衝撃吸収体
【課題】容易に取付可能であり、且つ、取付具を用いた取付作業が不要な衝撃吸収体を提供する。
【解決手段】本実施形態の衝撃吸収体(10)は、中実の板状の取付爪(12,13)をパーティングライン(PL)に設け、取付爪(12,13)を対象物(20)に設けられた穴(22,23)に嵌め込み対象物(20)に取り付ける衝撃吸収体(10)であり、取付爪(12,13)は、衝撃吸収体(10)の本体(3)から突出した少なくとも2つの板状部を有し、少なくとも2つの板状部は、その板状部よりも薄肉で形成された連結部で連結している。
【解決手段】本実施形態の衝撃吸収体(10)は、中実の板状の取付爪(12,13)をパーティングライン(PL)に設け、取付爪(12,13)を対象物(20)に設けられた穴(22,23)に嵌め込み対象物(20)に取り付ける衝撃吸収体(10)であり、取付爪(12,13)は、衝撃吸収体(10)の本体(3)から突出した少なくとも2つの板状部を有し、少なくとも2つの板状部は、その板状部よりも薄肉で形成された連結部で連結している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収体に関し、特に、膝受け部材(knee bolster)などに好適な衝撃吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転席前方には、車両の衝突時において運転者の膝部を受け止め、その移動を拘束する機能を有する膝受け部材(knee bolster)が配設されている。
【0003】
しかし、上述した膝受け部材に用いられる衝撃吸収体は、取付用フランジを有して構成し、その取付用フランジをビス等の取付具を用いて取付対象物である自動車に固定している。このため、衝撃吸収体の取付作業が繁雑になっているのが現状である。
【0004】
このようなことから、取付具を用いた取付作業が不要な衝撃吸収体の開発が必要視されている。
【0005】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、例えば、特許文献1(特表2002-522286号公報)には、膨張可能な膝受け部材について開示されている。
【0006】
また、特許文献2(特開2006-130936号公報)には、車両のドア、ルーフ、ボンネット等に好適な衝撃吸収体について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−522286号公報
【特許文献2】特開2006−130936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1の膝受け部材は、上述した従来の衝撃吸収体と同様に取り付けタブをビス止めし、自動車に固定することになる。また、上記特許文献2の衝撃吸収体も上述した従来の衝撃吸収体と同様にフランジをビス止めし、自動車に固定することになる。
【0009】
このため、上記特許文献1の膝受け部材や上記特許文献2の衝撃吸収体も取付具が必要になり、取付作業が繁雑になってしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、容易に取付可能であり、且つ、取付具を用いた取付作業が不要な衝撃吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。
【0012】
本発明にかかる衝撃吸収体は、
中実の板状の取付爪をパーティングラインに設け、前記取付爪を取付対象物に設けられた穴に嵌め込み前記取付対象物に取り付ける衝撃吸収体であって、
前記取付爪は、前記衝撃吸収体の本体から突出した少なくとも2つの板状部を有し、少なくとも2つの前記板状部は、前記板状部よりも薄肉で形成された連結部で連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に取付可能であり、且つ、取付具を用いた取付作業を不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の衝撃吸収体10を膝受け部材106として自動車100に取り付けた状態を示す図である。
【図2】本実施形態の衝撃吸収体10と、その衝撃吸収体10を取り付ける板金20と、の全体構成例を示す図である。
【図3】図2に示す衝撃吸収体10のA-A'線の断面構成例(a)、B-B'線の断面構成例(b)を示す図である。
【図4】図2に示す衝撃吸収体10の第1壁4側の構成例を示す図である。
【図5】図2に示す衝撃吸収体10の第2壁5側の構成例を示す図である。
【図6】図2に示す衝撃吸収体10のA側の側面構成例を示す図である。
【図7】図2に示す衝撃吸収体10のB側の側面構成例を示す図である。
【図8】図2に示す衝撃吸収体10のC側の側面構成例を示す図である。
【図9】衝撃吸収体10の第3の取付爪13の拡大構成例を示す。
【図10】衝撃吸収体10を板金20に取り付けた状態を示す第1の図である。
【図11】衝撃吸収体10を板金20に取り付けた状態を示す第2の図である。
【図12】本実施形態の衝撃吸収体10の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本実施形態の衝撃吸収体10の概要>
まず、図2、図9を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体10の概要について説明する。図2は、本実施形態の衝撃吸収体10の全体構成例を示し、図9は、衝撃吸収体10に設けられる取付爪12,13の構成例を示す。
【0016】
本実施形態の衝撃吸収体10は、中実の板状の取付爪12,13をパーティングラインPLに設け、取付爪12,13を取付対象物(板金20に相当)に設けられた穴22,23に嵌め込み取付対象物20に取り付ける衝撃吸収体10であり、取付爪12,13は、図9に示すように、衝撃吸収体10の本体3から突出した少なくとも2つの板状部14,15(または16)を有し、少なくとも2つの板状部14,15は、板状部14,15よりも薄肉で形成された連結部14'で連結している。なお、連結部14'の具体的な厚さは、0.5mm以下である。本実施形態の取付部12,13を構成する少なくとも2つの板状部14,15は、0.5mm以下の厚さの薄肉で形成された連結部14'で連結しているため、取付爪12,13を意図的に撓ませ、取付爪12,13を取付対象物20の穴22,23に容易に挿入することができると共に、挿入後は、取付爪12,13を穴22,23に固定させることができる。その結果、ビスやネジなどの取付具を用いなくとも衝撃吸収体10を取付対象物20に取り付けることができるため、衝撃吸収体10の取付作業を容易にすることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体10について詳細に説明する。
【0017】
<衝撃吸収体10の取り付け例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体10の取り付け例について説明する。図1は、図2〜図9に示す衝撃吸収体10を膝受け部材106の衝撃吸収体として自動車100に取り付けた状態を示す。
【0018】
図1に示す自動車100は、ドライバー101を含む乗員のための前部座席102を備える乗員車室103を有して構成しており、計器盤104が操舵輪105の側面に位置している。本実施形態の衝撃吸収体10(図2〜図9参照)は、膝受け部材106として計器盤104の下側に取り付けられる。膝受け部材106は、ドライバー101の各々の膝107に隣接するように取り付けられる。これにより、自動車100が衝撃を受け付けた場合に、ドライバー101の膝107が各々の膝受け部材106に接触し、膝受け部材106により衝撃を吸収し、膝107に加わる衝撃を低減することにしている。
【0019】
<衝撃吸収体10の構成例>
次に、図2〜図9を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体10の構成例について説明する。図2は、本実施形態の衝撃吸収体10と、その衝撃吸収体10を取り付ける板金20と、の全体構成例を示す図であり、図3は、図2に示す衝撃吸収体10のA-A'線の断面構成例(a)、B-B'線の断面構成例(b)を示す図である。図4は、図2に示す衝撃吸収体10の第1壁4側の構成例を示し、図5は、図2に示す衝撃吸収体10の第2壁5側の構成例を示す。図6は、図2に示す衝撃吸収体10のA側の側面構成例を示し、図7は、図2に示す衝撃吸収体10のB側の側面構成例を示し、図8は、図2に示す衝撃吸収体10のC側の側面構成例を示す。図9は、衝撃吸収体10の第3の取付爪13の拡大構成例を示す。
【0020】
本実施形態の衝撃吸収体10は、熱可塑性樹脂をブロー成形して中空状に成形したものであり、図3(a)に示すように、中空部2を有する本体3の互いに対向する第1壁4及び第2壁5をそれぞれ他方に向けて窪ませて形成された凹状リブ6,7を複数有している。凹状リブ6,7の形状は、図2に示すように衝撃方向と同一方向に連続的に連なった帯形状であることが好ましい。これにより、衝撃方向からの衝撃に対する剛性を高めることができる。
【0021】
本実施形態の衝撃吸収体10を構成する熱可塑性樹脂としては、公知の樹脂が適用可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタート等のポリエステル系樹脂、ポリアミドおよびこれらの混合物など、剛性等の機械的高度の大きい樹脂で構成することができる。
【0022】
また、機械的強度(耐衝撃性)を損なわない範囲において、例えば、シリカ等の充填剤、顔料、染料、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、防炎剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防曇剤、滑剤など当該分野で使用されている添加剤の1種または2種以上を含有することもできる。
【0023】
また、本実施形態の衝撃吸収体10は、図2に示すように、本体3の側面に取付爪11,12,13を有して構成し、その取付爪11,12,13を板金20に設けられた穴21,22,23に嵌め込むことで、衝撃吸収体10を自動車に取り付けることができる。但し、本実施形態の衝撃吸収体10を自動車に取り付ける場合には、板金20を自動車の部品に予め装着しておく必要がある。これにより、本実施形態の衝撃吸収体10は、ビスやネジなどの取付具を用いることなく、衝撃吸収体10を自動車に容易に取り付けることができる。
【0024】
本実施形態の衝撃吸収体10は、ブロー成形により中空状に形成した第1の取付爪11と、コンプレッションにより中実の板状に形成した第2、第3の取付爪12,13と、を有して構成する。
【0025】
第1の取付爪11は、図3(b)に示すように、中空状に形成し、剛性を高くしている。なお、第1の取付爪11の内部に形成される中空部8は、本体3の内部に形成される中空部2と一体になっており、本体3の中空部2と第1の取付爪11の中空部8との間で空気の流入ができるように構成している。
【0026】
また、本実施形態の第1の取付爪11は、衝撃吸収体10を板金20に取り付ける際の起点になるため、第1の取付爪11の先端が先細になっている。また、第1の取付爪11を、その第1の取付爪11に対応する穴21に挿入した際に、その第1の取付爪11が穴21の縁に引っ掛かるような形状で構成している。これにより、第1の取付爪11のみを穴21に容易に挿入し、衝撃吸収体10を板金20に引っ掛けた状態にすることができる。本実施形態では、図2に示すように、本体3と第1の取付爪11との接合部に、第1の取付爪11の内側に向かって窪んだ凹形状の切り欠き部11'を形成し、その切り欠き部11'により第1の取付爪11が穴21の縁に引っ掛かるようにしている。なお、切り欠き部11'の形状は特に限定せず、第1の取付爪11が穴21の縁に引っ掛かることが可能であればあらゆる形状が適用可能である。また、切り欠き部11'には、薄肉が形成されており、第1の取付爪11を穴21の縁に引っ掛ける際に、その穴21の縁に沿って薄肉部分が弾性変形し、切り欠き部11'が穴21の縁に密着するようにしている。これにより、切り欠き部11'を穴21の縁に密着させ、且つ、第1の取付爪11を穴21の縁に引っ掛けることができる。
【0027】
第2、第3の取付爪12,13は、コンプレッションにより中実の板状に形成し、弾性を高くしている。具体的には、図9に示すように、取付爪13に段差を設け、取付爪13の中央部を構成する中央板状部14と、取付爪13の両端を構成する両端板状部15,16と、を形成し、取付爪13の両端の両端板状部15,16が中央板状部14側に撓むようにしている。
【0028】
また、中央板状部14と両端板状部15,16とが連結する連結部14',14'を薄肉に形成し、両端板状部15,16が連結部14',14'により弾性変形し、取付爪13を穴23に嵌め込み易くしている。また、取付爪13の形状が、その取付爪13に対応する穴23よりも大きい形状の場合でも、両端板状部15,16が連結部14',14'により弾性変形し、取付爪13を穴23に嵌め込み易くしている。また、取付爪13を穴23に嵌め込んだ後は、両端板状部15,16の形状が元の状態に復元するため、取付爪13を穴23に嵌め込んだ状態で固定することができる。なお、連結部14',14'の厚さは0.01mm〜0.5mmの範囲で形成することが好ましい。これにより、両端板状部15,16が連結部14',14'により撓み、両端板状部15,16を弾性変形し易くすることができる。なお、中央板状部14の幅は、両端板状部15,16の幅よりも長く構成することが好ましい。これにより、中央板状部14を中心軸として両端板状部15,16を撓み易くすることができる。
【0029】
また、本体3と取付爪13との接合部には凹形状の切り欠き部17が形成されており、取付爪13を穴23に挿入した際に、切り欠き部17に穴23の縁が勘合するようになっている。なお、切り欠き部17の形状は特に限定せず、穴23の縁に勘合することが可能であればあらゆる形状が適用可能である。また、中央板状部14は、その中央板状部14の両端に起立して連結している連結部14',14'により両端板状部15,16よりも第2壁5側に窪んだ凹形状を形成し、連結部14',14'を薄肉にしている。なお、中央板状部14の凹形状の深さが深い程、連結部14',14'を形成する部分の樹脂が引き延ばされるため、連結部14',14'を薄肉にすることができる。なお、連結部14',14'は、所定の角度だけ傾斜して構成し、中央板状部14の凹形状が台形形状になるようにすることが好ましい。これにより、両端板状部15,16が中央板状部14に向かって弾性変形し易くすることができる。
【0030】
また、本実施形態の取付爪13は、中央板状部14が本体3と接合する接合位置と、両端板状部15,16が本体と接合する接合位置と、が同一直線上にならないようにしている。このため、取付爪13と本体3との接合部の強度を高めることができる。また、本実施形態の取付爪13は、中央板状部14の先端側を上方に傾斜させ、両端板状部15,16の先端側を下方に傾斜させ、中央板状部14の先端部と両端板状部15,16の先端部とが略同一線上に位置するように構成し、取付爪13の先端側が尖った形状になるようにしている。これにより、取付爪13の先端側を弾性変形させ、取付爪13を穴23に嵌め込み易くすることができる。また、取付爪13を穴23に嵌め込んだ際は、強度を高くした接合部近傍で穴23と接触することになるため、取付爪13を穴23に嵌め込んだ後は、衝撃吸収体10を板金20に固定することができる。
【0031】
なお、図9は、第3の取付爪13の拡大構成例を示したが、第2の取付爪12も第3の取付爪13と同様に構成する。但し、第3の取付爪13の中央板状部14は、第2壁5側に窪んだ凹形状になっているが、第2の取付爪12の中央板状部14は、第1壁4側に窪んだ凹形状になっている。このため、第3の取付爪13の中央板状部14の凹形状部分と、第2の取付爪12の中央板状部14の凹形状部分と、が本体3の中央に向き合うようになっている。
【0032】
また、取付爪11〜13が設けられる本体3の側面は、衝撃吸収体10を取り付ける板金20の形状にすることが好ましい。これにより、衝撃吸収体10を板金20に取り付けた際に、板金20に近接するように衝撃吸収体10を取り付けることができる。本実施形態では、板金20は平板形状で形成しているため、取付爪11〜13が設けられる本体3の側面も平板形状で形成している。
【0033】
本実施形態の衝撃吸収体10を自動車に取り付ける際は、まず、剛性のある第1の取付爪11を起点とし、第1の取付爪11のみを、その第1の取付爪11に対応する穴21に挿入し、第1の取付爪11の切り欠き部11'により、第1の取付爪11を穴21に引っ掛けた状態にする。次に、弾性のある第2、第3の取付爪12,13を、その第2、第3の取付爪12,13に対応する穴22,23に挿入し、その穴22,23に第2、第3の取付爪12,13を嵌め込む。これにより、図10、図11に示すように、衝撃吸収体10を自動車に取り付けることができる。なお、図10、図11は、衝撃吸収体10の取付爪11〜13を板金20に設けられた穴21〜23に嵌め込んだ状態を示しており、図10は、取付爪11〜13が穴21〜23に嵌め込まれた板金20側から見た状態を示し、図11は、側面の状態を示す。
【0034】
なお、本実施形態の衝撃吸収体10を自動車に取り付ける場合には、板金20を自動車の部品に予め装着しておく必要がある。これにより、本実施形態の衝撃吸収体10は、ビスやネジなどの取付具を用いることなく、衝撃吸収体10を自動車に容易に取り付けることができる。その結果、取付作業を容易にすることができる。また、第2、第3の取付爪12,13は、弾性変形し易い形状で構成しているため、第1の取付爪11を穴21に挿入した状態で、第2、第3の取付爪12,13を穴22,23に容易に嵌め込むことができる。
【0035】
なお、本実施形態の衝撃吸収体10は、図2に示すように、取付爪11,12,13が一直線上に位置しないように屈曲したパーティングラインPL上に取付爪11,12,13を設けている。これにより、図10に示すように、衝撃吸収体10を板金20に取り付ける箇所が一直線上にならないようにすることができる。その結果、衝撃吸収体10を板金20に対して安定して固定させることができる。また、第1の取付爪11には、切り欠き部11'があり、また、第2、第3の取付爪12,13には、凹形状の切り欠き部17があるため、その切り欠き部11',17により、取付爪11,12,13が穴21,22,23の縁と勘合し、衝撃吸収体10を板金20に固定させることができる。
【0036】
<本実施形態の衝撃吸収体10の作用・効果>
このように、本実施形態の衝撃吸収体10は、中実の板状の第2、第3の取付爪12,13を有して構成し、第2、第3の取付爪12,13を板金20に設けられた穴22,23に嵌め込み、衝撃吸収体10を板金20に取り付けることにしている。これにより、ビスやネジなどの取付具を用いなくとも衝撃吸収体10を板金20に取り付けることができるため、衝撃吸収体10の取付作業を容易にすることができる。
【0037】
また、本実施形態の第2、第3の取付爪12,13は、中央板状部14と両端板状部15,16とが連結する連結部14',14'を薄肉に形成し、両端板状部15,16が連結部14',14'により弾性変形するようにしている。これにより、第2、第3の取付爪12,13を意図的に撓ませることができため、第2、第3の取付爪12,13を板金20の穴22,23に容易に挿入することができると共に、挿入後は、第2、第3の取付爪12,13を穴23に固定させることができる。
【0038】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0039】
例えば、上述する実施形態では、衝撃吸収体10の取付爪11〜13を板金20に設けられた穴21〜23に嵌め込むことにした。しかし、衝撃吸収体10の取付爪11〜13に対応する穴21〜23を自動車の部品に対して予め形成し、衝撃吸収体10の取付爪11〜13を自動車の部品に直接取り付けるようにすることも可能である。
【0040】
また、上述する実施形態では、衝撃吸収体10を膝受け部材(knee bolster)として使用した場合を例に説明した。しかし、本実施形態の衝撃吸収体10は、膝受け部材に限定するものではなく、バンパー等の車両構成部材に適用することも可能である。
【0041】
また、上述する実施形態では、図2に示すように、中空状の第1の取付爪11と、中実状の第2、第3の取付爪12,13と、を有して構成し、第1の取付爪11を起点として、取付爪11〜13を板金20に設けられた穴21〜23に嵌め込み、衝撃吸収体10を板金20に取り付けることにした。しかし、図12に示すように、中空状の第1の取付爪11を中実状の取付爪13に変更し、中実状の取付爪12,13のみで構成し、その中実状の取付爪12,13を板金20に設けられた穴22,23に嵌め込み、衝撃吸収体10を板金20に取り付けるようにすることも可能である。このような構成であっても、ビスやネジなどの取付具を用いなくとも衝撃吸収体10を板金20に取り付けることができるため、衝撃吸収体10の取付作業を容易にすることができる。
【0042】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0043】
中実の板状の取付爪12,13をパーティングラインPLに設け、前記取付爪12,13を対象物20に設けられた穴22,23に嵌め込み前記対象物20に取り付ける衝撃吸収体10であって、
前記取付爪12,13は、前記衝撃吸収体10の本体3から突出した少なくとも2つの板状部14,15(または16)を有し、少なくとも2つの前記板状部14,15は、前記板状部14,15よりも薄肉で形成された連結部14'で連結していることを特徴とする衝撃吸収体10。
【0044】
(付記2)
前記連結部14'の厚さは、0.5mm以下であることを特徴とする付記1記載の衝撃吸収体10。
【0045】
(付記3)
前記取付爪12,13は、前記取付爪12,13の中央部を構成する中央板状部14と、前記取付爪12,13の両端を構成する両端板状部15,16と、を有し、前記中央板状部14と前記両端板状部15,16とは、前記連結部14'で連結していることを特徴とする付記1または2記載の衝撃吸収体10。
【0046】
(付記4)
前記中央板状部14の先端部と前記両端板状部15,16の先端部とが同一線上に位置するように、前記中央板状部14と前記両端板状部15,16とが互いに傾斜していることを特徴とする付記3記載の衝撃吸収体10。
【0047】
(付記5)
前記取付爪12,13は、内側に向かって窪んだ凹状の切り欠き部17を有し、
前記取付爪12,13を前記穴22,23に嵌め込んだ際に、前記切り欠き部17に前記穴22,23の縁が勘合することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の衝撃吸収体10。
【0048】
(付記6)
少なくとも2つの前記取付爪12,13と、剛性のある中空状の取付爪11と、を有し、
少なくとも2つの前記取付爪12,13及び前記中空状の取付爪11は、一直線上に位置しないように屈曲した前記パーティングラインPLに設けられていることを特徴とする付記1から5の何れか1項に記載の衝撃吸収体10。
【0049】
(付記7)
少なくとも3つの前記取付爪12,13を有し、
少なくとも3つの前記取付爪12,13は、一直線上に位置しないように屈曲した前記パーティングラインPLに設けられていることを特徴とする付記1から5の何れか1項に記載の衝撃吸収体10。
【符号の説明】
【0050】
10 衝撃吸収体
2、8 中空部
3 本体
4 第1壁
5 第2壁
41,51 第1の部位
42,52 第2の部位
43,53 第3の部位
6、7 凹状リブ
PL パーティングライン
11 第1の取付爪
11'、17 切り欠き部
12 第2の取付爪
13 第3の取付爪
14 中央板状部
14' 連結部
15、16 両端板状部
20 板金(取付対象物)
21、22、23 穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収体に関し、特に、膝受け部材(knee bolster)などに好適な衝撃吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転席前方には、車両の衝突時において運転者の膝部を受け止め、その移動を拘束する機能を有する膝受け部材(knee bolster)が配設されている。
【0003】
しかし、上述した膝受け部材に用いられる衝撃吸収体は、取付用フランジを有して構成し、その取付用フランジをビス等の取付具を用いて取付対象物である自動車に固定している。このため、衝撃吸収体の取付作業が繁雑になっているのが現状である。
【0004】
このようなことから、取付具を用いた取付作業が不要な衝撃吸収体の開発が必要視されている。
【0005】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、例えば、特許文献1(特表2002-522286号公報)には、膨張可能な膝受け部材について開示されている。
【0006】
また、特許文献2(特開2006-130936号公報)には、車両のドア、ルーフ、ボンネット等に好適な衝撃吸収体について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−522286号公報
【特許文献2】特開2006−130936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1の膝受け部材は、上述した従来の衝撃吸収体と同様に取り付けタブをビス止めし、自動車に固定することになる。また、上記特許文献2の衝撃吸収体も上述した従来の衝撃吸収体と同様にフランジをビス止めし、自動車に固定することになる。
【0009】
このため、上記特許文献1の膝受け部材や上記特許文献2の衝撃吸収体も取付具が必要になり、取付作業が繁雑になってしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、容易に取付可能であり、且つ、取付具を用いた取付作業が不要な衝撃吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。
【0012】
本発明にかかる衝撃吸収体は、
中実の板状の取付爪をパーティングラインに設け、前記取付爪を取付対象物に設けられた穴に嵌め込み前記取付対象物に取り付ける衝撃吸収体であって、
前記取付爪は、前記衝撃吸収体の本体から突出した少なくとも2つの板状部を有し、少なくとも2つの前記板状部は、前記板状部よりも薄肉で形成された連結部で連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に取付可能であり、且つ、取付具を用いた取付作業を不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の衝撃吸収体10を膝受け部材106として自動車100に取り付けた状態を示す図である。
【図2】本実施形態の衝撃吸収体10と、その衝撃吸収体10を取り付ける板金20と、の全体構成例を示す図である。
【図3】図2に示す衝撃吸収体10のA-A'線の断面構成例(a)、B-B'線の断面構成例(b)を示す図である。
【図4】図2に示す衝撃吸収体10の第1壁4側の構成例を示す図である。
【図5】図2に示す衝撃吸収体10の第2壁5側の構成例を示す図である。
【図6】図2に示す衝撃吸収体10のA側の側面構成例を示す図である。
【図7】図2に示す衝撃吸収体10のB側の側面構成例を示す図である。
【図8】図2に示す衝撃吸収体10のC側の側面構成例を示す図である。
【図9】衝撃吸収体10の第3の取付爪13の拡大構成例を示す。
【図10】衝撃吸収体10を板金20に取り付けた状態を示す第1の図である。
【図11】衝撃吸収体10を板金20に取り付けた状態を示す第2の図である。
【図12】本実施形態の衝撃吸収体10の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本実施形態の衝撃吸収体10の概要>
まず、図2、図9を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体10の概要について説明する。図2は、本実施形態の衝撃吸収体10の全体構成例を示し、図9は、衝撃吸収体10に設けられる取付爪12,13の構成例を示す。
【0016】
本実施形態の衝撃吸収体10は、中実の板状の取付爪12,13をパーティングラインPLに設け、取付爪12,13を取付対象物(板金20に相当)に設けられた穴22,23に嵌め込み取付対象物20に取り付ける衝撃吸収体10であり、取付爪12,13は、図9に示すように、衝撃吸収体10の本体3から突出した少なくとも2つの板状部14,15(または16)を有し、少なくとも2つの板状部14,15は、板状部14,15よりも薄肉で形成された連結部14'で連結している。なお、連結部14'の具体的な厚さは、0.5mm以下である。本実施形態の取付部12,13を構成する少なくとも2つの板状部14,15は、0.5mm以下の厚さの薄肉で形成された連結部14'で連結しているため、取付爪12,13を意図的に撓ませ、取付爪12,13を取付対象物20の穴22,23に容易に挿入することができると共に、挿入後は、取付爪12,13を穴22,23に固定させることができる。その結果、ビスやネジなどの取付具を用いなくとも衝撃吸収体10を取付対象物20に取り付けることができるため、衝撃吸収体10の取付作業を容易にすることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体10について詳細に説明する。
【0017】
<衝撃吸収体10の取り付け例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体10の取り付け例について説明する。図1は、図2〜図9に示す衝撃吸収体10を膝受け部材106の衝撃吸収体として自動車100に取り付けた状態を示す。
【0018】
図1に示す自動車100は、ドライバー101を含む乗員のための前部座席102を備える乗員車室103を有して構成しており、計器盤104が操舵輪105の側面に位置している。本実施形態の衝撃吸収体10(図2〜図9参照)は、膝受け部材106として計器盤104の下側に取り付けられる。膝受け部材106は、ドライバー101の各々の膝107に隣接するように取り付けられる。これにより、自動車100が衝撃を受け付けた場合に、ドライバー101の膝107が各々の膝受け部材106に接触し、膝受け部材106により衝撃を吸収し、膝107に加わる衝撃を低減することにしている。
【0019】
<衝撃吸収体10の構成例>
次に、図2〜図9を参照しながら、本実施形態の衝撃吸収体10の構成例について説明する。図2は、本実施形態の衝撃吸収体10と、その衝撃吸収体10を取り付ける板金20と、の全体構成例を示す図であり、図3は、図2に示す衝撃吸収体10のA-A'線の断面構成例(a)、B-B'線の断面構成例(b)を示す図である。図4は、図2に示す衝撃吸収体10の第1壁4側の構成例を示し、図5は、図2に示す衝撃吸収体10の第2壁5側の構成例を示す。図6は、図2に示す衝撃吸収体10のA側の側面構成例を示し、図7は、図2に示す衝撃吸収体10のB側の側面構成例を示し、図8は、図2に示す衝撃吸収体10のC側の側面構成例を示す。図9は、衝撃吸収体10の第3の取付爪13の拡大構成例を示す。
【0020】
本実施形態の衝撃吸収体10は、熱可塑性樹脂をブロー成形して中空状に成形したものであり、図3(a)に示すように、中空部2を有する本体3の互いに対向する第1壁4及び第2壁5をそれぞれ他方に向けて窪ませて形成された凹状リブ6,7を複数有している。凹状リブ6,7の形状は、図2に示すように衝撃方向と同一方向に連続的に連なった帯形状であることが好ましい。これにより、衝撃方向からの衝撃に対する剛性を高めることができる。
【0021】
本実施形態の衝撃吸収体10を構成する熱可塑性樹脂としては、公知の樹脂が適用可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタート等のポリエステル系樹脂、ポリアミドおよびこれらの混合物など、剛性等の機械的高度の大きい樹脂で構成することができる。
【0022】
また、機械的強度(耐衝撃性)を損なわない範囲において、例えば、シリカ等の充填剤、顔料、染料、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、防炎剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防曇剤、滑剤など当該分野で使用されている添加剤の1種または2種以上を含有することもできる。
【0023】
また、本実施形態の衝撃吸収体10は、図2に示すように、本体3の側面に取付爪11,12,13を有して構成し、その取付爪11,12,13を板金20に設けられた穴21,22,23に嵌め込むことで、衝撃吸収体10を自動車に取り付けることができる。但し、本実施形態の衝撃吸収体10を自動車に取り付ける場合には、板金20を自動車の部品に予め装着しておく必要がある。これにより、本実施形態の衝撃吸収体10は、ビスやネジなどの取付具を用いることなく、衝撃吸収体10を自動車に容易に取り付けることができる。
【0024】
本実施形態の衝撃吸収体10は、ブロー成形により中空状に形成した第1の取付爪11と、コンプレッションにより中実の板状に形成した第2、第3の取付爪12,13と、を有して構成する。
【0025】
第1の取付爪11は、図3(b)に示すように、中空状に形成し、剛性を高くしている。なお、第1の取付爪11の内部に形成される中空部8は、本体3の内部に形成される中空部2と一体になっており、本体3の中空部2と第1の取付爪11の中空部8との間で空気の流入ができるように構成している。
【0026】
また、本実施形態の第1の取付爪11は、衝撃吸収体10を板金20に取り付ける際の起点になるため、第1の取付爪11の先端が先細になっている。また、第1の取付爪11を、その第1の取付爪11に対応する穴21に挿入した際に、その第1の取付爪11が穴21の縁に引っ掛かるような形状で構成している。これにより、第1の取付爪11のみを穴21に容易に挿入し、衝撃吸収体10を板金20に引っ掛けた状態にすることができる。本実施形態では、図2に示すように、本体3と第1の取付爪11との接合部に、第1の取付爪11の内側に向かって窪んだ凹形状の切り欠き部11'を形成し、その切り欠き部11'により第1の取付爪11が穴21の縁に引っ掛かるようにしている。なお、切り欠き部11'の形状は特に限定せず、第1の取付爪11が穴21の縁に引っ掛かることが可能であればあらゆる形状が適用可能である。また、切り欠き部11'には、薄肉が形成されており、第1の取付爪11を穴21の縁に引っ掛ける際に、その穴21の縁に沿って薄肉部分が弾性変形し、切り欠き部11'が穴21の縁に密着するようにしている。これにより、切り欠き部11'を穴21の縁に密着させ、且つ、第1の取付爪11を穴21の縁に引っ掛けることができる。
【0027】
第2、第3の取付爪12,13は、コンプレッションにより中実の板状に形成し、弾性を高くしている。具体的には、図9に示すように、取付爪13に段差を設け、取付爪13の中央部を構成する中央板状部14と、取付爪13の両端を構成する両端板状部15,16と、を形成し、取付爪13の両端の両端板状部15,16が中央板状部14側に撓むようにしている。
【0028】
また、中央板状部14と両端板状部15,16とが連結する連結部14',14'を薄肉に形成し、両端板状部15,16が連結部14',14'により弾性変形し、取付爪13を穴23に嵌め込み易くしている。また、取付爪13の形状が、その取付爪13に対応する穴23よりも大きい形状の場合でも、両端板状部15,16が連結部14',14'により弾性変形し、取付爪13を穴23に嵌め込み易くしている。また、取付爪13を穴23に嵌め込んだ後は、両端板状部15,16の形状が元の状態に復元するため、取付爪13を穴23に嵌め込んだ状態で固定することができる。なお、連結部14',14'の厚さは0.01mm〜0.5mmの範囲で形成することが好ましい。これにより、両端板状部15,16が連結部14',14'により撓み、両端板状部15,16を弾性変形し易くすることができる。なお、中央板状部14の幅は、両端板状部15,16の幅よりも長く構成することが好ましい。これにより、中央板状部14を中心軸として両端板状部15,16を撓み易くすることができる。
【0029】
また、本体3と取付爪13との接合部には凹形状の切り欠き部17が形成されており、取付爪13を穴23に挿入した際に、切り欠き部17に穴23の縁が勘合するようになっている。なお、切り欠き部17の形状は特に限定せず、穴23の縁に勘合することが可能であればあらゆる形状が適用可能である。また、中央板状部14は、その中央板状部14の両端に起立して連結している連結部14',14'により両端板状部15,16よりも第2壁5側に窪んだ凹形状を形成し、連結部14',14'を薄肉にしている。なお、中央板状部14の凹形状の深さが深い程、連結部14',14'を形成する部分の樹脂が引き延ばされるため、連結部14',14'を薄肉にすることができる。なお、連結部14',14'は、所定の角度だけ傾斜して構成し、中央板状部14の凹形状が台形形状になるようにすることが好ましい。これにより、両端板状部15,16が中央板状部14に向かって弾性変形し易くすることができる。
【0030】
また、本実施形態の取付爪13は、中央板状部14が本体3と接合する接合位置と、両端板状部15,16が本体と接合する接合位置と、が同一直線上にならないようにしている。このため、取付爪13と本体3との接合部の強度を高めることができる。また、本実施形態の取付爪13は、中央板状部14の先端側を上方に傾斜させ、両端板状部15,16の先端側を下方に傾斜させ、中央板状部14の先端部と両端板状部15,16の先端部とが略同一線上に位置するように構成し、取付爪13の先端側が尖った形状になるようにしている。これにより、取付爪13の先端側を弾性変形させ、取付爪13を穴23に嵌め込み易くすることができる。また、取付爪13を穴23に嵌め込んだ際は、強度を高くした接合部近傍で穴23と接触することになるため、取付爪13を穴23に嵌め込んだ後は、衝撃吸収体10を板金20に固定することができる。
【0031】
なお、図9は、第3の取付爪13の拡大構成例を示したが、第2の取付爪12も第3の取付爪13と同様に構成する。但し、第3の取付爪13の中央板状部14は、第2壁5側に窪んだ凹形状になっているが、第2の取付爪12の中央板状部14は、第1壁4側に窪んだ凹形状になっている。このため、第3の取付爪13の中央板状部14の凹形状部分と、第2の取付爪12の中央板状部14の凹形状部分と、が本体3の中央に向き合うようになっている。
【0032】
また、取付爪11〜13が設けられる本体3の側面は、衝撃吸収体10を取り付ける板金20の形状にすることが好ましい。これにより、衝撃吸収体10を板金20に取り付けた際に、板金20に近接するように衝撃吸収体10を取り付けることができる。本実施形態では、板金20は平板形状で形成しているため、取付爪11〜13が設けられる本体3の側面も平板形状で形成している。
【0033】
本実施形態の衝撃吸収体10を自動車に取り付ける際は、まず、剛性のある第1の取付爪11を起点とし、第1の取付爪11のみを、その第1の取付爪11に対応する穴21に挿入し、第1の取付爪11の切り欠き部11'により、第1の取付爪11を穴21に引っ掛けた状態にする。次に、弾性のある第2、第3の取付爪12,13を、その第2、第3の取付爪12,13に対応する穴22,23に挿入し、その穴22,23に第2、第3の取付爪12,13を嵌め込む。これにより、図10、図11に示すように、衝撃吸収体10を自動車に取り付けることができる。なお、図10、図11は、衝撃吸収体10の取付爪11〜13を板金20に設けられた穴21〜23に嵌め込んだ状態を示しており、図10は、取付爪11〜13が穴21〜23に嵌め込まれた板金20側から見た状態を示し、図11は、側面の状態を示す。
【0034】
なお、本実施形態の衝撃吸収体10を自動車に取り付ける場合には、板金20を自動車の部品に予め装着しておく必要がある。これにより、本実施形態の衝撃吸収体10は、ビスやネジなどの取付具を用いることなく、衝撃吸収体10を自動車に容易に取り付けることができる。その結果、取付作業を容易にすることができる。また、第2、第3の取付爪12,13は、弾性変形し易い形状で構成しているため、第1の取付爪11を穴21に挿入した状態で、第2、第3の取付爪12,13を穴22,23に容易に嵌め込むことができる。
【0035】
なお、本実施形態の衝撃吸収体10は、図2に示すように、取付爪11,12,13が一直線上に位置しないように屈曲したパーティングラインPL上に取付爪11,12,13を設けている。これにより、図10に示すように、衝撃吸収体10を板金20に取り付ける箇所が一直線上にならないようにすることができる。その結果、衝撃吸収体10を板金20に対して安定して固定させることができる。また、第1の取付爪11には、切り欠き部11'があり、また、第2、第3の取付爪12,13には、凹形状の切り欠き部17があるため、その切り欠き部11',17により、取付爪11,12,13が穴21,22,23の縁と勘合し、衝撃吸収体10を板金20に固定させることができる。
【0036】
<本実施形態の衝撃吸収体10の作用・効果>
このように、本実施形態の衝撃吸収体10は、中実の板状の第2、第3の取付爪12,13を有して構成し、第2、第3の取付爪12,13を板金20に設けられた穴22,23に嵌め込み、衝撃吸収体10を板金20に取り付けることにしている。これにより、ビスやネジなどの取付具を用いなくとも衝撃吸収体10を板金20に取り付けることができるため、衝撃吸収体10の取付作業を容易にすることができる。
【0037】
また、本実施形態の第2、第3の取付爪12,13は、中央板状部14と両端板状部15,16とが連結する連結部14',14'を薄肉に形成し、両端板状部15,16が連結部14',14'により弾性変形するようにしている。これにより、第2、第3の取付爪12,13を意図的に撓ませることができため、第2、第3の取付爪12,13を板金20の穴22,23に容易に挿入することができると共に、挿入後は、第2、第3の取付爪12,13を穴23に固定させることができる。
【0038】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0039】
例えば、上述する実施形態では、衝撃吸収体10の取付爪11〜13を板金20に設けられた穴21〜23に嵌め込むことにした。しかし、衝撃吸収体10の取付爪11〜13に対応する穴21〜23を自動車の部品に対して予め形成し、衝撃吸収体10の取付爪11〜13を自動車の部品に直接取り付けるようにすることも可能である。
【0040】
また、上述する実施形態では、衝撃吸収体10を膝受け部材(knee bolster)として使用した場合を例に説明した。しかし、本実施形態の衝撃吸収体10は、膝受け部材に限定するものではなく、バンパー等の車両構成部材に適用することも可能である。
【0041】
また、上述する実施形態では、図2に示すように、中空状の第1の取付爪11と、中実状の第2、第3の取付爪12,13と、を有して構成し、第1の取付爪11を起点として、取付爪11〜13を板金20に設けられた穴21〜23に嵌め込み、衝撃吸収体10を板金20に取り付けることにした。しかし、図12に示すように、中空状の第1の取付爪11を中実状の取付爪13に変更し、中実状の取付爪12,13のみで構成し、その中実状の取付爪12,13を板金20に設けられた穴22,23に嵌め込み、衝撃吸収体10を板金20に取り付けるようにすることも可能である。このような構成であっても、ビスやネジなどの取付具を用いなくとも衝撃吸収体10を板金20に取り付けることができるため、衝撃吸収体10の取付作業を容易にすることができる。
【0042】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0043】
中実の板状の取付爪12,13をパーティングラインPLに設け、前記取付爪12,13を対象物20に設けられた穴22,23に嵌め込み前記対象物20に取り付ける衝撃吸収体10であって、
前記取付爪12,13は、前記衝撃吸収体10の本体3から突出した少なくとも2つの板状部14,15(または16)を有し、少なくとも2つの前記板状部14,15は、前記板状部14,15よりも薄肉で形成された連結部14'で連結していることを特徴とする衝撃吸収体10。
【0044】
(付記2)
前記連結部14'の厚さは、0.5mm以下であることを特徴とする付記1記載の衝撃吸収体10。
【0045】
(付記3)
前記取付爪12,13は、前記取付爪12,13の中央部を構成する中央板状部14と、前記取付爪12,13の両端を構成する両端板状部15,16と、を有し、前記中央板状部14と前記両端板状部15,16とは、前記連結部14'で連結していることを特徴とする付記1または2記載の衝撃吸収体10。
【0046】
(付記4)
前記中央板状部14の先端部と前記両端板状部15,16の先端部とが同一線上に位置するように、前記中央板状部14と前記両端板状部15,16とが互いに傾斜していることを特徴とする付記3記載の衝撃吸収体10。
【0047】
(付記5)
前記取付爪12,13は、内側に向かって窪んだ凹状の切り欠き部17を有し、
前記取付爪12,13を前記穴22,23に嵌め込んだ際に、前記切り欠き部17に前記穴22,23の縁が勘合することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の衝撃吸収体10。
【0048】
(付記6)
少なくとも2つの前記取付爪12,13と、剛性のある中空状の取付爪11と、を有し、
少なくとも2つの前記取付爪12,13及び前記中空状の取付爪11は、一直線上に位置しないように屈曲した前記パーティングラインPLに設けられていることを特徴とする付記1から5の何れか1項に記載の衝撃吸収体10。
【0049】
(付記7)
少なくとも3つの前記取付爪12,13を有し、
少なくとも3つの前記取付爪12,13は、一直線上に位置しないように屈曲した前記パーティングラインPLに設けられていることを特徴とする付記1から5の何れか1項に記載の衝撃吸収体10。
【符号の説明】
【0050】
10 衝撃吸収体
2、8 中空部
3 本体
4 第1壁
5 第2壁
41,51 第1の部位
42,52 第2の部位
43,53 第3の部位
6、7 凹状リブ
PL パーティングライン
11 第1の取付爪
11'、17 切り欠き部
12 第2の取付爪
13 第3の取付爪
14 中央板状部
14' 連結部
15、16 両端板状部
20 板金(取付対象物)
21、22、23 穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中実の板状の取付爪をパーティングラインに設け、前記取付爪を取付対象物に設けられた穴に嵌め込み前記取付対象物に取り付ける衝撃吸収体であって、
前記取付爪は、前記衝撃吸収体の本体から突出した少なくとも2つの板状部を有し、少なくとも2つの前記板状部は、前記板状部よりも薄肉で形成された連結部で連結していることを特徴とする衝撃吸収体。
【請求項2】
前記連結部の厚さは、0.5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収体。
【請求項3】
前記取付爪は、前記取付爪の中央部を構成する中央板状部と、前記取付爪の両端を構成する両端板状部と、を有し、前記中央板状部と前記両端板状部とは、前記連結部で連結していることを特徴とする請求項1または2記載の衝撃吸収体。
【請求項4】
前記中央板状部の先端部と前記両端板状部の先端部とが同一線上に位置するように、前記中央板状部と前記両端板状部とが互いに傾斜していることを特徴とする請求項3記載の衝撃吸収体。
【請求項5】
前記取付爪は、内側に向かって窪んだ凹状の切り欠き部を有し、
前記取付爪を前記穴に嵌め込んだ際に、前記切り欠き部に前記穴の縁が勘合することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項6】
少なくとも2つの前記取付爪と、剛性のある中空状の取付爪と、を有し、
少なくとも2つの前記取付爪及び前記中空状の取付爪は、一直線上に位置しないように屈曲した前記パーティングラインに設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項7】
少なくとも3つの前記取付爪を有し、
少なくとも3つの前記取付爪は、一直線上に位置しないように屈曲した前記パーティングラインに設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項1】
中実の板状の取付爪をパーティングラインに設け、前記取付爪を取付対象物に設けられた穴に嵌め込み前記取付対象物に取り付ける衝撃吸収体であって、
前記取付爪は、前記衝撃吸収体の本体から突出した少なくとも2つの板状部を有し、少なくとも2つの前記板状部は、前記板状部よりも薄肉で形成された連結部で連結していることを特徴とする衝撃吸収体。
【請求項2】
前記連結部の厚さは、0.5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収体。
【請求項3】
前記取付爪は、前記取付爪の中央部を構成する中央板状部と、前記取付爪の両端を構成する両端板状部と、を有し、前記中央板状部と前記両端板状部とは、前記連結部で連結していることを特徴とする請求項1または2記載の衝撃吸収体。
【請求項4】
前記中央板状部の先端部と前記両端板状部の先端部とが同一線上に位置するように、前記中央板状部と前記両端板状部とが互いに傾斜していることを特徴とする請求項3記載の衝撃吸収体。
【請求項5】
前記取付爪は、内側に向かって窪んだ凹状の切り欠き部を有し、
前記取付爪を前記穴に嵌め込んだ際に、前記切り欠き部に前記穴の縁が勘合することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項6】
少なくとも2つの前記取付爪と、剛性のある中空状の取付爪と、を有し、
少なくとも2つの前記取付爪及び前記中空状の取付爪は、一直線上に位置しないように屈曲した前記パーティングラインに設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項7】
少なくとも3つの前記取付爪を有し、
少なくとも3つの前記取付爪は、一直線上に位置しないように屈曲した前記パーティングラインに設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の衝撃吸収体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−218504(P2012−218504A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83972(P2011−83972)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
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