説明

衝撃スイッチ

【課題】衝撃スイッチにおいて、衝撃を受けたときにスイッチが通電されていない状態であっても、衝撃を受けたことを履歴として残すようにする。
【解決手段】携帯機器への設置状態では、端子片5が第1姿勢にあって、接点4a、4bが端子3a、3bとそれぞれ当接して電気的に導通状態にある。第1のリンク7及び第2のリンク9に矢印A方向に慣性力が働くと、バネ部材10の付勢力に抗して第1のリンク7は回動軸6を中心に矢印B方向に回動すると共に、第2のリンク9は接点4aを中心に矢印C方向に回動する。連結軸8は矢印D方向に移動し、連結軸8の軸心が回動軸6の軸心と接点7aの中心を結ぶ線61を越えると、連結軸8はバネ部材10の付勢力により所定の位置まで移動して停止する。つまり、端子片5が第1姿勢からクリック回動して第2姿勢に保持されることになり、接点4bが端子3bから離反して電気的に遮断状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器への設置状態では電気的に導通状態にあり、外部から所定の大きさ以上の衝撃を受けると、電気的に遮断状態となる衝撃スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯端末や、ファンヒータやストーブ等の燃焼装置、自動車のエアバック装置等の各種機器に作用する衝撃を検知するものとして、外部からの衝撃に応動して電気的な接続状態が切り替わる衝撃スイッチが知られている。このような衝撃スイッチとして、例えば、互いに離間して配された第1の固定端子及び第2の固定端子と、第1の固定端子に対して移動自在であって該端子と電気的に導通された可動接点と、この可動接点を第2の固定端子に向けて付勢するバネ部材を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このスイッチでは、通常状態では可動接点がバネ付勢されて第2の固定端子と当接し、第1の固定端子と第2の固定端子間が電気的に導通状態にあり、衝撃を受けると可動接点が揺動して第2の固定接点と離反し、第1の固定端子と第2の固定端子間が一時的に遮断状態となる。
【特許文献1】特開平11−154448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような従来の衝撃スイッチでは、衝撃を受けた後は、可動接点がバネ付勢により元の位置に復帰して第2の固定端子と当接し、通常状態に復帰する。そのため、衝撃を受けたときにスイッチが通電されていない状態であると、衝撃を受けたことを履歴として残すことができない。
【0004】
近年、様々な小型・携帯機器が人々に供されており、これら機器は落下等による損傷を受けることが多い。このような機器は、許容値を超える大きさの衝撃を受けると、直ちに故障となることがある一方で、衝撃を受けた後しばらく時間が経過してから故障に至る場合や、故障し易くなる場合がある。そのため、該機器が故障して完全に使用できなくなる前に、何らかの対応や対策を施すことができれば、ユーザにとって失うものが少なくて済む可能性がある。しかし、このような機器は一般的にバッテリ駆動であり、不使用時には節電のために電源がオフ状態とされていることが多いので、上述したスイッチが該機器に搭載されていても、損傷を受けたことをユーザに対して告知できない場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、衝撃を受けたときにスイッチが通電されていない状態であっても、衝撃を受けたことを履歴として残すことができる衝撃スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、携帯機器への設置状態では電気的に導通状態にあり、外部から所定の大きさ以上の衝撃を受けると電気的に遮断状態となる衝撃スイッチであって、本体ケースに互いに離間して配設された一対の端子と、前記本体ケースにクリック回動自在に支持されており、前記端子の各々と当接する一対の接点を有した端子片とを備え、前記端子片は、通常では中立の第1姿勢にあり、一方向から所定の大きさ以上の衝撃を受けることにより該第1姿勢からクリック回動して第2姿勢に保持され、又は他方向から所定の大きさ以上の衝撃を受けることにより前記第1姿勢から前記とは反対方向にクリック回動して第3姿勢に保持されるように構成され、携帯機器への設置状態では、前記端子片が前記第1姿勢にあって、前記一対の接点が前記一対の端子とそれぞれ当接して電気的に導通状態にあり、前記本体ケースが外部から所定の大きさ以上の衝撃を受けたとき、前記端子片に慣性力が働き、該端子片が前記第1姿勢からクリック回動して前記第2姿勢又は第3姿勢に保持され、前記いずれかの接点が前記一対の端子から離反して電気的に遮断状態となるものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記端子片は、前記本体ケースに回動軸により回動自在、且つ前記端子側に向けて往復移動自在に支持された第1のリンクと、前記第1のリンクと連結軸により回動自在に連結され、前記一対の接点が配された第2のリンクと、前記第1のリンクを前記端子側に向けて付勢し、前記連結軸を介して前記接点を前記端子に押圧させるバネ部材とで構成され、前記本体ケースが外部から前記一対の端子の並び方向に所定の大きさ以上の衝撃を受けたとき、前記端子片に慣性力が働き、前記バネ部材の付勢力に抗して前記第1のリンクは前記回動軸を中心に回動すると共に、前記第2のリンクは前記一方の接点を中心に回動して前記連結軸は移動し、該連結軸の軸心が前記回動軸と前記一方の接点とを結ぶ線を越えると、前記連結軸は前記バネ部材の付勢力により所定の位置まで移動して停止し、これにより前記端子片が前記第2姿勢又は第3姿勢に保持され、前記他方の接点が該接点に対応する端子から離反して電気的に遮断状態となるものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の発明において、前記端子片は、前記本体ケースに回動軸により回動自在に支持された第1のリンクと、前記第1のリンクと連結軸により回動自在に連結され、前記一対の接点が配された第2のリンクとで構成され、前記第1のリンクは、2本の腕部を有したねじりコイルバネで成り、一方の腕部に前記回動軸が掛合されると共に他方の腕部に前記連結軸が掛合され、前記第2のリンクを前記端子側に向けて付勢して前記接点を前記端子に押圧させ、前記本体ケースが外部から前記一対の端子の並び方向に所定の大きさ以上の衝撃を受けたとき、前記端子片に慣性力が働き、前記第1のリンクは前記回動軸を中心に回動すると共に、該第1のリンクの付勢力に抗して前記第2のリンクは前記一方の接点を中心に回動して前記連結軸は移動し、該連結軸の軸心が前記回動軸と前記一方の接点とを結ぶ線を越えると、前記連結軸は前記第1のリンクの付勢力により所定の位置まで移動して停止し、これにより前記端子片が前記第2姿勢又は第3姿勢に保持され、前記他方の接点が該接点に対応する端子から離反して電気的に遮断状態となるものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記第2のリンクは、二股形状の導電部材で成り、その頂部に前記連結軸が配されると共に二つの足部に前記一対の接点がそれぞれ配されており、前記足部は、前記本体ケースの前記端子配設部に隣接して設けられた保持部に回動自在、且つ該端子片が回動するときに前記接点が干渉しないように保持されるものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記本体ケースは、前記連結軸の位置を外部から目視できるように形成されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、外部から所定の大きさ以上の衝撃を受け、いずれかの接点が一対の端子から離反して電気的に遮断状態となると、その状態が保持されるので、該衝撃を受けたことが機械的な履歴として残る。従って、本スイッチが小型・携帯機器に搭載され、上記衝撃を受けたときにそれら機器の電源がオフ状態にあり、本スイッチが通電されていない状態であっても、その後に該機器の電源がオンされたとき、該機器がその前に衝撃を受けたことを検知することができ、ひいては、ユーザに対して音声や映像等で対応/対策メッセージ等を告知することが可能となる。
【0012】
請求項2の発明によれば、電気的に遮断状態となると、その状態がバネ部材の付勢力により確実に保持されるので、スイッチとしての信頼性を高く維持できる。また、一対の端子間の導通が、複数の伝達部材を経由するのでなくひとつの部材、すなわち第2のリンクによって行われるため、伝達部材間の接触状態によるロス等を見込む必要が無く、スイッチとしての信頼性が一層高く維持できる。
【0013】
請求項3の発明によれば、請求項2と同様の効果を持つ衝撃スイッチが得られる。
【0014】
請求項4の発明によれば、第2のリンクの回動動作がスムーズとなり、外部から所定の大きさ以上の衝撃を受けたことが機械的な履歴として確実に残る。
【0015】
請求項5の発明によれば、端子片が第1姿勢、第2姿勢又は第3姿勢のいずれにあるかを外部から視認できるので、ユーザは、本スイッチを通電することなく該スイッチが所定の大きさ以上の衝撃を受けたどうかを知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る衝撃スイッチについて図1乃至図7を参照して説明する。図1乃至図4は本実施形態に係る衝撃スイッチ(以下、本スイッチという)1の構成を示す。以下の説明では、本スイッチ1において後述する本体ケースの蓋部が位置する側、つまり図1における手前側を本スイッチ1の前側とし、後述する収容部の底部が位置する側、つまり図1における奥側を本スイッチ1の後側とする。本スイッチ1は、携帯端末や、ファンヒータ等の燃焼装置、自動車のエアバック装置等の各種機器に作用する衝撃を検知するためのものであり、携帯機器への設置状態では電気的に導通状態にあり、外部から所定の大きさ以上の衝撃を受けると電気的に遮断状態となるものである。本スイッチ1は、本体ケース2と、本体ケース2に互いに離間して配設された一対の端子3a、3bと、本体ケース2にクリック回動自在に支持されており、端子3a、3bの各々と当接する一対の接点4a、4bを有した端子片5とを備える。
【0017】
端子片5は、本体ケース2に回動軸6により回動自在、且つ端子3a、3bのケース内部分31、32側に向けて往復移動自在に支持された第1のリンク7と、第1のリンク7と連結軸8により回動自在に連結され、上述の一対の接点4a、4bが配された第2のリンク9と、回動軸6を介して第1のリンク7を端子3a、3bのケース内部分31、32側に向けて付勢するバネ部材10とを備える。ここで、回動軸6及び連結軸8は、第1のリンク7に植立されている。これにより、端子片5は、通常では中立の第1姿勢にあり、一方向から所定の大きさ以上の衝撃を受けることにより第1姿勢からクリック回動して第2姿勢に保持され、さらに他方向から所定の大きさ以上の衝撃を受けることにより第1姿勢から上記とは反対方向にクリック回動して第3姿勢に保持される。第1姿勢、第2姿勢及び第3姿勢については、後に図示する。
【0018】
本体ケース2は、上述の端子3a、3b、及び端子片5を収容する前面側が開放された箱型の収容部21と、収容部21を覆い収容部21に対して着脱自在な蓋体22とを有する。収容部21及び蓋体22は、プラスチック等の樹脂部材で成るものである。収容部21は、底部21aと4つの側壁部21b、21c、21d、21eで構成されており、側壁部21c側には、端子3a、3bが配設される端子配設部23と、接点4a、4bを保持する保持部24とが一体的に設けられている。保持部24は、第2のリンク9が接点4a、4bのうち一方の接点を中心に回動自在となるように、第2のリンク9側が開放された凹状形状となっている。底部21aと蓋体22には、回動軸6が遊嵌される互いに対向したガイド溝25が形成されており、ガイド溝25はその方向が一対の端子3a、3bの並び方向と略垂直となるように形成されている。蓋体22の中央には、ユーザが連結軸8の位置を外部から目視するための窓26が形成されている。
【0019】
端子3a、3bは、板状の導電部材で成り、収容部21の側壁部21cの内面と底部21aの背面に沿うように略直角に折り曲げられている。端子3a、3bの、側壁部21cの内面に沿う部分、つまり上述のケース内部分31、32は、底部21aを貫通して前方に向かって延在しており、接点4a、4bとそれぞれ当接する。端子3a、3bの、底部21aの背面に沿う部分33、34は、本体ケース2の側方に延出しており、各種機器と接続される。
【0020】
第1のリンク7は、板状部材で成り、その一端側には回動軸6が貫入固定され、他端側には連結軸8が貫入固定されている。第2のリンク9は、左右対称の二股形状の導電部材で成り、第1のリンク7の前方に配されている。第2のリンク9の頂部には連結軸8が挿通され、第2のリンク9の二つの足部には接点4a、4bがそれぞれ配されている。一対の接点4a、4bとなる二つの足部の先端は、上述の保持部24の側壁部分と当接可能な円弧形状とされている。
【0021】
バネ部材10は、収容部21に交換自在に保持されたトーションバネであって、コイル部11が収容部21の底部21aに形成された突出部27に挿入され、コイル部11から延出するバネの一端部12が、側壁部21bと回動軸6の間に配設されている。バネ部材10の付勢力は、連結軸8を介して第2のリンク9に伝達され、これにより接点4a、4bが端子3a、3bに押圧される。
【0022】
ここで、本スイッチ1において電気的に遮断状態となる衝撃の大きさ、つまり本器具で検知可能な衝撃加速度の設定値は、バネ部材10のバネの荷重や、第1のリンク7及び第2のリンク9の形状や重量等によって決定される。
【0023】
次に、上記のように構成された衝撃スイッチ1の動作について図5乃至図7を参照して説明する。図5乃至図7においては、本体ケース2の蓋体22を省略している。図5は、端子片5が中立な第1姿勢にある状態を示す。携帯機器への設置状態では、端子片5が第1姿勢にあって、第2のリンク9の接点4a、4bが端子3a、3bとそれぞれ当接し、一対の端子3a、3b間が電気的に導通状態にある。このとき、連結軸8の軸心は、回動軸6の軸心と接点4aの中心を結ぶ線61と、回動軸6の軸心と接点4bの中心を結ぶ線62とから成る角を二等分する線63上に位置している。
【0024】
図6は、端子片5が第2姿勢にある状態を示す。本体ケース2が外部から一対の端子3a、3bの並び方向に所定の大きさ以上の衝撃を受けることにより、第1のリンク7及び第2のリンク9に端子3bから端子3aに向かう図中矢印Aの方向に慣性力が働くと、バネ部材10の付勢力に抗して、第1のリンク7は回動軸6を中心に図中矢印Bの方向に回動すると共に、第2のリンク9は接点4aの中心を軸に図中矢印Cの方向に回動する。この第1のリンク7及び第2のリンク9の回動により連結軸8は図中矢印Dの方向に移動し、連結軸8の軸心が回動軸6の軸心と接点4aの中心を結ぶ線61を越えると、連結軸8はバネ部材10の付勢力により所定の位置まで移動して停止する。つまり、端子片5が第1姿勢からクリック回動して第2姿勢に保持されることになり、接点4bが端子3bから離反して一対の端子3a、3b間が電気的に遮断状態となる。
【0025】
図7は、端子片5が第3姿勢にある状態を示す。本体ケース2が外部から一対の端子3a、3bの並び方向に所定の大きさ以上の衝撃を受けることにより、第1のリンク7及び第2のリンク9に端子3aから端子3bに向かう図中矢印Eの方向に慣性力が働くと、バネ部材10の付勢力に抗して第1のリンク7は回動軸6を中心に図中矢印Fの方向に回動すると共に、第2のリンク9は接点4bの中心を軸に図中矢印Gの方向に回動する。この第1のリンク7及び第2のリンク9の回動により連結軸8は図中矢印Hの方向に移動し、連結軸8の軸心が回動軸6の軸心と接点4bの中心とを結ぶ線62を越えると、連結軸8はバネ部材10の付勢力により所定の位置まで移動して停止する。つまり、端子片5が第1姿勢からクリック回動して第3姿勢に保持されることになり、これにより、接点4aが端子3aから離反して一対の端子3a、3b間が電気的に遮断状態となる。
【0026】
以上のように、本実施形態に係る衝撃スイッチ1によれば、外部から所定の大きさ以上の衝撃を受け、一対の端子3a、3b間が電気的に遮断状態となると、その状態が保持されるので、該衝撃を受けたことが機械的な履歴として残る。従って、本スイッチ1が小型・携帯機器に搭載され、上記衝撃を受けたときにそれら機器の電源がオフ状態にあり、本スイッチ1が通電されていない状態であっても、その後に該機器の電源がオンされたとき、該機器がその前に衝撃を受けたことを検知することができ、ひいては、ユーザに対して音声や映像等で対応/対策メッセージ等を告知することが可能となる。
【0027】
また、電気的に遮断状態となると、その状態がバネ部材10の付勢力により確実に保持されるので、スイッチとしての信頼性を高く維持できる。また、一対の端子間の導通が、複数の伝達部材を経由するのでなくひとつの部材、すなわち第2のリンク9によって行われるため、伝達部材間の接触状態によるロス等を見込む必要が無く、スイッチとしての信頼性が一層高く維持できる。また、本スイッチ1は簡便な構成であるので、低コストである。また、バネ部材10のバネの荷重を変更することで、本スイッチ1における検知可能な衝撃加速度の設定値を容易に変更できる。また、窓26が形成されているので、端子片5が第1姿勢、第2姿勢又は第3姿勢のいずれにあるかを外部から視認でき、ユーザは本スイッチ1を通電することなく、該スイッチ1が所定の大きさ以上の衝撃を受けたどうかを知ることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る衝撃スイッチについて図8乃至図13を参照して説明する。図8乃至図10は本実施形態に係る衝撃スイッチ1の構成を示す。本実施形態において、端子片5は、本体ケース2に回動軸6により回動自在に支持され、上述したバネ部材10の機能を有した第1のリンク7と、上述と同様の第2のリンク9とを備える。第1のリンク7は、2本の腕部71、72を有したねじりコイルバネで成り、一方の腕部71に回動軸6が掛合されると共に他方の腕部72に連結軸8が掛合されている。ここで、回動軸6は本体ケース2の収容部の底部21aに植立されており、連結軸8は第2のリンク9に植立されている。第1のリンク7は、第2のリンク9を端子3a、3bのケース内部分31、32側に向けて付勢し、接点4a、4bを端子3a、3bに押圧させる。その他の構成については第1の実施形態と同様である。
【0029】
次に、上記のように構成された衝撃スイッチ1の動作について図11乃至図13を参照して説明する。図11乃至図13においては、本体ケース2の蓋体22を省略している。図11は、端子片5が中立な第1姿勢にある状態を示す。携帯機器への設置状態では、端子片5が第1姿勢にあって、第2のリンク9の接点4a、4bが端子3a、3bとそれぞれ当接し、一対の端子3a、3b間が電気的に導通状態にある。このとき、連結軸8の軸心は、回動軸6の軸心と接点4aの中心を結ぶ線61と、回動軸6の軸心と接点4bの中心を結ぶ線62とから成る角を二等分する線63上に位置している。
【0030】
図12は、端子片5が第2姿勢にある状態を示す。第1の実施形態と同様に本体ケース2が衝撃を受けることにより、第1のリンク7及び第2のリンク9に端子3bから端子3aに向かう図中矢印Aの方向に慣性力が働くと、第1のリンク7は回動軸6を中心に図中矢印Bの方向に回動すると共に、第1のリンク7の付勢力に抗して第2のリンク9は接点4aの中心を軸に図中矢印Cの方向に回動する。これにより、連結軸8は図中矢印Dの方向に移動し、連結軸8の軸心が上記線61を越えると、連結軸8は第1のリンク7の付勢力により所定の位置まで移動して停止する。つまり、端子片5が第1姿勢からクリック回動して第2姿勢に保持されることになり、接点4bが端子3bから離反して一対の端子3a、3b間が電気的に遮断状態となる。
【0031】
図13は、端子片5が第3姿勢にある状態を示す。上述と同様に本体ケース2が衝撃を受けることにより、第1のリンク7及び第2のリンク9に端子3aから端子3bに向かう図中矢印Eの方向に慣性力が働くと、第1のリンク7は回動軸6を中心に図中矢印Fの方向に回動すると共に、第1のリンク7の付勢力に抗して第2のリンク9は接点4bの中心を軸に図中矢印Gの方向に回動する。これにより連結軸8は図中矢印Hの方向に移動し、連結軸8の軸心が上記線62を越えると、連結軸8はバネ部材10の付勢力により所定の位置まで移動して停止する。つまり、端子片5が第1姿勢からクリック回動して第3姿勢に保持されることになり、これにより、接点4aが端子3aから離反して一対の端子3a、3b間が電気的に遮断状態となる。以上により、本実施形態の衝撃スイッチ1においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、バネ部材10は、側壁部21bと回動軸6の間に設けられた圧縮コイルバネであってもよい。また、収容部21及び蓋体22は、連結軸8の位置を外部から目視できるように透明部材で成るものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る衝撃スイッチを前側から視た斜視図。
【図2】上記衝撃スイッチの蓋体を除いて前側から視た斜視図。
【図3】上記衝撃スイッチを後側から視た斜視図。
【図4】第1のリンクと本体ケースとの連結構成、及び第1のリンクと第2のリンクとの連結構成を示す断面斜視図。
【図5】上記衝撃スイッチにおいて端子片が第1姿勢にある状態の平面図。
【図6】上記衝撃スイッチにおいて端子片が第2姿勢にある状態の平面図。
【図7】上記衝撃スイッチにおいて端子片が第3姿勢にある状態の平面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る衝撃スイッチを前側から視た斜視図。
【図9】上記衝撃スイッチの蓋体を除いて前側から視た斜視図。
【図10】上記衝撃スイッチを後側から視た斜視図。
【図11】上記衝撃スイッチにおいて端子片が第1姿勢にある状態の平面図。
【図12】上記衝撃スイッチにおいて端子片が第2姿勢にある状態の平面図。
【図13】上記衝撃スイッチにおいて端子片が第3姿勢にある状態の平面図。
【符号の説明】
【0034】
1 衝撃スイッチ
2 本体ケース
3a、3b 端子
4a、4b 接点
5 端子片
6 回動軸
7 第1のリンク
8 連結軸
9 第2のリンク
10 バネ部材
23 端子配設部
24 保持部
71、72 腕部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器への設置状態では電気的に導通状態にあり、外部から所定の大きさ以上の衝撃を受けると電気的に遮断状態となる衝撃スイッチであって、
本体ケースに互いに離間して配設された一対の端子と、
前記本体ケースにクリック回動自在に支持されており、前記端子の各々と当接する一対の接点を有した端子片とを備え、
前記端子片は、通常では中立の第1姿勢にあり、一方向から所定の大きさ以上の衝撃を受けることにより該第1姿勢からクリック回動して第2姿勢に保持され、又は他方向から所定の大きさ以上の衝撃を受けることにより前記第1姿勢から前記とは反対方向にクリック回動して第3姿勢に保持されるように構成され、
携帯機器への設置状態では、前記端子片が前記第1姿勢にあって、前記一対の接点が前記一対の端子とそれぞれ当接して電気的に導通状態にあり、
前記本体ケースが外部から所定の大きさ以上の衝撃を受けたとき、前記端子片に慣性力が働き、該端子片が前記第1姿勢からクリック回動して前記第2姿勢又は第3姿勢に保持され、前記いずれかの接点が前記一対の端子から離反して電気的に遮断状態となることを特徴とする衝撃スイッチ。
【請求項2】
前記端子片は、前記本体ケースに回動軸により回動自在、且つ前記端子側に向けて往復移動自在に支持された第1のリンクと、前記第1のリンクと連結軸により回動自在に連結され、前記一対の接点が配された第2のリンクと、前記第1のリンクを前記端子側に向けて付勢し、前記連結軸を介して前記接点を前記端子に押圧させるバネ部材とで構成され、
前記本体ケースが外部から前記一対の端子の並び方向に所定の大きさ以上の衝撃を受けたとき、前記端子片に慣性力が働き、前記バネ部材の付勢力に抗して前記第1のリンクは前記回動軸を中心に回動すると共に、前記第2のリンクは前記一方の接点を中心に回動して前記連結軸は移動し、該連結軸の軸心が前記回動軸と前記一方の接点とを結ぶ線を越えると、前記連結軸は前記バネ部材の付勢力により所定の位置まで移動して停止し、これにより前記端子片が前記第2姿勢又は第3姿勢に保持され、前記他方の接点が該接点に対応する端子から離反して電気的に遮断状態となることを特徴とする請求項1に記載の衝撃スイッチ。
【請求項3】
前記端子片は、前記本体ケースに回動軸により回動自在に支持された第1のリンクと、前記第1のリンクと連結軸により回動自在に連結され、前記一対の接点が配された第2のリンクとで構成され、
前記第1のリンクは、2本の腕部を有したねじりコイルバネで成り、一方の腕部に前記回動軸が掛合されると共に他方の腕部に前記連結軸が掛合され、前記第2のリンクを前記端子側に向けて付勢して前記接点を前記端子に押圧させ、
前記本体ケースが外部から前記一対の端子の並び方向に所定の大きさ以上の衝撃を受けたとき、前記端子片に慣性力が働き、前記第1のリンクは前記回動軸を中心に回動すると共に、該第1のリンクの付勢力に抗して前記第2のリンクは前記一方の接点を中心に回動して前記連結軸は移動し、該連結軸の軸心が前記回動軸と前記一方の接点とを結ぶ線を越えると、前記連結軸は前記第1のリンクの付勢力により所定の位置まで移動して停止し、これにより前記端子片が前記第2姿勢又は第3姿勢に保持され、前記他方の接点が該接点に対応する端子から離反して電気的に遮断状態となることを特徴とする請求項1に記載の衝撃スイッチ。
【請求項4】
前記第2のリンクは、二股形状の導電部材で成り、その頂部に前記連結軸が配されると共に二つの足部に前記一対の接点がそれぞれ配されており、
前記足部は、前記本体ケースの前記端子配設部に隣接して設けられた保持部に回動自在、且つ該端子片が回動するときに前記接点が干渉しないように保持されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の衝撃スイッチ。
【請求項5】
前記本体ケースは、前記連結軸の位置を外部から目視できるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の衝撃スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−301729(P2009−301729A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151488(P2008−151488)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(300019445)株式会社カサタニ (19)
【Fターム(参考)】