説明

表示装置を搭載した移動体での広告収集方法

【課題】広告の地域性をより反映させて、広告効果を高める。
【解決手段】複数の異なる場所に設置された複数の送信装置20(20A及び20B)と、車両Sに搭載される車載装置30とを備えた広告システムであって、複数の送信装置20(20A及び20B)は、それぞれの設置場所に応じて異なる広告データD1、D2であって、かつ、送信時刻に応じて異なる広告データD1、D2を含む信号を出力する送信手段22を備え、車載装置30は、いずれかの送信装置20(20A及び20B)から出力された信号を受信可能な受信可能エリア内にいるときに、受信可能な信号を受信する受信手段31と、受信手段31が受信した信号に含まれる広告データD1、D2に基づく広告を出力する出力手段32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載された広告表示装置に、移動体の移動する経路及び時刻に応じて異なる広告を表示させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、管理サーバが固定配置されている表示装置(コンテンツ再生コンピュータ)に対して、広告コンテンツを配信して、広告コンテンツを再生させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−67288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、広告の対象となる商品またはサービスには、地域性を有するものもある。例えば、店舗あるいは病院などは、それぞれの所在地の近くに居住している人や、その近所を通りかかる人などが、潜在的な顧客ないし患者となることが多い。
【0005】
特許文献1に記載されている発明のような広告システムでは、表示装置は、駅前、ホテルのロビー、あるいは店舗内などの人が多く集まる場所に固定的に設置されている。そして、管理サーバが、各表示装置に対して、予め定められたスケジュールに従って広告コンテンツを配信し、各表示装置にスケジュールに従った広告コンテンツを表示させる。
【0006】
ここで、広告の表示に関するスケジュールを決定する際に、各表示装置の設置場所等を考慮して、広告対象の近くの表示装置に、その広告対象の広告コンテンツを表示させることが行われる。
【0007】
しかしながら、表示装置が移動し、その時々で移動経路が異なるような場合には、各表示装置にどの広告コンテンツを表示させるかを予めスケジュールすることができない。また、表示装置が移動する場合、例えば携帯電話を表示装置として広告コンテンツを表示させようとする場合、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)等を用いて表示装置の位置を把握する必要がある。(しかし、GPS等では表示装置の位置情報は必ずしも正確に把握できない場合も多い。)
【0008】
そこで、本発明の目的は、広告を出力する装置が移動する場合でも、当該装置の位置情報を取得せずに広告の地域性を反映させた効果の高い広告を出力させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施形態に係る広告システムは、複数の異なる場所に設置された複数の送信装置と、移動体に搭載され、前記移動体とともに移動する広告出力装置とを備えた広告システムであって、前記複数の送信装置は、それぞれの設置場所に応じて異なる広告データであって、送信する時刻に応じて異なる広告データを含む信号を送信する送信手段を備える。前記広告出力装置は、いずれかの前記送信装置から送信された信号を受信可能な受信可能エリア内にいるときに、前記受信可能な信号を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した信号に含まれる広告データに基づく広告を出力する出力手段と、を備える。
【0010】
好適な実施形態では、前記複数の送信装置へ広告データを配信する配信管理サーバをさらに備え、前記配信管理サーバは、前記複数の送信装置の設置場所を示す設置場所データを記憶する記憶手段と、広告データと広告の対象となる商品またはサービスに係る場所とを対応付けた所在地データを記憶する記憶手段と、前記設置場所データ及び前記所在地データに基づいて、前記広告データをいずれかの送信装置に割り当てる割当手段と、前記割当手段の割当結果に従って、前記広告データを前記複数の送信装置へ配信する配信手段と、を備えてもよい。
【0011】
好適な実施形態では、前記配信管理サーバは、前記送信装置の設置場所の時間帯別の歩行者または車両の通行量を示す特性データを記憶する記憶手段をさらに備え、前記割当手段は、前記設置場所データ、前記所在地データ及び前記特性データに基づいて、前記広告データをいずれかの前記送信装置に割り当ててもよい。なお、特性データは歩行者または車両の通行量を示すデータに加えて、または代えて歩行者の属性特徴を現すデータであっても良い。
【0012】
好適な実施形態では、前記広告出力装置は、前記車両の走行状態に応じて前記出力手段による前記広告コンテンツの出力を制御するようにしてもよい。前記広告出力装置による広告コンテンツの出力制御の態様としては、送信装置から受信した広告データを車両に据え付けた表示装置に即時的に表示させる、記憶部に蓄積しておく、他の表示装置へ転送する、等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る広告システムの構成図を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係る広告システムの概念図を示す。
【図3】配信管理サーバの構造の一例を示す。
【図4】送信装置属性記憶部のデータ構造の一例を示す。
【図5】広告物データ記憶部のデータ構造の一例を示す。
【図6】広告管理データ記憶部に記憶されているデータの一例を示す。
【図7】配スケジュール部によって作成されたスケジュールの一例を示す。
【図8】送信装置の一例の構成を示す。
【図9】車載装置の一例の構成を示す。
【図10】送信装置における処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る広告システムについて、図面を参照して説明する。本実施形態に係る広告システムは、様々な場所に設置された送信装置が、移動体に搭載された広告出力装置に対して広告データを送信し、各広告出力装置に広告コンテンツを出力させるシステムである。各送信装置が送信する広告データは、広告対象となる店舗等の所在地及び送信装置が配置されている場所などに基づいて定める。
【0015】
図1は、本実施形態に係る広告システムの構成図を示す。同図に示すように本システムは、配信管理サーバ10と、複数の送信装置20(20A〜20C)と、移動体である車両に搭載された広告出力装置としての車載装置30とを備える。
【0016】
配信管理サーバ10は、送信装置20(20A〜20C)に広告データを配信する。ここで、広告データは、映像などの広告コンテンツを含む。なお、本明細書では広告コンテンツが広告する対象の商品またはサービスを「広告物」と称し、その商品の販売、またはサービスの提供に係る地点を「広告対象」と称する。例えば、広告コンテンツが特定の商品またはサービス(広告物)に係るものであっても、その商品が販売され、またはサービスが提供される店舗、病院等が広告対象となる。
【0017】
配信管理サーバ10は、例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成される。配信管理サーバ10の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。コンピュータプログラムはコンピュータ読みとり可能な記録媒体に格納可能である。
【0018】
送信装置20(20A〜20C)は、配信管理サーバ10から配信された広告データを受信し、受信した広告データを車載装置30へ送信する。
【0019】
車載装置30は、車両に搭載されていて、送信装置20(20A〜20C)から送信される広告データを受信する。車載装置30は、受信した広告データに含まれる広告コンテンツをディスプレイなどの表示部に表示するなどして、車両内の人に視聴させる。後述するように、車載装置30は当該装置に備えられた表示部に広告コンテンツを受信と同期して表示させるだけでなく、広告データを蓄積してから表示させたり、車両の乗客等が所有する携帯電話のような車載装置とは別異の表示装置に広告データを転送したりすることもできる。
【0020】
図2は、本実施形態に係る広告システムの概要図を示す。
【0021】
送信装置20は、さまざまな場所に固定的に設置される。例えば、本実施形態では、送信装置20は、屋外の電柱の柱上に設置される。この他に、送受信のためのアンテナだけを屋外(例えば、建物の外壁など)に設置し、送信装置20は屋内に設置してもよい。
【0022】
図2に示す例では、2台の送信装置20(20A、20B)が屋外に配置されている。さらに、同図の例では、送信装置20Aの近くには広告対象Aが存在し、送信装置20Bの近くには広告対象Bが存在する。
【0023】
配信管理サーバ10は、配信スケジュール(後述にて詳しく説明)に従って、広告データD1、D2を送信装置20A、20Bに配信する。
【0024】
図2に示す例では、配信管理サーバ10は、広告データD1(広告対象Aを広告する広告コンテンツが含まれているデータ)を送信装置20Aに送信する。また、配信管理サーバ10は、広告データD2(広告対象Bを広告する広告コンテンツが含まれているデータ)を送信装置20Bに配信する。配信方法は、有線、無線のどちらであっても良い。
【0025】
車載装置30は車両Sに搭載されている。車載装置30は、車両Sと共に街中を移動しながら、送信装置20から送信される広告データを集め、順次、広告コンテンツを車両S内の人に視聴させる。ここで、広告コンテンツは集められたタイミングで順次、表示されるのみならず、記憶装置に所定の時間、広告データを蓄積してから表示装置に表示されてもよい。また、車載装置30は、車両S内に設置した表示装置に広告データを出力するのみならず、車両S内の人が所有する携帯端末などを表示装置として広告データを出力(転送)することもできる。なお、車両Sとは、自家用車の他、バス、タクシー、列車等の乗客を乗せる車両であってもよい。
【0026】
図2に示す例では、車両Sが、送信装置20Aの信号を受信できる受信可能エリアZAまたは送信装置20Bの信号を受信できる受信可能エリアZBに達すると、車載装置30が、広告データD1またはD2を受信し広告データ記憶部35に記憶させる。車載装置30は、記憶した広告データD1またはD2を表示制御部33に出力し、車両S内の人に、広告コンテンツ(広告映像)を視聴させる。
【0027】
なお、広告コンテンツは、例えば、音声付きまたは音声無しの動画、あるいは静止画であってもよいし、音声のみであっても良い。
【0028】
図3は、配信管理サーバ10の機能構成の一例を示す。配信管理サーバ10は、例えば、送信装置属性記憶部11と、広告対象データ記憶部12と、広告管理データ記憶部13と、広告データ記憶部14と、割当処理部15と、配信スケジュール記憶部16と、配信処理部17とを備えている。
【0029】
送信装置属性記憶部11は、送信装置20の属性データを記憶している。送信装置属性記憶部11は、例えば図4に示すような、送信装置属性データ110を記憶している。送信装置属性データ110は、例えば、送信装置No111、設置場所112及び特性113を有する。
【0030】
送信装置No111は、各送信装置20の識別番号である。各送信装置20は、識別番号に従い配信管理サーバ10により識別される。
【0031】
設置場所112は、各送信装置20が設置されている場所を示す。図4に示されている例では、各送信装置20の場所を経度及び緯度で特定しているが、住所等によって特定しても良い。
【0032】
特性113は、各送信装置20が配置されている場所の日別、時間帯別の交通量などの特性を示す。図4に示す例では、特性113に係るデータ項目として、時間帯113a、歩行者通行量113b、車両通行量113c及びクラスタ113dが設定されている。つまり、本実施形態では、特性113として、時間帯別の歩行者及び車両の通行量が設定されている。歩行者通行量113b及び車両通行量113cは、それぞれの通行量の多寡を1〜3の3段階で記憶している。また、クラスタ113dは、地区を町丁目単位で区分し、各地区の居住者特性に応じて分類したときの、設置場所112付近の分類を示す符号である。
【0033】
例えば、図4に示す、送信装置属性データ110aによれば、送信装置No3の送信装置20は、(経度、緯度)=(x3°、y3°)に設置されており、時間帯9:00〜9:30に歩行者通行量113b及び車両通行量113cが「3」、クラスタがC1となっている。これにより、送信装置No3の送信装置20は、時間帯9:00〜9:30に、歩行者通行量113b及び車両通行量113cが多い場所に設置されていることが分かる。なお、特性113は、各送信装置20が設置されている場所の天候、周辺の居住者の特性等、他の特性でも良い。
【0034】
広告対象データ記憶部12は、広告対象に関するデータを記憶する。例えば、広告対象データ記憶部12は、図5に示すような広告対象データ120を記憶している。すなわち、広告対象データ120は、広告対象を識別するための広告対象ID121と、広告対象の所在地122とを有する。
【0035】
図5に示されている例では、広告対象A〜Dの所在地を経度及び緯度で記憶している。これは、各送信装置20の設置場所を経度及び緯度で記憶しているためである(図4参照)。各送信装置20の場所を住所で記憶する場合は、広告対象A〜Dの場所も同じく住所で記憶してもよい。
【0036】
広告管理データ記憶部13は、広告データに関する広告管理データを記憶する。例えば、広告管理データ記憶部13は、図6に示すような広告管理データ130を記憶する。広告管理データ130は、広告対象ID131、広告データファイル名132、及び広告条件134を有する。
【0037】
広告データファイル名132は、広告コンテンツが含まれている広告データのファイル名を示す。広告条件134は、広告データファイル名132の広告データを送信装置20から送信する条件を示す。広告条件は、例えば、送信する時間帯、配信する期間、広告データを送信する送信装置20と広告対象との距離、歩行者または車両の通行量などでもよい。広告データを送信する時間帯や配信する期間を含む広告条件は、広告主が定めてもよい。
【0038】
割当処理部15は、送信装置の設置場所を示すデータ及び広告対象の所在地を示すデータに基づいて、広告データをいずれかの送信装置20に割り当てる。例えば、割当処理部15は、送信装置属性データ110、広告対象データ120及び広告管理データ130に基づいて、広告データを送信装置に割り当てて、送信スケジュールを生成する。例えば、割当処理部15は、広告管理データ130から広告対象ID131を抽出し、広告対象データ120を参照して広告対象の所在地122を特定する。さらに、割当処理部15は、送信装置属性データ110を参照して、特定した所在地122に応じて、一以上の送信装置20を選択する。例えば、所在地122から所定距離内の送信装置20を選択してもよいし、所在地122からの距離が近いものから所定数の送信装置20を選択してもよい。あるいは、所在地122の近隣にある通りを選択して当該通りに沿って設けられた所定数の送信装置20を選択してもよい。また、割当処理部15は、広告条件134に応じて、一以上の送信装置20を選択してもよい。例えば、割当処理部15は、歩行者または車両の交通量が設定されている場合は、それに対応した送信装置20を選択してもよい。また、広告条件134で時間帯が設定されていれば、上記の処理で選択した送信装置20に対して、その時間帯に割り当ててもよい。
【0039】
配信スケジュール記憶部16は、割当処理部15が生成した配信スケジュール160を記憶する。配信スケジュール160は、例えば、図7に示すようなデータ構造を有する。すなわち、配信スケジュール160は、配信日161、配信時間帯162、送信装置163及び広告データファイル名164を記憶する。配信スケジュール160により、いつ(配信日、配信時間帯)、どこで(配信装置)、どの広告コンテンツ(広告データファイル)を配信するかが定まる。
【0040】
配信処理部17は、配信スケジュールに従って、広告データを送信装置20へ配信する。その際、配信処理部17は、配信スケジュール160のデータもあわせて配信してもよい。
【0041】
図8は、本実施形態に係る送信装置20の構成図を示す。同図に示すように送信装置20は、配信データ受信部21と、広告送信部22と、配信スケジュール記憶部23と、広告データ記憶部24とを備える。
【0042】
配信データ受信部21は、配信管理サーバ10から配信された広告データ及び配信スケジュールデータを受信する。受信した広告データは広告データ記憶部24に記憶され、受信した配信スケジュールデータは、配信スケジュール記憶部23に記憶される。
【0043】
広告送信部22は、それぞれの設置場所に応じて異なる広告データであって、送信する時刻に応じて異なる広告データを含む信号を送信する。広告送信部22は、配信スケジュール記憶部23に記憶されている配信スケジュールに従って広告データを送信してもよい。あるいは、配信管理サーバ10が配信スケジュール160に従って広告データを配信する場合は、広告送信部22は、配信データ受信部21が広告データを受信すると、ほぼリアルタイムでその受信した広告データを出力してもよい。これにより、広告送信部22は、設置場所及び時刻に応じて異なる広告データを含む信号を送信することができる。
【0044】
広告送信部22は、送信媒体として、電波または光などを用いてもよい。広告送信部22が出力した信号が届く範囲が、この信号の受信可能エリアとなる。受信可能エリアは、例えば、広告送信部22からの距離によって定まり、例えば、半径50〜100m程度でもよい。さらに、広告送信部22が出力する信号に指向性を持たせて、受信可能エリアの方向を限定してもよい。
【0045】
図9は、本実施形態に係る車載装置30の構成図を示す。同図に示すように車載装置30は、広告受信部31と、外部出力部32と、表示制御部33と、広告データ記憶部35とを備える。
【0046】
広告受信部31は、送信装置20から出力された広告データを送信するための信号を受信する。受信した信号に含まれる広告データは広告データ記憶部35に記憶される。
【0047】
車両は移動するので、車両と各送信装置20との相対的な距離は時々刻々変化する。そして、車両Sがある送信装置20から出力される信号の受信可能エリアに入ったときに、広告受信部31がその信号を受信する。
【0048】
外部出力部32は、広告データ記憶部35に記憶されている広告データを、車両内の人が所有する携帯端末等に出力する。
【0049】
表示制御部33は、広告データ記憶部35に記憶されている広告データを車内ディスプレイのような表示装置34に出力して、表示装置34に広告コンテンツを表示させる。即ち、本実施態様では外部出力部32は車両内の人が所有する携帯端末のような表示装置に広告コンテンツを表示させるための広告データの出力を行い、表示制御部33は車両内に設置した表示装置34に広告コンテンツを表示させるための広告データの出力を行う。
【0050】
ここで、外部出力部32及び表示制御部33は、広告受信部31が広告データを受信すると、ほぼリアルタイムでその受信した広告データに係る広告コンテンツを出力し、表示装置に表示させてもよい。これにより、送信装置20の近くで、その送信装置20から送られてくる広告を表示することができる。上述したように、各送信装置20は、その所在地に応じて広告コンテンツを配信している。従って、ほぼリアルタイムでその受信した広告データに係る広告コンテンツを出力して表示させる場合、車両Sが移動するにつれて、その時々で、そのときに車両が存在する位置に応じた広告が収集され表示される。
【0051】
また、広告受信部31が受信した広告データは、広告データ記憶部35に記憶されて所定時間が経過した後、外部出力部32または表示制御部33から出力されるようにしてもよい。例えば、外部出力部32及び表示制御部33は、広告受信部31が広告データを受信したタイミングとは異なるタイミングで、広告データ記憶部35から広告データを取得して、広告データに係る広告コンテンツを出力し、表示させてもよい。例えば、外部出力部32及び表示制御部33は、車両の走行状態に応じて広告コンテンツを出力し表示させてもよい。例えば、図示しない車速センサから車両の速度を取得し、所定速度以下になると外部出力部32及び表示制御部33が広告データに係る広告コンテンツを出力し、表示させてもよい。あるいは、表示制御部33は、シフトレバーが「N」(ニュートラル)、「P」(駐車)に設定されたとき、あるいは、車両のエンジンが停止されたときなどに、それまでに収集した広告データを表示させてもよい。また、バスでは、終点に到着する所定時間前になったとき、または運転手から所定の指示があったときに、表示制御部33がそれまでに収集した広告データを表示装置34に表示させてもよい。外部出力部32は同様に、車両の走行状態等に応じて広告データ記憶部35から広告データを取得して車両内の人の携帯端末等の表示装置に広告データに係わる広告コンテンツを出力して表示させてよい。
【0052】
次に、上記のような構成を備える広告システムでの処理手順を説明する。
【0053】
まず、配信管理サーバ10では、予め、送信装置属性データ110及び広告対象データ120が登録されている。そして、広告主から広告の依頼があると、配信管理サーバ10に広告コンテンツに係る広告データ及び広告管理データ130が登録される。
【0054】
配信管理サーバ10では、割当処理部15が、広告データをいずれかの送信装置20へ割り当てて、配信する日時を定めた配信スケジュールを生成する。配信処理部17は、配信スケジュールに従って、広告データを送信装置20へ配信する。
【0055】
各送信装置20の処理手順を図10のフローチャートで示す。このフローチャートに従って、送信装置20の処理手順を説明する。
【0056】
送信装置20は、配信データ受信部21が、配信管理サーバ10から配信された広告データ及び配信スケジュールデータを受信する(S201)。受信した広告データ及び配信スケジュールデータは、広告データ記憶部24に保存される。
【0057】
広告送信部22は、配信スケジュールを確認して、広告データを送信する時間帯であるか否かを判断する(S202)。送信時間帯であれば(S202:YES)、広告送信部22は、広告データの送信を開始する(S203)。
【0058】
送信時間帯の間、広告送信部22は、繰り返し広告データの送信を行い、送信時間帯を経過すると広告データの送信を終了する(S204)。
【0059】
これにより、各送信装置20は、配信スケジュールに従った広告データの送信を行うことができる。つまり、本実施形態によれば、各送信装置20は、それぞれの場所及び時刻に応じて異なる広告データを送信する。
【0060】
次に、上記の処理により、配信スケジュールに従って、各送信装置20が広告データを送信しているときに、車載装置30を搭載した車両がその近くを通りかかると、車載装置30が以下の処理を行う。すなわち、車載装置30は、いずれからの送信装置20の信号を受信可能な受信可能エリアにいるときに、送信装置20から送信された広告データを受信して、広告コンテンツを表示制御部33から出力して表示装置34に表示させる。車載装置30は車両とともに移動するのであるから、車両の移動する経路及び時間帯に応じて、各車両の車内では異なる広告コンテンツが表示される。
【0061】
これにより、自由に移動する車両が、行く先々で広告データを収集して、随時車内で広告映像を表示することができる。その結果、広告の地域性をより反映した広告の提供を行うことができ、広告効果が高まる。
【0062】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施できる。
【符号の説明】
【0063】
10 配信管理サーバ
11 送信装置属性記憶部
12 広告対象データ記憶部
13 広告管理データ記憶部
14 広告データ記憶部
15 割当処理部
16 配信スケジュール記憶部
17 配信処理部
20(20A〜20C) 送信装置
30 車載装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる場所に設置された複数の送信装置と、移動体に搭載され、前記移動体とともに移動する広告出力装置とを備えた広告システムであって、
前記複数の送信装置は、
それぞれの設置場所に応じて異なる広告データであって、送信する時刻に応じて異なる広告データを含む信号を送信する送信手段を備え、
前記広告出力装置は、
いずれかの前記送信装置から送信された信号を受信可能な受信可能エリア内にいるときに、前記受信可能な信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した信号に含まれる広告データに基づく広告を出力する出力手段と、を備える広告システム。
【請求項2】
前記複数の送信装置へ広告データを配信する配信管理サーバをさらに備え、
前記配信管理サーバは、
前記複数の送信装置の設置場所を示す設置場所データを記憶する記憶手段と、
広告データと広告の対象となる商品またはサービスに係る場所とを対応付けた所在地データを記憶する記憶手段と、
前記設置場所データ及び前記所在地データに基づいて、前記広告データをいずれかの送信装置に割り当てる割当手段と、
前記割当手段の割当結果に従って、前記広告データを前記複数の送信装置へ配信する配信手段と、を備える請求項1記載の広告システム。
【請求項3】
前記配信管理サーバは、前記送信装置の設置場所の時間帯別の歩行者または車両の通行量を示す特性データを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記割当手段は、前記設置場所データ、前記所在地データ及び前記特性データに基づいて、前記広告データをいずれかの前記送信装置に割り当てる請求項2に記載の広告システム。
【請求項4】
前記広告出力装置は、前記車両の走行状態に応じて前記出力手段による前記広告コンテンツの出力を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の広告システム。
【請求項5】
複数の異なる場所に設置された複数の送信装置と、移動体に搭載され、前記移動体とともに移動する広告出力装置とを備えた広告システムが広告を提供する方法であって、
前記複数の送信装置が、
それぞれの設置場所に応じて異なる広告データであって、かつ、送信する時刻に応じて異なる広告データを含む信号を送信し、
前記広告出力装置が、
いずれかの前記送信装置から送信された信号を受信可能な受信可能エリア内にいるときに、前記受信可能な信号を受信し、
前記受信した信号に含まれる広告データに基づく広告を出力する、広告の提供方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−197419(P2011−197419A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64294(P2010−64294)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)