説明

衝撃性改良ポリラクチド樹脂

耐衝撃強度を改善するために、ポリラクチド樹脂にコアシェルゴム粒子を混合する。ゴム粒子の大部分が、直径が150nm以上である複数の単一粒子又は凝集体であり、またこの粒子及び凝集体の数平均サイズが210nm以下であるように、ゴム粒子がポリマーマトリックス内に分布する場合に、耐衝撃強度及び透明度の良いバランスが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2006年10月20日に出願された米国仮出願番号60/853,406の優先権を主張する。
本発明は、透明な衝撃性改良ポリラクチド樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリラクチドポリマー(PLA、時には、ポリ乳酸と呼ばれる)は、石油や天然ガス供給原料ではなく、コーンシュガーのような毎年再生可能な資源から調製されうるため、益々興味を持たれている。またPLA樹脂は、幾つかの合成条件では急速に分解され炭酸ガスを再生する。大部分の他の有機物ポリマーと比較して、これらの材料は肥料にできることで、これら樹脂の処分の選択肢を増すことができる。その結果、PLA樹脂は様々な梱包の用途において使用が増加している。これらの梱包用用途としては、"クラムシェル"容器、デリ及び他の食品サービストレイ及びボトル又は他の容器のような、様々な硬質の又は半硬質の物品がある。
【0003】
PLA樹脂は、脆さを内在し、これらの用途の幾つかにおいて使用が制限されている。衝撃強度の有用な測定法は、1個の錘を様々な高さから試料上に落下させ、試料を破砕又は破壊に必要なエネルギーを測定する、落槍衝撃試験である。この試験において、PLA自体は、約1 ft−lb(フィート−ポンド)(1.36J(ジュール))の衝撃強度を示す。耐衝撃性PLA樹脂は、4 ft−lb(5.4 J)又はこれ以上の衝撃強度を有することができる。多くの用途において、4〜20 ft−lb(5.4〜27J)の衝撃強度が望まれている。
従って、PLA樹脂を変化させてより脆弱でないものにする、即ち衝撃強度を改善する様々な試みが為されてきた。これらの試みには、通常PLA樹脂と他のポリマーとの混合、又は色々な種類の衝撃改質剤との混合が含まれる。これらの混合により、しばしば、PLA自体より衝撃強度が顕著に改善が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2005/085352
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念なことに、これらの耐衝撃性PLA混合物は不透明になる傾向がある。このような不透明性により、これらの混合物は、多くの"クラムシェル"タイプのデリ及び食品サービストレイ及び多種のボトルのような、透明性が重要である用途には不適当となる。
衝撃改質剤の屈折率をPLA樹脂の屈折率(PLAホモポリマーの屈折率は約1.454)に注意深く合わせることで、この不透明性の問題を解決する試みが為されてきた。このような試みは例えば、国際公開WO 2005/085352及び国際公開WO 2005/123831に記載されおり、それぞれ、透明性を維持するために、衝撃改質剤の屈折率は、PLA樹脂の屈折率の0.005又は0.008の範囲内にあるべきと規定している。これを達成するために、PLA樹脂を、40〜60%のアクリレートポリマーのような他のポリマーと混合して、ポリマー混合物の屈折率を衝撃改質剤の屈折率により近く合わせる。幾つかの理由により、多くの場合にこの方法は望ましいものではない。この方法は、余分な混合段階及び、対応するコストを伴う。アクリレートポリマーは、毎年再生可能な資源ではなく、肥料として使えないので、PLA樹脂を用いる環境的長所は希薄化される。
【0006】
国際公開WO2005/085352(特許文献1)は、純粋なPLA樹脂に、コアシェル型衝撃改質剤を加える効果を記載する(例えば、表2を参照)。曇り値は(厚さ3mmの射出成形試料上で測定したので)高い傾向があり、このことから、特許文献1はPLA樹脂と衝撃改質剤の間の屈折率の差異によると結論づけた。幾つかの場合において、非常に多量の(15重量%)の衝撃改質剤が存在するにも拘わらず、衝撃強度は驚く程低い。例えば、参照文献の比較例7は、純粋なPLA樹脂とアクリルタイプの衝撃改質剤Paraloid(TM)355Mとの混合物を記載するが、この混合物は、曇り値(厚さ3mmの試料上)が45%を超えるばかりでなく、シャルピー(Charpie)衝撃強度がわずか4.7kJ/mしかない。この混合物において、衝撃改質剤粒子は、(これらの粒子の量が多いにも拘わらず)衝撃強度においてほとんど改良をもたらさず、非常に不透明な成型品をもたらす。
【0007】
特許文献1は、大部分のポリマーマトリックスと衝撃改質剤粒子の屈折率が互いに密接にマッチさえすれば、高い透明性を得ることができることを示唆する。どのような樹脂に対しても、特にまざりのないPLA樹脂に対して、このアプローチ方法では、衝撃改質剤の選択が事実上非常に狭い範囲に制限され、また衝撃強度の増加に対してより有効な市場で入手可能な多くの範囲の材料を排除する可能性がある。このような屈折率の狭い範囲内の衝撃改質剤は、妥当な量を用いた場合でも、良い衝撃特性をもたらすことができるかどうか分からない。さらに、非常に類似した屈折率をもつ衝撃改質剤は、PLA樹脂混合物にもたらされる不透明性という点では、しばしば全く異なった効果を有するので、透明な衝撃性改良PLA樹脂混合物を実現するためには、屈折率以外の寄与要因、又は屈折率に加える他の寄与要因が必要であることが示唆される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリマーマトリックス内に衝撃改質剤粒子が分散し、該ポリマーマトリックスが連続してなる衝撃性改良ポリラクチド樹脂であって、
(a)該ポリマーマトリックスの少なくとも90重量%が1種又は2種以上のポリラクチドであり、
(b)該衝撃改質剤は、該ポリラクチド樹脂内に、(i)少なくとも150nmの直径を有する大きな粒子若しくは凝集体又はその両者、及び(ii)10〜150nmの直径を有する小さな粒子又は凝集体として分散し、透過型電子顕微鏡を用いて、この混合物の平面の画像を撮ると、(1)大きな粒子及び凝集体の画像化した面積が、画像化した粒子の全面積の60〜95%を構成し、かつ(2)全ての粒子及び凝集体の数平均粒子サイズが210nm以下であり、更に、
(c)該衝撃改質剤が、
(1)Tgが−10℃より低い架橋ゴム状コア;
(2)Tgが少なくとも50℃であるポリマーから成るシェル;及び
(3)1.430〜1.485の範囲の屈折率
を有するコアシェルゴムである衝撃性改良ポリラクチド樹脂である。
【0009】
発明者達は、樹脂中に分布するコアシェル改良剤の粒子サイズが、良好な衝撃強度及び低曇り度(又は、良好な透明度)の有用なコンビネーションを得るために重要であることを見出した。もし樹脂マトリックス内に粒子が記載したように分散されるならば、未改良のPLA樹脂以上の衝撃強度の顕著な増加、及び同時に、低曇り度を有する製品を得ることが可能である。耐衝撃性粒子がポリマーマトリックス内にこの様に分散すると、衝撃改質剤の屈折率は、良好な光学的透明度を得るうえでそれ程重要ではなく、また結果として、広い範囲の屈折率を有する、広い範囲の衝撃改質剤を成功裏に用いることができる。
本発明は、また、前述の混合物から作製された熱成形物であり、この熱成形物は、4〜20ft−lb(5.4〜27J)の落槍衝撃強度を有し、また曇り度は12%以上ではない。曇り度は、ASTM(アメリカ材料試験協会規格)D1003-00に従い本発明の目的のために測定し、全ての曇り度数を、試料厚さ18mil(460±5μm)に規格化する。曇り度測定に適切な方法に関する詳細は、後述の実施例に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の目的のために、重合化された乳酸反復単位(即ち、-OC(O)CH(CH3)-で表される反復単位)を少なくとも50重量%有する重合体を表すために、用語"ポリラクチド"、"ポリ乳酸"及び"PLA"が、この反復単位がどの様に重合体に組み入れられたかということに関係なく、互換性をもって用いられる。本発明のPLA樹脂は、この反復単位を、好ましくは、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%又は少なくとも98重量%含む。
このPLA樹脂は、さらに、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、等々を含む)又は環状ラクトン又は炭酸塩のような、ラクチド又は乳酸と共重合しうる他のモノマー由来の反復単位を含むことができる。これら他のモノマー由来の反復単位は、ブロック状に及び/又はランダムな配置に存在することができる。これら他の反復単位は、PLA樹脂の約10重量%、好ましくはPLA樹脂の約0〜約5重量%、特に好ましくは約0〜2重量%までを適切に構成する。
【0011】
このPLA樹脂は、また、重合過程において、分子量を調節するためにしばしば用いられる、イニシエーター化合物の残基を含んでもよい。適切なイニシエーターとしては、例えば、水、アルコール、様々な種類のポリヒドロキシル化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール他のグリコールエーテル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ヒドロキシル基で終わるブタジエンポリマー等々)、ポリカルボキシ含有化合物、及び少なくとも1つのカルボキシル基及び1つの水酸基を有する化合物(例えば、乳酸又は乳酸オリゴマー)が挙げられる。このイニシエーター残基は、PLA樹脂の如何なる割合も構成可能な乳酸又は乳酸オリゴマー以外は、好ましくは、PLA樹脂の重量の多くとも10%、好ましくは多くとも5%、特に好ましくは多くとも2%を構成する。
【0012】
このPLA樹脂は、長鎖分枝を持つことができる。PLA樹脂上のカルボキシル基をアクリレートポリマー又はアクリレートコポリマーに存在するエポキシド基と反応させるなど、様々な方法で、樹脂に長鎖分枝を導入することができる。アクリレートポリマー又はアクリレートコポリマーは、(1)23℃で固体であり、分子あたり平均約2〜約15個の遊離したエポキシド基を含み(約3〜約10,又は約4〜約8の遊離したエポキシド基/分子のように)、及び(2)好ましくは少なくとも1個のさらなるモノマーと共重合する、少なくとも1エポキシ官能性アクリル樹脂モノマー又はメタクリル酸エステルモノマーの重合製品であることで特徴付けられる。アクリレートポリマー又はアクリレートコポリマーは、エポキシ基あたり、約150〜約700、例えば200〜500、又は200〜400の数平均分子量を有することが適切である。アクリレートポリマー又はアクリレートコポリマーは、1000〜6000、例えば約1500〜5000、又は約1800〜3000の数平均分子量を有することが適切である。長鎖分枝導入の他の方法は、米国特許5,359,026及び7,015,302及び国際公開WO06/002372に記載されている。
【0013】
好ましいPLA樹脂は、L−乳酸及びD−乳酸のランダムコポリマー、L−乳酸及びD−乳酸のブロックコポリマー、又はこれらの2種又はそれ以上の混合物であり、これらのどの場合も、任意にイニシエーター化合物及び/又は分枝試薬の残基を含んでもよい。好ましいPLA樹脂は、少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも98重量%の反復乳酸単位を含む。
【0014】
PLA樹脂におけるこの乳酸反復単位は、L−若しくはD−対掌体又はこれらの混合体であってもよい。乳酸対掌体の割合、及びこれらの共重合の様態(即ち、ランダム、ブロック、マルチブロック、グラフト等)は、ポリマーの結晶状態に影響を与える。結果として、PLA樹脂は、非晶性又は半結晶性であってもよい。本発明の目的によれば、PLA樹脂混合体は、十分に結晶化したときに多くとも10J/gのPLA結晶を含む場合、非晶性と考えられる。結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)法を用いて簡便に測定できる。DSC測定をする上での便利な試験プロトコールは、Star V. 6.0ソフトウェアを実行させたMettler Toledo DSC 821e熱量計、又は同様の機器上で、5〜10ミリグラムの試料を、空気中で、20℃/分の速度で25〜225℃まで加熱することである。
【0015】
8%又はそれ以上の各対掌体を含むPLA樹脂は、より非晶性構造を形成する傾向がある。本発明における使用に対して特に適したPLA樹脂は、一種類の乳酸対掌体を75〜92%含み、他の乳酸対掌体を8〜25%含むPLA樹脂の非晶性グレードである。興味のあるタイプのPLA樹脂は、一対掌体が85〜92%の反復乳酸単位を持ち、他の対掌体が8〜15%の反復乳酸単位を持つ非晶性グレードである。
【0016】
半結晶グレードのPLA樹脂もまた用いることができる。本明細書において、特に興味のある半結晶グレードのPLA樹脂は、完全に結晶化した場合、PLA結晶重量あたり、10J/g以上で、50J/g以下、特に45J/g以下、特に好ましくは、40J/g以下を含むものである。このような、半結晶グレードのPLA樹脂は、PLA樹脂が、一対掌体が反復乳酸単位の92〜99.5%、好ましくは92〜99%、特に92〜98.5%で、他方の対掌体が、反復乳酸単位の0.5〜8%、好ましくは1〜8%、特に1.5〜8%である、コポリマーの場合に形成される傾向がある。
【0017】
一方の対掌体又は他方の対掌体が反復乳酸単位の98.5重量%以上を構成する場合、PLA樹脂は、直ちに高度に結晶化した材料を形成し、透明な物品を形成することが困難かも知れない。したがって、このタイプのPLA樹脂は、透明な成型品を形成するには好ましくないであろう。
2種又はそれ以上のPLA樹脂の混合物を、混合物の望みの結晶度を得るために、又は望みの分子量分布を得るために用いることができる。
【0018】
PLA樹脂から作製されたどの成型品に形成された結晶化量も、ある程度までは樹脂の品質自体、核化剤及び/又は可塑化剤の存在、及びその成型品の熱及び工程履歴に依存する。その製造の間又は後、PLA樹脂のガラス転移温度及びその結晶融解温度の間までの、その成型品の加熱は、とくに半結晶及び高い結晶化グレードでは、微結晶(クリスタライト)形成を促進する傾向がある。処理工程間のポリマーの延伸工程もまた、結晶形成を促進する。どの成型品における結晶化の程度も、これらの因子全てに依存するであろう。一般的に、本発明の成型品の結晶化度は、PLA樹脂マトリックス内の結晶形成による曇り度を最小にするために、PLA樹脂重量あたり、好ましくは50J/g以下、より好ましくは45J/g以下、特に40J/g以下である。
【0019】
PLA樹脂の分子量は、PLA樹脂が溶融処理可能なように十分に大きい。10,000〜200,000の範囲にある数平均分子量(もし分枝があれば、分枝工程以前)が、一般的に適切である。(もし分枝があれば)分枝工程まえに約30,000〜100,000の間の数平均分子量が、より好ましい。Mw/Mn比が1.5〜約4.0の範囲にある重量平均分子量は好ましい。
【0020】
PLA樹脂は、ラクチドを重合して形成することができる。ラクチドは、乳酸の二量体型であり、2個の乳酸分子が凝集して環状ジエステルを形成する。乳酸同様、ラクチドは様々なエナンチオマー(対掌体)として存在する、即ち2個のL−乳酸分子から形成される"L−ラクチド"、2個のD−乳酸分子から形成される"D−ラクチド"及び1個のL−乳酸分子及び1個のD−乳酸分子から形成される"メソラクチド"である。さらに、約126℃の融解温度を有する、L−ラクチド及びD−ラクチドの50/50混合物は、しばしば、"D,L−ラクチド"と呼ばれる。どの形のラクチド又はこれらの混合物も重合して、本発明の使用のためのPLA樹脂を形成する。PLA樹脂におけるL/D比は、重合過程に用いられるラクチドのエナンチオマー型比により調節される。特に好ましい工程において、L−ラクチド及びメソラクチドの混合物を重合して、調節された濃度のD−乳酸及びエナンチオマー単位を持つポリマーを形成する。調節されたL/D比を有するPLAを形成するためにラクチドを重合させる適切な工程は、例えば、米国特許番号5,142,023及び5,247,059に記載されているので、参照されたい。
【0021】
本発明の混合物は、また分散したコアシェルゴム粒子を含む。コアシェルゴム粒子は、少なくとも1種のシェル材料により封入されたゴム状のコアを持つこと、及びその粒子サイズ分布による、屈折率により特徴付けられる。
コアシェルゴム粒子の屈折率は、1.430〜1.485であり、また特に1.440〜1.480である。特に好ましいコアシェルゴム粒子は1.444〜1.474の屈折率を有する。以下により詳細に考察するように、PLAマトリックスに分散しているコアシェルゴム粒子の粒子サイズ分布に依存して、有用な屈折率の範囲を、より広く又はより狭くすることができる。もし重量平均屈折率がこの範囲にあるのであれば、異なるコアシェルゴム粒子の混合物を用いることができる。
【0022】
コアシェルゴム粒子は、−10℃以下のTgを有する弾性材料である、少なくとも1個のコア部分及び、少なくとも50℃のTgを有する、少なくとも1個のシェル部分を含む。"コア"により、コアシェルゴムの内部部分を意味する。コアはコアシェル粒子の中心、又はコアシェルゴムの内部シェル又は領域を形成することができる。シェルはゴム状コアの外側であるコアシェルゴムの部分である。シェル部分(又は複数の部分)は、概して、コアシェルゴム粒子の最外層を形成する。シェル材料は、好ましくはコアにグラフトされ、又は架橋される。
このゴム状コアは、コアシェルゴム粒子の重量の50〜90%、特に50〜85%を構成する。
このコアシェルゴムは、前述の材料に加えて、ゴムコアに封入される中心部分を含むことができる。中心部分は、硬質の(Tg>0℃、好ましくは>50℃)又は軟質の(Tg<0℃、好ましくは、<−20℃)ポリマーである。
【0023】
コアシェルゴムの組成を、(1)粒子は前述のような屈折率を有する、及び(2)粒子は、前述のようなTg値を有するコア及びシェル部分を含む、様に選択する。さらに、シェル部分を、好ましくはPLA樹脂と相性が良く、衝撃改質剤をPLAポリマー内にかなり均一に分布させる。アクリレートポリマーから作られるコアシェルゴムは、要求される屈折率及び相性を示す傾向があるので好ましい。
【0024】
ゴム状コアは、アクリル酸−n−ブチル、−エチル、−イソブチル、又は−2−エチルヘキシルのような、アクリル酸低級アルキルエステルのポリマー又はコポリマーが好ましい。このようなアクリル酸低級アルキルエステルのホモポリマーは、適切なゴム状コア材料である。ゴム状コアポリマーは、任意に20重量%までの、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、メタクリル酸メチル、ブタジエン、イソプレン等々のような、他のモノ不飽和モノマー又は共役したジエンの共重合したモノマー、及び任意に5モル%までのジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ブチレングリコール、ジビニルベンゼン等々のような、ほぼ同程度の反応性のある2又はそれ以上のサイトを持つ、架橋性多不飽和モノマーを含む。このゴム状コアポリマーはまた、任意に5モル%までのマレイン酸ジアリル、フマル酸モノアリル、メタクリル酸アリル等々のような、反応性が等しくない2又はそれ以上の不飽和サイトを有し、反応性サイトの少なくとも一つは非共役な、グラフト連結性モノマーを含む。
【0025】
シェルポリマーは、任意にコアのゴム状の足場に化学的にグラフト又は架橋され、好ましくはメタクリル酸メチル、−エチル又は−t−ブチルのような、少なくとも一種のメタクリル酸低級アルキルエステルから重合される。メタクリル酸エステルモノマーのようなホモポリマーを用いてもよい。さらに、シェルポリマーの40重量%まで、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等々のような他のモノビニリデンモノマーから形成することができる。グラフトされたシェルポリマーの分子量は、一般的に、20,000及び500,000の間である。
【0026】
コアシェルゴム粒子は、ポリラクチド樹脂内に単一粒子、及び2又はそれ以上の単一粒子の凝集体、又は単一粒子及び凝集体の両者として分布する。分散したコアシェルゴムは、少なくとも150nmの直径を有する大きな粒子又は凝集体(又は両者)を含むであろう。分散したコアシェルゴムの一部は、10〜150nmの直径を有する小さな粒子又は凝集体の形であろう。PLA樹脂における粒子及び凝集体の分布は、適切な顕微鏡を用いて混合体を平坦な面に画像化すると、1)大きな(即ち、150nm以上)の粒子及び凝集体の画像面積が、画像化した粒子の全面積の60〜95%を構成し、かつ2)全ての粒子及び凝集体の数平均粒子サイズが210nm以下である。
【0027】
粒子がPLAマトリックス内に分布する様子は、約10nm以下の分解能を有する顕微鏡を用いて簡便に測定される。このために透過型電子顕微鏡は適切な手段である。
透過型電子顕微鏡を用いて、試料の平坦な面が作製される。この粒子の代表的サンプリングを行うために、この面は1000又はそれ以上の分散したコアシェルゴム粒子及び/又は凝集体を画像化するに十分な面積を持たなければならない。分散粒子の代表数を画像化するためには、約625〜2500平方μm又はそれ以上の画像面積があれば一般的に十分である。必要ならば、より小さな表面を多数解析することにより、この必要な面積を提供してもよい。試料の適切な厚さは、60〜70nmである。PLA樹脂マトリックス及び分散粒子の間のコントラストを改良するために、試料を染色することができる。四酸化ルテニウム及び様々なオスミウム化合物は適切な染色材料である。試料は、加速電圧100kVにおいて、日立H−600モデル又は同等な装置のような透過型電子スペクトロメーターを用いて簡便に画像化される。検査のために、試料を、6角形孔を有する400メッシュ銅格子上に置くことができる。
【0028】
TEM処理で集められた画像を分析して、分散したコアシェルゴム粒子の直径を測定する。この解析を行う上で適切な計算機プログラムは、Windows(R)のためのImage-Pro Plusソフトウェア バージョン4.5.1.22(Media Cybernetics, Inc.より入手可能)である。単一粒子平均直径は、2°間隔で中心を通過する2カ所の輪郭点を結んで測定できる直径の平均長として簡便に計算される。凝集粒子の平均直径は、凝集体空間の外周を2°間隔で2本の平行な接線の平均距離として計算される、平均フェレット(feret)長として測定される。本解析の目的のために、凝集体は、接触するか、又は単一粒子の平均直径の半分以下の距離で離れた、2個又はそれ以上の粒子群として定義される。
【0029】
このように直径を測定した後、10〜150nmの直径の粒子又は凝集体の累積面積(A)(TEM画像に表れた)を計算する。次に、150nm以上の直径の粒子又は凝集体の累積面積(A)を計算する。本発明の混合物において、全ての粒子及び凝集体の総合した面積の60〜95%は大きな(150nm以上)粒子及び凝集体からなり、即ち;
/(A+A)=0.60〜0.95
上記のようにコアシェルゴム粒子が分布する場合、コアシェルゴム粒子を中程度用いて、衝撃強度増強と低曇り度(高透明度)の良いバランスを得ることができることが分かった。A/(A+A)比が0.60以下の場合、コアシェルゴムはほとんど衝撃強度の増加をもたらさない。この比が0.95以上の場合、曇り度が顕著に増加する。A/(A+A)比は、0.60〜0.90が好ましい。
【0030】
曇り度は、PLA樹脂マトリックスに分散する粒子及び/又は凝集体の数平均粒子サイズに関係する。粒子及び凝集体の数平均粒子サイズが、210nmを越える場合、低曇り度の材料を製造することはより困難となる。粒子及び凝集体の好ましい数平均粒子サイズは、140〜210nmである。数平均粒子サイズが小さい場合、コアシェルゴムの屈折率は、PLA樹脂の屈折率よりさらに異なることができることが分かった。従って、例えば、数平均粒子サイズが十分小さいならば(衝撃強度増加をもたらすために、A/(A+A)値は上記のように0.60以上でなければならないが)、PLA樹脂の屈折率より0.03単位程異なる屈折率を有するコアシェルゴムを用いることができる。
PLAマトリックス内のこのような粒子サイズ分布は、コアシェルゴム粒子の最初の粒子サイズ(混合の前に受けとった)及びコアシェルゴム粒子がPLAマトリックス内に分散する程度の両者により決まる。
【0031】
非常に小さな粒子は、最初の(非凝集の)単一粒子の直径より1.5〜10倍大きな直径を有する凝集体を形成する傾向がある。凝集作用は、van der Waals又は静電気力、又は他の機構によるかも知れない。コアシェルゴム粒子がPLA樹脂内に分散する場合、これらの微粒子は、離散することが困難な傾向がある。結果として、非常に強い剪断力(射出成形工程のような)を用いない限り、コアシェルゴム粒子は、単一粒子とより大きな凝集体の混合物として分散する傾向がある。
【0032】
従って、前述の粒子サイズ分布は、少なくとも2つの方法で達成できる。もし粒子が、PLAマトリックス内に非常に効率よく分散するならば(即ち、分散した粒子が、ほとんど凝集体を伴わず主に初期の粒子として存在する)、開始時のコアシェルゴムの粒子サイズ分布を選択して、分散するに従い、粒子の望みの粒子サイズ分布に合わせる、又はほとんど合わせることができる。従って、10〜150nmの第1の部分である小さな粒子、及び150nm以上の、特に150〜1000nmの第2の部分である大きな粒子を持つ、2相性のコアシェルゴムを使用することができる。
【0033】
この代わりに、完全な分散状態でなく、粒子の一部が、PLA樹脂マトリックス内で150μm以上の凝集体の形で分散する、初期の粒子サイズが150μmより小さい粒子を主に有するコアシェルゴムを使用してもよい。
【0034】
コアシェルゴムを作製する方法は、周知の方法であり、例えば、米国特許3,655,825、3,678,133、3,668,274、3,796,771、3,793,402、3,808,180、3,843,735、3,985,703及び6,989,190に記載される。適切な方法は、2段階重合法であり、コア及びシェルを、2段階の継続したエマルジョン重合段階で製造する。
【0035】
例えば、約10重量%〜約50重量%のコアモノマー、及び適切な約0.2重量%〜約2.0重量%の乳化剤を含む水性乳濁液から構成される導入モノマーを最初調製する。モノマーの重量あたり、約0.05〜約2.0重量%の、アンモニア、過硫酸ナトリウム又はカリウム、過酸化水素のような水溶性触媒の混合物、又は過硫酸塩とアルカリ金属亜硫酸水素塩、硫酸水素塩、又はヒドロ亜硫酸塩の混合物のような、レドックスシステムを導入し、またその後この混合物を約40℃〜約95℃の温度で、約0.5〜8時間の間加熱して、ゴム状コア粒子を調製する。重合条件下で、シェルモノマー及び追加的開始剤、水及び界面活性剤を、連続的に加え、又は更なる0.5〜8時間の間に、"ショット"として導入して、コアシェルゴムのシェル部分を形成することができる。シード(種)ラテックスは、処理の開始時に存在することができて、粒子サイズの調節を助ける。このようなシードラテックスは、約500オングストローム以下の粒子サイズを持ち、またポリスチレン、アクリル酸ポリアルキル、メタクリル酸ポリメチル、又は他の適切な熱可塑性又は弾性ポリマー(エラストマーポリマー)を適切に含む。一般的に、シードラテックスは、コアモノマー重量あたり、約20%又はそれ以下の量で用いられる。
【0036】
適切な乳化剤としては、2〜22個の炭素原子を有するカルボン酸塩、6〜22個の炭素原子を有するアルコールの硫酸塩又はスルホン酸塩、又はアルキルフェノールのような陰イオンタイプ;脂肪酸、アミン類、又はアミド類へのアルキレンオキシドの付加製品のような非イオンタイプ;前述の陰イオンと非イオン性乳化剤;又は第4級アンモニウムを含む化合物のような陽イオンタイプのものがある。
アルキルメルカプタンのような分子量を調節する試薬は、重合反応のいずれかの段階又は両段階に存在することができる。さらに、エマルジョン重合溶媒のpHを調節する緩衝液は、更に好ましい。
【0037】
コアシェルゴムは、前述の粒子サイズで直接に調製できるが、異なる粒子サイズを有する、異なるコアシェルゴムを作製して、これらを混合して、より小さな、及びより大きな粒子の分布を得ることができる。米国特許6,989,410; 6,884,844; 6,723,764; 6,723,764; 5,442,012; 5312,575及び4,419,496に記載されるような凝集体形成技術により、乳化工程の間に得ることができる粒子サイズには幅があり、又は多様である。
衝撃ポリマー粒子を、噴霧乾燥、塩析、酸析出、凍結乾燥、機械的又は剪断析出、及びこれらの方法の組合せ等の、様々な技術により、エマルジョン製品から抽出することができる。
【0038】
市場で入手可能な、特に適切な、コアシェルゴムは、Rohm and Haas Companyにより Paraloid(TM) KM 355 及び Paraloid(TM) BPM 500(以前は、Paraloid(TM) KM 365)として市販されている。Paraloid KM 355は、約83重量%のアクリレートゴムコア、Tgが50℃以上の約17重量%のメタクリル酸ポリメチルシェルを含み、また屈折率1.472を有する。Paraloid BPM 500は、Tgが−44℃の約83重量%のアクリレートゴムコア、Tgが50℃以上の約17重量%のメタクリル酸ポリメチルシェルを含み、また屈折率1.471を有する。Paraloid(TM) KM 355又はBPM 500材料とParaloid(TM) EXL 2330, Paraloid(TM) KM 334 及び Paraloid(TM) KM 342Bのような、他のアクリル酸/アクリレートコアシェルゴムとの混合物は、また有用であり、特に、Paraloid(TM) KM 355又はParaloid(TM) BPM 500材料が、少なくともコアシェルゴムの全重量の少なくとも70%を構成する場合に有用である。
【0039】
本発明の混合物は、PLA樹脂が連続相を形成し、コアシェルゴム粒子が分散相であるように、コアシェルゴム粒子を溶融したPLA樹脂に混入させることにより作製される。そのために、コアシェルゴムをPLA樹脂と乾燥混合して、その後溶融混合してもよいし、又はコアシェルゴム粒子を、溶融したPLA樹脂に混合してもよい。この混合操作を行うために、押し出し成形機は便利な装置である。この混合工程を、新規混合物から(シート又は熱成形製品のような)物品を形成する溶融処理工程を組み合わせてもよい。あるいは、この混合段階を、他の溶融処理操作から分けて行ってもよい。後者の場合、混合物は、一般的にPLA樹脂の軟化温度以下に冷却され、また貯蔵及びその後の処理を容易にするために、粒子に成形される。
【0040】
コアシェルゴム粒子の凝集体を望む場合(例えば、コアシェルゴム粒子の数平均粒子サイズが非常に小さい、又は直径が150nm以上の粒子の割合が非常に少ない場合)、コアシェルゴム粒子の凝集体の量を十分にして高衝撃強度を維持するためには、(射出成形工程でしばしば経験するような)非常に高い剪断条件を避けることが好ましい。
【0041】
PLA樹脂とコアシェルゴムの比を、混合物が少なくとも4ft−lb(5.4J)の落槍衝撃強度(即ち、ダートインパクト強度)と多くとも12%の曇り度を持つように選択して、本発明の混合物を作製することが好ましい。この混合物が、1〜12重量%のコアシェルポリマーを含む場合、このような特徴を達成できる。これらの値は、この混合物が、約3〜約12%、特に約5〜約10%のコアシェルゴムを含む場合に、より一般的に、達成される。
本発明の好ましい混合物は、少なくとも6ft−lb(8.1J)の落槍衝撃強度と多くとも10%の曇り度を有する。本発明のより好ましい混合物は、少なくとも8〜15ft−lb(10.8〜20J)の落槍衝撃強度と多くとも10%の曇り度を有する。本発明のさらに好ましい混合物は、少なくとも9ft−lb(12.1J)の落槍衝撃強度と多くとも8%の曇り度を有する。
落槍衝撃強度は、本発明の目的のために、ASTM D1709-98に従って簡便に測定される。
曇り度は、BYK Gardner Haze-Gard又は同等な装置を用いて、18mil(460±5μm)試料にデータを規格化して、ASTM D1003-00により測定する。%曇り度は、100%−%透過度に等しい。
【0042】
曇り度測定は、通常表面の不完全さ及び不規則からの寄与、及び試料自体の特徴による他の寄与を含む。曇り度測定に対する表面の寄与は、表面が粗い又は不規則の場合、非常に顕著になることがある。コアシェルゴム粒子は主に余りに小さく表面の粗さに効果を持たないので、衝撃改質剤が存在しても、表面曇り度に対して本質的に効果がない。滑らかな表面を有する成型品により、曇り度測定に対する表面効果を最小にすることができる。曇り度測定に対する表面の寄与を除く他の方法は、試料とほぼ等しい屈折率を有する液体に試料を浸す又は塗布することである。本明細書に報告する曇り度値は、曇り度測定に対して表面寄与が小さいがゼロではないような滑らかな表面を持つ試料を用いて行われる。
【0043】
本発明の混合を行う時に、少量の追加的な樹脂を(PLA樹脂と追加的樹脂との混合物の重量あたり、10%まで、好ましくは5%まで)PLA樹脂と混合することができる。追加的樹脂は、PLA樹脂と混和性であることが好ましく、この場合最終製品の曇り度は低くなる。適切な追加的樹脂としては、国際公開WO 2005/085352に記載されているように、メチルメタクリル酸ポリマー及びコポリマーがある。追加的樹脂のPLA樹脂との混和を助けるためにグラフトコポリマーも含めることができる。追加的樹脂は存在しないことが好ましい。
【0044】
本発明の混合物は、非晶性の及び半結晶性のシート及び熱成形製品の作製に特に適している。半結晶性製品は、好ましくは多くとも40J/g、特に多くとも30J/gの結晶化度を有し、また透明性を維持するために非常に小さな微結晶を有する。
【0045】
PLA樹脂が結晶化する程度は、(1)前記のような、PLA樹脂の選択、(2)核形成試薬の存在又は不在、及び(3)処理条件の調節、特に製品を、この製品のTg及び結晶融解温度の間の温度に維持する処理過程の時間によって調節できる。PLA樹脂の非晶性が高いグレードではどのような条件下でも僅かしか結晶化しないであろう。より半結晶性のグレードでは、より容易に結晶化する傾向があるため、製品を非晶性又は僅か結晶化した形に保つために、処理工程の間の温度調節は非常に重要である。
【0046】
非晶性シートは、1)全ての微結晶を融かすためにポリマーの結晶融解温度以上の温度でポリマーの融解物を形成する工程、2)この融解物をシートにするために押し出す工程又は成形する工程、及び3)結晶が顕著に成長する前にそのTg以下の温度にシートを急速に冷却する工程、により好適に製造される。寸法、特にその厚さを調節するために、このシートを、押出成形後に、延伸又は巻いてもよい。一般的に非晶性シートは、高度に配向してない。
半結晶性シートは、同様な方法で調製できるが、但し、微結晶は、1)結晶化度が進むための十分な時間の間、シートをTg及び結晶融解温度の間に保つ工程、2)シートを配向させる工程、又は1)及び2)の両者の組合せにより誘導される。
非晶性又は半結晶性シートを熱成形して、カップ、ボトル、皿等々のような容器を形成することができる。約5〜約50mil、特に10〜30milの厚さを有するシートは、大部分の熱成形用途に適している。
【0047】
このシートは、1)このシートを、柔らかくするために、ガラス転移温度より幾らか上であるが、結晶融解温度以下の温度へ昇温する工程、2)柔らかくなったシートをオス又はメス成形型に置く工程、及び3)型の上のシートを加圧及び/又は吸引して、成形物を形成する工程により熱成形される。型は最も一般的にはメス成形型である。シートは、柔軟化段階において、約100℃〜約160℃、及び特に約110℃〜約140℃の間の温度まで適切に加熱する。多重形態の成形物を、単一シートから同時に又は連続して作製できる。成形型を、シートのガラス転移温度以上から結晶融解温度以下の温度(80℃〜160℃、特に80℃〜140℃のような)まで加熱することができる。樹脂のガラス転移温度、又はそれ以下である"冷えた"成形型を用いることも可能である。成形型が樹脂のTg以上であれば、余りに大きく結晶化度が進むことを阻止するために、成形型上の成形物の滞留時間を制限することが必要かも知れない。余りに大きな結晶化度、及び/又は大きな微結晶は、熱成形製品内に不透明性を作り出す傾向がある。一般的に、ある程度の結晶化が、成形過程を行う温度のために熱成形過程の間に進む。シートを熱成形の間の延伸工程によってもまた、結晶化を誘導することができる。過度な曇りを避けるために、結晶化度は、好ましくは多くとも40J/g、より好ましくは多くとも35J/gであり、特に多くとも30J/gである。この熱成形製品は非晶性(即ち、10J/g以下の結晶化度を含む)であってもよい。
【0048】
熱成形法は、従来型の熱成形装置を用いて行うことができる。このような装置、及び方法の例は、例えば、Throneによる"Thermoforming Crystallizing Poly(ethylene Terephthalate) (CRET)", Advances in Polymer Technology, Vol. 8, 131-146 (1988)に記載されている。吸引工程は、好ましくは、真空を用いて行われる。成形型としては、オス型成形型作製を提供する工程の間メス型半分に挿入されたオス型半分を含んでもよい。シートを予備延伸することが好ましいくてもよい。もし好ましいなら、圧力キャップ又は他の予備延伸工程用装置を用いて、またシートを成形型内に引き込む工程前に、作動させることができる。成型品が作られ、Tg以下に冷却されたならば、この成型品は脱成形され、他の成型品から分けられ、必要ならば整えられる。成型品のタイプ及びその意図された使用に応じて、図形又はラベルの適用工程、他の成型品との組み立て、包装工程等々のような、様々な下流の工程が必要なら行われる。
【0049】
ボトル及び他の容器は、延伸ブロー成形法又は射出延伸ブロー成形法で作ることができる。射出延伸ブロー成形法は、例えば、米国特許5,409,751及び国際公開WO2006/002409に記載される。この方法は、まずプリフォーム又は"プラグ"を形成する工程を含む。このプリフォーム又は"プラグ"は中空であり、最終容器の一部の寸法を持つ。このプリフォームは、それを型に挿入し、軸方向に(即ち、奥行き方向に沿って)と半径方向へ延伸する工程により、容器に形作られる。軸方向の延伸は、押し出し用ロッドを予備成形物に挿入する工程、及び成形型の底の方へ機械的に延伸する工程により、機械的に行われる。半径方向の延伸工程は、圧縮気体をプラグに注入し、それにより樹脂が成形型の内部表面に接触するよう外向きに力を加えることにより行う。一般的に、準備的な半径方向の延伸が、気体の最初の増加分を注入することで為される。このことにより、次に挿入できる延伸用ロッドのための空間を作る。次に、このプリフォームは延伸され、直後により多くの気体をブローされて、ブロー成形操作は完了する。
【0050】
熱成形操作と同じく、温度状況及びポリマーの機械的延伸により、延伸ブロー成形工程の間に、ある程度の結晶化度が樹脂内にしばしば導入される。前と同じく、透明度を最大にするために、この製品は、好ましくは非晶性であり、又は40J/g以下、より好ましくは35J/g以下、特に30J/g以下の結晶化度を含む。
【実施例】
【0051】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。全ての割合及びパーセントは特記しない限り重量基準である。
【0052】
実施例1〜11及び比較例A〜G
D−対掌体含量が2%であり、Rand Castleシートライン上の相対粘度が4.0である市販グレードのPLA樹脂を押し出し成形して、厚さ約15mil(〜380μm)の非晶形シートを作製し、比較試料Aとする。押し出したシートの曇り度を、空気中で、BYK Gardner Haze-Gard Plus 装置を用いて、ASTM D1003-00に従い測定した。報告された全ての曇り度値を、厚さ18mil(〜460μm)シートに規格化する。曇り度を評価する全てのシート試料は、曇り度測定に対する表面効果の寄与を減らすために、非常に平滑な表面を有する。しかしながら、これらの条件下でも、表面効果は、曇り度測定に対し、小さいながら寄与をするであろう。
【0053】
衝撃試験は、ASTM D1709-98に従って測定した。この試験は、厚さ14〜17mil(〜335〜432μm)、6"×6"(15×15cm)の寸法のシート試料上で、Kayeness Inc., モデル#D2085AB落槍衝撃試験器を用いて行う。この試験は、直径2−インチ(5cm)半球ヘッドを用いて、2カ所の異なる高さの中から単一の槍配置セットを用いるが、投槍の高さは試験試料の衝撃強度の期待値により選択する。試料シートは、ドロップ塔の底の空気圧リングに安全に留める。投槍には適切な重量を負荷して、試験試料の中心に自由落下させ、試験結果(pass/fail)を記録する。もし適用した負荷の下で、試料が割れ又は破損するならば、試料は不成功(fail)と分類する。もし適用した負荷の下で、試料が割れず又は破損しないならば、試料は合格(pass)と分類する。結果が合格から不成功又はその逆に移動するように、重量を増加又は減少させる。次に、この結果を用いて、50%の試験試料がASTM法に記載されたような衝撃の下で、不成功と見積もられるエネルギーを計算する。
引っ張り強度及び伸びは、ASTM D638-00に従って評価した。
これらの試験結果を表1に示す。
【0054】
比較試料Aに用いたのと同じPLA樹脂60重量部及びParaloid(TM) KM 365(現在、Paraloid(TM) BPM 500)コアシェルゴム40重量部を二軸スクリュー押し出し機で溶融混合して、マスターバッチAとした。混合前に、このPLA樹脂及びコアシェルゴムを40〜60℃で48時間乾燥した。得られた混合物を、ペレット化し、より多くの同一PLA樹脂中に溶解する。Paraloid(TM) KM 365 (Paraliod BPM 500)粒子は約17.1%のメタクリル酸ポリメチル−シェル及び82.9%の約−44℃のTgを有するアクリルゴムコアを含む。Abbe屈折率計及び接触用溶液として飽和塩化亜鉛水溶液を用いて、ASTM D542-00に従って測定した屈折率は、1.471である。屈折率は、Carverプレス機内のコアシェルゴム粒子を150〜175℃で溶融し、200〜250psi(1380〜1775 kPa)の圧力により作製した厚さ1mmのフィルムを用いて測定した。
【0055】
マスターバッチBを、PLA樹脂60重量部及びParaloid(TM) KM 342Bコアシェルゴム40重量部を用いて、同様の方法で調製した。Paraloid(TM) KM 342B粒子は、約7.7%のメタクリル酸ポリメチルシェル、及び約−44℃のTgを有する92.3%のアクリルゴムコアを含む。この屈折率は1.485である。
マスターバッチCは、同じ濃度のParaloid(TM) KM 334コアシェルゴムを用いて、同様の方法で調製した。Paraloid(TM) KM334粒子は、約24.9%のメタクリル酸ポリメチルシェル、及び約−44℃のTgを有する75.1%のアクリルゴムコアを含む。この屈折率は1.470である。
【0056】
マスターバッチDは、同一濃度のPD1046(Arkemaより入手可能)と呼ばれるコアシェルゴムを用いて、同様の方法で調製した。PD1046は約1.478の屈折率を有する。
マスターバッチEは、同一濃度のParaloid(TM) EXL 2330コアシェルゴムを用いて同様の方法で調製した。Paraloid(TM) EXL 2330粒子は、23%のメタクリル酸ポリメチルシェル及び77%のアクリルゴムコアを含む。この屈折率は、1.480である。
マスターバッチFは、同一濃度のParaloid(TM) KM 355コアシェルゴムを用いて、同様に作製される。Paraloid KM 355粒子は、約17%のメタクリル酸ポリメチルシェル、及び83%のアクリルゴムを含む。この屈折率は、1.472である。
マスターバッチGは、4%のD−対掌体含量及び相対粘度4.0を有するPLA樹脂を用いる以外は、マスターバッチAと同様に作製される。
【0057】
マスターバッチAの一部に追加量の同一PLA樹脂を加えて乾燥混合し、この乾燥混合物を二軸スクリュー押し出し機から押し出す。押し出し成形物が3重量%のコアシェルゴムを含むように、出発材料の割合を選択する。その後、押し出し成形物から、Rand Castle シートライン上で15−mil厚の非晶形シートを作製する(実施例1)。衝撃強度及び曇り度を、比較試料Aの場合と同様に測定した。破壊時の引っ張り強度及び破壊時の伸長度を、MTS Systems Qtest(TM) System III引っ張り強度装置上で、ASTM D638-91に従い測定した。引っ張り強度試験のために、幅0.25"(0.63cm)及び厚さ0.13"(0.32cm)を有する4.5"(12.5cm)ドッグボーン試料を15mil(〜380μm)シートから切り出した。結果を表1に示す。
【0058】
実施例2は、マスターバッチA及び追加的ポリマーの比が、製品が5重量%のコアシェルゴムを含むものである以外、実施例1と同様に調製した。試験結果を表1に示す。
実施例3及び4は、マスターバッチA及び追加的ポリマーの比が、製品が、それぞれ、7.5重量%及び10重量%のコアシェルゴムを含むものである以外、実施例1と同様に調製した。試験結果を表1に示す。
実施例5は、マスターバッチA及びマスターバッチB各々の一部を、より多くの同一PLA樹脂と乾燥混合する工程により、実施例1と同様に調製した。この製品は、5重量%のParaloid(TM) KM365 (Paraloid(TM) BPM 500) コアシェルゴム及び0.5%のParaloid(TM) KM 342Bコアシェルゴムを含む。曇り度及び衝撃強度を、以前と同様に測定し、結果を表1に示す。
実施例6は、マスターバッチA,マスターバッチB及び追加的PLA樹脂の比が、製品が5重量%のParaloid(TM) KM 365(Paraloid(TM) BPM 500) コアシェルゴム及び1.0%のParaloid(TM) KM 342Bコアシェルゴムを含むようなものである以外は、実施例5と同様に調製した。曇り度及び衝撃強度を、以前と同様に測定し、結果を表1に示す。
【0059】
実施例7は、マスターバッチA及びCの各々の一部と追加的PLA樹脂とを乾燥混合して、実施例1と同様に調製した。製品は、5重量%のParaloid(TM) KM 365 (Paraloid(TM) BPM 500)コアシェルゴム及び0.5%のParaloid(TM) KM 334コアシェルゴムを含む。曇り度及び衝撃強度を以前と同様に測定し、結果を表1に示す。
実施例8は、マスターバッチA、マスターバッチC及び追加的PLA樹脂の一部が、製品が5重量%のParaloid(TM) KM 365(Paraloid(TM) BPM 500)コアシェルゴム及び1.0%のParaloid(TM) KM 334コアシェルゴムを含むようなものである以外は、実施例5と同様に調製した。曇り度及び衝撃強度を以前と同様に測定し、結果を表1に示す。
実施例9は、マスターバッチFをマスターバッチAの変わりに用いる以外、実施例1と同様に調製した。製品は、3重量%のコアシェルゴムを含む。試験結果を表1に示す。
実施例10は、マスターバッチF及び追加的ポリマーの比が、製品が5重量%のコアシェルゴムを含むようなものである以外は、実施例9と同様に調製した。試験結果を表1に報告する。
【0060】
比較試料Bを、比較試料Aと同じ方法を用いて、15mil(〜380μm)シートを、コアシェルゴムを加えずに、マスターバッチGにおいて用いたPLA樹脂から押し出して調製した。曇り度及び衝撃強度を以前と同様に測定し、結果を表1に示す。
マスターバッチGの一部を、追加量の同一PLA樹脂と乾燥混合し、また実施例1に記載したように、乾燥混合物を二軸スクリュー押し出し機を通して押し出して、5重量%のコアシェルゴムを含む混合物(比較試料G)を作製した。
実施例11は、マスターバッチ値G及び追加的ポリマーの比が、製品が8重量%のコアシェルゴムを含むようなものである以外、比較試料Gと同様に調製した。試験結果を表1に示す。
比較試料C〜Fは、それぞれ、マスターバッチB〜Eをより多くの同一PLA樹脂に溶解して、それぞれ、5%の対応するコアシェルゴム粒子を含むシートを作製する以外、実施例1と同様に調製した。
【0061】
【表1】

【0062】
実施試料2、8、10及び11、並びに比較試料C〜Gの、コアシェルゴムの粒子サイズ分布を、透過型電子分光法により測定した。各混合物の15mil(〜380μm)押し出しシートをカミソリの刃により切断して、一辺が約500μmの隆起領域を形成した。得られたブロックをシールしたガラスバイアル中で、0.5%四酸化ルテニウム溶液を用いて0℃で1時間染色した。その後、染色した試料を厚さ70nmに区分化して、各区分を六角形の孔をもつ400メッシュ銅格子上に集めた。この格子を、加速電圧100kVで、日立H-600透過型電子スペクトロメーターを用いて検査した。デジタル画像を集めて、Windows(R)に対するImage-Pro Plusソフトウェアーバージョン4.5.1.22(Media Cyberneticsから入手可能)を用いて解析し、各場合のPLAマトリックス中のコアシェルゴム粒子の分布を測定した。単一粒子の平均直径は、2°の間隔で二カ所の輪郭点を結び、中心を通過する直径の平均の長さとして計算した。凝集した粒子の平均直径は、平均フェレット(feret)長として測定され、凝集体空間の外周を2°間隔で2本の平行な接線の平均距離として計算される。本解析の目的のために、凝集体は、接触する若しくは単一粒子の平均直径の1/2以内に存在する、2又はそれ以上の粒子群として定義される。このデータから、数平均粒子サイズ(最初の粒子に対する)、最初の粒子サイズ分布の最大値、直径150nm以下の最初の粒子及びクラスターに対応する画像の面積(A)、及び直径150μm又はそれ以上の最初の粒子及びクラスターに対応する画像の面積(A)が得られる。AとAからA/(A+A)を計算する。結果を表2に示す。表1の曇り度及び衝撃データを表2に再掲示する。
【0063】
【表2】

【0064】
表1及び表2のデータは、本発明が衝撃強度及び低曇り度の如何に良いコンビネーションを提供しているかを示す。比較試料C、D及びFは、正しい粒子サイズ分布を持たないコアシェル粒子であるにも関わらず衝撃強度が良いが、いずれの場合も、曇り度が15%を超えている。比較試料E及びGは、低曇り度を示すが、非常に小さな粒子サイズのゴム粒子及び低A/(A+A)比は、衝撃強度をほとんど改善しない。
【0065】
これに対して、本発明の全ての実施試料は、曇り度が12%以下である実施試料6以外、10%以下の曇り度値を示す。実施試料2〜10は、比較試料Aと比べて、衝撃強度の顕著な増加を示す。実施試料11は、比較試料Bと比べて、顕著な衝撃強度の増加を示す。実施試料1は、コアシェルゴムが少量であることにより、衝撃強度を改善しないと考えられる。この負荷工程とこの処理条件の下では、このコアシェルゴム材料は、より大きな衝撃強度亢進をもたらすための、直径150nm以上の十分な凝集体を作製しないと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックス内に衝撃改質剤粒子が分散し、該ポリマーマトリックスが連続してなる衝撃性改良ポリラクチド樹脂であって、
(a)該ポリマーマトリックスの少なくとも90重量%が1種又は2種以上のポリラクチドであり、
(b)該衝撃改質剤は、該ポリラクチド樹脂内に、(i)少なくとも150nmの直径を有する大きな粒子若しくは凝集体又はその両者、及び(ii)10〜150nmの直径を有する小さな粒子又は凝集体として分散し、透過型電子顕微鏡を用いて、この混合物の平面の画像を撮ると、(1)大きな粒子及び凝集体の画像化した面積が、画像化した粒子の全面積の60〜95%を構成し、かつ(2)全ての粒子及び凝集体の数平均粒子サイズが210nm以下であり、更に、
(c)該衝撃改質剤が、
(1)Tgが−10℃より低い架橋ゴム状コア;
(2)Tgが少なくとも50℃であるポリマーから成るシェル;及び
(3)1.430〜1.485の範囲の屈折率
を有するコアシェルゴムである衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項2】
前記ポリラクチド樹脂が非晶性グレードである請求項1に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項3】
前記ゴム状コアがアクリル樹脂モノマーのポリマー又はコポリマーである請求項2に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項4】
前記シェルがメタクリル酸エステルのポリマー又はコポリマーである請求項3に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項5】
前記ゴム状コアがアクリル酸ブチル又はアクリル酸−2−エチルヘキシルのポリマー又はコポリマーである請求項4に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項6】
前記シェルがメタクリル酸メチルのポリマー又はコポリマーである請求項5に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項7】
前記コアシェルゴムを1〜12重量%含む請求項1に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項8】
前記コアシェルゴムを5〜10重量%含む請求項6に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項9】
落槍衝撃強度が4〜20ft−lb(5.4〜27J)であり、かつ曇り度が10%以下である請求項1に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項10】
落槍衝撃強度が8〜15ft−lb(10.8〜20J)であり、かつ曇り度が10%以下である請求項9に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項11】
落槍衝撃強度が少なくとも9ft−lb(12.1J)であり、かつ曇り度が8%以下である請求項10に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂。
【請求項12】
請求項1に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂から製造された熱成形製品。
【請求項13】
請求項4に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂から製造された熱成形製品。
【請求項14】
請求項6に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂から製造された熱成形製品。
【請求項15】
請求項8に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂から製造された熱成形製品。
【請求項16】
請求項9に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂から製造された熱成形製品。
【請求項17】
請求項10に記載の衝撃性改良ポリラクチド樹脂から製造された熱成形製品。

【公表番号】特表2010−507006(P2010−507006A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533379(P2009−533379)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/022248
【国際公開番号】WO2008/051443
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(398074751)ネイチャーワークス・エル・エル・シー (8)
【Fターム(参考)】