衣服ブラシ
【課題】 衣服に付着する塵埃を捕集して内部に収容する機能を有し、部品点数が少なく低価格であり、使用者が容易に使用することができる衣服ブラシを提供する。
【解決手段】 回転軸9を中心とする回転面からなる捕塵面21を有する捕塵体2と、突起体61と狭持体63とを係合させることによって捕塵体2を着脱可能かつ回転可能に保持する筐体3とを備え、捕塵面21に第1捕塵ブラシ41を設け、筐体3のうち第1捕塵ブラシ41と対向する面に第1除塵ブラシ51を設ける。捕塵開口33から露出する第1捕塵ブラシ41を衣服に当てて動かして塵埃を捕集した後、操作部272を操作し捕塵体2を数回往復回転させることにより、第1捕塵ブラシ41に捕集された塵埃は第1除塵ブラシ51を経由して収塵室22に移送される。また、捕塵体2を筐体3から外して収塵室22内の塵埃を排出することができる。
【解決手段】 回転軸9を中心とする回転面からなる捕塵面21を有する捕塵体2と、突起体61と狭持体63とを係合させることによって捕塵体2を着脱可能かつ回転可能に保持する筐体3とを備え、捕塵面21に第1捕塵ブラシ41を設け、筐体3のうち第1捕塵ブラシ41と対向する面に第1除塵ブラシ51を設ける。捕塵開口33から露出する第1捕塵ブラシ41を衣服に当てて動かして塵埃を捕集した後、操作部272を操作し捕塵体2を数回往復回転させることにより、第1捕塵ブラシ41に捕集された塵埃は第1除塵ブラシ51を経由して収塵室22に移送される。また、捕塵体2を筐体3から外して収塵室22内の塵埃を排出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に付着した塵埃を除去するのに適した衣服ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の衣服ブラシの一例として、特許文献1に記載されるような衣服ブラシが知られている。この衣服ブラシは、衣服に付着する塵埃を捕集した後、塵埃を外部に飛散させることなく衣服ブラシの内部に移送して収容することができるという利点がある。その一方で、機構部分を多く含むため部品点数が増加し、また高い形状精度および組立精度が必要となり、さらには組み立てに多くの工数を要するため、高価格となるという問題があった。また、塵埃を衣服ブラシの内部に移送するには、衣服の塵埃を直接捕集するブラシ面と、ブラシ面に付着した塵埃を掻き出す塵埃除去ブラシとが当接していることが必要であるが、部品の形状精度および組立精度が低い場合、それらの当接が確保されなくなったり、またはそれらの当接の圧力が非常に大きくなるおそれがあった。ブラシ面と塵埃除去ブラシとが当接しない場合は、捕集した塵埃を衣服ブラシの内部に移送して収容するという機能を発揮することができなくなり、また当接の圧力が大きくなると摩擦力のため本体部を回転させることが困難となるという問題があった。
【0003】
一方、従来の衣服ブラシの他の例として特許文献2に記載されるような衣服ブラシも知られている。この衣服ブラシは、塵埃除去ブラシをブラシ面に向けて付勢する構成を採用しており、これによって、高い精度を必要とせずとも塵埃除去ブラシとブラシ面との当接を維持しつつ、また本体部の回転を阻害しない適正な当接の圧力を実現し、特許文献1に記載の衣服ブラシが有していた問題を解決していた。しかし、塵埃除去ブラシを付勢するための機構を含むため、部品点数および組み立て工数が増加し、高価格となるという問題があった。
【0004】
また、従来の衣服ブラシは、先端がR形状となっており、非使用時には横にするか、柄の部分の穴を利用して吊るして保管するしかなく、立てて保管することができなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−258644号公報
【特許文献2】特開2002−209637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、従来の衣服ブラシと同様に、塵埃を内部に移送して収容する機能を確保しつつも、部品点数が少なく低価格であり、使用者が容易に使用および保管することができる衣服ブラシが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、前後に延びる回転軸を中心とする回転面からなる捕塵面を外面に有し、内部には塵埃が収容される収塵室が設けられているとともに、外部と前記収塵室とを連通する収塵開口が上部に設けられた捕塵体と、前記捕塵面と嵌合するガイド面を内面に有し、前記捕塵体が挿入される着脱開口が前方の端部に設けられているとともに塵埃を取り入れる捕塵開口が下部に設けられており、前記捕塵面の一部を前記捕塵開口から露出させつつ前記捕塵体を前記回転軸を中心に回転可能に保持する中空の筐体と、前記捕塵面に設けられ、前記回転軸回りの一の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1捕塵ブラシと、前記捕塵開口に対して前記一の方向に隣接する第1縁部における前記ガイド面に設けられ、前記一の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1除塵ブラシと、前記捕塵体と前記筐体とを前記回転軸方向に互いに係合する係合手段とを備え、前記着脱開口から前方に突出して外部に露出する操作部が前記捕塵体に設けられており、前記回転軸に垂直な断面における前記捕塵面の半径が、後方から前方に向けて一定または単調に増加していることを特徴とする衣服ブラシである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、捕塵開口から露出する捕塵面に設けられた第1捕塵ブラシを衣服に当接させつつ所定の方向に動かすことにより、衣服に付着した塵埃を捕集することができ、その後操作部を把持して捕塵体を回転させることにより、捕集された塵埃が捕塵体の内部の収塵室に移送され、その後捕塵体を筐体から分離して、収塵室内の塵埃を排出することが可能な衣服ブラシを提供することができる。すなわち、部品点数および機構部が少なく低価格であり、使用者にとって使いやすい衣服ブラシを提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記捕塵面が後方から前方に向かって拡径する切頭円錐面であることを特徴とする請求項1に記載の衣服ブラシである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、捕塵面の断面の半径が後方から前方に向けて単調に増加しているため、部品形状および組立に高精度を必要とすることなく、また調整作業を要することなく、捕塵ブラシと除塵ブラシとを当接させることが可能となる。また、捕塵ブラシと除塵ブラシとの間に作用する圧力は強すぎることはなく、そのため使用者は捕塵体を困難なく回転させることができる。さらに、捕塵体を着脱開口から挿入して筐体に装着する際、捕塵体の後端が筐体の内部の奥に到達するまで捕塵ブラシと除塵ブラシとが接触しないので、摩擦により挿入が阻害されることなく容易に装着することが可能であり、また着脱を繰り返しても捕塵ブラシおよび除塵ブラシの摩耗が少ない衣服ブラシを提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記係合手段が、前記捕塵体の後方の端部から前記回転軸に沿って突出する突起体と、前記筐体に支持されつつ前記回転軸に向けて径方向に付勢され、前記突起体を狭持する狭持体とからなり、前記狭持体は後方から前方に向けて縮径する切頭円錐面からなる傾斜面を備え、前記突起体は前記回転軸の径方向外側に膨出して前記傾斜面に係合する膨出部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の衣服ブラシである。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、突起体を捕塵体から延設しつつ狭持体を筐体の内部に設けるという、簡易な構成で捕塵体と筐体とを回転軸方向に互いに係合することが可能となり、また捕塵体と筐体との分離および塵埃の排出が容易な衣服ブラシを提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記捕塵体の回転を所定の角度に規制する規制手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣服ブラシである。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、使用者の意に反して捕塵開口と収塵室とが連通して、収塵室に収容された塵埃が外部に飛散するおそれがない衣服ブラシを提供することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記捕塵面を周方向に二分する分割線より前記一の方向側の前記捕塵面に、前記第1捕塵ブラシが設けられているとともに、前記分割線より前記一の方向と反対の他の方向側の前記捕塵面に設けられ、前記他の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2捕塵ブラシと、前記捕塵開口に対して前記他の方向に隣接する第2縁部の前記ガイド面に設けられ、前記他の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2除塵ブラシとをさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衣服ブラシである。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、異なる2方向にブラッシング可能な衣服ブラシを提供することができる。また、第1捕塵ブラシおよび第2捕塵ブラシによって捕塵された塵埃を、同一の操作によって同時に収塵室へと移送することが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記筐体の後方の端部から柄が延設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服ブラシである。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、使用者が柄を把持して衣服に付着した塵埃を除去することができ、また柄と操作部とを両手で把持して捻ることによって捕塵ブラシで捕集された塵埃を収塵室に移送することができ、取扱いが容易な衣服ブラシを提供することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、前記捕塵体の前方の端部を下にして自立可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の衣服ブラシである。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前方の端部の方が後方の端部よりも断面の径が大きいため、柄を上にして立てた状態で安定して保管することができる衣服ブラシを提供することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、前記捕塵体の前方の端部から柄が延設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服ブラシである。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、使用者が柄を把持して衣服に付着した塵埃を除去することができ、また柄が操作部の機能を兼ねるため、柄と筐体とを両手で把持して捻ることによって捕塵ブラシで捕集された塵埃を収塵室に移送することができ、取扱いが容易な衣服ブラシを提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、捕塵開口から露出する捕塵面に設けられた第1捕塵ブラシを衣服に当接させつつ所定の方向に動かすことにより、衣服に付着した塵埃を捕集することができ、その後操作部を把持して捕塵体を回転させることにより、捕集された塵埃が捕塵体の内部の収塵室に移送され、その後捕塵体を筐体から分離して、収塵室内の塵埃を排出することが可能な衣服ブラシを提供することができる。すなわち、部品点数および機構部が少なく低価格であり、使用者にとって使いやすい衣服ブラシを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
つぎに、この発明の実施の形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシを図1〜6に示す。図1(a)は、第1の実施形態に係る衣服ブラシを示す側面図であり、図1(b)は底面図である。図2(a)は図1における断面A−Aを示す断面図であり、図2(b)は図1における断面B−Bを示す断面図である。図3は、図2(b)に示される突起体と狭持体との係合を拡大して示す拡大断面図である。図4は第1の実施形態に係る衣服ブラシに使用されている咬合体について前方から後方を見た正面図である。図5は第1の実施形態に係る衣服ブラシの除塵作用を示す説明図であり、図6は収容された塵埃を排出する方法を示す説明図である。なお以降の説明において、図1(a)における左手を前方、右手を後方とし、また図1(a)における上方を上方、下方を下方として記述する。
【0026】
本実施形態にかかる衣服ブラシ1は、前後に延びる回転軸9を中心とし、後方から前方に向かって拡径する切頭円錐面からなる捕塵面21を外面に有する捕塵体2と、捕塵面21と嵌合するガイド面31を内面に有する中空の筐体3とを主な構成要素とする。なお、本実施形態に係る衣服ブラシ1は捕塵面21が切頭円錐面であるが、後方から前方に向かって断面が一定の円柱面とすることももちろん可能であり、さらに回転軸9を中心とする任意の回転面とすることも可能である。ただし、捕塵体2と筐体3とを脱着可能に構成するには、回転軸9に垂直な断面における半径が、後方から前方に向けて一定または単調に増加するような回転面である必要がある。ここで、本明細書において「回転面」とは、直線または曲線を異なる直線を中心に回転させて得られた図形を指すものとする。捕塵体2および筐体3の材料としては、加工およびコストの面から硬質プラスチックが好適であるが、適宜選択可能である。
【0027】
捕塵体2は捕塵面21の形状に沿った周壁24、回転軸9に垂直に設けられ前方に位置する前方壁25および回転軸9に垂直に設けられ後方に位置する後方壁26を備え、周壁24、前方壁25および後方壁26が、塵埃が収容される収塵室22を内部に画成し、また収塵室22と外部とを連通する収塵開口23を上部に画成している。
【0028】
筐体3の前方の端部には着脱開口32が備えられ、着脱開口32から捕塵体2が挿入されており、捕塵面21とガイド面31とが嵌合している。捕塵面21およびガイド面31はいずれも回転軸9を中心とする後方から前方に向けて断面の半径が単調に増加する回転面であるため、捕塵体2は筐体3に対して回転軸9を中心に回転可能であり、かつ着脱開口32を通じて着脱可能となっている。
【0029】
捕塵面21の周方向中央には捕塵面21を二分する分割線43が有り、捕塵面21のうち図2(a)で見て分割線43より右側には、反時計方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1捕塵ブラシ41が備えられており、捕塵面21のうち図2(a)で見て分割線43より左側には、時計方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2捕塵ブラシ42が備えられている。
【0030】
捕塵体2には、前方壁25から前方に突出する突出壁27が設けられ、そのうち着脱開口32から前方に位置する部分は、使用者が捕塵体2を筐体3に対して相対的に捻るために把持される操作部272を形成している。図1および2に示す操作部272は、筐体3の外形に滑らかに沿った形状であるが、把持可能となるよう任意の形状とすることができる。例えば、前方壁25から前方に向けて突出する突条のリブ(図示しない)を設けると、使用者はリブ(図示しない)をつまんで操作することが可能となる。また、突出壁27の前方の端部271を回転軸9に略垂直な面上に形成すると、前方の端部の方が後方の端部よりも断面の径が大きいため、前方の端部271を下にして床や棚などに衣服ブラシ1を自立させた状態で安定して保管することができる。
【0031】
捕塵体2の後方には、突起体61が後方壁26から回転軸9に沿って後方に向けて突設されている。図3に示すように、突起体61は、後方壁26から延出する円柱状の軸部613と、軸部613の後端から延設され、回転軸9から径方向外側に膨出しつつ、前方から後方に行くに従って拡径する膨出部611と、膨出部611の後端から延設される基部612とから構成されている。なお、軸部613のうち後方壁26近傍について太軸に構成して太軸部613aを形成し、さらに太軸部613aと嵌合する部分を筐体2に設けることによって、後述のように捕塵体2が径方向にガタつくことを抑制することが可能となる。
【0032】
筐体3は底面視で略台形状の捕塵開口33を下方に備え、捕塵開口33から捕塵体2の捕塵面21の一部が露出している。図2(a)で見て捕塵開口33の右側に隣接する第1縁部34のガイド面31には、反時計方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1除塵ブラシ51が備えられており、第1捕塵ブラシ41と当接している。また、図2(a)で見て捕塵開口33の左側に隣接する第2縁部35のガイド面31には、時計方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2除塵ブラシ52が備えられており、第2捕塵ブラシ42と当接している。なお、捕塵開口33の形状は図示の形状に限られず、任意の形状とすることができる。
【0033】
筐体3の後方の端部には回転軸9に垂直な支持壁36,37が設けられており、それらの間に咬合体62が収容されている。支持壁36,37にはそれぞれ回転軸9を中心とする円形の開口361,371が設けられており、捕塵体2が筐体3に挿入された際に、突起体61を受容している。なお、開口361と軸部613の太軸部613aとが嵌合するように開口361の径を設定することによって、捕塵体2が径方向にガタつくことを抑制することが可能となる。
【0034】
咬合体62は図4に示す通り、枠体65と、枠体65に接続されたばね体64,・・・,64と、ばね体64により回転軸9に向けて径方向に付勢された狭持体63,63とから構成されている。狭持体63は回転軸9を中心とする円弧形の切り欠き部632を備え、狭持体63の後面63bにおける切り欠き部632の周囲には、図3に示すように後方から前方に行くに従って縮径する切頭円錐面からなる傾斜面631が形成されており、突起体61の膨出部611と係合している。これによって、捕塵体2と筐体3とが回転軸9方向に互いに係合することになる。なお、捕塵体2を筐体3に対して回転させる際、傾斜面631と膨出部611との間に摩擦力が作用するが、捕塵体2の回転を摩擦力によって阻害しないよう、咬合体62の材料としてナイロンやポリアセタール等の低摩擦の材料が好適に用いられる。またこのとき捕塵体2の取り外しもスムーズになる。また、突起体61の基部612の後端を滑らかに形成し、さらに狭持体63の前面63aにおける切り欠き部632の周囲に、前方から後方に行くに従って縮径する切頭円錐面からなる傾斜面633を形成することによって、捕塵体2を筐体3にスムーズに装着することができる。また、本実施形態では、狭持体63は上下に2つ設けられているが、3つ以上の狭持体を設けることも可能である。また、本実施形態は枠体65、ばね体64および狭持体63が一体として成形され咬合体62を構成しているが、別体に構成されたばねを用いて狭持体63を付勢することも可能である。
【0035】
筐体3の支持壁36からは規制面71a,71bを備えたストッパー7が前方に向けて突設されている。規制面71a,71bは、捕塵体2が所定の角度回転したときに、後方壁26の縁辺26aと当接して回転が止まるような位置に設定されており、これによって、収塵室22が捕塵開口33を通じて外部と連通することを防止している(図5参照)。規制面71a,71bは規制壁72,72に設けられており、また補強壁73が規制壁72,72を結合することによって、ストッパー7の剛性を確保している。また、ストッパー7を支持壁36から所定の長さ突出させると、収塵開口23を下に向けた状態で捕塵体2を筐体3に挿入しても、後方壁26がストッパー7と干渉して膨出部611と傾斜部631とが係合しないため、誤装着を防止することができる。
【0036】
なお、本実施形態では筐体3から突出する部材が捕塵体2の回転を規制するよう構成されているが、筐体3の支持壁36に回転軸9を中心とする円弧状の溝を設け、捕塵体2から突出する突起をこの溝に係合させるなど、捕塵体2の回転を規制する手段としてその他任意の構成を採用することが可能である。
【0037】
筐体3の後方には柄8が後方に向けて延出されており、柄8の後部には、衣服ブラシ1をフックに引っ掛けたり、紐を通したりして利用可能な吊下孔81が上下方向に貫通して形成されている。なお、本実施形態では柄8が筐体3から延設されているが、捕塵体2から前方に向けて延設することも可能である。
【0038】
捕塵体2は、筐体3の着脱開口32から挿入され、捕塵面21とガイド面31とが嵌合した状態で、筐体3の内部に保持される。このとき、突起体61の膨出部611が狭持体63の傾斜面631と係合し、かつ狭持体63が回転軸9に向けて径方向に付勢されているため、突起体61は後方に向けて力を受け、それに伴って捕塵体2と筐体3とが回転軸9方向に互いに係合するとともに、捕塵体2は後方に向けて付勢されることになる。これによって、捕塵面21がガイド面31に向けて付勢されることになり、捕塵ブラシ41,42と除塵ブラシ51,52との当接が維持される。また、突出壁27において着脱開口32から後方に位置する部分であって捕塵ブラシ41,42と周方向で反対側に、捕塵面21上に位置する摺接面28が設けられており、捕塵体2を筐体3に対して回転させる際、捕塵体2が上部に逃げて捕塵ブラシ41,42と除塵ブラシ51,52とが離間することを防止している。
【0039】
ここで、製造公差の集積などにより捕塵面21の径が設定していた径より大きくなったような場合でも、筐体3に対する捕塵体2の相対的な前後方向の位置を、設定していた位置よりも若干前方にずらすことにより、捕塵ブラシ41,42と除塵ブラシ51,52との当接の圧力を弱めることが可能となる。また、軸部613を必要な長さより若干長めに成型しておけば、捕塵体2の前後方向の位置に一定の範囲のあそびが生じ、このあそびによって上記の公差の集積を吸収することが可能となり、捕塵ブラシ41,42と除塵ブラシ51,52との当接の圧力が大きくなることを回避することができる。すなわち、捕塵体2の回しやすさについて、製品個体ごとの差が生じにくくなる。
【0040】
次に本実施の形態に係る衣服ブラシの使用方法について、まず除塵の方法について図5に基づいて説明する。
【0041】
操作部272を、後方から前方を見て時計方向に捻り、後方壁26の縁辺26aがストッパー7の規制面71aに当接するまで捕塵体2を回転させ、捕塵開口33から第1捕塵ブラシ41を露出させる。そして第1捕塵ブラシ41を衣服に当接させ、衣服ブラシ1を図5における右方向に動かすと、衣服に付着する塵埃Dがすくい上げられて第1捕塵ブラシ41に捕集される(図5(a)参照)。これを何度か繰り返すと第1捕塵ブラシ41に捕集され得る塵埃の最大量に達し、それ以上捕塵できなくなる。
【0042】
次に、操作部272を、後方から前方を見て反時計方向に捻り、後方壁26の縁辺26aがストッパー7の規制面71bに当接するまで捕塵体2を回転させる。すると第1捕塵ブラシ41は筐体3の内部に隠れるが、塵埃Dはまた第1捕塵ブラシ41に付着したままである(図5(b)参照)。
【0043】
次に、操作部272を、後方から前方を見て時計方向に捻り、後方壁26の縁辺26aがストッパー7の規制面71aに当接するまで捕塵体2を回転させる。この過程で、第1捕塵ブラシ41に付着してた塵埃Dは、当接する第1除塵ブラシ51によりすくい上げられ第1除塵ブラシ51に移動する。したがって、第1捕塵ブラシ41は再び捕塵開口33から露出するが、このとき第1捕塵ブラシ41には塵埃は付着していない(図5(c)参照)。したがってこの状態で再び衣服の塵埃を捕集することも可能となる。
【0044】
次に再び操作部272を、後方から前方を見て反時計方向に捻り、後方壁26の縁辺26aがストッパー7の規制面71bに当接するまで捕塵体2を回転させる。この過程で、第1除塵ブラシ51に付着していた塵埃Dは第1捕塵ブラシ41によってすくい上げられ、収塵開口23を通って収塵室22に移動する(図5(d)参照)。
【0045】
以上の過程を繰り返すことによって、衣服の塵埃Dは、第1捕塵ブラシ41および第1除塵ブラシ51を経由して、収塵室22に収容されることになる。ここで、捕塵体2は後方に向けて、狭持体63により弾性的に付勢されているため、第1捕塵ブラシ41と第1除塵ブラシ51との間に作用する圧力が強すぎることはなく、そのため使用者は捕塵体2を困難なく回転させることができる。
【0046】
なお、上述の説明では第1捕塵ブラシ41を使用して衣服の塵埃を除去する手順について説明したが、第2捕塵ブラシ42を使用することも可能である。まず最初に、捕塵開口33から第2捕塵ブラシ42を露出させて衣服に当接させ、衣服ブラシ1を図5における左方向に動かし、塵埃Dを第2捕塵ブラシ42で捕集し、その後上述の説明に記載の方向とそれぞれ反対方向に操作して捕塵体2を回転させることによって、捕集した塵埃を第2除塵ブラシ52を経由して収塵室22に移送することができる。
【0047】
ここで、捕塵ブラシ41,42それぞれの周方向で略反対位置における操作部272の表面に、それぞれの捕塵ブラシを衣服に当接させた場合に塵埃を捕集するため動かすべき方向を、矢印等で標示するのが好適である。使用者は、捕塵開口33から露出している捕塵ブラシを衣服に当接させて使用する場合、塵埃を捕集するためにはいずれの方向に動かすべきかを、この標示によって視認することができるからである。
【0048】
また、図示の衣服ブラシ1では、第2捕塵ブラシ42および第2除塵ブラシ52が設けられているが、これらを設けず第1捕塵ブラシ41と第2除塵ブラシ51との組み合わせだけでも、衣服の塵埃を収塵室22に移送することができる。
【0049】
次に収塵室22に収容された塵埃を排出する方法について図6に基づいて説明する。
【0050】
操作部272を把持して前方に力を加えると、狭持体63が径方向外側に移動して狭持体63の傾斜面631と突起体61の膨出部611との係合が解除され(図3参照)、捕塵体2と筐体3とが分離する。そして収塵室22に収容された塵埃Dを排出することが可能となる。塵埃を排出した後、捕塵体2を着脱開口32を通じて筐体3の内部に挿入し、狭持体63の傾斜面631と突起体61の膨出部611とを係合させれば、再び衣服の塵埃を除去する作業に供することが可能となる。このとき、基部612の後端の縁612aが滑らかであれば係合がスムーズとなるため好適である(図3参照)。なお、捕塵体2を着脱開口32から挿入して筐体3に装着する際、突起体61が狭持体63に到達するまで、捕塵ブラシ41,42と捕塵ブラシ51,52とは接触しないため、摩擦により挿入が阻害されることはなく容易に装着することができる。また摩擦を受ける機会が少ないため、着脱を繰り返しても捕塵ブラシ41,42および捕塵ブラシ51,52は摩耗しにくく、また傾斜パイルの傾倒方向が徐々に変わっていくというおそれもない。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る衣服ブラシの側面図を図7に示す。以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0052】
第1の実施形態に係る衣服ブラシ1は、捕塵面21の形状が回転軸9を中心とし後方から前方に向かって拡径する切頭円錐面であったが、第2の実施形態に係る衣服ブラシの捕塵面21は、回転軸9と中心とし後方から前方に向かって拡径しつつも、回転軸9方向に沿って外に凸となるような形状の回転面となっている。この場合、捕塵面21が捕塵開口33の略中央部で突出しているため、捕塵面21を衣服に当接させることが容易になる。なお、回転軸9に垂直な断面における捕塵面21の半径が後方から前方に向けて単調に増加していれば、捕塵体2を着脱開口32を通じて筐体3の内部に挿入して捕塵面21とガイド面31とを嵌合させることが可能であるため、図示の形状に限定されることはなく、例えば後方から前方に向けてラッパ状に拡径する曲面とすることも可能である。
【0053】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る衣服ブラシの側面部分断面図を図8(a)に、また係合部の拡大断面図を図8(b)に示す。以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0054】
第1の実施形態に係る衣服ブラシ1は、捕塵体2と筐体3とを回転軸9方向に互いに係合する機能を突起体61および狭持体63により実現していたがこれに限定されるものではない。第3の実施形態では、図8に図示する通り、筐体3の着脱開口32の近傍に、ガイド面31から内側に向けて突出する突起38を設け、また突起38と略同一断面位置において、捕塵面21に周方向に延びる溝29を設け、突起38が有する係合面38aと溝29が有する傾斜29aとを係合させることにより、捕塵体2と筐体3とを回転軸9方向に互いに係合するとともに、捕塵体2を後方に向けて付勢している。また、筐体3を弾性変形させることにより係合を解除することも可能であり、捕塵体2を筐体3から分離することも可能となる。なお、突起38をばねにより付勢することも可能であり、また突起38をばね自身とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシを示す側面図および底面図である。
【図2】図1の断面A−Aおよび断面B−Bを示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシにおける突起体と狭持体との係合を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシの咬合体を示した正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシの除塵作用を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシの塵埃を排出する方法を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る衣服ブラシの側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る衣服ブラシの側面断面図および拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 衣服ブラシ
2 捕塵体
21 捕塵面
22 収塵室
23 収塵開口
271 端部
272 操作部
3 筐体
31 ガイド面
32 着脱開口
33 捕塵開口
34 第1縁部
35 第2縁部
41 第1捕塵ブラシ
42 第2捕塵ブラシ
43 分割線
51 第1除塵ブラシ
52 第2除塵ブラシ
61 突起体
611 膨出部
63 狭持体
631 傾斜面
7 ストッパー
8 柄
9 回転軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に付着した塵埃を除去するのに適した衣服ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の衣服ブラシの一例として、特許文献1に記載されるような衣服ブラシが知られている。この衣服ブラシは、衣服に付着する塵埃を捕集した後、塵埃を外部に飛散させることなく衣服ブラシの内部に移送して収容することができるという利点がある。その一方で、機構部分を多く含むため部品点数が増加し、また高い形状精度および組立精度が必要となり、さらには組み立てに多くの工数を要するため、高価格となるという問題があった。また、塵埃を衣服ブラシの内部に移送するには、衣服の塵埃を直接捕集するブラシ面と、ブラシ面に付着した塵埃を掻き出す塵埃除去ブラシとが当接していることが必要であるが、部品の形状精度および組立精度が低い場合、それらの当接が確保されなくなったり、またはそれらの当接の圧力が非常に大きくなるおそれがあった。ブラシ面と塵埃除去ブラシとが当接しない場合は、捕集した塵埃を衣服ブラシの内部に移送して収容するという機能を発揮することができなくなり、また当接の圧力が大きくなると摩擦力のため本体部を回転させることが困難となるという問題があった。
【0003】
一方、従来の衣服ブラシの他の例として特許文献2に記載されるような衣服ブラシも知られている。この衣服ブラシは、塵埃除去ブラシをブラシ面に向けて付勢する構成を採用しており、これによって、高い精度を必要とせずとも塵埃除去ブラシとブラシ面との当接を維持しつつ、また本体部の回転を阻害しない適正な当接の圧力を実現し、特許文献1に記載の衣服ブラシが有していた問題を解決していた。しかし、塵埃除去ブラシを付勢するための機構を含むため、部品点数および組み立て工数が増加し、高価格となるという問題があった。
【0004】
また、従来の衣服ブラシは、先端がR形状となっており、非使用時には横にするか、柄の部分の穴を利用して吊るして保管するしかなく、立てて保管することができなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−258644号公報
【特許文献2】特開2002−209637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、従来の衣服ブラシと同様に、塵埃を内部に移送して収容する機能を確保しつつも、部品点数が少なく低価格であり、使用者が容易に使用および保管することができる衣服ブラシが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、前後に延びる回転軸を中心とする回転面からなる捕塵面を外面に有し、内部には塵埃が収容される収塵室が設けられているとともに、外部と前記収塵室とを連通する収塵開口が上部に設けられた捕塵体と、前記捕塵面と嵌合するガイド面を内面に有し、前記捕塵体が挿入される着脱開口が前方の端部に設けられているとともに塵埃を取り入れる捕塵開口が下部に設けられており、前記捕塵面の一部を前記捕塵開口から露出させつつ前記捕塵体を前記回転軸を中心に回転可能に保持する中空の筐体と、前記捕塵面に設けられ、前記回転軸回りの一の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1捕塵ブラシと、前記捕塵開口に対して前記一の方向に隣接する第1縁部における前記ガイド面に設けられ、前記一の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1除塵ブラシと、前記捕塵体と前記筐体とを前記回転軸方向に互いに係合する係合手段とを備え、前記着脱開口から前方に突出して外部に露出する操作部が前記捕塵体に設けられており、前記回転軸に垂直な断面における前記捕塵面の半径が、後方から前方に向けて一定または単調に増加していることを特徴とする衣服ブラシである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、捕塵開口から露出する捕塵面に設けられた第1捕塵ブラシを衣服に当接させつつ所定の方向に動かすことにより、衣服に付着した塵埃を捕集することができ、その後操作部を把持して捕塵体を回転させることにより、捕集された塵埃が捕塵体の内部の収塵室に移送され、その後捕塵体を筐体から分離して、収塵室内の塵埃を排出することが可能な衣服ブラシを提供することができる。すなわち、部品点数および機構部が少なく低価格であり、使用者にとって使いやすい衣服ブラシを提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記捕塵面が後方から前方に向かって拡径する切頭円錐面であることを特徴とする請求項1に記載の衣服ブラシである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、捕塵面の断面の半径が後方から前方に向けて単調に増加しているため、部品形状および組立に高精度を必要とすることなく、また調整作業を要することなく、捕塵ブラシと除塵ブラシとを当接させることが可能となる。また、捕塵ブラシと除塵ブラシとの間に作用する圧力は強すぎることはなく、そのため使用者は捕塵体を困難なく回転させることができる。さらに、捕塵体を着脱開口から挿入して筐体に装着する際、捕塵体の後端が筐体の内部の奥に到達するまで捕塵ブラシと除塵ブラシとが接触しないので、摩擦により挿入が阻害されることなく容易に装着することが可能であり、また着脱を繰り返しても捕塵ブラシおよび除塵ブラシの摩耗が少ない衣服ブラシを提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記係合手段が、前記捕塵体の後方の端部から前記回転軸に沿って突出する突起体と、前記筐体に支持されつつ前記回転軸に向けて径方向に付勢され、前記突起体を狭持する狭持体とからなり、前記狭持体は後方から前方に向けて縮径する切頭円錐面からなる傾斜面を備え、前記突起体は前記回転軸の径方向外側に膨出して前記傾斜面に係合する膨出部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の衣服ブラシである。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、突起体を捕塵体から延設しつつ狭持体を筐体の内部に設けるという、簡易な構成で捕塵体と筐体とを回転軸方向に互いに係合することが可能となり、また捕塵体と筐体との分離および塵埃の排出が容易な衣服ブラシを提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記捕塵体の回転を所定の角度に規制する規制手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣服ブラシである。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、使用者の意に反して捕塵開口と収塵室とが連通して、収塵室に収容された塵埃が外部に飛散するおそれがない衣服ブラシを提供することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記捕塵面を周方向に二分する分割線より前記一の方向側の前記捕塵面に、前記第1捕塵ブラシが設けられているとともに、前記分割線より前記一の方向と反対の他の方向側の前記捕塵面に設けられ、前記他の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2捕塵ブラシと、前記捕塵開口に対して前記他の方向に隣接する第2縁部の前記ガイド面に設けられ、前記他の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2除塵ブラシとをさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衣服ブラシである。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、異なる2方向にブラッシング可能な衣服ブラシを提供することができる。また、第1捕塵ブラシおよび第2捕塵ブラシによって捕塵された塵埃を、同一の操作によって同時に収塵室へと移送することが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記筐体の後方の端部から柄が延設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服ブラシである。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、使用者が柄を把持して衣服に付着した塵埃を除去することができ、また柄と操作部とを両手で把持して捻ることによって捕塵ブラシで捕集された塵埃を収塵室に移送することができ、取扱いが容易な衣服ブラシを提供することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、前記捕塵体の前方の端部を下にして自立可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の衣服ブラシである。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前方の端部の方が後方の端部よりも断面の径が大きいため、柄を上にして立てた状態で安定して保管することができる衣服ブラシを提供することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、前記捕塵体の前方の端部から柄が延設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服ブラシである。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、使用者が柄を把持して衣服に付着した塵埃を除去することができ、また柄が操作部の機能を兼ねるため、柄と筐体とを両手で把持して捻ることによって捕塵ブラシで捕集された塵埃を収塵室に移送することができ、取扱いが容易な衣服ブラシを提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、捕塵開口から露出する捕塵面に設けられた第1捕塵ブラシを衣服に当接させつつ所定の方向に動かすことにより、衣服に付着した塵埃を捕集することができ、その後操作部を把持して捕塵体を回転させることにより、捕集された塵埃が捕塵体の内部の収塵室に移送され、その後捕塵体を筐体から分離して、収塵室内の塵埃を排出することが可能な衣服ブラシを提供することができる。すなわち、部品点数および機構部が少なく低価格であり、使用者にとって使いやすい衣服ブラシを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
つぎに、この発明の実施の形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシを図1〜6に示す。図1(a)は、第1の実施形態に係る衣服ブラシを示す側面図であり、図1(b)は底面図である。図2(a)は図1における断面A−Aを示す断面図であり、図2(b)は図1における断面B−Bを示す断面図である。図3は、図2(b)に示される突起体と狭持体との係合を拡大して示す拡大断面図である。図4は第1の実施形態に係る衣服ブラシに使用されている咬合体について前方から後方を見た正面図である。図5は第1の実施形態に係る衣服ブラシの除塵作用を示す説明図であり、図6は収容された塵埃を排出する方法を示す説明図である。なお以降の説明において、図1(a)における左手を前方、右手を後方とし、また図1(a)における上方を上方、下方を下方として記述する。
【0026】
本実施形態にかかる衣服ブラシ1は、前後に延びる回転軸9を中心とし、後方から前方に向かって拡径する切頭円錐面からなる捕塵面21を外面に有する捕塵体2と、捕塵面21と嵌合するガイド面31を内面に有する中空の筐体3とを主な構成要素とする。なお、本実施形態に係る衣服ブラシ1は捕塵面21が切頭円錐面であるが、後方から前方に向かって断面が一定の円柱面とすることももちろん可能であり、さらに回転軸9を中心とする任意の回転面とすることも可能である。ただし、捕塵体2と筐体3とを脱着可能に構成するには、回転軸9に垂直な断面における半径が、後方から前方に向けて一定または単調に増加するような回転面である必要がある。ここで、本明細書において「回転面」とは、直線または曲線を異なる直線を中心に回転させて得られた図形を指すものとする。捕塵体2および筐体3の材料としては、加工およびコストの面から硬質プラスチックが好適であるが、適宜選択可能である。
【0027】
捕塵体2は捕塵面21の形状に沿った周壁24、回転軸9に垂直に設けられ前方に位置する前方壁25および回転軸9に垂直に設けられ後方に位置する後方壁26を備え、周壁24、前方壁25および後方壁26が、塵埃が収容される収塵室22を内部に画成し、また収塵室22と外部とを連通する収塵開口23を上部に画成している。
【0028】
筐体3の前方の端部には着脱開口32が備えられ、着脱開口32から捕塵体2が挿入されており、捕塵面21とガイド面31とが嵌合している。捕塵面21およびガイド面31はいずれも回転軸9を中心とする後方から前方に向けて断面の半径が単調に増加する回転面であるため、捕塵体2は筐体3に対して回転軸9を中心に回転可能であり、かつ着脱開口32を通じて着脱可能となっている。
【0029】
捕塵面21の周方向中央には捕塵面21を二分する分割線43が有り、捕塵面21のうち図2(a)で見て分割線43より右側には、反時計方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1捕塵ブラシ41が備えられており、捕塵面21のうち図2(a)で見て分割線43より左側には、時計方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2捕塵ブラシ42が備えられている。
【0030】
捕塵体2には、前方壁25から前方に突出する突出壁27が設けられ、そのうち着脱開口32から前方に位置する部分は、使用者が捕塵体2を筐体3に対して相対的に捻るために把持される操作部272を形成している。図1および2に示す操作部272は、筐体3の外形に滑らかに沿った形状であるが、把持可能となるよう任意の形状とすることができる。例えば、前方壁25から前方に向けて突出する突条のリブ(図示しない)を設けると、使用者はリブ(図示しない)をつまんで操作することが可能となる。また、突出壁27の前方の端部271を回転軸9に略垂直な面上に形成すると、前方の端部の方が後方の端部よりも断面の径が大きいため、前方の端部271を下にして床や棚などに衣服ブラシ1を自立させた状態で安定して保管することができる。
【0031】
捕塵体2の後方には、突起体61が後方壁26から回転軸9に沿って後方に向けて突設されている。図3に示すように、突起体61は、後方壁26から延出する円柱状の軸部613と、軸部613の後端から延設され、回転軸9から径方向外側に膨出しつつ、前方から後方に行くに従って拡径する膨出部611と、膨出部611の後端から延設される基部612とから構成されている。なお、軸部613のうち後方壁26近傍について太軸に構成して太軸部613aを形成し、さらに太軸部613aと嵌合する部分を筐体2に設けることによって、後述のように捕塵体2が径方向にガタつくことを抑制することが可能となる。
【0032】
筐体3は底面視で略台形状の捕塵開口33を下方に備え、捕塵開口33から捕塵体2の捕塵面21の一部が露出している。図2(a)で見て捕塵開口33の右側に隣接する第1縁部34のガイド面31には、反時計方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1除塵ブラシ51が備えられており、第1捕塵ブラシ41と当接している。また、図2(a)で見て捕塵開口33の左側に隣接する第2縁部35のガイド面31には、時計方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2除塵ブラシ52が備えられており、第2捕塵ブラシ42と当接している。なお、捕塵開口33の形状は図示の形状に限られず、任意の形状とすることができる。
【0033】
筐体3の後方の端部には回転軸9に垂直な支持壁36,37が設けられており、それらの間に咬合体62が収容されている。支持壁36,37にはそれぞれ回転軸9を中心とする円形の開口361,371が設けられており、捕塵体2が筐体3に挿入された際に、突起体61を受容している。なお、開口361と軸部613の太軸部613aとが嵌合するように開口361の径を設定することによって、捕塵体2が径方向にガタつくことを抑制することが可能となる。
【0034】
咬合体62は図4に示す通り、枠体65と、枠体65に接続されたばね体64,・・・,64と、ばね体64により回転軸9に向けて径方向に付勢された狭持体63,63とから構成されている。狭持体63は回転軸9を中心とする円弧形の切り欠き部632を備え、狭持体63の後面63bにおける切り欠き部632の周囲には、図3に示すように後方から前方に行くに従って縮径する切頭円錐面からなる傾斜面631が形成されており、突起体61の膨出部611と係合している。これによって、捕塵体2と筐体3とが回転軸9方向に互いに係合することになる。なお、捕塵体2を筐体3に対して回転させる際、傾斜面631と膨出部611との間に摩擦力が作用するが、捕塵体2の回転を摩擦力によって阻害しないよう、咬合体62の材料としてナイロンやポリアセタール等の低摩擦の材料が好適に用いられる。またこのとき捕塵体2の取り外しもスムーズになる。また、突起体61の基部612の後端を滑らかに形成し、さらに狭持体63の前面63aにおける切り欠き部632の周囲に、前方から後方に行くに従って縮径する切頭円錐面からなる傾斜面633を形成することによって、捕塵体2を筐体3にスムーズに装着することができる。また、本実施形態では、狭持体63は上下に2つ設けられているが、3つ以上の狭持体を設けることも可能である。また、本実施形態は枠体65、ばね体64および狭持体63が一体として成形され咬合体62を構成しているが、別体に構成されたばねを用いて狭持体63を付勢することも可能である。
【0035】
筐体3の支持壁36からは規制面71a,71bを備えたストッパー7が前方に向けて突設されている。規制面71a,71bは、捕塵体2が所定の角度回転したときに、後方壁26の縁辺26aと当接して回転が止まるような位置に設定されており、これによって、収塵室22が捕塵開口33を通じて外部と連通することを防止している(図5参照)。規制面71a,71bは規制壁72,72に設けられており、また補強壁73が規制壁72,72を結合することによって、ストッパー7の剛性を確保している。また、ストッパー7を支持壁36から所定の長さ突出させると、収塵開口23を下に向けた状態で捕塵体2を筐体3に挿入しても、後方壁26がストッパー7と干渉して膨出部611と傾斜部631とが係合しないため、誤装着を防止することができる。
【0036】
なお、本実施形態では筐体3から突出する部材が捕塵体2の回転を規制するよう構成されているが、筐体3の支持壁36に回転軸9を中心とする円弧状の溝を設け、捕塵体2から突出する突起をこの溝に係合させるなど、捕塵体2の回転を規制する手段としてその他任意の構成を採用することが可能である。
【0037】
筐体3の後方には柄8が後方に向けて延出されており、柄8の後部には、衣服ブラシ1をフックに引っ掛けたり、紐を通したりして利用可能な吊下孔81が上下方向に貫通して形成されている。なお、本実施形態では柄8が筐体3から延設されているが、捕塵体2から前方に向けて延設することも可能である。
【0038】
捕塵体2は、筐体3の着脱開口32から挿入され、捕塵面21とガイド面31とが嵌合した状態で、筐体3の内部に保持される。このとき、突起体61の膨出部611が狭持体63の傾斜面631と係合し、かつ狭持体63が回転軸9に向けて径方向に付勢されているため、突起体61は後方に向けて力を受け、それに伴って捕塵体2と筐体3とが回転軸9方向に互いに係合するとともに、捕塵体2は後方に向けて付勢されることになる。これによって、捕塵面21がガイド面31に向けて付勢されることになり、捕塵ブラシ41,42と除塵ブラシ51,52との当接が維持される。また、突出壁27において着脱開口32から後方に位置する部分であって捕塵ブラシ41,42と周方向で反対側に、捕塵面21上に位置する摺接面28が設けられており、捕塵体2を筐体3に対して回転させる際、捕塵体2が上部に逃げて捕塵ブラシ41,42と除塵ブラシ51,52とが離間することを防止している。
【0039】
ここで、製造公差の集積などにより捕塵面21の径が設定していた径より大きくなったような場合でも、筐体3に対する捕塵体2の相対的な前後方向の位置を、設定していた位置よりも若干前方にずらすことにより、捕塵ブラシ41,42と除塵ブラシ51,52との当接の圧力を弱めることが可能となる。また、軸部613を必要な長さより若干長めに成型しておけば、捕塵体2の前後方向の位置に一定の範囲のあそびが生じ、このあそびによって上記の公差の集積を吸収することが可能となり、捕塵ブラシ41,42と除塵ブラシ51,52との当接の圧力が大きくなることを回避することができる。すなわち、捕塵体2の回しやすさについて、製品個体ごとの差が生じにくくなる。
【0040】
次に本実施の形態に係る衣服ブラシの使用方法について、まず除塵の方法について図5に基づいて説明する。
【0041】
操作部272を、後方から前方を見て時計方向に捻り、後方壁26の縁辺26aがストッパー7の規制面71aに当接するまで捕塵体2を回転させ、捕塵開口33から第1捕塵ブラシ41を露出させる。そして第1捕塵ブラシ41を衣服に当接させ、衣服ブラシ1を図5における右方向に動かすと、衣服に付着する塵埃Dがすくい上げられて第1捕塵ブラシ41に捕集される(図5(a)参照)。これを何度か繰り返すと第1捕塵ブラシ41に捕集され得る塵埃の最大量に達し、それ以上捕塵できなくなる。
【0042】
次に、操作部272を、後方から前方を見て反時計方向に捻り、後方壁26の縁辺26aがストッパー7の規制面71bに当接するまで捕塵体2を回転させる。すると第1捕塵ブラシ41は筐体3の内部に隠れるが、塵埃Dはまた第1捕塵ブラシ41に付着したままである(図5(b)参照)。
【0043】
次に、操作部272を、後方から前方を見て時計方向に捻り、後方壁26の縁辺26aがストッパー7の規制面71aに当接するまで捕塵体2を回転させる。この過程で、第1捕塵ブラシ41に付着してた塵埃Dは、当接する第1除塵ブラシ51によりすくい上げられ第1除塵ブラシ51に移動する。したがって、第1捕塵ブラシ41は再び捕塵開口33から露出するが、このとき第1捕塵ブラシ41には塵埃は付着していない(図5(c)参照)。したがってこの状態で再び衣服の塵埃を捕集することも可能となる。
【0044】
次に再び操作部272を、後方から前方を見て反時計方向に捻り、後方壁26の縁辺26aがストッパー7の規制面71bに当接するまで捕塵体2を回転させる。この過程で、第1除塵ブラシ51に付着していた塵埃Dは第1捕塵ブラシ41によってすくい上げられ、収塵開口23を通って収塵室22に移動する(図5(d)参照)。
【0045】
以上の過程を繰り返すことによって、衣服の塵埃Dは、第1捕塵ブラシ41および第1除塵ブラシ51を経由して、収塵室22に収容されることになる。ここで、捕塵体2は後方に向けて、狭持体63により弾性的に付勢されているため、第1捕塵ブラシ41と第1除塵ブラシ51との間に作用する圧力が強すぎることはなく、そのため使用者は捕塵体2を困難なく回転させることができる。
【0046】
なお、上述の説明では第1捕塵ブラシ41を使用して衣服の塵埃を除去する手順について説明したが、第2捕塵ブラシ42を使用することも可能である。まず最初に、捕塵開口33から第2捕塵ブラシ42を露出させて衣服に当接させ、衣服ブラシ1を図5における左方向に動かし、塵埃Dを第2捕塵ブラシ42で捕集し、その後上述の説明に記載の方向とそれぞれ反対方向に操作して捕塵体2を回転させることによって、捕集した塵埃を第2除塵ブラシ52を経由して収塵室22に移送することができる。
【0047】
ここで、捕塵ブラシ41,42それぞれの周方向で略反対位置における操作部272の表面に、それぞれの捕塵ブラシを衣服に当接させた場合に塵埃を捕集するため動かすべき方向を、矢印等で標示するのが好適である。使用者は、捕塵開口33から露出している捕塵ブラシを衣服に当接させて使用する場合、塵埃を捕集するためにはいずれの方向に動かすべきかを、この標示によって視認することができるからである。
【0048】
また、図示の衣服ブラシ1では、第2捕塵ブラシ42および第2除塵ブラシ52が設けられているが、これらを設けず第1捕塵ブラシ41と第2除塵ブラシ51との組み合わせだけでも、衣服の塵埃を収塵室22に移送することができる。
【0049】
次に収塵室22に収容された塵埃を排出する方法について図6に基づいて説明する。
【0050】
操作部272を把持して前方に力を加えると、狭持体63が径方向外側に移動して狭持体63の傾斜面631と突起体61の膨出部611との係合が解除され(図3参照)、捕塵体2と筐体3とが分離する。そして収塵室22に収容された塵埃Dを排出することが可能となる。塵埃を排出した後、捕塵体2を着脱開口32を通じて筐体3の内部に挿入し、狭持体63の傾斜面631と突起体61の膨出部611とを係合させれば、再び衣服の塵埃を除去する作業に供することが可能となる。このとき、基部612の後端の縁612aが滑らかであれば係合がスムーズとなるため好適である(図3参照)。なお、捕塵体2を着脱開口32から挿入して筐体3に装着する際、突起体61が狭持体63に到達するまで、捕塵ブラシ41,42と捕塵ブラシ51,52とは接触しないため、摩擦により挿入が阻害されることはなく容易に装着することができる。また摩擦を受ける機会が少ないため、着脱を繰り返しても捕塵ブラシ41,42および捕塵ブラシ51,52は摩耗しにくく、また傾斜パイルの傾倒方向が徐々に変わっていくというおそれもない。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る衣服ブラシの側面図を図7に示す。以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0052】
第1の実施形態に係る衣服ブラシ1は、捕塵面21の形状が回転軸9を中心とし後方から前方に向かって拡径する切頭円錐面であったが、第2の実施形態に係る衣服ブラシの捕塵面21は、回転軸9と中心とし後方から前方に向かって拡径しつつも、回転軸9方向に沿って外に凸となるような形状の回転面となっている。この場合、捕塵面21が捕塵開口33の略中央部で突出しているため、捕塵面21を衣服に当接させることが容易になる。なお、回転軸9に垂直な断面における捕塵面21の半径が後方から前方に向けて単調に増加していれば、捕塵体2を着脱開口32を通じて筐体3の内部に挿入して捕塵面21とガイド面31とを嵌合させることが可能であるため、図示の形状に限定されることはなく、例えば後方から前方に向けてラッパ状に拡径する曲面とすることも可能である。
【0053】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る衣服ブラシの側面部分断面図を図8(a)に、また係合部の拡大断面図を図8(b)に示す。以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0054】
第1の実施形態に係る衣服ブラシ1は、捕塵体2と筐体3とを回転軸9方向に互いに係合する機能を突起体61および狭持体63により実現していたがこれに限定されるものではない。第3の実施形態では、図8に図示する通り、筐体3の着脱開口32の近傍に、ガイド面31から内側に向けて突出する突起38を設け、また突起38と略同一断面位置において、捕塵面21に周方向に延びる溝29を設け、突起38が有する係合面38aと溝29が有する傾斜29aとを係合させることにより、捕塵体2と筐体3とを回転軸9方向に互いに係合するとともに、捕塵体2を後方に向けて付勢している。また、筐体3を弾性変形させることにより係合を解除することも可能であり、捕塵体2を筐体3から分離することも可能となる。なお、突起38をばねにより付勢することも可能であり、また突起38をばね自身とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシを示す側面図および底面図である。
【図2】図1の断面A−Aおよび断面B−Bを示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシにおける突起体と狭持体との係合を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシの咬合体を示した正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシの除塵作用を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る衣服ブラシの塵埃を排出する方法を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る衣服ブラシの側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る衣服ブラシの側面断面図および拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 衣服ブラシ
2 捕塵体
21 捕塵面
22 収塵室
23 収塵開口
271 端部
272 操作部
3 筐体
31 ガイド面
32 着脱開口
33 捕塵開口
34 第1縁部
35 第2縁部
41 第1捕塵ブラシ
42 第2捕塵ブラシ
43 分割線
51 第1除塵ブラシ
52 第2除塵ブラシ
61 突起体
611 膨出部
63 狭持体
631 傾斜面
7 ストッパー
8 柄
9 回転軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に延びる回転軸を中心とする回転面からなる捕塵面を外面に有し、内部には塵埃が収容される収塵室が設けられているとともに、外部と前記収塵室とを連通する収塵開口が上部に設けられた捕塵体と、
前記捕塵面と嵌合するガイド面を内面に有し、前記捕塵体が挿入される着脱開口が前方の端部に設けられているとともに塵埃を取り入れる捕塵開口が下部に設けられており、前記捕塵面の一部を前記捕塵開口から露出させつつ前記捕塵体を前記回転軸を中心に回転可能に保持する中空の筐体と、
前記捕塵面に設けられ、前記回転軸回りの一の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1捕塵ブラシと、
前記捕塵開口に対して前記一の方向に隣接する第1縁部における前記ガイド面に設けられ、前記一の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1除塵ブラシと、
前記捕塵体と前記筐体とを前記回転軸方向に互いに係合する係合手段とを備え、
前記着脱開口から前方に突出して外部に露出する操作部が前記捕塵体に設けられており、
前記回転軸に垂直な断面における前記捕塵面の半径が、後方から前方に向けて一定または単調に増加している
ことを特徴とする衣服ブラシ。
【請求項2】
前記捕塵面が後方から前方に向かって拡径する切頭円錐面であること
を特徴とする請求項1に記載の衣服ブラシ。
【請求項3】
前記係合手段が、前記捕塵体の後方の端部から前記回転軸に沿って突出する突起体と、
前記筐体に支持されつつ前記回転軸に向けて径方向に付勢され、前記突起体を狭持する狭持体とからなり、
前記狭持体は後方から前方に向けて縮径する切頭円錐面からなる傾斜面を備え、
前記突起体は前記回転軸の径方向外側に膨出して前記傾斜面に係合する膨出部を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の衣服ブラシ。
【請求項4】
前記捕塵体の回転を所定の角度に規制する規制手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣服ブラシ。
【請求項5】
前記捕塵面を周方向に二分する分割線より前記一の方向側の前記捕塵面に、前記第1捕塵ブラシが設けられているとともに、
前記分割線より前記一の方向と反対の他の方向側の前記捕塵面に設けられ、前記他の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2捕塵ブラシと、
前記捕塵開口に対して前記他の方向に隣接する第2縁部の前記ガイド面に設けられ、前記他の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2除塵ブラシとをさらに備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衣服ブラシ。
【請求項6】
前記筐体の後方の端部から柄が延設されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服ブラシ。
【請求項7】
前記捕塵体の前方の端部を下にして自立可能に構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の衣服ブラシ。
【請求項8】
前記捕塵体の前方の端部から柄が延設されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服ブラシ。
【請求項1】
前後に延びる回転軸を中心とする回転面からなる捕塵面を外面に有し、内部には塵埃が収容される収塵室が設けられているとともに、外部と前記収塵室とを連通する収塵開口が上部に設けられた捕塵体と、
前記捕塵面と嵌合するガイド面を内面に有し、前記捕塵体が挿入される着脱開口が前方の端部に設けられているとともに塵埃を取り入れる捕塵開口が下部に設けられており、前記捕塵面の一部を前記捕塵開口から露出させつつ前記捕塵体を前記回転軸を中心に回転可能に保持する中空の筐体と、
前記捕塵面に設けられ、前記回転軸回りの一の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1捕塵ブラシと、
前記捕塵開口に対して前記一の方向に隣接する第1縁部における前記ガイド面に設けられ、前記一の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第1除塵ブラシと、
前記捕塵体と前記筐体とを前記回転軸方向に互いに係合する係合手段とを備え、
前記着脱開口から前方に突出して外部に露出する操作部が前記捕塵体に設けられており、
前記回転軸に垂直な断面における前記捕塵面の半径が、後方から前方に向けて一定または単調に増加している
ことを特徴とする衣服ブラシ。
【請求項2】
前記捕塵面が後方から前方に向かって拡径する切頭円錐面であること
を特徴とする請求項1に記載の衣服ブラシ。
【請求項3】
前記係合手段が、前記捕塵体の後方の端部から前記回転軸に沿って突出する突起体と、
前記筐体に支持されつつ前記回転軸に向けて径方向に付勢され、前記突起体を狭持する狭持体とからなり、
前記狭持体は後方から前方に向けて縮径する切頭円錐面からなる傾斜面を備え、
前記突起体は前記回転軸の径方向外側に膨出して前記傾斜面に係合する膨出部を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の衣服ブラシ。
【請求項4】
前記捕塵体の回転を所定の角度に規制する規制手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣服ブラシ。
【請求項5】
前記捕塵面を周方向に二分する分割線より前記一の方向側の前記捕塵面に、前記第1捕塵ブラシが設けられているとともに、
前記分割線より前記一の方向と反対の他の方向側の前記捕塵面に設けられ、前記他の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2捕塵ブラシと、
前記捕塵開口に対して前記他の方向に隣接する第2縁部の前記ガイド面に設けられ、前記他の方向に向けて傾倒した傾斜パイルからなる第2除塵ブラシとをさらに備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衣服ブラシ。
【請求項6】
前記筐体の後方の端部から柄が延設されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服ブラシ。
【請求項7】
前記捕塵体の前方の端部を下にして自立可能に構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の衣服ブラシ。
【請求項8】
前記捕塵体の前方の端部から柄が延設されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣服ブラシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−154894(P2010−154894A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333711(P2008−333711)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000228822)日本シール株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000228822)日本シール株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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