表示制御装置及び表示制御プログラム
【課題】簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行することを課題とする。
【解決手段】表示制御装置1は、入力装置1aから画面の選択を受付ける受付部1eを有する。さらに、表示制御装置1は、選択された画面を表示装置1bへ出力するとともに、該出力した該画面の一部または全部を拡大した拡大画面または縮小した縮小画面を該表示装置1bに表示させる出力部1kを有する。さらに、表示制御装置1は、入力装置1aを操作する利用者の操作速度を計測する計測部1gを有する。さらに、表示制御装置1は、計測した操作速度と所定値とを比較する比較部1hを有する。さらに、表示制御装置1は、比較した結果に基づいて、選択された画面を拡大画面または縮小画面にする命令を生成する生成部1jを有する。
【解決手段】表示制御装置1は、入力装置1aから画面の選択を受付ける受付部1eを有する。さらに、表示制御装置1は、選択された画面を表示装置1bへ出力するとともに、該出力した該画面の一部または全部を拡大した拡大画面または縮小した縮小画面を該表示装置1bに表示させる出力部1kを有する。さらに、表示制御装置1は、入力装置1aを操作する利用者の操作速度を計測する計測部1gを有する。さらに、表示制御装置1は、計測した操作速度と所定値とを比較する比較部1hを有する。さらに、表示制御装置1は、比較した結果に基づいて、選択された画面を拡大画面または縮小画面にする命令を生成する生成部1jを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に表示される情報が利用者にとって見にくい場合がある。一例としては、表示装置に表示される文字のフォント(font)が小さい場合や表示装置に表示されている内容が細かい場合などが挙げられる。
【0003】
このような場合には、利用者は、表示装置に表示させる画像のサイズ(size)を拡大する操作を行う。例えば、利用者は、表示画像を提供するアプリケーション(application)において表示画像の拡大表示を設定したり、あるいは表示画像の解像度を小さく設定したりする。
【0004】
ここで、利用者自らが操作を行わずとも、拡大表示を自動的に行うための技術がある。一例としては、表示装置に表示される文字の量に応じて、文字サイズを大きくして表示を行う特許文献1の技術がある。他の一例としては、脳波発信機や生体データ発信機により計測された計測データに基づいて利用者の疲労状況を推定し、疲労状況に応じて表示装置に表示させる画像のサイズや解像度を変更する特許文献2の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−305017号公報
【特許文献2】特開2004−191628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1及び特許文献2のいずれの技術においても、簡易な構成で必要なときに拡大表示を行うことはできないという問題がある。
【0007】
例えば、上記の特許文献1の技術は、表示対象とする画像に含まれる文字の量に文字サイズを対応させるものに過ぎない。このため、特許文献1の技術では、どのような利用者が表示装置を見る場合でも所定量以上の文字を有する画像を表示する場合には拡大表示がなされる。ところが、かかる拡大表示は、年齢や疲労状態などの個人の特性に合った表示であるとは限らない。それゆえ、特許文献1の技術では、利用者にとって必要なときに拡大表示を行うことはできない。
【0008】
また、特許文献2の技術は、疲労状態に合わせて表示態様を変化させることはできるが、利用者の生体データを収集するために専用のハードウェア(hardware)が必要となってしまう。よって、特許文献2の技術では、簡易な構成で拡大表示を自動的に行うことはできない。
【0009】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行できる表示制御装置及び表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の開示する表示制御装置は、入力装置から画面の選択を受付ける受付部を有する。さらに、前記表示制御装置は、前記選択された画面を表示装置へ出力するとともに、該出力した該画面の一部または全部を拡大した拡大画面または縮小した縮小画面を該表示装置に表示させる出力部を有する。さらに、前記表示制御装置は、前記入力装置を操作する利用者の操作速度を計測する計測部を有する。さらに、前記表示制御装置は、前記計測した操作速度と所定値とを比較する比較部を有する。さらに、前記表示制御装置は、前記比較した結果に基づいて、前記選択された画面を前記拡大画面または前記縮小画面にする命令を生成する生成部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本願の開示する表示制御装置の一つの態様によれば、簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、条件記憶部に記憶される情報の構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施例2に係る診療支援システムの構成を示すシステム構成図である。
【図4】図4は、実施例2に係る診療支援クライアントの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、画面マスタの一例を示す図である。
【図6A】図6Aは、高解像度のメニュー画面の一例を示す図である。
【図6B】図6Bは、中解像度のメニュー画面の一例を示す図である。
【図6C】図6Cは、低解像度のメニュー画面の一例を示す図である。
【図7】図7は、実施例2に係る診療支援クライアントで実行される全体フローの手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2に係る高解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係る中解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施例2に係る低解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施例3に係る表示制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する表示制御装置及び表示制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。図1に示す表示制御装置1は、表示装置1bに表示された画面上で各種の指示入力を入力装置1aを介して受付けるものであり、とりわけ表示中の画面を利用者に見やすくするために拡大表示または縮小表示を自動的に行う。
【0015】
図1に示すように、表示制御装置1は、属性記憶部1cと、条件記憶部1dと、受付部1eと、判定部1fと、計測部1gと、比較部1hと、生成部1jと、出力部1kとを有する。
【0016】
このうち、属性記憶部1cは、画面を識別する識別情報と属性とを対応付けて記憶する。すなわち、属性記憶部1cには、1つまたは複数の画面IDと、画面の内容を基準に分類された属性を一意に特定するための属性IDとの対応付けが定義される。
【0017】
ここで言う「画面ID」とは、画面を一意に特定するための識別情報を指す。ただし、画面の内容が同様である場合には、解像度が異なる画面間で同一の画面IDが付与されるものとする。なお、ここでは、画面の内容が同様の場合には、同一の画面IDを付与することとしたが、画面の内容および解像度ごとに画面IDを採番することとしてもかまわない。また、「属性ID(identity)」とは、画面の属性を一意に特定するための識別情報を指す。
【0018】
かかる属性の一例としては、画面内に複数の選択肢を含む「メニュー画面」の他、文字、記号や画像などを含む「テキスト画面」などが挙げられる。このように、1つの属性に複数の画面IDを対応付けるのは、画面に含まれる内容、例えば文字や記号のフォント(font)、ボタン類の大きさやレイアウト(layout)などが類似するものを同定するためである。
【0019】
条件記憶部1dは、属性を識別する識別情報ごとに、その属性を有する画面の表示中に拡大表示または縮小表示を実行する契機とする操作速度の条件を対応付けて記憶する。図2は、条件記憶部に記憶される情報の構成例を示す図である。図2の例では、画面上で選択肢を表示するメニュー画面で拡大表示または縮小表示を自動的に行う場合を想定する。さらに、図2の例では、1つの属性につき、高解像度、中解像度および低解像度の3段階の解像度別に同様の内容の画面が用意される場合を想定するものとする。なお、解像度とは、画面のきめ細かさや画質の滑らかさを指す指標である。例えば、同一の内容を同一の画質で表現する場合には、解像度が低いほど大きな表示サイズ(size)で表現される。
【0020】
図2に示すように、条件記憶部1dは、属性ID、解像度、操作速度および変更先を対応付けて記憶する。ここで言う「操作速度」とは、利用者により入力装置1aを介してなされる操作の速さを指し、一例としては、選択時間やスクロール(scroll)速度などが挙げられる。このうち、選択時間は、ある時点を起点としてその時点から経過した経過時間を指す。かかる選択時間の起点の一例としては、1つの画面において新たな画面に遷移した時点が挙げられる。そして、選択時間の終点の一例としては、画面に表示されたメニューや項目のうちの一つがユーザにより選択された時点が挙げられる。つまり、ユーザによる選択操作がなされるまで、選択時間は計測される。例えば、計測部は、看護記録の入力画面において、体温、血圧などの入力欄のうち、いずれかを選択するまでの時間を計測する。そして入力欄が複数ある場合には、各入力欄への入力が終了してから、次の入力欄を選択するまでの時間が、選択時間として計測される。また、スクロール速度は、画面が所定期間内にスクロールする領域の幅を指す。表示装置1bに複数の画面が表示されている場合には、後述の計測部1gにより画面ごとに選択時間またはスクロール速度が計測される。また、選択時間及びスクロール速度の計測は、画面の操作が有効とされていた期間、すなわち画面がアクティブ(active)になっていた期間だけが後述の計測部1gにより計測の対象とされる。また、「変更先」とは、表示中の画面の解像度を変更する場合に変更後に表示される画面の解像度を指す。
【0021】
図2の例で言えば、属性ID「001」の高解像度、中解像度および低解像度の3つの画面では、画面の解像度は異なるものの、同様の内容を表示することが規定されている。これら解像度別の3つの画面には、他の解像度の画面へ変更する契機とする操作速度の条件および変更先の解像度が解像度別に規定されている。かかる操作速度の条件および変更先の解像度は、以下のロジック(logic)にしたがって規定される。例えば、選択時間が長いあるいはスクロール速度が遅い場合には、画面に表示されている文字、記号や画像などが小さすぎると推定できる。この場合には、表示中の画面の解像度よりも低い解像度へ変更される。また、選択時間が長く、かつスクロール速度が速い場合には、画面に表示されている文字、記号や画像などが大きすぎて画面全体を俯瞰できていないと推定できる。この場合には、表示中の画面の解像度よりも高い解像度へ変更される。
【0022】
例えば、表示中の画面が高解像度である場合の操作速度の条件および変更先の解像度について説明する。図2に示す高解像度の画面の例では、後述の計測部1gにより計測された選択時間が所定の期間以上である場合、あるいはスクロール速度が所定の速度以下である場合に、中解像度の画面に変更することが規定されている。なお、ここでは、選択時間およびスクロール速度のうち一方が条件を満たした場合に高解像度から中解像度へ変更する場合を説明したが、開示の表示制御装置1はこれに限定されない。例えば、選択時間が所定の期間以上であり、かつスクロール速度が所定の速度以下である場合に高解像度から中解像度へ変更することとしてもかまわない。
【0023】
また、表示中の画面が中解像度である場合の操作速度の条件および変更先の解像度について説明する。図2に示す中解像度の画面の例では、後述の計測部1gにより計測された選択時間が所定の期間以上であり、かつスクロール速度が所定の速度以上である場合に、高解像度の画面に変更することが規定されている。さらに、図2に示す中解像度の画面の例では、後述の計測部1gにより計測された選択時間が所定の期間以上であり、かつスクロール速度が所定の速度以下である場合に、低解像度の画面に変更することが規定されている。
【0024】
また、表示中の画面が低解像度である場合の操作速度の条件および変更先の解像度について説明する。図2に示す低解像度の画面の例では、後述の計測部1gにより計測された選択時間が所定の期間以上であり、かつスクロール速度が所定の速度以上である場合に、中解像度の画面に変更することが規定されている。
【0025】
図1の説明に戻り、受付部1eは、入力装置1aから画面の選択を受付ける。例えば、表示中の画面がメニュー画面である場合には、ボタン、タブやアイコンが割り当てられた複数の項目の中から、入力装置1aを介して1つまたは複数の項目を選択する操作を受付ける。
【0026】
判定部1fは、属性記憶部1cを用いて、受付部1eにより受付けた画面の属性を判定する。一例としては、判定部1fは、受付部1eにより新たに画面が遷移する選択またはアクティブにする画面を切り替える選択が受け付けられた場合に、新たに遷移した画面または新たにアクティブになった画面の画面IDを特定する。その上で、判定部1fは、属性記憶部1cに記憶された属性IDのうち、先に特定した画面IDに対応する属性IDを判定する。
【0027】
計測部1gは、入力装置1aを操作する利用者の操作速度を計測する。この計測部1gは、画面の全ての属性について同様の種別の操作に関する操作速度を計測することはしない。つまり、計測部1gは、判定部1fにより判定された属性IDに応じて、計測する操作の種別を変更する。
【0028】
例えば、判定部1fにより判定された属性IDが図2に示す「001」である場合を想定して以下の説明を行う。この場合には、高解像度、中解像度または低解像度のいずれについてもクリックおよびスクロールの両方の条件が条件記憶部1dにより規定されている。この場合には、判定部1fは、高解像度、中解像度または低解像度のいずれであっても、クリックおよびスクロールの両方が計測対象とする操作の種別であると判定する。
【0029】
なお、図2の例では、属性ID「001」の高解像度、中解像度および低解像度の画面のいずれであっても、選択時間及びスクロール速度の両方に関する条件が規定される場合を例示したが、開示の表示制御装置1はこれに限定されない。すなわち、条件記憶部1dには、解像度別に選択時間またはスクロール速度のいずれか一方に関する条件を任意に規定することができる。例えば、操作速度の条件として選択時間のみが規定されている場合には、計測部1gは、クリックが計測対象とする操作の種別であると判定する。また、操作速度の条件としてスクロール速度が規定されている場合には、計測部1gは、スクロールを計測対象とする操作の種別であると判定する。
【0030】
このように計測対象とする操作の種別を判定した後、計測部1gは、計測対象とする操作の種別に該当する操作速度を計測する。例えば、計測対象とする操作の種別がクリックである場合には、計測部1gは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測する。また、計測対象とする操作の種別がスクロールである場合には、計測部1gは、新たな画面に遷移してからの経過時間に対して画面がスクロールした幅の割合をスクロール速度として計測する。なお、計測対象とする操作の種別がクリック及びスクロールの両方である場合には、選択時間及びスクロール速度の両方を計測する。
【0031】
比較部1hは、計測部1gにより計測された操作速度と所定値とを比較する。一例として、属性ID「001」の高解像度の画面が表示中である場合を想定する。この場合には、比較部1hは、条件記憶部1dに記憶された操作速度の条件のうち、高解像度に対応する選択時間とスクロール速度とを読み出す。そして、比較部1hは、計測部1gにより計測された選択時間と、条件記憶部1dから読み出された選択時間とを比較する。また、比較部1hは、計測部1gにより計測されたスクロール速度と、条件記憶部1dから読み出されたスクロール速度とを比較する。
【0032】
生成部1jは、比較部1hによる比較結果に基づいて、表示装置1bに表示中の画面を拡大画面または縮小画面にする命令を生成する。例えば、計測部1gにより計測された選択時間が条件記憶部1dから読み出された選択時間以上であるとの比較結果が得られた場合には、表示中の高解像度の画面を同一の画面IDを持つ中解像度の画面へ変更する命令を生成する。また、計測部1gにより計測されたスクロール速度が条件記憶部1dから読み出されたスクロール速度以下との比較結果が得られた場合にも、同様に、同一の画面IDを持つ中解像度の画面に変更する命令を生成する。このように、同一の内容の画面のまま解像度を低下させる命令を生成した場合には、表示装置1bに表示される画面の表示サイズが大きくなり、結果として、画面が拡大されることとなる。
【0033】
出力部1kは、受付部1eにより選択された画面を表示装置1bへ出力する。また、出力部1kは、生成部1jによる命令にしたがって画面の一部または全部を拡大または縮小した拡大画面または縮小画面を表示装置1bに表示させる。例えば、生成部1jにより高解像度の画面から中解像度の画面へ変更する命令が生成された場合には、表示装置1bへ出力していた画面を高解像度の画面から中解像度の画面へ変更する。
【0034】
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る表示制御装置1は、入力装置1aを介して計測された利用者の操作速度に応じて拡大画面または縮小画面に変更する。このため、本実施例に係る表示制御装置1では、画面に含まれる文字、記号や画像などの表示内容を利用者の操作特性に適合した大きさで表示できる。その上、本実施例に係る表示制御装置1では、利用者の操作速度を計測するにあたって特段のハードウェア(hardware)を必要としない。つまり、本実施例に係る表示制御装置1は、利用者の疲労状態や、視認能力等を測定する機器から信号を受信せずとも、利用者の疲労状態や視認能力を推定して、利用者に適した表示を行うことができる。よって、本実施例に係る表示制御装置1によれば、簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行することが可能になる。
【0035】
また、本実施例に係る表示制御装置1は、画面の属性に応じて計測させる操作の種別を変更する。このため、本実施例に係る表示制御装置1では、表示中の画面の属性に合った種別の操作を対象に操作速度を計測できる。すなわち、本実施例に係る表示制御装置1では、利用者による操作が期待される操作の種別が画面ごとに異なる場合でも、全ての画面で操作速度と所定値との比較が画一的に行われることはない。よって、本実施例に係る表示制御装置1によれば、利用者にとって違和感のある拡大表示または縮小表示がなされることを防止できる。
【0036】
さらに、本実施例に係る表示制御装置1は、画面を識別する識別情報と属性とを対応付けて格納する属性記憶部1cを参照し、該属性を判定する。このため、本実施例に係る表示制御装置1では、画面に含まれる内容、例えば文字や記号のフォント、ボタン類の大きさやレイアウトなどが類似するものを同定できる。よって、本実施例に係る表示制御装置1によれば、拡大表示または縮小表示を制御するための情報量を低減できる。
【0037】
また、本実施例に係る表示制御装置1は、画面の一部または全部を拡大する命令または縮小する命令を生成し、命令に基づいて生成した拡大画面または縮小画面を表示装置1bへ出力する。このため、本実施例に係る表示制御装置1では、表示装置1bの表示領域の中でも利用者が注目する表示領域を標的として拡大表示または縮小表示を実行できる。それゆえ、本実施例に係る表示制御装置1では、利用者にとって視認し難いとは限らない表示領域まで拡大または縮小されることを防止できる。よって、本実施例に係る表示制御装置1によれば、画面の表示領域の視認性を向上させつつ、画面の表示領域以外の視認性を維持できる。
【実施例2】
【0038】
続いて、実施例2に係る表示制御装置について説明する。なお、本実施例では、医療機関の診療を支援するアプリケーション(application software)により生成された画面を拡大表示または縮小表示する場合を想定する。
【0039】
[システム構成]
続いて、本実施例に係る診療支援システムについて説明する。図3は、実施例2に係る診療支援システムの構成を示すシステム構成図である。図3に示すように、診療支援システム(system)3には、複数の診療支援クライアント10A〜10Cと、診療支援サーバ30とが収容される。なお、図3の例では、3つの診療支援クライアント、1つの診療支援サーバをそれぞれ図示したが、開示のシステムは図示の構成に限定されない。すなわち、診療支援システム3は、任意の数の診療支援クライアントおよび診療支援サーバを収容できる。
【0040】
これら診療支援クライアント10A〜10Cと診療支援サーバ30とは、ネットワーク(network)5を介して相互に通信可能に接続される。なお、ネットワーク5には、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を採用できる。
【0041】
診療支援クライアント(client)10A〜10Cは、医療関係者により利用されるクライアント端末である。かかる診療支援クライアント10A〜10Cの一態様としては、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やサーバ(server)などの固定端末を採用できる。これらの固定端末の他にも、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistant)などの移動体端末を採用できる。なお、上記の医療関係者には、医師、看護婦、薬剤師、検査技師などの医療従業者のほか、事務員やシステムのメンテ(maintenance)員なども含まれる。なお、以下では、診療支援クライアント10A〜10Cの各装置を区別なく総称する場合には、診療支援クライアント10と記載する。
【0042】
この診療支援クライアント10には、患者のプロファイル(profile)の管理、カルテ(Karte)の記入、薬剤や検査のオーダー(order)や看護記録の記入などの診療に関する各種業務を支援するアプリケーションがインストール(install)される。なお、以下では、診療支援クライアント10にインストールされるアプリケーションをクライアント用診療支援アプリと呼ぶ。
【0043】
この診療支援クライアント10では、医療関係者が各自のアカウント(account)でシステムへログイン(log in)することによりクライアント用診療支援アプリが起動する。かかるログイン後に、クライアント用診療支援アプリは、自らが使用する画面とともに画面に関する表示制御が定義された画面マスタ(master)を診療支援サーバ30からダウンロード(download)する。その後、クライアント用診療支援アプリは、後述の入力部11を介して受付けた操作にしたがって必要な画面を生成し、生成した画面を後述の表示部12に表示させる。
【0044】
診療支援サーバ30は、クライアント端末である診療支援クライアント10に診療支援システムの機能を提供するサーバ装置である。この診療支援サーバ30は、患者のプロファイル、カルテ、各種のオーダーや看護記録などの各種のデータベース(data base)を有する。さらに、診療支援サーバ30には、サーバ用の診療支援アプリがインストールされており、サーバ用診療支援アプリがクライアント用診療支援アプリを通じて診療支援システム3の機能を診療支援クライアント10に提供する。
【0045】
これを説明すると、診療支援サーバ30は、診療支援クライアント10から利用者IDやパスワード(password)などの認証情報とともにログイン要求を受け付けると、ログイン認証を実行する。そして、診療支援サーバ30は、ログイン認証に成功した場合には、クライアント用診療支援アプリに使用させる画面とともに画面に関する表示制御が定義された画面マスタを診療支援クライアント10へ送信する。その後、診療支援サーバ30は、ログインされたアカウントに応じて各種のデータベースに記憶されたリソース(resource)を解放することにより、診療支援システム3の機能を提供する。
【0046】
[診療支援クライアントの構成]
次に、本実施例に係る診療支援システム3に含まれる診療支援クライアントの構成について説明する。図4は、実施例2に係る診療支援クライアントの構成を示すブロック図である。図4に示す診療支援クライアント10は、入力部11と、表示部12と、通信I/F部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。なお、診療支援クライアント10は、図4に示した機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば音声入力部や音声出力部などの音声デバイス等を有するものとする。
【0047】
このうち、入力部11は、各種の情報、例えば後述のクライアント用診療支援アプリ15aに対する指示入力を受け付ける入力デバイスであり、一例としては、キーボード(keyboard)やマウス(mouse)などを適用できる。なお、後述の表示部12も、マウスと協働して、ポインティングデバイス(pointing device)機能を実現する。
【0048】
表示部12は、各種の情報、例えば後述のクライアント用診療支援アプリ15aにより生成された画像などを表示する表示デバイスであり、一例としては、モニタ(monitor)、ディスプレイ(display)やタッチパネル(touch panel)などを適用できる。
【0049】
通信I/F部13は、他の装置、例えば診療支援サーバ30や他の診療支援クライアント10との間で通信を行うためのインタフェース(interface)である。
【0050】
記憶部14は、例えば、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク(hard disk)、光ディスクなどの記憶装置である。なお、記憶部14は、上記の種類の記憶装置に限定されるものではなく、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)であってもよい。
【0051】
記憶部14は、制御部15で実行されるOS(Operating System)や後述のクライアント用診療支援アプリ15aなどの各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部14は、制御部15で実行されるプログラムの実行に必要なデータ、例えばクライアント用診療支援アプリに使用される画面のデータなどを記憶する。このほか、記憶部14は、画面マスタ14aを併せて記憶する。
【0052】
画面マスタ14aは、画面に関する表示制御が定義されたマスタデータである。この画面マスタ14aの一態様としては、画面ID、解像度、格納場所、操作速度の条件および変更先の解像度が対応付けて記憶される。ここで言う「格納場所」とは、後述のクライアント用診療支援アプリ15aにより使用される画面のデータが格納されている場所を指す。なお、画面マスタ14aは、後述のクライアント用診療支援アプリ15aが起動された場合に、サーバ用診療支援アプリからダウンロードされる。
【0053】
図5は、画面マスタの一例を示す図である。図5に示す画面マスタ14aは、図2に示した条件記憶部1dで属性IDごとに操作速度の条件が定義されていたのとは異なり、画面IDごとに操作速度の条件が定義される。これによって、図5に示す画面マスタ14aでは、画面ごとに後述の操作計測部15dに計測させる操作の種別を設定可能とし、さらに、計測値と比較する閾値についても画面ごとに設定可能とする。
【0054】
まず、図5に示す画面ID「MWNU001」のメニュー画面について説明する。図5に示すように、画面ID「MWNU001」の画面としては、高解像度、中解像度および低解像度の3つのメニュー画面が用意されている。これら3つの解像度のメニュー画面は、画面間で解像度は異なるものの、同様の内容を表示することが規定されている。各解像度のメニュー画面は、いずれもDドライブにある「XXX」というフォルダの中の「MWNU001」というフォルダの中に格納されている。このうち、高解像度のメニュー画面を生成する場合には、ファイル「high」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。また、中解像度のメニュー画面を生成する場合には、ファイル「middle」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。また、低解像度のメニュー画面を生成する場合には、ファイル「low」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。なお、ここでは、ルートディレクトリ(root directory)やドライブ(drive)から目的の画面までの道筋が記述された絶対パス(path)を用いて格納場所を表記する場合を説明したが、相対パスを用いることとしてもかまわない。
【0055】
これら画面ID「MWNU001」の3つのメニュー画面には、表示部12の解像度および画面の解像度を変更する契機とする操作速度の条件および変更先の解像度が解像度別に規定されている。なお、以下では、図6A〜図6Cを用いて、各解像度のメニュー画面に規定された操作速度の条件および変更先の解像度について説明する。
【0056】
図6Aは、高解像度のメニュー画面の一例を示す図である。図6Bは、中解像度のメニュー画面の一例を示す図である。図6Cは、低解像度のメニュー画面の一例を示す図である。図6Aに示す符号40は、高解像度のメニュー画面を指す。図6Bに示す符号50は、中解像度のメニュー画面を指す。図6Cに示す符号60は、低解像度のメニュー画面を指す。図6B及び図6Cに示す符号51a及び符号61aは、メニュー画面50またはメニュー画面60を上方向へスクロールさせるスクロールボタンを指す。図6B及び図6Cに示す符号51b及び符号61bは、メニュー画面50またはメニュー画面60を下方向へスクロールさせるスクロールボタンを指す。また、図6B及び図6Cに示す符号52及び符号62は、マウスのドラッグ(drag)操作、マウスホイール(mouse wheel)操作あるいはキーボード(keyboard)の上下方向キーによりマウスの移動方向にスクロールさせるスクロールバーを指す。
【0057】
図6Aに示す高解像度のメニュー画面40は、一定のサイズ、例えば全画面で表示された場合に、画面中に表示される全ての選択ボタンが画面内に収まるように設計されている。すなわち、メニュー画面40では、網掛け付きの大項目「共通」、「メンテナンス」、「患者情報」、「外来管理」、「病棟管理」、「地球連携」及び「診療記録」に含まれる選択ボタンが全て画面内に収まっている。さらに、メニュー画面40では、小項目「Web参照」及び「診療研究支援」に含まれる選択ボタンが全て画面内に収まっている。このため、メニュー画面40では、診療支援クライアント10を使用する医療関係者がスクロールに関する操作を行う必要がない。
【0058】
かかる高解像度のメニュー画面40には、解像度を下げる操作速度の条件が規定される。図5の例で言えば、後述の操作計測部15dにより計測された選択時間が3秒以上である場合に、表示部12の解像度および画面の解像度を中解像度へ変更することが規定されている。なぜなら、メニュー画面40は、スクロールが不要である分、項目として表示される文字や選択ボタン内に表示される文字が小さく、利用者にとって見にくい場合もあるからである。このように、メニュー画面40の選択時間が長い場合には、画面マスタ14aの規定により画面に表示されている文字、記号や画像などが利用者にとって小さすぎると推定される。なお、計測値と比較する選択時間の閾値は、画面に含まれる内容に応じて設定したり、利用者別に設定したりすることができる。
【0059】
また、図6Bに示す中解像度のメニュー画面50は、高解像度のメニュー画面40よりも解像度が低い。このため、中解像度のメニュー画面50では、高解像度のメニュー画面40よりも内容が大きく表示されるという長所を有する一方で、スクロールなしには画面全体を閲覧することができないという短所も有する。なお、中解像度のメニュー画面50は、高解像度のメニュー画面40と同じ選択ボタンを全て含むものの、縦のスクロール操作により画面の全内容を閲覧できるように画面のレイアウトが変更されている。すなわち、小項目「Web参照」及び「診療研究支援」に含まれる選択ボタンが大項目「メンテナンス」の下部に配置される。
【0060】
かかる中解像度のメニュー画面50には、解像度を下げる操作速度の条件及び解像度を上げる操作速度の条件の両方が規定される。これら解像度を下げる条件及び解像度を上げる条件のいずれにも、後述の操作計測部15dにより計測された選択時間が3秒以上であることが要件として規定される。
【0061】
このように、メニュー画面50の選択時間が長い場合には、利用者によって中解像度が相応しくないという推定に留め、選択時間に関する条件だけで解像度の変更先を規定しない。なぜなら、メニュー画面50の選択が遅れる原因として、複数の原因が想定されるからである。一例としては、画面に表示されている文字、記号や画像などが利用者にとって小さいことが挙げられる。他の一例としては、画面全体がスクロールなしに俯瞰できないことが原因で目的の選択ボタンを見つけ出すのが困難となっていることが挙げられる。そして、メニュー画面50の選択が遅れる原因が前者である場合には、解像度を下げるのが好ましいが、後者である場合には、解像度を上げるのが好ましい。
【0062】
このため、中解像度のメニュー画面50には、解像度の上げ下げがスクロール速度の大きさにより規定される。例えば、スクロール速度が1.5回/秒以上である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を高解像度へ変更することが規定されている。なぜなら、この場合には、スクロール操作が必要以上に繰り返されており、利用者が画面全体を俯瞰できていない状況が推定できるからである。一方、スクロール速度が1.5回/秒未満である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を低解像度へ変更することが規定されている。この場合には、メニュー画面50の全体を把握するのに必要以上に時間が掛かっており、中解像度では画面に表示されている文字、記号や画像などが利用者にとって小さいことが推定できるからである。なお、計測値と比較するスクロール速度の閾値も、画面に含まれる内容に応じて設定したり、また、利用者別に設定したりすることができる。
【0063】
また、図6Cに示す低解像度のメニュー画面60は、中解像度のメニュー画面50よりも解像度が低い。このため、低解像度のメニュー画面60では、中解像度のメニュー画面50よりも内容が大きく表示されるという長所を有する一方で、中解像度のメニュー画面50よりも画面全体を閲覧するために多くのスクロールを必要とするという短所も有する。なお、低解像度のメニュー画面60は、高解像度のメニュー画面40及び中解像度のメニュー画面50と同じ選択ボタンを全て含むものの、縦のスクロール操作により画面の全内容を閲覧できるように画面のレイアウトが変更されている。すなわち、高解像度のメニュー画面40に比べて、大項目「診療記録」が大項目「メンテナンス」の下部に配置される。さらに、大項目「地球連携」が大項目「患者情報」の下部に配置される。さらに、小項目「Web参照」及び「診療研究支援」に含まれる選択ボタンが大項目「病棟管理」の下部に配置される。
【0064】
かかる低解像度のメニュー画面60には、解像度を上げる操作速度の条件が規定される。図5の例で言えば、後述の操作計測部15dにより計測された選択時間が3秒以上であり、かつスクロール速度が1.5回/秒以上である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を中解像度へ変更することが規定されている。なぜなら、この場合には、低解像度の表示が利用者に合っておらず、また、スクロール操作が必要以上に繰り返されており、利用者が画面全体を俯瞰できていない状況が推定できるからである。
【0065】
なお、図6A〜図6Cの画面例では、メニュー画面40、50または60で選択操作が行われた場合にその選択操作がなされたボタンに対する画面に遷移する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置は、1つの画面で複数の選択操作を受付ける場合にも適用できる。この場合には、開示の装置は、選択操作が行われる度に画面が遷移してからまたは前回に選択操作が行われてからの経過時間を選択時間として計測する。例えば、開示の装置は、看護記録の入力画面において、体温、血圧などのように入力欄が複数ある場合には、各入力欄への入力が終了してから、次の入力欄を選択するまでの時間を選択時間として計測する。
【0066】
次に、図5に示す画面ID「text001」のテキスト画面について説明する。図5に示すように、画面ID「text001」の画面としては、高解像度、中解像度および低解像度の3つのテキスト画面が用意されている。これら3つの解像度のテキスト画面は、画面間で解像度は異なるものの、同様の内容を表示することが規定されている。各解像度のテキスト画面は、いずれもDドライブにある「XXX」というフォルダの中の「text001」というフォルダの中に格納されている。このうち、高解像度のテキスト画面を生成する場合には、ファイル「high」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。また、中解像度のテキスト画面を生成する場合には、ファイル「middle」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。また、低解像度のテキスト画面を生成する場合には、ファイル「low」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。
【0067】
図5に示す各解像度のテキスト画面には、選択時間に関する条件が規定されていない。このようにテキスト画面に選択時間に関する条件が規定されない理由は、テキスト画面は文字や記号などの記述が主とされる画面であり、利用者からシステムに対する要求を受け付けるよりも利用者が情報を読み取ることに重点が置かれた画面であるからである。一方、各解像度のテキスト画面には、スクロール速度に関する条件は規定されている。なぜなら、テキスト画面に含まれる内容が多い場合には、選択操作は発生しなくともスクロール操作は発生するからである。
【0068】
例えば、高解像度のテキスト画面には、後述の操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が0.3回/秒未満である場合に、表示部12の解像度および画面の解像度を中解像度へ変更することが規定されている。このように、テキスト画面のスクロール速度が遅い場合には、画面マスタ14aの規定により画面に表示されている文字、記号や画像などが利用者にとって小さすぎると推定される。
【0069】
また、中解像度のテキスト画面には、解像度を下げるスクロール速度の条件及び解像度を上げるスクロール速度の条件の両方が規定される。例えば、後述の操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が0.3回/秒未満である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を低解像度へ変更することが規定されている。このように、テキスト画面のスクロール速度が遅い場合には、中解像度のテキスト画面の内容の表示サイズが小さすぎると推定できるからである。一方、後述の操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が2回/秒以上である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を高解像度へ変更することが規定されている。このように、テキスト画面のスクロール速度が速い場合には、中解像度のテキスト画面でスクロール操作が必要以上に繰り返されており、利用者が画面全体を俯瞰できていない状況が推定できるからである。
【0070】
また、低解像度のテキスト画面には、後述の操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が2回/秒以上である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を中解像度へ変更することが規定されている。このように、テキスト画面のスクロール速度が速い場合には、低解像度のテキスト画面でスクロール操作が必要以上に繰り返されており、利用者が画面全体を俯瞰できていない状況が推定できるからである。
【0071】
制御部15は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路またはCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0072】
制御部15は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部15は、図4に示すように、クライアント用診療支援アプリ15aと、操作受付部15bと、ロジック判定部15cと、操作計測部15dと、比較部15eと、命令生成部15fと、出力制御部15gとを有する。
【0073】
このうち、クライアント用診療支援アプリ15aは、診療支援システム3の機能を診療支援クライアント10に提供する処理部である。一例としては、クライアント用診療支援アプリ15aは、医療関係者が各自のアカウントでシステムへログインすることにより起動する。システムへのログイン後に、クライアント用診療支援アプリ15aは、自らが使用する画面のデータとともに画面に関する表示制御が定義された画面マスタを診療支援サーバ30からサーバ用診療支援アプリを介してダウンロードする。このようにしてダウンロードされた画面マスタは、画面マスタ14aとして記憶部14に登録される。その後、クライアント用診療支援アプリ15aは、後述の入力部11を介して受付けた操作にしたがって画面の生成を依頼する画面生成依頼情報、例えば画面ID、画面に埋め込む文字、記号や画像などの情報を後述の出力制御部15gへ出力する。
【0074】
ここで、本実施例では、ログイン直後は全ての利用者に対して高解像度の画面を表示させ、それ以後に表示部12及び画面の解像度が変更された場合には画面の遷移後も変更後の解像度が表示対象の解像度として引き継がれる場合を想定して以下の説明を行う。なお、ここでは、ログイン直後は全ての利用者に対して高解像度の画面を表示させる場合を説明したが、必ずしも高解像度をログイン直後の表示におけるデフォルト(default)とする必要はない。一例としては、利用者ごとに表示対象とする解像度を利用者マスタとして診療支援サーバ30に設定しておき、ログイン直後に表示させる表示部12及び画面の解像度を利用者別に変更することとしてもよい。
【0075】
操作受付部15bは、入力部11を介して画面の選択を受付ける処理部である。一例として、表示中の画面がメニュー画面である場合に、操作受付部15bは、ボタン、タブやアイコンなどが割り当てられた複数の項目の中から、クリック操作やEnterキーの押下操作などを介して、1つまたは複数の項目を選択する操作を受付ける。かかる選択操作により、表示中の画面が新たな画面に遷移したり、表示中の画面とは別に新たな画面が生成されたりする。他の一例としては、表示部12に複数の画面が表示されている場合に、操作受付部15bは、クリック操作などを介して、操作を有効とする画面、すなわちアクティブな画面を切り替える操作も受付ける。
【0076】
ロジック判定部15cは、画面マスタ14aを用いて、操作計測部15d及び比較部15eに操作速度を監視させる監視ロジックを判定する処理部である。
【0077】
これを説明すると、ロジック判定部15cは、操作受付部15bにより新たに画面が遷移する操作またはアクティブな画面を切り替える選択が受け付けられた場合に、新たに遷移した画面または新たにアクティブになった画面の画面IDを特定する。その上で、ロジック判定部15cは、記憶部14に画面マスタ14aとして記憶された操作速度の条件のうち、先に特定した画面IDおよび現在の表示に適用されている解像度に対応する操作速度の条件を読み出す。このとき、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度から操作計測部15dに計測させる操作の種別を特定する。さらに、ロジック判定部15cは、操作速度の条件として規定されている比較内容、すなわち閾値および比較方法を特定する。その上で、ロジック判定部15cは、計測対象とする操作の種別および操作速度と比較する比較内容に基づいて監視ロジックを組み立てる。
【0078】
例えば、図6Aに示した高解像度のメニュー画面の監視ロジックを組み立てる場合を想定する。この例では、ロジック判定部15cは、図5に示した画面マスタ14aから画面ID「MWNU001」の高解像度のメニュー画面40に対応する操作速度の条件として、選択時間に関する条件「選択時間が3秒以上であること」を読み出す。そして、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度が選択時間であるので、操作計測部15dに計測させる操作の種別がクリックであると特定する。また、ロジック判定部15cは、選択時間に関する条件として規定されている閾値「3秒」および比較方法「以上」を特定する。その上で、ロジック判定部15cは、操作計測部15dに選択時間を計測させる手順と、比較部15eに選択時間の計測値が3秒以上であるかを判定させる手順とを規定した監視ロジックを組み立てる。
【0079】
また、図6Bに示した中解像度のメニュー画面の監視ロジックを組み立てる場合を想定する。この例では、ロジック判定部15cは、図5に示した画面マスタ14aから画面ID「MWNU001」の中解像度のメニュー画面50に対応する操作速度の条件として、選択時間に関する条件「選択時間が3秒以上であること」を読み出す。さらに、ロジック判定部15cは、同様にして、スクロール速度に関する条件「スクロール速度が1.5回/秒以上であること」および「スクロール速度が1.5回/秒未満であること」を読み出す。そして、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度が選択時間及びスクロール速度であるので、操作計測部15dに計測させる操作の種別がクリック及びスクロールであると特定する。また、ロジック判定部15cは、選択時間に関する条件として規定されている閾値「3秒」および比較方法「以上」と、スクロール速度に関する条件として規定されている閾値「1.5回/秒」及び比較方法「以上、未満」を特定する。その上で、ロジック判定部15cは、操作計測部15dに選択時間及びスクロール速度を計測させる手順を規定する。さらに、ロジック判定部15cは、比較部15eに選択時間の計測値が3秒以上であるかを判定させる手順を規定する。さらに、ロジック判定部15cは、比較部15eにスクロール速度の計測値が1.5回/秒未満であるか否かを判定させる手順を規定する。その上で、ロジック判定部15cは、上記の3つの手順を含む監視ロジックを組み立てる。
【0080】
また、図6Cに示した低解像度のメニュー画面の監視ロジックを組み立てる場合を想定する。この例では、ロジック判定部15cは、図5に示した画面マスタ14aから画面ID「MWNU001」の低解像度のメニュー画面60に対応する操作速度の条件として、選択時間に関する条件「選択時間が3秒以上であること」を読み出す。さらに、ロジック判定部15cは、同様にして、スクロール速度に関する条件「スクロール速度が1.5回/秒以上であること」を読み出す。そして、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度が選択時間及びスクロール速度であるので、操作計測部15dに計測させる操作の種別がクリック及びスクロールであると特定する。また、ロジック判定部15cは、選択時間に関する条件として規定されている閾値「3秒」および比較方法「以上」と、スクロール速度に関する条件として規定されている閾値「1.5回/秒」及び比較方法「以上」を特定する。その上で、ロジック判定部15cは、操作計測部15dに選択時間及びスクロール速度を計測させる手順を規定する。さらに、ロジック判定部15cは、比較部15eに選択時間の計測値が3秒以上であるかを判定させる手順を規定する。さらに、ロジック判定部15cは、比較部15eにスクロール速度の計測値が1.5回/秒以上であるか否かを判定させる手順を規定する。その上で、ロジック判定部15cは、上記の3つの手順を含む監視ロジックを組み立てる。
【0081】
なお、ここでは、各解像度のメニュー画面の監視ロジックを組み立てる場合を説明したが、図5に示した各解像度のテキスト画面の監視ロジックについても同様にして組み立てることができる。
【0082】
操作計測部15dは、ロジック判定部15cにより組み立てられた監視ロジックにしたがって操作速度を計測する処理部である。例えば、計測対象とする操作の種別としてクリックが規定されている場合には、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測する。なお、操作計測部15dは、選択時間の計測中にマウスカーソル(mouse cursor)が所定の期間にわたって停止している場合には、利用者に操作の意思がない可能性があるので、選択時間をクリア(clear)して再計測することとしてもよい。
【0083】
また、計測対象とする操作の種別としてスクロールが規定されている場合には、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間に対して画面がスクロールした幅の割合をスクロール速度として計測する。かかるスクロールした幅を計測する一例としては、操作計測部15dは、図6B及び図6Cに示した上方向のスクロールボタン51a及び61aの操作回数と、下方向のスクロールボタン51b及び61bの操作回数とを計測する。他の一例としては、操作計測部15dは、図6B及び図6Cに示したスクロールバー52及び62の操作回数を計測する。更なる一例としては、操作計測部15dは、マウスホイールの回転量を計測する。なお、スクロールした幅を計測する場合には、上方向のスクロールボタン51a及び61aの操作回数と下方向のスクロールボタン51b及び61bの操作回数とを合算してもよいし、下方向の操作回数から上方向の操作回数を減算してもよい。
【0084】
ここで、操作計測部15dは、表示部12に複数の画面が表示されている場合には、選択時間またはスクロール速度を画面ごとに計測する。このとき、操作計測部15dは、アクティブな画面だけを計測対象とする。すなわち、操作計測部15dは、アクティブな画面以外の他の画面については選択時間及びスクロール速度の計測を中断し、アクティブになった段階で選択時間及びスクロール速度の計測を再開する。
【0085】
比較部15eは、ロジック判定部15cにより組み立てられた監視ロジックにしたがって、操作計測部15dにより計測された操作速度と、画面マスタ14aから取得した閾値とを比較する処理部である。
【0086】
一例としては、図6Aに示したメニュー画面40に対応する監視ロジックの場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する。
【0087】
他の一例としては、図6Bに示したメニュー画面50に対応する監視ロジックの場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する。そして、計測値である選択時間が閾値以上である場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が閾値未満であるか否かをさらに判定する。
【0088】
更なる一例としては、図6Cに示したメニュー画面60に対応する監視ロジックの場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する。そして、計測値である選択時間が閾値以上である場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が閾値以上であるか否かをさらに判定する。
【0089】
命令生成部15fは、比較部15eによる比較結果に基づいて、表示部12の解像度および表示中の画面の解像度を変更する命令を生成する処理部である。
【0090】
一例として、図6Aに示したメニュー画面40に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、選択時間の計測値が閾値以上である場合には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を高解像度から中解像度へ変更する命令を生成する。
【0091】
他の一例として、図6Bに示したメニュー画面50に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、選択時間の計測値が閾値以上であり、かつスクロール速度の計測値が閾値未満である場合には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を中解像度から低解像度へ変更する命令を生成する。また、選択時間の計測値が閾値以上であり、かつスクロール速度の計測値が閾値以上である場合には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を中解像度から高解像度へ変更する命令を生成する。
【0092】
更なる一例として、図6Cに示したメニュー画面60に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、選択時間の計測値が閾値以上であり、かつスクロール速度の計測値が閾値以上である場合には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を低解像度から中解像度へ変更する命令を生成する。
【0093】
出力制御部15gは、表示部12に対する出力制御を行う処理部である。例えば、出力制御部15gは、クライアント用診療支援アプリ15aにより出力された画面生成依頼情報に応答して、診療支援システム3に関する各種の画面、例えばメニュー画面やテキスト画面を生成する。
【0094】
また、出力制御部15gは、命令生成部15fにより生成された命令にしたがって、表示部12の解像度および表示中の画面の解像度を先の命令により指定された解像度へ変更する。
【0095】
一例としては、図6Aに示したメニュー画面40に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、命令生成部15fにより高解像度から中解像度へ変更する命令が生成された場合には、出力制御部15gは、表示部12の解像度を高解像度から中解像度へ変更する。これとともに、出力制御部15gは、図6Aに示す高解像度のメニュー画面40を図6Bに示した中解像度のメニュー画面50に変更する。このように、画面を差し換える場合には、出力制御部15gは、表示中のメニュー画面40に含まれるフォームに入力されていた入力値やイメージタグに挿入されていた画像を変更先のメニュー画面40へ引き継がせる。
【0096】
他の一例としては、図6Bに示したメニュー画面50に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、命令生成部15fにより中解像度から低解像度へ変更する命令が生成された場合には、出力制御部15gは、表示部12の解像度を中解像度から低解像度へ変更する。これとともに、出力制御部15gは、図6Bに示す中解像度のメニュー画面50を図6Cに示した低解像度のメニュー画面60に変更する。また、命令生成部15fにより中解像度から高解像度へ変更する命令が生成された場合には、出力制御部15gは、表示部12の解像度を中解像度から高解像度へ変更する。これとともに、出力制御部15gは、図6Bに示す中解像度のメニュー画面50を図6Aに示した高解像度のメニュー画面40に変更する。
【0097】
更なる一例としては、図6Cに示したメニュー画面60に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、命令生成部15fにより低解像度から中解像度へ変更する命令が生成された場合には、出力制御部15gは、表示部12の解像度を低解像度から中解像度へ変更する。これとともに、出力制御部15gは、図6Cに示す低解像度のメニュー画面60を図6Bに示した中解像度のメニュー画面50に変更する。
【0098】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る診療支援システムの処理の流れについて説明する。なお、ここでは、診療支援クライアント10により実行される(1)全体フローを説明する。その後には、メニュー系の画面の場合に実行されるサブフローの一例として、(2)高解像度用の操作速度監視処理、(3)中解像度用の操作速度監視処理、(4)低解像度用の操作速度監視処理の順に説明する。
【0099】
(1)全体フロー
図7は、実施例2に係る診療支援クライアントで実行される全体フローの手順を示すフローチャートである。この全体フローは、クライアント用診療支援アプリ15aにより診療支援システム3へのログインが成功した場合に起動する。
【0100】
図7に示すように、システムへのログインが成功すると(ステップS101)、クライアント用診療支援アプリ15aは、診療支援サーバ30からサーバ用診療支援アプリを介して画面マスタをダウンロードする(ステップS102)。
【0101】
その後、ロジック判定部15cは、ログイン直後であれば、メインメニュー画面などの最初にアクセスされるページ、また、ログイン直後でなければ、新たに遷移した画面または新たにアクティブになった画面の画面IDを特定する(ステップS103)。
【0102】
そして、ロジック判定部15cは、記憶部14に画面マスタ14aとして記憶された操作速度の条件のうち、先に特定した画面IDおよび現在の表示に適用されている解像度に対応する操作速度の条件を読み出す(ステップS104)。
【0103】
続いて、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度から操作計測部15dに計測させる操作の種別を特定するとともに、操作速度の条件として規定されている比較内容、すなわち閾値および比較方法を特定する(ステップS105)。
【0104】
そして、ロジック判定部15cは、計測対象とする操作の種別および操作速度と比較する比較内容に基づいて監視ロジックを組み立てる(ステップS106)。
【0105】
その後、新たに画面が遷移する操作またはアクティブな画面を切り替える選択が受け付けられた場合(ステップS107肯定またはステップS108肯定)には、上記のステップS103の処理に移行する。
【0106】
また、新たに画面が遷移する操作またはアクティブな画面を切り替える選択が受け付けられなかった場合(ステップS107否定かつステップS108否定)には、次の処理が実行される。すなわち、ステップS106で組み立てた監視ロジックに基づいて操作速度監視処理が実行される(ステップS109)。
【0107】
なお、操作速度監視処理が実行された後には、上記のステップS107に移行する。上記のステップS103〜ステップS109の処理は、クライアント用診療支援アプリ15aに関する画面が全て閉じられるまで繰り返し実行される。
【0108】
(2)高解像度用の操作速度監視処理
図8は、実施例2に係る高解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。図8のサブフローは、図7に示した全体フローにおけるステップS109の操作速度監視処理に対応する処理であり、図6Aに示したメニュー画面40の監視ロジックが組み立てられた場合に実行される処理である。
【0109】
図8に示すように、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測する(ステップS201)。そして、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0110】
このとき、選択時間の計測値が閾値以上である場合(ステップS202肯定)には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を高解像度から中解像度へ変更する命令を生成し(ステップS203)、処理を終了する。
【0111】
なお、選択時間の計測値が閾値未満である場合(ステップS202否定)には、現在の解像度が利用者にとって相応しいと推定できるので、解像度の変更を実行せずにそのまま処理を終了する。
【0112】
(3)中解像度用の操作速度監視処理
図9は、実施例2に係る中解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。図9のサブフローは、図7に示した全体フローにおけるステップS109の操作速度監視処理に対応する処理であり、図6Bに示したメニュー画面50の監視ロジックが組み立てられた場合に実行される処理である。
【0113】
図9に示すように、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測するとともに、経過時間に対するスクロール幅の割合をスクロール速度として計測する(ステップS301)。
【0114】
そして、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS302)。このとき、選択時間の計測値が閾値未満である場合(ステップS302否定)には、現在の解像度が利用者にとって相応しいと推定できるので、そのまま処理を終了する。
【0115】
一方、選択時間の計測値が閾値以上である場合(ステップS302肯定)には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が閾値未満であるか否かをさらに判定する(ステップS303)。
【0116】
ここで、スクロール速度の計測値が閾値未満である場合(ステップS303肯定)には、現在の解像度ではまだ表示が小さいと推定できるので、命令生成部15fは、次のような処理を行う。すなわち、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を中解像度から低解像度へ変更する命令を生成し(ステップS304)、処理を終了する。
【0117】
一方、スクロール速度の計測値が閾値以上である場合(ステップS303否定)には、現在の解像度では画面全体が俯瞰できないと推定できるので、命令生成部15fは、次のような処理を行う。すなわち、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を中解像度から高解像度へ変更する命令を生成し(ステップS305)、処理を終了する。
【0118】
(4)低解像度用の操作速度監視処理
図10は、実施例2に係る低解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。図10のサブフローは、図7に示した全体フローにおけるステップS109の操作速度監視処理に対応する処理であり、図6Cに示したメニュー画面60の監視ロジックが組み立てられた場合に実行される処理である。
【0119】
図10に示すように、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測するとともに、経過時間に対するスクロール幅の割合をスクロール速度として計測する(ステップS401)。
【0120】
そして、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS402)。このとき、選択時間の計測値が閾値未満である場合(ステップS402否定)には、現在の解像度が利用者にとって相応しいと推定できるので、そのまま処理を終了する。
【0121】
一方、選択時間の計測値が閾値以上である場合(ステップS402肯定)には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が閾値以上であるか否かをさらに判定する(ステップS403)。
【0122】
このとき、スクロール速度の計測値が閾値以上である場合(ステップS403肯定)には、現在の解像度では画面全体が俯瞰できないと推定できるので、命令生成部15fは、次のような処理を行う。すなわち、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を低解像度から中解像度へ変更する命令を生成し(ステップS404)、処理を終了する。なお、スクロール速度の計測値が閾値以上である場合(ステップS403否定)には、そのまま処理を終了する。
【0123】
[実施例2の効果]
上述してきたように、本実施例に係る診療支援クライアント10では、画面に含まれる文字、記号や画像などの表示内容を利用者の操作特性に適合した大きさで表示できる。その上、本実施例に係る診療支援クライアント10では、利用者の操作速度を計測するにあたって特段のハードウェアを必要としない。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、上記の実施例1と同様、簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行することが可能である。
【0124】
また、本実施例に係る診療支援クライアント10は、表示中の画面がメニュー画面であるか、あるいはテキスト画面であるかによって計測対象とする操作の種別を変更する。このため、本実施例に係る診療支援クライアント10では、画面の性質に適合した種別の操作に関する操作速度を計測した上で拡大表示または縮小表示を実行できる。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、利用者にとって違和感のある拡大表示または縮小表示がなされることを防止できる。
【0125】
さらに、本実施例に係る診療支援クライアント10は、表示中の画面がメニュー画面である場合に、操作速度として、画面を表示部12へ出力してからの経過時間を計測する。また、本実施例に係る診療支援クライアント10は、表示中の画面がテキスト画面である場合に、操作速度として、テキスト画面を所定期間内にスクロールした領域の幅をスクロール速度として計測する。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、利用者にとってメニュー画面の内容またはテキスト画面の内容が見にくいのかどうかを確度よく判別できる。
【0126】
また、本実施例に係る診療支援クライアント10は、表示部12の解像度を下げる命令または表示部12の解像度を上げる命令を生成した上で、命令を表示部12へ出力する。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、画面の拡大処理または画面の縮小処理という画像処理を不要化できる。
【0127】
さらに、本実施例に係る診療支援クライアント10は、選択時間の計測値が閾値以上である場合に、スクロール速度の計測値が閾値以上であれば解像度を下げる命令を生成する一方で、スクロール速度の計測値が閾値未満であれば解像度を上げる命令を生成する。このため、本実施例に係る診療支援クライアント10では、メニュー画面の選択が遅い原因が画面に表示されている内容が利用者にとって小さいか、あるいは画面全体がスクロールなしに俯瞰できないかにより解像度を上げ下げできる。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、利用者にとって違和感のある拡大表示または縮小表示がなされることを防止できる。
【実施例3】
【0128】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0129】
[画面レイアウト]
上記の実施例2では、各解像度の画面で縦のスクロールだけが発生する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、画面に横のスクロールが発生する場合にも開示の装置を同様に適用できる。
【0130】
[画面の拡大と縮小]
上記の実施例1では、画面を拡大または縮小する場合を例示し、上記の実施例2では、表示部12の解像度を上げ下げする場合を例示したが、これらを組み合わせて実施することもできる。一例としては、高解像度の画面を縮小することにより画面の内容をさらに縮小したり、低解像度の画面を拡大することにより画面の内容をさらに拡大したりすることもできる。
【0131】
[解像度]
上記の実施例2では、高解像度から中解像度へ、中解像度から低解像度へ、低解像度から中解像度へ、中解像度から低解像度へ解像度を変更する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置では、高解像度から低解像度へ解像度を下げたり、また、低解像度から高解像度へ解像度を上げたりすることもできる。
【0132】
上記の実施例2では、同様の内容を有する1つの画面について高解像度、中解像度、低解像度の3つの解像度の画面を設ける場合を例示したが、1つの画面につき2つの解像度の画面を設ける場合や4つ以上の解像度の画面を設ける場合にも同様に適用できる。この場合には、診療支援クライアント10ごとに各装置の表示部12の性能で表示可能な解像度を端末管理マスタとして診療支援サーバ30に設定しておき、各クライアントの表示部12に対応する数の解像度間を上げ下げすることもできる。
【0133】
[適用範囲]
上記の実施例1では、複数の画面が対応付けられた属性ごとに操作速度の条件を規定する場合を例示し、上記の実施例2では、画面ごとに操作速度の条件を規定する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、上記の実施例1に係る表示制御装置1で画面ごとに操作速度の条件を規定することとしてもよく、また、上記の実施例2に係る診療支援クライアント10で属性ごとに操作速度の条件を規定することとしてもよい。
【0134】
また、上記の実施例2では、医療機関の診療を支援するアプリにより生成された画面を拡大表示または縮小表示する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。すなわち、開示の装置は、特定の分野に特化したアプリのみならず、汎用のアプリなど任意のアプリにより生成される画面を拡大表示または縮小表示する場合に適用できる。
【0135】
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。一例としては、操作受付部15b、ロジック判定部15c、操作計測部15d、比較部15e、命令生成部15f及び出力制御部15gのうち一部の機能を診療支援サーバ30に持たせることとしてもよい。また、操作受付部15b、ロジック判定部15c、操作計測部15d、比較部15e、命令生成部15fまたは出力制御部15gを診療支援クライアント10の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、操作受付部15b、ロジック判定部15c、操作計測部15d、比較部15e、命令生成部15f又は出力制御部15gを別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、診療支援クライアント10の機能を実現するようにしてもよい。
【0136】
また、上記の実施例においては、表示された画面に対する操作速度を測定し、測定対象となった画面を拡大または縮小することとしたが、これに限るものではない。例えば、表示制御装置は、測定対象となった画面を拡大縮小することなしに、測定対象となった画面に続いて表示される次画面を、対象画面にて測定した操作速度に応じた解像度で表示しても良い。また、表示制御装置は、対象画面を拡大または縮小して表示させた後に、続いて出力する画面を対象画面と同様の解像度で表示させるとしても良い。
【0137】
[表示制御プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図11を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する表示制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。なお、図11は、実施例3に係る表示制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【0138】
図11に示すように、実施例3におけるコンピュータ100は、操作部110aと、マイク110bと、スピーカ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD(Hard Disk Drive)170と、RAM(Random Access Memory)180と有する。これら110〜180の各部はバス140を介して接続される。
【0139】
ROM160には、上記の実施例2で示した操作受付部15bと、ロジック判定部15cと、操作計測部15dと、比較部15eと、命令生成部15fと、出力制御部15gと同様の機能を発揮する制御プログラムが予め記憶される。つまり、ROM160には、図11に示すように、操作受付プログラム160aと、ロジック判定プログラム160bと、操作計測プログラム160cと、比較プログラム160dと、命令生成プログラム160eと、出力制御プログラム160fが記憶される。これらのプログラム160a〜160fについては、図4に示した診療支援クライアントの各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。なお、RAM160に格納される各データは、常に全てのデータがRAM160に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがRAM160に格納されれば良い。
【0140】
そして、CPU150が、これらのプログラム160a〜160fをROM160から読み出して実行する。これにより、CPU150は、各プログラム160a〜160fについては、操作受付プロセス150a、ロジック判定プロセス150b及び操作計測プロセス150cとして機能するようになる。さらに、CPU150は、比較プロセス150d、命令生成プロセス150e及び出力制御プロセス150fとして機能するようになる。これらプロセス150a〜150fは、図4に示した操作受付部15bと、ロジック判定部15cと、操作計測部15dと、比較部15eと、命令生成部15fと、出力制御部15gとにそれぞれ対応する。なお、CPU150上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がCPU150上で動作する必要はなく、処理に必要な処理部のみが仮想的に実現されれば良い。
【0141】
そして、HDD170には、画面マスタ170aが設けられる。なお、この画面マスタ170aは、図4に示した画面マスタ14aに対応する。
【0142】
そして、CPU150は、画面マスタ170aを読み出してRAM180に格納する。さらに、CPU150は、RAM180に格納された画面データ180aを用いて、表示制御プログラムを実行する。
【0143】
なお、上記した表示制御プログラムについては、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ100がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 表示制御装置
1a 入力装置
1b 表示装置
1c 属性記憶部
1d 条件記憶部
1e 受付部
1f 判定部
1g 計測部
1h 比較部
1j 生成部
1k 出力部
3 診療支援システム
10 診療支援クライアント
11 入力部
12 表示部
13 通信I/F部
14 記憶部
14a 画面マスタ
15 制御部
15a クライアント用診療支援アプリ
15b 操作受付部
15c ロジック判定部
15d 操作計測部
15e 比較部
15f 命令生成部
15g 出力制御部
30 診療支援サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に表示される情報が利用者にとって見にくい場合がある。一例としては、表示装置に表示される文字のフォント(font)が小さい場合や表示装置に表示されている内容が細かい場合などが挙げられる。
【0003】
このような場合には、利用者は、表示装置に表示させる画像のサイズ(size)を拡大する操作を行う。例えば、利用者は、表示画像を提供するアプリケーション(application)において表示画像の拡大表示を設定したり、あるいは表示画像の解像度を小さく設定したりする。
【0004】
ここで、利用者自らが操作を行わずとも、拡大表示を自動的に行うための技術がある。一例としては、表示装置に表示される文字の量に応じて、文字サイズを大きくして表示を行う特許文献1の技術がある。他の一例としては、脳波発信機や生体データ発信機により計測された計測データに基づいて利用者の疲労状況を推定し、疲労状況に応じて表示装置に表示させる画像のサイズや解像度を変更する特許文献2の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−305017号公報
【特許文献2】特開2004−191628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1及び特許文献2のいずれの技術においても、簡易な構成で必要なときに拡大表示を行うことはできないという問題がある。
【0007】
例えば、上記の特許文献1の技術は、表示対象とする画像に含まれる文字の量に文字サイズを対応させるものに過ぎない。このため、特許文献1の技術では、どのような利用者が表示装置を見る場合でも所定量以上の文字を有する画像を表示する場合には拡大表示がなされる。ところが、かかる拡大表示は、年齢や疲労状態などの個人の特性に合った表示であるとは限らない。それゆえ、特許文献1の技術では、利用者にとって必要なときに拡大表示を行うことはできない。
【0008】
また、特許文献2の技術は、疲労状態に合わせて表示態様を変化させることはできるが、利用者の生体データを収集するために専用のハードウェア(hardware)が必要となってしまう。よって、特許文献2の技術では、簡易な構成で拡大表示を自動的に行うことはできない。
【0009】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行できる表示制御装置及び表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の開示する表示制御装置は、入力装置から画面の選択を受付ける受付部を有する。さらに、前記表示制御装置は、前記選択された画面を表示装置へ出力するとともに、該出力した該画面の一部または全部を拡大した拡大画面または縮小した縮小画面を該表示装置に表示させる出力部を有する。さらに、前記表示制御装置は、前記入力装置を操作する利用者の操作速度を計測する計測部を有する。さらに、前記表示制御装置は、前記計測した操作速度と所定値とを比較する比較部を有する。さらに、前記表示制御装置は、前記比較した結果に基づいて、前記選択された画面を前記拡大画面または前記縮小画面にする命令を生成する生成部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本願の開示する表示制御装置の一つの態様によれば、簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、条件記憶部に記憶される情報の構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施例2に係る診療支援システムの構成を示すシステム構成図である。
【図4】図4は、実施例2に係る診療支援クライアントの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、画面マスタの一例を示す図である。
【図6A】図6Aは、高解像度のメニュー画面の一例を示す図である。
【図6B】図6Bは、中解像度のメニュー画面の一例を示す図である。
【図6C】図6Cは、低解像度のメニュー画面の一例を示す図である。
【図7】図7は、実施例2に係る診療支援クライアントで実行される全体フローの手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2に係る高解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係る中解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施例2に係る低解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施例3に係る表示制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する表示制御装置及び表示制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。図1に示す表示制御装置1は、表示装置1bに表示された画面上で各種の指示入力を入力装置1aを介して受付けるものであり、とりわけ表示中の画面を利用者に見やすくするために拡大表示または縮小表示を自動的に行う。
【0015】
図1に示すように、表示制御装置1は、属性記憶部1cと、条件記憶部1dと、受付部1eと、判定部1fと、計測部1gと、比較部1hと、生成部1jと、出力部1kとを有する。
【0016】
このうち、属性記憶部1cは、画面を識別する識別情報と属性とを対応付けて記憶する。すなわち、属性記憶部1cには、1つまたは複数の画面IDと、画面の内容を基準に分類された属性を一意に特定するための属性IDとの対応付けが定義される。
【0017】
ここで言う「画面ID」とは、画面を一意に特定するための識別情報を指す。ただし、画面の内容が同様である場合には、解像度が異なる画面間で同一の画面IDが付与されるものとする。なお、ここでは、画面の内容が同様の場合には、同一の画面IDを付与することとしたが、画面の内容および解像度ごとに画面IDを採番することとしてもかまわない。また、「属性ID(identity)」とは、画面の属性を一意に特定するための識別情報を指す。
【0018】
かかる属性の一例としては、画面内に複数の選択肢を含む「メニュー画面」の他、文字、記号や画像などを含む「テキスト画面」などが挙げられる。このように、1つの属性に複数の画面IDを対応付けるのは、画面に含まれる内容、例えば文字や記号のフォント(font)、ボタン類の大きさやレイアウト(layout)などが類似するものを同定するためである。
【0019】
条件記憶部1dは、属性を識別する識別情報ごとに、その属性を有する画面の表示中に拡大表示または縮小表示を実行する契機とする操作速度の条件を対応付けて記憶する。図2は、条件記憶部に記憶される情報の構成例を示す図である。図2の例では、画面上で選択肢を表示するメニュー画面で拡大表示または縮小表示を自動的に行う場合を想定する。さらに、図2の例では、1つの属性につき、高解像度、中解像度および低解像度の3段階の解像度別に同様の内容の画面が用意される場合を想定するものとする。なお、解像度とは、画面のきめ細かさや画質の滑らかさを指す指標である。例えば、同一の内容を同一の画質で表現する場合には、解像度が低いほど大きな表示サイズ(size)で表現される。
【0020】
図2に示すように、条件記憶部1dは、属性ID、解像度、操作速度および変更先を対応付けて記憶する。ここで言う「操作速度」とは、利用者により入力装置1aを介してなされる操作の速さを指し、一例としては、選択時間やスクロール(scroll)速度などが挙げられる。このうち、選択時間は、ある時点を起点としてその時点から経過した経過時間を指す。かかる選択時間の起点の一例としては、1つの画面において新たな画面に遷移した時点が挙げられる。そして、選択時間の終点の一例としては、画面に表示されたメニューや項目のうちの一つがユーザにより選択された時点が挙げられる。つまり、ユーザによる選択操作がなされるまで、選択時間は計測される。例えば、計測部は、看護記録の入力画面において、体温、血圧などの入力欄のうち、いずれかを選択するまでの時間を計測する。そして入力欄が複数ある場合には、各入力欄への入力が終了してから、次の入力欄を選択するまでの時間が、選択時間として計測される。また、スクロール速度は、画面が所定期間内にスクロールする領域の幅を指す。表示装置1bに複数の画面が表示されている場合には、後述の計測部1gにより画面ごとに選択時間またはスクロール速度が計測される。また、選択時間及びスクロール速度の計測は、画面の操作が有効とされていた期間、すなわち画面がアクティブ(active)になっていた期間だけが後述の計測部1gにより計測の対象とされる。また、「変更先」とは、表示中の画面の解像度を変更する場合に変更後に表示される画面の解像度を指す。
【0021】
図2の例で言えば、属性ID「001」の高解像度、中解像度および低解像度の3つの画面では、画面の解像度は異なるものの、同様の内容を表示することが規定されている。これら解像度別の3つの画面には、他の解像度の画面へ変更する契機とする操作速度の条件および変更先の解像度が解像度別に規定されている。かかる操作速度の条件および変更先の解像度は、以下のロジック(logic)にしたがって規定される。例えば、選択時間が長いあるいはスクロール速度が遅い場合には、画面に表示されている文字、記号や画像などが小さすぎると推定できる。この場合には、表示中の画面の解像度よりも低い解像度へ変更される。また、選択時間が長く、かつスクロール速度が速い場合には、画面に表示されている文字、記号や画像などが大きすぎて画面全体を俯瞰できていないと推定できる。この場合には、表示中の画面の解像度よりも高い解像度へ変更される。
【0022】
例えば、表示中の画面が高解像度である場合の操作速度の条件および変更先の解像度について説明する。図2に示す高解像度の画面の例では、後述の計測部1gにより計測された選択時間が所定の期間以上である場合、あるいはスクロール速度が所定の速度以下である場合に、中解像度の画面に変更することが規定されている。なお、ここでは、選択時間およびスクロール速度のうち一方が条件を満たした場合に高解像度から中解像度へ変更する場合を説明したが、開示の表示制御装置1はこれに限定されない。例えば、選択時間が所定の期間以上であり、かつスクロール速度が所定の速度以下である場合に高解像度から中解像度へ変更することとしてもかまわない。
【0023】
また、表示中の画面が中解像度である場合の操作速度の条件および変更先の解像度について説明する。図2に示す中解像度の画面の例では、後述の計測部1gにより計測された選択時間が所定の期間以上であり、かつスクロール速度が所定の速度以上である場合に、高解像度の画面に変更することが規定されている。さらに、図2に示す中解像度の画面の例では、後述の計測部1gにより計測された選択時間が所定の期間以上であり、かつスクロール速度が所定の速度以下である場合に、低解像度の画面に変更することが規定されている。
【0024】
また、表示中の画面が低解像度である場合の操作速度の条件および変更先の解像度について説明する。図2に示す低解像度の画面の例では、後述の計測部1gにより計測された選択時間が所定の期間以上であり、かつスクロール速度が所定の速度以上である場合に、中解像度の画面に変更することが規定されている。
【0025】
図1の説明に戻り、受付部1eは、入力装置1aから画面の選択を受付ける。例えば、表示中の画面がメニュー画面である場合には、ボタン、タブやアイコンが割り当てられた複数の項目の中から、入力装置1aを介して1つまたは複数の項目を選択する操作を受付ける。
【0026】
判定部1fは、属性記憶部1cを用いて、受付部1eにより受付けた画面の属性を判定する。一例としては、判定部1fは、受付部1eにより新たに画面が遷移する選択またはアクティブにする画面を切り替える選択が受け付けられた場合に、新たに遷移した画面または新たにアクティブになった画面の画面IDを特定する。その上で、判定部1fは、属性記憶部1cに記憶された属性IDのうち、先に特定した画面IDに対応する属性IDを判定する。
【0027】
計測部1gは、入力装置1aを操作する利用者の操作速度を計測する。この計測部1gは、画面の全ての属性について同様の種別の操作に関する操作速度を計測することはしない。つまり、計測部1gは、判定部1fにより判定された属性IDに応じて、計測する操作の種別を変更する。
【0028】
例えば、判定部1fにより判定された属性IDが図2に示す「001」である場合を想定して以下の説明を行う。この場合には、高解像度、中解像度または低解像度のいずれについてもクリックおよびスクロールの両方の条件が条件記憶部1dにより規定されている。この場合には、判定部1fは、高解像度、中解像度または低解像度のいずれであっても、クリックおよびスクロールの両方が計測対象とする操作の種別であると判定する。
【0029】
なお、図2の例では、属性ID「001」の高解像度、中解像度および低解像度の画面のいずれであっても、選択時間及びスクロール速度の両方に関する条件が規定される場合を例示したが、開示の表示制御装置1はこれに限定されない。すなわち、条件記憶部1dには、解像度別に選択時間またはスクロール速度のいずれか一方に関する条件を任意に規定することができる。例えば、操作速度の条件として選択時間のみが規定されている場合には、計測部1gは、クリックが計測対象とする操作の種別であると判定する。また、操作速度の条件としてスクロール速度が規定されている場合には、計測部1gは、スクロールを計測対象とする操作の種別であると判定する。
【0030】
このように計測対象とする操作の種別を判定した後、計測部1gは、計測対象とする操作の種別に該当する操作速度を計測する。例えば、計測対象とする操作の種別がクリックである場合には、計測部1gは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測する。また、計測対象とする操作の種別がスクロールである場合には、計測部1gは、新たな画面に遷移してからの経過時間に対して画面がスクロールした幅の割合をスクロール速度として計測する。なお、計測対象とする操作の種別がクリック及びスクロールの両方である場合には、選択時間及びスクロール速度の両方を計測する。
【0031】
比較部1hは、計測部1gにより計測された操作速度と所定値とを比較する。一例として、属性ID「001」の高解像度の画面が表示中である場合を想定する。この場合には、比較部1hは、条件記憶部1dに記憶された操作速度の条件のうち、高解像度に対応する選択時間とスクロール速度とを読み出す。そして、比較部1hは、計測部1gにより計測された選択時間と、条件記憶部1dから読み出された選択時間とを比較する。また、比較部1hは、計測部1gにより計測されたスクロール速度と、条件記憶部1dから読み出されたスクロール速度とを比較する。
【0032】
生成部1jは、比較部1hによる比較結果に基づいて、表示装置1bに表示中の画面を拡大画面または縮小画面にする命令を生成する。例えば、計測部1gにより計測された選択時間が条件記憶部1dから読み出された選択時間以上であるとの比較結果が得られた場合には、表示中の高解像度の画面を同一の画面IDを持つ中解像度の画面へ変更する命令を生成する。また、計測部1gにより計測されたスクロール速度が条件記憶部1dから読み出されたスクロール速度以下との比較結果が得られた場合にも、同様に、同一の画面IDを持つ中解像度の画面に変更する命令を生成する。このように、同一の内容の画面のまま解像度を低下させる命令を生成した場合には、表示装置1bに表示される画面の表示サイズが大きくなり、結果として、画面が拡大されることとなる。
【0033】
出力部1kは、受付部1eにより選択された画面を表示装置1bへ出力する。また、出力部1kは、生成部1jによる命令にしたがって画面の一部または全部を拡大または縮小した拡大画面または縮小画面を表示装置1bに表示させる。例えば、生成部1jにより高解像度の画面から中解像度の画面へ変更する命令が生成された場合には、表示装置1bへ出力していた画面を高解像度の画面から中解像度の画面へ変更する。
【0034】
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る表示制御装置1は、入力装置1aを介して計測された利用者の操作速度に応じて拡大画面または縮小画面に変更する。このため、本実施例に係る表示制御装置1では、画面に含まれる文字、記号や画像などの表示内容を利用者の操作特性に適合した大きさで表示できる。その上、本実施例に係る表示制御装置1では、利用者の操作速度を計測するにあたって特段のハードウェア(hardware)を必要としない。つまり、本実施例に係る表示制御装置1は、利用者の疲労状態や、視認能力等を測定する機器から信号を受信せずとも、利用者の疲労状態や視認能力を推定して、利用者に適した表示を行うことができる。よって、本実施例に係る表示制御装置1によれば、簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行することが可能になる。
【0035】
また、本実施例に係る表示制御装置1は、画面の属性に応じて計測させる操作の種別を変更する。このため、本実施例に係る表示制御装置1では、表示中の画面の属性に合った種別の操作を対象に操作速度を計測できる。すなわち、本実施例に係る表示制御装置1では、利用者による操作が期待される操作の種別が画面ごとに異なる場合でも、全ての画面で操作速度と所定値との比較が画一的に行われることはない。よって、本実施例に係る表示制御装置1によれば、利用者にとって違和感のある拡大表示または縮小表示がなされることを防止できる。
【0036】
さらに、本実施例に係る表示制御装置1は、画面を識別する識別情報と属性とを対応付けて格納する属性記憶部1cを参照し、該属性を判定する。このため、本実施例に係る表示制御装置1では、画面に含まれる内容、例えば文字や記号のフォント、ボタン類の大きさやレイアウトなどが類似するものを同定できる。よって、本実施例に係る表示制御装置1によれば、拡大表示または縮小表示を制御するための情報量を低減できる。
【0037】
また、本実施例に係る表示制御装置1は、画面の一部または全部を拡大する命令または縮小する命令を生成し、命令に基づいて生成した拡大画面または縮小画面を表示装置1bへ出力する。このため、本実施例に係る表示制御装置1では、表示装置1bの表示領域の中でも利用者が注目する表示領域を標的として拡大表示または縮小表示を実行できる。それゆえ、本実施例に係る表示制御装置1では、利用者にとって視認し難いとは限らない表示領域まで拡大または縮小されることを防止できる。よって、本実施例に係る表示制御装置1によれば、画面の表示領域の視認性を向上させつつ、画面の表示領域以外の視認性を維持できる。
【実施例2】
【0038】
続いて、実施例2に係る表示制御装置について説明する。なお、本実施例では、医療機関の診療を支援するアプリケーション(application software)により生成された画面を拡大表示または縮小表示する場合を想定する。
【0039】
[システム構成]
続いて、本実施例に係る診療支援システムについて説明する。図3は、実施例2に係る診療支援システムの構成を示すシステム構成図である。図3に示すように、診療支援システム(system)3には、複数の診療支援クライアント10A〜10Cと、診療支援サーバ30とが収容される。なお、図3の例では、3つの診療支援クライアント、1つの診療支援サーバをそれぞれ図示したが、開示のシステムは図示の構成に限定されない。すなわち、診療支援システム3は、任意の数の診療支援クライアントおよび診療支援サーバを収容できる。
【0040】
これら診療支援クライアント10A〜10Cと診療支援サーバ30とは、ネットワーク(network)5を介して相互に通信可能に接続される。なお、ネットワーク5には、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を採用できる。
【0041】
診療支援クライアント(client)10A〜10Cは、医療関係者により利用されるクライアント端末である。かかる診療支援クライアント10A〜10Cの一態様としては、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やサーバ(server)などの固定端末を採用できる。これらの固定端末の他にも、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistant)などの移動体端末を採用できる。なお、上記の医療関係者には、医師、看護婦、薬剤師、検査技師などの医療従業者のほか、事務員やシステムのメンテ(maintenance)員なども含まれる。なお、以下では、診療支援クライアント10A〜10Cの各装置を区別なく総称する場合には、診療支援クライアント10と記載する。
【0042】
この診療支援クライアント10には、患者のプロファイル(profile)の管理、カルテ(Karte)の記入、薬剤や検査のオーダー(order)や看護記録の記入などの診療に関する各種業務を支援するアプリケーションがインストール(install)される。なお、以下では、診療支援クライアント10にインストールされるアプリケーションをクライアント用診療支援アプリと呼ぶ。
【0043】
この診療支援クライアント10では、医療関係者が各自のアカウント(account)でシステムへログイン(log in)することによりクライアント用診療支援アプリが起動する。かかるログイン後に、クライアント用診療支援アプリは、自らが使用する画面とともに画面に関する表示制御が定義された画面マスタ(master)を診療支援サーバ30からダウンロード(download)する。その後、クライアント用診療支援アプリは、後述の入力部11を介して受付けた操作にしたがって必要な画面を生成し、生成した画面を後述の表示部12に表示させる。
【0044】
診療支援サーバ30は、クライアント端末である診療支援クライアント10に診療支援システムの機能を提供するサーバ装置である。この診療支援サーバ30は、患者のプロファイル、カルテ、各種のオーダーや看護記録などの各種のデータベース(data base)を有する。さらに、診療支援サーバ30には、サーバ用の診療支援アプリがインストールされており、サーバ用診療支援アプリがクライアント用診療支援アプリを通じて診療支援システム3の機能を診療支援クライアント10に提供する。
【0045】
これを説明すると、診療支援サーバ30は、診療支援クライアント10から利用者IDやパスワード(password)などの認証情報とともにログイン要求を受け付けると、ログイン認証を実行する。そして、診療支援サーバ30は、ログイン認証に成功した場合には、クライアント用診療支援アプリに使用させる画面とともに画面に関する表示制御が定義された画面マスタを診療支援クライアント10へ送信する。その後、診療支援サーバ30は、ログインされたアカウントに応じて各種のデータベースに記憶されたリソース(resource)を解放することにより、診療支援システム3の機能を提供する。
【0046】
[診療支援クライアントの構成]
次に、本実施例に係る診療支援システム3に含まれる診療支援クライアントの構成について説明する。図4は、実施例2に係る診療支援クライアントの構成を示すブロック図である。図4に示す診療支援クライアント10は、入力部11と、表示部12と、通信I/F部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。なお、診療支援クライアント10は、図4に示した機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば音声入力部や音声出力部などの音声デバイス等を有するものとする。
【0047】
このうち、入力部11は、各種の情報、例えば後述のクライアント用診療支援アプリ15aに対する指示入力を受け付ける入力デバイスであり、一例としては、キーボード(keyboard)やマウス(mouse)などを適用できる。なお、後述の表示部12も、マウスと協働して、ポインティングデバイス(pointing device)機能を実現する。
【0048】
表示部12は、各種の情報、例えば後述のクライアント用診療支援アプリ15aにより生成された画像などを表示する表示デバイスであり、一例としては、モニタ(monitor)、ディスプレイ(display)やタッチパネル(touch panel)などを適用できる。
【0049】
通信I/F部13は、他の装置、例えば診療支援サーバ30や他の診療支援クライアント10との間で通信を行うためのインタフェース(interface)である。
【0050】
記憶部14は、例えば、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク(hard disk)、光ディスクなどの記憶装置である。なお、記憶部14は、上記の種類の記憶装置に限定されるものではなく、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)であってもよい。
【0051】
記憶部14は、制御部15で実行されるOS(Operating System)や後述のクライアント用診療支援アプリ15aなどの各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部14は、制御部15で実行されるプログラムの実行に必要なデータ、例えばクライアント用診療支援アプリに使用される画面のデータなどを記憶する。このほか、記憶部14は、画面マスタ14aを併せて記憶する。
【0052】
画面マスタ14aは、画面に関する表示制御が定義されたマスタデータである。この画面マスタ14aの一態様としては、画面ID、解像度、格納場所、操作速度の条件および変更先の解像度が対応付けて記憶される。ここで言う「格納場所」とは、後述のクライアント用診療支援アプリ15aにより使用される画面のデータが格納されている場所を指す。なお、画面マスタ14aは、後述のクライアント用診療支援アプリ15aが起動された場合に、サーバ用診療支援アプリからダウンロードされる。
【0053】
図5は、画面マスタの一例を示す図である。図5に示す画面マスタ14aは、図2に示した条件記憶部1dで属性IDごとに操作速度の条件が定義されていたのとは異なり、画面IDごとに操作速度の条件が定義される。これによって、図5に示す画面マスタ14aでは、画面ごとに後述の操作計測部15dに計測させる操作の種別を設定可能とし、さらに、計測値と比較する閾値についても画面ごとに設定可能とする。
【0054】
まず、図5に示す画面ID「MWNU001」のメニュー画面について説明する。図5に示すように、画面ID「MWNU001」の画面としては、高解像度、中解像度および低解像度の3つのメニュー画面が用意されている。これら3つの解像度のメニュー画面は、画面間で解像度は異なるものの、同様の内容を表示することが規定されている。各解像度のメニュー画面は、いずれもDドライブにある「XXX」というフォルダの中の「MWNU001」というフォルダの中に格納されている。このうち、高解像度のメニュー画面を生成する場合には、ファイル「high」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。また、中解像度のメニュー画面を生成する場合には、ファイル「middle」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。また、低解像度のメニュー画面を生成する場合には、ファイル「low」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。なお、ここでは、ルートディレクトリ(root directory)やドライブ(drive)から目的の画面までの道筋が記述された絶対パス(path)を用いて格納場所を表記する場合を説明したが、相対パスを用いることとしてもかまわない。
【0055】
これら画面ID「MWNU001」の3つのメニュー画面には、表示部12の解像度および画面の解像度を変更する契機とする操作速度の条件および変更先の解像度が解像度別に規定されている。なお、以下では、図6A〜図6Cを用いて、各解像度のメニュー画面に規定された操作速度の条件および変更先の解像度について説明する。
【0056】
図6Aは、高解像度のメニュー画面の一例を示す図である。図6Bは、中解像度のメニュー画面の一例を示す図である。図6Cは、低解像度のメニュー画面の一例を示す図である。図6Aに示す符号40は、高解像度のメニュー画面を指す。図6Bに示す符号50は、中解像度のメニュー画面を指す。図6Cに示す符号60は、低解像度のメニュー画面を指す。図6B及び図6Cに示す符号51a及び符号61aは、メニュー画面50またはメニュー画面60を上方向へスクロールさせるスクロールボタンを指す。図6B及び図6Cに示す符号51b及び符号61bは、メニュー画面50またはメニュー画面60を下方向へスクロールさせるスクロールボタンを指す。また、図6B及び図6Cに示す符号52及び符号62は、マウスのドラッグ(drag)操作、マウスホイール(mouse wheel)操作あるいはキーボード(keyboard)の上下方向キーによりマウスの移動方向にスクロールさせるスクロールバーを指す。
【0057】
図6Aに示す高解像度のメニュー画面40は、一定のサイズ、例えば全画面で表示された場合に、画面中に表示される全ての選択ボタンが画面内に収まるように設計されている。すなわち、メニュー画面40では、網掛け付きの大項目「共通」、「メンテナンス」、「患者情報」、「外来管理」、「病棟管理」、「地球連携」及び「診療記録」に含まれる選択ボタンが全て画面内に収まっている。さらに、メニュー画面40では、小項目「Web参照」及び「診療研究支援」に含まれる選択ボタンが全て画面内に収まっている。このため、メニュー画面40では、診療支援クライアント10を使用する医療関係者がスクロールに関する操作を行う必要がない。
【0058】
かかる高解像度のメニュー画面40には、解像度を下げる操作速度の条件が規定される。図5の例で言えば、後述の操作計測部15dにより計測された選択時間が3秒以上である場合に、表示部12の解像度および画面の解像度を中解像度へ変更することが規定されている。なぜなら、メニュー画面40は、スクロールが不要である分、項目として表示される文字や選択ボタン内に表示される文字が小さく、利用者にとって見にくい場合もあるからである。このように、メニュー画面40の選択時間が長い場合には、画面マスタ14aの規定により画面に表示されている文字、記号や画像などが利用者にとって小さすぎると推定される。なお、計測値と比較する選択時間の閾値は、画面に含まれる内容に応じて設定したり、利用者別に設定したりすることができる。
【0059】
また、図6Bに示す中解像度のメニュー画面50は、高解像度のメニュー画面40よりも解像度が低い。このため、中解像度のメニュー画面50では、高解像度のメニュー画面40よりも内容が大きく表示されるという長所を有する一方で、スクロールなしには画面全体を閲覧することができないという短所も有する。なお、中解像度のメニュー画面50は、高解像度のメニュー画面40と同じ選択ボタンを全て含むものの、縦のスクロール操作により画面の全内容を閲覧できるように画面のレイアウトが変更されている。すなわち、小項目「Web参照」及び「診療研究支援」に含まれる選択ボタンが大項目「メンテナンス」の下部に配置される。
【0060】
かかる中解像度のメニュー画面50には、解像度を下げる操作速度の条件及び解像度を上げる操作速度の条件の両方が規定される。これら解像度を下げる条件及び解像度を上げる条件のいずれにも、後述の操作計測部15dにより計測された選択時間が3秒以上であることが要件として規定される。
【0061】
このように、メニュー画面50の選択時間が長い場合には、利用者によって中解像度が相応しくないという推定に留め、選択時間に関する条件だけで解像度の変更先を規定しない。なぜなら、メニュー画面50の選択が遅れる原因として、複数の原因が想定されるからである。一例としては、画面に表示されている文字、記号や画像などが利用者にとって小さいことが挙げられる。他の一例としては、画面全体がスクロールなしに俯瞰できないことが原因で目的の選択ボタンを見つけ出すのが困難となっていることが挙げられる。そして、メニュー画面50の選択が遅れる原因が前者である場合には、解像度を下げるのが好ましいが、後者である場合には、解像度を上げるのが好ましい。
【0062】
このため、中解像度のメニュー画面50には、解像度の上げ下げがスクロール速度の大きさにより規定される。例えば、スクロール速度が1.5回/秒以上である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を高解像度へ変更することが規定されている。なぜなら、この場合には、スクロール操作が必要以上に繰り返されており、利用者が画面全体を俯瞰できていない状況が推定できるからである。一方、スクロール速度が1.5回/秒未満である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を低解像度へ変更することが規定されている。この場合には、メニュー画面50の全体を把握するのに必要以上に時間が掛かっており、中解像度では画面に表示されている文字、記号や画像などが利用者にとって小さいことが推定できるからである。なお、計測値と比較するスクロール速度の閾値も、画面に含まれる内容に応じて設定したり、また、利用者別に設定したりすることができる。
【0063】
また、図6Cに示す低解像度のメニュー画面60は、中解像度のメニュー画面50よりも解像度が低い。このため、低解像度のメニュー画面60では、中解像度のメニュー画面50よりも内容が大きく表示されるという長所を有する一方で、中解像度のメニュー画面50よりも画面全体を閲覧するために多くのスクロールを必要とするという短所も有する。なお、低解像度のメニュー画面60は、高解像度のメニュー画面40及び中解像度のメニュー画面50と同じ選択ボタンを全て含むものの、縦のスクロール操作により画面の全内容を閲覧できるように画面のレイアウトが変更されている。すなわち、高解像度のメニュー画面40に比べて、大項目「診療記録」が大項目「メンテナンス」の下部に配置される。さらに、大項目「地球連携」が大項目「患者情報」の下部に配置される。さらに、小項目「Web参照」及び「診療研究支援」に含まれる選択ボタンが大項目「病棟管理」の下部に配置される。
【0064】
かかる低解像度のメニュー画面60には、解像度を上げる操作速度の条件が規定される。図5の例で言えば、後述の操作計測部15dにより計測された選択時間が3秒以上であり、かつスクロール速度が1.5回/秒以上である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を中解像度へ変更することが規定されている。なぜなら、この場合には、低解像度の表示が利用者に合っておらず、また、スクロール操作が必要以上に繰り返されており、利用者が画面全体を俯瞰できていない状況が推定できるからである。
【0065】
なお、図6A〜図6Cの画面例では、メニュー画面40、50または60で選択操作が行われた場合にその選択操作がなされたボタンに対する画面に遷移する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置は、1つの画面で複数の選択操作を受付ける場合にも適用できる。この場合には、開示の装置は、選択操作が行われる度に画面が遷移してからまたは前回に選択操作が行われてからの経過時間を選択時間として計測する。例えば、開示の装置は、看護記録の入力画面において、体温、血圧などのように入力欄が複数ある場合には、各入力欄への入力が終了してから、次の入力欄を選択するまでの時間を選択時間として計測する。
【0066】
次に、図5に示す画面ID「text001」のテキスト画面について説明する。図5に示すように、画面ID「text001」の画面としては、高解像度、中解像度および低解像度の3つのテキスト画面が用意されている。これら3つの解像度のテキスト画面は、画面間で解像度は異なるものの、同様の内容を表示することが規定されている。各解像度のテキスト画面は、いずれもDドライブにある「XXX」というフォルダの中の「text001」というフォルダの中に格納されている。このうち、高解像度のテキスト画面を生成する場合には、ファイル「high」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。また、中解像度のテキスト画面を生成する場合には、ファイル「middle」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。また、低解像度のテキスト画面を生成する場合には、ファイル「low」が後述の出力制御部15gにより呼び出される。
【0067】
図5に示す各解像度のテキスト画面には、選択時間に関する条件が規定されていない。このようにテキスト画面に選択時間に関する条件が規定されない理由は、テキスト画面は文字や記号などの記述が主とされる画面であり、利用者からシステムに対する要求を受け付けるよりも利用者が情報を読み取ることに重点が置かれた画面であるからである。一方、各解像度のテキスト画面には、スクロール速度に関する条件は規定されている。なぜなら、テキスト画面に含まれる内容が多い場合には、選択操作は発生しなくともスクロール操作は発生するからである。
【0068】
例えば、高解像度のテキスト画面には、後述の操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が0.3回/秒未満である場合に、表示部12の解像度および画面の解像度を中解像度へ変更することが規定されている。このように、テキスト画面のスクロール速度が遅い場合には、画面マスタ14aの規定により画面に表示されている文字、記号や画像などが利用者にとって小さすぎると推定される。
【0069】
また、中解像度のテキスト画面には、解像度を下げるスクロール速度の条件及び解像度を上げるスクロール速度の条件の両方が規定される。例えば、後述の操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が0.3回/秒未満である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を低解像度へ変更することが規定されている。このように、テキスト画面のスクロール速度が遅い場合には、中解像度のテキスト画面の内容の表示サイズが小さすぎると推定できるからである。一方、後述の操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が2回/秒以上である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を高解像度へ変更することが規定されている。このように、テキスト画面のスクロール速度が速い場合には、中解像度のテキスト画面でスクロール操作が必要以上に繰り返されており、利用者が画面全体を俯瞰できていない状況が推定できるからである。
【0070】
また、低解像度のテキスト画面には、後述の操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が2回/秒以上である場合には、表示部12の解像度および画面の解像度を中解像度へ変更することが規定されている。このように、テキスト画面のスクロール速度が速い場合には、低解像度のテキスト画面でスクロール操作が必要以上に繰り返されており、利用者が画面全体を俯瞰できていない状況が推定できるからである。
【0071】
制御部15は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路またはCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0072】
制御部15は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部15は、図4に示すように、クライアント用診療支援アプリ15aと、操作受付部15bと、ロジック判定部15cと、操作計測部15dと、比較部15eと、命令生成部15fと、出力制御部15gとを有する。
【0073】
このうち、クライアント用診療支援アプリ15aは、診療支援システム3の機能を診療支援クライアント10に提供する処理部である。一例としては、クライアント用診療支援アプリ15aは、医療関係者が各自のアカウントでシステムへログインすることにより起動する。システムへのログイン後に、クライアント用診療支援アプリ15aは、自らが使用する画面のデータとともに画面に関する表示制御が定義された画面マスタを診療支援サーバ30からサーバ用診療支援アプリを介してダウンロードする。このようにしてダウンロードされた画面マスタは、画面マスタ14aとして記憶部14に登録される。その後、クライアント用診療支援アプリ15aは、後述の入力部11を介して受付けた操作にしたがって画面の生成を依頼する画面生成依頼情報、例えば画面ID、画面に埋め込む文字、記号や画像などの情報を後述の出力制御部15gへ出力する。
【0074】
ここで、本実施例では、ログイン直後は全ての利用者に対して高解像度の画面を表示させ、それ以後に表示部12及び画面の解像度が変更された場合には画面の遷移後も変更後の解像度が表示対象の解像度として引き継がれる場合を想定して以下の説明を行う。なお、ここでは、ログイン直後は全ての利用者に対して高解像度の画面を表示させる場合を説明したが、必ずしも高解像度をログイン直後の表示におけるデフォルト(default)とする必要はない。一例としては、利用者ごとに表示対象とする解像度を利用者マスタとして診療支援サーバ30に設定しておき、ログイン直後に表示させる表示部12及び画面の解像度を利用者別に変更することとしてもよい。
【0075】
操作受付部15bは、入力部11を介して画面の選択を受付ける処理部である。一例として、表示中の画面がメニュー画面である場合に、操作受付部15bは、ボタン、タブやアイコンなどが割り当てられた複数の項目の中から、クリック操作やEnterキーの押下操作などを介して、1つまたは複数の項目を選択する操作を受付ける。かかる選択操作により、表示中の画面が新たな画面に遷移したり、表示中の画面とは別に新たな画面が生成されたりする。他の一例としては、表示部12に複数の画面が表示されている場合に、操作受付部15bは、クリック操作などを介して、操作を有効とする画面、すなわちアクティブな画面を切り替える操作も受付ける。
【0076】
ロジック判定部15cは、画面マスタ14aを用いて、操作計測部15d及び比較部15eに操作速度を監視させる監視ロジックを判定する処理部である。
【0077】
これを説明すると、ロジック判定部15cは、操作受付部15bにより新たに画面が遷移する操作またはアクティブな画面を切り替える選択が受け付けられた場合に、新たに遷移した画面または新たにアクティブになった画面の画面IDを特定する。その上で、ロジック判定部15cは、記憶部14に画面マスタ14aとして記憶された操作速度の条件のうち、先に特定した画面IDおよび現在の表示に適用されている解像度に対応する操作速度の条件を読み出す。このとき、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度から操作計測部15dに計測させる操作の種別を特定する。さらに、ロジック判定部15cは、操作速度の条件として規定されている比較内容、すなわち閾値および比較方法を特定する。その上で、ロジック判定部15cは、計測対象とする操作の種別および操作速度と比較する比較内容に基づいて監視ロジックを組み立てる。
【0078】
例えば、図6Aに示した高解像度のメニュー画面の監視ロジックを組み立てる場合を想定する。この例では、ロジック判定部15cは、図5に示した画面マスタ14aから画面ID「MWNU001」の高解像度のメニュー画面40に対応する操作速度の条件として、選択時間に関する条件「選択時間が3秒以上であること」を読み出す。そして、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度が選択時間であるので、操作計測部15dに計測させる操作の種別がクリックであると特定する。また、ロジック判定部15cは、選択時間に関する条件として規定されている閾値「3秒」および比較方法「以上」を特定する。その上で、ロジック判定部15cは、操作計測部15dに選択時間を計測させる手順と、比較部15eに選択時間の計測値が3秒以上であるかを判定させる手順とを規定した監視ロジックを組み立てる。
【0079】
また、図6Bに示した中解像度のメニュー画面の監視ロジックを組み立てる場合を想定する。この例では、ロジック判定部15cは、図5に示した画面マスタ14aから画面ID「MWNU001」の中解像度のメニュー画面50に対応する操作速度の条件として、選択時間に関する条件「選択時間が3秒以上であること」を読み出す。さらに、ロジック判定部15cは、同様にして、スクロール速度に関する条件「スクロール速度が1.5回/秒以上であること」および「スクロール速度が1.5回/秒未満であること」を読み出す。そして、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度が選択時間及びスクロール速度であるので、操作計測部15dに計測させる操作の種別がクリック及びスクロールであると特定する。また、ロジック判定部15cは、選択時間に関する条件として規定されている閾値「3秒」および比較方法「以上」と、スクロール速度に関する条件として規定されている閾値「1.5回/秒」及び比較方法「以上、未満」を特定する。その上で、ロジック判定部15cは、操作計測部15dに選択時間及びスクロール速度を計測させる手順を規定する。さらに、ロジック判定部15cは、比較部15eに選択時間の計測値が3秒以上であるかを判定させる手順を規定する。さらに、ロジック判定部15cは、比較部15eにスクロール速度の計測値が1.5回/秒未満であるか否かを判定させる手順を規定する。その上で、ロジック判定部15cは、上記の3つの手順を含む監視ロジックを組み立てる。
【0080】
また、図6Cに示した低解像度のメニュー画面の監視ロジックを組み立てる場合を想定する。この例では、ロジック判定部15cは、図5に示した画面マスタ14aから画面ID「MWNU001」の低解像度のメニュー画面60に対応する操作速度の条件として、選択時間に関する条件「選択時間が3秒以上であること」を読み出す。さらに、ロジック判定部15cは、同様にして、スクロール速度に関する条件「スクロール速度が1.5回/秒以上であること」を読み出す。そして、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度が選択時間及びスクロール速度であるので、操作計測部15dに計測させる操作の種別がクリック及びスクロールであると特定する。また、ロジック判定部15cは、選択時間に関する条件として規定されている閾値「3秒」および比較方法「以上」と、スクロール速度に関する条件として規定されている閾値「1.5回/秒」及び比較方法「以上」を特定する。その上で、ロジック判定部15cは、操作計測部15dに選択時間及びスクロール速度を計測させる手順を規定する。さらに、ロジック判定部15cは、比較部15eに選択時間の計測値が3秒以上であるかを判定させる手順を規定する。さらに、ロジック判定部15cは、比較部15eにスクロール速度の計測値が1.5回/秒以上であるか否かを判定させる手順を規定する。その上で、ロジック判定部15cは、上記の3つの手順を含む監視ロジックを組み立てる。
【0081】
なお、ここでは、各解像度のメニュー画面の監視ロジックを組み立てる場合を説明したが、図5に示した各解像度のテキスト画面の監視ロジックについても同様にして組み立てることができる。
【0082】
操作計測部15dは、ロジック判定部15cにより組み立てられた監視ロジックにしたがって操作速度を計測する処理部である。例えば、計測対象とする操作の種別としてクリックが規定されている場合には、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測する。なお、操作計測部15dは、選択時間の計測中にマウスカーソル(mouse cursor)が所定の期間にわたって停止している場合には、利用者に操作の意思がない可能性があるので、選択時間をクリア(clear)して再計測することとしてもよい。
【0083】
また、計測対象とする操作の種別としてスクロールが規定されている場合には、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間に対して画面がスクロールした幅の割合をスクロール速度として計測する。かかるスクロールした幅を計測する一例としては、操作計測部15dは、図6B及び図6Cに示した上方向のスクロールボタン51a及び61aの操作回数と、下方向のスクロールボタン51b及び61bの操作回数とを計測する。他の一例としては、操作計測部15dは、図6B及び図6Cに示したスクロールバー52及び62の操作回数を計測する。更なる一例としては、操作計測部15dは、マウスホイールの回転量を計測する。なお、スクロールした幅を計測する場合には、上方向のスクロールボタン51a及び61aの操作回数と下方向のスクロールボタン51b及び61bの操作回数とを合算してもよいし、下方向の操作回数から上方向の操作回数を減算してもよい。
【0084】
ここで、操作計測部15dは、表示部12に複数の画面が表示されている場合には、選択時間またはスクロール速度を画面ごとに計測する。このとき、操作計測部15dは、アクティブな画面だけを計測対象とする。すなわち、操作計測部15dは、アクティブな画面以外の他の画面については選択時間及びスクロール速度の計測を中断し、アクティブになった段階で選択時間及びスクロール速度の計測を再開する。
【0085】
比較部15eは、ロジック判定部15cにより組み立てられた監視ロジックにしたがって、操作計測部15dにより計測された操作速度と、画面マスタ14aから取得した閾値とを比較する処理部である。
【0086】
一例としては、図6Aに示したメニュー画面40に対応する監視ロジックの場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する。
【0087】
他の一例としては、図6Bに示したメニュー画面50に対応する監視ロジックの場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する。そして、計測値である選択時間が閾値以上である場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が閾値未満であるか否かをさらに判定する。
【0088】
更なる一例としては、図6Cに示したメニュー画面60に対応する監視ロジックの場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する。そして、計測値である選択時間が閾値以上である場合には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が閾値以上であるか否かをさらに判定する。
【0089】
命令生成部15fは、比較部15eによる比較結果に基づいて、表示部12の解像度および表示中の画面の解像度を変更する命令を生成する処理部である。
【0090】
一例として、図6Aに示したメニュー画面40に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、選択時間の計測値が閾値以上である場合には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を高解像度から中解像度へ変更する命令を生成する。
【0091】
他の一例として、図6Bに示したメニュー画面50に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、選択時間の計測値が閾値以上であり、かつスクロール速度の計測値が閾値未満である場合には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を中解像度から低解像度へ変更する命令を生成する。また、選択時間の計測値が閾値以上であり、かつスクロール速度の計測値が閾値以上である場合には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を中解像度から高解像度へ変更する命令を生成する。
【0092】
更なる一例として、図6Cに示したメニュー画面60に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、選択時間の計測値が閾値以上であり、かつスクロール速度の計測値が閾値以上である場合には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を低解像度から中解像度へ変更する命令を生成する。
【0093】
出力制御部15gは、表示部12に対する出力制御を行う処理部である。例えば、出力制御部15gは、クライアント用診療支援アプリ15aにより出力された画面生成依頼情報に応答して、診療支援システム3に関する各種の画面、例えばメニュー画面やテキスト画面を生成する。
【0094】
また、出力制御部15gは、命令生成部15fにより生成された命令にしたがって、表示部12の解像度および表示中の画面の解像度を先の命令により指定された解像度へ変更する。
【0095】
一例としては、図6Aに示したメニュー画面40に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、命令生成部15fにより高解像度から中解像度へ変更する命令が生成された場合には、出力制御部15gは、表示部12の解像度を高解像度から中解像度へ変更する。これとともに、出力制御部15gは、図6Aに示す高解像度のメニュー画面40を図6Bに示した中解像度のメニュー画面50に変更する。このように、画面を差し換える場合には、出力制御部15gは、表示中のメニュー画面40に含まれるフォームに入力されていた入力値やイメージタグに挿入されていた画像を変更先のメニュー画面40へ引き継がせる。
【0096】
他の一例としては、図6Bに示したメニュー画面50に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、命令生成部15fにより中解像度から低解像度へ変更する命令が生成された場合には、出力制御部15gは、表示部12の解像度を中解像度から低解像度へ変更する。これとともに、出力制御部15gは、図6Bに示す中解像度のメニュー画面50を図6Cに示した低解像度のメニュー画面60に変更する。また、命令生成部15fにより中解像度から高解像度へ変更する命令が生成された場合には、出力制御部15gは、表示部12の解像度を中解像度から高解像度へ変更する。これとともに、出力制御部15gは、図6Bに示す中解像度のメニュー画面50を図6Aに示した高解像度のメニュー画面40に変更する。
【0097】
更なる一例としては、図6Cに示したメニュー画面60に対応する監視ロジックが起動中である場合を想定する。このとき、命令生成部15fにより低解像度から中解像度へ変更する命令が生成された場合には、出力制御部15gは、表示部12の解像度を低解像度から中解像度へ変更する。これとともに、出力制御部15gは、図6Cに示す低解像度のメニュー画面60を図6Bに示した中解像度のメニュー画面50に変更する。
【0098】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る診療支援システムの処理の流れについて説明する。なお、ここでは、診療支援クライアント10により実行される(1)全体フローを説明する。その後には、メニュー系の画面の場合に実行されるサブフローの一例として、(2)高解像度用の操作速度監視処理、(3)中解像度用の操作速度監視処理、(4)低解像度用の操作速度監視処理の順に説明する。
【0099】
(1)全体フロー
図7は、実施例2に係る診療支援クライアントで実行される全体フローの手順を示すフローチャートである。この全体フローは、クライアント用診療支援アプリ15aにより診療支援システム3へのログインが成功した場合に起動する。
【0100】
図7に示すように、システムへのログインが成功すると(ステップS101)、クライアント用診療支援アプリ15aは、診療支援サーバ30からサーバ用診療支援アプリを介して画面マスタをダウンロードする(ステップS102)。
【0101】
その後、ロジック判定部15cは、ログイン直後であれば、メインメニュー画面などの最初にアクセスされるページ、また、ログイン直後でなければ、新たに遷移した画面または新たにアクティブになった画面の画面IDを特定する(ステップS103)。
【0102】
そして、ロジック判定部15cは、記憶部14に画面マスタ14aとして記憶された操作速度の条件のうち、先に特定した画面IDおよび現在の表示に適用されている解像度に対応する操作速度の条件を読み出す(ステップS104)。
【0103】
続いて、ロジック判定部15cは、条件として規定されている操作速度から操作計測部15dに計測させる操作の種別を特定するとともに、操作速度の条件として規定されている比較内容、すなわち閾値および比較方法を特定する(ステップS105)。
【0104】
そして、ロジック判定部15cは、計測対象とする操作の種別および操作速度と比較する比較内容に基づいて監視ロジックを組み立てる(ステップS106)。
【0105】
その後、新たに画面が遷移する操作またはアクティブな画面を切り替える選択が受け付けられた場合(ステップS107肯定またはステップS108肯定)には、上記のステップS103の処理に移行する。
【0106】
また、新たに画面が遷移する操作またはアクティブな画面を切り替える選択が受け付けられなかった場合(ステップS107否定かつステップS108否定)には、次の処理が実行される。すなわち、ステップS106で組み立てた監視ロジックに基づいて操作速度監視処理が実行される(ステップS109)。
【0107】
なお、操作速度監視処理が実行された後には、上記のステップS107に移行する。上記のステップS103〜ステップS109の処理は、クライアント用診療支援アプリ15aに関する画面が全て閉じられるまで繰り返し実行される。
【0108】
(2)高解像度用の操作速度監視処理
図8は、実施例2に係る高解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。図8のサブフローは、図7に示した全体フローにおけるステップS109の操作速度監視処理に対応する処理であり、図6Aに示したメニュー画面40の監視ロジックが組み立てられた場合に実行される処理である。
【0109】
図8に示すように、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測する(ステップS201)。そして、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0110】
このとき、選択時間の計測値が閾値以上である場合(ステップS202肯定)には、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を高解像度から中解像度へ変更する命令を生成し(ステップS203)、処理を終了する。
【0111】
なお、選択時間の計測値が閾値未満である場合(ステップS202否定)には、現在の解像度が利用者にとって相応しいと推定できるので、解像度の変更を実行せずにそのまま処理を終了する。
【0112】
(3)中解像度用の操作速度監視処理
図9は、実施例2に係る中解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。図9のサブフローは、図7に示した全体フローにおけるステップS109の操作速度監視処理に対応する処理であり、図6Bに示したメニュー画面50の監視ロジックが組み立てられた場合に実行される処理である。
【0113】
図9に示すように、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測するとともに、経過時間に対するスクロール幅の割合をスクロール速度として計測する(ステップS301)。
【0114】
そして、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS302)。このとき、選択時間の計測値が閾値未満である場合(ステップS302否定)には、現在の解像度が利用者にとって相応しいと推定できるので、そのまま処理を終了する。
【0115】
一方、選択時間の計測値が閾値以上である場合(ステップS302肯定)には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が閾値未満であるか否かをさらに判定する(ステップS303)。
【0116】
ここで、スクロール速度の計測値が閾値未満である場合(ステップS303肯定)には、現在の解像度ではまだ表示が小さいと推定できるので、命令生成部15fは、次のような処理を行う。すなわち、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を中解像度から低解像度へ変更する命令を生成し(ステップS304)、処理を終了する。
【0117】
一方、スクロール速度の計測値が閾値以上である場合(ステップS303否定)には、現在の解像度では画面全体が俯瞰できないと推定できるので、命令生成部15fは、次のような処理を行う。すなわち、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を中解像度から高解像度へ変更する命令を生成し(ステップS305)、処理を終了する。
【0118】
(4)低解像度用の操作速度監視処理
図10は、実施例2に係る低解像度用の操作速度監視処理の手順を示すフローチャートである。図10のサブフローは、図7に示した全体フローにおけるステップS109の操作速度監視処理に対応する処理であり、図6Cに示したメニュー画面60の監視ロジックが組み立てられた場合に実行される処理である。
【0119】
図10に示すように、操作計測部15dは、新たな画面に遷移してからの経過時間を選択時間として計測するとともに、経過時間に対するスクロール幅の割合をスクロール速度として計測する(ステップS401)。
【0120】
そして、比較部15eは、操作計測部15dにより計測された選択時間が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS402)。このとき、選択時間の計測値が閾値未満である場合(ステップS402否定)には、現在の解像度が利用者にとって相応しいと推定できるので、そのまま処理を終了する。
【0121】
一方、選択時間の計測値が閾値以上である場合(ステップS402肯定)には、比較部15eは、操作計測部15dにより計測されたスクロール速度が閾値以上であるか否かをさらに判定する(ステップS403)。
【0122】
このとき、スクロール速度の計測値が閾値以上である場合(ステップS403肯定)には、現在の解像度では画面全体が俯瞰できないと推定できるので、命令生成部15fは、次のような処理を行う。すなわち、命令生成部15fは、表示部12の解像度および画面ID「MWNU001」の解像度を低解像度から中解像度へ変更する命令を生成し(ステップS404)、処理を終了する。なお、スクロール速度の計測値が閾値以上である場合(ステップS403否定)には、そのまま処理を終了する。
【0123】
[実施例2の効果]
上述してきたように、本実施例に係る診療支援クライアント10では、画面に含まれる文字、記号や画像などの表示内容を利用者の操作特性に適合した大きさで表示できる。その上、本実施例に係る診療支援クライアント10では、利用者の操作速度を計測するにあたって特段のハードウェアを必要としない。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、上記の実施例1と同様、簡易な構成で必要なときに拡大表示を実行することが可能である。
【0124】
また、本実施例に係る診療支援クライアント10は、表示中の画面がメニュー画面であるか、あるいはテキスト画面であるかによって計測対象とする操作の種別を変更する。このため、本実施例に係る診療支援クライアント10では、画面の性質に適合した種別の操作に関する操作速度を計測した上で拡大表示または縮小表示を実行できる。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、利用者にとって違和感のある拡大表示または縮小表示がなされることを防止できる。
【0125】
さらに、本実施例に係る診療支援クライアント10は、表示中の画面がメニュー画面である場合に、操作速度として、画面を表示部12へ出力してからの経過時間を計測する。また、本実施例に係る診療支援クライアント10は、表示中の画面がテキスト画面である場合に、操作速度として、テキスト画面を所定期間内にスクロールした領域の幅をスクロール速度として計測する。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、利用者にとってメニュー画面の内容またはテキスト画面の内容が見にくいのかどうかを確度よく判別できる。
【0126】
また、本実施例に係る診療支援クライアント10は、表示部12の解像度を下げる命令または表示部12の解像度を上げる命令を生成した上で、命令を表示部12へ出力する。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、画面の拡大処理または画面の縮小処理という画像処理を不要化できる。
【0127】
さらに、本実施例に係る診療支援クライアント10は、選択時間の計測値が閾値以上である場合に、スクロール速度の計測値が閾値以上であれば解像度を下げる命令を生成する一方で、スクロール速度の計測値が閾値未満であれば解像度を上げる命令を生成する。このため、本実施例に係る診療支援クライアント10では、メニュー画面の選択が遅い原因が画面に表示されている内容が利用者にとって小さいか、あるいは画面全体がスクロールなしに俯瞰できないかにより解像度を上げ下げできる。よって、本実施例に係る診療支援クライアント10によれば、利用者にとって違和感のある拡大表示または縮小表示がなされることを防止できる。
【実施例3】
【0128】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0129】
[画面レイアウト]
上記の実施例2では、各解像度の画面で縦のスクロールだけが発生する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、画面に横のスクロールが発生する場合にも開示の装置を同様に適用できる。
【0130】
[画面の拡大と縮小]
上記の実施例1では、画面を拡大または縮小する場合を例示し、上記の実施例2では、表示部12の解像度を上げ下げする場合を例示したが、これらを組み合わせて実施することもできる。一例としては、高解像度の画面を縮小することにより画面の内容をさらに縮小したり、低解像度の画面を拡大することにより画面の内容をさらに拡大したりすることもできる。
【0131】
[解像度]
上記の実施例2では、高解像度から中解像度へ、中解像度から低解像度へ、低解像度から中解像度へ、中解像度から低解像度へ解像度を変更する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、開示の装置では、高解像度から低解像度へ解像度を下げたり、また、低解像度から高解像度へ解像度を上げたりすることもできる。
【0132】
上記の実施例2では、同様の内容を有する1つの画面について高解像度、中解像度、低解像度の3つの解像度の画面を設ける場合を例示したが、1つの画面につき2つの解像度の画面を設ける場合や4つ以上の解像度の画面を設ける場合にも同様に適用できる。この場合には、診療支援クライアント10ごとに各装置の表示部12の性能で表示可能な解像度を端末管理マスタとして診療支援サーバ30に設定しておき、各クライアントの表示部12に対応する数の解像度間を上げ下げすることもできる。
【0133】
[適用範囲]
上記の実施例1では、複数の画面が対応付けられた属性ごとに操作速度の条件を規定する場合を例示し、上記の実施例2では、画面ごとに操作速度の条件を規定する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。例えば、上記の実施例1に係る表示制御装置1で画面ごとに操作速度の条件を規定することとしてもよく、また、上記の実施例2に係る診療支援クライアント10で属性ごとに操作速度の条件を規定することとしてもよい。
【0134】
また、上記の実施例2では、医療機関の診療を支援するアプリにより生成された画面を拡大表示または縮小表示する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。すなわち、開示の装置は、特定の分野に特化したアプリのみならず、汎用のアプリなど任意のアプリにより生成される画面を拡大表示または縮小表示する場合に適用できる。
【0135】
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。一例としては、操作受付部15b、ロジック判定部15c、操作計測部15d、比較部15e、命令生成部15f及び出力制御部15gのうち一部の機能を診療支援サーバ30に持たせることとしてもよい。また、操作受付部15b、ロジック判定部15c、操作計測部15d、比較部15e、命令生成部15fまたは出力制御部15gを診療支援クライアント10の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、操作受付部15b、ロジック判定部15c、操作計測部15d、比較部15e、命令生成部15f又は出力制御部15gを別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、診療支援クライアント10の機能を実現するようにしてもよい。
【0136】
また、上記の実施例においては、表示された画面に対する操作速度を測定し、測定対象となった画面を拡大または縮小することとしたが、これに限るものではない。例えば、表示制御装置は、測定対象となった画面を拡大縮小することなしに、測定対象となった画面に続いて表示される次画面を、対象画面にて測定した操作速度に応じた解像度で表示しても良い。また、表示制御装置は、対象画面を拡大または縮小して表示させた後に、続いて出力する画面を対象画面と同様の解像度で表示させるとしても良い。
【0137】
[表示制御プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図11を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する表示制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。なお、図11は、実施例3に係る表示制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【0138】
図11に示すように、実施例3におけるコンピュータ100は、操作部110aと、マイク110bと、スピーカ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD(Hard Disk Drive)170と、RAM(Random Access Memory)180と有する。これら110〜180の各部はバス140を介して接続される。
【0139】
ROM160には、上記の実施例2で示した操作受付部15bと、ロジック判定部15cと、操作計測部15dと、比較部15eと、命令生成部15fと、出力制御部15gと同様の機能を発揮する制御プログラムが予め記憶される。つまり、ROM160には、図11に示すように、操作受付プログラム160aと、ロジック判定プログラム160bと、操作計測プログラム160cと、比較プログラム160dと、命令生成プログラム160eと、出力制御プログラム160fが記憶される。これらのプログラム160a〜160fについては、図4に示した診療支援クライアントの各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。なお、RAM160に格納される各データは、常に全てのデータがRAM160に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがRAM160に格納されれば良い。
【0140】
そして、CPU150が、これらのプログラム160a〜160fをROM160から読み出して実行する。これにより、CPU150は、各プログラム160a〜160fについては、操作受付プロセス150a、ロジック判定プロセス150b及び操作計測プロセス150cとして機能するようになる。さらに、CPU150は、比較プロセス150d、命令生成プロセス150e及び出力制御プロセス150fとして機能するようになる。これらプロセス150a〜150fは、図4に示した操作受付部15bと、ロジック判定部15cと、操作計測部15dと、比較部15eと、命令生成部15fと、出力制御部15gとにそれぞれ対応する。なお、CPU150上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がCPU150上で動作する必要はなく、処理に必要な処理部のみが仮想的に実現されれば良い。
【0141】
そして、HDD170には、画面マスタ170aが設けられる。なお、この画面マスタ170aは、図4に示した画面マスタ14aに対応する。
【0142】
そして、CPU150は、画面マスタ170aを読み出してRAM180に格納する。さらに、CPU150は、RAM180に格納された画面データ180aを用いて、表示制御プログラムを実行する。
【0143】
なお、上記した表示制御プログラムについては、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ100がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 表示制御装置
1a 入力装置
1b 表示装置
1c 属性記憶部
1d 条件記憶部
1e 受付部
1f 判定部
1g 計測部
1h 比較部
1j 生成部
1k 出力部
3 診療支援システム
10 診療支援クライアント
11 入力部
12 表示部
13 通信I/F部
14 記憶部
14a 画面マスタ
15 制御部
15a クライアント用診療支援アプリ
15b 操作受付部
15c ロジック判定部
15d 操作計測部
15e 比較部
15f 命令生成部
15g 出力制御部
30 診療支援サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置から画面の選択を受付ける受付部と、
前記選択された画面を表示装置へ出力するとともに、該出力した該画面の一部または全部を拡大した拡大画面または縮小した縮小画面を該表示装置に表示させる出力部と、
前記入力装置を操作する利用者の操作速度を計測する計測部と、
前記計測した操作速度と所定値とを比較する比較部と、
前記比較した結果に基づいて、前記選択された画面を前記拡大画面または前記縮小画面にする命令を生成する生成部と
を有することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記受付けた画面の属性を判定する判定部をさらに有し、
前記計測部は、前記判定した前記属性に応じて、計測する操作の種別を変更することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記判定部が、前記画面が複数の情報のうちの何れかに対する選択を受付ける画面であることを示す属性であると判定した場合に、前記計測部は、前記操作速度として、前記画面を前記表示装置へ出力してからの経過時間を計測することを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記判定部が、前記画面が文字情報を表示する画面であることを示す属性であると判定した場合に、前記計測部は、前記操作速度として、前記画面を所定期間内にスクロールする領域の幅を計測することを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記命令として前記表示装置の解像度を下げる命令または前記表示装置の解像度を上げる命令を生成し、
前記出力部は、前記命令を前記表示装置へ出力することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記命令に基づいて、前記画面の一部または全部を拡大した前記拡大画面または前記画面の一部または全部を縮小した前記縮小画面を生成し、
前記出力部は、前記生成された前記拡大画面または前記縮小画面を前記表示装置へ出力することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
入力装置から画面の選択を受付ける受付手順と、
前記選択された画面を表示装置へ出力するとともに、該出力した該画面の一部または全部を拡大した拡大画面または縮小した縮小画面を該表示装置に表示させる出力手順と、
前記入力装置を操作する利用者の操作速度を計測する計測手順と、
前記計測した操作速度と所定値とを比較する比較手順と、
前記比較した結果に基づいて、前記選択された画面を前記拡大画面または前記縮小画面にする命令を生成する生成手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項1】
入力装置から画面の選択を受付ける受付部と、
前記選択された画面を表示装置へ出力するとともに、該出力した該画面の一部または全部を拡大した拡大画面または縮小した縮小画面を該表示装置に表示させる出力部と、
前記入力装置を操作する利用者の操作速度を計測する計測部と、
前記計測した操作速度と所定値とを比較する比較部と、
前記比較した結果に基づいて、前記選択された画面を前記拡大画面または前記縮小画面にする命令を生成する生成部と
を有することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記受付けた画面の属性を判定する判定部をさらに有し、
前記計測部は、前記判定した前記属性に応じて、計測する操作の種別を変更することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記判定部が、前記画面が複数の情報のうちの何れかに対する選択を受付ける画面であることを示す属性であると判定した場合に、前記計測部は、前記操作速度として、前記画面を前記表示装置へ出力してからの経過時間を計測することを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記判定部が、前記画面が文字情報を表示する画面であることを示す属性であると判定した場合に、前記計測部は、前記操作速度として、前記画面を所定期間内にスクロールする領域の幅を計測することを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記命令として前記表示装置の解像度を下げる命令または前記表示装置の解像度を上げる命令を生成し、
前記出力部は、前記命令を前記表示装置へ出力することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記命令に基づいて、前記画面の一部または全部を拡大した前記拡大画面または前記画面の一部または全部を縮小した前記縮小画面を生成し、
前記出力部は、前記生成された前記拡大画面または前記縮小画面を前記表示装置へ出力することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
入力装置から画面の選択を受付ける受付手順と、
前記選択された画面を表示装置へ出力するとともに、該出力した該画面の一部または全部を拡大した拡大画面または縮小した縮小画面を該表示装置に表示させる出力手順と、
前記入力装置を操作する利用者の操作速度を計測する計測手順と、
前記計測した操作速度と所定値とを比較する比較手順と、
前記比較した結果に基づいて、前記選択された画面を前記拡大画面または前記縮小画面にする命令を生成する生成手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−22407(P2012−22407A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158229(P2010−158229)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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