説明

衝撃吸収構造

【課題】 圧壊方向と垂直な方向に力が加わる場合であっても衝撃エネルギーを十分に吸収することができる衝撃吸収構造を提供すること。
【解決手段】 本発明の衝撃吸収構造3によれば、緩衝材5の表面側には可動底板7が設けられ、可動底板7は、緩衝材5に対して前後方向に移動可能とされてため、緩衝材5の表面側から、動摩擦力Fと地面反力Rとが加わった場合、動摩擦力Fが可動底板7に作用して可動底板7が移動することにより、動摩擦力Fによるせん断力は緩衝材5に伝達されにくくなり、せん断力による緩衝材5の変形を抑制できる。一方で、地面反力Rは、可動底板7を介して緩衝材5に伝達され、地面反力Rが緩衝材5に作用して緩衝材5が圧壊することにより、衝撃エネルギーが十分に吸収される。したがって、圧壊方向と垂直な方向の力である動摩擦力Fが加わる場合であっても衝撃エネルギーを十分に吸収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機に設けられた衝撃吸収構造として、例えば特表2008−543651号公報に記載された構造がある。この構造では、客室や貨物室を取り囲む外部骨格にハニカム状の衝撃吸収材が設けられており、機体が胴体着陸した場合、このハニカム状の衝撃吸収材が上下方向に圧壊することにより胴体着陸の際の衝撃エネルギーが吸収され、客室に伝わる衝撃を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−543651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の衝撃吸収材は、上下方向に加わる力に対して一定の強度を有しており、一定以上の大きな力が上下方向に加わると、その大きな力を受けて上下方向に圧壊することにより衝撃エネルギーを吸収する。しかしながら、この衝撃吸収材は、せん断力のように圧壊方向と垂直な方向である水平方向に加わる力に対しては脆弱であるため、水平方向の力を受けると衝撃エネルギーを十分に吸収することなく容易に変形してしまう。そのため、特許文献1に記載された構造では、圧壊方向と垂直な方向に力が加わった場合、衝撃エネルギーを十分に吸収できないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、圧壊方向と垂直な方向に力が加わる場合であっても衝撃エネルギーを十分に吸収することができる衝撃吸収構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る衝撃吸収構造は、圧壊することにより衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収部と、衝撃吸収部の表面側に設けられ、衝撃吸収部に対して、衝撃吸収部が圧壊する方向である圧壊方向と略垂直な方向に移動可能な移動部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る衝撃吸収構造では、衝撃吸収部の表面側には移動部が設けられ、この移動部は、衝撃吸収部に対して、衝撃吸収部が圧壊する方向である圧壊方向と略垂直な方向に移動可能とされている。そのため、衝撃吸収部の表面側から、圧壊方向の力と圧壊方向に垂直な方向の力とを含む力が加わった場合、圧壊方向に垂直な方向の力が移動部に作用して移動部が移動することにより、圧壊方向に垂直な方向の力は衝撃吸収部に伝達されにくくなる。よって、圧壊方向に垂直な方向の力による衝撃吸収部の変形を抑制できる。一方で、圧壊方向の力は、移動部を介して衝撃吸収部に伝達される。そして、圧壊方向の力が衝撃吸収部に作用して衝撃吸収部が圧壊することにより、衝撃エネルギーが十分に吸収される。したがって、圧壊方向と垂直な方向に力が加わる場合であっても衝撃エネルギーを十分に吸収することができる。
【0008】
また本発明に係る衝撃吸収構造において、移動部は、衝撃吸収部の表面側に取り付けられた第1部材と、第1部材の表面側に取り付けられ、第1部材に対して圧壊方向と略垂直な方向にスライド可能な第2部材と、を備えることが好ましい。
【0009】
この発明によれば、衝撃吸収部の表面側に第1部材が取り付けられ、第1部材のさらに表面側に第2部材が取り付けられる。この第2部材は、第1部材に対して圧壊方向と略垂直な方向にスライド可能に取り付けられているため、圧壊方向に垂直な方向の力が第2部材に作用すると、第2部材は第1部材に対してスライド移動する。そのため、圧壊方向に垂直な方向の力が衝撃吸収部に伝達されにくくなり、圧壊方向に垂直な方向の力による衝撃吸収部の変形を抑制できる。よって、衝撃エネルギーの吸収効果がより一層好適に実現される。
【0010】
また本発明に係る衝撃吸収構造において、衝撃吸収部は、機体の下部において、圧壊方向が機体の上下方向となるように取り付けられており、移動部は、衝撃吸収部に対して機体の前後方向に移動可能であることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、機体が地面等に胴体着陸する際、摩擦力が機体の前後方向に作用すると、移動部は衝撃吸収部に対して機体の前後方向に移動する。そのため、摩擦力によるせん断力は衝撃吸収部に伝達されにくくなり、衝撃吸収部が前後方向に変形することを抑制できる。一方で、地面等から受ける機体の上下方向の力は移動部を介して衝撃吸収部に伝達されるため、衝撃吸収部が上下方向に圧壊し、衝撃エネルギーが十分に吸収される。よって、機体内の客員等へ伝わる衝撃を低減することができる。
【0012】
また本発明に係る衝撃吸収構造において、衝撃吸収部には圧壊方向に沿って孔部が形成されていることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、衝撃吸収部には圧壊方向に沿って孔部が形成されるため、圧壊方向の力が作用した場合、衝撃吸収部を孔部に向けて変形させることにより十分に圧壊させることができ、衝撃エネルギーの吸収効果がより一層高められる。
【0014】
また本発明に係る衝撃吸収構造において、移動部と機体とを連結する連結部材を備えることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、機体の胴体着陸の際、地面等からの摩擦力によるせん断力は、連結部材を介して機体に伝達される。すなわち、摩擦力によるせん断力を衝撃吸収部に伝達させずに逃がすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る衝撃吸収構造によれば、圧壊方向と垂直な方向に力が加わる場合であっても衝撃エネルギーを十分に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一実施形態に係る衝撃吸収構造を備えた航空機を示す側面図である。
【図2】図1中の衝撃吸収構造を示す側面図である。
【図3】図1の航空機が胴体着陸する場合の衝撃エネルギー吸収の説明図である。
【図4】第二実施形態に係る衝撃吸収構造の側断面図である。
【図5】第三実施形態に係る衝撃吸収構造の側断面図である。
【図6】図5中の二重底板の他の実施形態を示す側断面図である。
【図7】二重底板の他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】二重底板の他の実施形態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0019】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態に係る衝撃吸収構造を備えた航空機を示す側面図である。図1に示される衝撃吸収構造3は、航空機の機体1の下部1aに設けられている。衝撃吸収構造3は、機体1が胴体着陸を行う際、機体1と地面Gとの接触により発生する衝撃エネルギーを吸収し、機体1内の客員等へ伝わる衝撃を低減するためのものである。
【0020】
衝撃吸収構造3は、機体1の長手方向において、機首部の下部から主翼後方付近まで設けられている。また、図示されていないが、衝撃吸収構造3は、機体1の幅方向においては、胴体着陸の際に接地しうる機体底部の所定の幅にわたって設けられている。以下の説明において、「幅方向」,「前後方向」,「上下方向」及び「後方」という場合、機体1を基準にした方向を意味するものとする。
【0021】
衝撃吸収構造3は、機体下部1aに取り付けられた緩衝材5と、その下部に設けられた可動底板7と、可動底板7を機体1に取り付けるための底板取付ワイヤ9とを備えている。図2に示されるように、緩衝材5は、上下方向に沿って配置された緩衝部材5aから構成されている。緩衝部材5a同士の間には、上下方向に沿って孔部5bが形成されている。緩衝材5としては、例えば、ハニカム状の緩衝材を用いることができる。
【0022】
緩衝材5は、上下方向に加わる力に対して一定の強度を有しており、一定以上の大きな力が上下方向に加わると、その大きな力を受けて上下方向に圧壊する。すなわち、衝撃吸収構造3において、緩衝材5が圧壊する方向である圧壊方向は、上下方向とされている。緩衝材5は、こうして圧壊することにより衝撃エネルギーを吸収する機能を有している。緩衝材5は、衝撃吸収部に相当する。
【0023】
可動底板7は、緩衝材5の下部、すなわち表面側に設けられた板状の部材である。可動底板7は、幅方向の両端部において複数の底板取付ワイヤ9によって機体下部1aに連結されることにより、緩衝材5の下部に保持されている。ここで、可動底板7は、緩衝材5には固定されていない。言い換えれば、可動底板7は、緩衝材5に対して非締結かつ非接着構造とされている。このような構造により、可動底板7は、緩衝材5に対して前後方向に移動可能とされている。底板取付ワイヤ9は、連結部材に相当する。
【0024】
可動底板7は、機体1が胴体着陸を行う際、地面Gに接触すると、地面Gから前後方向の動摩擦力Fを受け緩衝材5に対して後方にずれて移動する(図2参照)。この動摩擦力Fは、衝撃吸収構造3に対してせん断力として作用する。可動底板7は、こうして後方に移動することにより、せん断力を緩衝材5に伝達させにくくする機能を有している。可動底板7は、移動部に相当する。
【0025】
以上の構成を有する衝撃吸収構造3を備えた航空機が、地面Gに胴体着陸する場合の作用について説明する。図3に示されるように、機体1が速度Vにて胴体着陸し、地面Gに接地すると、衝撃吸収構造3の可動底板7は、地面Gから前後方向の動摩擦力F及び上下方向の地面反力Rを受ける。可動底板7は、動摩擦力Fを受けると、緩衝材5に対して後方にずれて移動する。これと共に、動摩擦力Fは、底板取付ワイヤ9を介して機体下部1aに伝達される。また、地面反力Rは、可動底板7を介して緩衝材5に伝達される。
【0026】
地面反力Rが緩衝材5に伝達されることにより、緩衝材5は上下方向に圧壊する。より詳しくは、図2に示される緩衝部材5aは、孔部5bに向けて変形することにより上下方向に圧壊する。この緩衝材5の圧壊により、胴体着陸による衝撃エネルギーが吸収される。また、地面反力Rが可動底板7及び緩衝材5を介して機体下部1aに伝達されることにより、機体1は減速する(図3参照)。
【0027】
このように、衝撃吸収構造3では、機体1の胴体着陸の際、地面Gからの動摩擦力Fによるせん断力は、底板取付ワイヤ9を介して、緩衝材5をバイパスして機体下部1aに伝達される。すなわち、動摩擦力Fによるせん断力を緩衝材5に伝達させずに逃がすことができる。なお、図3では、説明を容易にするために、本来機体1の側面には表れない緩衝部材5aの状態を表している。
【0028】
従来の衝撃吸収構造では、機体と地面との速度差により、緩衝材に大きいせん断力が作用し、緩衝材が容易に変形・破壊していたため、本来の衝撃エネルギー吸収効果が発揮できなかった。そのため、このような緩衝材は、垂直方向の荷重が想定されるヘリコプター等に用途が限られる傾向にあった。また、航空機に適用するためせん断力にも耐えうる緩衝材を適用した場合、構造が複雑となり製造コスト及び重量の面でデメリットが大きかった。
【0029】
本実施形態に係る衝撃吸収構造3によれば、緩衝材5の表面側には可動底板7が設けられ、可動底板7は、緩衝材5に対して前後方向に移動可能とされている。そのため、緩衝材5の表面側から、動摩擦力Fと地面反力Rとが加わった場合、動摩擦力Fが可動底板7に作用して可動底板7が移動することにより、動摩擦力Fによるせん断力は緩衝材5に伝達されにくくなり、せん断力による緩衝材5の変形を抑制できる。一方で、地面反力Rは、可動底板7を介して緩衝材5に伝達され、地面反力Rが緩衝材5に作用して緩衝材5が圧壊することにより、衝撃エネルギーが十分に吸収される。したがって、圧壊方向と垂直な方向の力である動摩擦力Fが加わる場合であっても衝撃エネルギーを十分に吸収することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る衝撃吸収構造3によれば、機体1が地面Gに胴体着陸する際、動摩擦力Fが前後方向に作用すると、可動底板7は緩衝材5に対して前後方向に移動する。そのため、動摩擦力Fによるせん断力は緩衝材5に伝達されにくくなり、緩衝材5が前後方向に変形することを抑制できる。一方で、地面Gから受ける地面反力Rは可動底板7を介して緩衝材5に伝達されるため、緩衝材5が上下方向に圧壊し、衝撃エネルギーが十分に吸収される。よって、機体1内の客員等へ伝わる衝撃を低減することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る衝撃吸収構造3によれば、緩衝材5には上下方向に沿って孔部5bが形成されるため、上下方向の力が作用した場合、緩衝部材5aを孔部5bに向けて変形させることにより十分に圧壊させることができ、衝撃エネルギーの吸収効果がより一層高められる。
【0032】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る衝撃吸収構造について説明する。図4に示される衝撃吸収構造3Aは、第一実施形態に係る衝撃吸収構造3とは、可動底板7が底板取付ワイヤ9によって機体下部1aに連結されていない点で異なっている。衝撃吸収構造3Aでは、例えば、衝撃吸収構造3Aの全体を覆う薄板状の外板(図示せず)が設けられ、緩衝材5と外板との間に可動底板7を配置している。
【0033】
このような構成を有する衝撃吸収構造3Aによれば、胴体着陸の際、外板が脱落して可動底板7が露出し、動摩擦力Fが可動底板7に作用して可動底板7が移動することにより、動摩擦力Fによるせん断力は緩衝材5に伝達されにくくなる。そして、上述した衝撃吸収構造3と同様の作用により、地面反力Rによる緩衝材5の圧壊によって衝撃エネルギーを十分に吸収することができる(図4参照)。
【0034】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態に係る衝撃吸収構造について説明する。図5に示される第三実施形態に係る衝撃吸収構造3Bは、第一実施形態に係る衝撃吸収構造3とは、可動底板7に代えて二重構造の二重底板11を設けた点で異なっている。二重底板11は、緩衝材5の下部、すなわち表面側に取り付けられた上部固定底板13と、上部固定底板13の下部に取り付けられた下部可動底板15とを備えている。二重底板11は、移動部に相当する。
【0035】
ここで、上部固定底板13は緩衝材5の下部に固定されているが、下部可動底板15は、上部固定底板13には固定されていない。言い換えれば、下部可動底板15は、上部固定底板13に対して非締結かつ非接着構造とされている。衝撃吸収構造3Bでは、例えば、衝撃吸収構造3Bの全体を覆う薄板状の外板(図示せず)が設けられ、上部固定底板13と外板との間に下部可動底板15を配置している。このような構造により、下部可動底板15は、上部固定底板13に対して前後方向にスライド可能とされている。上部固定底板13は第1部材に相当し、下部可動底板15は第2部材に相当する。
【0036】
このような構成を有する衝撃吸収構造3Bによれば、下部可動底板15は、上部固定底板13に対して前後方向にスライド可能に取り付けられているため、動摩擦力Fが下部可動底板15に作用すると、下部可動底板15は上部固定底板13に対してスライド移動する。そのため、動摩擦力Fによるせん断力が緩衝材5に伝達されにくくなり、せん断力による緩衝材5の変形を抑制できる。よって、衝撃エネルギーの吸収効果がより一層好適に実現される。
【0037】
図6は、図5中の二重底板の他の実施形態を示す側断面図である。図6に示される皮膜式二重底板11aでは、上部固定底板13と下部可動底板15との間において、摩擦係数を低くする部材17,19が設けられている。すなわち、皮膜式二重底板11aは、上部固定底板13の下面と下部可動底板15の上面とにおいて、摩擦力を低下させるための固定側皮膜17と可動側皮膜19とをそれぞれ備えている。このような構造により、スライド移動時に上部固定底板13と下部可動底板15との間に生じる摩擦力を減少させることができるため、緩衝材5へのせん断力伝達防止が好適に図られる。
【0038】
図7は、二重底板の他の実施形態を示す斜視図である。図7に示されるスライド式二重底板11bは、第1部材としてのスライド式上部固定底板23と、第2部材としてのスライド式下部固定底板25とを備えている。また、スライド式上部固定底板23とスライド式下部可動底板25とのそれぞれには、前後方向に沿ってスライダ溝23aとスライダ25aとが形成されている。スライダ25aは、スライダ溝23aに対面する位置に形成されており、スライダ溝23aに対して前後方向に摺動可能に嵌め合わされる。このような構造により、スライド式上部固定底板23に対してスライド式下部可動底板25をストレートにスライド移動させることができ、せん断力を後方に効率よく逃がすことができる。
【0039】
図8は、二重底板のさらに他の実施形態を示す側断面図である。図8に示されるローラ式二重底板11cは、上部固定底板13と下部可動底板15との間に、複数のローラ21を備えている。このような構造により、上部固定底板13と下部可動底板15との間に生じる摩擦力を最小限に抑えることができ、上部固定底板13に対して下部可動底板15をスムーズにスライド移動させることができる。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では衝撃吸収構造が航空機の機体に設けられる場合について説明したが、航空機に限られず、例えば車両の側部等において適用することもできる。また、本実施の形態において、可動底板7を圧壊方向に対して垂直となるように設置したが、これに限られるものではない。圧壊方向と可動底板7との成す角が60°以上であれば良い。なお、本発明の効果を鑑みると、圧壊方向と可動底板7との成す角が80°以上であると好ましい。すなわち、圧壊方向と可動底板7の移動方向との成す角が60°以上であれば良く、80°以上であると好ましい。
【符号の説明】
【0041】
1…機体、1a…機体下部、3,3A,3B…衝撃吸収構造、5…緩衝材(衝撃吸収部)、5b…孔部、7…可動底板(移動部)、9…底板取付ワイヤ(連結部材)、11…二重底板(移動部)、11a…皮膜式二重底板(移動部)、11b…スライド式二重底板(移動部)、11c…ローラ式二重底板(移動部)、13…上部固定底板(第1部材)、15…下部可動底板(第2部材)、23…スライド式上部固定底板(第1部材)、25…スライド式下部可動底板(第2部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧壊することにより衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収部と、
前記衝撃吸収部の表面側に設けられ、前記衝撃吸収部に対して、前記衝撃吸収部が圧壊する方向である圧壊方向と略垂直な方向に移動可能な移動部と、を備えることを特徴とする衝撃吸収構造。
【請求項2】
前記移動部は、前記衝撃吸収部の表面側に取り付けられた第1部材と、
前記第1部材の表面側に取り付けられ、前記第1部材に対して前記圧壊方向と略垂直な方向にスライド可能な第2部材と、を備えることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収構造。
【請求項3】
前記衝撃吸収部は、機体の下部において、前記圧壊方向が前記機体の上下方向となるように取り付けられており、
前記移動部は、前記衝撃吸収部に対して前記機体の前後方向に移動可能であることを特徴とする請求項1または2記載の衝撃吸収構造。
【請求項4】
前記衝撃吸収部には前記圧壊方向に沿って孔部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の衝撃吸収構造。
【請求項5】
前記移動部と機体とを連結する連結部材を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の衝撃吸収構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−274703(P2010−274703A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126917(P2009−126917)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)