説明

衣類乾燥機

【課題】回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、衣類の絡まりを解除する。
【解決手段】回転ドラム1内の衣類に接触するように設けられた第1の電極9および第2の電極10と、第1および第2の電極間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19と、第1および第2の抵抗値検出手段に接続された演算手段20と、演算手段の出力により回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段21とを備え、演算手段は、第1および第2の抵抗値検出手段から出力される抵抗値の大小を比較演算することにより、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、第1および第2の抵抗値検出手段から出力される抵抗値の比較演算値に応じて、ドラム回転制御手段により回転ドラムの回転を制御し、衣類の絡まりを解除するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の洗濯物を乾燥させる衣類乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類乾燥機は省エネルギー化が要求されており、衣類を効率よく乾燥させるためには、回転ドラム内で撹拌されている衣類の絡まり度合いを検出し、衣類の絡まりを自動的に解除する必要がある。
【0003】
従来、この種の衣類乾燥機は、回転ドラム内の衣類に接触するように設けられた電極の抵抗値を検出する抵抗検知手段と、温度センサにより乾燥中の温風温度を検出する温度検知手段の情報とに基づいて、運転時間を設定するようにしたものが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図8は、特許文献1に記載された従来の衣類乾燥機のブロック回路図である。図8において、本体の正面側に設けた温風吹出口を有する内周板に熱源となる正の温度特性を有するヒータ51を配設し、送風ファンの回転によりヒータ51を通って加熱された温風が温風吹出口から回転ドラム内に導入され、衣類が加熱乾燥される。回転ドラムの近傍に位置し内周板の温風吹出口の下部と上部に温度センサ52a、52bを設けて温度を検出するようにしている。
【0005】
抵抗検知手段53では電極54の抵抗値を検出し、温度検知手段55は温度センサ52a、52bからの温度を検出する。制御手段56はマイクロコンピュータを含む各種電子回路から構成されており、抵抗検知手段53および温度検知手段55からの信号を取り込んでヒータ51およびモータ57への通電制御を行う。
【0006】
そして、図9に示すように、電極54の抵抗値Rが所定時間T5連続して設定値bよりも大きくなった時刻t6より、遅延時間T7経過した時刻t8において運転を終了するように構成している。
【0007】
また、電極検知時間比較手段58によって得られた情報は、運転前の被乾燥物が水分を多く含んでいるときは、抵抗比較手段59により抵抗値Rが所定時間T5連続して設定値bよりも大きくなった時刻t6が遅くなる。逆に、運転前の被乾燥物が含んでいる水分が少ないときはt6が早くなる。このt6を電極検知時間比較手段58によって複数の設定値と比較することにより、運転前の被乾燥物の湿り具合を知ることができる。
【0008】
演算手段60は、以上のようにして判断した被乾燥物の容量の大小と、湿り具合に応じた遅延時間T7をあらかじめ設定された値から選択するようにしている。このため、負荷量、湿り度合いに応じて遅延時間が設定でき、最適な運転時間で自動的に運転を停止させることができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−253397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、乾燥運転中に回転ドラム内の衣類が湿り状態から
乾き状態になる場合に一対の電極間の抵抗値が急激に変化し、また、乾燥運転中に回転ドラム内の衣類の絡まりが生じた場合にも、一対の電極間の抵抗値が急激に変化するため、乾燥終了検知と衣類の絡まり検知を判別することが難しいという問題があった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、衣類の絡まりを解除することができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衣類乾燥機は、回転ドラム内の衣類に接触するように内周板に設けられた第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極に接続され、前記第1の電極間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段と、前記第2の電極に接続され、前記第2の電極間の抵抗値を検出する第2の抵抗値検出手段と、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段に接続された演算手段と、前記演算手段の出力により前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段とを備え、前記演算手段は、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段から出力される抵抗値の大小を比較演算することにより、前記回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段から出力される抵抗値の比較演算値に応じて、前記ドラム回転制御手段により前記回転ドラムの回転を制御し、衣類の絡まりを解除するようにしたものである。
【0013】
これによって、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、衣類の絡まりを解除すべく回転ドラムの回転を制御することができ、衣類の絡まりに起因する乾燥後の衣類の乾燥率のばらつきを低減することができ、省エネルギー化に対して最適な乾燥運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の衣類乾燥機は、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、回転ドラムの回転制御により衣類の絡まりを解除することができ、衣類の絡まりに起因する乾燥後の衣類の乾燥率のばらつきを低減し、効率的に乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における衣類乾燥機の要部断面図
【図2】同衣類乾燥機の図1のA−A矢視図
【図3】同衣類乾燥機の要部システム概略図
【図4】同衣類乾燥機の電極検出信号とドラム回転制御信号の時間変化を示すグラフ
【図5】同衣類乾燥機の動作を示す制御フローチャート
【図6】本発明の実施の形態2における衣類乾燥機の電極検出信号とドラム回転制御信号の時間変化を示すグラフ
【図7】同衣類乾燥機の動作を示す制御フローチャート
【図8】従来の衣類乾燥機のブロック回路図
【図9】同衣類乾燥機の電極の検出抵抗値の時間変化を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、本体内に回転自在に設けられた回転ドラムと、前記本体の前部に設けられた内周板と、前記回転ドラム内の衣類に接触するように前記内周板に設けられた第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極に接続され、前記第1の電極間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段と、前記第2の電極に接続され、前記第2の電極間の抵抗値を検出する第2の抵抗値検出手段と、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段に接続された演算手段と、前記演算手段の出力により前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段とを備え、前記演算手段は、前記第1の抵抗値検出手段および前
記第2の抵抗値検出手段から出力される抵抗値の大小を比較演算することにより、前記回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段から出力される抵抗値の比較演算値に応じて、前記ドラム回転制御手段により前記回転ドラムの回転を制御し、衣類の絡まりを解除するようにしたことにより、乾燥運転中において、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、衣類の絡まりを解除するべく回転ドラムの回転を制御して、衣類の絡まりに起因する乾燥運転後(仕上がり)の衣類の乾燥率のばらつきを低減することができるとともに、省エネルギー化に対して最適な乾燥運転を行うことができる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の第1の電極および第2の電極は、回転ドラムの回転方向にずれた異なる位置に設けたことにより、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いによって、複数の電極間の検出抵抗値の不均衡が発生し、複数の検出抵抗値の差分が大きくなるため、衣類の絡まり度合いを検出することができる。
【0018】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の演算手段は、回転ドラムの回転方向に応じて、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段に接続された複数の検出抵抗を切り換えるようにしたことにより、回転ドラム内の衣類の絡まりがない場合、複数の一対の電極間の検出抵抗値が均衡状態となるため、乾燥終了検知と衣類の絡まり検知を判別することができる。
【0019】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分の大小を比較演算することにより、衣類の絡まり度合いの大小を検出するようにしたことにより、衣類の絡まり度合いの大小に応じて、乾燥運転終了時間を補正することができ、衣類の絡まりに起因する乾燥運転後(仕上がり)の衣類の乾燥率のばらつきを低減することができる。
【0020】
第5の発明は、特に、第4の発明の演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値以下となるように、回転ドラムの回転を制御するようにしたことにより、複数の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値(衣類の絡まり検出閾値)以下となるべく回転ドラムの回転を制御するため、衣類の絡まりに起因する乾燥運転後(仕上がり)の衣類の乾燥率のばらつきを低減することができ、省エネルギー化に対して最適な運転を行うことができる。
【0021】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明の演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値より大きい場合、回転ドラムの回転方向を切り換えるようにしたことにより、複数の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値(衣類の絡まり検出閾値)以下となるべく、回転ドラムの回転方向を制御するため、衣類の絡まりに起因する乾燥運転後(仕上がり)の衣類の乾燥率のばらつきを低減することができ、省エネルギー化に対して最適な運転を行うことができる。
【0022】
第7の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明の演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値より大きい場合、回転ドラムの回転数を変化させるようにしたことにより、複数の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値(衣類の絡まり検出閾値)以下となるべく回転ドラムの回転数を制御するため、衣類の絡まりに起因する乾燥運転後(仕上がり)の衣類の乾燥率のばらつきを低減することができ、省エネルギー化に対して最適な運転を行うことができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における衣類乾燥機の要部断面図、図2は、同衣類乾燥機の図1のA−A矢視図、図3は、同衣類乾燥機の要部システム概略図である。
【0025】
図1〜図3において、衣類イ等の乾燥対象を入れて乾燥させる回転ドラム1は、衣類乾燥機の本体2内に回転自在に設けられている。回転ドラム1を駆動するモータ3を設け、モータ3の駆動により回転ドラム用ベルト4を介して回転ドラム1を回転させるようにしている。乾燥用空気は、モータ3の駆動により送風ファン用ベルト5を介して送風ファン6を回転させ、衣類イを入れた乾燥室を構成する回転ドラム1内へ循環風路7を通して乾燥用空気を導入するようにしている。
【0026】
回転ドラム1の前面側に設けた内周板8は、本体2の前部に取り付けられ回転ドラム1を回転自在に構成している。乾燥運転中は回転ドラム1内で撹拌される衣類イに接触するように内周板8の回転ドラム1側に、衣類イの絡まり度合いを検出する第1の電極9および第2の電極10が設けられており、内周板8の内周8aと外周8bの間に配設されている。
【0027】
第1の電極9は、金属製の導電部材からなる一対の電極部9a、9bと、この一対の電極部9a、9b間を電気的に絶縁する絶縁部材(図示せず)により構成され、また、第2の電極10も第1の電極9と同様に、金属製の導電部材からなる一対の電極部10a、10bと、一対の電極部10a、10b間を電気的に絶縁する絶縁部材(図示せず)により構成されている。
【0028】
一対の電極部9aと9bおよび一対の電極部10aと10bは、所定の間隔をおいて、近接した位置で対向配置し、回転ドラム1の回転軸1aからの距離が異なるように配置してあり、電極部9aと9bおよび電極部10aと10b間に跨って接触した衣類イの抵抗値を検出する。
【0029】
第1の電極9および第2の電極10は、回転ドラム1の回転方向にずれた位置で内周板8に設けられている。一方の第1の電極9は、内周板8の回転ドラム1の回転軸1aを通る垂直平面に対する左方部に設けられ、他方の第2の電極10は、内周板8の回転ドラム1の回転軸1aを通る垂直平面に対する右方部に設けられている。
【0030】
また、第1の電極9および第2の電極10は、互いに異なる大きさで構成され、回転ドラム1内の衣類イに接触する表面積が異なり、第1の電極9が小さく、第2の電極10を第1の電極9より大きく形成している。具体的には、回転ドラム1の回転方向に延びる長さによって大きさを異ならせてあり、回転ドラム1内の衣類イの絡まりにより、第1の電極9および第2の電極10間の検出抵抗値の不均衡が発生するようにしている。
【0031】
なお、第1の電極9および第2の電極10は、図2のように内周板8に直線的に設けるほか、回転ドラム1の回転軸1aを中心として円弧状に設けてもよい。
【0032】
ヒートポンプ装置11は、圧縮機12、および圧縮された冷媒の熱を放熱する放熱器13、および高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り弁や毛細管等からなる絞り手段14、および減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器15とを冷媒が循環するように管路16で連結されており、冷媒は、図1の矢印Bの方向に流れて循環し、ヒートポンプサイクルを実現する。制御手段17は、モータ3、ヒートポンプ装置11等を制御し、乾燥運転を制御する。
【0033】
図3において、第1の電極9および第2の電極10は、回転ドラム1内の衣類イに接触
するように内周板8の回転ドラム1側に設けられ、湿り状態の衣類イが第1の電極9または第2の電極10に接触した場合、一対の電極部9aと9b、および電極部10aと10b間が電気的に導通するため、電極検出信号が第1の抵抗値検出手段18または第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。
【0034】
また、乾き状態の衣類イが第1の電極9または第2の電極10に接触した場合、一対の電極部9aと9b、および電極部10aと10b間が電気的に導通しないため、電極検出信号が第1の抵抗値検出手段18または第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力されない。
【0035】
制御手段17において、第1の電極9および第2の電極10に接続された第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19からの電極検出信号が演算手段20に入力され、演算処理された信号をドラム回転制御手段21に内包されたドラム回転方向制御手段21aに入力する。
【0036】
制御手段17は、演算手段20において演算処理された信号に基づいて、複数の検出抵抗に接続されたトランジスタをオン/オフすることにより、複数個の一対の電極間の抵抗値を検出するための複数の検出抵抗を切り換える。
【0037】
以上のように構成された衣類乾燥機について、以下その動作、作用を説明する。まず、乾燥対象である衣類イをドア22を開閉して回転ドラム1内に投入し、乾燥運転を開始すると、モータ3が駆動し、回転ドラム1および送風ファン6が回転して循環風路7に乾燥用空気の流れ(矢印C)が生じる。乾燥用空気は、回転ドラム1内の衣類イから水分を奪って多湿となった後、循環風路7内を通ってヒートポンプ装置11の吸熱器15へ導かれる。
【0038】
吸熱器15で低温の冷媒に熱を奪われた乾燥用空気は、冷却除湿されて乾いた低温の空気となって放熱器13へ運ばれる。吸熱器15で吸熱された熱量に、圧縮機12からの熱量が加わって高温となった冷媒からの放熱で加熱され、吹き出し口23から再び回転ドラム1内へと循環される。以上の繰り返しで衣類イの乾燥が進行する。
【0039】
回転ドラム1内で撹拌される衣類イが第1の電極9および第2の電極10に接触すると、それぞれの一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値と比較される。一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値より小さい場合、つまり、回転ドラム1内の衣類が「湿り状態」であると判断した場合は、低電位信号が第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。
【0040】
一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値より大きい場合、つまり、回転ドラム1内の衣類イが「乾き状態」であると判断した場合は、高電位信号が第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。
【0041】
演算手段20は、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数を差分演算することにより、回転ドラム1内の衣類の絡まり度合いを検出することができる。
【0042】
衣類イの絡まり状態がない場合、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数の差分演算値は、衣類イの絡まり検出閾値以下となる。
【0043】
衣類イの絡まり状態がある場合、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数の差分演算値は衣類の絡まり検出閾値より大きくなる。
【0044】
演算手段20は、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される2つの電極検出信号の差分演算値26に基づき、回転ドラム1内の衣類の絡まり度合いの大小に応じて、ドラム回転制御手段21にドラム回転制御信号を入力する。
【0045】
図4は、実施の形態1における衣類乾燥機の電極検出信号および差分演算値、ドラム回転制御信号の時間変化を示している。また、図5は、同衣類乾燥機の動作を示す制御フローチャートである。
【0046】
乾燥運転が開始されると、演算手段20は、図5に示すドラム回転制御のサブルーチンを開始する。ステップ31では、ドラム回転方向制御手段21aからドラム正転信号28が出力され、回転ドラム1内の湿り状態の衣類が第1の電極9および第2の電極10に接触する。
【0047】
ステップ32では、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から演算手段20に、例えば10秒間あたりの高電位信号のデータ数が入力される。ステップ33では、第1の電極検出信号24と第2の電極検出信号25を差分演算する。
【0048】
ステップ34において、2つの電極検出信号の差分演算値26が衣類の絡まり検出閾値27以上の場合、ステップ35において、演算手段20は回転ドラム1内の衣類は絡まり状態であると判定し、ステップ36において、ドラム回転方向制御手段21aからドラム反転信号29が出力され、ステップ34に戻る。
【0049】
ステップ34において、2つの電極検出信号の差分演算値26が衣類の絡まり検出閾値27より小さい場合、ステップ37において、演算手段20は回転ドラム1内の衣類は絡まり状態ではないと判定し、ステップ38において、割り込み判定を行い、割り込みがなければ、ステップ31へ戻り、割り込みがあれば、サブルーチンを終了し、メインルーチンへ戻る。
【0050】
以上のように、回転ドラム1内の衣類に接触するように内周板8に設けられた第1の電極9および第2の電極10と、第1の電極9に接続され、第1の電極9間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段18と、第2の電極10に接続され、第2の電極10間の抵抗値を検出する第2の抵抗値検出手段19と、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19に接続された演算手段20と、演算手段20の出力により回転ドラム1の回転を制御するドラム回転制御手段21とを備え、演算手段20は、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から出力される抵抗値の大小を比較演算することにより、回転ドラム1内の衣類の絡まり度合いを検出し、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から出力される抵抗値の比較演算値に応じて、ドラム回転制御手段21により回転ドラム1の回転を制御し、衣類の絡まりを解除するようにしたものであり、乾燥運転中に複数の電極検出信号を比較演算することにより、回転ドラム1内の衣類の絡まり度合いの大小を検出し、回転ドラム1の回転方向を制御し、衣類の絡まりを解除することができるものである。
【0051】
(実施の形態2)
図6は、本発明の第2の実施の形態における衣類乾燥機の電極検出信号とドラム回転制
御信号の時間変化を示すグラフ、図7は、同衣類乾燥機の動作を示す制御フローチャートである。本実施の形態の特徴は、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19が検出する抵抗値の差分が所定値より大きい場合、回転ドラム1の回転数を変化させるようにしたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0052】
制御手段17において、第1の電極9および第2の電極10に接続された第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19からの電極検出信号が演算手段20に入力され、演算処理された信号をドラム回転制御手段21に内包されたドラム回転数制御手段21bに入力する。
【0053】
制御手段17は、演算手段20において演算処理された信号に基づいて、複数の検出抵抗に接続されたトランジスタをオン/オフすることにより、複数個の一対の電極間の抵抗値を検出するための複数の検出抵抗を切り換える。
【0054】
以上の構成において、以下その動作、作用を説明する。回転ドラム1内で撹拌される衣類イが第1の電極9および第2の電極10に接触すると、それぞれの一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値と比較される。一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値より小さい場合、つまり、回転ドラム1内の衣類が「湿り状態」であると判断した場合は、低電位信号が第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。
【0055】
一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値より大きい場合、つまり、回転ドラム1内の衣類イが「乾き状態」であると判断した場合は、高電位信号が第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。
【0056】
演算手段20は、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数を差分演算することにより、回転ドラム1内の衣類イの絡まり度合いを検出することができる。
【0057】
衣類イの絡まり状態がない場合、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数の差分演算値は、衣類イの絡まり検出閾値以下となる。
【0058】
衣類イの絡まり状態がある場合、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数の差分演算値は衣類の絡まり検出閾値より大きくなる。
【0059】
演算手段20は、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される2つの電極検出信号の差分演算値26に基づき、回転ドラム1内の衣類の絡まり度合いの大小に応じて、ドラム回転制御手段21にドラム回転制御信号を入力する。
【0060】
乾燥運転が開始されると、演算手段20は、図7に示すドラム回転制御のサブルーチンを開始する。ステップ41では、ドラム回転数制御手段21bからドラム回転数設定値の初期値が出力され、回転ドラム1内の湿り状態の衣類が第1の電極9および第2の電極10に接触する。
【0061】
ステップ42では、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から演
算手段20に、例えば10秒間あたりの高電位信号のデータ数が入力される。ステップ43では、第1の電極検出信号24と第2の電極検出信号25を差分演算する。
【0062】
ステップ44において、2つの電極検出信号の差分演算値26が衣類の絡まり検出閾値27以上の場合、ステップ45において、演算手段20は、回転ドラム1内の衣類は絡まり状態であると判定し、ステップ46において、ドラム回転数制御手段21bからドラム回転数設定値の初期値に対して大小を一定周期にて変化させる、ドラム回転数信号30が出力され、ステップ44に戻る。
【0063】
ステップ44において、2つの電極検出信号の差分演算値26が衣類の絡まり検出閾値27より小さい場合、ステップ47において、演算手段20は、回転ドラム1内の衣類は絡まり状態ではないと判定し、ステップ48において、割り込み判定を行い、割り込みがなければ、ステップ41へ戻り、割り込みがあれば、サブルーチンを終了し、メインルーチンへ戻る。
【0064】
以上のように、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19が検出する抵抗値の差分が所定値より大きい場合、回転ドラム1の回転数を変化させるようにしたものであり、乾燥運転中に複数の電極検出信号を比較演算することにより、回転ドラム1内の衣類の絡まり度合いの大小を検出し、回転ドラム1の回転数を制御し、衣類の絡まりを解除することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる衣類乾燥機は、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、回転ドラムの回転制御により衣類の絡まりを解除することができ、衣類の絡まりに起因する乾燥後の衣類の乾燥率のばらつきを低減し、効率的に乾燥を行うことができるので、衣類乾燥機として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 回転ドラム
2 本体
8 内周板
9 第1の電極
10 第2の電極
18 第1の抵抗値検出手段
19 第2の抵抗値検出手段
20 演算手段
21 ドラム回転制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に回転自在に設けられた回転ドラムと、前記本体の前部に設けられた内周板と、前記回転ドラム内の衣類に接触するように前記内周板に設けられた第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極に接続され、前記第1の電極間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段と、前記第2の電極に接続され、前記第2の電極間の抵抗値を検出する第2の抵抗値検出手段と、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段に接続された演算手段と、前記演算手段の出力により前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段とを備え、前記演算手段は、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段から出力される抵抗値の大小を比較演算することにより、前記回転ドラム内の衣類の絡まり度合いを検出し、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段から出力される抵抗値の比較演算値に応じて、前記ドラム回転制御手段により前記回転ドラムの回転を制御し、衣類の絡まりを解除するようにした衣類乾燥機。
【請求項2】
第1の電極および第2の電極は、回転ドラムの回転方向にずれた異なる位置に設けた請求項1記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
演算手段は、回転ドラムの回転方向に応じて、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段に接続された複数の検出抵抗を切り換えるようにした請求項1または2記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分の大小を比較演算することにより、衣類の絡まり度合いの大小を検出するようにした請求項1または2記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値以下となるように、回転ドラムの回転を制御するようにした請求項4記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値より大きい場合、回転ドラムの回転方向を切り換えるようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
【請求項7】
演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する抵抗値の差分が所定値より大きい場合、回転ドラムの回転数を変化させるようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85791(P2013−85791A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230482(P2011−230482)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】