説明

表示装置及びテレビ受像機

【課題】ビスを使用すること無くフロントキャビネットにパネルモジュールを固定することができ、しかもメンテナンスを行う際は、フロントキャビネットからパネルモジュールを容易に取り外すことができる表示装置を提供する。
【解決手段】前側に表示面11aを有するパネルモジュール1と、パネルモジュール1の周縁部を取り囲むフロントキャビネット2と、パネルモジュール1の後側を覆うバックキャビネット3とを備えた表示装置において、フロントキャビネット2の内面からバックキャビネット3側へ突出した可撓性爪部23cと、L字状をなし、可撓性爪部23cが掛止する孔部41cを有する掛止板41、及びパネルモジュール1の後面に当接する当接板42を含み、フロントキャビネット2をパネルモジュール1に固定するL字固定部材4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前側に表示面を有するパネルモジュールと、該パネルモジュールの周縁部を取り囲むフロントキャビネットと、前記パネルモジュールの後側を覆うバックキャビネットとを備えた表示装置及びテレビ受像機に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機等の表示装置は、映像を表示する表示面を前側に有するパネルモジュールと、該パネルモジュールの周縁部を取り囲むフロントキャビネットと、前記パネルモジュールの後側を覆うバックキャビネットとを備えている。従来の表示装置においては、パネルモジュールと、フロントキャビネットとをビスを用いて固定しており、組立作業工数の増大が問題となっていた。
【0003】
特許文献1には、上述の問題を解決する表示装置が開示されている。特許文献1に係る表示装置は、フロントキャビネットの外周部から後側へ突出した複数の可撓性の爪フックを備え、該爪フックによってフロントキャビネットをパネルモジュールに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−42537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る表示装置においては、メンテナンス時にパネルモジュールからフロントキャビネットを取り外し難いという問題があった。具体的には、フロントキャビネットからパネルモジュールを取り外す場合、パネルモジュールの周囲に引っ掛かっている複数の爪フックを順番に外していく必要があるが、作業途中で、取り外したフック爪が再びパネルモジュールに引っ掛かってしまうことが多々あった。このため、複数の作業者でパネルモジュールの取り外しを行ったり、一旦取り外したフック爪が再びパネルモジュールに引っ掛からないように、楔のような部材をフック爪と、パネルモジュールとの間に挟み込んだりする必要があった。この問題は、表示装置が大型化した場合、特に顕著であり、メンテナンス性が悪化する。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビスを使用すること無くフロントキャビネットにパネルモジュールを固定することができ、しかもメンテナンスを行う際は、フロントキャビネットからパネルモジュールを容易に取り外すことができる表示装置及びテレビ受像機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、前側に表示面を有するパネルモジュールと、該パネルモジュールの周縁部を取り囲むフロントキャビネットと、前記パネルモジュールの後側を覆うバックキャビネットとを備えた表示装置において、前記フロントキャビネットの内面から前記バックキャビネット側へ突出した可撓性爪部と、L字状をなし、該可撓性爪部が掛止する孔部を有する掛止板、及び前記パネルモジュールの後面に当接する当接板を含み、前記フロントキャビネットを前記パネルモジュールに固定するL字固定部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、パネルモジュールの後面にL字固定部材の当接板を当接させ、フロントキャビネットの可撓性爪部にL字固定部材の掛止板を引っ掛けることによって、パネルモジュールにフロントキャビネットを固定することが可能である。
また、メンテナンスを行う際、可撓性爪部に引っ掛かっているL字固定部材を取り外すことによって、フロントキャビネットからパネルモジュールを容易に取り外すことができる。つまり、L字固定部材が取り外された可撓性爪部がパネルモジュールに引っ掛かることは無く、パネルモジュールを容易に取り外すことができる。
【0009】
本発明に係る表示装置は、前記可撓性爪部が前記掛止板の孔部から外れる方向へ撓むことを規制する規制部を、前記バックキャビネットに備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、可撓性爪部がL字固定部材から外れる方向へ撓むことを、バックキャビネットに設けられた規制部によって、規制することが可能である。従って、表示装置の使用時においては、衝撃によって、可撓性爪部がL字固定部材から外れ、パネルモジュールからフロントキャビネットが脱落することは無い。
【0011】
本発明に係る表示装置は、前記可撓性爪部が掛止した前記L字固定部材を支持する支持部材を前記フロントキャビネットに備えることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、L字固定部材を、可撓性爪部が引っ掛かる箇所へ案内し、フロントキャビネットに支持することが可能である。
【0013】
本発明に係る表示装置は、前記支持部材は、前記可撓性爪部が対向している前記パネルモジュールに沿って前記可撓性爪部の両側に2つ設けられ、前記可撓性爪部に掛止した前記掛止板を該可撓性爪部と共に挟み込むよう構成されており、前記掛止板から該掛止板が対向している前記パネルモジュールに沿って突出した突出片と、前記フロントキャビネットの内面から前記バックキャビネット側へ突出しており、前記突出片に当接して前記L字固定部材の取り付け位置を位置決めするための位置決め突起とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、可撓性爪部に対するL字固定部材の位置決め作業と、可撓性爪部をL字固定部材の孔部に掛止させる作業とを段階的に行うことが可能になる。従って、L字固定部材の取り付け作業性が向上する。
【0015】
本発明に係る表示装置は、前記位置決め突起は、前記L字固定部材を前記可撓性爪部に掛止させる場合に該L字固定部材が前記パネルモジュールの周縁部に沿った方向へ移動することを規制する第1条体と、前記L字固定部材を前記可撓性爪部に掛止させる場合に該L字固定部材が前記バックキャビネット側へ移動することを規制する第2条体とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、L字固定部材の突出片を位置決め突起に当接させた状態で、L字固定部材を回転させ、L可撓性爪部をL字固定部材の孔部に掛止させることが可能である。
【0017】
本発明に係る表示装置は、前記当接板は、前記パネルモジュールの後面に当接する当接凸部を備え、該当接凸部と、前記可撓性爪部が掛止する部分とは、前記パネルモジュールの周縁部に沿った方向に離隔していることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、当接凸部と、可撓性爪部が掛止する部分とは、パネルモジュールの周縁部に沿った方向に離隔しているため、可撓性爪部の掛かり量が変動しても、可撓性爪部に大きな力が加わることが無い。従って、L字固定部材の取り付け作業性が悪化することは無い。また、フロントキャビネットが変形することも無く、美観が損なわれるおそれも無い。
【0019】
本発明に係る表示装置は、前記フロントキャビネットの前記可撓性爪部よりも横方向及び上下方向内側に設けられており、前記パネルモジュールの外周面に当接する当接部材を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、フロントキャビネットの可撓性爪部よりも横方向及び上下方向内側に設けられた当接部材がパネルモジュールの外周面に当接する。従って、フロントキャビネットに対してパネルモジュールが移動した際、パネルモジュールが可撓性爪部に直接的に当接して不測の応力が働くことを防止する。よって、可撓性爪部が折れることを防止することが可能である。
【0021】
本発明に係る表示装置は、前記可撓性爪部は、前記フロントキャビネットの両側部及び上部の内面に設けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、フロントキャビネットの両側部及び上部に可撓性爪部が設けられている。つまり、フロントキャビネットの下部には可撓性爪部が設けられていない。従って、最小限の可撓性爪部によってフロントキャビネットをパネルモジュールに取り付けることができ、低コストで表示装置を構成することが可能である。
【0023】
本発明に係る表示装置は、前記フロントキャビネットは、パネルモジュールの表示面側の周縁を覆う枠板部と、該枠板部の外周縁から後方へ連なり、パネルモジュールの外周を覆う前筒部とを有し、前記可撓性爪部は、前記前筒部の内面から突出しており、パネルモジュールに対して接離する方向へ撓むように構成してあることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、可撓性爪部はパネルモジュールに対して接離する方向へ撓むため、パネルモジュールに製造誤差があっても、L字固定部材に対する可撓性爪部の掛止位置が変化して、可撓性爪部はL字固定部材に掛止する。このため、パネルモジュールの製造誤差に拘わらず、パネルモジュールにL字固定部材を常に当接させることができ、音声によるビビリの発生を抑えることが可能になる。
また、可撓性爪部の掛止位置は変化するため、パネルモジュールに製造誤差があっても、可撓性爪部を掛止させるためにL字固定部材を強く押し込むなどの必要は無くなる。
【0025】
本発明に係る表示装置は、前記当接板は、パネルモジュール側が凸になるように湾曲していることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、L字固定部材の当接板は、パネルモジュール側が凸であるため、パネルモジュールに対して当接板は線接触する。またパネルモジュールに製造誤差があり、パネルモジュールに対するL字固定部材の姿勢が変化したとしても、L字固定部材はパネルモジュールに線接触する。このため、パネルモジュールの製造誤差に拘わらず、パネルモジュールにL字固定部材を常に当接させることができ、音声によるビビリの発生を抑えることが可能になる。
【0027】
本発明に係る表示装置は、前記可撓性爪部は、先端が前記パネルモジュールよりも後側に位置していることを特徴とする。
【0028】
本発明にあっては、可撓性爪部の先端部がパネルモジュールより後側に突出しているため、メンテナンス時に、パネルモジュールからフロントキャビネットを取り外す際、可撓性爪部の位置を視認し易く、また、可撓性爪部の先端に指を掛けて、容易に取り外すことが可能になる。
【0029】
本発明に係る表示装置は、前記パネルモジュールは、液晶パネルと、該液晶パネルの後面側に配されたバックライト装置と、前記液晶パネル及び前記バックライト装置を一体的に保持する保持枠体とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明にあっては、液晶パネル及びバックライト装置を保持枠体で一体とすることによってパネルモジュールが構成される。
【0031】
本発明に係るテレビ受像機は、上述のいずれか一つの表示装置と、映像信号を受信する受信部とを備え、前記表示装置は、前記受信部が受信した映像信号にて映像を表示するようにしてあることを特徴とする。
【0032】
本発明にあっては、映像信号を受信し、表示装置に該映像信号に係る映像を表示することが可能である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ビスを使用すること無くフロントキャビネットにパネルモジュールを固定することができ、しかもメンテナンスを行う際は、フロントキャビネットからパネルモジュールを容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る表示装置の一構成例を示す正面側の分解斜視図である。
【図2】表示装置の要部を示す拡大側断面図である。
【図3】フロントキャビネットから取り外されたL字固定部材を示す要部の分解斜視図である。
【図4】フロントキャビネットに取り付けられたL字固定部材を示す要部の分解斜視図である。
【図5】L字固定部材によってパネルモジュールにフロントキャビネットを取り付けた状態を示す背面側の要部の分解斜視図である。
【図6】フロントキャビネットの背面図である。
【図7】フロントキャビネットの要部を示す背面図及び側面図である。
【図8】L字固定部材の六面図である。
【図9】変形例1に係るL字固定部材によってパネルモジュールにフロントキャビネットを取り付けた状態を示す背面側の要部の分解斜視図である。
【図10】変形例1に係るL字固定部材を可撓性爪部に掛止した状態を示す背面側の要部の分解斜視図である。
【図11】変形例1に係るL字固定部材によってパネルモジュールにフロントキャビネットを取り付けた状態を示す背面側の要部の分解背面図である。
【図12】フロントキャビネットの要部を示す斜視図である。
【図13】フロントキャビネットの要部を示す背面図及び側面図である。
【図14】L字固定部材の斜視図である。
【図15】L字固定部材の六面図である。
【図16】L字固定部材の取り付け方法を示す模式図である。
【図17】変形例1に係るL字固定部材の作用を示す概念図である。
【図18】変形例2に係る表示装置の要部を示す拡大側断面図である。
【図19】変形例2に係る表示装置の作用を示す拡大側断面図である。
【図20】変形例3に係る表示装置の要部を示す拡大側断面図である。
【図21】変形例3に係る表示装置の作用を示す拡大側断面図である。
【図22】変形例4に係る表示装置の要部を示す拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置の一構成例を示す正面側の分解斜視図である。本実施の形態に係る表示装置は、例えば、液晶テレビなどのテレビ受像機である。表示装置は、前側に表示面11aを有し、略直方体をなすパネルモジュール1と、パネルモジュール1の周縁部を取り囲むフロントキャビネット2と、パネルモジュール1の後側を覆うバックキャビネット3と、パネルモジュール1にフロントキャビネット2を固定するための金属製のL字固定部材4と、映像信号を受信するチューナ5(受信部)と、電気回路6と、パネルモジュール1を起立状態で支持するスタンド7とを備える。
【0036】
図2は、表示装置の要部を示す拡大側断面図、図3は、フロントキャビネット2から取り外されたL字固定部材4を示す要部の分解斜視図、図4は、フロントキャビネット2に取り付けられたL字固定部材4を示す要部の分解斜視図、図5は、L字固定部材4によってパネルモジュール1にフロントキャビネット2を取り付けた状態を示す背面側の要部の分解斜視図、図6は、フロントキャビネット2の背面図、図7は、フロントキャビネット2の要部を示す背面図及び側面図、図8は、L字固定部材4の六面図である。
【0037】
パネルモジュール1は、前側に表示面11aを有する横長略矩形状の液晶パネル11と、液晶パネル11の後面側に配置された図示しない光学シートと、該光学シートの後面側に配置されたバックライト装置12と、液晶パネル11及びバックライト装置12を一体的に保持する保持枠体13とを備える。バックライト装置12は、平皿状のバックライトシャーシ、バックライトシャーシに配された反射シート及び複数の光源を有する。光源は、例えば、LED、冷陰極蛍光管である。また、パネルモジュール1は、パネルモジュール1と、バックキャビネット3とをネジ止めするためのネジ孔が後面側に形成されている。
【0038】
チューナ5及び電気回路6は、バックライト装置12を構成するバックライトシャーシの背面側に取り付けられている。
【0039】
フロントキャビネット2は、パネルモジュール1の表示面11a側の周縁を覆う枠板部21と、該枠板部21の外周縁から後方へ連なり、パネルモジュール1の外周を覆う前筒部22とを有する。枠板部21の後面には、L字固定部材4を掛止する掛止手段23が設けられている。掛止手段23は、図6に示すように、フロントキャビネット2の横方向両側部及び上部にそれぞれ複数設けられている。掛止手段23の数は、表示装置の大きさによって適宜決定される。掛止手段23は、図3に示すように、枠板部21の後面からバックキャビネット3側へ突出した可撓性爪部23cと、可撓性爪部23cが掛止したL字固定部材4を支持する支持部材23a、23bとを有する。可撓性爪部23cは、先端部に鉤状部分を有する板状をなし、図7Aに示すように背面視で、枠板部21の周縁に沿った線状をなす。鉤状部分は、表示面11aの面内方向内側に傾斜面を有し、鉤状部分の面内方向外側は平坦である。支持部材23a、23bは、背面視がL字固定部材4の後述する掛止板41の両側部に倣ったL字状をなし、図3及び図4に示すように、L字固定部材4が後側から挿入され、L字固定部材4を可撓性爪部23cに掛止させることが可能な箇所へ案内できるように形成されている。
なお、可撓性爪部23c及び支持部材23a、23bの高さ、即ち表示装置の前後方向寸法は、前筒部22の前後方向寸法よりも短く構成すると良い。つまり、フロントキャビネット2を横方向から見た際、前筒部22に可撓性爪部23c及び支持部材23a、23bが隠れるように構成すると良い。このように構成することによって、表示装置の組み立て工程において、フロントキャビネット2から後側へ飛び出した可撓性爪部23c及び支持部材23a、23bが破損することを防止することができる。
【0040】
また、フロントキャビネット2は、可撓性爪部23cよりも横方向及び上下方向内側に位置するように、枠板部21の後側面からバックキャビネット3側へ突出しており、パネルモジュール1の外周面に当接する複数の当接片(当接部材)24a,24bを備える。当接片24a,24bを備えることによって、可撓性爪部23cにパネルモジュール1が直接的に当接して不測の応力が働くことを防止し、可撓性爪部23cの折れを防止することができる。また、当接片24a,24bによって、パネルモジュール1に対するフロントキャビネット2の位置を所定箇所に位置決めすることができる。
【0041】
L字固定部材4は、図8に示すようにL字状をなし、可撓性爪部23cが掛止する孔部41cを有する掛止板41、及び前記パネルモジュール1の後面に当接する当接板42を有する。なお、図8は、表示装置の上部に設けられたL字固定部材4の六面図を、表示装置の上下左右方向を基準にして示したものである。図8A〜Fは、それぞれL字固定部材4の平面図、正面図、左側面図、右側面図、背面図、底面図である。掛止板41及び当接板42は、それぞれ略矩形状であり、長辺同士が連なっている。孔部41cは、掛止板41の長手方向に沿って、掛止板41の略中央部に設けられたスリット状である。掛止板41は、長手方向両側の先端側部分に、支持部材23a,23bによって支持されるべき凹部41a,41bを有する。
【0042】
なお、L字固定部材4の当接板42は、平板状であるが、パネルモジュール1に形成されている凸部に嵌合する孔部又は凹部を設けても良い。このように構成することにより、L字固定部材4の当接板42がパネルモジュール1に対して位置ずれすることを防止することができ、パネルモジュール1にフロントキャビネット2をより確実に固定することができる。
【0043】
バックキャビネット3は、パネルモジュール1の背面側を覆う皿形覆部31と、皿形覆部31の周縁に連なる後筒部32とを有する。後筒部32は、可撓性爪部23cに対応する複数の周方向位置に、可撓性爪部23cが掛止板41の孔部41cから外れる方向へ撓むことを規制する規制爪部32aを有する。つまり、規制爪部32aは、フロントキャビネット2と、バックキャビネット3とが組み立てられた場合に、可撓性爪部23cと、フロントキャビネット2の前筒部22との間に挿入されるような箇所に形成されており、可撓性爪部23cの外側の平坦面と、前筒部22との間隙程度の厚みを有している。また、バックキャビネット3は、複数のネジ孔を有しており、該ネジ孔に挿入されたネジによって、パネルモジュール1にネジ止めされる。
【0044】
このように構成された表示装置にあっては、パネルモジュール1の後面にL字固定部材4の当接板42を当接させ、フロントキャビネット2の可撓性爪部23cにL字固定部材の掛止板41を引っ掛けることによって、パネルモジュール1にフロントキャビネット2を固定することができる。また、メンテナンスを行う際、可撓性爪部23cに引っ掛かっているL字固定部材4を取り外すことによって、L字固定部材4が取り外された可撓性爪部23cがパネルモジュール1に再度引っ掛かることは無く、フロントキャビネット2からパネルモジュール1を容易に取り外すことができる。
従って、ビスを使用すること無くフロントキャビネット2にパネルモジュール1を固定することができ、しかもメンテナンスを行う際は、フロントキャビネット2からパネルモジュール1を容易に取り外すことができる。
【0045】
また、L字固定部材を介して、パネルモジュール1にフロントキャビネット2を固定する構成であるため、パネルモジュール1に特殊な構造を設けること無く、上述の効果を奏することができる。
【0046】
更に、フロントキャビネット2と、バックキャビネット3とを組み立てた場合、規制爪部32aは、可撓性爪部23cと、フロントキャビネット2との間に嵌り込むため、可撓性爪部23cが外側へ撓むことを防止することができる。従って、使用時において、衝撃等によってフロントキャビネット2が脱落することを防止するこができる。
【0047】
更にまた、パネルモジュール1と、フロントキャビネット2とをビスを使用すること無く固定する構成であるため、フロントキャビネット2の枠板部21にネジ止め用のボスを設ける必要が無く、フロントキャビネット2を狭額縁化することができる。
【0048】
更にまた、当接片24a,24bを備えることによって、可撓性爪部23cにパネルモジュール1が直接的に当接して不測の応力が働くことを防止し、可撓性爪部23cの折れを防止することができる。
【0049】
更にまた、フロントキャビネット2の両側部及び上部に可撓性爪部23cが設けられており、下部には可撓性爪部23cは設けられていない。従って、最小限の可撓性爪部23cによってフロントキャビネット2をパネルモジュール1に取り付けることができ、低コストで表示装置を構成することができる。
【0050】
本実施の形態では、表示装置の一例として液晶テレビを説明したが、いうまでも無く、プラズマ表示装置、ELディスプレイ等の表示装置に本発明を適用しても良い。また、チューナ5を備えていない表示装置、例えばパーソナルコンピュータ用のディスプレイに本発明を適用しても良い。
【0051】
(変形例1)
図9は、変形例1に係るL字固定部材104によってパネルモジュール1にフロントキャビネット102を取り付けた状態を示す背面側の要部の分解斜視図、図10は、変形例1に係るL字固定部材104を可撓性爪部123cに掛止した状態を示す背面側の要部の分解斜視図、図11は、変形例1に係るL字固定部材104によってパネルモジュール1にフロントキャビネット102を取り付けた状態を示す背面側の要部の分解背面図である。図12は、フロントキャビネット102の要部を示す斜視図、図13は、フロントキャビネット102の要部を示す背面図及び側面図、図14は、L字固定部材104の斜視図、図15は、L字固定部材104の六面図である。
【0052】
変形例1に係る掛止手段123は、実施の形態と同様、枠板部21の後面であって、フロントキャビネット102の横方向両側部及び上部にそれぞれ複数設けられている。掛止手段123は、図12〜図13に示すように枠板部21の後面からバックキャビネット3側へ突出した可撓性爪部123cと、可撓性爪部123cが掛止したL字固定部材104を支持する第1支持部材123bと、第2支持部材123dと、位置決め突起123aとを有する。第1及び第2支持部材123b、123dは、可撓性爪部123cが対向しているパネルモジュール1に沿って可撓性爪部123cの両側に設けられている。また、位置決め突起123aは、該位置決め突起123a,第1支持部材123b,可撓性爪部123c,第2支持部材123dの順に、可撓性爪部123cが対向しているパネルモジュール1に沿って設けられている。
【0053】
可撓性爪部123cは、先端部に鉤状部分を有する板状をなし、図13Aに示すように背面視で、枠板部21の周縁に沿った線状をなす。鉤状部分は、表示面11aの面内方向内側に傾斜面を有し、鉤状部分の面内方向外側は平坦である。
【0054】
第1支持部材123bは、先端部が湾曲した略長方形の板状をなし、図13Aに示すように背面視で、枠板部21の周縁に沿った線状をなす。第1支持部材123bは、図9及び図10に示すように可撓性爪部123cに掛止したL字固定部材104を、可撓性爪部123cと共に挟み込むように構成されている。より具体的には、第1支持部材123bは、可撓性爪部123cよりもパネルモジュール1側に位置しており、L字固定部材104が可撓性爪部123cからパネルモジュール1側へ移動して孔部141cから脱落することを規制している。
【0055】
第2支持部材123dは、背面視が、掛止板141の側部に倣ったL字状をなし、対向するパネルモジュール1の面に略平行な第1の板片と、略垂直な第2の板片とで構成されている。第2支持部材123dは、図9及び図10に示すように可撓性爪部123cに掛止したL字固定部材104を、可撓性爪部123cと共に挟み込むようにして掛止している。より具体的には、第2支持部材123dを構成する第1の板片が可撓性爪部123cよりもパネルモジュール1側に位置しており、第1支持部材123bと共にL字固定部材104が可撓性爪部123cからパネルモジュール1側へ移動して孔部141cから脱落することを規制している。また。第2支持部材123dを構成する第2の板片が、後述の位置決め突起123aと共にL字固定部材104を両側から挟み込むようにして掛止している。
【0056】
位置決め部材は、後述するように掛止板141から突出した突出片141dに当接してL字固定部材104の取り付け位置を位置決めするための部材であり、図13Aに示すように背面視で、枠板部21の周縁に沿った線状をなす。位置決め部材は、全体的に略長方形の板状をなし、L字固定部材104を可撓性爪部123cに掛止させる場合にL字固定部材104がパネルモジュール1の周縁部に沿った方向へ移動することを規制する第1条体1231aと、L字固定部材104を可撓性爪部123cに掛止させる場合にL字固定部材104がバックキャビネット側へ移動することを規制する第2条体1232aとを有する。つまり、図13Bに示すように、第1条体1231a及び第2条体1232aは、倒立L字状をなすように板材に形成されている。
【0057】
L字固定部材104は、図14及び図15に示すようにL字状をなし、可撓性爪部123cが掛止する孔部141cを有する掛止板141、及び前記パネルモジュール1の後面に当接する当接板142を有する。掛止板141及び当接板142は、それぞれ略矩形状であり、長辺同士が連なっている。なお、図15は、表示装置の上部に設けられたL字固定部材104の六面図を、表示装置の上下左右方向を基準にして示したものである。図15A〜Fは、それぞれL字固定部材104の平面図、正面図、左側面図、右側面図、背面図、底面図である。
【0058】
掛止板141は、可撓性爪部123cが掛止する孔部141cを、掛止板141の長手方向に沿って、掛止板141の略中央部に有する。また掛止板141は、孔部141cの両側、つまり掛止板141の長手方向両側に、第1及び第2支持部材123b、123dが嵌り込んで支持されるべき第1及び第2凹部141a、141bを有する。第1及び第2凹部141a、141bは、当接板142が設けられている側から見て凹、当接板142が設けられていない側(図14中手前側)から見て凸になるように形成されている。また、第1及び第2凹部141a、141bは先端部、即ち、フロントキャビネット102側へ突出した舌片部を有する。該舌片部は、L字固定部材104の第1及び第2凹部141a、141bに、第1及び第2支持部材123b、123dを挿入し易くするために、先端部がフロントキャビネット102の前筒部22側に曲がっている。同様に孔部141cの縁部分からフロントキャビネット102側へ突出した舌片部を有する。該舌片部も、L字固定部材104の孔部141cに、可撓性爪部123cを挿入及び掛止し易くするために、先端部がパネルモジュール1側に曲がっている。
【0059】
また、掛止板141には、該掛止板141が対向しているパネルモジュール1に沿って、掛止板141から位置決め突起123a側へ突出した突出片141dが形成されている。
【0060】
当接板142は、掛止板141に連なっていない側の長辺部分に段差部142aを有する。段差部142aは、枠板部21側へ近づくように屈曲しており、段差部142aにはパネルモジュール1の後面に当接する当接凸部142bが形成されている。当接凸部142bは、パネルモジュール1側に凸であり、当接凸部142bと、可撓性爪部123cが掛止する部分とは、パネルモジュール1の周縁部に沿った方向に離隔している。本変形例1では、当接凸部142bは、可撓性爪部123cが掛止する部分より突出片141d側に離隔している。
【0061】
次に、このように構成されたL字固定部材104の取り付け方法を説明する。
図16は、L字固定部材104の取り付け方法を示す模式図である。まず、L字固定部材104の突出片141dを位置決め突起123aの先端部に当接させ、L字固定部材104の位置決めを行う。そして、孔部141cに可撓性爪部123cが嵌り込むような位置関係になるようにL字固定部材104の姿勢を調整しながら、位置決め突起123aを中心にL字固定部材104を回転させることによってL字固定部材104を掛止手段123に挿入し、可撓性爪部123cを孔部141cに掛止させる。
【0062】
このように構成された変形例1に係る表示装置にあっては、実施の形態に係る表示装置に比べて、L字固定部材104を取り付け易く、パネルモジュール1にフロントキャビネット102を固定する組立の作業性が向上させることができる。以下、作用効果を具体的に説明する。
【0063】
実施の形態に係る表示装置においては、L字固定部材4を掛止手段23に取り付ける際、その構成上、L字固定部材4の位置決め作業と、L字固定部材4に可撓性爪部23cを掛止させる作業とを同時に行う必要があるため、変形例1に係る表示装置と比較するとL字固定部材4を取り付けづらいという傾向があった。つまり、L字固定部材4の凹部41a,41bに支持部材23a、23bを挿入すると、この段階でL字固定部材4の孔部41cと、可撓性爪部23cとの位置関係が固定されてしまう。この段階で取り付け位置にずれがあると、このままL字固定部材4を掛止手段23に挿入しても、可撓性爪部23cの先端部が掛止板41にぶつかってしまう。このため可撓性爪部23cを指で撓ませたり、L字固定部材4を傾けたりなどして、L字固定部材4の取り付け位置を修正する必要があった。
しかし、変形例1に係る表示装置においては、可撓性爪部123cと孔部141cとの位置関係が完全に固定されないような形でL字固定部材104の位置決め行い、次いでL字固定部材104に可撓性爪部123cを掛止させる作業を順に行うことができるため、全体的にL字固定部材104の取り付け作業時間を短縮し、作業性を向上させることができる。具体的には、まず突出片141dを位置決め突起123aに当接させることによってL字固定部材104の位置決め作業を行い、次いで、孔部141cに可撓性爪部123cが嵌り込むような位置関係になるようにL字固定部材104の姿勢を調整しながら、位置決め突起123aを中心にL字固定部材104を回転させることによってL字固定部材104を掛止手段123に挿入し、可撓性爪部123cを掛止させることができ、円滑にL字固定部材104を取り付けることができる。
【0064】
また、実施の形態に係る表示装置においては、フロントキャビネット2とパネルモジュール1との固定を強化する目的で、可撓性爪部23cの掛かり強さを大きくした場合、L字固定部材4を取り付ける際に、可撓性爪部23cを引っ掛ける際の抵抗力も大きくなり、変形例1に係る表示装置と比較すると作業性が悪化するという傾向がある。
しかし、変形例1に係る表示装置においては、可撓性爪部123cが掛止する部分と、当接凸部142bとが、パネルモジュール1に沿って離隔しているため、後述するように可撓性爪部123cの力点と、当接凸部142bの作用点とが離れることになり、可撓性爪部123cの掛かり強さを大きくしてもL字固定部材104を取り付ける際の抵抗力はあまり変化せず、良好な作業性を維持することができる。
【0065】
図17は、変形例1に係るL字固定部材104の作用を示す概念図である。図17Aは、変形例1に係るL字固定部材104を可撓性爪部123cに掛止させた場合に加わる力の力点a、支点b、作用点c及び可撓性爪部123cに加わる力Fを示した概念図である。
【0066】
L字固定部材104を取り付ける際、突出片141dが位置決め突起123aに当接させた部分が支点bとなり、L字固定部材104を回転させて孔部141cを可撓性爪部123cよりもフロントキャビネット102側(図17中下側)へ移動させると、L字固定部材104自体が板バネのように働き、掛止板141が曲がった後、元に戻る際に孔部141cの力点a部分に可撓性爪部123cが掛止される。この場合、図17Aに示すように、突出片141dが位置決め突起123aに当接している部分が支点b、可撓性爪部123cが掛止している部分が力点a、パネルモジュール1に当接する当接凸部142bが作用点cになる。可撓性爪部123cに働く力Fは、掛止板141のばね係数をk1とすると、F=k1×sで表される。sは、掛止板141の撓み量である。力点aと、作用点cとは離隔しているため、k1の値は比較的小さく、可撓性爪部123cの掛かり強さを大きくしたり、製造ばらつきによって掛かり強さが変動しても、可撓性爪部123cに大きな力が作用することは無い。このため、L字固定部材104の取り付け作業性が悪化することは無い。また、可撓性爪部123cに大きな力が働くことで、フロントキャビネット102が窪み、美観が損なわれることは無い。
【0067】
比較のために、実施の形態の表示装置に係るL字固定部材による力の働き方を説明する。図17Bは、実施の形態に係るL字固定部材4を可撓性爪部23cに掛止させた場合に加わる力の力点a、作用点c及び可撓性爪部23cに加わる力Fを示した概念図である。可撓性爪部23cに加わる力Fは、掛止板41のばね係数をk2とすると、F=k2×sで表される。sは、掛止板41の撓み量である。図17Bに示すように、実施の形態においては、可撓性爪部23cが掛止する力点aと、L字固定部材4がパネルモジュール1に当接している作用点cとが接近しているため、k2の値は比較的大きく、可撓性爪部23cの掛かり強さが変動した場合、可撓性爪部23cに不測の大きな力が加わり、L字固定部材4の取り付け作業性が悪化したり、フロントキャビネット2の美観が損なわれたりするおそれがある。
このように、変形例1に係る表示装置においては、実施の形態に比べて、L字固定部材104の取り付け作業性、フロントキャビネット102の美観が損なわれないようにすることができる。
【0068】
(変形例2)
変形例2に係る表示装置は、可撓性爪部の構成のみが実施の形態及び変形例1と異なるため、以下では主にこの相異点について説明する。可撓性爪部は、L字固定部材の脱落を防止するためのものであり、L字固定部材によってパネルモジュールのフロントキャビネットに取り付けられた後は、可撓性爪部はL字固定部材に殆ど力を加えない。このため、L字固定部材と、パネルモジュールとの間には、表示装置の前後方向においてガタが生じ、音声によるビビリ等が発生していた。ビビリの対策として、L字固定部材と、パネルモジュールとの接触部位に不織布ヒメロンを貼着するなどの方法が考えられるが、作業性の低下、部品点数の増加が問題となる。変形例2に係る表示装置は、作業性の低下、部品点数の増加を回避しつつ、音声によるビビリを防止するものである。
【0069】
図18は、変形例2に係る表示装置の要部を示す拡大側断面図である。変形例2に係る表示装置は、実施の形態と同様、パネルモジュール1、フロントキャビネット202及びバックキャビネット203を備える。バックキャビネット203は、実施の形態又は変形例1と同様の構成であり、パネルモジュール1の背面側を覆う皿形覆部231と、皿形覆部231の周縁に連なる後筒部232とを有する。また、L字固定部材204は、変形例1と同様、L字状をなし、可撓性爪部223cが掛止する孔部241cを有する掛止板241、及び前記パネルモジュール1の後面に当接する当接板242を有する。掛止板241及び当接板242は、それぞれ略矩形状であり、長辺同士が連なっている。
【0070】
フロントキャビネット202は、パネルモジュール1の表示面側の周縁を覆う枠板部221と、該枠板部221の外周縁から後方へ連なり、パネルモジュール1の外周を覆う前筒部222とを有する。枠板部221の後面及び前筒部222の内面には、L字固定部材204を掛止する掛止手段223が設けられている。掛止手段223は、フロントキャビネット202の横方向両側部及び上部にそれぞれ複数設けられている。掛止手段223は、前筒部222の内面からパネルモジュール1側へ突出し、途中で後方へ伸びる可撓性爪部223cと、可撓性爪部223cが掛止したL字固定部材204を支持する支持部材(不図示)とを有する。支持部材の構成は、実施の形態又は変形例1と同様である。可撓性爪部223cの基部223eは弾性を有し、該基部223eを中心にして、パネルモジュール1に対して接離する方向へ回動するヒンジ機能を有する。可撓性爪部223cの先端部には、実施の形態又は変形例1と同様、L字固定部材204に掛止する鉤状部分が設けられている。
また、可撓性爪部223cの長さは、製造誤差によって変動する最も薄いパネルモジュール1に合わせて、設定されている。つまり、前後方向の幅が最も小さいパネルモジュール1に、L字固定部材204を用いてフロントキャビネット202を取り付けた場合、音声によりビビリが発生しない程度に、L字固定部材204と、パネルモジュール1とが密着して当接するように、L字固定部材204の前後方向の寸法が決定されている。
【0071】
図19は、変形例2に係る表示装置の作用を示す拡大側断面図である。図19に示すように、製造誤差によって、パネルモジュール1の前後方向の幅が厚くなった場合、L字固定部材204は、図18に比べて右側(背面側)寄りに位置することになるが、L字固定部材204は、ヒンジ機能を有しているため、図19中、反時計回りに回動し、L字固定部材204に掛止する。この場合、パネルモジュール1の寸法誤差などがあっても、L字固定部材204はパネルモジュール1の背面に密着するように当接し、音声によるビビリは発生しない。また、L字固定部材204が図18に比べて、右側(背面側)に位置したとしても、可撓性爪部223cは、L字固定部材204に対する掛止位置を変化させるため、L字固定部材204の取り付けに、大きな力を要することは無い。
【0072】
このように構成された変形例2に係る表示装置にあっては、図18及び図19に示すように、パネルモジュール1の厚み等に寸法誤差があっても、L字固定部材204がパネルモジュール1に密着するように当接させて音声によるビビリを防止することができ、しかもL字固定部材204を取り付ける際、該L字固定部材204を強い力で押し込む必要が無く、容易にL字固定部材204を取り付けることができる。
【0073】
(変形例3)
図20は、変形例3に係る表示装置の要部を示す拡大側断面図である。変形例3に係る表示装置は、実施の形態と同様、パネルモジュール1、フロントキャビネット302及びバックキャビネット303を備える。バックキャビネット303は、実施の形態又は変形例1と同様の構成であり、パネルモジュール1の背面側を覆う皿形覆部331と、皿形覆部331の周縁に連なる後筒部332とを有する。
【0074】
L字固定部材304は、変形例1と同様、L字状をなし、可撓性爪部323cが掛止する孔部341cを有する掛止板341、及び前記パネルモジュール1の後面に当接する当接板342を有する。掛止板341及び当接板342は、それぞれ略矩形状であり、長辺同士が連なっている。ただし、当接板342は、背面側が凹になるように湾曲しており、当接板342と、パネルモジュール1の背面は線接触している。
【0075】
フロントキャビネット302は、パネルモジュール1の表示面側の周縁を覆う枠板部321と、該枠板部321の外周縁から後方へ連なり、パネルモジュール1の外周を覆う前筒部322とを有する。枠板部321の後面及び前筒部322の内面には、L字固定部材304を掛止する掛止手段323が設けられている。掛止手段323の可撓性爪部323cの構成は実施の形態と同様である。可撓性爪部323cの長さは、製造誤差によって変動する最も薄いパネルモジュール1に合わせて、設定されている。つまり、前後方向の幅が最も小さいパネルモジュール1に、L字固定部材304を用いてフロントキャビネット302を取り付けた場合、音声によりビビリが発生しない程度に、L字固定部材304と、パネルモジュール1とが密着して当接するように、L字固定部材304の前後方向の寸法が決定されている。
【0076】
図21は、変形例3に係る表示装置の作用を示す拡大側断面図である。図21に示すように、製造誤差によって、パネルモジュール1の前後方向の幅が厚くなった場合、L字固定部材304は、図20に比べて右側(背面側)寄りに位置することになるが、L字固定部材304は、図21中、反時計回りに回動し、L字固定部材304に掛止する。この場合、パネルモジュール1の寸法誤差などがあっても、L字固定部材304はパネルモジュール1の背面に線接触するように当接し、音声によるビビリは発生しない。また、L字固定部材304が図20に比べて、右側(背面側)に位置したとしても、L字固定部材304は、可撓性爪部323cに対する掛止位置を変化させるため、L字固定部材304の取り付けに、大きな力を要することは無い。
【0077】
このように構成された変形例3に係る表示装置にあっては、図20及び図21に示すように、パネルモジュール1の厚み等に寸法誤差があっても、L字固定部材304がパネルモジュール1に密着するように当接させて音声によるビビリを防止することができ、しかもL字固定部材304を取り付ける際、該L字固定部材304を強い力で押し込む必要が無く、容易にL字固定部材304を取り付けることができる。
【0078】
(変形例4)
図22は、変形例4に係る表示装置の要部を示す拡大側断面図である。変形例4に係る表示装置は、実施の形態と同様、パネルモジュール1、フロントキャビネット402及びバックキャビネット403を備える。バックキャビネット403は、実施の形態又は変形例1と同様の構成であり、パネルモジュール1の背面側を覆う皿形覆部431と、皿形覆部431の周縁に連なる後筒部432とを有する。フロントキャビネット402は、パネルモジュール1の表示面側の周縁を覆う枠板部421と、該枠板部421の外周縁から後方へ連なり、パネルモジュール1の外周を覆う前筒部422とを有する。枠板部421の後面及び前筒部422の内面には、L字固定部材404を掛止する掛止手段423が設けられている。掛止手段423の可撓性爪部423cの構成は、実施の形態又は各変形例と同様である。ただし、可撓性爪部423cの前後方向の寸法は、可撓性爪部423cの先端部が、パネルモジュール1に固定されたL字固定金具よりも背面側に位置するように構成されている。
【0079】
また、L字固定部材404は、変形例1と同様、L字状をなし、可撓性爪部423cが掛止する孔部441cを有する掛止板441、及び前記パネルモジュール1の後面に当接する当接板442を有する。
【0080】
このように構成された変形例4に係る表示装置にあっては、可撓性爪部423cの先端が、パネルモジュール1よりも背面側へ突出しているため、メンテナンス時に、フロントキャビネット402からパネルモジュール1を取り外す際、可撓性爪部423cの先端が良く見え、また、可撓性爪部423cの先端に指を掛け易く、容易に、パネルモジュール1を取り外すことができる。
【0081】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 パネルモジュール
2 フロントキャビネット
3 バックキャビネット
4 L字固定部材
5 チューナ
6 電気回路
7 スタンド
11 液晶パネル
11a 表示面
12 バックライト装置
13 保持枠体
21 枠板部
22 前筒部
23a、23b 支持部材
23c 可撓性爪部
24 当接部材
24a、24b 当接片(当接部材)
31 皿形覆部
32 後筒部
32a 規制爪部(規制部)
41 掛止板
41a,41b 凹部
41c 孔部
42 当接板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に表示面を有するパネルモジュールと、該パネルモジュールの周縁部を取り囲むフロントキャビネットと、前記パネルモジュールの後側を覆うバックキャビネットとを備えた表示装置において、
前記フロントキャビネットの内面から前記バックキャビネット側へ突出した可撓性爪部と、
L字状をなし、該可撓性爪部が掛止する孔部を有する掛止板、及び前記パネルモジュールの後面に当接する当接板を含み、前記フロントキャビネットを前記パネルモジュールに固定するL字固定部材と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記可撓性爪部が前記掛止板の孔部から外れる方向へ撓むことを規制する規制部を、前記バックキャビネットに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記可撓性爪部が掛止した前記L字固定部材を支持する支持部材を前記フロントキャビネットに備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記支持部材は、
前記可撓性爪部が対向している前記パネルモジュールに沿って前記可撓性爪部の両側に2つ設けられ、前記可撓性爪部に掛止した前記掛止板を該可撓性爪部と共に挟み込むよう構成されており、
前記掛止板から該掛止板が対向している前記パネルモジュールに沿って突出した突出片と、
前記フロントキャビネットの内面から前記バックキャビネット側へ突出しており、前記突出片に当接して前記L字固定部材の取り付け位置を位置決めするための位置決め突起と
を備えることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記位置決め突起は、
前記L字固定部材を前記可撓性爪部に掛止させる場合に該L字固定部材が前記パネルモジュールの周縁部に沿った方向へ移動することを規制する第1条体と、
前記L字固定部材を前記可撓性爪部に掛止させる場合に該L字固定部材が前記バックキャビネット側へ移動することを規制する第2条体と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記当接板は、
前記パネルモジュールの後面に当接する当接凸部を備え、
該当接凸部と、前記可撓性爪部が掛止する部分とは、前記パネルモジュールの周縁部に沿った方向に離隔している
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記フロントキャビネットの前記可撓性爪部よりも横方向及び上下方向内側に設けられており、前記パネルモジュールの外周面に当接する当接部材を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記可撓性爪部は、
前記フロントキャビネットの両側部及び上部の内面に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項9】
前記フロントキャビネットは、
パネルモジュールの表示面側の周縁を覆う枠板部と、
該枠板部の外周縁から後方へ連なり、パネルモジュールの外周を覆う前筒部と
を有し、
前記可撓性爪部は、
前記前筒部の内面から突出しており、パネルモジュールに対して接離する方向へ撓むように構成してある
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項10】
前記当接板は、パネルモジュール側が凸になるように湾曲している
ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項11】
前記可撓性爪部は、
先端が前記パネルモジュールよりも後側に位置している
ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項12】
前記パネルモジュールは、
液晶パネルと、
該液晶パネルの後面側に配されたバックライト装置と、
前記液晶パネル及び前記バックライト装置を一体的に保持する保持枠体と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか一つに記載の表示装置と、
映像信号を受信する受信部と
を備え、
前記表示装置は、
前記受信部が受信した映像信号にて映像を表示するようにしてある
ことを特徴とするテレビ受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−33190(P2013−33190A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243646(P2011−243646)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【特許番号】特許第5100880号(P5100880)
【特許公報発行日】平成24年12月19日(2012.12.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】