説明

衣服用ハンガー

【課題】
風通しをよくし、乾燥早期化、収納時の防虫効果や除湿効果に優れており、衣服に立体感を与えることができる衣服用ハンガーを提供することを課題とする。
【解決手段】
吊下げ用フックと、該フックの下方に配置した支持部材とを有する衣服用ハンガーであって、前記支持部材から、水平方向に回転自在に軸支した枠体を垂下したことを特徴とする衣服用ハンガー。前記支持部材の両端部に、腕部材を着脱自在に設けることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊下げ用フックと、該フックの下方に配置した支持部材とを有する衣服用ハンガーに関する。
具体的には、風通しをよくし、乾燥早期化、収納時の防虫効果や除湿効果に優れており、衣服に立体感を与えることができる衣服用ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
衣服を乾燥させる際に用いるハンガーとしては、平面的なハンガーが主流となっており、コスト的にも構造の観点からも非常に単純化されている。また、衣服の収納に用いるハンガーでは、場合によりやや太いハンガーが使用されている。
【0003】
乾燥用の衣服用ハンガーに関しては、従来から種々の提案がなされており、例えば、特開2000−354699号公報(特許文献1)には、ハンガーに取り付けて使用することで、例えば、カーディガンやトレーナーなどの長袖で比較的厚手の生地からなる濡れた衣類を早く乾かすことができるハンガーアタッチメント及びそれを使用したハンガー装置が提案されている。
【0004】
しかし、この特許文献1に記載されたハンガーアタッチメントは、衣類の袖部をみごろ部と重ならないように左右方向に離して掛けることを特徴とするものであり、みごろ部の表裏面の重なりや袖部の表裏面の重なりによる乾燥しにくさを解消することはできなかった。
【0005】
そこで、特開2005−34579号公報(特許文献2)には、ハンガー部材にほぼ水平方向に回転もしくは回転自在に取り付けたアーム部材を設け、洗濯物や衣類、タオル等を広げて保持することによって、風通しを良くして乾燥効率を高め、乾き易く、ズボンやスカート等が掛け易いハンガーが提案されている。
【0006】
しかし、この特許文献2に記載されたハンガーは、アーム部材を回転することによって衣服の上部を広げるものであり、衣服の下部に行くに従って表裏面が重なるため、衣服全体の風通し性を確保することはできなかった。
【0007】
特に、雨が降った日の室内乾燥、および、最近大量に販売されている高層マンションでは、高層階の場合、窓をあけることができず、高価な室内乾燥機を購入するか、もしくは比較的時間のかかる室内乾燥をおこなう方法がとられており、また、収納においては、現在の収納用ハンガーはやや太いハンガーが使用されているが、より多くの空気を含むようにして風通し性を向上させ、防虫や湿気対策ができるハンガーが必要であった。
【特許文献1】特開2000−354699号公報
【特許文献2】特開2005−34579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述のような従来使用されている平面型のハンガーのもつ乾燥に時間がかかるという問題点を解決し、風通しをよくし、乾燥早期化、収納時の防虫効果や除湿効果に優れており、衣服に立体感を与えることができる衣服用ハンガーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題を解決するために鋭意検討の結果、吊下げ用フックと、該フックの下方に配置した支持部材とを有する衣服用ハンガーの支持部材から、水平方向に回転自在に軸支した枠体を垂下することによって、風通しをよくし、乾燥早期化、収納時の防虫効果や除湿効果に優れており、衣服に立体感を与えることができる衣服用ハンガーを提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
【0010】
(1)吊下げ用フックと、該フックの下方に配置した支持部材とを有する衣服用ハンガーであって、前記支持部材から、水平方向に回転自在に軸支した枠体を垂下したことを特徴とする衣服用ハンガー。
(2)前記支持部材の両端部に、腕部材を着脱自在に設けたことを特徴とする(1)に記載の衣服用ハンガー。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吊下げ用フックと、該フックの下方に配置した支持部材とを有する衣服用ハンガーの支持部材から、水平方向に回転自在に軸支した枠体を垂下することによって、風通しをよくし、乾燥早期化、収納時の防虫効果や除湿効果に優れており、衣服に立体感を与えることができる衣服用ハンガーを提供することとができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
特に、本発明のハンガーに掛けた衣服を乾燥機を用いて乾燥する場合には、乾燥に要する電力やガスを節約できるので顕著な省エネルギー効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明を実施するための最良の形態について、図1乃至図6を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の衣服用ハンガーの実施形態を例示する図である。
図1において、1は吊下げ用フック、2は上部材、2´は支持部材、3は枠体、4は取手、5は回転棒、6は腕部材を示す。
【0013】
本発明は、吊下げ用フック1と、該フック1の下方に配置した支持部材2´とを有する衣服用ハンガーであって、前記支持部材2´から、水平方向に回転自在に軸支した枠体3を垂下したことを特徴とする。
【0014】
図1に示すように、吊下げ用フック1の下方に配置された支持部材2´から、水平方向(図1に示す矢印の方向)に回転自在に軸支した複数(図1の例では2個)の枠体3が垂下されており、取手4をひねると回転棒5が回転し、これと連動して枠体3が回転する機構となっている。
枠体3が回転することによって、上部材2に掛けられた衣服が前後方向(紙面に対して垂直方向)に膨れるため、衣服の上部だけでなく、衣服全体に渡って風通しをよくすることができるので、乾燥効果を高めることができるうえ、収納時に防虫効果や除湿効果を高めることができる。
【0015】
本発明においては、枠体の形状は問わないが、衣服全体を膨らませるためには、図1に示すように、例えば、幅5〜10cm、長さ30〜50cmの縦長の長方形とすることが好ましく、枠体3の中央部分を空洞にすることによって風通しをよくすることができる。
【0016】
また、本発明において枠体3の個数は問わないが、衣服を前後方向(厚さ方向)に膨らませて乾燥効果を高めるためには2〜3個が好ましい。
また、前記支持部材2´の両端部に、腕部材6を着脱自在に設け、衣服の袖の中に腕部材6を通すことによって、衣服の袖部における風通しを向上させることができる。
【0017】
この腕部材6の先端に、図1に示すような円形状もしくは楕円状の枠体を設けることにより、衣服の袖部を膨らませることができるので、さらに風通しを向上させることができる。
また、この腕部材6は、図6に示すように、支持部材2´に設けた差込穴8に差込むことによって装着し、引抜くことによって取り外すことができるので、ズボンなどの袖のない衣服を乾燥する場合には、腕部材6を取り外して使用することができる。
【0018】
図2は、本発明の衣服用ハンガーに用いる取手4と回転棒5の機構を例示する詳細図である。
図2に示すように、支持部材2´にくりぬき部を設け、そのくりぬき部に同径の回転棒5を通し、回転棒5および枠体3と一体成形することによって、回転棒5の上端に取手4を形成されているので、この取手4をひねることによって回転棒5を水平方向(図2の矢印で示す方向)に回転させることができるうえ、回転の途中で止めることにより、衣服の前後方向(厚さ方向)への膨らみ具合を調整することができる。
【0019】
本発明では、例えば、プラスチックなどの単一素材かつ平面状材料を使用してすべての構成部品が一体として作成可能であり、低コスト、また、早期乾燥のため、乾燥物を膨らませるための方法として、取手4をひねることにより簡単に膨らませることができる。
【0020】
また、乾燥が終了した時点で取手4をもとに戻すことにより、全体が平面となり、収納スペースを低減することができる。
また、通常は全体が平面状で、使用時のみ立体的になり、使用しない時は、枠体3、回転棒5、および、取手4を一体として取り外して収納することができるので、さらなる省スペース収納が実現できる。
なお、ハンガーを組み立てる時は、回転棒5をハンガーの支持部材2´に押し込むことで簡単に組み立てることができる。
【0021】
図3乃至図4は、本発明の衣服用ハンガーの使用状態を示す図である。
図3乃至図4において、1は吊下げ用フック、2は上部材、2´は支持部材、3は枠体、4は取手、5は回転棒、6は腕部材、7はクリップを示す。
図3は、本発明の衣服用ハンガーを用いて上半身部分のシャツや洋服を乾燥させている図である。
図3に示すように、取手4をひねって枠体3を適度に回転させることにより、シャツや洋服を適度に前後方向(紙面に対して垂直方向)に膨らませることができ、枠体3が縦長なのでシャツや洋服の内部まで風通しを向上させることができる。
【0022】
図4は、本発明の衣服用ハンガーを用いてズボンを乾燥させている図である。
図4に示すように、取手4をひねって枠体3を適度に回転させることにより、ズボンを適度に前後方向(紙面に対して垂直方向)に膨らませることができ、枠体3が縦長なのでズボンの内部まで風通しを向上させることができる。
なお、図4に示すように、支持部材2´にクリップ7を設けることにより、下着や靴下を吊下げることができる。
【0023】
図5は、本発明の衣服用ハンガーを用いて毛皮等の衣服を吊るして保存している図である。
例えば、衣服を収納入れにおいて保存するとき、特に木製の太い上部材2を使用している場合には、太い上部材2の下方にプラスチック等の支持部材2´を配置し、この支持部材2´に風通し用の枠体3を装着することによって、防虫効果や除湿効果を高めることができる。
【0024】
また、本発明のハンガーを用いて衣服を膨らませることにより、ブティックなどにおいて衣服を並べる際に立体感を持たせ、人が着ている状態をリアルに再現するディスプレイ効果を実現することができる。
図7〜図10は、従来のハンガーを本発明の衣服用ハンガーとして用いるためのアタッチメントを例示する図である。
図7および図8に示すように、差込穴8を有するアタッチメントを支持部材2´の断面形状に合わせて、角形断面の場合は図7のアタッチメントを用い、円形断面の場合には図8のアタッチメントを用い、差込穴8に前述の回転棒5を差し込んで、本発明の枠体3を支持部材2´から垂下することによって、従来のンガーを本発明の衣服用ハンガーとして用いることができる。
また、図9および図10に示すように、従来のハンガーの支持部材2´の端部に、図9の場合は木ネジを用い、図10の場合はクリップを用いて、前述の腕部材6を差し込んで取り付ける取付部材を設けることにより、従来のハンガーを本発明の衣服用ハンガーとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の衣服用ハンガーの実施形態を例示する図である。
【図2】本発明の衣服用ハンガーに用いる取手と回転棒の機構を例示する詳細図である。
【図3】本発明の衣服用ハンガーを用いて上半身部分のシャツや洋服を乾燥させている図である。
【図4】本発明の衣服用ハンガーを用いてズボンを乾燥させている図である。
【図5】本発明の衣服用ハンガーを用いて毛皮等の衣服を吊るして保存して いる図である。
【図6】本発明の衣服用ハンガーに用いる腕部材と差込穴の機構を例示する 詳細図である。
【図7】従来のハンガーを本発明の衣服用ハンガーとして用いるためのアタ ッチメントを例示する図である。
【図8】従来のハンガーを本発明の衣服用ハンガーとして用いるためのアタ ッチメントを例示する図である。
【図9】従来のハンガーを本発明の衣服用ハンガーとして用いるためのアタ ッチメントを例示する図である。
【図10】従来のハンガーを本発明の衣服用ハンガーとして用いるためのア タッチメントを例示する図である。
【符号の説明】
【0026】
1 吊下げ用フック
2 上部材
2´支持部材
3 枠体
4 取手
5 回転棒
6 腕部材
7 クリップ
8 差込穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊下げ用フックと、該フックの下方に配置した支持部材とを有する衣服用ハンガーであって、前記支持部材から、水平方向に回転自在に軸支した枠体を垂下したことを特徴とする衣服用ハンガー。
【請求項2】
前記支持部材の両端部に、腕部材を着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1に記載の衣服用ハンガー。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−144102(P2007−144102A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54237(P2006−54237)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【特許番号】特許第3839464号(P3839464)
【特許公報発行日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(505372169)
【Fターム(参考)】