表示パネルを備えた表示装置における電磁波遮蔽方法および表示装置
【課題】導電接続の信頼性が高くかつ生産性に優れる電磁波遮蔽のための導電接続構造を提供する。
【解決手段】表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように帯状の導電体を設け、その後に表示パネルの前面に、電磁波遮蔽のための導電層とそれに重なる非導電層とからなるシートを貼り付ける。シートの貼り付けに際して、帯状の導電体の内端側部分と導電層の端部とを対向させる。帯状の導電体と導電層との接触を良好とするために、弾性導電部材を帯状の導電体の外端側部分とシートの端部の双方と当接するように配置する。または、磁力によってシートが帯状の導電体に押し付けられるように、シートの前側に帯状の導電体と引き合う磁気吸着部材を配置する。
【解決手段】表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように帯状の導電体を設け、その後に表示パネルの前面に、電磁波遮蔽のための導電層とそれに重なる非導電層とからなるシートを貼り付ける。シートの貼り付けに際して、帯状の導電体の内端側部分と導電層の端部とを対向させる。帯状の導電体と導電層との接触を良好とするために、弾性導電部材を帯状の導電体の外端側部分とシートの端部の双方と当接するように配置する。または、磁力によってシートが帯状の導電体に押し付けられるように、シートの前側に帯状の導電体と引き合う磁気吸着部材を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルを備えた表示装置のための電磁波遮蔽方法に関し、詳しくは表示面を覆う導体と表示面の周囲に配置される導体とを導通させる接続構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルによって画像を表示する表示装置においては、表示パネルが放射する電磁波を遮蔽するために、透明導電膜や金属メッシュといった透光性をもつ導電層(以下、シールド層という)によって表示面が覆われる。シールド層は表示パネルおよび駆動回路基板を収納する導電性の筐体と電気的に接続され、それによって表示パネルの外面全体が導体によって包囲される。表示パネルから前方へ放射される電磁波エネルギーは、シールド層から筐体へ電流となって流れて消滅する。
【0003】
表示パネルを機械的衝撃から守る保護ガラスを備えた表示装置では、所望の表示品質を得る上で必要な光学機能層とともに、シールド層が保護ガラス上に配置される。保護ガラスを備えない軽量型の表示装置では、必然的に表示パネル上にシールド層と光学機能層とが配置される。光学機能層としては、外光の反射を防止するAR層、表示色を補正するフィルタ層、および近赤外線を遮断するフィルタ層がある。保護ガラスと表示パネルのどちらにシールド層が配置されても、上述のようにシールド層と筐体とを導通させなければならない。
【0004】
保護ガラス上にシールド層を配置する構成に係る文献として特開2000−252681号公報がある。同公報の開示では、シールド層としての金属メッシュとそれを支持する透明樹脂フィルムとからなる2層構造のシートが、金属メッシュを保護ガラスに向けて保護ガラスに貼り付けられる。あらかじめ保護ガラスには接続用導体パターンが形成される。この接続用導体パターンは、金属メッシュの周縁部と重なりかつシートの端縁より張り出すように配置される。シートを保護ガラスに貼り付けた状態において、接続用導体パターンにおけるシートの外側の部分が露出する。この露出部分に弾性導電部材が載置され、弾性導電部材の前面に筐体の一部(前側のフレーム状の部分)が押し当てられる。これにより、弾性導電部材および接続用導体パターンを介して筐体と金属メッシュとが導電接続される。
【0005】
表示パネル上にシールド層を配置する構成に係る文献として特開2004−206076号公報がある。同公報の開示では、シールド層、フィルタ層およびAR層をこの順に積層したシートが、表示パネルの前面に貼り付けられる。シールド層の平面サイズがフィルタ層およびAR層の平面サイズよりも一回り大きいサイズとされており、シートを表示パネルに貼り付けた状態においてシールド層の周縁部の前面が露出する。この露出部分に弾性導電部材が載置され、弾性導電部材の前面に筐体の前側部分が押し当てられる。これにより、弾性導電部材を介在させて筐体と表示パネルとによりシールド層の周縁部を挟む形式でシールド層と筐体とが導電接続される。
【特許文献1】特開2000−252681号公報
【特許文献2】特開2004−206076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シールド層と部分的に重なる接続用導体パターンを筐体と導通させる従来構造では、シールド層と接続用導体パターンとの接触不良が生じ易く、電磁波遮蔽の信頼性が不十分であった。
【0007】
シールド層の平面サイズを光学機能層の平面サイズよりも大きくする従来構造では、重なり合うシールド層と光学機能層とでサイズが異なるので、あらかじめロールツーロールによってシールド層と光学機能層とを一体化しておくのが困難であるという問題があった。シールド層と光学機能層とを順に表示パネル上に配置する際には、生産性を損なう位置合わせが必要である。
【0008】
本発明の目的は、導電接続の信頼性が高くかつ生産性に優れる電磁波遮蔽のための導電接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
表示パネルの前面に、電磁波遮蔽のための導電層とそれに重なる非導電層とからなるシートを貼り付ける。シートは、表示パネルの前面における表示領域に対して全周にわたって張り出す大きさをもつ。シートの貼り付けに先立って、表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように帯状の導電体を設けておく。シートの貼り付けに際して、導電体の内端側部分と導電層の端部とを対向させる。弾性導電部材を介在させて導電性のフレームと表示パネルとで導電体を挟み、それによって導電層とフレームとを導通させる。フレームに所定の導電性構造体を組み付けることによって、表示パネルを導体で包囲する。本発明においては、導電体と導電層との接触を良好とするために、上記弾性導電部材を導電体の外端側部分とシートの端部の双方と当接するように配置する。または、磁力によってシートが導電体に押し付けられるように、シートの前側に導電体と引き合う磁気吸着部材を配置する。導電テープおよび磁気吸着部材の片方または両方を磁石とすることによって必要な磁力を生じさせる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1ないし請求項10の発明によれば、導電接続の信頼性が高くかつ生産性に優れる電磁波遮蔽のための導電接続構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明に係る表示装置の外観を示す。表示装置100は、フラット型であり、対角32インチの画面50をもつ。画面50の水平方向の寸法は0.72m、垂直方向の寸法は0.40mである。表示装置100の平面サイズを決める化粧カバー101は画面50よりも大きい開口を有しており、表示パネル装置1の前面が周縁部を除いて露出している。
【0012】
図2は表示パネル装置の構成の概略を示す。表示パネル装置1は、プラズマディスプレイパネル2と、プラズマディスプレイパネル2の前面に直接に貼り付けられた前面シート3とを備える。前面シート3は、電磁波遮蔽のための導電層を含む複数の層で構成される。プラズマディスプレイパネル2は、ガス放電によって発光する自己発光型のデバイスであり、前面板10と背面板20とからなる。前面板10および背面板20はともに厚さ3mm程度のガラス板を支持体とする構成要素である。
【0013】
プラズマディスプレイパネル2には放電ガスとしてネオンにキセノン(2%以上)を混合したペニングガスが充填されている。このペニングガスは、放電時に波長830nmおよび波長880nmの近赤外光を放射する。
【0014】
図3は図1のa−a矢視断面図であり、表示装置の内部構成を示す。表示装置100では、化粧カバー101が取り付けられた導電性ケース(シールド筐体)102の中に表示パネル装置1が駆動回路基板90とともに配置されている。導電性ケース102は、画面よりも若干大きい開口をもつフレーム102Aと、薄い箱状に成型されたプレート102Bとからなる。フレーム102Aは導電性ケース102の前側部分であり、プレート102Bは後ろ側部分である。
【0015】
表示パネル装置1は、両面接着テープ104によってアルミニウム製のシャーシ105に取り付けられ、シャーシ105はスペーサ106,107を介してプレート102Bに固定されている。シャーシ105の背面側に駆動回路基板90が配置されている。駆動回路基板90とプラズマディスプレイパネル2との電気的な接続にはフレキシブルケーブル108,109が用いられる。図3では電源、映像信号処理回路、および音響回路が省略してある。
【0016】
前面シート3は、0.3mm厚の多層構造の機能フィルム3Aと樹脂からなる約0.5mm厚の粘着層3Bとが重なった柔軟な積層体である。前面シート3の平面サイズ、厳密には機能フィルム3Aの平面サイズは画面の平面サイズよりも大きくかつプラズマディスプレイパネル2の平面サイズよりも小さい。粘着層3Bの平面サイズは画面の平面サイズよりも大きくかつ機能フィルム3Aの平面サイズよりも小さい。
【0017】
表示装置100において、前面シート3はプラズマディスプレイパネル2に沿って平坦に拡がり、その端部のみが導電性ケース102のフレーム102Aと重なる。フレーム102Aは前面シート3の前側に位置し、前面シート3の端部がフレーム102Aとプラズマディスプレイパネル2とで挟まれる。
【0018】
図4は導電接続構造の第1例を示す。
【0019】
機能フィルム3Aは電磁波遮蔽層320を有している。電磁波遮蔽層320は機能フィルム3Aにおける背面側の層である。電磁波遮蔽層320の平面サイズは粘着層3Bの平面サイズよりも大きいので、電磁波遮蔽層320の端部は粘着層3Bと重ならない。この電磁波遮蔽層320は、帯状の導電体である導電テープ121および弾性導電部材131を介してフレーム102Aと電気的に接続される。
【0020】
導電テープ121はプラズマディスプレイパネル2の前面に貼られている。導電テープ121は粘着層3Bと重ならず、導電テープ121の内側部分121Aと電磁波遮蔽層320の端部とが重なる。導電テープ121の幅Wは約10mmであり、内側部分121Aの幅は約5mmである。導電テープ121の厚さは粘着層3Bの厚さと同程度である。図では導電テープ121は粘着層3Bよりも若干薄い。
【0021】
弾性導電部材131は両面接着テープ137によってフレーム102Aの背面に取り付けられており、フレーム102Aがプラズマディスプレイパネル2の前側の適切な位置に配置されたときに導電テープ121と重なる位置に配置される。弾性導電部材131の幅は両面接着テープ137の幅より大きく、導電テープ121の幅Wと同程度である。つまり、弾性導電部材131の前面はフレーム102Aと接し、弾性導電部材131の背面は導電テープ121の外側部分121Bおよび光学フィルム層310の端部と接する。光学フィルム層310は機能フィルム3Aの前面側の層であり、非導電性の層である。
【0022】
弾性導電部材131はフレーム102Aとプラズマディスプレイパネル2とで挟まれて変形する。弾性導電部材131の復元力によって弾性導電部材131がフレーム102Aおよび導電テープ121と密着するとともに、機能フィルム3Aが導電テープ121に押し付けられる。この押し付けによって、電磁波遮蔽層320と導電テープ121との接触が良好に保たれる。
【0023】
ここで重要なことは、電磁波遮蔽層320と導電テープ121とが固着されないことである。このことは、プラズマディスプレイパネル2と機能フィルム3Aとの熱膨張率の差異に起因する機能フィルム3Aの剥離の防止、および前面シート3の貼り直しまたは貼り替えが必要になったときの作業の容易化に貢献する。
【0024】
弾性導電部材131としては、ウレタンフォームをメリヤス編みのワイヤーで包んだ棒状のシールド材、または導電物質が分散した柔軟な有機物からなる板状のガスケットが好適である。
【0025】
電磁波を十分に遮蔽するには、電磁波遮蔽層320を全周にわたってフレーム102Aと導通させる必要がある。このため、実際には図5のようにプラズマディスプレイパネル2の前面における四角形の表示領域50Aの周囲に、表示領域50Aの端縁に沿うように、すなわち四角形の4辺のそれぞれと平行に、4つの導電テープ121,122,123,124が貼り付けられる。表示領域50Aは画面に対応した領域である。導電テープ121〜124は表示領域50Aを囲む環状の導体層を形成する。このように4つの導電テープ121〜124を貼り付ける形態は、あらかじめ環状の導体を用意しておいてそれを貼り付ける形態と比べて製造コストの低減の点で有利である。
【0026】
また、導電テープ121〜124からなる環状の導体層を全周にわたってフレーム102Aと導通させるために、図6のように4つの弾性導電部材131,132,133,134が用いられる。これら弾性導電部材131〜134は、フレーム102Aの背面における開口の周囲に取り付けられ、導電テープ121〜124からなる環状の導体層とちょうど重なる環状の導体を形成するように、プラズマディスプレイパネル2の前側に配置される。図6の例では、弾性導電部材131〜134は、フレーム102Aの背面における開口の周囲に取り付けられ、フレーム102Aをプレート102Bに組み付けることによってプラズマディスプレイパネル2の前側に配置される。
【0027】
なお、導電テープ121〜124の貼り付けに代えて、プラズマディスプレイパネル2の前面に導電膜を形成し、それによって表示領域の端縁に沿う帯状の導電体を設けてもよい。導電膜の形成には厚膜法および薄膜法のどちらを用いてもよい。プラズマディスプレイパネル2の前面板10の電極を形成する工程において導電膜を形成するのが効率的である。導電膜材料としては、透明導電材料よりも金属材料の方が導電性の点で好適である。導電膜の形成では、1回の成膜で表示領域を囲む環状の膜を形成すればよく、4辺に沿った4つの帯状の導電体を1辺分ずつ順に形成する必要はない。
【0028】
図7は前面シートの層構造を示す。前面シート3は、前面側から順に0.2mm厚の光学フィルム層310、0.1mm厚の電磁波遮蔽層320、0.5mm厚の衝撃吸収機能をもつ粘着層3Bが重なった約0.8mm厚の積層体である。光学フィルム層310および電磁波遮蔽層320が機能フィルム3Aを構成する。前面シート3の全体の可視光透過率は視感度補正した値で約40%である。前面シート3の重さは約500gである。
【0029】
光学フィルム層310は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のフィルム311、フィルム311の前面側にコーティングされた反射防止膜312、およびフィルム311の背面側に形成された色素層313からなる。
【0030】
反射防止膜312は外光の反射を防止する。ただし、反射防止膜312の機能をAR(アンチリフレクション)からAG(アンチグレア)に変更してもよい。反射防止膜312は、シート表面の傷耐性を鉛筆硬度4Hまで高めるハードコートを含んでいる。
【0031】
色素層313は近赤外光の遮蔽とカラー表示に係る赤(R)、緑(G)、青(B)の可視光透過率の調整とを担う。色素層313には樹脂中に波長800nm〜1000nm近傍の光を吸収する赤外光吸収色素、波長580nm近傍の光を吸収するネオン光吸収色素、および可視光透過率を調整するための色素が含まれている。光学フィルム層310の外光反射率は視感度補正した値で3%、可視光透過率は視感度補正した値で55%である。また、近赤外光の透過率は吸収波長領域内の平均で10%である。
【0032】
電磁波遮蔽層320は、PET製のフィルム321とメッシュ状の部分をもつ銅箔である10μm厚の導電層322とからなる。導電層322のうち、画面と重なる領域の可視光透過率は80%である。導電層322の前面側表面には黒化処理が施されているので、光学フィルム層310を通して電磁波遮蔽層320を見ると、電磁波遮蔽層320はほぼ真っ黒に見える。
【0033】
光学フィルム層310のフィルム311および電磁波遮蔽層320のフィルム321は、プラズマディスプレイパネル2のガラス板が割れる非常事態が生じたときに、ガラスの飛散を防止する機能をもつ。この機能を得る上で、フィルム311およびフィルム321を合わせて、厚さが50μm以上であるのが望ましい。本例では、PETの厚さの合計が150μm以上である。
【0034】
粘着層3Bはアクリル系の軟質の樹脂からなり、その可視光透過率は90%である。粘着層3Bは樹脂の塗布によって形成される。塗布に際して、樹脂は導電層322におけるメッシュの隙間に入り込み、導電層322を平坦化する。これによって、導電層322の凹凸によって光散乱が発生するのが防止される。
【0035】
本実施例では、粘着層3Bは衝撃吸収機能を有する。粘着層3Bは、PETと銅とで構成される電磁波遮蔽層320には比較的に強固に粘着する。これに対して、プラズマディスプレイパネル2の前面であるガラス面には緩く粘着する。その粘着力は2N/25mm程度である。前面シート3を剥がそうとすると、機能フィルム3Aと粘着層3Bとが剥がれることはなく、前面シート3がプラズマディスプレイパネル2から正常に剥がれる。正常とは目視で判る剥がれ残りの生じない一様な剥離面の得られる様相を意味する。
【0036】
また、粘着層3Bが十分な厚さを有することは、プラズマディスプレイパネルモジュールの生産性の向上に貢献する。ここでいうプラズマディスプレイパネルモジュールとは、駆動回路を組み付けかつ前面シート3を貼り付けたプラズマディスプレイパネル2であり、図3の表示装置100における導電性ケース102の内部に納められる半製品を意味する。
【0037】
プラズマディスプレイパネルモジュールの製造において、プラズマディスプレイパネル2に前面シートを貼り付ける際に貼付け界面に異物が混入するおそれがある。粘着層からなる裏側部分3Bの厚さが異物の大きさと同程度であると、異物を核として気泡が発生するので、異物の混入をさけるためにクリーンルーム内で前面シートを貼り付けなければならない。しかし、その場合はプラズマディスプレイパネルのエージングおよび点灯検査を行う以前に前面シートをプラズマディスプレイパネルに貼り付けることになる。点灯検査の結果、プラズマディスプレイパネルが不良であれば、プラズマディスプレイパネルとともに前面シートも廃棄物となる。前面シートが剥離・再生可能な構成であっても、前面シートを剥がす工程が加わってしまう。
【0038】
これに対して、粘着層3Bの厚さが100μm以上(好ましくは200μm〜500μm=0.2mm〜0.5mm)であれば、数十μm程度の大きさの異物が混入してもその異物が軟質の粘着層3Bに埋まり込むので気泡が発生しない。したがって、プラズマディスプレイパネル2に放熱用のシャーシおよび駆動回路基板を組み付けて点灯検査をし、検査に合格したプラズマディスプレイパネル2に前面シート3を貼り付けることによって、前面シートの廃棄や剥離といった資源および時間の損失を無くすことができる。
【0039】
また、粘着層3Bの材料をプラズマディスプレイパネルの前面板の基材であるガラスとの濡れが良い材料を用いることで、高地(例えば海抜3000m)の減圧環境下でも異物による気泡の発生を防止することができる。
【0040】
図8は電磁波遮蔽層の導体パターンを模式的に示す。電磁波遮蔽層の導電層322は、画面50に重なる導電性メッシュ322Aとそれを囲む環状の導電体322Bとが一体化した層である。導電性メッシュ322Aの平面サイズは画面50のそれよりも大きい。導電体322Bを構成する上下左右の帯の幅は30mm程度である。前面シートの粘着層3Bは、その周縁が全長にわたって環状の導電体322Bと重なるように配置されている。これにより、前方からの観察において粘着層3Bの周縁が導電体322Bによって隠れるので、粘着層3Bの輪郭が不定形状であっても整然とした見栄えが損なわれない。粘着層3Bの形成においては、導電体322Bの周縁付近を露出させる必要があるものの、高いパターン精度は不要である。10mm程度の誤差が許容される。
【0041】
なお、図8において導電性メッシュ322Aは粗いが、実際のメッシュピッチは画面50のセルピッチと同程度、例えば約300μmである。導電層322の製造工数を増加させることなく導電体322Bにアライメントマークを形成することができる。アライメントマークは、前面シート3をプラズマディスプレイパネル2に貼り付ける作業を容易にする。
【0042】
図9は導電接続構造の第2例を示し、図10は導電接続構造の第3例を示す。これらの図において、図4の例と同じ機能を持つ構成要素には図4の例と共通の参照符号を付してある。このような構成要素のついては説明を省略する。
【0043】
図9の例においては、電磁波遮蔽層320とフレーム102Aとの導電接続に、導電テープ121bと弾性導電部材131bとが用いられる。上述の第1例と同様に導電テープ121bは他の3つの導電テープと一体になって環状の導体層を形成し、弾性導電部材131bは他の3つの弾性導電部材と一体になって環状の導体を形成する。
【0044】
導電テープ121bは接着層、磁気吸着層としての鉄箔または樹脂マグネット、および導電層としての銅箔の積層体である。導電テープ121bの幅は約10mm、厚さは約0.5mmである。なお、磁気吸着層を鉄とし、導電層を省略する変形例がある。
【0045】
弾性導電部材131bは磁気吸着材141を内蔵している。磁気吸着材141は例えば樹脂マグネットまたは鉄である。導電テープ121bの磁気吸着層が磁石の性質をもつ場合は、弾性導電部材131bは磁石に吸着すれば、磁石の性質をもっていてもいなくてもよい。ただし、弾性導電部材131bと導電テープ121bの双方が磁石を有していれば、片方のみが磁石を有する場合と比べて互いがより強く引き合う。
【0046】
弾性導電部材131bはフレーム102Aとプラズマディスプレイパネル2とで挟まれて変形する。弾性導電部材131bの復元力によって弾性導電部材131bがフレーム102Aおよび導電テープ121bと密着するとともに、機能フィルム3Aが導電テープ121bに押し付けられる。さらに、弾性導電部材131b内の磁気吸着材141と導電テープ121bの磁気吸着層とが磁気によって引き合う。押し付けと磁気吸着とによって、電磁波遮蔽層320と導電テープ121bとの接触が良好に保たれる。
【0047】
図10の例においては、電磁波遮蔽層320とフレーム102Aとの導電接続に、導電テープ121b、弾性導電部材131、および磁気吸着部材141bが用いられる。上述の第1例と同様に導電テープ121は他の3つの導電テープと一体になって環状の導体層を形成し、弾性導電部材131は他の3つの弾性導電部材と一体になって環状の導体を形成する。
【0048】
弾性導電部材131は、導電テープ121bのうちの外側部分と重なる位置に配置され、磁気吸着部材141bは導電テープ121bのうちの内側部分と重なる位置に配置される。磁気吸着部材141bを弾性導電部材131と同様に予めフレーム102Aに取り付けておくと、効率的に表示装置を組み上げることができる。
【0049】
磁気吸着部材141bは樹脂マグネットまたは鉄である。磁気吸着部材141bは、変形していない自由状態の弾性導電部材131よりも薄い。弾性導電部材131がフレーム102Aおよび導電テープ121bと密着する状態で、磁気吸着材141bと導電テープ121bの磁気吸着層とが磁気によって引き合う。この磁気吸着とによって、電磁波遮蔽層320と導電テープ121bとの接触が良好に保たれる。
【0050】
図9および図10の例においても電磁波遮蔽層320と導電テープ121bとが固着されないので、機能フィルム3Aの剥離が防止されるとともに、前面シート3の貼り直しまたは貼り替えが必要になったときの作業が容易である。
【0051】
以上の実施形態において、導電性ケース102の材質は、金属板、導電性物質をコートした樹脂、金属箔や金属繊維を付けた樹脂など、表層や内部といった少なくとも一部が導電性をもつ電磁波遮蔽に適したものであればよい。フレーム102Aとプレート102Bとで材質が同じである必要はない。フレーム102Aおよびプレート102Bのそれぞれが、複数の部品の組み合わせによって構成されてもよい。フレーム102Aは板状に限らず、環状の前面の周囲は後ろ側へ折り曲がった構造体でもよい。プラズマディスプレイパネル2の歪みに応じた変形が可能となるようにするため、フレーム102Aの背面に複数の割れ目を設けるのが望ましい。また、フレーム102Aとしては、燐青銅や鋼といったバネ性をもつ金属板が好適である。フレーム102Aにおける開口の近傍をバネ性に富む金属で構成し、残りの部分をアルミニウムに代表される比較的に剛性に富む金属で構成してもよい。
【0052】
なお、図9の例のように弾性導電部材131と磁気吸着部材141bとを並べて配置する構成においては、弾性導電部材131の変形がプラズマディスプレイパネル2の歪に対応したフレーム102Aの変形を不要にするので、必ずしもフレーム102Aに割れ目を設けたりバネ性を付与したりする必要がないという利点がある。
【0053】
以上の説明ではプラズマディスプレイパネルを例示したが、画面を構成するデバイスはプラズマディスプレイパネルに限定されず、EL(Electro Luminescence)、FED(Field Emission Display)、液晶を含む他の表示パネルによって画面が構成される装置に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、大型の画面をもち且つ軽量なディスプレイ装置における電磁波遮蔽のための導電接続の信頼性向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る表示装置の外観を示す図である。
【図2】表示パネル装置の構成の概略を示す図である。
【図3】表示装置の内部構成を示す図である。
【図4】導電接続構造の第1例を示す図である。
【図5】導電テープの配置位置を図である。
【図6】弾性導電部材の配置方法の一例を示す図である。
【図7】前面シートの層構造を示す図である。
【図8】電磁波遮蔽層の導体パターンを模式的に示す図である。
【図9】導電接続構造の第2例を示す図である。
【図10】導電接続構造の第3例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
2 プラズマディスプレイパネル(表示パネル)
100 表示装置
50A 表示領域
322 導電層
321 フィルム(非導電層)
310 光学フィルム層(非導電層)
3 前面シート(光学シート)
121,122,123,124 導電テープ(帯状の導電体)
121A 内側部分
121B 外側部分
121b 導電テープ
131,132,133,134 弾性導電部材(帯状の導電体)
102A フレーム
102B プレート(導電性の構造体)
141 磁気吸着シート(磁気吸着部材)
141b 磁気吸着部材
90 駆動回路基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルを備えた表示装置のための電磁波遮蔽方法に関し、詳しくは表示面を覆う導体と表示面の周囲に配置される導体とを導通させる接続構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルによって画像を表示する表示装置においては、表示パネルが放射する電磁波を遮蔽するために、透明導電膜や金属メッシュといった透光性をもつ導電層(以下、シールド層という)によって表示面が覆われる。シールド層は表示パネルおよび駆動回路基板を収納する導電性の筐体と電気的に接続され、それによって表示パネルの外面全体が導体によって包囲される。表示パネルから前方へ放射される電磁波エネルギーは、シールド層から筐体へ電流となって流れて消滅する。
【0003】
表示パネルを機械的衝撃から守る保護ガラスを備えた表示装置では、所望の表示品質を得る上で必要な光学機能層とともに、シールド層が保護ガラス上に配置される。保護ガラスを備えない軽量型の表示装置では、必然的に表示パネル上にシールド層と光学機能層とが配置される。光学機能層としては、外光の反射を防止するAR層、表示色を補正するフィルタ層、および近赤外線を遮断するフィルタ層がある。保護ガラスと表示パネルのどちらにシールド層が配置されても、上述のようにシールド層と筐体とを導通させなければならない。
【0004】
保護ガラス上にシールド層を配置する構成に係る文献として特開2000−252681号公報がある。同公報の開示では、シールド層としての金属メッシュとそれを支持する透明樹脂フィルムとからなる2層構造のシートが、金属メッシュを保護ガラスに向けて保護ガラスに貼り付けられる。あらかじめ保護ガラスには接続用導体パターンが形成される。この接続用導体パターンは、金属メッシュの周縁部と重なりかつシートの端縁より張り出すように配置される。シートを保護ガラスに貼り付けた状態において、接続用導体パターンにおけるシートの外側の部分が露出する。この露出部分に弾性導電部材が載置され、弾性導電部材の前面に筐体の一部(前側のフレーム状の部分)が押し当てられる。これにより、弾性導電部材および接続用導体パターンを介して筐体と金属メッシュとが導電接続される。
【0005】
表示パネル上にシールド層を配置する構成に係る文献として特開2004−206076号公報がある。同公報の開示では、シールド層、フィルタ層およびAR層をこの順に積層したシートが、表示パネルの前面に貼り付けられる。シールド層の平面サイズがフィルタ層およびAR層の平面サイズよりも一回り大きいサイズとされており、シートを表示パネルに貼り付けた状態においてシールド層の周縁部の前面が露出する。この露出部分に弾性導電部材が載置され、弾性導電部材の前面に筐体の前側部分が押し当てられる。これにより、弾性導電部材を介在させて筐体と表示パネルとによりシールド層の周縁部を挟む形式でシールド層と筐体とが導電接続される。
【特許文献1】特開2000−252681号公報
【特許文献2】特開2004−206076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シールド層と部分的に重なる接続用導体パターンを筐体と導通させる従来構造では、シールド層と接続用導体パターンとの接触不良が生じ易く、電磁波遮蔽の信頼性が不十分であった。
【0007】
シールド層の平面サイズを光学機能層の平面サイズよりも大きくする従来構造では、重なり合うシールド層と光学機能層とでサイズが異なるので、あらかじめロールツーロールによってシールド層と光学機能層とを一体化しておくのが困難であるという問題があった。シールド層と光学機能層とを順に表示パネル上に配置する際には、生産性を損なう位置合わせが必要である。
【0008】
本発明の目的は、導電接続の信頼性が高くかつ生産性に優れる電磁波遮蔽のための導電接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
表示パネルの前面に、電磁波遮蔽のための導電層とそれに重なる非導電層とからなるシートを貼り付ける。シートは、表示パネルの前面における表示領域に対して全周にわたって張り出す大きさをもつ。シートの貼り付けに先立って、表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように帯状の導電体を設けておく。シートの貼り付けに際して、導電体の内端側部分と導電層の端部とを対向させる。弾性導電部材を介在させて導電性のフレームと表示パネルとで導電体を挟み、それによって導電層とフレームとを導通させる。フレームに所定の導電性構造体を組み付けることによって、表示パネルを導体で包囲する。本発明においては、導電体と導電層との接触を良好とするために、上記弾性導電部材を導電体の外端側部分とシートの端部の双方と当接するように配置する。または、磁力によってシートが導電体に押し付けられるように、シートの前側に導電体と引き合う磁気吸着部材を配置する。導電テープおよび磁気吸着部材の片方または両方を磁石とすることによって必要な磁力を生じさせる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1ないし請求項10の発明によれば、導電接続の信頼性が高くかつ生産性に優れる電磁波遮蔽のための導電接続構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明に係る表示装置の外観を示す。表示装置100は、フラット型であり、対角32インチの画面50をもつ。画面50の水平方向の寸法は0.72m、垂直方向の寸法は0.40mである。表示装置100の平面サイズを決める化粧カバー101は画面50よりも大きい開口を有しており、表示パネル装置1の前面が周縁部を除いて露出している。
【0012】
図2は表示パネル装置の構成の概略を示す。表示パネル装置1は、プラズマディスプレイパネル2と、プラズマディスプレイパネル2の前面に直接に貼り付けられた前面シート3とを備える。前面シート3は、電磁波遮蔽のための導電層を含む複数の層で構成される。プラズマディスプレイパネル2は、ガス放電によって発光する自己発光型のデバイスであり、前面板10と背面板20とからなる。前面板10および背面板20はともに厚さ3mm程度のガラス板を支持体とする構成要素である。
【0013】
プラズマディスプレイパネル2には放電ガスとしてネオンにキセノン(2%以上)を混合したペニングガスが充填されている。このペニングガスは、放電時に波長830nmおよび波長880nmの近赤外光を放射する。
【0014】
図3は図1のa−a矢視断面図であり、表示装置の内部構成を示す。表示装置100では、化粧カバー101が取り付けられた導電性ケース(シールド筐体)102の中に表示パネル装置1が駆動回路基板90とともに配置されている。導電性ケース102は、画面よりも若干大きい開口をもつフレーム102Aと、薄い箱状に成型されたプレート102Bとからなる。フレーム102Aは導電性ケース102の前側部分であり、プレート102Bは後ろ側部分である。
【0015】
表示パネル装置1は、両面接着テープ104によってアルミニウム製のシャーシ105に取り付けられ、シャーシ105はスペーサ106,107を介してプレート102Bに固定されている。シャーシ105の背面側に駆動回路基板90が配置されている。駆動回路基板90とプラズマディスプレイパネル2との電気的な接続にはフレキシブルケーブル108,109が用いられる。図3では電源、映像信号処理回路、および音響回路が省略してある。
【0016】
前面シート3は、0.3mm厚の多層構造の機能フィルム3Aと樹脂からなる約0.5mm厚の粘着層3Bとが重なった柔軟な積層体である。前面シート3の平面サイズ、厳密には機能フィルム3Aの平面サイズは画面の平面サイズよりも大きくかつプラズマディスプレイパネル2の平面サイズよりも小さい。粘着層3Bの平面サイズは画面の平面サイズよりも大きくかつ機能フィルム3Aの平面サイズよりも小さい。
【0017】
表示装置100において、前面シート3はプラズマディスプレイパネル2に沿って平坦に拡がり、その端部のみが導電性ケース102のフレーム102Aと重なる。フレーム102Aは前面シート3の前側に位置し、前面シート3の端部がフレーム102Aとプラズマディスプレイパネル2とで挟まれる。
【0018】
図4は導電接続構造の第1例を示す。
【0019】
機能フィルム3Aは電磁波遮蔽層320を有している。電磁波遮蔽層320は機能フィルム3Aにおける背面側の層である。電磁波遮蔽層320の平面サイズは粘着層3Bの平面サイズよりも大きいので、電磁波遮蔽層320の端部は粘着層3Bと重ならない。この電磁波遮蔽層320は、帯状の導電体である導電テープ121および弾性導電部材131を介してフレーム102Aと電気的に接続される。
【0020】
導電テープ121はプラズマディスプレイパネル2の前面に貼られている。導電テープ121は粘着層3Bと重ならず、導電テープ121の内側部分121Aと電磁波遮蔽層320の端部とが重なる。導電テープ121の幅Wは約10mmであり、内側部分121Aの幅は約5mmである。導電テープ121の厚さは粘着層3Bの厚さと同程度である。図では導電テープ121は粘着層3Bよりも若干薄い。
【0021】
弾性導電部材131は両面接着テープ137によってフレーム102Aの背面に取り付けられており、フレーム102Aがプラズマディスプレイパネル2の前側の適切な位置に配置されたときに導電テープ121と重なる位置に配置される。弾性導電部材131の幅は両面接着テープ137の幅より大きく、導電テープ121の幅Wと同程度である。つまり、弾性導電部材131の前面はフレーム102Aと接し、弾性導電部材131の背面は導電テープ121の外側部分121Bおよび光学フィルム層310の端部と接する。光学フィルム層310は機能フィルム3Aの前面側の層であり、非導電性の層である。
【0022】
弾性導電部材131はフレーム102Aとプラズマディスプレイパネル2とで挟まれて変形する。弾性導電部材131の復元力によって弾性導電部材131がフレーム102Aおよび導電テープ121と密着するとともに、機能フィルム3Aが導電テープ121に押し付けられる。この押し付けによって、電磁波遮蔽層320と導電テープ121との接触が良好に保たれる。
【0023】
ここで重要なことは、電磁波遮蔽層320と導電テープ121とが固着されないことである。このことは、プラズマディスプレイパネル2と機能フィルム3Aとの熱膨張率の差異に起因する機能フィルム3Aの剥離の防止、および前面シート3の貼り直しまたは貼り替えが必要になったときの作業の容易化に貢献する。
【0024】
弾性導電部材131としては、ウレタンフォームをメリヤス編みのワイヤーで包んだ棒状のシールド材、または導電物質が分散した柔軟な有機物からなる板状のガスケットが好適である。
【0025】
電磁波を十分に遮蔽するには、電磁波遮蔽層320を全周にわたってフレーム102Aと導通させる必要がある。このため、実際には図5のようにプラズマディスプレイパネル2の前面における四角形の表示領域50Aの周囲に、表示領域50Aの端縁に沿うように、すなわち四角形の4辺のそれぞれと平行に、4つの導電テープ121,122,123,124が貼り付けられる。表示領域50Aは画面に対応した領域である。導電テープ121〜124は表示領域50Aを囲む環状の導体層を形成する。このように4つの導電テープ121〜124を貼り付ける形態は、あらかじめ環状の導体を用意しておいてそれを貼り付ける形態と比べて製造コストの低減の点で有利である。
【0026】
また、導電テープ121〜124からなる環状の導体層を全周にわたってフレーム102Aと導通させるために、図6のように4つの弾性導電部材131,132,133,134が用いられる。これら弾性導電部材131〜134は、フレーム102Aの背面における開口の周囲に取り付けられ、導電テープ121〜124からなる環状の導体層とちょうど重なる環状の導体を形成するように、プラズマディスプレイパネル2の前側に配置される。図6の例では、弾性導電部材131〜134は、フレーム102Aの背面における開口の周囲に取り付けられ、フレーム102Aをプレート102Bに組み付けることによってプラズマディスプレイパネル2の前側に配置される。
【0027】
なお、導電テープ121〜124の貼り付けに代えて、プラズマディスプレイパネル2の前面に導電膜を形成し、それによって表示領域の端縁に沿う帯状の導電体を設けてもよい。導電膜の形成には厚膜法および薄膜法のどちらを用いてもよい。プラズマディスプレイパネル2の前面板10の電極を形成する工程において導電膜を形成するのが効率的である。導電膜材料としては、透明導電材料よりも金属材料の方が導電性の点で好適である。導電膜の形成では、1回の成膜で表示領域を囲む環状の膜を形成すればよく、4辺に沿った4つの帯状の導電体を1辺分ずつ順に形成する必要はない。
【0028】
図7は前面シートの層構造を示す。前面シート3は、前面側から順に0.2mm厚の光学フィルム層310、0.1mm厚の電磁波遮蔽層320、0.5mm厚の衝撃吸収機能をもつ粘着層3Bが重なった約0.8mm厚の積層体である。光学フィルム層310および電磁波遮蔽層320が機能フィルム3Aを構成する。前面シート3の全体の可視光透過率は視感度補正した値で約40%である。前面シート3の重さは約500gである。
【0029】
光学フィルム層310は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のフィルム311、フィルム311の前面側にコーティングされた反射防止膜312、およびフィルム311の背面側に形成された色素層313からなる。
【0030】
反射防止膜312は外光の反射を防止する。ただし、反射防止膜312の機能をAR(アンチリフレクション)からAG(アンチグレア)に変更してもよい。反射防止膜312は、シート表面の傷耐性を鉛筆硬度4Hまで高めるハードコートを含んでいる。
【0031】
色素層313は近赤外光の遮蔽とカラー表示に係る赤(R)、緑(G)、青(B)の可視光透過率の調整とを担う。色素層313には樹脂中に波長800nm〜1000nm近傍の光を吸収する赤外光吸収色素、波長580nm近傍の光を吸収するネオン光吸収色素、および可視光透過率を調整するための色素が含まれている。光学フィルム層310の外光反射率は視感度補正した値で3%、可視光透過率は視感度補正した値で55%である。また、近赤外光の透過率は吸収波長領域内の平均で10%である。
【0032】
電磁波遮蔽層320は、PET製のフィルム321とメッシュ状の部分をもつ銅箔である10μm厚の導電層322とからなる。導電層322のうち、画面と重なる領域の可視光透過率は80%である。導電層322の前面側表面には黒化処理が施されているので、光学フィルム層310を通して電磁波遮蔽層320を見ると、電磁波遮蔽層320はほぼ真っ黒に見える。
【0033】
光学フィルム層310のフィルム311および電磁波遮蔽層320のフィルム321は、プラズマディスプレイパネル2のガラス板が割れる非常事態が生じたときに、ガラスの飛散を防止する機能をもつ。この機能を得る上で、フィルム311およびフィルム321を合わせて、厚さが50μm以上であるのが望ましい。本例では、PETの厚さの合計が150μm以上である。
【0034】
粘着層3Bはアクリル系の軟質の樹脂からなり、その可視光透過率は90%である。粘着層3Bは樹脂の塗布によって形成される。塗布に際して、樹脂は導電層322におけるメッシュの隙間に入り込み、導電層322を平坦化する。これによって、導電層322の凹凸によって光散乱が発生するのが防止される。
【0035】
本実施例では、粘着層3Bは衝撃吸収機能を有する。粘着層3Bは、PETと銅とで構成される電磁波遮蔽層320には比較的に強固に粘着する。これに対して、プラズマディスプレイパネル2の前面であるガラス面には緩く粘着する。その粘着力は2N/25mm程度である。前面シート3を剥がそうとすると、機能フィルム3Aと粘着層3Bとが剥がれることはなく、前面シート3がプラズマディスプレイパネル2から正常に剥がれる。正常とは目視で判る剥がれ残りの生じない一様な剥離面の得られる様相を意味する。
【0036】
また、粘着層3Bが十分な厚さを有することは、プラズマディスプレイパネルモジュールの生産性の向上に貢献する。ここでいうプラズマディスプレイパネルモジュールとは、駆動回路を組み付けかつ前面シート3を貼り付けたプラズマディスプレイパネル2であり、図3の表示装置100における導電性ケース102の内部に納められる半製品を意味する。
【0037】
プラズマディスプレイパネルモジュールの製造において、プラズマディスプレイパネル2に前面シートを貼り付ける際に貼付け界面に異物が混入するおそれがある。粘着層からなる裏側部分3Bの厚さが異物の大きさと同程度であると、異物を核として気泡が発生するので、異物の混入をさけるためにクリーンルーム内で前面シートを貼り付けなければならない。しかし、その場合はプラズマディスプレイパネルのエージングおよび点灯検査を行う以前に前面シートをプラズマディスプレイパネルに貼り付けることになる。点灯検査の結果、プラズマディスプレイパネルが不良であれば、プラズマディスプレイパネルとともに前面シートも廃棄物となる。前面シートが剥離・再生可能な構成であっても、前面シートを剥がす工程が加わってしまう。
【0038】
これに対して、粘着層3Bの厚さが100μm以上(好ましくは200μm〜500μm=0.2mm〜0.5mm)であれば、数十μm程度の大きさの異物が混入してもその異物が軟質の粘着層3Bに埋まり込むので気泡が発生しない。したがって、プラズマディスプレイパネル2に放熱用のシャーシおよび駆動回路基板を組み付けて点灯検査をし、検査に合格したプラズマディスプレイパネル2に前面シート3を貼り付けることによって、前面シートの廃棄や剥離といった資源および時間の損失を無くすことができる。
【0039】
また、粘着層3Bの材料をプラズマディスプレイパネルの前面板の基材であるガラスとの濡れが良い材料を用いることで、高地(例えば海抜3000m)の減圧環境下でも異物による気泡の発生を防止することができる。
【0040】
図8は電磁波遮蔽層の導体パターンを模式的に示す。電磁波遮蔽層の導電層322は、画面50に重なる導電性メッシュ322Aとそれを囲む環状の導電体322Bとが一体化した層である。導電性メッシュ322Aの平面サイズは画面50のそれよりも大きい。導電体322Bを構成する上下左右の帯の幅は30mm程度である。前面シートの粘着層3Bは、その周縁が全長にわたって環状の導電体322Bと重なるように配置されている。これにより、前方からの観察において粘着層3Bの周縁が導電体322Bによって隠れるので、粘着層3Bの輪郭が不定形状であっても整然とした見栄えが損なわれない。粘着層3Bの形成においては、導電体322Bの周縁付近を露出させる必要があるものの、高いパターン精度は不要である。10mm程度の誤差が許容される。
【0041】
なお、図8において導電性メッシュ322Aは粗いが、実際のメッシュピッチは画面50のセルピッチと同程度、例えば約300μmである。導電層322の製造工数を増加させることなく導電体322Bにアライメントマークを形成することができる。アライメントマークは、前面シート3をプラズマディスプレイパネル2に貼り付ける作業を容易にする。
【0042】
図9は導電接続構造の第2例を示し、図10は導電接続構造の第3例を示す。これらの図において、図4の例と同じ機能を持つ構成要素には図4の例と共通の参照符号を付してある。このような構成要素のついては説明を省略する。
【0043】
図9の例においては、電磁波遮蔽層320とフレーム102Aとの導電接続に、導電テープ121bと弾性導電部材131bとが用いられる。上述の第1例と同様に導電テープ121bは他の3つの導電テープと一体になって環状の導体層を形成し、弾性導電部材131bは他の3つの弾性導電部材と一体になって環状の導体を形成する。
【0044】
導電テープ121bは接着層、磁気吸着層としての鉄箔または樹脂マグネット、および導電層としての銅箔の積層体である。導電テープ121bの幅は約10mm、厚さは約0.5mmである。なお、磁気吸着層を鉄とし、導電層を省略する変形例がある。
【0045】
弾性導電部材131bは磁気吸着材141を内蔵している。磁気吸着材141は例えば樹脂マグネットまたは鉄である。導電テープ121bの磁気吸着層が磁石の性質をもつ場合は、弾性導電部材131bは磁石に吸着すれば、磁石の性質をもっていてもいなくてもよい。ただし、弾性導電部材131bと導電テープ121bの双方が磁石を有していれば、片方のみが磁石を有する場合と比べて互いがより強く引き合う。
【0046】
弾性導電部材131bはフレーム102Aとプラズマディスプレイパネル2とで挟まれて変形する。弾性導電部材131bの復元力によって弾性導電部材131bがフレーム102Aおよび導電テープ121bと密着するとともに、機能フィルム3Aが導電テープ121bに押し付けられる。さらに、弾性導電部材131b内の磁気吸着材141と導電テープ121bの磁気吸着層とが磁気によって引き合う。押し付けと磁気吸着とによって、電磁波遮蔽層320と導電テープ121bとの接触が良好に保たれる。
【0047】
図10の例においては、電磁波遮蔽層320とフレーム102Aとの導電接続に、導電テープ121b、弾性導電部材131、および磁気吸着部材141bが用いられる。上述の第1例と同様に導電テープ121は他の3つの導電テープと一体になって環状の導体層を形成し、弾性導電部材131は他の3つの弾性導電部材と一体になって環状の導体を形成する。
【0048】
弾性導電部材131は、導電テープ121bのうちの外側部分と重なる位置に配置され、磁気吸着部材141bは導電テープ121bのうちの内側部分と重なる位置に配置される。磁気吸着部材141bを弾性導電部材131と同様に予めフレーム102Aに取り付けておくと、効率的に表示装置を組み上げることができる。
【0049】
磁気吸着部材141bは樹脂マグネットまたは鉄である。磁気吸着部材141bは、変形していない自由状態の弾性導電部材131よりも薄い。弾性導電部材131がフレーム102Aおよび導電テープ121bと密着する状態で、磁気吸着材141bと導電テープ121bの磁気吸着層とが磁気によって引き合う。この磁気吸着とによって、電磁波遮蔽層320と導電テープ121bとの接触が良好に保たれる。
【0050】
図9および図10の例においても電磁波遮蔽層320と導電テープ121bとが固着されないので、機能フィルム3Aの剥離が防止されるとともに、前面シート3の貼り直しまたは貼り替えが必要になったときの作業が容易である。
【0051】
以上の実施形態において、導電性ケース102の材質は、金属板、導電性物質をコートした樹脂、金属箔や金属繊維を付けた樹脂など、表層や内部といった少なくとも一部が導電性をもつ電磁波遮蔽に適したものであればよい。フレーム102Aとプレート102Bとで材質が同じである必要はない。フレーム102Aおよびプレート102Bのそれぞれが、複数の部品の組み合わせによって構成されてもよい。フレーム102Aは板状に限らず、環状の前面の周囲は後ろ側へ折り曲がった構造体でもよい。プラズマディスプレイパネル2の歪みに応じた変形が可能となるようにするため、フレーム102Aの背面に複数の割れ目を設けるのが望ましい。また、フレーム102Aとしては、燐青銅や鋼といったバネ性をもつ金属板が好適である。フレーム102Aにおける開口の近傍をバネ性に富む金属で構成し、残りの部分をアルミニウムに代表される比較的に剛性に富む金属で構成してもよい。
【0052】
なお、図9の例のように弾性導電部材131と磁気吸着部材141bとを並べて配置する構成においては、弾性導電部材131の変形がプラズマディスプレイパネル2の歪に対応したフレーム102Aの変形を不要にするので、必ずしもフレーム102Aに割れ目を設けたりバネ性を付与したりする必要がないという利点がある。
【0053】
以上の説明ではプラズマディスプレイパネルを例示したが、画面を構成するデバイスはプラズマディスプレイパネルに限定されず、EL(Electro Luminescence)、FED(Field Emission Display)、液晶を含む他の表示パネルによって画面が構成される装置に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、大型の画面をもち且つ軽量なディスプレイ装置における電磁波遮蔽のための導電接続の信頼性向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る表示装置の外観を示す図である。
【図2】表示パネル装置の構成の概略を示す図である。
【図3】表示装置の内部構成を示す図である。
【図4】導電接続構造の第1例を示す図である。
【図5】導電テープの配置位置を図である。
【図6】弾性導電部材の配置方法の一例を示す図である。
【図7】前面シートの層構造を示す図である。
【図8】電磁波遮蔽層の導体パターンを模式的に示す図である。
【図9】導電接続構造の第2例を示す図である。
【図10】導電接続構造の第3例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
2 プラズマディスプレイパネル(表示パネル)
100 表示装置
50A 表示領域
322 導電層
321 フィルム(非導電層)
310 光学フィルム層(非導電層)
3 前面シート(光学シート)
121,122,123,124 導電テープ(帯状の導電体)
121A 内側部分
121B 外側部分
121b 導電テープ
131,132,133,134 弾性導電部材(帯状の導電体)
102A フレーム
102B プレート(導電性の構造体)
141 磁気吸着シート(磁気吸着部材)
141b 磁気吸着部材
90 駆動回路基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを備えた表示装置のための電磁波遮蔽方法であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように帯状の導電体を設け、
透光性の導電層と非導電層とからなり、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもつシートを、当該導電層の端部と前記導電体の内端側部分とが対向するように前記表示パネルの前面に貼り付け、
前記導電体の外端側部分と前記シートの端部の双方と当接するように弾性導電部材を配置し、
導電性をもつフレームを前記弾性導電部材の前面に押し付け、それによって前記導電体および前記弾性導電部材を介して前記導電層と前記フレームとを導通させ、
前記フレームに、当該フレームおよび前記導電層と一体になって前記表示パネルを包囲する導電性の構造体を組み付ける
ことを特徴とする表示装置のための電磁波遮蔽方法。
【請求項2】
表示パネルを備えた表示装置のための電磁波遮蔽方法であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に、磁石が吸着する材質の帯状の導電体を当該表示領域の端縁に沿うように設け、
透光性の導電層と非導電層とからなり、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもつシートを、当該導電層の端部と前記導電体の内端側部分とが対向するように前記表示パネルの前面に貼り付け、
前記導電体の外端側部分と当接するように弾性導電部材を配置し、
前記導電体と引き合う磁気吸着部材を、少なくとも前記導電体の内端側部分と重なるように前記シートの前側に配置し、
導電性をもつフレームを前記弾性導電部材の前面に押し付け、それによって前記導電体および前記弾性導電部材を介して前記導電層と前記フレームとを導通させ、
前記フレームに、当該フレームおよび前記導電層と一体になって前記表示パネルを包囲する導電性の構造体を組み付ける
ことを特徴とする表示装置のための電磁波遮蔽方法。
【請求項3】
表示パネルおよび駆動回路基板を備えた表示装置であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に当該表示領域の端縁に沿うように設けられた帯状の導電体と、
透光性の導電層と非導電層とからなり、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもち、端部が前記導電体の内端側部分と対向するように前記表示パネルの前面に貼り付けられたシートと、
前記導電体の外端側部分と前記シートの端部の双方と対向するように配置された弾性導電部材と、
前記弾性導電部材の前面と当接しかつ当該弾性導電部材を前記導電体に押し付ける、導電性をもつフレームと、
前記フレームに組み付けられ、前記フレームおよび前記導電層と一体になって前記表示パネルおよび駆動回路基板を包囲する導電性の構造体とを備え、
前記導電体および前記弾性導電部材を介して前記導電層と前記フレームとが導通し、かつ前記導電層と前記導電体との接触が前記弾性導電部材によって保持される
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記帯状の導電体は、前記表示パネルの前面に貼り付けられた導電テープである
請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
表示パネルおよび駆動回路基板を備えた表示装置であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に当該表示領域の端縁に沿うように設けられた、磁石が吸着する材質の帯状の導電体と、
透光性の導電層と非導電層とからなり、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもち、端部が前記導電体の内端側部分と対向するように前記表示パネルの前面に貼り付けられたシートと、
前記導電体の外端側部分と対向するように配置された弾性導電部材と、
前記弾性導電部材の前面と当接しかつ当該弾性導電部材を前記導電体に押し付ける導電性のフレームと、
少なくとも前記導電体の内端側部分と重なるように前記フレームと前記シートとの間に配置された、前記導電体と引き合う磁気吸着部材と、
前記フレームに組み付けられ、前記フレームおよび前記導電層と一体になって前記表示パネルおよび駆動回路基板を包囲する導電性の構造体とを備え、
前記導電体および前記弾性導電部材を介して前記導電層と前記フレームとが導通し、かつ前記導電層と前記導電体との接触が当該導電体と前記磁気吸着部材との吸着によって保持される
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記帯状の導電体は、前記表示パネルの前面に貼り付けられた導電テープである
請求項4記載の表示装置。
【請求項7】
前記磁気吸着部材は磁石である
請求項4記載の表示装置。
【請求項8】
前記帯状の導電体は磁性層と導体層との積層体である
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
表示パネルおよび前記表示パネルの前面に貼り付いた光学シートを備えた表示パネル装置であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように帯状の導電体が設けられ、
前記光学シートは、非導電性のフィルムとそれに積層された電磁波遮蔽のための導電層とを有し、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもち、前記導電層の端部が前記導電体の内端側部分と対向するように前記表示パネルの前面に貼り付けられ、
前記導電層の端部と前記導電体の内端側部分とが固着せずに接触する
ことを特徴とする表示パネル装置。
【請求項10】
表示パネルおよび前記表示パネルの前面に貼り付いた光学シートを備えた表示パネル装置であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように磁石の吸着する材質の帯状の導電体が設けられ、
前記光学シートは、非導電性のフィルムとそれに積層された電磁波遮蔽のための導電層とを有し、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもち、前記導電層の端部が前記導電体の内端側部分と対向するように前記表示パネルの前面に貼り付けられ、
前記導電層の端部と前記導電体の内端側部分とが固着せずに接触する
ことを特徴とする表示パネル装置。
【請求項1】
表示パネルを備えた表示装置のための電磁波遮蔽方法であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように帯状の導電体を設け、
透光性の導電層と非導電層とからなり、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもつシートを、当該導電層の端部と前記導電体の内端側部分とが対向するように前記表示パネルの前面に貼り付け、
前記導電体の外端側部分と前記シートの端部の双方と当接するように弾性導電部材を配置し、
導電性をもつフレームを前記弾性導電部材の前面に押し付け、それによって前記導電体および前記弾性導電部材を介して前記導電層と前記フレームとを導通させ、
前記フレームに、当該フレームおよび前記導電層と一体になって前記表示パネルを包囲する導電性の構造体を組み付ける
ことを特徴とする表示装置のための電磁波遮蔽方法。
【請求項2】
表示パネルを備えた表示装置のための電磁波遮蔽方法であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に、磁石が吸着する材質の帯状の導電体を当該表示領域の端縁に沿うように設け、
透光性の導電層と非導電層とからなり、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもつシートを、当該導電層の端部と前記導電体の内端側部分とが対向するように前記表示パネルの前面に貼り付け、
前記導電体の外端側部分と当接するように弾性導電部材を配置し、
前記導電体と引き合う磁気吸着部材を、少なくとも前記導電体の内端側部分と重なるように前記シートの前側に配置し、
導電性をもつフレームを前記弾性導電部材の前面に押し付け、それによって前記導電体および前記弾性導電部材を介して前記導電層と前記フレームとを導通させ、
前記フレームに、当該フレームおよび前記導電層と一体になって前記表示パネルを包囲する導電性の構造体を組み付ける
ことを特徴とする表示装置のための電磁波遮蔽方法。
【請求項3】
表示パネルおよび駆動回路基板を備えた表示装置であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に当該表示領域の端縁に沿うように設けられた帯状の導電体と、
透光性の導電層と非導電層とからなり、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもち、端部が前記導電体の内端側部分と対向するように前記表示パネルの前面に貼り付けられたシートと、
前記導電体の外端側部分と前記シートの端部の双方と対向するように配置された弾性導電部材と、
前記弾性導電部材の前面と当接しかつ当該弾性導電部材を前記導電体に押し付ける、導電性をもつフレームと、
前記フレームに組み付けられ、前記フレームおよび前記導電層と一体になって前記表示パネルおよび駆動回路基板を包囲する導電性の構造体とを備え、
前記導電体および前記弾性導電部材を介して前記導電層と前記フレームとが導通し、かつ前記導電層と前記導電体との接触が前記弾性導電部材によって保持される
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記帯状の導電体は、前記表示パネルの前面に貼り付けられた導電テープである
請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
表示パネルおよび駆動回路基板を備えた表示装置であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に当該表示領域の端縁に沿うように設けられた、磁石が吸着する材質の帯状の導電体と、
透光性の導電層と非導電層とからなり、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもち、端部が前記導電体の内端側部分と対向するように前記表示パネルの前面に貼り付けられたシートと、
前記導電体の外端側部分と対向するように配置された弾性導電部材と、
前記弾性導電部材の前面と当接しかつ当該弾性導電部材を前記導電体に押し付ける導電性のフレームと、
少なくとも前記導電体の内端側部分と重なるように前記フレームと前記シートとの間に配置された、前記導電体と引き合う磁気吸着部材と、
前記フレームに組み付けられ、前記フレームおよび前記導電層と一体になって前記表示パネルおよび駆動回路基板を包囲する導電性の構造体とを備え、
前記導電体および前記弾性導電部材を介して前記導電層と前記フレームとが導通し、かつ前記導電層と前記導電体との接触が当該導電体と前記磁気吸着部材との吸着によって保持される
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記帯状の導電体は、前記表示パネルの前面に貼り付けられた導電テープである
請求項4記載の表示装置。
【請求項7】
前記磁気吸着部材は磁石である
請求項4記載の表示装置。
【請求項8】
前記帯状の導電体は磁性層と導体層との積層体である
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
表示パネルおよび前記表示パネルの前面に貼り付いた光学シートを備えた表示パネル装置であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように帯状の導電体が設けられ、
前記光学シートは、非導電性のフィルムとそれに積層された電磁波遮蔽のための導電層とを有し、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもち、前記導電層の端部が前記導電体の内端側部分と対向するように前記表示パネルの前面に貼り付けられ、
前記導電層の端部と前記導電体の内端側部分とが固着せずに接触する
ことを特徴とする表示パネル装置。
【請求項10】
表示パネルおよび前記表示パネルの前面に貼り付いた光学シートを備えた表示パネル装置であって、
前記表示パネルの前面における表示領域の周囲に、当該表示領域の端縁に沿うように磁石の吸着する材質の帯状の導電体が設けられ、
前記光学シートは、非導電性のフィルムとそれに積層された電磁波遮蔽のための導電層とを有し、前記表示領域に対して全周にわたって前記導電体の幅よりも小さい長さだけ張り出す大きさをもち、前記導電層の端部が前記導電体の内端側部分と対向するように前記表示パネルの前面に貼り付けられ、
前記導電層の端部と前記導電体の内端側部分とが固着せずに接触する
ことを特徴とする表示パネル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−146087(P2006−146087A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339634(P2004−339634)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(599132708)富士通日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(599132708)富士通日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】
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