違する位置に複数有し、
前記位置決め用突起部を、複数ある一対の位置決め用孔の何れに嵌合させるかを選択することにより、ケース本体に対する前記ペーパー支持体の固定位置が異なるように構成されていることを特徴とする衛生薄葉紙ディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−12784(P2009−12784A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173483(P2007−173483)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】