説明

表示装置、駆動方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】バックライトからの光が白色の画素を通してそのまま通過した結果、白色の画素を通過した光の色の影響によって液晶パネルに表示すべき光の色相が変わる問題を防止できる表示装置、駆動方法、コンピュータプログラム及び該コンピュータプログラムが記録された記録媒体を提供する。
【解決手段】複数の色成分を有するバックライトが白光を発する場合を想定して液晶パネル11を通過する光の色を特定するRGB値を求め、該RGB値に基づき、液晶パネル11の透過率に係る第1RGB値を算出し、該第1RGB値に基づき、液晶パネル11を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の色成分を有するバックライトと、液晶表示部とを備える表示装置、並びに該表示装置に係る駆動方法、コンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルの透過率を向上させて、バックライトの輝度を効率よく使用するために、従来のRGBの3原色以外に白色(W)画素を追加した表示装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、RGBフィルタに透明フィルタ(W)を付加したRGBW型液晶装置であって、入力されたオリジナル画像の赤色成分、緑色成分及び青色成分に、輝度向上のための白色成分を加えた後、さらにこれらの白色成分付加後の赤色成分、緑色成分及び青色成分の比率をオリジナル画像の赤色成分、緑色成分及び青色成分の比率に換算して、各RGBW画素を駆動する液晶表示装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2においては、1画素が、赤、緑、青、及び白の4サブピクセルに分割された液晶パネルと、発光輝度を制御可能なバックライトとを備え、液晶パネルのみならず、カラーフィルタによって吸収される光量を減らし、消費電力のさらなる削減を達成できる透過型液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−147666号公報
【特許文献2】特開2008−139809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、複数の色成分(例えば、RGB)からなるバックライトを備える表示装置においては、表示すべき画像に応じて、換言すれば、当該液晶パネルのカラーフィルタを通して表示すべき光の色に応じて、前記バックライトの各色成分を独立に制御しているので、その都度、該バックライトが発する色が異なる。従って、複数の色成分からなるバックライトと、白色の画素を有する液晶パネルとを備える表示装置においては、本来に表示すべき光の色が表示できないという問題があった。
【0007】
詳しくは、実際、白色の画素とは、透明のカラーフィルタが付けられ、又はカラーフィルタが付けられていないものであり、バックライトからの光がそのまま通過する。その結果、白色の画素を通過した光が所定の色を有する場合は、該色の影響によって、液晶パネルに表示すべき光の色相が変わってしまう問題である。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1及び2の液晶表示装置は、何れにおいても、バックライトが白光であることを前提としているため、複数の色成分からなるバックライトにおける、上述した問題には対応できない。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の色成分を有し、白色又は他の色の光を発するバックライトと、液晶表示部とを備える表示装置において、前記バックライトが白光を発する場合を仮定して前記液晶表示部を通過する光の色を特定するRGB値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第1RGB値を算出し、該第1RGB値に基づき、前記液晶表示部を駆動することにより、バックライトからの光が白色の画素を通してそのまま通過した結果、白色の画素を通過した光の色の影響によって液晶パネルに表示すべき光の色相が変わる問題を防止できる表示装置、駆動方法、コンピュータプログラム及び該コンピュータプログラムが記録された記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る表示装置は、複数の色成分を有し、白色又は他の色の光を発するバックライトと、液晶表示部とを備える表示装置において、前記バックライトが白光を発する場合を仮定して前記液晶表示部を通過する光の色を特定する特定RGB値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第1RGB値を算出する算出手段と、前記第1RGB値に基づき、前記液晶表示部を駆動する液晶駆動部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、前記バックライトが所定の色の光を発する際、前記算出手段が、前記バックライトが白光を発すると想定した場合における、前記液晶表示部を通過する光の色を特定する特定RGB値を求め、該特定RGB値に基づいて前記第1RGB値を算出し、前記液晶駆動部は該第1RGB値に基づき、前記液晶表示部を駆動する。
【0012】
本発明に係る表示装置は、前記液晶表示部はRGBW画素を有し、前記算出手段は、表示すべき画像の階調値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及び前記バックライトの駆動に係る第3RGB値を算出するRGB算出手段と、表示すべき画像の階調値の中の最小値を該階調値の夫々に加算して、前記特定RGB値を算出する特定値算出手段と、前記第2RGB値の中のW画素に係る値及び前記第3RGB値の乗算を行う乗算手段と、前記特定値算出手段によって算出された特定RGB値から、前記乗算手段による乗算の結果を減算する減算手段とを備え、該減算手段による減算の結果を、前記第3RGB値にて除算することにより、前記第1RGB値を算出するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、前記RGB算出手段が、表示すべき画像の階調値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及び前記バックライトの駆動に係る第3RGB値を算出し、前記特定値算出手段が、表示すべき画像の階調値の中の最小値を該階調値の夫々に加算して、前記特定RGB値を算出する。また、前記乗算手段が前記第2RGB値の中のW画素に係る値及び前記第3RGB値の乗算を行い、前記減算手段が、前記特定値算出手段によって算出された特定RGB値から、前記乗算手段による乗算の結果を減算する。これによって得られる結果が前記第3RGB値にて除算されることにより、前記第1RGB値が算出される。
【0014】
本発明に係る駆動方法は、複数の色成分を有し、白色又は他の色の光を発するバックライトと、RGBW画素を有する液晶表示部とを備える表示装置にて、該液晶表示部を駆動する駆動方法において、前記バックライトが白光を発する場合を仮定して前記液晶表示部を通過する光の色を特定する特定RGB値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第1RGB値を算出するステップと、前記第1RGB値に基づき、前記液晶表示部を駆動するステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコンピュータプログラムは、複数の色成分を有し、白色又は他の色の光を発するバックライトと、RGBW画素を有する液晶表示部とを制御するコンピュータに、該液晶表示部を駆動させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記バックライトが白光を発する場合を仮定して前記液晶表示部を通過する光の色を特定する特定RGB値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第1RGB値を算出させるステップと、コンピュータに、前記第1RGB値に基づき、前記液晶表示部を駆動させるステップとを実行させることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、前記バックライトが所定の色の光を発する際、該バックライトが白光を発すると想定した場合における、前記液晶表示部を通過する光の色を特定する特定RGB値が求められ、該特定RGB値に基づいて前記第1RGB値が算出され、該第1RGB値に基づき、前記液晶表示部が駆動される。
【0017】
本発明に係る駆動方法は、表示すべき画像の階調値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及び前記バックライトの駆動に係る第3RGB値を算出するRGB算出ステップと、表示すべき画像の階調値の中の最小値を該階調値の夫々に加算して、前記特定RGB値を算出する特定値算出ステップと、前記第2RGB値の中のW画素に係る値及び前記第3RGB値の乗算を行う乗算ステップと、前記特定値算出ステップによって算出された特定RGB値から、前記乗算ステップによる乗算の結果を減算する減算ステップと、該減算ステップによる減算の結果を、前記第3RGB値にて除算することにより、前記第1RGB値を算出するステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、表示すべき画像の階調値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及び前記バックライトの駆動に係る第3RGB値を算出させるRGB算出ステップと、コンピュータに、表示すべき画像の階調値の中の最小値を該階調値の夫々に加算して、前記特定RGB値を算出させる特定値算出ステップと、コンピュータに、前記第2RGB値の中のW画素に係る値及び前記第3RGB値の乗算を行わせる乗算ステップと、コンピュータに、前記特定値算出ステップによって算出された特定RGB値から、前記乗算ステップによる乗算の結果を減算させる減算ステップと、コンピュータに、該減算ステップによる減算の結果を、前記第3RGB値にて除算して、前記第1RGB値を算出させるステップとを実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、表示すべき画像の階調値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及び前記バックライトの駆動に係る第3RGB値が算出される。また、表示すべき画像の階調値の中の最小値を該階調値の夫々に加算して、前記特定RGB値が算出される。更に、算出された斯かる特定RGB値から、前記第2RGB値の中のW画素に係る値及び前記第3RGB値の乗算の結果が減算されることによって得られる結果が、前記第3RGB値にて除算されることにより、前記第1RGB値が算出される。
【0020】
本発明に係る記録媒体は、前述の発明のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、前記記録媒体に前述のコンピュータプログラムを記録する。コンピュータが前記記録媒体からコンピュータプログラムを読み出して、前述の表示装置及び駆動方法がコンピュータにより実現される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の色成分を有し、白色又は他の色の光を発するバックライトが白色でない所定の色の光を発する場合、当該光が白色の画素を通してそのまま通過した結果、白色の画素を通過した光の色の影響によって液晶パネルに表示すべき光の色相が変わる問題を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る表示装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1の例における、RGB色分及びW色分の割合を表すグラフである。
【図3】バックライトが白光を発する場合における、RGB色分及びW色分の割合を表すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態1に係る表示装置のデータ算出部の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る表示装置のデータ補正部によって得られる液晶パネル階調値に基づく表示における、RGB色分及びW色分の割合を表すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る表示装置における、液晶パネル階調値の生成処理を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係る表示装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態に係る、表示装置、駆動方法、及びコンピュータプログラムを、図面に基づいて詳述する。
【0025】
図1は本発明の実施の形態1に係る表示装置1の要部構成を示す機能ブロック図である。表示装置1は画像データ取得部2と、データ処理部3と、表示部10と、ドライバ制御部8と、バックライト駆動部9とを備えている。
【0026】
画像データ取得部2は、例えば、表示しない記憶部から表示部10に表示すべき画像に係るデータ(例えば、RGB値)(以下、画像データと言う。)を取得する。また、これに限るものでなく、表示しないネットワークカード又はモデム等を用いて公衆回線網、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワークに接続して外部から所定の画像データを取得するように構成しても良い。画像データ取得部2はさまざまな入力画像データを切り替えて、データ処理部3に送る。
【0027】
データ処理部3は、RGBデータ処理部4と、データ算出部5と、遅延処理部6と、タイミングコントローラ7(液晶駆動部)とを備えている。
【0028】
RGBデータ処理部4は、入力フォーマットがRGBでないものはRGBデータに変換し、データフォーマットを統一する。
【0029】
データ算出部5は、入力されたデータにさまざまな画像調整処理を施す。詳しくは、データ算出部5は、後述する液晶パネル11の表示に用いられる液晶パネル階調値(第1RGB値)のような液晶パネル用データと、後述するバックライト12の点灯に用いられるバックライト階調値(第3RGB値)のようなバックライト用データを生成する。また、液晶パネル用データに対して、色補正(輝度、彩度、色相の調整)、シャープネス調整、ガンマカーブ及び色温度の変更等を行う。データ算出部5による、液晶パネル階調値及びバックライト階調値の生成については、後で詳しく説明する。
【0030】
データ算出部5によって生成されたバックライト用データ(バックライト階調値)はバックライト駆動部9に送られる。バックライト駆動部9は、該バックライト用データに基づき、バックライト12を点灯させる。すなわち、バックライト駆動部9には、前記バックライト階調値を用いて、バックライト12の後述するLED毎の駆動制御を行う。
【0031】
また、データ算出部5によって生成された液晶パネル用データ(液晶パネル階調値)は、遅延処理部6に送られる。遅延処理部6は、該液晶パネル用データが入力された場合、これを所定時間遅延させ、液晶パネル11の動作タイミングとバックライト12の動作タイミングとを合致させる。
【0032】
タイミングコントローラ7はデータ算出部5によって生成された液晶パネル用データ(液晶パネル階調値)に基づき、ドライバ制御部8を介して、液晶パネル11の各画素の透過率を制御する。
【0033】
ドライバ制御部8は、タイミングコントローラ7からの指示に応じて、液晶パネル11に接続されたソースドライバ及びゲートドライバ(図示せず)を制御し、液晶パネル11を画素単位に駆動させ、所定の画像を表示する。
【0034】
表示部10は、例えば、LCDパネルからなり、所定の画像が表示される。また、表示部10は、液晶パネル11と、該液晶パネル11に光を照射するバックライト12とを備えている。
【0035】
液晶パネル11は、一対の透明基板と、これらの透明基板の間に設けられた液晶層及びカラーフィルタとを備えている。また、液晶パネル11には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)及び白色(W)の4種からなる、複数の画素が設けられており、バックライト12からの光を用いて、文字、画像などを表示する。
【0036】
R画素、G画素及びB画素は、夫々、赤色、緑色及び青色のカラーフィルタを有しており、W画素は、透明のカラーフィルタ又はカラーフィルタを省いた構成である。
【0037】
バックライト12は、図示しない光学シート群と、拡散板と、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の三色の発光ダイオード(LED)の実装基板とを備えている。該LED基板はマトリクス状に設けられている。バックライト12はLED毎の制御を行い、白色又は他の色の光を発する。
【0038】
上述したように、複数の色成分からなるバックライトと、白色の画素を有する液晶パネルとを備える表示装置においては、該バックライトが発する光色が白色でない場合、白色の画素を介して、バックライトの光がそのまま通過するので、本来液晶パネルに表示すべき光の色相が変わってしまう問題である。以下、表示すべき画像の階調値(RGB値)が(1.0/0.8/0.25)である場合を例として、詳しく説明する。
なお、(1.0/0.8/0.25)は、R=1.0、G=0.8、B=0.25であり、RGB階調値が8ビットである場合、各色成分の階調値(0〜255)の比率(255に対する比率)を表している。
【0039】
一般に、液晶パネルを通過する光の色は、該液晶パネルの透過率及びバックライト(LED)の輝度の乗算によって特定できる。また、該液晶パネルの透過率及びバックライトの輝度は、表示すべき画像データの階調値(RGB値)によって決められる。従って、液晶パネルの透過率の決定に係る階調値(液晶パネル階調値)、又はバックライトの輝度の決定に係る階調値(バックライト階調値)を変えることで、当該液晶パネルを通過する光の色を変更することが出来る。
【0040】
従って、表示すべき画像のRGB値が(1.0/0.8/0.25)である場合における、前記液晶パネル階調値及びバックライト階調値は、例えば、以下のようになる。(MAX=1.0)
【0041】
液晶パネル階調値:RGBW=1.0/1.0/0.5/0.5 (過程i)
バックライト階調値:RGB=1.0/0.8/0.5 (過程ii)
ここで、液晶パネル階調値はリニアデータとし、液晶パネル階調値においては、RGB階調値の中の最小値を、W画素に係る階調値とする。
【0042】
この場合、バックライトからは白色でない所定の色の光が発せられるので、実際に液晶パネルを通過した光の色は、白色の画素を通過したバックライトの光の色の影響を受けている。
【0043】
すなわち、液晶パネルのRGBの画素部分を通過した光の色分(以下、RGB色分と言う。)に、液晶パネルのWの画素部分を通過した光の色分(以下、W色分と言う。)を加算した結果が、実際に液晶パネルを通過した光の色のRGB値となる。
【0044】
ここで、RGB色分(R(r)、G(g)、B(b))は、以下のようになり、(過程iii)
R(r):1.0×1.0=1.0
G(g):1.0×0.8=0.8
B(b):0.5×0.5=0.25
【0045】
RGB夫々に対して、前記W色分(W(r)、W(g)、W(b))は、液晶パネル階調値のW画素に係る値と、バックライト階調値との乗算によって決められ、以下のようになるので、(過程iv)
W(r):1.0×0.5=0.5
W(g):0.8×0.5=0.4
W(b):0.5×0.5=0.25
【0046】
過程iiiで得られた値に、過程ivで得られた値を加算した場合、(過程v)
R:1.0+0.5=1.5
G:0.8+0.4=1.2
B:0.25+0.25=0.5
となる。
【0047】
表示すべき画像のRGB値が(1.0/0.8/0.25)であるにも関わらず、実際に液晶パネルを通過した光の色のRGB値は、(1.5/1.2/0.5)であり、たとえ、これを正規化したとしても(1/0.8/0.33)であるので、表示すべき画像と異なる色相の画像が表示されることとなる。
【0048】
図2は本発明の実施の形態1の例における、RGB色分及びW色分の割合を表すグラフである。図2中、ハッチング部分は、RGB色分を表す。図2が示すように、バックライトから白色でない所定の色の光が発せられる場合、白色の画素を通過したバックライトの光の色の影響がRGB毎に異なり、その結果、表示すべき画像の色と異なる色が表示されることが分かる。
【0049】
なお、過程i及び過程iiにおける、液晶パネル階調値及びバックライト階調値は、以上の記載に限るものでない。例えば、液晶パネル階調値が‘RGBW=1.0/1.0/1.0/1.0’であり、バックライト階調値が‘RGB=1.0/0.8/0.25’であっても良く、液晶パネル階調値が‘RGBW=1.0/0.8/0.25/0.25’であり、バックライト階調値が‘RGB=1.0/1.0/1.0’であっても良い。液晶パネル階調値及びバックライト階調値の乗算によって、表示すべき画像のRGB値が得られるようにすればよい。
【0050】
一方、バックライトから白色の光が発せられている場合は、W画素を通過する光の色も白色であり、RGBの夫々に対してW色分を加算しても、色相が変化することはない。
【0051】
例えば、W画素が‘0.5’であり、RGB値が(0.5/0.5/0.5)である白色の光がバックライトから発せられている場合、W色分(W(r)、W(g)、W(b))は、(0.25、0.25、0.25)であるので、これをRGB色分に加算した場合、(過程vi)
R:1.0+0.25=1.25
G:0.8+0.25=1.05
B:0.25+0.25=0.5
となる。
【0052】
図3はバックライトが白光を発する場合における、RGB色分及びW色分の割合を表すグラフである。すなわち、図3には、過程viの結果を表している。図3中、ハッチング部分は、RGB色分を表す。図3が示すように、バックライトから白色の光が発せられる場合、RGBの夫々の輝度が向上するが、色相は保たれていることが分かる。
【0053】
本発明は、これに着目し、バックライトから白色の光が発せられている場合を仮定して、バックライトが発する光の色に応じて、液晶パネル階調値を算出することにより、前記色相の変化の問題を未然に防止するものである。
【0054】
図4は本発明の実施の形態1に係る表示装置1のデータ算出部5の要部構成を示す機能ブロック図である。データ算出部5は、RGB算出部51と、特定値算出部52と、乗算部53と、減算部54と、除算部55とを備えている。以下、図2〜図4を用いて、本発明に係る表示装置1における、データ算出部5の処理を詳しく説明する。なお、説明の便宜上、図2及び図3の説明の場合と同様、表示すべき画像のRGB値が(1.0/0.8/0.25)である場合を例として説明する。
【0055】
本発明に係る表示装置1のデータ算出部5は、表示すべき画像のRGB値に基づき、バックライトから白色の光が発せられている場合と同じ結果となるよう、液晶パネル階調値(第1RGB値)を算出する。
【0056】
まず、RGB算出部51は、RGBデータ処理部4を介して入力される、表示すべき画像のRGB値に基づき、上述の過程i及び過程iiの場合と同様に、液晶パネル階調値(第2RGB値)及びバックライト階調値(第3RGB値)を算出する。
液晶パネル階調値:RGBW=1.0/1.0/0.5/0.5 (過程vii)
バックライト階調値:RGB=1.0/0.8/0.5 (過程viii)
【0057】
また、特定値算出部52は、表示すべき画像のRGB値の中の最小値を、該RGB値夫々に加算することにより、バックライト12が白光を発する場合における、液晶パネル11を通過する光の色を特定するRGB値(特定RGB値)を求める。これは、過程viで得られたものと同一のRGB値となる。(過程ix)
RGB=1.25/1.05/0.5
【0058】
乗算部53は、上述の過程ivと同様に、過程viiで得られた液晶パネル階調値のW画素に係る値と、過程viiiで得られたバックライト階調値との乗算を行い、RGB夫々に対する、前記W色分を求める。(過程x)
W(r):0.5、W(g):0.4、W(b):0.25
【0059】
減算部54は、過程ixにて得られた特定RGB値の夫々の値から、過程xにて得られたW色分を引く。(過程xi) すなわち、ここでは、バックライト12が白光を発する場合における、液晶パネル11を通過する光のRGB値の内、RGB色分が得られる。
R(r):1.25−0.5=0.75
G(g):1.05−0.4=0.65
B(b):0.5−0.25=0.5
【0060】
一方、上述したように、液晶パネル階調値及びバックライト階調値の乗算によって、表示すべき画像のRGB値が決められるので、バックライト階調値が過程viiiで得られた値である場合は、該バックライト階調値にて、過程xiで得られたRGB色分を割ることにより、対応する液晶パネル階調値を得ることが出来る。
【0061】
除算部55は、過程xiで得られたRGB色分を、過程viiiで得られたバックライト階調値にて除算する。(過程xii)
液晶パネル階調値:R=0.75÷1.0=0.75
液晶パネル階調値:G=0.65÷0.8=0.8125
液晶パネル階調値:B=0.25÷0.5=0.5
液晶パネル階調値:W=0.5 (最小値)
【0062】
過程viiでRGB算出部51によって得られた液晶パネル階調値は、過程xiiで除算部55の除算によって得られた液晶パネル階調値(第1RGB値)に置き換えられる。
【0063】
以降、バックライト駆動部9は、過程viiiでRGB算出部51によって得られたバックライト階調値に基づき、バックライト12を点灯させる。また、タイミングコントローラ7は、過程xiiで除算部55の除算によって得られた液晶パネル階調値(第1RGB値)に基づき、液晶パネル11を制御し、所定画像の表示を行う。これによって、バックライトが所定の色の光を発する場合であっても、バックライトから白色の光が発せられている場合と同様に、色相を保ちながら、RGBの夫々の輝度の向上を図ることが出来る。
【0064】
ここで、過程xiiにて得られた液晶パネル階調値に基づき、液晶パネル11を通過した光の色のRGB値を求めてみる。
【0065】
過程xiiで得られた液晶パネル階調値は、
RGBW=0.75/0.8125/0.5/0.5
であり、
過程viiiで得られたバックライト階調値は、
RGB=1.0/0.8/0.5
である。
【0066】
これらの液晶パネル階調値及びバックライト階調値を用いて、上述したように、過程iii、過程iv及び過程vの計算を行った場合、液晶パネル11を通過した光の色のRGB値は、‘1.25/1.05/0.5’となる。これは、バックライト12が白色の光を発する場合と同じ値である。(図3参照)
【0067】
図5は本発明に係る表示装置1のデータ補正部5によって得られる液晶パネル階調値に基づく表示における、RGB色分及びW色分の割合を表すグラフである。図5から分かるように、過程xiiで得られた液晶パネル階調値に基づき、液晶パネル11を制御することによって、バックライトが所定の色の光を発する場合であっても、色相を保ちながら、RGBの夫々の輝度の向上を図ることが出来る。
【0068】
図6は本発明の実施の形態1に係る表示装置1における、液晶パネル階調値の生成処理を説明するフローチャートである。
【0069】
まず、画像データ取得部2は、例えば、前記記憶部から画像データ(RGB値)を取得する(ステップS101)。また、画像データ取得部2はさまざまな入力の画像データを切り替えて、データ処理部3に送る。
【0070】
この際、データ算出部5のRGB算出部51は、RGBデータ処理部4を介して表示すべき画像のRGB値を受け取り、該RGB値に基づき、液晶パネル階調値及びバックライト階調値を算出する(ステップS102)。(上述の過程vii及び過程viii参照)
【0071】
また、特定値算出部52は、表示すべき画像のRGB値の中の最小値を、該RGB値夫々に加算することにより、前記特定RGB値を求める(ステップS103)。(上述の過程ix参照)
【0072】
次いで、乗算部53は、ステップS102で得られた、液晶パネル階調値のW画素に係る値と、バックライト階調値との乗算を行って(ステップS104)、前記W色分を求める。(上述の過程x参照)
【0073】
この後、減算部54は、ステップS103にて得られた特定RGB夫々の値から、ステップS104にて得られたW色分を減算する(ステップS105)。(上述の過程xi参照)
【0074】
次いで、除算部55は、ステップS105での減算によって得られたRGB値を、ステップS102で得られたバックライト階調値で除算し(ステップS106)、新たに液晶パネル階調値(第1RGB値)を求める。(上述の過程xii参照)
【0075】
以降、ステップS102で得られた液晶パネル階調値は、ステップS106で得られた液晶パネル階調値に置き換えられ、バックライト駆動部9は、ステップS102で得られたバックライト階調値に基づき、バックライト12を点灯させ、タイミングコントローラ7は、ステップS106で得られた新たな液晶パネル階調値に基づき、液晶パネル11を制御する(ステップS107)。
【0076】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2に係る表示装置1の要部構成を示す機能ブロック図である。実施の形態2の表示装置1は、動作を行うためのコンピュータプログラムが、I/F61を介してCD−ROM等の可搬型記録媒体Aで提供することも可能であるように構成されている。さらに、実施の形態2の表示装置1は、前記コンピュータプログラムを、図示しない外部装置から通信部60を介してダウンロードすることも可能であるように構成されている。以下に、その内容を説明する。
【0077】
実施の形態2の表示装置1は外装(又は内装)の記録媒体読み取り装置(図示せず)を備えており、該記録媒体読み取り装置に、特定RGB値に基づき、液晶表示部の駆動に係る第1RGB値を算出させ、第1RGB値に基づき、液晶表示部を駆動させるプログラム、液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及びバックライトの駆動に係る第3RGB値を算出させ、表示すべき画像の階調値の中の最小値を階調値の夫々に加算して、特定RGB値を算出させ、第2RGB値の中のW画素に係る値及び第3RGB値の乗算を行わせ、算出された特定RGB値から乗算の結果を減算させ、減算の結果を第3RGB値にて除算させるプログラム等が記録された可搬型記録媒体Aを挿入して、例えば、CPU20がEPROM30にこのプログラムをインストールする。かかるプログラムはRAM40にロードして実行される。これにより、実施の形態1の本発明の表示装置1として機能する。
【0078】
前記記録媒体としては、いわゆるプログラムメディアであっても良く、磁気テープ及びカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク及びハードディスク等の磁気ディスク並びにCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
【0079】
通信部60を介してネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0080】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0081】
1 表示装置
5 データ算出部(算出手段)
7 タイミングコントローラ
10 表示部
11 液晶パネル
12 バックライト
51 RGB算出部
52 特定値算出部
53 乗算部
54 減算部
55 除算部
R R画素
G G画素
B B画素
W W画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色成分を有し、白色又は他の色の光を発するバックライトと、液晶表示部とを備える表示装置において、
前記バックライトが白光を発する場合を仮定して前記液晶表示部を通過する光の色を特定する特定RGB値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第1RGB値を算出する算出手段と、
前記第1RGB値に基づき、前記液晶表示部を駆動する液晶駆動部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記液晶表示部はRGBW画素を有し、
前記算出手段は、
表示すべき画像の階調値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及び前記バックライトの駆動に係る第3RGB値を算出するRGB算出手段と、
表示すべき画像の階調値の中の最小値を該階調値の夫々に加算して、前記特定RGB値を算出する特定値算出手段と、
前記第2RGB値の中のW画素に係る値及び前記第3RGB値の乗算を行う乗算手段と、
前記特定値算出手段によって算出された特定RGB値から、前記乗算手段による乗算の結果を減算する減算手段とを備え、
該減算手段による減算の結果を、前記第3RGB値にて除算することにより、前記第1RGB値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
複数の色成分を有し、白色又は他の色の光を発するバックライトと、RGBW画素を有する液晶表示部とを備える表示装置にて、該液晶表示部を駆動する駆動方法において、
前記バックライトが白光を発する場合を仮定して前記液晶表示部を通過する光の色を特定する特定RGB値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第1RGB値を算出するステップと、
前記第1RGB値に基づき、前記液晶表示部を駆動するステップと
を含むことを特徴とする駆動方法。
【請求項4】
表示すべき画像の階調値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及び前記バックライトの駆動に係る第3RGB値を算出するRGB算出ステップと、
表示すべき画像の階調値の中の最小値を該階調値の夫々に加算して、前記特定RGB値を算出する特定値算出ステップと、
前記第2RGB値の中のW画素に係る値及び前記第3RGB値の乗算を行う乗算ステップと、
前記特定値算出ステップによって算出された特定RGB値から、前記乗算ステップによる乗算の結果を減算する減算ステップと、
該減算ステップによる減算の結果を、前記第3RGB値にて除算することにより、前記第1RGB値を算出するステップと
を含むことを特徴とする請求項3に記載の駆動方法。
【請求項5】
複数の色成分を有し、白色又は他の色の光を発するバックライトと、RGBW画素を有する液晶表示部とを制御するコンピュータに、該液晶表示部を駆動させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、前記バックライトが白光を発する場合を仮定して前記液晶表示部を通過する光の色を特定する特定RGB値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第1RGB値を算出させるステップと、
コンピュータに、前記第1RGB値に基づき、前記液晶表示部を駆動させるステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、表示すべき画像の階調値に基づき、前記液晶表示部の駆動に係る第2RGB値、及び前記バックライトの駆動に係る第3RGB値を算出させるRGB算出ステップと、
コンピュータに、表示すべき画像の階調値の中の最小値を該階調値の夫々に加算して、前記特定RGB値を算出させる特定値算出ステップと、
コンピュータに、前記第2RGB値の中のW画素に係る値及び前記第3RGB値の乗算を行わせる乗算ステップと、
コンピュータに、前記特定値算出ステップによって算出された特定RGB値から、前記乗算ステップによる乗算の結果を減算させる減算ステップと、
コンピュータに、該減算ステップによる減算の結果を、前記第3RGB値にて除算して、前記第1RGB値を算出させるステップと
を実行させることを特徴とする請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−7857(P2013−7857A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139839(P2011−139839)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】