説明

表示機能付きICカード

【課題】カード表面のボタンを省略し、意図しないボタン押下を防ぎ、また製造も容易で設計の自由度も高い表示機能付きICカードを提供する。
【解決手段】ディスプレイ3と制御部21を有する表示機能付きICカードの、ICカード本体2内に圧電素子31、整流回路33、コンデンサ35、電圧監視回路37を含むスイッチ部10を設ける。ICカードに曲げや振動が加えられると、スイッチ部10において、力が加えられた圧電素子31が交流電圧を発生させる。この交流電圧を整流回路33で整流してコンデンサ35に蓄電する。電圧監視回路37によりコンデンサ35の蓄電量が所定のしきい値以上となったことを検出すると、制御部21を起動するための信号を制御部21に送信し、制御部21がスリープ状態から起動し各種の処理を行い、データをディスプレイ3に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示機能を備えた表示機能付きICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IC(Integrated Circuit)カード本体に表示機能を備えたものが開発されている。このような表示機能付きICカードのひとつに、接触式、あるいは非接触式の通信により取得した電子マネー残額等のデータをICチップに記憶し、これを表示用CPU等の制御部の制御によりディスプレイに表示するものがある。特許文献1には、このような表示機能付きICカードの例が記載されている。
【0003】
一方、表示機能付きICカードとしては、ワンタイムパスワード(OTP:One Time Password)を生成し、これをディスプレイに表示するワンタイムパスワード生成器もある。ワンタイムパスワードは、例えばネットバンキング等に用いられる1回限りのパスワードであり、これを入力して本人認証用に用いることができる。ワンタイムパスワードは、生成されたパスワードをその場限りで使用するものであり、高度のセキュリティーを保つことが容易である。特許文献2には、このような表示機能付きICカードの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−1335563号公報
【特許文献2】特開2010−257422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような表示機能付きICカードの外観の例が、図6に示す従来の表示機能付きICカード1cであり、ICカード本体2の外面に、形状はさまざまであるが、起動用のスイッチボタン40が設けられている。このスイッチボタン40を押下しオン状態にすることにより、ICカード1cに設けられている制御CPUが起動されて各種処理が行われ、ディスプレイ3でのデータの表示等が行なわれる。
【0006】
しかしながら、ICカードの外面にスイッチが設けられている場合、意図しないときに押下されてしまい、無駄な電力消費が発生するという問題が生じる。このような表示機能付きICカードについては、電力の供給が限られる等の観点から、できるだけ省電力としつつ動作することが求められる。
【0007】
また、イベント式のワンタイムパスワード生成器の場合、1回スイッチがオン状態となるごとに制御CPUが起動され、所定のアルゴリズムにより異なるパスワードが生成されるが、意図しないボタンの押下によりカード側のOTP生成回数カウントが一方的に上がり、ネットバンキング等のサービス管理サーバとのずれが生じることにより、パスワード認証を行う場合に、認証に失敗してしまう場合もある。
【0008】
また、スイッチボタン40を表示機能付きICカード1cに搭載する場合、ICカードのスイッチ部に空洞部を設ける必要があり、このためカード内にスペーサを挟む必要があるなど、限られたカード厚みの中でスイッチボタン40を正確に搭載することに技術的な難しさがあり製造工程も増えるという問題がある。
さらに、ICカード1cの外面にボタンを設ける必要があるため、ICカード内に搭載する部品の配置やカードの意匠に制約が生じるという問題もある。
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、カード表面のボタンを省略し、意図しないボタン押下を防ぎ、また製造も容易で設計の自由度も高い表示機能付きICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達するための本発明は、制御部と、ディスプレイと、前記制御部を起動させるためのスイッチ部と、電源と、を具備し、前記スイッチ部は、圧電素子を含み、力が加えられた前記圧電素子が発生させる電圧に応じて前記制御部に信号を送信し、前記制御部は前記信号を受信して起動し、前記電源から電力供給を受けて所定の処理を行うことを特徴とする表示機能付きICカードである。
【0011】
前記スイッチ部は、整流回路、コンデンサ、蓄電量検出部を更に備え、力が加えられた前記圧電素子が発生させる交流電圧を、前記整流回路により直流電圧に変換して前記コンデンサに蓄電を行い、前記蓄電量検出部により前記コンデンサの蓄電量が所定のしきい値以上となったことを検出した場合に、これを示す信号を前記制御部に送信する。
【0012】
また、本発明の表示機能付きICカードは、非接触式および/または接触式の通信により取得したデータを記録するICチップを更に備え、力が加えられた前記圧電素子が発生させる電圧に応じて、前記制御部を起動し、前記データを、前記ディスプレイに表示する。
【0013】
あるいは、本発明の表示機能付きICカードは、力が加えられた前記圧電素子が発生させる電圧に応じて、前記制御部を起動してワンタイムパスワードを生成し、前記ディスプレイに表示する。
【0014】
本発明により、ICカード本体を曲げたり、振るといった動作で、圧電素子に力が加わることで圧電素子が電圧を発生し、これに応じて、制御部を起動することが可能となり、物理的なボタン式のスイッチを設ける必要がなくなる。これにより、意図しない起動を防ぎ、またボタンの制約がなくなるのでカードの製造が容易になり設計の自由度も高くなる。圧電素子による発電は微小であるが、スイッチを起動させる程度であればカードを曲げる、振るといったカードへの負荷が小さい動作で起動できる。
【0015】
また、圧電素子に生じた交流電圧を整流回路により直流電圧に変換し、この直流電圧を入力としてコンデンサに蓄電し、蓄電量検出部により、この蓄電量がしきい値以上となった場合に制御部を起動することにより、例えば数回の曲げにより制御部を起動させることができ、瞬間的な力が加わることで起動することを防ぐなどして、意図しない起動を確実に防ぐことが可能になる。
【0016】
また、非接触式や接触式の通信により取得したデータを記録するICチップを更に備え、力が加えられた圧電素子が発生させる電圧に応じて、制御部を起動しデータをディスプレイに表示することで、ICカード本体にかかる曲げや振動により表示駆動回路が起動する接触式や非接触式の通信を行なう表示機能付きICカードを構成することが可能になる。
【0017】
あるいは、力が加えられた圧電素子が発生させる電圧に応じて、制御部を起動してワンタイムパスワードを生成し、ディスプレイに表示することで、ICカード本体にかかる曲げや振動により制御部を起動し、制御部により生成されたワンタイムパスワードをディスプレイに表示する表示機能付きICカードを構成することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、カード表面のボタンを省略し、意図しないボタン押下を防ぎ、また製造も容易で設計の自由度も高い表示機能付きICカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態の表示機能付きICカード1aの外観図
【図2】第1の実施形態の表示機能付きICカード1aの内部構成を示すブロック図
【図3】スイッチ部10の動作を説明する図
【図4】第2の実施形態の表示機能付きICカード1bの外観図
【図5】第2の実施形態の表示機能付きICカード1bの内部構成を示すブロック図
【図6】従来の表示機能付きICカード1cの外観図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の表示機能付きICカードの実施形態について説明する。まず、図1、2を参照しながら、本発明の第1の実施形態の表示機能付きICカード1aについて説明する。
【0021】
図1は、表示機能付きICカード1aの外観図である。表示機能付きICカード1aは、非接触式、接触式の通信を行うことによりICチップに電子マネー残額等のデータを記録し、制御部の制御により当該データを表示するICカードであり、図1に示すように、カード本体2の表面にディスプレイ3、接触式の通信を行なうための接触端子5を有する。
【0022】
ディスプレイ3は、例えば液晶ディスプレイ、電子ペーパ等であり、文字等のデータを表示する。
接触端子5は、接触式の通信を行う際に外部のリーダライタの端子と接触するもので、接触式の通信を行なう際は、接触端子5を介してデータやICチップ28の駆動用の電力が供給される。
【0023】
そして、表示機能付きICカード1aは、図6に示した従来のICカード1cのように、カード本体2の表面にスイッチボタン40を備える必要がなく、その代わりに、カードの内部に、カード本体2に曲げや振動が加えられた際に、力が加わることにより電圧を発生させる圧電素子等を用いたスイッチ部を設けるものである。
【0024】
図2は、第1の実施形態に係る表示機能付きICカード1aの内部構成を示すブロック図である。表示機能付きICカード1aは、制御部21、ディスプレイ3、電源25、ICチップ28、アンテナ(コイル)29、圧電素子31、整流回路33、コンデンサ35、電圧監視回路37(蓄電量検出部)等が設けられる。
【0025】
制御部21は、ディスプレイ3へのデータの表示を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)等のメモリや、外部入出力端子等がワンチップ化されたものである。制御部21は、ICチップ28、ディスプレイ3、電源25、電圧監視回路37と接続される。
【0026】
制御部21は、スイッチ部がオン状態とされると、電源25から供給される電力により駆動され、ROM等のメモリに格納されたプログラムを、必要に応じてRAMに呼び出してCPUにより実行することで、ICチップ28がカードリーダライタから受信してEEPROM等に保存した電子マネー残額等のデータを取得し、当該データをディスプレイ3に表示する表示処理を行う。ディスプレイ3は、制御部21の制御に従いデータの表示を行なう。
【0027】
電源25は、例えば薄型電池であり、ICチップ28および制御部21に電力を供給する。
【0028】
ICチップ28は、接触式通信、非接触式通信の両方のインタフェースを備えるデュアルインタフェースICチップであり、両インタフェースおよび、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を備え、外部のカードリーダライタとの間で通信を行い、ROM等に格納されたプログラムに従って処理を実行する。
なお、表示機能付きICカード1aは非接触式、接触式のいずれかの通信を行なうものであってもよく、ICチップ28はいずれかのインタフェースを備えているものでもよい。また、表示機能付きICカード1aにおいて非接触式の通信のみを行なう場合、上記の接触端子5は不要である。
【0029】
ICチップ28は、非接触式の通信の場合にはアンテナ29を用いて外部のカードリーダライタとの間で通信を行なう。また、接触式通信の場合には、接触端子5を介して外部のカードリーダライタとの間で通信を行う。これにより、電子マネー残額等のデータを取得し、EEPROM等のメモリに記録する。
【0030】
アンテナ29は、ICチップ28がカードリーダライタと非接触式の通信を行なうためのアンテナである。ICチップ28の通信時、アンテナ29はリーダライタから生じている磁界により交流電圧を発生し、これによりICチップ28が駆動する。アンテナ29は、カード本体2の内部を周回して設けられ、その両端がICチップ28に接続される。
【0031】
圧電素子31、整流回路33、コンデンサ35、電圧監視回路37は、表示機能付きICカード1aにおけるスイッチ部10を構成する。
【0032】
圧電素子31は、例えば、圧電性セラミックやピエゾフィルム等を用いたシート状の部材として構成される。ピエゾフィルムを利用すれば、薄型で、屈曲性および加工性に優れるため、カードに内蔵するのに好適である。ピエゾフィルムは、圧電素子をフィルム状に加工し金属膜で挟み込んだものである。圧電材料としては、ポリフッ化ビニリン、ジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム等が知られている。
カード本体2に曲げ、振動等が加えられると圧電素子31にも力が加えられる。圧電素子31は加えられた力に応じて交流電圧を発生し、整流回路33へ出力する。
【0033】
整流回路33は、圧電素子31から出力される交流電圧を直流電圧に変換し、コンデンサ35へ出力する。
コンデンサ35は、整流回路33により出力される直流電圧により蓄電を行なう。
電圧監視回路37は、コンデンサ35の電圧等で表される蓄電量を監視、検出し、これがしきい値以上の場合に、制御部21に信号を送る。
【0034】
次に、図3に沿って、スイッチ部10の動作について詳細に説明する。図3は、スイッチ部10の動作を説明する図である。
【0035】
ユーザが表示機能付きICカード1aを振ったり、曲げたりすると、これにより圧電素子31に力が加えられる。すると、圧電素子31は、図3(a)に示すように交流電圧311を出力する。
【0036】
整流回路33は、圧電素子31から発生する交流電圧311を整流し、図3(b)に示すように直流電圧331を出力する。
【0037】
コンデンサ35には整流回路33から直流電圧331が入力され、これにより、コンデンサ35で蓄電が行われ、図3(c)に示すようにコンデンサ35の電圧(蓄電量351)が上昇する。
【0038】
コンデンサ35の電圧は電圧監視回路37の入力となり、電圧監視回路37は、コンデンサ35の電圧が、予め定めた所定のしきい値353に達したか否かを検知する。
【0039】
図3(d)は、電圧監視回路37の出力電圧371を示す図である。電圧監視回路37は、コンデンサ35の電圧がしきい値353に達すると(時間t0)、制御部21に信号(パワーグッド信号、例えば、出力電圧371(v0))を送る。これにより、スリープ状態の制御部21が起動する。
【0040】
起動した制御部21は、電源25から電力供給を受けてICチップ28のメモリに記録されているデータを読み出し、ディスプレイ3に表示する。
【0041】
以上説明したように、第1の実施形態の表示機能付きICカード1aによれば、ICカード本体2を曲げたり、振るといった動作で、圧電素子31に力が加わることで圧電素子31が電圧を発生し、これに応じて、スイッチ部10により制御部21を起動し、ICチップ28のデータを読み取ってディスプレイ3に表示することが可能になり、物理的なボタン式のスイッチを設ける必要がなくなる。これにより、カード表面のボタンを省略して意図しない起動を防ぐことができる。またボタンの制約がなくなるので、カードの製造が容易になり設計の自由度も高くなる。圧電素子31による発電は微小であるが、スイッチを起動させる程度であればカードを曲げる、振るといったカードへの負荷が小さい動作で起動できる。
【0042】
また、スイッチ部10において、圧電素子31に生じた交流電圧を整流回路33により直流電圧に変換し、この直流電圧を入力としてコンデンサ35に蓄電し、電圧監視回路37により、この蓄電量がしきい値以上となった場合に制御部21を起動することにより、瞬間的な曲げや、1回の曲げでは起動しないようにするなどすることができ、意図しない起動を確実に防ぐことが可能になる。
【0043】
次に、図4、図5を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る表示機能付きICカード1bについて説明する。
【0044】
図4は、表示機能付きICカード1bの外観図である。第2の実施形態に係る表示機能付きICカード1bは、制御部の制御により所定のアルゴリズムやデータを用いてワンタイムパスワードを生成し当該データを表示するICカードであり、図4に示すように、カード本体2の表面にディスプレイ3を有する。
【0045】
そして、表示機能付きICカード1bも、図6に示した従来のICカード1cのように、カード本体2の表面にスイッチボタン40を備える必要がなく、その代わりに、カードの内部に、カード本体2に曲げや振動が加えられた際に、力が加わることにより電圧を発生させる圧電素子等を用いたスイッチ部が設けられる。
【0046】
図5は、第2の実施形態に係る表示機能付きICカード1bの内部構成を示すブロック図である。表示機能付きICカード1bは、制御部21、ディスプレイ3、電源25、圧電素子31、整流回路33、コンデンサ35、電圧監視回路37(蓄電量検出部)等が設けられる。
【0047】
制御部21は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等のメモリや、外部入出力端子等がワンチップ化されたものである。ROM等のメモリには、ワンタイムパスワードを生成するための所定のアルゴリズムやデータ、ディスプレイ3への表示処理等を行うためのプログラムが格納されており、必要に応じてRAMに呼び出されてCPUにより実行される。制御部21は、ディスプレイ3、電源25、電圧監視回路37と接続される。
【0048】
電源25は、制御部21に電力を供給する。電源25、ディスプレイ3は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0049】
スイッチ部10の構成および動作は第1の実施形態で示したものと同様である。即ち、図5で示すように、スイッチ部10は、第1の実施形態と同様の圧電素子31、整流回路33、コンデンサ35、電圧監視回路37で構成される。
【0050】
そして、スイッチ部10は、図3に示すように、カード本体2を曲げる、振動させるなどした際に力が加えられた圧電素子31に生じた交流電圧を整流回路33により直流電圧に変換し、この直流電圧によりコンデンサ35に蓄電し、電圧監視回路37により、この蓄電量がしきい値以上となった場合に制御部21に信号を送信する。当該信号を受信すると、制御部21はスリープ状態から起動する。
【0051】
起動した制御部21は、電源25による電力供給を受けて所定のアルゴリズム等に従ってワンタイムパスワードを生成し、ディスプレイ3に表示する。
【0052】
従って、ワンタイムパスワード生成器である第2の実施形態の表示機能付きICカード1bにおいても、前述した第1の実施形態の表示機能付きICカード1aと同様の効果が得られ、カードを曲げる、振るといった動作で圧電素子31から生じる電圧に応じてスイッチ部10により起動した制御部21によりワンタイムパスワードを生成し、これをディスプレイ3に表示することが可能になる。
【0053】
なお、以上に説明した表示機能付きICカード1aおよび表示機能付きICカード1bは、制御部21等への電力供給を電源25で行っているが、コンデンサ35を電源として用いて制御部21やICチップ28への電力供給を行なってもよい。これにより、ICカード1を振ったり、曲げたりすることにより、制御部21を起動するとともに、制御部21等に電力を供給することが可能になる。従って、スイッチ部10を別で組むよりも、カード内の部品面積を減らすことができる。
【0054】
また、スイッチ部10としては、整流回路33やコンデンサ35、電圧監視回路37の構成を省略することも可能である。例えば圧電素子31から生じた交流電圧を検出し、所定のしきい値に達すればこれを示す信号を制御部21に送信するスイッチング回路等の検出部を設ければよい。但し、第1、第2の実施形態のように、整流回路33、コンデンサ35等を用いることは、前述したように意図しない起動を容易に防ぐことができる利点がある。
【0055】
また、圧電素子31の形状、大きさ、あるいはICカード内での配置は、目的に応じて適宜定めることができる。
例えば、圧電素子31を、曲がりにくく屈曲性がより低い、カード本体2の端部に設けることにより、圧電素子31の損傷等を防ぐとともに、1回の曲げによりコンデンサ35に蓄電される蓄電量を減らして意図しない曲げ等により制御部21が起動することを防ぐことが容易になる。また、カードに曲げを加える際は、一般的にその長辺方向に沿って曲げられる場合が多いので、圧電素子31を、カード長辺方向に沿った長さがカード短辺方向に沿った長さよりも短くなるようにカード本体2の内部に配置することによっても同様の効果が得られる。
一方、圧電素子31を、曲がりやすく屈曲性がより高い、カード本体2の中央部に設けると、1回の曲げ等によりコンデンサ31に蓄電される蓄電量を増やし効率的に蓄電することができ、起動操作にかかる時間を短縮できる。また、圧電素子31を、カード長辺方向に沿った長さがカード短辺方向に沿った長さよりも長くなるようにカード本体2の内部に配置することによっても同様の効果が得られる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る表示機能付きICカード等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0057】
1a、1b、1c………表示機能付きICカード
2………カード本体
3………ディスプレイ
5………接触端子
10………スイッチ部
21………制御部
25………電源
28………ICチップ
29………アンテナ
31………圧電素子
33………整流回路
35………コンデンサ
37………電圧監視回路
40………スイッチボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
ディスプレイと、
前記制御部を起動させるためのスイッチ部と、
電源と、
を具備し、
前記スイッチ部は、圧電素子を含み、
力が加えられた前記圧電素子が発生させる電圧に応じて前記制御部に信号を送信し、
前記制御部は前記信号を受信して起動し、前記電源から電力供給を受けて所定の処理を行うことを特徴とする表示機能付きICカード。
【請求項2】
前記スイッチ部は、
整流回路、コンデンサ、蓄電量検出部を更に備え、
力が加えられた前記圧電素子が発生させる交流電圧を、前記整流回路により直流電圧に変換して前記コンデンサに蓄電を行い、前記蓄電量検出部により前記コンデンサの蓄電量が所定のしきい値以上となったことを検出した場合に、これを示す信号を前記制御部に送信することを特徴とする請求項1に記載の表示機能付きICカード。
【請求項3】
非接触式および/または接触式の通信により取得したデータを記録するICチップを更に備え、
力が加えられた前記圧電素子が発生させる電圧に応じて、前記制御部を起動し、前記データを、前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示機能付きICカード。
【請求項4】
力が加えられた前記圧電素子が発生させる電圧に応じて、前記制御部を起動してワンタイムパスワードを生成し、前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の表示機能付きICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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