説明

衣服用クリップ

【課題】ワイシャツやブラウスなどの衣服において従来から使用されているボタンとこれに対応するボタン孔との組み合わせによる留め合わせに替えて、ボタン及びボタン孔を用いずに留め合わせることを可能にする衣服用の新たな器具を提案する。
【解決手段】互いに対向する方向に開口している第一の開口部と第二の開口部とをそれぞれ備えていて、当該第一の開口部及び第二の開口部でそれぞれ被挟持物を挟持する第一の挟持具と第二の挟持具とが組み合わされてなる衣服用クリップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイシャツやブラウスなどの衣服において従来から使用されているボタンとこれに対応するボタン孔との組み合わせによる留め合わせに替えて、ボタン及びボタン孔を用いずに留め合わせることを可能にする衣服用の新たな器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からワイシャツやブラウス等の衣服にはボタンとボタン孔とが対で設けられ、ボタンを対応するボタン孔に挿入して取り付けることにより留め合わせることが行われている。
【0003】
衣服において物品を留め合わせるものとして、和服の分野では、特に、襟止に関して種々の提案がされている。
【0004】
例えば、特許文献1には略U字状の挟持板の間隔を拡開可能にし、該挟持板の一方の一側に該挟持板と略直交方向に間隙を拡開可能に略U字状に形成した他の挟持板を設けた構造からなる襟止が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、弾性を有する線又は細い板状体の中央部に適当な長さを隔ててその両端が互いに逆方向に折り曲げられ、当該折り曲げられた部分の長さが前記中央部の長さを越えない程度に形成された扁平なS字状である和服の衿用留ピンが提案されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、襟付き衣料を被覆包装する際に、衣料の複数箇所を同時に固定するために使用される衣料用固定クリップが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭50−41705
【特許文献2】実開昭61−199212
【特許文献3】実公昭58−16538
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ワイシャツやブラウスなどの衣服において従来から使用されているボタンとこれに対応するボタン孔との組み合わせによる留め合わせに替えて、ボタン及びボタン孔を用いずに留め合わせることができるならば、デザイン開発や製造工程において必ずボタン及びボタン孔を設けねばならないという制約から解放され、また、ボタン及びボタン孔を設ける必要がなくなることから斬新なデザインやアイデアが誕生する可能性がある。
【0009】
また、ボタン及びボタン孔を用いずに衣服を留め合わせることができるならば、衣服を製造するコストの面でも有利になる可能性がる。
【0010】
そこで、この発明は、ワイシャツやブラウスなどの衣服において従来から使用されているボタンとこれに対応するボタン孔との組み合わせによる留め合わせに替えて、ボタン及びボタン孔を用いずに留め合わせることを可能にする衣服用の新たな器具を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明が提案するものは、
互いに対向する方向に開口している第一の開口部と第二の開口部とをそれぞれ備えていて、当該第一の開口部及び第二の開口部でそれぞれ被挟持物を挟持する第一の挟持具と第二の挟持具とが組み合わされてなる衣服用クリップ
である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、ワイシャツやブラウスなどの衣服において従来から使用されているボタンとこれに対応するボタン孔との組み合わせによる留め合わせに替えて、ボタン及びボタン孔を用いずに留め合わせることを可能にする衣服用の新たな器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の衣服用クリップの一例を表す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は斜視図。
【図2】図1図示の本発明の衣服用クリップの使用状態の一例を説明する図であって、(a)は衣服の右前身頃の端縁に取り付けた状態、(b)は複数個所で衣服の左前身頃端縁と、右前身頃端縁とをと間あわせた状態、(c)複数個所で衣服の左前身頃端縁に取り付けている状態を説明する図。
【図3】本発明の衣服用クリップの他の例を表す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は図面において上側に位置するクリップの開口部が開口している状態の斜視図。
【図4】(a)本発明の他の実施例に係る衣料用クリップボタンを構成する第1クリップをシャツの右前身頃縁部に取り付けた図、(b)同じく左前身頃縁部に第2クリップを取り付けたシャツの完成図、(c)同じく衣料用クリップボタンをシャツに取り付けた状態から、第2クリップのみを取り外したシャツの状態を示す図。
【図5】(a)図1図示の本発明の衣服用クリップの他の一例を表す斜視図、(b)図3図示の本発明の衣服用クリップの他の一例を表す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が提案する衣服用クリップは、互いに対向する方向に開口している第一の開口部と第二の開口部とをそれぞれ備えていて、当該第一の開口部及び第二の開口部でそれぞれ被挟持物を挟持する第一の挟持具と第二の挟持具とが組み合わされてなるものである。
【0015】
前述した本発明の衣服用クリップは、前記第一の挟持具及び前記第二の挟持具がそれぞれ第一の挟持具第一挟持片と第一の挟持具第二挟持片、第二の挟持具第一挟持片と第二の挟持具第二挟持片とを備えており、前記第一の挟持具第一挟持片と第二の挟持具第一挟持片とが第一の挟持具及び第二の挟持具に共通する構造になって前記第一の挟持具と前記第二の挟持具とが組み合わされている構造にすることができる。
【0016】
あるいは、前述した本発明の衣服用クリップは、前記第一の挟持具及び前記第二の挟持具がそれぞれ第一の挟持具第一挟持片と第一の挟持具第二挟持片、第二の挟持具第一挟持片と第二の挟持具第二挟持片とを備えており、前記第一の挟持具第一挟持片の前記第二の挟持具に対向する側の面と、前記第二の挟持具第一挟持片の前記第一の挟持具に対向する側の面とが互いに接合されて前記第一の挟持具と前記第二の挟持具とが組み合わされている構造にすることができる。
【0017】
そして、この場合、前記第一の挟持具第一挟持片の前記第一の開口部側の端と前記第一の挟持具第二挟持片の前記第一の開口部側の端とが互いに接近する方向に第一の付勢手段によって常に付勢されていることにより前記第一の開口部で被挟持物が挟持される形態にすることができる。
【0018】
あるいは、前記第一の挟持具第二挟持片の前記第一の開口部側の端が前記第一の挟持具第一挟持片の前記第一の開口部側の端から離れる方向に第三の付勢手段によって常に付勢されており、当該第三の付勢手段に抗して前記第一の挟持具第二挟持片の前記第一の開口部側の端を前記第一の挟持具第一挟持片の前記第一の開口部側の端に接近させることにより前記第一の開口部で被挟持物が挟持される形態にすることができる。
【0019】
これらの形態の場合に、更に、前記第二の挟持具第一挟持片の前記第二の開口部側の端と前記第二の挟持具第二挟持片の前記第二の開口部側の端とが互いに接近する方向に第二の付勢手段によって常に付勢されていることにより前記第二の開口部で被挟持物が挟持される形態にすることができる。
【0020】
あるいは、前記第二の挟持具第二挟持片の前記第二の開口側端が前記第二の挟持具第一挟持片の前記第二の開口側端から離れる方向に第四の付勢手段によって常に付勢されており、当該第四の付勢手段に抗して前記第二の挟持具第二挟持片の前記第二の開口部側の端を前記第二の挟持具第一挟持片の前記第二の開口部側の端に接近させることにより前記第二の開口部で被挟持物が挟持される形態にすることができる。
【0021】
本発明が提案する衣服用クリップの第一の挟持具及び第二の挟持具の第一の開口部及び第二の開口部で、従来のワイシャツ、ブラウス等において留め合わせを行うためにボタンとこれに対応するボタン孔とが配備・形成されていた個所をそれぞれ挟持する。これによって、ワイシャツ、ブラウス等の衣服に従来のようにボタンとこれに対応するボタン孔とを配備・形成する必要なしに、ボタンとこれに対応するボタン孔とによって行われていた衣服の留め合わせを行うことができる。
【0022】
このように、ボタン及びボタン孔を用いずに衣服を留め合わせることを可能にすることにより、デザイン開発や製造工程において必ずボタン及びボタン孔を設けねばならないという制約が解消される。
【0023】
そして、ボタン及びボタン孔を設ける必要がなくなることから、従来になかった斬新なデザインやアイデアが誕生する可能性及び、製造コストを従来より低廉に抑える可能性を広げることができる。
【0024】
また、本発明によれば、従来、ボタンやボタン孔が配備、形成されていたところにこれらを配備、形成する必要がなくなり、ボタン及びボタン孔を用いずに衣服を留め合わせることが可能になるので、身に付けた衣服の留め合わせを行う個所、その個数を衣服着用者が自由に決めることができる。そこで、着用者のファッションセンスを発揮する幅が大きく広がる効果がある。
【0025】
さらに、着用する衣服にボタン及びボタン孔を配備、形成する必要がないことにより、すっきりした衣服の着こなしが可能になる。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例を図1及び図2を参照して説明する。
【0027】
図1及び図2図示の実施例では、衣服用クリップ1aは、第一の挟持具に相当するクリップ6aと第二の挟持具に相当するクリップ6bとが組み合わされて構成されている。
【0028】
クリップ6aは、第一の開口部に相当する開口部20aを備えており、この開口部20aで被挟持物、例えば、衣服の端縁を挟持するようになっている。
【0029】
クリップ6bは、第二の開口部に相当する開口部20bを備えており、この開口部20bで被挟持物、例えば、衣服の端縁を挟持するようになっている。
【0030】
クリップ6aが備えている開口部20aと、クリップ6bが備えている開口部20bとは、図1図示のように、互いに対向する方向に開口している。
【0031】
クリップ6aは、第一の挟持具第一挟持片に相当する板体4aと第一の挟持具第二挟持片に相当する板体4bを備えている。板体4aの開口部20a側の端2aと板体4bの開口部20a側の端2bとは互いに接近する方向に第一の付勢手段である板ばね5aによって常に付勢されている。すなわち、板体4aの後端側3aと板体4bの後端側3bとは、第一の付勢手段である板ばね5aによって常に矢印21b、21a方向に付勢されている。こうして、板体4aの開口部20a側の端2aと、板体4bの開口部20a側の端2bとは互いに接近する方向に常に付勢されており、これにより開口部20aで被挟持物(例えば、ワイシャツ9の左前身頃11の端縁11a)が挟持されるようになっている。
【0032】
クリップ6bも同様の構造になっており、第二の挟持具第一挟持片に相当する板体4cと第二の挟持具第二挟持片に相当する板体4dを備えている。板体4cの開口部20b側の端2cと板体4dの開口部20b側の端2dとは互いに接近する方向に第二の付勢手段である板ばね5bによって常に付勢されている。すなわち、板体4cの後端側3cと板体4dの後端側3dとは、第二の付勢手段である板ばね5bによって常に矢印21c、21d方向に付勢されている。このように、板体4cの開口部20b側の端2cと、板体4dの開口部20b側の端2dとは互いに接近する方向に常に付勢されており、これにより開口部20bで被挟持物(例えば、ワイシャツ9の右前身頃10の端縁10a)が挟持されるようになっている。
【0033】
図1図示の実施形態では、第一の挟持具第一挟持片に相当する板体4aのクリップ6bに対向する側の面と、第二の挟持具第一挟持片に相当する4cのクリップ6aに対向する側の面とが互いに接合されてクリップ6aとクリップ6bとが組み合わされて、本発明の衣服用クリップ1aが構成されている。
【0034】
図示の実施形態では、前記の接合は、接着部材7としてアクリル系粘着剤からなる粘着シートを採用し、これによって、板体4aのクリップ6bに対向する側の面と、板体4cのクリップ6aに対向する側の面とを互いに接合させている。接合の形態はこれに限られず、種々の形態にすることができる。
【0035】
また、単一の板状体によって前記の板体4a及び板体4bを構成することができる。板体4aと板体4cとがクリップ6a及びクリップ6bに共通する構造にして、クリップ6aとクリップ6bとを組み合わせ、本発明の衣服用クリップにするものである。
【0036】
図5(a)は単一の板状体30によって前記の板体4a及び板体4bを構成した場合の本発明の衣服用クリップ1cの一例を説明する斜視図である。図1図示の実施形態と共通する構造部分には共通する符号を付けている。
【0037】
クリップ6aは、第一の挟持具第一挟持片に相当する板状体30と第一の挟持具第二挟持片に相当する板体4bを備えている。板状体30の開口部側の端30aと板体4bの開口部側の端2bとは互いに接近する方向に第一の付勢手段である板ばね5aによって常に付勢されている。すなわち、板状体30の端30bと板体4bの後端側3bとは、第一の付勢手段である板ばね5aによって常に矢印21b、21a方向に付勢されている。こうして、板状体30の開口部側の端30aと、板体4bの開口部側の端2bとは互いに接近する方向に常に付勢されており、これにより開口部で被挟持物(例えば、ワイシャツ9の左前身頃11の端縁11a)が挟持されるようになっている。
【0038】
クリップ6bも同様の構造になっており、第二の挟持具第一挟持片に相当する板状体30と第二の挟持具第二挟持片に相当する板体4dを備えている。板状体30の開口部側の端30bと板体4dの開口部側の端2dとは互いに接近する方向に第二の付勢手段である板ばね5bによって常に付勢されている。すなわち、板状体30の端30aと板体4dの後端側3dとは、第二の付勢手段である板ばね5bによって常に矢印21c、21d方向に付勢されている。このように、板状体30の開口部側の端30bと、板体4dの開口部側の端2dとは互いに接近する方向に常に付勢されており、これにより開口部で被挟持物(例えば、ワイシャツ9の右前身頃10の端縁10a)が挟持されるようになっている。
【0039】
次に、本発明の衣服用クリップ1aを用いて衣服の留め合わせを行う一例を説明する。
【0040】
衣服用クリップ1aにおけるクリップ6bの板体4cの後端側3cと板体4dの後端側3dとを、板ばね5bに抗して矢印21c、21dと反対の方向に押しつけ合ってクリップ6bの開口部20bを開口する。この開口している開口部20b内に、衣服、例えば、男性用のワイシャツ9の右前身頃10の端縁10aを挿入する。次いで、後端側3c、3dに加えていた力を取り除き、後端側3c、3dを板ばね5bの付勢力によって矢印21c、21d方向に移動させ、板体4cの開口部20b側の端2cと、板体4dの開口部20b側の端2dとを互いに接近させ、開口部20bでワイシャツ9の右前身頃10の端縁10aを挟持する(図2(a))。
【0041】
次に、衣服用クリップ1aにおけるクリップ6aの板体4aの後端側3aと板体4bの後端側3bとを、板ばね5aに抗して矢印21b、21aと反対の方向に押しつけ合ってクリップ6aの開口部20aを開口する。この開口している開口部20a内に、ワイシャツ9の左前身頃11の端縁11aを挿入する。次いで、後端側3a、3bに加えていた力を取り除き、後端側3a、3bを板ばね5aの付勢力によって矢印21b、21a方向に移動させ、板体4aの開口部20a側の端2aと、板体4bの開口部20a側の端2bとを互いに接近させ、開口部20aでワイシャツ9の左前身頃11の端縁11aを挟持する(図2(b))。
【0042】
こうして、右前身頃10と左前身頃11がずれないように注意して、衣服用クリップ1aのクリップ6a、クリップ6bでワイシャツ9の右前身頃10の端縁10aとこれに対応する位置の左前身頃11の端縁11aとを挟持する。
【0043】
前記作業を所定の個数分行うことでワイシャツ9の右前身頃10と左前身頃11を留め合わせることができる(図2(b))。
【0044】
また、図2(c)に示すように、片側の前身頃縁部にのみ衣料用クリップ1aを取り付けた状態にすることもできる。
【0045】
このように本発明の衣服用クリップ1aが備えている第一の挟持具に相当するクリップ6a及び第二の挟持具に相当するクリップ6bの第一の開口部に相当する開口部20a及び第二の開口部に相当する開口部20bで、従来のワイシャツ、ブラウス等において留め合わせを行うためにボタンとこれに対応するボタン孔とが配備・形成されていた個所をそれぞれ挟持する。これによって、ワイシャツ、ブラウス等の衣服に従来のようにボタンとこれに対応するボタン孔とを配備・形成する必要なしに、ボタンとこれに対応するボタン孔とによって行われていた衣服の留め合わせを行うことができる。
【0046】
前述した第一の挟持具第一挟持片に相当する板体4a、第一の挟持具第二挟持片に相当する板体4b、第二の挟持具第一挟持片に相当する板体4c、第二の挟持具第二挟持片に相当する板体4dは合成樹脂製、あるいは金属製にすることができる。
【0047】
また、衣服の端縁を挟持した際に外側になる板体4bの外側面(図1(a)中、上側面)、板体4dの外側面(図1(a)中、下側面)に装飾を施しておくことにより、本発明の衣服用クリップ1aにより、従来のワイシャツ、ブラウス等において留め合わせを行うためにボタンとこれに対応するボタン孔とが配備・形成されていた個所をそれぞれ挟持し、これによって、従来のボタンとこれに対応するボタン孔とによって行われていた衣服の留め合わせを行ったときに、板体4bの外側面(図1(a)中、上側面)あるいは、板体4dの外側面によって装飾的な効果を発揮させることもできる。
【0048】
また、図1図示の衣服用クリップ1aの場合、装飾具取付具8を第一の挟持具に相当するクリップ6a、第二の挟持具に相当するクリップ6bにそれぞれ配備しておき、この先端にフック形状を有する装飾具取付具8に、衣服の着用者が保有しているアクセサリーなどを取り付けることにより装飾的効果を高めることもできる。
【実施例2】
【0049】
本発明の他の実施例を図3及び図4を参照して説明する。
【0050】
なお、図3、図4図示の実施例において前述した実施例1、図1、図2で説明した構造部分と共通する部分に関しては図1、図2と同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0051】
図3及び図4図示の実施例では、衣服用クリップ1bは、第一の挟持具に相当するクリップ13と第二の挟持具に相当するクリップ12とが組み合わされて構成されている。
【0052】
クリップ13は、第一の開口部に相当する開口部20aを備えており、この開口部20aで被挟持物、例えば、衣服の端縁を挟持するようになっている。
【0053】
クリップ12は、第二の開口部に相当する開口部20bを備えており、この開口部20bで被挟持物、例えば、衣服の端縁を挟持するようになっている。
【0054】
クリップ13が備えている開口部20aと、クリップ12が備えている開口部20bとは、図3図示のように、互いに対向する方向に開口している。
【0055】
クリップ13は、第一の挟持具第一挟持片に相当する板体4aと第一の挟持具第二挟持片に相当する板体4bを備えている。
【0056】
板体4bは、第三の付勢手段である板ばね17によって、板体4bの開口部20a側の端2bが、板体4aの開口部20a側の端2aから離れる方向(図3(a)に矢印23aで示す方向)に常に付勢されている。
【0057】
そして、押付板18を、板体4aに回動自在に支持されている回転軸15を中心に、板ばね17の付勢力に抗して矢印24b方向に回転させることにより、板体4bの開口部20a側の端2bを、板体4aの開口部20a側の端2aに接近させ、図3(a)図示の状態として、第一の開口部である開口部20aで被挟持物(例えば、ワイシャツ9の左前身頃11の端縁11a)が挟持されるようになっている。
【0058】
クリップ12は、実施例1、図1を用いて説明したクリップ6bと同一の構造になっている。板体4cの後端側3cと板体4dの後端側3dとを常に矢印21c、21d方向に付勢している第二の付勢手段である板ばね14の構造が、実施例1、図1における板ばね5bの構造と相違しているだけであるので、実施例1、図1、図2を用いて説明したクリップ6bと同一の構造部分については同一の符号を付けてクリップ12の説明を省略する。
【0059】
図3図示の実施形態でも、実施例1、図1、2を用いて説明したものと同様に、実施例第一の挟持具第一挟持片に相当する板体4aのクリップ12に対向する側の面と、第二の挟持具第一挟持片に相当する4cのクリップ13に対向する側の面とが互いに接合されてクリップ12とクリップ13とが組み合わされて、本発明の衣服用クリップ1bが構成されている。
【0060】
ここでも、実施例1で説明したように、単一の板状体によって板体4a及び板体4cを構成することができる。これによって、板体4aと板体4cとがクリップ12及びクリップ13に共通する構造にし、クリップ12とクリップ13とを組み合わせて、本発明の衣服用クリップにするものである。
【0061】
図5(b)は単一の板状体30によって前記の板体4a及び板体4cを構成した場合の本発明の衣服用クリップ1dの一例を説明する斜視図である。図3図示の実施形態と共通する構造部分には共通する符号を付けている。
【0062】
クリップ13は、第一の挟持具第一挟持片に相当する板状体30と第一の挟持具第二挟持片に相当する板体4bを備えている。
【0063】
板体4bは、第三の付勢手段である板ばね17によって、板体4bの開口部側の端が、板状体30の開口部側の端30aから離れる方向(図5(b)に矢印23aで示す方向)に常に付勢されている。
【0064】
そして、押付板18を、板状体30に回動自在に支持されている回転軸15を中心に、板ばね17の付勢力に抗して矢印24b方向に回転させることにより、板体4bの開口部側の端を、板状体30の開口部側の端30aに接近させ、図5(b)図示の状態として、第一の開口部で被挟持物(例えば、ワイシャツ9の左前身頃11の端縁11a)が挟持されるようになっている。
【0065】
クリップ12は、図3図示のクリップ12と同一の構造である。すなわち、実施例1、図1を用いて説明したクリップ6bと同一の構造になっている。板状体30の端30aと板体4dの後端側3dとを常に矢印21c、21d方向に付勢している第二の付勢手段である板ばね14の構造が、実施例1、図1における板ばね5bの構造と相違しているだけであるので、実施例1、図1、図2を用いて説明したクリップ6bと同一の構造部分については同一の符号を付けてクリップ12の説明を省略する。
【0066】
次に、本発明の衣服用クリップ1bを用いて衣服の留め合わせを行う一例を説明する。
【0067】
まず、実施例1で説明したものと同じようにして、クリップ12の開口部20bでワイシャツ9の右前身頃10の端縁10aを挟持する(図4(a))。
【0068】
次に、衣服用クリップ13における押付板18を、板体4aに回動自在に支持されている回転軸15を中心に矢印24a方向に回転させることにより、板ばね17の付勢力により、板体4bの開口部20a側の端2bを矢印23aのように移動させて、板体4bの開口部20a側の端2bを板体4aの開口部20a側の端2aから離し、開口部20aを開口する(図3(d))。
【0069】
この開口している開口部20a内に、ワイシャツ9の左前身頃11の端縁11aを挿入する。
【0070】
次いで、押付板18を、板体4aに回動自在に支持されている回転軸15を中心に、板ばね17の付勢力に抗して矢印24b方向に回転させることにより、板体4bの開口部20a側の端2bを矢印23bのように移動させて、板体4bの開口部20a側の端2bを板体4aの開口部20a側の端2aに接近させ、図3(a)図示の状態として、第一の開口部である開口部20aでワイシャツ9の左前身頃11の端縁11aを挟持する(図4(b))。
【0071】
こうして、右前身頃10と左前身頃11がずれないように注意して、衣服用クリップ1bのクリップ12、クリップ13でワイシャツ9の右前身頃10の端縁10aとこれに対応する位置の左前身頃11の端縁11aとを挟持する。
【0072】
前記作業を所定の個数分行うことでワイシャツ9の右前身頃10と左前身頃11を留め合わせることができる(図4(b))。
【0073】
ここでも、図4(c)に示すように、片側の前身頃縁部にのみ衣料用クリップ1bを取り付けた状態にすることもできる。
【0074】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態、実施例を説明したが、本発明はかかる実施形態、実施例に限定されること無く、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
【0075】
例えば、上記の実施例1、2では、ワイシャツ、ブラウス、等の衣服の右前身頃の端縁と、左前身頃の端縁との間を留め合わせる場合を説明したが、本発明の衣服用クリップは、カフスボタン等で留めることがある衣服の袖口などを留め合わせる場合にも使用することができる。
【0076】
また、実施例1では衣服用クリップ1aを構成する第一の挟持具に相当するクリップ6aは、第一の挟持具第一挟持片に相当する板体4aの開口部20a側の端2aと第一の挟持具第二挟持片に相当する板体4bの開口部20a側の端2bとが互いに接近する方向に第一の付勢手段である板ばね5aによって常に付勢されており、第二の挟持具に相当するクリップ6bは、第二の挟持具第一挟持片に相当する板体4cの開口部20b側の端2cと第二の挟持具第二挟持片に相当する板体板体4dの開口部20b側の端2dとが互いに接近する方向に第二の付勢手段である板ばね5bによって常に付勢されていた。
【0077】
このクリップ6a、6bのいずれか一方又は双方を、実施例2のクリップ13のように、第一の挟持具第一挟持片に相当する板体4aが付勢手段である板ばね17によって、第一の挟持具第二挟持片に相当する板体4bの開口部20a側の端2bが、第一の挟持具第一挟持片に相当する板体4aの開口部20a側の端2aから離れる方向(図3(a)に矢印22aで示す方向)に常に付勢されていて、板ばね17の付勢力に抗して、板体4bの開口部20a側の端2bを、板体4aの開口部20a側の端2aに接近させることにより第一の開口部である開口部20aで被挟持物を挟持する構造・形態にクリップにすることができる。
【0078】
また、実施例2でも、クリップ13を、実施例1のクリップ6a、6b、実施例2のクリップ12のように、付勢手段によって開口部20aが閉鎖されるようになっている構造・形態にすることができるし、クリップ12を、実施例2のクリップ13のように、付勢手段によって開口部20bが開放されるようになっている構造・形態にすることができる。
【符号の説明】
【0079】
1a、1b、1c、1d 衣服用クリップ
2a 第一の挟持具第一挟持片の第一の開口部側の端
2b 第一の挟持具第二挟持片の第一の開口部側の端
2c 第二の挟持具第一挟持片の第二の開口部側の端
2d 第二の挟持具第二挟持片の第二の開口部側の端
3a 第一の挟持具第一挟持片の後端側
3b 第一の挟持具第二挟持片の後端側
4a 板体(第一の挟持具第一挟持片)
4b 板体(第一の挟持具第二挟持片)
4c 板体(第二の挟持具第一挟持片)
4d 板体(第二の挟持具第二挟持片)
5a 板ばね(第一の付勢手段)
5b 板ばね(第二の付勢手段)
6a クリップ(第一の挟持具)
6b クリップ(第二の挟持具)
7 接着部材
12 クリップ(第二の挟持具)
13 クリップ(第一の挟持具)
14 板ばね(第二の付勢手段)
15 第一の挟持具第一挟持片に回動自在に支持されている回転軸
17 板ばね(第三の付勢手段)
18 押付板
20a 開口部(第一の開口部)
20b 開口部(第二の開口部)
30 第一の挟持具と第二の挟持具とに共通する単一の板状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する方向に開口している第一の開口部と第二の開口部とをそれぞれ備えていて、当該第一の開口部及び第二の開口部でそれぞれ被挟持物を挟持する第一の挟持具と第二の挟持具とが組み合わされてなる衣服用クリップ。
【請求項2】
前記第一の挟持具及び前記第二の挟持具はそれぞれ第一の挟持具第一挟持片と第一の挟持具第二挟持片、第二の挟持具第一挟持片と第二の挟持具第二挟持片とを備えており、前記第一の挟持具第一挟持片と第二の挟持具第一挟持片とが第一の挟持具及び第二の挟持具に共通する構造になって前記第一の挟持具と前記第二の挟持具とが組み合わされていることを特徴とする請求項1記載の衣服用クリップ。
【請求項3】
前記第一の挟持具及び前記第二の挟持具はそれぞれ第一の挟持具第一挟持片と第一の挟持具第二挟持片、第二の挟持具第一挟持片と第二の挟持具第二挟持片とを備えており、前記第一の挟持具第一挟持片の前記第二の挟持具に対向する側の面と、前記第二の挟持具第一挟持片の前記第一の挟持具に対向する側の面とが互いに接合されて前記第一の挟持具と前記第二の挟持具とが組み合わされていることを特徴とする請求項1記載の衣服用クリップ。
【請求項4】
前記第一の挟持具第一挟持片の前記第一の開口部側の端と前記第一の挟持具第二挟持片の前記第一の開口部側の端とが互いに接近する方向に第一の付勢手段によって常に付勢されていることにより前記第一の開口部で被挟持物が挟持される
ことを特徴とする請求項2又は3記載の衣服用クリップ。
【請求項5】
前記第一の挟持具第二挟持片の前記第一の開口部側の端が前記第一の挟持具第一挟持片の前記第一の開口部側の端から離れる方向に第三の付勢手段によって常に付勢されており、当該第三の付勢手段に抗して前記第一の挟持具第二挟持片の前記第一の開口部側の端を前記第一の挟持具第一挟持片の前記第一の開口部側の端に接近させることにより前記第一の開口部で被挟持物が挟持される
ことを特徴とする請求項2又は3記載の衣服用クリップ。
【請求項6】
前記第二の挟持具第一挟持片の前記第二の開口部側の端と前記第二の挟持具第二挟持片の前記第二の開口部側の端とが互いに接近する方向に第二の付勢手段によって常に付勢されていることにより前記第二の開口部で被挟持物が挟持される
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項記載の衣服用クリップ。
【請求項7】
前記第二の挟持具第二挟持片の前記第二の開口部側の端が前記第二の挟持具第一挟持片の前記第二の開口部側の端から離れる方向に第四の付勢手段によって常に付勢されており、当該第四の付勢手段に抗して前記第二の挟持具第二挟持片の前記第二の開口部側の端を前記第二の挟持具第一挟持片の前記第二の開口部側の端に接近させることにより前記第二の開口部で被挟持物が挟持される
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項記載の衣服用クリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−212033(P2011−212033A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74496(P2010−74496)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(506362439)
【Fターム(参考)】