説明

衛生薄葉紙製品

【課題】衛生薄葉紙製品の収納箱に情報を記入可能にする。
【解決手段】
収納箱の内部に衛生薄葉紙の束が内包されている衛生薄葉紙製品であって、前記収納箱の外面の一部又は全部にフィルムシートが積層されているとともに、その積層部分に情報記入部が配されていることをする衛生薄葉紙製品により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の折り畳まれた衛生薄葉紙の束を収納箱内に収納してなる衛生薄葉紙製品に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の衛生薄葉紙が折り畳まれ、その折畳み片が重なるようにして積層された束が、概ね直方体の箱(以下、「収納箱」と言う)の内部空間に収納され、使用時にその収納箱の上面に形成された取出口から順次取出していく衛生薄葉紙製品はよく知られるところである。例えば、ティシュペーパー製品、キッチンペーパー製品、ワイプ製品に代表される。
この種の製品は、家庭においては、各部屋に、またオフィスにおいては、各デスクに常備されるまで広く普及している。
また、この種の製品では、短期間で消費されない程度の枚数の衛生薄葉紙が内包されていて、すべてを使い切るには通常は数週間から数ヶ月程度の比較的長期間を要する。
従って、この種の製品における収納箱は、各部屋やオフィスとのインテリアとの調和を考慮して、外面に柄物の模様印刷が施されているのが一般的である。
他方、この種の製品は、内部の衛生薄葉紙を使い切った後には、その収納箱は用を終えて廃棄される。すなわち、従来、この種の製品は、収納箱は外装として機能するだけで、衛生薄葉紙が使用されている期間中、何ら自身が積極的に使用されることはなかった。
【特許文献1】実公昭41−6464号公報
【特許文献2】特開平9−150871号公報
【特許文献3】特開2005−225562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の主たる課題は、これまで衛生薄葉紙を収納するためだけに使用されてきた収納箱を、製品の性質に注目して積極的に利用すべく、収納箱外面に情報を記入したり、必要に応じて消したりすることができるようにした衛生薄葉紙製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明及びその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
収納箱の内部に衛生薄葉紙の束が内包されている衛生薄葉紙製品であって、
前記収納箱の外面の一部又は全部にフィルムシートが積層されているとともに、
その積層部分に情報記入部が配されていることを特徴とする衛生薄葉紙製品。
【0005】
<請求項2記載の発明>
前記収納箱は、直六面体形状であり、上面に衛生薄葉紙を取り出すための取出口又は取出口形成部を有する請求項1記載の衛生薄葉紙製品。
【0006】
<請求項3記載の発明>
前記衛生薄葉紙の束は、取出口から一枚を取り出すとその直近下層に位置する次の一枚の一部が露出するように構成されている、請求項1記載の衛生薄葉紙製品。
【0007】
<請求項4記載の発明>
前記収納箱は、板紙にフィルムシートが積層されたラミネート紙により形成されている請求項1又は2記載の衛生薄葉紙製品。
【0008】
<請求項5記載の発明>
前記フィルムシートが、ポリプロピレンフィルムシートである請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品。
【0009】
<請求項6記載の発明>
前記情報記入部に、水性インキによって、情報を記入することができ、かつ、当該記入した情報が、少なくとも内包されている衛生薄葉紙によって拭き取り消去可能である請求項1〜5の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品。
【0010】
<請求項7記載の発明>
前記収納箱の上面に、切り押し、切り抜き又は切り起こすことによって、筆記具を保持するための保持部が形成される易切断線が形成されている請求項1〜6の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品。
【発明の効果】
【0011】
以上の本発明によれば、収納箱外面に情報を記入したり、必要に応じて消したりすることができるようにした衛生薄葉紙製品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
『衛生薄葉紙製品』
本発明は、図1〜6に示されるように、複数枚の衛生薄葉紙Pが、折り畳まれ重層されてなる衛生薄葉紙の束Wが、上面に取出口又は取出口形成部が形成された収納箱X1に収納され、使用時にその取出口から衛生薄葉紙の一枚を取り出すと、隣接して積層されている下層の一枚の一部が取出口から露出されるように構成された衛生薄葉紙製品Fである。
【0013】
〔収納箱〕
本発明にかかる衛生薄葉紙の束W1が収納される収納箱X1は、カートン箱とも呼ばれる製品外観を構成するものであり、特に図1〜図4に示されるように、上面20Uに取出口形成部である環状のミシン目線21を有する箱本体20と、前記ミシン目線21により囲まれる範囲を箱本体内側から覆う樹脂製フィルム22とを有する。
【0014】
箱本体20は、収納箱X1の外郭をなすものであり、その大きさ、形状、展開形状等は既知の構成を採用できる。
その形状としては、図示例のように、一対の平行な長手縁20L,20Lとこれらよりも短い一対の平行な短手縁20S,20Sとで構成される長方形の上面20Uを有する直六面体形状が例示でき、その構造としては、上面、底面及びこれらを連接する側面と、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片、側面端面片、上面側端面片とを有し、前記側面端面片を箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片と底面側端面片とを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着して構成される構造が例示できる。
ただし、本発明における箱本体の形状は、上記直六面体に限定されるわけではなく、その他の適宜の立体形状及び展開形状が採用できる。
【0015】
収納箱の大きさは、直六面体の場合であれば、衛生薄葉紙の束より若干大きく、概ね束の外形よりも1〜20mm程度大きい内形とされる。一般的な収納箱X1の大きさを例示すると、概ね長手縁が110〜320mm、短手縁が70〜200mm、高さが40〜150mm程度である。少なくとも本発明においてもこの大きさの収納箱X1(箱本体20)が採用できる。もちろん、本発明の収納箱は、この大きさに限定はされず、箱体の形状に応じて適宜の大きさが採用できる。要は、衛生薄葉紙の束の形状を保持した状態で収納可能な大きさであればよい。
【0016】
ここで、本発明の箱体20は、特徴的に、特に図4に示すように、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする既知の板紙素材10に対して、フィルムシート11が積層された素材により形成され、そのフィルムシート積層面が外面となるように構成されている。前記板紙10は、好適には、坪量250〜500g/m2、好適には350〜400g/m2のコートボール紙である。
【0017】
そして、本発明の製品では、前記箱本体20の外面の一部又は全部に、種々の情報を記入するための情報記入部50が設けられている。図示の形態では、長側面に形成されているが、これに限定はされない。この情報記入部50は、前記板紙20に対して、グラビア印刷などの既知の印刷技術によって予め印刷されて形成されたものであり、使用者の情報記入を促すための不変情報である。(なお、図4において、印刷による不変情報を印刷層51として示す)
【0018】
この不変情報は、子供のいる家庭向け製品とするのであれば、図1及び2に示されるように、黒板の図柄のような、子供の落書きを促すようなデザインが例示でき、オフィス用途向け製品とするのであれば、図5及び6に示すように連絡メモ書きを促す文字情報と枠欄などで構成されたデザインが例示できる。この情報記入部を構成する不変情報のデザインは、これらに限定されず、適宜のデザインを採用できる。要は、情報記入を促す文字情報或いはそれを直感的に感じられる図形・図柄などであればよい。
【0019】
前記フィルムシート11としては、ポリプロピレンフィルムシート、ポリエチレンフィルムシート、ポリビニルアルコールフィルムシート、ポリエチレンテレフタレートフィルムシート、アクリルフィルムシートなど既知のフィルムシートが採用できる。
【0020】
好ましくは、平滑性が高く、板紙への密着性に優れ、さらに、透明性が高く板紙に印刷した不変情報の視認性に優れるとともに、耐久効果もあり、焼却廃棄時に有害ガスの発生し難く、しかも安価であるポリプロピレンフィルムシートである。そのなかでも、非延伸のいわゆるCPPよりも、二軸延伸のいわゆるOPPが特に板紙との密着性に優れるため適する。
【0021】
また、前記フィルムシート11は、好ましくは、JIS P 8142に規定されている光沢度が50〜90%、好ましくは70〜85%であるのが望ましい。この光沢度を満たすフィルムシートは、表面が平滑であり、後述する水性インキを利用した情報の記入及び消去に優れたものとなる。
【0022】
なお、フィルムシート11と板紙10との積層は、熱圧着、熱融着、接着剤による貼付技術など既知のフィルムコーティング技術が利用できる。もちろん、製造にあたっては、板紙に対して予めフィルムシートをコーティングし、これを適宜箱体の展開形状に裁断したのち、組立てる方法を採用することができる。
【0023】
以上の構成の収納箱X1(箱本体20)とすることで、本発明の製品は、(1)箱本体20を水分が透過し難くなり、湿度の高い環境等において長期保管しても内包される衛生薄葉紙の束Wや箱本体20を構成する板紙10の劣化が抑制される。それとともに(2)水性インキを採用するフェルトペンなどの筆記具によって、収納箱X1の外面に情報を記入することができるとともに、その情報の視認性に優れるようになり、また、そのインキが板紙10に浸透することがなく、不織布、薄葉紙などによって、その記入した情報を拭き取り消去して、再度の記入ができるものとなる。特に、(3)本発明にかかる製品では、各種の拭き取り用途に適した衛生薄葉紙Pを内包するものであるから、かかる記入情報を拭き取るためのものをあえて用意しなくとも、すぐに前記取出口から衛生薄葉紙Pを取り出して、簡易に拭き取り章依拠できる利点がある。さらに(4)本発明の製品は、上述の連絡メモとして使用するような場合においては、使用時には取出口から内部に収納された衛生薄葉紙の一部が露出しているとともに、比較的長期わたって同一箇所に載置されて使用されるという製品の性質から、誤って廃棄されるおそれがなく、連絡事項を伝える用途として極めて適している。また、(5)本製品は、繰り返しの情報記入によって外面に筆記具のインキが残り、外面が汚れてくることがあっても、基本的には使い捨ての製品であるから、適宜の期間経過後には一新することができ、過度に当該汚れた状態のまま部屋やオフィスに載置された状態となることもない。
【0024】
本発明の製品Fは、一見すると単に外面に情報を記入できるようなものにも思えるが、内部に収納された製品が衛生薄葉紙であることや、その使用期間との関係で、極めて優れた利点を有するのである。
【0025】
なお、本発明においては、情報を記入するための筆記具60は限定されるものではないが、例示すれば、上記のとおり水性インキを使用したフェルトペンがその対象となる。かかるフェルトペンは、少なくとも、オフィスなどにおけるホワイトボード用途に利用さえるペンであれば、問題なく利用可能である。
【0026】
他方、本発明の製品Fでは、筆記具による情報記入が可能であることから、図示されるように、利便性を高めるべく、好ましく、筆記具を保持するための筆記具の保持部70を形成するためのミシン目線71を上面に形成するのが望ましい。このミシン目線71は、例えば、図1及び2の形態のように、観音開き状に切り起こすことで、その切り起こし片間に筆記具を保持できるように構成したH型のミシン目線71や、図5及び6に示すような、切り抜き又は切り押すことで、ペンの一部が挿入可能な大きさのペン立て孔が箱本体から突出するように構成したミシン目線や、ペンの一部が挿入可能な小環状のミシン目線が例示できる。
【0027】
これらのミシン目線71の具体的な大きさは、限定されず、一般的なペンの径に応じて適宜設計できる。また、その位置も衛生薄葉紙の取出しを妨げない範囲で適宜の位置に形成することができる。もちろん、図示の如く上面に限定されるわけではない。
【0028】
他方、箱本体20の上面20Uに形成される取出口形成用のミシン目線21は環状をなす既知のものであり、既知の方法及びカットタイ比で形成される。これにより囲まれる範囲21aの具体的形状については必ずしも限定されない。ただし、収納箱においては、図示例の如く、紙箱上面20Uの長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形が代表的であり、取出し性、利便性が高いことから、本発明においても多くの既存の製造ラインで製造可能なこの形状が好適である。
【0029】
他方、取出口形成用のミシン目線を封止する前記樹脂製フィルム22は、前記ミシン目線21により囲まれる範囲21aのサイズより大きく、例えば、矩形や楕円形であり、紙箱1上面の内面側において、特に環状ミシン目線21の切り剥がしに影響がないように、環状ミシン目線21の外側で接着されている。
この樹脂性フィルム22の好適な素材は、ポリエチレンフィルムであるが、ポリプロピレン、ポリエステルなども例示できる。
樹脂製フィルム22の厚みは、10〜200μmが適する。10μm未満では、強度的に不足し、衛生薄葉紙の取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、強度の問題はないものの、取り出し難くなり、またコスト高となる。
【0030】
他方、この樹脂製フィルム22には、スリット23が形成されており、このスリット23はミシン目線により囲まれる範囲21aに位置されている。
従って、図2及び図6に示されるとおり、前記環状ミシン目線21に沿ってそのミシン目線により囲まれる範囲21aを切り剥がすことにより、紙箱上面20Uに取り出口25が形成されるとともに、前記樹脂製フィルム22及びそれに形成されたスリット23が取出口25を介して露出される。なお、前記スリット23の長さは、適宜の長さとすることができ、既知の環状ミシン目線との大きさの関係で適するとされる長さが採用できる。
【0031】
収納箱X1に束Wとして収納されている衛生薄葉紙は、前記スリット23を介して取出口25から一枚ずつ取り出される。そして、当該スリット23によって、取出口から露出される衛生薄葉紙の一部が支持されて収納箱内部に落ち込むことが防止されるようになっている。
【0032】
〔衛生薄葉紙の構造〕
本発明に係る衛生薄葉紙Pは、方形をなし、原紙一枚若しくは、同形の原紙が複数枚積層されたプライ構造を有する。なお、積層された衛生薄葉紙における、原紙の積層数(プライ数)は、特に限定されるものではなく、例えば2プライ、3プライ、4プライ、又はそれ以上の複数プライとすることができる。一般的には、プライ構造は、2プライ〜4プライとされ、本発明においてプライ構造の衛生薄葉紙とする場合には、この程度のプライ数が特に適する。
【0033】
〔衛生薄葉紙の束の基本構成〕
本発明の衛生薄葉紙の束W1は、上述の衛生薄葉紙が折り畳まれ、積層されてなるものである。より具体的には、図3に示されるように、方形の薄葉紙が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁eが上下に隣接する薄葉紙の折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されている。なお、ここで実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0034】
本積層構造の衛生薄葉紙の束W1は、最上位に位置する一枚の折り返し片Pxを上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片Pyが上方に引きずられて持ち上げられる。従って、かかる構造の衛生薄葉紙の束W1は、その最上面が後述する上面に取出口等を有する収納箱の当該上面に向かいあって収納されていると、前記取出口25から最初の一枚P1(最上面に位置する一枚)が引き出されたときに、その直近下方に位置する他の一枚P2の一部が露出されるようになる。
なお、本発明のおける衛生薄葉紙の積層枚数が限定されないが、この種の製品の一般的な積層枚数を例示すれば、120〜240枚である。
【0035】
〔原紙〕
ここで、本発明に係る衛生薄葉紙を構成する原紙について説明すると、この原紙は原料パルプを主原料とする薄葉紙用抄紙原料により製造できる。その原料パルプは、特に限定されない。衛生薄葉紙の具体的な用途に応じて適宜の原料パルプを選択し、また適宜配合して使用することができる。
【0036】
原料パルプを例示すれば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0037】
特には、原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合配合割合としては、NBKP:LBKP=10:90〜50:50がよく、特に、NBKP:LBKP=40:60が望ましい。
【0038】
抄紙原料は、例えば、公知の抄紙工程、具体的には、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等を経るなどして薄葉紙とする。抄紙に際しては、例えば、分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動変性剤、歩留まり向上剤などの適宜の薬品を添加することができる。
【0039】
他方、原紙は、例えば、模様を付与した場合にその模様を明瞭に見せる効果、あるいは全体として高級感等のあるように見せる効果を得るために、地色が白色に限らず薄いピンクやブルーであってもよい。着色されないパルプ自体の色が現出したものでもよい。
薄葉紙自体の地色の調整は、技術に従って着色した抄紙原料を用いて抄紙するなど既知の技術により達成できる。
【実施例】
【0040】
本発明の衛生薄葉紙製品の効果を確認すべく、板紙に各種のフィルムシートを積層した紙素材を用いて試料となる箱体を作成し、市販の水性インキフェルトペンを用いて、それらに実際に書き込みを行う操作を行ない、書き込み性、衛生薄葉紙にて消去可能であるか否か、板紙とフィルムシートとの密着しについて確認した。結果は、表1のとおりであった。なお、表中、◎は極めて優れている、○は優れている、△は実用性があるとの評価である。
【0041】
【表1】

【0042】
表1の結果より、本発明の製品では、水性インキフェルトペンによる書き込み、及び衛生薄葉紙による消去が可能であることが知見された。また、そのなかでも、フィルムと板紙との密着性は、OPP、CPPのポリプロピレンフィルムシートが優れ、書き込み及び消去については、OPPのポリプロピレンフィルムシートが優れていることが確認できた。なお、アクリルフィルムシートについては、比較的高価であり、また、ポリエチレンフィルムシートについては、伸縮性があり、さらに、ポリエチレンフィルムシートについては融点が高く板紙との密着加工が簡易ではないという点で、OPPよりも劣る点がある。
以上の試験結果より、本発明の製品では、水性インキフェルトペンによる書き込み、衛生薄葉紙による拭き取り消去が可能であることが示され、箱体に極めて優れた利便性が付加されることが知見された。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかる衛生薄葉紙製品の斜視図である。
【図2】その使用状態を示す斜視図である。
【図3】図1のA−A断面矢視図である。
【図4】箱本体の一部断面拡大図である。
【図5】本発明に係る他の衛生薄葉紙製品の斜視図である。
【図6】その使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
F…衛生薄葉紙製品、X1…収納箱、W1…衛生薄葉紙の束、10…板紙、11…フィルムシート、20…箱本体、20U…箱本体の上面、21…ミシン目線(取出口形成部)、22…樹脂製フィルム、20L…カートンの長手縁、20S…カートンの短手縁、23…スリット、25…取出口、50…情報記入部、51…印刷層、60…筆記具、70…筆記具保持部、71…筆記具保持部形成用ミシン目線、e…衛生薄葉紙の折り返し縁、Px…最上位に位置する一枚の折り返し片、Py…最上位に位置する一枚の直近下層に位置する折り返し片、P…衛生薄葉紙、P1…衛生薄葉紙の束における最上面に位置する衛生薄葉紙、P2…衛生薄葉紙の束における最上面に位置する衛生薄葉紙の直近下層に位置する衛生薄葉紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納箱の内部に衛生薄葉紙の束が内包されている衛生薄葉紙製品であって、
前記収納箱の外面の一部又は全部にフィルムシートが積層されているとともに、
その積層部分に情報記入部が配されていることを特徴とする衛生薄葉紙製品。
【請求項2】
前記収納箱は、直六面体形状であり、上面に衛生薄葉紙を取り出すための取出口又は取出口形成部を有する請求項1記載の衛生薄葉紙製品。
【請求項3】
前記衛生薄葉紙の束は、取出口から一枚を取り出すとその直近下層に位置する次の一枚の一部が露出するように構成されている、請求項1記載の衛生薄葉紙製品。
【請求項4】
前記収納箱は、板紙にフィルムシートが積層されたラミネート紙により形成されている請求項1又は2記載の衛生薄葉紙製品。
【請求項5】
前記フィルムシートが、ポリプロピレンフィルムシートである請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品。
【請求項6】
前記情報記入部に、水性インキによって、情報を記入することができ、かつ、当該記入した情報が、少なくとも内包されている衛生薄葉紙によって拭き取り消去可能である請求項1〜5の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品。
【請求項7】
前記収納箱の上面に、切り押し、切り抜き又は切り起こすことによって、筆記具を保持するための保持部が形成される易切断線が形成されている請求項1〜6の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155619(P2010−155619A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333787(P2008−333787)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】