説明

表示装置、携帯端末、表示装置の制御方法およびプログラム

【課題】印刷データのデータ量によらず、適切にプレビュー表示を行うことができる表示装置、携帯端末、表示装置の制御方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】印刷テープT上に画像を印刷するための印刷データをプレビュー表示する表示装置であって、印刷データをN分割して、N個の分割データ(但し、N≧1となる整数、111〜115)を生成する分割データ生成部41と、N個の分割データのうち、プレビュー表示の対象領域E6を含む対象分割データをワークエリアに展開し、当該ワークエリアから対象分割データを読み出すことにより、プレビュー表示を行うプレビュー表示部43と、を備え、分割データ生成部41は、テープのテープ幅、および印刷データを印刷した場合のテープ長に応じて、Nの値を決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ上に画像を印刷するための印刷データをプレビュー表示する表示装置、携帯端末、表示装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の表示装置として、作成されるラベルの全体に相当する印刷データ(ラベルイメージ)を部分的にスクロールさせながらプレビュー表示するテープ印刷装置が知られている(特許文献1参照)。このようなプレビュー表示は、ラベルに印刷される実際の印刷結果をユーザーに提示するために行われる。よって、この種のテープ印刷装置は、一般的に、実際に作成されるラベルに即したサイズの印刷データを装置のワークエリアに展開し、当該ラベルデータの一部分をプレビュー表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−039893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、スマートフォンやタブレット等の携帯端末に、ラベル作成用のアプリケーションを起動させて、印刷データ作成装置として機能させることが検討されている。かかる際、従来の構成を適用し、上記のプレビュー表示を行いながら、印刷データを作成することが考えられる。
しかしながら、従来の構成では、作成するラベルが大きくなるにつれて、プレビュー表示のためにワークエリアに展開する印刷データのデータ量が増大する。よって、印刷データのデータ量が携帯端末のワークエリアの容量をオーバーすると、プレビュー表示が不能となる可能性がある。
【0005】
本発明は、印刷データのデータ量によらず、適切にプレビュー表示を行うことができる表示装置、携帯端末、表示装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、テープ上に画像を印刷するための印刷データをプレビュー表示する表示装置であって、印刷データをN分割して、N個の分割データ(但し、N≧1となる整数)を生成する分割データ生成部と、N個の分割データのうち、プレビュー表示の対象領域を含む対象分割データをワークエリアに展開し、当該ワークエリアから順次分割データを読み出すことにより、プレビュー表示を行うプレビュー表示部と、を備え、分割データ生成部は、テープのテープ幅、および印刷データを印刷した場合のテープ長に応じて、Nの値を決定することを特徴とする。
【0007】
本発明の表示装置の制御方法は、テープ上に画像を印刷するための印刷データをプレビュー表示する表示装置の制御方法であって、表示装置が、印刷データをN分割して、N個の分割データ(但し、N≧1となる整数)を生成する分割データ生成ステップと、N個の分割データのうち、プレビュー表示の対象領域を含む対象分割データをワークエリアに展開し、当該ワークエリアから順次分割データを読み出すことにより、プレビュー表示を行うプレビュー表示ステップと、を実行し、分割データ生成ステップにおいて、表示装置は、テープのテープ幅、および印刷データを印刷した場合のテープ長に応じて、Nの値を決定することを特徴とする。
【0008】
本発明のプログラムは、コンピューターに上記の表示装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、印刷データを分割し、プレビュー表示の対象領域を含む対象分割データのみをワークエリアに展開するため、ワークエリアに展開するデータ量を抑えることができる。よって、印刷データの全体のデータ量がワークエリアの容量を超える場合であっても、メモリー不足となってプレビュー表示が不能となることがない。なお、プレビュー表示部(プレビュー表示ステップ)は、プレビュー表示の対象領域が複数の分割データに亘る場合、当該複数の分割データをワークエリアに展開する。
【0010】
この場合、プレビュー表示部は、N個の分割データのうち、プレビュー表示の対象領域を含む対象分割データと、当該対象分割データに隣接する隣接分割データをワークエリアに展開し、当該ワークエリアから順次分割データを読み出すことにより、プレビュー表示を行うことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、プレビュー表示の対象領域を含む対象分割データに加えて、これに隣接する隣接分割データをワークエリアに展開させておくため、ワークエリアに展開するデータ量を抑えつつも、プレビュー表示の対象領域を隣り合う複数の分割データの間でスムーズに移動させることができる。
【0012】
これらの場合、分割データ生成部は、印刷データをテープ長方向にN分割して、N個の分割データを生成することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、テープ長の長いテープ上に印刷される印刷結果を適切にプレビュー表示することができる。
【0014】
この場合、分割データ生成部は、各分割データをテープに印刷した場合の各部分テープ長が略均等となるように、各分割データを分割することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、分割データごとにプレビュー表示する場合、プレビュー表示されるデータの長さを均等にすることができる。また、プレビュー表示の対象領域が異なる分割データに移動しても、ワークエリアに展開するデータ量を均等にすることができる。
【0016】
上記の表示装置において、プレビュー表示をスクロールさせるためのフリック操作部をさらに備えていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、ユーザーの操作によって、プレビュー表示の対象領域を移動させることができる。
【0018】
上記の表示装置において、分割データ生成部は、印刷データにキャラクターが含まれる場合、1のキャラクターが2以上の分割データに分割されないように、各分割データの分割位置を設定することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、複数の分割データの境界に1つのキャラクターが存在し、キャラクターの一部のみがプレビュー表示されるのを防ぐことができる。
【0020】
本発明の携帯端末は、上記の表示装置と、印刷データを生成する印刷データ生成部と、印刷データを、テープ印刷装置に送信する印刷データ送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、ワークエリアに展開するデータ量を抑え適切に印刷データのプレビュー表示を行うことのできる印刷データ作成装置として機能する携帯端末を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムのシステム構成図である。
【図2】携帯端末の制御ブロック図である。
【図3】携帯端末の機能ブロック図である。
【図4】編集画面を示した図である。
【図5】プレビュー表示画面を示した図である。
【図6】印刷データの分割について説明した図である。
【図7】プレビュー表示画面の画面遷移およびRAMに展開される分割イメージデータを示した図である。
【図8】プレビュー表示処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明の表示装置、携帯端末、表示装置の制御方法およびプログラムについて説明する。本実施形態では、表示装置として機能する携帯端末と、テープ印刷装置とにより構成される印刷システムを例に挙げて説明する。
【0024】
図1に示すように、印刷システム1は、印刷データ生成用のアプリケーションを搭載した携帯端末2と、携帯端末2上で生成した印刷データを印刷テープTに印刷するテープ印刷装置3と、無線LAN(Local Area Network)ルーター4とにより構成されている。このうち、携帯端末2と無線LANルーター4とは無線接続され、無線LANルーター4とテープ印刷装置3とはケーブル5により有線接続されている。なお、印刷システム1が、複数の携帯端末2を備えている場合には、複数の携帯端末2により単一のテープ印刷装置3を共有使用可能に構成している。
【0025】
携帯端末2は、タッチパネル12を備えたタブレット端末である。そして、携帯端末2に、印刷データ生成用のアプリケーションをインストールし、これを起動させることで、当該携帯端末2が、印刷データを生成する印刷データ生成装置として機能する。
【0026】
テープ印刷装置3は、長尺状の印刷テープTを繰り出し可能に収容したテープカートリッジ16を装着しており、印刷テープTを繰り出しつつ、携帯端末2から受信した印刷データに基づいて、印刷処理および切断処理を行って、ラベルを作成する。
【0027】
図2は、携帯端末2の制御ブロック図である。図2に示すように、携帯端末2は、ユーザーインターフェースである上記タッチパネル12と、無線LANルーター4を介してテープ印刷装置3との通信を行う無線通信装置13と、これらを制御する制御装置21と、各種データを記憶するフラッシュROM(Flash Read Only Memory)22と、を備えている。タッチパネル12は、印刷データを生成するための編集画面D1や印刷結果をプレビュー表示するためのプレビュー表示画面D2を表示する。
【0028】
制御装置21は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32およびRAM(Random Access Memory)33から成る。CPU31は、中央処理装置であり、各種演算処理を行う。ROM32は、CPU31が各種演算処理を行うための制御プログラムを記憶し、RAM33は、CPU31が各種演算処理を行う際のワークエリアとして用いられる。また、RAM33は、プレビュー表示するためのデータを一時的に展開するワークエリアとして用いられる。フラッシュROM22は、テープ印刷装置3に関する各種データを記憶すると共に、印刷データ生成用のアプリケーションを記憶している。なお、生成した印刷データやプレビュー表示や印刷のために生成されたイメージデータも、フラッシュROM22に保存される。
【0029】
ここで、図3を参照し、携帯端末2の機能構成について説明する。図3に示すように、携帯端末2は、印刷データ生成部41、分割データ生成部42、プレビュー表示部43、フリック操作部44、および印刷データ送信部45を備えている。
【0030】
印刷データ生成部41は、印刷テープTに印刷を行うための印刷データを生成する。印刷データは、編集画面D1の結果に基づいて生成される。分割データ生成部42は、プレビュー表示のために、生成された印刷データおよび設定されたテープ幅に基づいて、印刷実寸大の印刷イメージデータAを生成する。印刷イメージデータAは、プレビュー表示画面D2の画素数に応じた印刷実寸大のビットマップデータ(画像データ)である。そして、印刷イメージデータAを分割し、分割イメージデータB(111〜115)を生成する(図6参照)。すなわち、分割イメージデータBは、印刷イメージデータAが複数に分割されたビットマップデータ(画像データ)である。なお、請求項における「印刷データ」とは、印刷イメージデータAをさし、「分割データ」とは、分割イメージデータBをさす。
【0031】
プレビュー表示部43は、生成された印刷イメージデータAをRAM33に展開し、プレビュー表示画面D2に印刷結果をプレビュー表示する。なお、プレビュー表示部43は、印刷イメージデータAを分割した分割イメージデータBごとにRAM33に展開し、RAM33から分割イメージデータB(111〜115)を順次読み出すことによりプレビュー表示画面D2に印刷結果をプレビュー表示する。詳しくは後述するが、本実施形態において、プレビュー表示部43は、印刷イメージデータAのうち、プレビュー表示画面D2のプレビュー表示領域E5と同一面積を有する対象領域E6(プレビュー表示の対象領域)を含む分割イメージデータBと、これに隣接する分割イメージデータBと、をRAM33に展開し、対象領域E6の変化に伴ってRAM33から分割イメージデータBを順次読み出して、プレビュー表示を行う。なお、印刷イメージデータAの分割(分割イメージデータBの生成)は、印刷イメージデータAのデータ量がRAM33の容量Xを超えた場合に行われる。これにより、プレビュー表示のために展開するデータ量を抑えることができるため、RAM33のメモリー不足によってプレビュー表示不能となることがない。
【0032】
フリック操作部44は、タッチパネル12を主要部とし、プレビュー表示画面D2上でプレビュー表示をスクロールするための操作手段である。印刷データ送信部45は、無線通信装置13を主要部とし、編集画面D1により編集した印刷データを、テープ印刷装置3に送信する。
【0033】
次に、図4および図5を参照し、編集画面D1およびプレビュー表示画面D2の画面構成について説明する。図4に示すように、編集画面D1は、編集結果表示領域E1、メニュー表示領域E2、ステータス表示領域E3および操作ボタン表示領域E4を有している。
【0034】
編集結果表示領域E1は、印刷テープTのイメージであるテープイメージ上に、編集中の印刷データを重畳して表示する。また、フリック操作(タッチパネル12上を指で軽くはらう操作)によって、テープ長方向へのスクロール表示が可能となっている。なお、編集結果表示領域E1では、携帯端末2で設定されたテープ幅またはテープ印刷装置3に実際に装着されている印刷テープTのテープ幅にかかわらず、表示されるテープイメージのテープ幅は、固定の長さとなる。つまり、編集結果表示領域E1は、実際の印刷結果を縮小(または拡大)した印刷データを表示する。すなわち、編集結果表示領域E1は、印刷結果のレイアウトや編集内容を確認するために用いられる。
【0035】
メニュー表示領域E2は、テープ長設定メニュー51、テープ幅設定メニュー52、文字サイズ設定メニュー53およびイメージ設定メニュー54を含む。テープ長設定メニュー51は、作成されるラベルのテープ長を印刷データに応じて自動設定する自動設定ボタンと、作成されるラベルのテープ長をユーザーが手動設定する固定設定ボタンと、手動設定の際にテープ長を入力するテキストボックスと、を有している。テープ長を手動設定したい場合、ユーザーは固定設定ボタンを選択し、その後テキストボックスにテープ長をmm単位で数値入力する。携帯端末2は、テープ長が手動設定されると、設定されたテープ長となるように印刷データを編集する。
【0036】
テープ幅設定メニュー52は、印刷テープTのテープ幅を、「100mm」、「50mm」、「36mm」、「24mm」、「18mm」、「12mm」の中から選択可能となっている。なお、テープ印刷装置3に実際に装着されている印刷テープTのテープ幅と、テープ幅設定メニュー52設定されたテープ幅とが異なる場合、印刷指示時(後述する「印刷ボタン」59の押下時)にポップアップ画面が表示される。特に図示しないが、ポップアップ画面には、「テープ幅を合わせて印刷」、「テープを交換して印刷」、「キャンセル」の3つの選択肢が表示される。ここで「テープ幅を合わせて印刷」が選択されると、テープ印刷装置3に装着されている印刷テープTのテープ幅に合わせて印刷データを編集し(拡大/縮小処理を行い)、印刷データをテープ印刷装置3に送信する。また、「テープを交換して印刷」が選択されると、テープ印刷装置3のテープカートリッジ21の交換を検出し、装着された印刷テープTのテープ幅と設定されたテープ幅とが一致したと判定した場合、印刷データをテープ印刷装置3に送信する。また、「キャンセル」が選択されると、ポップアップ画面を非表示にする。
【0037】
文字サイズ設定メニュー53は、文字(テキスト)の文字サイズを、「大」、「中」、「小」の中から選択可能となっている。なお、これら「大」、「中」、「小」は、印刷テープTに対する相対的なサイズであるため、絶対的なフォントサイズを指定するものではない。
【0038】
イメージ設定メニュー54は、イメージ(画像データ)の挿入位置を、「なし」、「左」、「全体」、「右」の中から選択可能となっている。ここで、「左」が選択されると、ラベルに対しイメージを左寄せの配置とする(テープ前端側にイメージを配置する)。また、「右」が選択されると、ラベルに対しイメージを右寄せの配置とする(テープ後端側にイメージを配置する)。さらに、「全体」が選択されると、テープ幅方向にイメージを拡大し、ラベル全体にイメージを配置する。
【0039】
ステータス表示領域E3は、テープ印刷装置3のステータス情報を表示する。本実施形態の携帯端末2は、テープ印刷装置3に対し定期的にステータス送信要求を行い、テープ印刷装置3はこれに対してステータス情報を返信する。なお、ステータス情報としては、テープ印刷装置3の機種名、テープ幅、テープ印刷装置3の状態を示す情報(各種エラー情報を含む)を表示する。このうち、テープ幅は、テープ印刷装置3のテープ識別センサー(図示省略)の検出結果に基づく情報である。
【0040】
操作ボタン表示領域E4は、「開く」ボタン55、「保存」ボタン56、「拡張設定」ボタン57、「プレビュー」ボタン58、「印刷」ボタン59を有している。携帯端末2は、「開く」ボタン55が選択されると、保存しておいた印刷データファイルを開く。また、「保存」ボタン56が選択されると、生成した印刷データを、印刷データファイルとして保存する。また、「拡張設定」ボタン57が選択されると拡張設定画面を表示する。特に図示しないが、拡張設定画面には、イメージ選択ボタンおよびQRコード作成ボタンが表示される。ここで、イメージ選択ボタンが選択されると、イメージ一覧の中から所望のイメージを選択するイメージ選択画面を表示する。また、QRコード作成ボタンが選択されると、QRコードを作成するためのQRコード作成画面を表示する。
【0041】
一方、操作ボタン表示領域E4の中から「プレビュー」ボタン58が選択されると、プレビュー表示画面D2(図5参照)を表示する。また、「印刷」ボタン59が選択されると、テープ印刷装置3に対し印刷データを送信する。なお、「印刷」ボタン59は、印刷データが確定した状態のみ、押下可能となっている。
【0042】
図5は、プレビュー表示画面D2を示す図である。プレビュー表示画面D2は、テープ幅設定メニュー52で設定されたテープ幅に応じて、実寸大でプレビュー表示を行うプレビュー表示領域E5を備えている。図5の例では、テープ幅が100mmに設定されているため、プレビュー表示のテープイメージの幅も100mmとなる。このように実寸大でプレビュー表示を行うため、実際にラベルを貼付する場所に携帯端末2のタッチパネル12を置いて、ラベルの貼付イメージを確認することができる。なお、プレビュー表示画面D2では、ユーザーのフリック操作によって、2次元方向のスクロール表示が可能となっている。また、プレビュー表示画面D2の画面右下に表示されるクローズボタン61が選択されると、編集画面D1に戻る。
【0043】
ここで、図6を参照し、分割イメージデータBの生成について説明する。なお、以下の説明において、印刷イメージデータAをテープ長方向に分割して、分割イメージデータBを生成する場合を例示する。図6(a)および(b)に示すように、印刷イメージデータAは、幅が100mm、テープ長が750mmであり、印刷実寸大の大きさを有している。図6(a)は、プレビュー表示画面D2に表示される印刷イメージデータAをテープ長方向に5等分割した分割イメージデータB(111〜115)を示している。図示のように、各分割イメージデータBは、テープ長が150mmであり、各分割イメージデータBの面積およびデータ量が均等となるように、印刷イメージデータAが分割されて生成される。
【0044】
一方、図6(b)は、印刷イメージデータA内のキャラクター間において分割した分割イメージデータB(111〜115)を示している。すなわち、2つの分割イメージデータBに1つのキャラクターが分割されないように、印刷イメージデータAの分割位置(図中の点線部分)が設定される。よって、各分割イメージデータBのテープ長は、異なる長さとなる。なお、この分割位置は、2値化されたビットマップデータ(印刷イメージデータA)において、テープ幅方向の少なくとも1列分のドットデータ内に「黒」を示すドットが存在しない部分をキャラクター間として検索し、この「黒」を示すドットが存在しない部分に設定しても良い。または、テキストデータ(印刷データに含まれる)のテキスト間からビットマップデータにおけるキャラクター間を算出し、当該キャラクター間に設定しても良い。
【0045】
図7は、プレビュー表示の画面遷移およびRAM33に展開される分割イメージデータBについて示した図である。なお、図中の斜線部分は、プレビュー表示領域E5と同面積を有したプレビュー表示の対象領域E6を示している。なお、説明のため、対象領域E6をプレビュー表示領域E5としたときのプレビュー表示画面D2を2点差線で囲んで表示している。
【0046】
図7(a)に示すように、対象領域E6が分割イメージデータ111内にある場合、RAM33には、対象領域E6を含む分割イメージデータ111(対象分割イメージデータ)、およびこれに隣接する分割イメージデータ112(隣接分割イメージデータ)が展開される。図7(b)に示すように、対象領域E6が分割イメージデータ111および分割イメージデータ112に亘るように移動すると、RAM33には、展開されていた分割イメージデータ111,112に加えて、隣接する分割イメージデータ113が新たに展開される。これは、対象領域E6を含む分割イメージデータ111,112が対象分割イメージデータとして、これに隣接する分割イメージデータ113が隣接分割イメージデータとして、RAM33に展開されるからである。図7(c)に示すように、対象領域E6が、分割イメージデータ112内に移動すると、対象領域E6を含む分割イメージデータ112が対象分割イメージデータとして、これに隣接する分割イメージデータ111,113が隣接分割イメージデータとして、RAM33に展開されるが、図7(b)における展開内容と変わらない。図7(d)に示すように、対象領域E6が分割イメージデータ112および分割イメージデータ113に亘るように移動すると、RAM33には、展開されていた分割イメージデータ111,112,113に加えて、隣接する分割イメージデータ114が新たに展開される。これは、対象領域E6を含む分割イメージデータ113,114が対象分割イメージデータとして、これに隣接する分割イメージデータ111,114が隣接分割イメージデータとして、RAM33に展開されるからである。図7(e)〜(≡)に示すように、対象領域E6の移動に伴って、RAM33に展開される分割イメージデータB(111〜115)は変化していく。なお、請求項における「対象分割データ」とは、対象分割イメージデータをさし、「隣接分割データ」とは、隣接分割イメージデータをさす。
【0047】
なお、図7に示すように、印刷イメージデータAをテープ長方向にのみ分割して分割イメージデータBを生成する場合、RAM33に展開される分割イメージデータBの最高個数は、4個となる(図7(d)および(f)参照)。よって、印刷イメージデータAの容量がRAM33の容量Xをオーバーして分割イメージデータBを生成する場合、RAM33に展開される4個の分割イメージデータBの合計容量がRAM33の容量Xを超えるとプレビュー表示不能となるため、1つの分割イメージデータBの容量がX/4未満となるように、且つ5個以上の分割イメージデータBに分割することが望ましい。なお、生成される分割イメージデータBの個数(5個以上)は、テープ幅およびテープ長に応じて決まる印刷イメージデータのデータ量に応じて、決定される。
【0048】
次に、図8のフローチャートを参照し、携帯端末2のプレビュー表示処理について説明する。先ず、携帯端末2は、「プレビュー」ボタンの押下信号を受信すると(S01)、印刷データおよびテープ幅の設定から印刷イメージデータAを生成し、印刷イメージデータAの容量がRAM33の容量Xを超えるか否かを判定する(S02)。印刷イメージデータAの容量がRAM33の容量Xを超える場合(S02:Yes)、印刷イメージデータAを、1つの分割イメージデータBの容量がX/4未満となるように、5つ以上の分割イメージデータBに分割する(S03)。そして、各分割イメージデータBをフラッシュROMにファイル保存する(S04)。そして、プレビュー表示の対象領域E6を含む対象分割イメージデータBと、対象分割イメージデータBに隣接する隣接分割イメージデータBと、をRAMに展開する(S05)。そして、対象分割イメージデータBプをプレビュー表示領域E5にプレビュー表示する(S06)。その後、ユーザーのフリック操作に基づいて、対象分割イメージデータBが変化する旨の操作信号を受信すると(S07:Yes)、S05〜S06のフローを繰り返す。一方、対象分割イメージデータBが変化する旨の操作信号を受信しない場合(S07:No)、S08に移行する。クローズボタンの押下信号を受信すると(S08)、プレビュー表示を終了する(S09)。
【0049】
一方、印刷イメージデータAの容量がRAM33の容量Xを超えない場合(S02:No)、印刷イメージデータAを分割せずにフラッシュROMにファイル保存する(S10)。そして、印刷イメージデータAをRAMに展開し(S11)、印刷イメージデータAプをプレビュー表示領域E5にプレビュー表示する(S12)。以下、S08およびS09のフローを実行する。
【0050】
これまで説明した構成によれば、プレビュー表示のための印刷イメージデータAの容量が、RAM33の容量をオーバーする場合、印刷イメージデータAを分割し、プレビュー表示時に、プレビュー表示の対象領域E6を含む対象分割イメージデータBとこれに隣接する隣接分割イメージデータBを展開するため、展開するデータ量を抑えつつも、サイズの大きい印刷イメージデータAをプレビュー表示することができる。また、隣接分割イメージデータBを予め展開させておくため、プレビュー表示の対象領域E6を隣り合う複数の分割データの間でスムーズに移動させることができる。
【0051】
上記の説明では、印刷イメージデータAをテープ長方向にのみ分割して分割イメージデータBを生成する場合を例示したが、印刷イメージデータAをテープ幅方向に分割して分割イメージデータBを生成しても良い。さらに、テープ長方向およびテープ幅方向に分割して分割イメージデータBを生成しても良い。これによれば、テープ幅方向に長い印刷イメージデータAをプレビュー表示する場合や、プレビュー表示画面D2にプレビュー表示可能な領域のテープ幅方向の長さが、印刷イメージデータAのテープ幅方向の長さよりも小さい場合に、より均等なデータ量となるように適切に分割イメージデータBを生成することができる。
【0052】
なお、上記の実施形態において、プレビュー表示の対象領域E6を含む対象分割イメージデータBと共に、隣接する隣接分割イメージデータBをRAM33に展開したが、対象分割イメージデータBのみRAM33に展開する構成としてもよい。これによれば、RAM33に展開する分割イメージデータBの個数を減らすことができる。
【0053】
なお、上記の各実施形態に示した、印刷システム1の各構成要素をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0054】
また、上述した実施例によらず、印刷システム1の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【符号の説明】
【0055】
2:携帯端末 3:テープ印刷装置 12:タッチパネル 13:無線通信装置 22:フラッシュROM 31:CPU 32:ROM 33:RAM 41:印刷データ生成部 42:分割データ生成部 43:プレビュー表示部 44:フリック操作部 45:印刷データ送信部 58:「プレビュー」ボタン A:印刷イメージデータ B:分割イメージデータ D2:プレビュー表示画面 E5:プレビュー表示領域 E6:対象領域 T:印刷テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ上に画像を印刷するための印刷データをプレビュー表示する表示装置であって、
前記印刷データをN分割して、N個の分割データ(但し、N≧1となる整数)を生成する分割データ生成部と、
前記N個の分割データのうち、前記プレビュー表示の対象領域を含む対象分割データをワークエリアに展開し、当該ワークエリアから順次分割データを読み出すことにより、前記プレビュー表示を行うプレビュー表示部と、を備え、
前記分割データ生成部は、前記テープのテープ幅、および前記印刷データを印刷した場合のテープ長に応じて、前記Nの値を決定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記プレビュー表示部は、前記N個の分割データのうち、前記プレビュー表示の対象領域を含む対象分割データと、当該対象分割データに隣接する隣接分割データをワークエリアに展開し、当該ワークエリアから順次分割データを読み出すことにより、前記プレビュー表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記分割データ生成部は、前記印刷データをテープ長方向にN分割して、N個の分割データを生成することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記分割データ生成部は、各分割データを前記テープに印刷した場合の各部分テープ長が略均等となるように、各分割データを分割することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記プレビュー表示をスクロールさせるためのフリック操作部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記分割データ生成部は、前記印刷データにキャラクターが含まれる場合、1のキャラクターが2以上の前記分割データに分割されないように、各分割データの分割位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の表示装置と、
前記印刷データを生成する印刷データ生成部と、
前記印刷データを、テープ印刷装置に送信する印刷データ送信部と、を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
テープ上に画像を印刷するための印刷データをプレビュー表示する表示装置の制御方法であって、
前記表示装置が、
前記印刷データをN分割して、N個の分割データ(但し、N≧1となる整数)を生成する分割データ生成ステップと、
前記N個の分割データのうち、前記プレビュー表示の対象領域を含む対象分割データをワークエリアに展開し、当該ワークエリアから順次分割データを読み出すことにより、前記プレビュー表示を行うプレビュー表示ステップと、を実行し、
前記分割データ生成ステップにおいて、前記表示装置は、前記テープのテープ幅、および前記印刷データを印刷した場合のテープ長に応じて、前記Nの値を決定することを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項9】
コンピューターに請求項8に記載の表示装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−15951(P2013−15951A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147119(P2011−147119)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】