表示装置、座標通知方法およびプログラム
【課題】複数のディスプレイを搭載した装置において、アプリケーションに対して座標を効率的に通知する。
【解決手段】1つのアプリケーションが表示部110−1,110−2を跨いで画像を表示させている場合、座標変換部120が、表示部110−1,110−2が接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換して出力し、座標通知部130が、1つのアプリケーションが表示部110−1,110−2のうち一方に画像を表示させている場合、接触を感知した物理座標をアプリケーション140へ通知し、1つのアプリケーションが表示部110−1,110−2を跨いで画像を表示させている場合、座標変換部120が出力した仮想座標をアプリケーション140へ通知する。
【解決手段】1つのアプリケーションが表示部110−1,110−2を跨いで画像を表示させている場合、座標変換部120が、表示部110−1,110−2が接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換して出力し、座標通知部130が、1つのアプリケーションが表示部110−1,110−2のうち一方に画像を表示させている場合、接触を感知した物理座標をアプリケーション140へ通知し、1つのアプリケーションが表示部110−1,110−2を跨いで画像を表示させている場合、座標変換部120が出力した仮想座標をアプリケーション140へ通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示する表示装置、表示装置における座標通知方法およびプログラムに関し、特に、複数のディスプレイに情報を表示する表示装置、表示装置における座標通知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の表示部(ディスプレイ)が並べられ、並べられた複数のディスプレイを連携させて制御することで、あたかもディスプレイのサイズが大きくなったかのように使用する技術が考えられている。
【0003】
このような技術においては、例えば、このディスプレイがタッチパネル機能を具備している場合、それぞれのディスプレイにおける物理座標を、並べられた複数のディスプレイ全体における仮想座標へ変換してから、画像を表示させているアプリケーションへ通知している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−161426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、複数のディスプレイのうち1つのディスプレイのみを用いて表示を行う場合は、物理座標から仮想座標への変換は不要である。
【0006】
しかしながら、上述した技術においては、物理座標から仮想座標への変換を必ず行っている。そのため、不要な処理によるリソースの浪費が生じてしまうという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決する表示装置、座標通知方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、
タッチパネル機能を具備し、情報となる画像を表示する複数の表示部と、
1つのアプリケーションが前記複数の表示部を跨いで前記画像を表示させている場合、前記表示部が接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する座標変換部と、
1つのアプリケーションが前記複数の表示部のうち1つの表示部に前記画像を表示させている場合、前記表示部が接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知し、1つのアプリケーションが前記複数の表示部を跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知する座標通知部とを有する。
【0009】
また、本発明の座標通知方法は、
タッチパネル機能を持った複数のディスプレイを具備した装置における座標通知方法であって、
前記複数のディスプレイに対する接触を感知するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させているかどうかを判断するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する変換ステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイのうち1つのディスプレイに前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知するステップとを行う。
【0010】
また、本発明のプログラムは、
タッチパネル機能を持ち、情報となる画像を表示する複数のディスプレイを搭載した装置に実行させるためのプログラムであって、
前記複数のディスプレイに対する接触を感知する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させているかどうかを判断する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する変換手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイのうち1つのディスプレイに前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明においては、複数のディスプレイを搭載した装置において、アプリケーションに対して座標を効率的に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の表示装置の実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した表示装置における座標通知方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】現在起動中のアプリケーションが一方の表示部のみに画像を表示させており、当該表示部にて接触が感知された場合、座標通知部が通知する座標の一例を説明するための図である。
【図4】現在起動中のアプリケーションが一方の表示部のみに画像を表示させており、当該表示部にて接触が感知された場合、座標通知部が通知する座標の一例を説明するための図である。
【図5】アプリケーションが認識する原点の座標が含まれる表示部にて接触を感知した場合の座標の通知の一例を説明するための図である。
【図6】アプリケーションが認識する原点の座標が含まれない表示部にて接触を感知した場合の座標の通知の一例を説明するための図である。
【図7】表示部が3つである場合の座標の変換の一例を説明するための図である。
【図8】表示部が4つである場合の座標の変換の一例を説明するための図である。
【図9】表示部が4つである場合の座標の変換の他の例を説明するための図である。
【図10】表示装置の縦横方向を時計回りに90度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【図11】表示装置の縦横方向を時計回りに180度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【図12】表示装置の縦横方向を時計回りに270度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【図13】上述した表示装置の縦横方向の回転による座標変換の式を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の表示装置の実施の一形態を示す図である。
【0015】
本形態における表示装置100には図1に示すように、複数の表示部110−1,110−2と、座標変換部120と、座標通知部130とが設けられている。また、表示装置100内で動作するアプリケーション140が搭載されている。なお、図1には、表示装置100に搭載されるアプリケーションが1つである場合を示しているが、2つ以上のアプリケーションが搭載されたものであっても良いことは言うまでもない。
【0016】
表示部110−1,110−2は、タッチパネル機能を具備し、情報となる画像を表示するディスプレイである。また、図1には、表示部が2つである形態を示したが、3つ以上であっても良い。
【0017】
座標変換部120は、アプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させている場合、表示部110−1,110−2が接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する。
【0018】
このとき、座標変換部120は、表示部110−1が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含む画像を表示している場合、表示部110−2における物理座標を仮想座標へ変換する。また、座標変換部120は、表示部110−2が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含む画像を表示している場合、表示部110−1における物理座標を仮想座標へ変換する。
【0019】
また、このとき、座標変換部120は、物理座標のうち、表示部110−1と表示部110−2とが並んでいる方向の座標を変換する。つまり、表示部110−1と表示部110−2とが横方向に並んでいる場合、横方向の座標を変換する。例えば、横方向をX軸としている場合、X座標を変換する。また、表示部110−1と表示部110−2とが縦方向に並んでいる場合、縦方向の座標を変換する。例えば、縦方向をY軸としている場合、Y座標を変換する。
【0020】
また、このとき、座標変換部120は、表示部110−1が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含むものである場合、表示部110−1のサイズに応じた座標分を、表示部110−2における物理座標に加算することにより仮想座標への変換を行う。また、座標変換部120は、表示部110−2が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含むものである場合、表示部110−2のサイズに応じた座標分を、表示部110−1における物理座標に加算することにより仮想座標への変換を行う。
【0021】
また、座標変換部120は、表示装置100の縦横の回転によるアプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標の移動に応じて、物理座標を仮想座標へ変換する。
【0022】
また、座標変換部120は、変換した仮想座標を座標通知部130へ出力する。
【0023】
座標通知部130は、アプリケーション140が表示部110−1のみに画像を表示させている場合、表示部110−1が接触を感知した物理座標をアプリケーション140へ通知する。また、座標通知部130は、アプリケーション140が表示部110−2のみに画像を表示させている場合、表示部110−2が接触を感知した物理座標をアプリケーション140へ通知する。また、座標通知部130は、座標変換部120から仮想座標が出力されてきた場合、当該仮想座標をアプリケーション140へ通知する。
【0024】
以下に、図1に示した表示装置100における座標通知方法について説明する。
【0025】
図2は、図1に示した表示装置100における座標通知方法を説明するためのフローチャートである。
【0026】
まず、表示装置100に搭載されたアプリケーション140が起動すると(ステップS1)、表示部110−1または表示部110−2にて接触を感知したかどうかが判断される(ステップS2)。
【0027】
このアプリケーション140の起動方法は、所定の入力を行うことによるもの等、一般的な方法であれば良く、ここでは特に規定しない。
【0028】
また、表示部110−1または表示部110−2にて接触を感知したかどうかを判断するには、表示部110−1,110−2に具備されたタッチパネル機能を用いて判断される。
【0029】
ステップS2にて、表示部110−1または表示部110−2にて接触を感知したと判断されると、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させているかどうかが、座標変換部120にて判断される(ステップS3)。この判断方法は、ここでは特に規定しない。また、判断する主体についても、座標変換部120でなくても良い。例えば、表示装置100全体を制御する制御部(不図示)によって、当該判断が行われるものであっても良い。
【0030】
ステップS3にて、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させていないと判断された場合、つまり、現在起動中のアプリケーション140が、表示部110−1のみに画像を表示させている、または表示部110−2のみに画像を表示させている場合、接触を感知した物理座標が、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される(ステップS4)。
【0031】
具体例を挙げて説明すると、例えば、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1のみに画像を表示させており、表示部110−1にて接触が感知された場合、接触が感知された表示部110−1上の物理座標がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。また、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−2のみに画像を表示させており、表示部110−2にて接触が感知された場合、接触が感知された表示部110−2上の物理座標がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。
【0032】
図3は、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1のみに画像を表示させており、表示部110−1にて接触が感知された場合、座標通知部130が通知する座標の一例を説明するための図である。なお、ここでは、表示部110−1の左上の隅の物理座標を(0,0)(原点)とし、横方向にX軸、また縦方向にY軸としている。また、右下の隅の物理座標を(w,h)とする。また、表示部110−2の大きさは、表示部110−1のサイズと同じ大きさであり、原点の座標および座標軸の取り方は、表示部110−1と同じである。
【0033】
図3に示すように、表示部110−1上の物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、その物理座標(x,y)がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。つまり、座標変換部120における、物理座標から仮想座標への変換は行われない。
【0034】
図4は、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−2のみに画像を表示させており、表示部110−2にて接触が感知された場合、座標通知部130が通知する座標の一例を説明するための図である。なお、表示部110−1,110−2における原点および座標軸の取り方は、図3に示したものと同じである。また、表示部110−1と表示部110−2とは、同じ大きさである。
【0035】
図4に示すように、表示部110−2上の物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、その物理座標(x,y)がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。つまり、座標変換部120における、物理座標から仮想座標への変換は行われない。
【0036】
座標通知部130からアプリケーション140へ物理座標が通知されると、当該物理座標に応じた処理がアプリケーション140にて行われる(ステップS5)。
【0037】
一方、ステップS3にて、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させていると判断された場合、ステップS2における接触が感知された表示部が、アプリケーション140が認識する原点(アプリケーション140上の原点)の座標を含むものであるかどうかが、座標変換部120にて判断される(ステップS6)。
【0038】
起動中のアプリケーション140が画像を表示させるには、アプリケーション140上で認識する原点の座標が存在する。その原点の座標が、接触が感知された表示部に含まれる場合、つまり、当該表示部における物理座標の原点とアプリケーション140が認識する原点とが同じである場合、物理座標の変換は不要となる。
【0039】
例えば、ステップS2にて表示部110−1にて接触が感知された場合、アプリケーション140が認識する原点の座標が表示部110−1に含まれる(表示部110−1における原点とアプリケーション140が認識する原点とが同じ)かどうかが、座標変換部120にて判断される。また、ステップS2にて表示部110−2にて接触が感知された場合、アプリケーション140が認識する原点の座標が表示部110−2に含まれる(表示部110−2における原点とアプリケーション140が認識する原点とが同じ)かどうかが、座標変換部120にて判断される。
【0040】
ステップS6にて、ステップS2における接触が感知された表示部が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含むものであると判断された場合、ステップS4にて、接触を感知した物理座標が、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。
【0041】
図5は、アプリケーション140が認識する原点の座標が含まれる表示部110−1にて接触を感知した場合の座標の通知の一例を説明するための図である。ここでは、現在起動中のアプリケーション140が、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2とを跨いで画像を表示させており、アプリケーション140が認識する原点の座標が、表示部110−1における物理座標の原点である。
【0042】
図5に示すように、表示部110−1上の物理座標(x,y)にて接触が感知されると、その物理座標(x,y)がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。これは、上述したように、表示部110−1における物理座標の原点とアプリケーション140が認識する原点とが同じであるため、物理座標から仮想座標への変換が不要であるからである。
【0043】
一方、ステップS6にて、ステップS2における接触が感知された表示部が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含むものではないと判断された場合、座標変換部120にて、所定の演算を用いて当該物理座標が仮想座標へ変換される(ステップS7)。
【0044】
図6は、アプリケーション140が認識する原点の座標が含まれない表示部110−2にて接触を感知した場合の座標の通知の一例を説明するための図である。ここでは、現在起動中のアプリケーション140が、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2とを跨いで画像を表示させており、アプリケーション140が認識する原点の座標が、表示部110−1における物理座標の原点である。
【0045】
図6に示すように、表示部110−2上の物理座標(x,y)にて接触が感知されると、その物理座標(x,y)が仮想座標へ変換される。
【0046】
図6に示した例では、表示部110−1と表示部110−2とが、横方向(X軸方向)に並んでおり、表示部110−1のX軸方向の大きさに応じた座標が「w」である。そのため、X座標についての物理座標から仮想座標への変換式は(式1)のようになる。
【0047】
x(物理座標)+w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)=(x+w) (式1)
このように、物理座標に表示部110−1の大きさを加算することで仮想座標を求める。
【0048】
なお、表示部110−1と表示部110−2とは、縦方向(Y軸方向)には並んでいないため、Y座標の変換は行われない。
【0049】
したがって、物理座標(x,y)が、仮想座標(x+w,y)へ変換される。
【0050】
ステップS7にて、座標変換部120によって物理座標から仮想座標への変換が行われると、変換された仮想座標が座標変換部120から座標通知部130へ出力される。
【0051】
すると、座標通知部130から当該仮想座標がアプリケーション140へ通知され(ステップS8)、ステップS5にて当該仮想座標に応じた処理がアプリケーション140にて行われる。
【0052】
上述した処理は、表示部が3つである場合や、4つである場合、またそれ以上である場合にも適用することが可能である。
【0053】
図7は、表示部が3つである場合の座標の変換の一例を説明するための図である。
【0054】
図7に示した例では、3つの表示部110−1〜110−3が搭載されており、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2と、第3(Tertiary)のディスプレイである表示部110−3とが、横方向(X軸方向)に並んで搭載されている。
【0055】
また、アプリケーション140が認識する原点の座標は、表示部110−1における物理座標の原点(左上の隅)と同じである。
【0056】
また、3つの表示部110−1〜110−3の大きさを座標で示すと、それぞれが(w×h)である。
【0057】
図7に示したように表示部110−1〜110−3が具備されている場合、表示部110−1または表示部110−2にて接触が感知されたときに通知する座標については、上述したような2つのディスプレイが具備されているものと同様である。つまり、上述したように、表示部110−1にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標をそのままアプリケーション140へ通知する。また、表示部110−2にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標を(式1)を用いて仮想座標へ変換してからアプリケーション140へ通知する。
【0058】
また、表示部110−3における物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、X座標について物理座標から仮想座標への変換が座標変換部120にて行われる。
【0059】
具体的には、以下の(式2)を用いて変換がおこなわれる。
【0060】
x(物理座標)+w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)+w(表示部110−2のX軸方向の大きさ)=(x+w+w) (式2)
この(x+w+w)が、仮想座標のX座標となる。
【0061】
また、表示部110−1と表示部110−2と表示部110−3とが縦方向(Y軸方向)には並んでいないため、Y座標についての変換は行われない。
【0062】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(x+w+w,y)となる。アプリケーション140は、この座標(x+w+w,y)に応じた処理を行う。
【0063】
図8は、表示部が4つである場合の座標の変換の一例を説明するための図である。
【0064】
図8に示した例では、4つの表示部110−1〜110−4が搭載されており、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2とが横方向(X軸方向)に並んで搭載されている。また、第3(Tertiary)のディスプレイである表示部110−3と、第4(Fourth)のディスプレイである表示部110−4とが、横方向(X軸方向)に並んで搭載されている。また、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第3(Tertiary)のディスプレイである表示部110−3とが縦方向(Y軸方向)に並んで搭載されている。また、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2と、第4(Fourth)のディスプレイである表示部110−4とが縦方向(Y軸方向)に並んで搭載されている。
【0065】
また、アプリケーション140が認識する原点の座標は、表示部110−1における物理座標の原点(左上の隅)と同じである。
【0066】
また、4つの表示部110−1〜110−4の大きさを座標で示すと、それぞれが(w×h)である。
【0067】
図8に示したように表示部110−1〜110−4が具備されている場合、表示部110−1または表示部110−2にて接触が感知されたときに通知する座標については、上述したような2つのディスプレイが具備されているものと同様である。つまり、上述したように、表示部110−1にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標をそのままアプリケーション140へ通知する。また、表示部110−2にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標を(式1)を用いて仮想座標へ変換してからアプリケーション140へ通知する。
【0068】
また、表示部110−3における物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、Y座標について物理座標から仮想座標への変換が座標変換部120にて行われる。
【0069】
具体的には、以下の(式3)を用いて変換がおこなわれる。
【0070】
y(物理座標)+h(表示部110−1のY軸方向の大きさ)=(y+h) (式3)
この(y+h)が、仮想座標のY座標となる。
【0071】
また、表示部110−1と表示部110−3とが横方向(X軸方向)には並んでいないため、X座標についての変換は行われない。
【0072】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(x,y+h)となる。アプリケーション140は、この座標(x,y+h)に応じた処理を行う。
【0073】
図9は、表示部が4つである場合の座標の変換の他の例を説明するための図である。
【0074】
図9に示した例では、表示部110−1〜110−4の並びおよびそれぞれの大きさは図8に示したものと同じである。
【0075】
また、アプリケーション140が認識する原点の座標は、表示部110−1における物理座標の原点(左上の隅)と同じである。
【0076】
図9に示したように表示部110−1〜110−4が具備されている場合、表示部110−1または表示部110−2にて接触が感知されたときに通知する座標については、上述したような2つのディスプレイが具備されているものと同様である。つまり、上述したように、表示部110−1にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標をそのままアプリケーション140へ通知する。また、表示部110−2にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標を(式1)を用いて仮想座標へ変換してからアプリケーション140へ通知する。
【0077】
また、表示部110−4における物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、X座標およびY座標それぞれについて物理座標から仮想座標への変換が座標変換部120にて行われる。
【0078】
具体的には、以下の(式4)および(式5)を用いて変換がおこなわれる。
【0079】
まず、X座標については、
x(物理座標)+w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)=(x+w) (式4)
この(x+w)が、仮想座標のX座標となる。
【0080】
また、Y座標については、
y(物理座標)+h(表示部110−2のY軸方向の大きさ)=(y+h) (式5)
この(y+h)が、仮想座標のY座標となる。
【0081】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(x+w,y+h)となる。アプリケーション140は、この座標(x+w,y+h)に応じた処理を行う。
【0082】
次に、表示装置100の縦横方向の回転による座標の通知について説明する。
【0083】
近年では、ディスプレイが搭載された表示装置の向きに応じて、表示の縦横方向が回転したり、上下の向きが入れ替わったりする機能が具備されているものが増えてきている。
【0084】
本発明の表示装置においても、当該機能を具備する。
【0085】
図1に示した表示装置100において、アプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とのどちらか一方に画像を表示させている場合の表示装置100の縦横の回転による座標の通知については、一般的に用いられているものと同じである。
【0086】
アプリケーション140が、表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させている場合は、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標が、表示部110−1,110−2を跨いで移動するため、そのための座標変換が必要となる場合がある。
【0087】
図10は、表示装置100の縦横方向を時計回りに90度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【0088】
図10に示した表示部110−1上の物理座標(x,y)は、表示装置100を回転させなければ座標通知部130によってそのままアプリケーション140へ通知される。
【0089】
しかし、図10の下に示すように、表示装置100を時計回りに90度回転させた場合、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標が、表示部110−1から表示部110−2へ移動する。すると、物理座標(x,y)と、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標とが、互いに異なる表示部に含まれることとなる。
【0090】
これに伴い、表示部110−1上の物理座標(x,y)が仮想座標へ変換される。
【0091】
具体的には、X座標については、表示部110−1上の物理座標(y)が、仮想座標のX座標となる。
【0092】
また、Y座標については、(式6)を用いて変換がおこなわれる。
【0093】
w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)−x(物理座標)+w(表示部110−2のX軸方向の大きさ)=(w−x+w) (式6)
この(w−x+w)が、仮想座標のY座標となる。
【0094】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(y,w−x+w)となる。アプリケーション140は、この座標(y,w−x+w)に応じた処理を行う。
【0095】
図11は、表示装置100の縦横方向を時計回りに180度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【0096】
図11に示した表示部110−1上の物理座標(x,y)は、表示装置100を回転させなければ座標通知部130によってそのままアプリケーション140へ通知される。
【0097】
しかし、図11の下に示すように、表示装置100を時計回りに180度回転させた場合、つまり、表示装置100の上下の向きを入れ替えた場合、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標が、表示部110−1から表示部110−2へ移動する。すると、物理座標(x,y)と、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標とが、互いに異なる表示部に含まれることとなる。
【0098】
これに伴い、表示部110−1上の物理座標(x,y)が仮想座標へ変換される。
【0099】
具体的には、X座標については、(式7)を用いて変換がおこなわれる。
【0100】
w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)−x(物理座標)+w(表示部110−2のX軸方向の大きさ)=(w−x+w) (式7)
この(w−x+w)が、仮想座標のX座標となる。
【0101】
また、Y座標については、(式8)を用いて変換がおこなわれる。
【0102】
h(表示部110−1のY軸方向の大きさ)−y(物理座標)=(h−y) (式8)
この(h−y)が、仮想座標のY座標となる。
【0103】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(w−x+w,h−y)となる。アプリケーション140は、この座標(w−x+w,h−y)に応じた処理を行う。
【0104】
図12は、表示装置100の縦横方向を時計回りに270度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【0105】
図12に示した表示部110−2上の物理座標(x,y)は、表示装置100を時計回りに270度回転させた場合、仮想座標へ変換される。
【0106】
具体的には、X座標については、(式9)を用いて変換がおこなわれる。
【0107】
h(表示部110−1のY軸方向の大きさ)−y(物理座標)=(h−y) (式9)
この(h−y)が、仮想座標のX座標となる。
【0108】
また、Y座標については、(式10)を用いて変換がおこなわれる。
【0109】
w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)+x(物理座標)=(w+x) (式10)
この(w+x)が、仮想座標のY座標となる。
【0110】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(h−y,w+x)となる。アプリケーション140は、この座標(h−y,w+x)に応じた処理を行う。
【0111】
図13は、上述した表示装置100の縦横方向の回転による座標変換の式を示す表である。図13では、変換後の仮想座標を(x’,y’)で示している。
【0112】
図13に示すように、1つのディスプレイ(表示部110−1と表示部110−2とのどちらか一方)で表示した場合と、2つのディスプレイ(表示部110−1と表示部110−2とを跨いで)で表示した場合とで、物理座標から仮想座標への変換が異なる。また、2つのディスプレイ表示の場合でも、イベント発生元(接触を感知した表示部)によっても、物理座標から仮想座標への変換が異なる。このように、各ディスプレイ表示に応じた変換処理を行う。
【0113】
また、複数のディスプレイそれぞれを識別できるディスプレイ識別情報(識別ID等)をそれぞれに付与しておき、当該ディスプレイ識別情報と、接触を感知した位置の物理座標とを用いて、仮想座標への変換を行うものであっても良い。
【0114】
上述したように本発明においては、複数の表示部を有する表示装置にて、アプリケーションが複数の表示部を跨いで画像を表示する場合のみ、物理座標を仮想座標へ変換することで、アプリケーションに対して座標を効率的に通知することが可能となる。
【0115】
上述した表示装置100に設けられた各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を記述したプログラムを表示装置100にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを表示装置100に読み込ませ、実行するものであっても良い。表示装置100にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、表示装置100に内蔵されたROM、RAM等のメモリやHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、表示装置100に設けられたCPU(不図示)にて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0116】
100 表示装置
110−1〜110−4 表示部
120 座標変換部
130 座標通知部
140 アプリケーション
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示する表示装置、表示装置における座標通知方法およびプログラムに関し、特に、複数のディスプレイに情報を表示する表示装置、表示装置における座標通知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の表示部(ディスプレイ)が並べられ、並べられた複数のディスプレイを連携させて制御することで、あたかもディスプレイのサイズが大きくなったかのように使用する技術が考えられている。
【0003】
このような技術においては、例えば、このディスプレイがタッチパネル機能を具備している場合、それぞれのディスプレイにおける物理座標を、並べられた複数のディスプレイ全体における仮想座標へ変換してから、画像を表示させているアプリケーションへ通知している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−161426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、複数のディスプレイのうち1つのディスプレイのみを用いて表示を行う場合は、物理座標から仮想座標への変換は不要である。
【0006】
しかしながら、上述した技術においては、物理座標から仮想座標への変換を必ず行っている。そのため、不要な処理によるリソースの浪費が生じてしまうという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決する表示装置、座標通知方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、
タッチパネル機能を具備し、情報となる画像を表示する複数の表示部と、
1つのアプリケーションが前記複数の表示部を跨いで前記画像を表示させている場合、前記表示部が接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する座標変換部と、
1つのアプリケーションが前記複数の表示部のうち1つの表示部に前記画像を表示させている場合、前記表示部が接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知し、1つのアプリケーションが前記複数の表示部を跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知する座標通知部とを有する。
【0009】
また、本発明の座標通知方法は、
タッチパネル機能を持った複数のディスプレイを具備した装置における座標通知方法であって、
前記複数のディスプレイに対する接触を感知するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させているかどうかを判断するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する変換ステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイのうち1つのディスプレイに前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知するステップとを行う。
【0010】
また、本発明のプログラムは、
タッチパネル機能を持ち、情報となる画像を表示する複数のディスプレイを搭載した装置に実行させるためのプログラムであって、
前記複数のディスプレイに対する接触を感知する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させているかどうかを判断する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する変換手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイのうち1つのディスプレイに前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明においては、複数のディスプレイを搭載した装置において、アプリケーションに対して座標を効率的に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の表示装置の実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した表示装置における座標通知方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】現在起動中のアプリケーションが一方の表示部のみに画像を表示させており、当該表示部にて接触が感知された場合、座標通知部が通知する座標の一例を説明するための図である。
【図4】現在起動中のアプリケーションが一方の表示部のみに画像を表示させており、当該表示部にて接触が感知された場合、座標通知部が通知する座標の一例を説明するための図である。
【図5】アプリケーションが認識する原点の座標が含まれる表示部にて接触を感知した場合の座標の通知の一例を説明するための図である。
【図6】アプリケーションが認識する原点の座標が含まれない表示部にて接触を感知した場合の座標の通知の一例を説明するための図である。
【図7】表示部が3つである場合の座標の変換の一例を説明するための図である。
【図8】表示部が4つである場合の座標の変換の一例を説明するための図である。
【図9】表示部が4つである場合の座標の変換の他の例を説明するための図である。
【図10】表示装置の縦横方向を時計回りに90度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【図11】表示装置の縦横方向を時計回りに180度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【図12】表示装置の縦横方向を時計回りに270度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【図13】上述した表示装置の縦横方向の回転による座標変換の式を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の表示装置の実施の一形態を示す図である。
【0015】
本形態における表示装置100には図1に示すように、複数の表示部110−1,110−2と、座標変換部120と、座標通知部130とが設けられている。また、表示装置100内で動作するアプリケーション140が搭載されている。なお、図1には、表示装置100に搭載されるアプリケーションが1つである場合を示しているが、2つ以上のアプリケーションが搭載されたものであっても良いことは言うまでもない。
【0016】
表示部110−1,110−2は、タッチパネル機能を具備し、情報となる画像を表示するディスプレイである。また、図1には、表示部が2つである形態を示したが、3つ以上であっても良い。
【0017】
座標変換部120は、アプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させている場合、表示部110−1,110−2が接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する。
【0018】
このとき、座標変換部120は、表示部110−1が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含む画像を表示している場合、表示部110−2における物理座標を仮想座標へ変換する。また、座標変換部120は、表示部110−2が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含む画像を表示している場合、表示部110−1における物理座標を仮想座標へ変換する。
【0019】
また、このとき、座標変換部120は、物理座標のうち、表示部110−1と表示部110−2とが並んでいる方向の座標を変換する。つまり、表示部110−1と表示部110−2とが横方向に並んでいる場合、横方向の座標を変換する。例えば、横方向をX軸としている場合、X座標を変換する。また、表示部110−1と表示部110−2とが縦方向に並んでいる場合、縦方向の座標を変換する。例えば、縦方向をY軸としている場合、Y座標を変換する。
【0020】
また、このとき、座標変換部120は、表示部110−1が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含むものである場合、表示部110−1のサイズに応じた座標分を、表示部110−2における物理座標に加算することにより仮想座標への変換を行う。また、座標変換部120は、表示部110−2が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含むものである場合、表示部110−2のサイズに応じた座標分を、表示部110−1における物理座標に加算することにより仮想座標への変換を行う。
【0021】
また、座標変換部120は、表示装置100の縦横の回転によるアプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標の移動に応じて、物理座標を仮想座標へ変換する。
【0022】
また、座標変換部120は、変換した仮想座標を座標通知部130へ出力する。
【0023】
座標通知部130は、アプリケーション140が表示部110−1のみに画像を表示させている場合、表示部110−1が接触を感知した物理座標をアプリケーション140へ通知する。また、座標通知部130は、アプリケーション140が表示部110−2のみに画像を表示させている場合、表示部110−2が接触を感知した物理座標をアプリケーション140へ通知する。また、座標通知部130は、座標変換部120から仮想座標が出力されてきた場合、当該仮想座標をアプリケーション140へ通知する。
【0024】
以下に、図1に示した表示装置100における座標通知方法について説明する。
【0025】
図2は、図1に示した表示装置100における座標通知方法を説明するためのフローチャートである。
【0026】
まず、表示装置100に搭載されたアプリケーション140が起動すると(ステップS1)、表示部110−1または表示部110−2にて接触を感知したかどうかが判断される(ステップS2)。
【0027】
このアプリケーション140の起動方法は、所定の入力を行うことによるもの等、一般的な方法であれば良く、ここでは特に規定しない。
【0028】
また、表示部110−1または表示部110−2にて接触を感知したかどうかを判断するには、表示部110−1,110−2に具備されたタッチパネル機能を用いて判断される。
【0029】
ステップS2にて、表示部110−1または表示部110−2にて接触を感知したと判断されると、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させているかどうかが、座標変換部120にて判断される(ステップS3)。この判断方法は、ここでは特に規定しない。また、判断する主体についても、座標変換部120でなくても良い。例えば、表示装置100全体を制御する制御部(不図示)によって、当該判断が行われるものであっても良い。
【0030】
ステップS3にて、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させていないと判断された場合、つまり、現在起動中のアプリケーション140が、表示部110−1のみに画像を表示させている、または表示部110−2のみに画像を表示させている場合、接触を感知した物理座標が、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される(ステップS4)。
【0031】
具体例を挙げて説明すると、例えば、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1のみに画像を表示させており、表示部110−1にて接触が感知された場合、接触が感知された表示部110−1上の物理座標がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。また、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−2のみに画像を表示させており、表示部110−2にて接触が感知された場合、接触が感知された表示部110−2上の物理座標がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。
【0032】
図3は、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1のみに画像を表示させており、表示部110−1にて接触が感知された場合、座標通知部130が通知する座標の一例を説明するための図である。なお、ここでは、表示部110−1の左上の隅の物理座標を(0,0)(原点)とし、横方向にX軸、また縦方向にY軸としている。また、右下の隅の物理座標を(w,h)とする。また、表示部110−2の大きさは、表示部110−1のサイズと同じ大きさであり、原点の座標および座標軸の取り方は、表示部110−1と同じである。
【0033】
図3に示すように、表示部110−1上の物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、その物理座標(x,y)がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。つまり、座標変換部120における、物理座標から仮想座標への変換は行われない。
【0034】
図4は、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−2のみに画像を表示させており、表示部110−2にて接触が感知された場合、座標通知部130が通知する座標の一例を説明するための図である。なお、表示部110−1,110−2における原点および座標軸の取り方は、図3に示したものと同じである。また、表示部110−1と表示部110−2とは、同じ大きさである。
【0035】
図4に示すように、表示部110−2上の物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、その物理座標(x,y)がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。つまり、座標変換部120における、物理座標から仮想座標への変換は行われない。
【0036】
座標通知部130からアプリケーション140へ物理座標が通知されると、当該物理座標に応じた処理がアプリケーション140にて行われる(ステップS5)。
【0037】
一方、ステップS3にて、現在起動中のアプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させていると判断された場合、ステップS2における接触が感知された表示部が、アプリケーション140が認識する原点(アプリケーション140上の原点)の座標を含むものであるかどうかが、座標変換部120にて判断される(ステップS6)。
【0038】
起動中のアプリケーション140が画像を表示させるには、アプリケーション140上で認識する原点の座標が存在する。その原点の座標が、接触が感知された表示部に含まれる場合、つまり、当該表示部における物理座標の原点とアプリケーション140が認識する原点とが同じである場合、物理座標の変換は不要となる。
【0039】
例えば、ステップS2にて表示部110−1にて接触が感知された場合、アプリケーション140が認識する原点の座標が表示部110−1に含まれる(表示部110−1における原点とアプリケーション140が認識する原点とが同じ)かどうかが、座標変換部120にて判断される。また、ステップS2にて表示部110−2にて接触が感知された場合、アプリケーション140が認識する原点の座標が表示部110−2に含まれる(表示部110−2における原点とアプリケーション140が認識する原点とが同じ)かどうかが、座標変換部120にて判断される。
【0040】
ステップS6にて、ステップS2における接触が感知された表示部が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含むものであると判断された場合、ステップS4にて、接触を感知した物理座標が、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。
【0041】
図5は、アプリケーション140が認識する原点の座標が含まれる表示部110−1にて接触を感知した場合の座標の通知の一例を説明するための図である。ここでは、現在起動中のアプリケーション140が、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2とを跨いで画像を表示させており、アプリケーション140が認識する原点の座標が、表示部110−1における物理座標の原点である。
【0042】
図5に示すように、表示部110−1上の物理座標(x,y)にて接触が感知されると、その物理座標(x,y)がそのまま座標通知部130からアプリケーション140へ通知される。これは、上述したように、表示部110−1における物理座標の原点とアプリケーション140が認識する原点とが同じであるため、物理座標から仮想座標への変換が不要であるからである。
【0043】
一方、ステップS6にて、ステップS2における接触が感知された表示部が、アプリケーション140が認識する原点の座標を含むものではないと判断された場合、座標変換部120にて、所定の演算を用いて当該物理座標が仮想座標へ変換される(ステップS7)。
【0044】
図6は、アプリケーション140が認識する原点の座標が含まれない表示部110−2にて接触を感知した場合の座標の通知の一例を説明するための図である。ここでは、現在起動中のアプリケーション140が、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2とを跨いで画像を表示させており、アプリケーション140が認識する原点の座標が、表示部110−1における物理座標の原点である。
【0045】
図6に示すように、表示部110−2上の物理座標(x,y)にて接触が感知されると、その物理座標(x,y)が仮想座標へ変換される。
【0046】
図6に示した例では、表示部110−1と表示部110−2とが、横方向(X軸方向)に並んでおり、表示部110−1のX軸方向の大きさに応じた座標が「w」である。そのため、X座標についての物理座標から仮想座標への変換式は(式1)のようになる。
【0047】
x(物理座標)+w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)=(x+w) (式1)
このように、物理座標に表示部110−1の大きさを加算することで仮想座標を求める。
【0048】
なお、表示部110−1と表示部110−2とは、縦方向(Y軸方向)には並んでいないため、Y座標の変換は行われない。
【0049】
したがって、物理座標(x,y)が、仮想座標(x+w,y)へ変換される。
【0050】
ステップS7にて、座標変換部120によって物理座標から仮想座標への変換が行われると、変換された仮想座標が座標変換部120から座標通知部130へ出力される。
【0051】
すると、座標通知部130から当該仮想座標がアプリケーション140へ通知され(ステップS8)、ステップS5にて当該仮想座標に応じた処理がアプリケーション140にて行われる。
【0052】
上述した処理は、表示部が3つである場合や、4つである場合、またそれ以上である場合にも適用することが可能である。
【0053】
図7は、表示部が3つである場合の座標の変換の一例を説明するための図である。
【0054】
図7に示した例では、3つの表示部110−1〜110−3が搭載されており、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2と、第3(Tertiary)のディスプレイである表示部110−3とが、横方向(X軸方向)に並んで搭載されている。
【0055】
また、アプリケーション140が認識する原点の座標は、表示部110−1における物理座標の原点(左上の隅)と同じである。
【0056】
また、3つの表示部110−1〜110−3の大きさを座標で示すと、それぞれが(w×h)である。
【0057】
図7に示したように表示部110−1〜110−3が具備されている場合、表示部110−1または表示部110−2にて接触が感知されたときに通知する座標については、上述したような2つのディスプレイが具備されているものと同様である。つまり、上述したように、表示部110−1にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標をそのままアプリケーション140へ通知する。また、表示部110−2にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標を(式1)を用いて仮想座標へ変換してからアプリケーション140へ通知する。
【0058】
また、表示部110−3における物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、X座標について物理座標から仮想座標への変換が座標変換部120にて行われる。
【0059】
具体的には、以下の(式2)を用いて変換がおこなわれる。
【0060】
x(物理座標)+w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)+w(表示部110−2のX軸方向の大きさ)=(x+w+w) (式2)
この(x+w+w)が、仮想座標のX座標となる。
【0061】
また、表示部110−1と表示部110−2と表示部110−3とが縦方向(Y軸方向)には並んでいないため、Y座標についての変換は行われない。
【0062】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(x+w+w,y)となる。アプリケーション140は、この座標(x+w+w,y)に応じた処理を行う。
【0063】
図8は、表示部が4つである場合の座標の変換の一例を説明するための図である。
【0064】
図8に示した例では、4つの表示部110−1〜110−4が搭載されており、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2とが横方向(X軸方向)に並んで搭載されている。また、第3(Tertiary)のディスプレイである表示部110−3と、第4(Fourth)のディスプレイである表示部110−4とが、横方向(X軸方向)に並んで搭載されている。また、第1(Primary)のディスプレイである表示部110−1と、第3(Tertiary)のディスプレイである表示部110−3とが縦方向(Y軸方向)に並んで搭載されている。また、第2(Secondary)のディスプレイである表示部110−2と、第4(Fourth)のディスプレイである表示部110−4とが縦方向(Y軸方向)に並んで搭載されている。
【0065】
また、アプリケーション140が認識する原点の座標は、表示部110−1における物理座標の原点(左上の隅)と同じである。
【0066】
また、4つの表示部110−1〜110−4の大きさを座標で示すと、それぞれが(w×h)である。
【0067】
図8に示したように表示部110−1〜110−4が具備されている場合、表示部110−1または表示部110−2にて接触が感知されたときに通知する座標については、上述したような2つのディスプレイが具備されているものと同様である。つまり、上述したように、表示部110−1にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標をそのままアプリケーション140へ通知する。また、表示部110−2にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標を(式1)を用いて仮想座標へ変換してからアプリケーション140へ通知する。
【0068】
また、表示部110−3における物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、Y座標について物理座標から仮想座標への変換が座標変換部120にて行われる。
【0069】
具体的には、以下の(式3)を用いて変換がおこなわれる。
【0070】
y(物理座標)+h(表示部110−1のY軸方向の大きさ)=(y+h) (式3)
この(y+h)が、仮想座標のY座標となる。
【0071】
また、表示部110−1と表示部110−3とが横方向(X軸方向)には並んでいないため、X座標についての変換は行われない。
【0072】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(x,y+h)となる。アプリケーション140は、この座標(x,y+h)に応じた処理を行う。
【0073】
図9は、表示部が4つである場合の座標の変換の他の例を説明するための図である。
【0074】
図9に示した例では、表示部110−1〜110−4の並びおよびそれぞれの大きさは図8に示したものと同じである。
【0075】
また、アプリケーション140が認識する原点の座標は、表示部110−1における物理座標の原点(左上の隅)と同じである。
【0076】
図9に示したように表示部110−1〜110−4が具備されている場合、表示部110−1または表示部110−2にて接触が感知されたときに通知する座標については、上述したような2つのディスプレイが具備されているものと同様である。つまり、上述したように、表示部110−1にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標をそのままアプリケーション140へ通知する。また、表示部110−2にて接触が感知された場合は、接触が感知された物理座標を(式1)を用いて仮想座標へ変換してからアプリケーション140へ通知する。
【0077】
また、表示部110−4における物理座標(x,y)にて接触が感知された場合、X座標およびY座標それぞれについて物理座標から仮想座標への変換が座標変換部120にて行われる。
【0078】
具体的には、以下の(式4)および(式5)を用いて変換がおこなわれる。
【0079】
まず、X座標については、
x(物理座標)+w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)=(x+w) (式4)
この(x+w)が、仮想座標のX座標となる。
【0080】
また、Y座標については、
y(物理座標)+h(表示部110−2のY軸方向の大きさ)=(y+h) (式5)
この(y+h)が、仮想座標のY座標となる。
【0081】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(x+w,y+h)となる。アプリケーション140は、この座標(x+w,y+h)に応じた処理を行う。
【0082】
次に、表示装置100の縦横方向の回転による座標の通知について説明する。
【0083】
近年では、ディスプレイが搭載された表示装置の向きに応じて、表示の縦横方向が回転したり、上下の向きが入れ替わったりする機能が具備されているものが増えてきている。
【0084】
本発明の表示装置においても、当該機能を具備する。
【0085】
図1に示した表示装置100において、アプリケーション140が表示部110−1と表示部110−2とのどちらか一方に画像を表示させている場合の表示装置100の縦横の回転による座標の通知については、一般的に用いられているものと同じである。
【0086】
アプリケーション140が、表示部110−1と表示部110−2とを跨いで画像を表示させている場合は、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標が、表示部110−1,110−2を跨いで移動するため、そのための座標変換が必要となる場合がある。
【0087】
図10は、表示装置100の縦横方向を時計回りに90度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【0088】
図10に示した表示部110−1上の物理座標(x,y)は、表示装置100を回転させなければ座標通知部130によってそのままアプリケーション140へ通知される。
【0089】
しかし、図10の下に示すように、表示装置100を時計回りに90度回転させた場合、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標が、表示部110−1から表示部110−2へ移動する。すると、物理座標(x,y)と、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標とが、互いに異なる表示部に含まれることとなる。
【0090】
これに伴い、表示部110−1上の物理座標(x,y)が仮想座標へ変換される。
【0091】
具体的には、X座標については、表示部110−1上の物理座標(y)が、仮想座標のX座標となる。
【0092】
また、Y座標については、(式6)を用いて変換がおこなわれる。
【0093】
w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)−x(物理座標)+w(表示部110−2のX軸方向の大きさ)=(w−x+w) (式6)
この(w−x+w)が、仮想座標のY座標となる。
【0094】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(y,w−x+w)となる。アプリケーション140は、この座標(y,w−x+w)に応じた処理を行う。
【0095】
図11は、表示装置100の縦横方向を時計回りに180度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【0096】
図11に示した表示部110−1上の物理座標(x,y)は、表示装置100を回転させなければ座標通知部130によってそのままアプリケーション140へ通知される。
【0097】
しかし、図11の下に示すように、表示装置100を時計回りに180度回転させた場合、つまり、表示装置100の上下の向きを入れ替えた場合、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標が、表示部110−1から表示部110−2へ移動する。すると、物理座標(x,y)と、アプリケーション140が認識する原点に対応する物理座標とが、互いに異なる表示部に含まれることとなる。
【0098】
これに伴い、表示部110−1上の物理座標(x,y)が仮想座標へ変換される。
【0099】
具体的には、X座標については、(式7)を用いて変換がおこなわれる。
【0100】
w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)−x(物理座標)+w(表示部110−2のX軸方向の大きさ)=(w−x+w) (式7)
この(w−x+w)が、仮想座標のX座標となる。
【0101】
また、Y座標については、(式8)を用いて変換がおこなわれる。
【0102】
h(表示部110−1のY軸方向の大きさ)−y(物理座標)=(h−y) (式8)
この(h−y)が、仮想座標のY座標となる。
【0103】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(w−x+w,h−y)となる。アプリケーション140は、この座標(w−x+w,h−y)に応じた処理を行う。
【0104】
図12は、表示装置100の縦横方向を時計回りに270度回転させた場合の座標変換の一例を示す図である。
【0105】
図12に示した表示部110−2上の物理座標(x,y)は、表示装置100を時計回りに270度回転させた場合、仮想座標へ変換される。
【0106】
具体的には、X座標については、(式9)を用いて変換がおこなわれる。
【0107】
h(表示部110−1のY軸方向の大きさ)−y(物理座標)=(h−y) (式9)
この(h−y)が、仮想座標のX座標となる。
【0108】
また、Y座標については、(式10)を用いて変換がおこなわれる。
【0109】
w(表示部110−1のX軸方向の大きさ)+x(物理座標)=(w+x) (式10)
この(w+x)が、仮想座標のY座標となる。
【0110】
したがって、座標通知部130からアプリケーション140へ通知される仮想座標は、(h−y,w+x)となる。アプリケーション140は、この座標(h−y,w+x)に応じた処理を行う。
【0111】
図13は、上述した表示装置100の縦横方向の回転による座標変換の式を示す表である。図13では、変換後の仮想座標を(x’,y’)で示している。
【0112】
図13に示すように、1つのディスプレイ(表示部110−1と表示部110−2とのどちらか一方)で表示した場合と、2つのディスプレイ(表示部110−1と表示部110−2とを跨いで)で表示した場合とで、物理座標から仮想座標への変換が異なる。また、2つのディスプレイ表示の場合でも、イベント発生元(接触を感知した表示部)によっても、物理座標から仮想座標への変換が異なる。このように、各ディスプレイ表示に応じた変換処理を行う。
【0113】
また、複数のディスプレイそれぞれを識別できるディスプレイ識別情報(識別ID等)をそれぞれに付与しておき、当該ディスプレイ識別情報と、接触を感知した位置の物理座標とを用いて、仮想座標への変換を行うものであっても良い。
【0114】
上述したように本発明においては、複数の表示部を有する表示装置にて、アプリケーションが複数の表示部を跨いで画像を表示する場合のみ、物理座標を仮想座標へ変換することで、アプリケーションに対して座標を効率的に通知することが可能となる。
【0115】
上述した表示装置100に設けられた各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を記述したプログラムを表示装置100にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを表示装置100に読み込ませ、実行するものであっても良い。表示装置100にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、表示装置100に内蔵されたROM、RAM等のメモリやHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、表示装置100に設けられたCPU(不図示)にて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0116】
100 表示装置
110−1〜110−4 表示部
120 座標変換部
130 座標通知部
140 アプリケーション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル機能を具備し、情報となる画像を表示する複数の表示部と、
1つのアプリケーションが前記複数の表示部を跨いで前記画像を表示させている場合、前記表示部が接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する座標変換部と、
1つのアプリケーションが前記複数の表示部のうち1つの表示部に前記画像を表示させている場合、前記表示部が接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知し、1つのアプリケーションが前記複数の表示部を跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知する座標通知部とを有する表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記座標変換部は、前記複数の表示部のうち、前記アプリケーションが認識する原点の座標を含む第1の表示部以外の表示部における物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記座標変換部は、前記物理座標のうち、前記第1の表示部と該第1の表示部以外の表示部とが並んでいる方向の座標を変換することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記座標変換部は、前記第1の表示部のサイズに応じた座標分を、前記第1の表示部以外の表示部における物理座標に加算することにより前記仮想座標への変換を行うことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置において、
前記座標変換部は、当該表示装置の縦横の回転による前記アプリケーションが認識する原点に対応する物理座標の移動に応じて、前記物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
タッチパネル機能を持った複数のディスプレイを具備した装置における座標通知方法であって、
前記複数のディスプレイに対する接触を感知するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させているかどうかを判断するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する変換ステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイのうち1つのディスプレイに前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知するステップとを行う座標通知方法。
【請求項7】
請求項6に記載の座標通知方法において、
前記変換ステップは、前記複数のディスプレイのうち、前記アプリケーションが認識する原点の座標を含む第1のディスプレイ以外のディスプレイにおける物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とする座標通知方法。
【請求項8】
請求項7に記載の座標通知方法において、
前記変換ステップは、前記物理座標のうち、前記第1のディスプレイと該第1のディスプレイ以外のディスプレイとが並んでいる方向の座標を変換することを特徴とする座標通知方法。
【請求項9】
請求項8に記載の座標通知方法において、
前記変換ステップは、前記第1のディスプレイのサイズに応じた座標分を、前記第1のディスプレイ以外のディスプレイにおける物理座標に加算することにより前記仮想座標への変換を行うことを特徴とする座標通知方法。
【請求項10】
請求項6に記載の座標通知方法において、
前記変換ステップは、当該装置の縦横の回転による前記アプリケーションが認識する原点に対応する物理座標の移動に応じて、前記物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とする座標通知方法。
【請求項11】
タッチパネル機能を持ち、情報となる画像を表示する複数のディスプレイを搭載した装置に、
前記複数のディスプレイに対する接触を感知する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させているかどうかを判断する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する変換手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイのうち1つのディスプレイに前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知する手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記変換手順は、前記複数のディスプレイのうち、前記アプリケーションが認識する原点の座標を含む第1のディスプレイ以外のディスプレイにおける物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムにおいて、
前記変換手順は、前記物理座標のうち、前記第1のディスプレイと該第1のディスプレイ以外のディスプレイとが並んでいる方向の座標を変換することを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記変換手順は、前記第1のディスプレイのサイズに応じた座標分を、前記第1のディスプレイ以外のディスプレイにおける物理座標に加算することにより前記仮想座標への変換を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記変換手順は、当該装置の縦横の回転による前記アプリケーションが認識する原点に対応する物理座標の移動に応じて、前記物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
タッチパネル機能を具備し、情報となる画像を表示する複数の表示部と、
1つのアプリケーションが前記複数の表示部を跨いで前記画像を表示させている場合、前記表示部が接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する座標変換部と、
1つのアプリケーションが前記複数の表示部のうち1つの表示部に前記画像を表示させている場合、前記表示部が接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知し、1つのアプリケーションが前記複数の表示部を跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知する座標通知部とを有する表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記座標変換部は、前記複数の表示部のうち、前記アプリケーションが認識する原点の座標を含む第1の表示部以外の表示部における物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記座標変換部は、前記物理座標のうち、前記第1の表示部と該第1の表示部以外の表示部とが並んでいる方向の座標を変換することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記座標変換部は、前記第1の表示部のサイズに応じた座標分を、前記第1の表示部以外の表示部における物理座標に加算することにより前記仮想座標への変換を行うことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置において、
前記座標変換部は、当該表示装置の縦横の回転による前記アプリケーションが認識する原点に対応する物理座標の移動に応じて、前記物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
タッチパネル機能を持った複数のディスプレイを具備した装置における座標通知方法であって、
前記複数のディスプレイに対する接触を感知するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させているかどうかを判断するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する変換ステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイのうち1つのディスプレイに前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知するステップと、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知するステップとを行う座標通知方法。
【請求項7】
請求項6に記載の座標通知方法において、
前記変換ステップは、前記複数のディスプレイのうち、前記アプリケーションが認識する原点の座標を含む第1のディスプレイ以外のディスプレイにおける物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とする座標通知方法。
【請求項8】
請求項7に記載の座標通知方法において、
前記変換ステップは、前記物理座標のうち、前記第1のディスプレイと該第1のディスプレイ以外のディスプレイとが並んでいる方向の座標を変換することを特徴とする座標通知方法。
【請求項9】
請求項8に記載の座標通知方法において、
前記変換ステップは、前記第1のディスプレイのサイズに応じた座標分を、前記第1のディスプレイ以外のディスプレイにおける物理座標に加算することにより前記仮想座標への変換を行うことを特徴とする座標通知方法。
【請求項10】
請求項6に記載の座標通知方法において、
前記変換ステップは、当該装置の縦横の回転による前記アプリケーションが認識する原点に対応する物理座標の移動に応じて、前記物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とする座標通知方法。
【請求項11】
タッチパネル機能を持ち、情報となる画像を表示する複数のディスプレイを搭載した装置に、
前記複数のディスプレイに対する接触を感知する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させているかどうかを判断する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した位置を示す物理座標を所定の演算を用いて仮想座標へ変換する変換手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイのうち1つのディスプレイに前記画像を表示させている場合、前記接触を感知した物理座標を該アプリケーションへ通知する手順と、
1つのアプリケーションが前記複数のディスプレイを跨いで前記画像を表示させている場合、前記仮想座標を該アプリケーションへ通知する手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記変換手順は、前記複数のディスプレイのうち、前記アプリケーションが認識する原点の座標を含む第1のディスプレイ以外のディスプレイにおける物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムにおいて、
前記変換手順は、前記物理座標のうち、前記第1のディスプレイと該第1のディスプレイ以外のディスプレイとが並んでいる方向の座標を変換することを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記変換手順は、前記第1のディスプレイのサイズに応じた座標分を、前記第1のディスプレイ以外のディスプレイにおける物理座標に加算することにより前記仮想座標への変換を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記変換手順は、当該装置の縦横の回転による前記アプリケーションが認識する原点に対応する物理座標の移動に応じて、前記物理座標を前記仮想座標へ変換することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−68942(P2012−68942A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213794(P2010−213794)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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