説明

表示装置及びプログラム

【課題】音に関連させた3次元表示を実現できるようにする。
【解決手段】中央制御部1は、コンテンツ記憶部CTから再生対象のコンテンツを読み出し、このコンテンツ内の画像に対応付けられている音からその音の情報(振幅、周波数、チャンネル数など)を検出取得すると共に、この取得した音の情報に応じて3D表示に関する表示制御方法を決定し、この表示方法に応じた表示処理を実行して3D対応表示部8に表示させるようにしている。例えば、音の振幅が大きい程、3D表示の飛び出し量が大きくなるように制御したり、音のチャンネル数が多い程、3D表示の飛び出し量が大きくなるように制御したりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を立体的に視認させる3次元表示が可能な表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面状の表示部に画像(静止画、動画)、テキスト、メニューなどの画像を3次元表示(3D表示)することにより使用者(視認者)に立体視させるようにした技術としては、各種の技術があり、例えば、2次元(2D)画像の中のオブジェクトを立体的に見せるような視覚効果を施すようにした技術がある。なお、ポリゴンを利用した技術は、この技術の一例である。また、視認者の右目と左目の視差を利用した技術もある。すなわち、互いに少しずらした右目用の画像と左目用の画像を用意し、それら2つの画像を同時に表示させた際に、右目用の画像は右目で見えて左目では見えないように、左目用の画像は左目で見えて右目では見えないようにするために、光の経路を遮断する電子式の視差バリア(スイッチング液晶パネル)を適切な位置に配置することによって画像を立体に見せるようにした技術である。
【0003】
上述したいずれの3D表示技術においても、3Dの飛び出し量が大きいほど、視認者には画像がより飛び出して見えることになる。なお、飛び出し量がゼロでは、2Dに見える(すなわち2D表示する)ということになる。
ところで、従来では、従来、電子式の視差バリアを用いて、2次元画像から違和感のない3次元画像を作成するようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−320189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、2D画像から3D画像を作成するために、2D表示の場合よりも表現力の高い3D表示を得ることができるが、例えば、プレゼンテーション効果や娯楽性(エンターテイメント性)など、更なる表現力の向上まで検討されているものではなかった。
【0006】
本発明の課題は、音に関連させた3次元表示を実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、画像を立体的に視認させる3次元表示が可能な表示装置であって、画像に対応付けられた音からその音の情報を取得する取得手段と、この取得手段により取得された音の情報に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する決定手段と、この決定手段により決定された表示方法に応じた表示処理を実行させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記音の情報は、音の振幅情報であり、前記決定手段は、前記取得手段により取得された振幅に応じて3次元表示に関する飛び出し量を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項2に従属する発明として、前記決定手段は、前記取得手段により取得された振幅が大きい程、3次元表示の飛び出し量が大きくなるように決定する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項2に従属する発明として、前記決定手段は、前記取得手段により取得された振幅が所定の値以上又は以下の場合に3次元表示を行うように決定する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、前記音の情報は、音の周波数情報であり、前記決定手段は、前記取得手段により取得された周波数に応じて3次元表示に関する飛び出し量を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項5に従属する発明として、前記決定手段は、前記取得手段により取得された周波数が高い程、3次元表示の飛び出し量が大きくなるように決定する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項5に従属する発明として、前記決定手段は、前記取得手段により取得された周波数が所定の値以上又は以下の場合に3次元表示を行うように決定する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項1に従属する発明として、前記音の情報は、音のチャンネル数の情報であり、前記決定手段は、前記取得手段により取得されたチャンネル数の情報に応じて3次元表示に関する表示方法を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0015】
請求項8に従属する発明として、前記決定手段は、前記取得手段により取得されたチャンネル数が多い程、3次元表示の飛び出し量が大きくなるように決定する、ようにしたことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0016】
請求項1に従属する発明として、前記決定手段は、前記取得手段により取得された振幅又は周波数の微分値に応じて3次元表示に関する飛び出し量を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0017】
請求項1に従属する発明として、3次元表示に関する表示制御方法をユーザが設定可能なユーザ設定手段を更に備え、前記決定手段は、前記ユーザ設定手段により設定された設定内容に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項11記載の発明であってもよい。
【0018】
また、上述した課題を解決するために請求項12記載の発明は、画像を立体的に視認させる3次元表示が可能な表示装置であって、前記画像の中から音の発生領域を取得する領域取得手段と、この領域取得手段により取得された領域に対して、他の領域と異なる3次元表示を行う表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項12に従属する発明として、前記画像の中から特定の動きのある領域を検出する動き抽出手段を更に備え、前記領域取得手段は、前記動き抽出手段によって抽出された動きのある領域を音の発生領域として取得する、ようにしたことを特徴とする請求項13記載の発明であってもよい。
【0020】
請求項12に従属する発明として、画像に対応付けられた音からその音の情報を取得する音情報取得手段を更に備え、前記表示制御手段は、前記音情報取得手段により取得された音の情報に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する決定手段を含む、ようにしたことを特徴とする請求項14記載の発明であってもよい。
【0021】
請求項12に従属する発明として、3次元表示に関する表示制御方法をユーザが設定可能なユーザ設定手段を更に備え、前記決定手段は、前記ユーザ設定手段により設定された設定内容に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項15記載の発明であってもよい。
【0022】
また、上述した課題を解決するために請求項16記載の発明は、コンピュータに対して、画像を立体的に視認させる3次元表示を行う機能と、音の情報を取得する機能と、前記取得された音の情報に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する機能と、前記決定された表示方法に応じた表示処理を実行する機能と、を実現させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0023】
また、上述した課題を解決するために請求項17記載の発明は、コンピュータに対して、画像を立体的に視認させる3次元表示を行う機能と、前記画像の中から音の発生領域を取得する機能と、前記取得された領域に対して、他の領域と異なる3次元表示を行う機能と、を実現させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、音に関連させた3次元表示を実現することができ、表現力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】表示装置として適用した携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】ユーザ設定テーブルUTを説明するための図。
【図3】(1)〜(6)は、音の振幅に応じて3D表示の飛び出し量を制御する場合に、どのような制御を行うかの表示方法を示した図。
【図4】図3(4)の“不感帯付き正比例”及び図3(6)の“不感帯付きステップ”において、不感帯を特定するための閾値を示した図。
【図5】(1)〜(3)は、音の周波数に応じて3D表示の飛び出し量を制御する場合に、どのような制御を行うかの表示方法を示した図。
【図6】音の振幅変化速度が速くなるに従って飛び出し量を正比例的に大きくする“正比例”の表示方法を示した図。
【図7】表示方法が“チャンネル数(マルチ)”の場合に使用されるチャンネル数テーブルCHを説明するための図。
【図8】ユーザ操作によってコンテンツ再生が指示された際に実行開始されるコンテンツ再生処理を示したフローチャート。
【図9】3D表示処理(図8のステップA13)を詳述するためのフローチャート。
【図10】第2実施形態のユーザ設定テーブルUTを説明するための図。
【図11】(1)〜(3)は、第2実施形態において、音の発生源である領域が含まれている画像を例示した図。
【図12】第2実施形態において、3D表示処理(図8のステップA13)を詳述するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、図1〜図9を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態は、表示装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
携帯電話機は、例えば、2つの筐体(操作部筐体、表示部筐体)を折り畳み自在に取り付けた折り畳みタイプの携帯電話機で、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)などのほか、画像と共に音を含むコンテンツを再生出力するコンテンツ再生機能を備えている。なお、この実施形態においては、予め記憶されているコンテンツを再生対象のコンテンツとした場合で説明する。
【0027】
このコンテンツ再生機能は、画像と共に音を含むコンテンツとして、映画コンテンツ、テレビ放送の録画コンテンツ、AV(オーディオビジュアル)コンテンツなどを再生出力する機能であり、動画に限らずに、静止画を立体的に視認させる3次元表示(3D表示)が可能な3D表示機能を有している。この3D表示機能は、左右の目の視差を利用した視差バリア方式によって、動画、静止画、テキストなどの画像を3D表示として所定の飛び出し量を持たせて表示させる機能である。ここで、3D表示の飛び出し量とは、正の値に限らず、負の値であってもよく、正の飛び出し量が大きければ、視認者には画像がより飛び出して見え、また、飛び出し量が負であれば、画像が引き込まれた奥行きとして見える。なお、飛び出し量が0(ゼロ)であれば、2次元表示(2D表示)に見えるようになる。このように飛び出しとは、正の値に限らず、負の値であってもよく、画像が視認者の方向に向かって来るような飛び出しに限らずに画像が引き込まれるような奥行きも含み、飛び出し量には奥行き量も含むことを意味している。
【0028】
なお、図示省略したが、携帯電話機は、最寄りの基地局に接続されると、この無線通信網を介して他の携帯電話機との間で通話可能な状態となり、また、携帯電話機は、無線通信網を介してインターネットに接続されると、Webサイトをアクセスして閲覧可能となるほか、情報配信装置から映画、テレビ放送番組、ニュースなどのマルチメディアのコンテンツをインターネット及び無線通信網を介してダウンロード可能となる。
【0029】
中央制御部1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御するもので、この中央制御部1にはCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部3は、ROM、RAMなどの内部メモリで、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図8及び図9に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。また、記憶部3のデータ領域には、フラグ情報、タイマ情報、この携帯電話機の動作に必要な各種の情報が一時記憶され、また、各種のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部CT、後述するユーザ設定テーブルUTなどが設けられている。なお、記憶部3は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しない所定の外部サーバ上にあってもよい。
【0030】
無線通信部4は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調して中央制御部1に対して出力すると、中央制御部1は、音声信号処理部5を介して通話用スピーカSPから音声出力させる。また、通話用マイクMCからの入力音声データが音声信号処理5から中央制御部1を介して供給されると、無線通信部4は、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナATから送信させる。操作部6は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、中央制御部1は、この操作部6からの入力操作信号に応じた処理を実行する。アプリ処理関係部7は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能、コンテンツ再生機能などのアプリケーション処理に関する情報を記憶したり、その処理に関する制御を行ったりする。
【0031】
3D対応表示部8は、高精細液晶を使用し、例えば、文字情報、待受画像、映像などの画像を表示させるもので、例えば、この表示部8の表面には、視差バリア(図示省略)を生成するための液晶の層が設けられることによって3D表示が可能となっている。2D/3D変換処理部9は、2D画像を3D表示の飛び出し量に応じた右目用の画像と左目用の画像に変換したり、3D画像を2D画像に変換したりするもので、この2D/3D変換処理部9によって変換された画像は、表示部8に3D表示されたり、2D表示されたりする。
【0032】
サウンドスピーカ10は、着信時にメロディ音などを発生出力するほか、コンテンツ再生時に、表示部8に表示されている画像に対応して当該コンテンツ内に含まれている音(音声)を再生出力するものである。中央制御部1は、音解析機能を有し、コンテンツ再生中において当該コンテンツ内に含まれている音を解析することによってその音の情報(振幅、周波数、チャンネル数など)を検出取得するようにしている。そして、中央制御部1は、この検出取得した音の情報(振幅、周波数、チャンネル数など)に応じて3D表示に関する表示制御方法を決定し、この表示方法に応じた表示処理を表示部8に表示されている画像に対して実行するようにしている。ここで、3D表示に関する表示制御方法とは、音の情報に応じて3D表示の飛び出し量を制御したり、音の情報に応じて2D表示と3D表示との切り替えを制御したりすることである。
【0033】
図2は、ユーザ設定テーブルUTを説明するための図である。
ユーザ設定テーブルUTは、ユーザ操作によって任意に設定された3D表示に関する表示制御情報を複数記憶するテーブルで、「設定種別」、「項目」、「設定フラグ」を有している。「設定種別」は、設定する情報の種類を示し、“実行可否”、“音情報の種類”、“表示方法”が設定される。“実行可否”は、3D表示に関する表示制御(以下、3D表示制御と略称する)を実行するか否かを示す情報である。“音情報の種類”は、音の情報に応じて3D表示制御を実行する場合に、どのような種類の音の情報で実行するかを示す情報である。“表示方法”は、音の情報に応じて3D表示制御を実行する場合に、その表示制御の仕方を示す情報である。「項目」は、設定する表示制御情報の具体的な内容を示し、「設定フラグ」は、「項目」内のいずれの表示制御情報が有効か否かを示している。“実行可否”の「項目」として“0=実行不可”、“1=実行可”を有し、この、“実行可否”に対応する「設定フラグ」は、図示の例では、その値が“1”、つまり、3D表示制御の実行を指示する設定内容となっている。
【0034】
“音情報の種類”の「項目」としては、“1=振幅”、“2=周波数”、“3=振幅変化速度”、“4=周波数変化速度”、“5=チャンネル数”を有している。「設定フラグ」は、音の情報として、どの種類が有効であるか(ユーザ操作によって選択されたか)を示し、“1=振幅”、“2=周波数”、“3=振幅変化速度”、“4=周波数変化速度”、“5=チャンネル数”の中からその種類の先頭部分に付されている数値“1”〜“5”によって、ユーザ操作によって選択された種類を指定するようにしている。なお、図示の例では、「設定フラグ」の値が“1”、つまり、音の種類として振幅が指定されている場合の設定内容となっている。
【0035】
“振幅”は、所定時間(例えば、1/10秒)内の平均的な音の振幅で、この音の振幅(音の強弱:音量)に応じて3D表示の飛び出し量を制御することを示し、この実施形態では、振幅が大きい(音が強い)程、飛び出し量が大きくなるように制御するようにしている。“周波数”は、所定時間(例えば、1/10秒)内の平均的な音の周波数で、この音の周波数(音の高低:音階、音程)に応じて3D表示の飛び出し量を制御することを示し、この実施形態では、例えば、周波数が高い(音が高い)程、飛び出し量が大きくなるように制御することができる。
【0036】
“振幅変化速度”は、音の振幅の微分値(振幅の変化の仕方の速さ)に応じて3D表示の飛び出し量を制御することを示し、この実施形態においては、例えば、その微分値が大きい程(振幅変化速度が速い程)、飛び出し量が大きくなるように制御することができる。また、“周波数変化速度”は、音の周波数の微分値(周波数の変化の仕方の速さ)に応じて3D表示の飛び出し量を制御することを示し、この実施形態においては、例えば、その微分値が大きい程(周波数変化速度が速い程)、飛び出し量が大きくなるように制御することができる。“チャンネル数”は、音のチャンネル数に応じて3D表示の飛び出し量を制御することを示し、この実施形態では、例えば、音のチャンネル数が多い程、飛び出し量が大きくなるように制御することができる。
【0037】
“表示方法”の「項目」としては、“振幅”に対応して、例えば、“1=正比例”、“2=折れ線”、“3=曲線(正相関)”、“4=不感帯付き正比例”、“5=曲線(正負)”、“6=不感帯付きステップ”を有している。この“正比例”、“折れ線”、“曲線(正相関)”、“不感帯付き正比例”、“曲線(正負)”、“ステップ”は、音の振幅(音の強弱)に応じて3D表示の飛び出し量を制御する場合に参照され、どのような制御を行うかの表示方法を示し、図3(1)〜(6)は、その表示方法を示している。「設定フラグ」は、表示方法の種類としてどれが有効であるか(ユーザ操作によって選択されたか)を示し、その種類の先頭部分に付されている数値“1”〜“5”によって、ユーザ操作によって選択された種類を指定するようにしている(以下、他の表示方法の設定フラグについても同様)。なお、図示の例では、”表示方法”の“振幅”に対応する「設定フラグ」の値は、“2”、つまり、表示方法として曲線(正相関)が指定されている場合の設定内容となっている。
【0038】
図3(1)は、音の振幅が大きくなるに従って飛び出し量を大きくする“正比例”の表示方法を示している。図3(2)は、音の振幅が大きくなるに従って飛び出し量を折れ線的に大きくする“折れ線”の表示方法を示している。図3(3)は、音の振幅が大きくなるに従って飛び出し量を正相関の曲線的に大きくする“曲線(正相関)”の表示方法を示している。図3(4)は、音の振幅が所定の閾値以上となってから振幅が大きくなるに従って飛び出し量を大きくし、その閾値未満では飛び出し量=ゼロとする“不感帯付き正比例”の表示方法を示している。図3(5)は、音の振幅が大きくなるに従って飛び出し量を負の値から正の値に曲線的に大きくする“曲線(正負)”の表示方法を示している。なお、飛び出し量が“負”の場合とは、負の向きに飛び出す(引き込まれる:奥行きがある)ことを示している。図3(6)は、音の振幅が所定の閾値以上となってから振幅が大きくなるに従って飛び出し量をステップ的(階段的)に大きくし、その閾値未満では飛び出し量=ゼロとする“不感帯付きステップ”の表示方法を示している。
【0039】
図4は、図3(4)の“不感帯付き正比例”及び図3(6)の“不感帯付きステップ”において、不感帯を特定するための閾値を説明するための図である。なお、図中、横軸tは時間軸を示し、縦軸は振幅を示している。音の振幅が所定の閾値(+)未満では、3D表示の飛び出し量が“0(ゼロ)”となるために2D表示となり、閾値(+)以上では、飛び出し量が“1”以上となるために3D表示となる。つまり、”表示方法”が不感帯付きの場合、音の振幅に応じて3D表示の飛び出し量を制御することによって2D表示と3D表示との切り替えが行われることになる。なお、図4に示したように、音の振幅に関する閾値は、閾値(+)に限らず、閾値(−)であってもよい。また、ヒステリシス制御によって2D表示と3D表示とが頻繁に切り替えられることを防止するようにしてもよい。
【0040】
また、図2に示すように“表示方法”の「項目」としては、“周波数”に対応して、例えば、“1=正比例”、“2=不感帯付き正比例”、“3=不感帯付き逆比例”を有している。この“正比例”、“不感帯付き正比例”、“不感帯付き逆比例”は、音の周波数(音の高低)に応じて3D表示の飛び出し量を制御する場合に参照され、どのような制御を行うかの表示方法を示し、図5(1)〜(3)は、その表示方法を示している。すなわち、図5(1)は、音の周波数が高くなるに従って飛び出し量を大きくする“正比例”の表示方法を示している。
【0041】
図5(2)は、音の周波数が所定の閾値以上となってから周波数が大きくなるに従って飛び出し量を大きくし、その閾値未満では飛び出し量=ゼロとする“不感帯付き正比例”の表示方法を示している。図5(3)は、音の周波数が高くなるに従って飛び出し量を逆比例的に小さくし、音の周波数が閾値以上となったときに飛び出し量=ゼロとする“不感帯付き逆比例”の表示方法を示している。なお、図2の”表示方法”において“周波数”に対応する「設定フラグ」の値は、“0”、つまり、“周波数”の表示方法は指定されていない場合の設定内容となっている(以下、他の表示方法の設定フラグについても同様)。
【0042】
また、“表示方法”の「項目」としては、“振幅変化速度”に対応して、“0=正比例”、…を有している。図6は、音の振幅変化速度が速くなるに従って飛び出し量を正比例的に大きくする“正比例”の表示方法を示している。同様に、”表示方法”の「項目」としては、
“周波数変化速度”に対応して、“1=正比例”、…を有している。また、“表示方法”の「項目」としては、“チャンネル数”に対応して、“1=チャンネル数(2ch)”、“2=チャンネル数(マルチ)”とを有している。“チャンネル数(2ch)”は、モノラル/ステレオに応じて2次元表示/3D表示の切り替えを制御することを示し、この実施形態では、モノラルであれば、2次元表示に切り替え、ステレオであれば、3D表示に切り替えるようにしている。
【0043】
“チャンネル数(マルチ)”は、例えば、ステレオ(2ch)に更なるなるチャンネルが追加された場合(サラウンドなど)のもので、チャンネル数に応じて3D表示の飛び出し量を制御することを示し、この実施形態では、図7のチャンネル数テーブルCHを参照して、そのチャンネル数が多い程、飛び出し量が大きくなるように制御するようにしている。図7は、“表示方法”が“チャンネル数(マルチ)”の場合に使用されるチャンネル数テーブルCHを示した図で、このチャンネル数テーブルCHは、チャンネル数と飛び出し量との関係を定義するもので、チャンネル数が“1”(モノラル)のときには、飛び出し量が“0(ゼロ)”となるが、チャンネル数が多い程、飛び出し量が大きくなるようなテーブル内容となっている。
【0044】
次に、第1実施形態における携帯電話機の動作概念(特徴部分)を図8及び図9に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0045】
図8は、ユーザ操作によってコンテンツ再生が指示された際に実行開始されるコンテンツ再生処理を示したフローチャートである。なお、図8は、携帯電話機の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートで、この図8のフローから抜けた際には、携帯電話機の全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
先ず、中央制御部1は、ユーザ設定テーブルUTをアクセスして、その内容を一覧表示させた後(ステップA1)、そのユーザ設定テーブルUTの内容を変更する設定変更が指示されたかを調べる(ステップA2)。いま、ユーザ設定テーブルUTの内容を変更する設定変更が指示されたときには(ステップA2でYES)、その「設定種別」として“実行可否”、“音情報の種類”、“表示方法”に対応する「設定フラグ」の変更を受け付けてその内容を書き替える設定変更処理に移る(ステップA3)。これによってユーザ設定テーブルUTの内容を任意に変更した後は、上述のステップA2に戻る。
【0046】
また、ユーザ設定テーブルUTの内容を変更する設定変更が指示されなければ(ステップA2でNO)、ユーザ操作によってコンテンツの再生が指示されたかを調べたり(ステップA4)、コンテンツ再生の終了を指示する終了操作が行われたかを調べたりする(ステップA5)。いま、コンテンツ再生の指示操作や終了操作が行われなければ(ステップA5でNO)、上述のステップA2に戻るが、コンテンツ再生の指示操作が行われたときには(ステップA4でYES)、コンテンツ記憶部CTの内容を読み出して、そのコンテンツ名などを一覧表示させる(ステップA6)。そして、このコンテンツ一覧画面の中から再生対象のコンテンツがユーザ操作によって任意に選択されると(ステップA7)、この選択されたコンテンツに対して再生開始を指示する開始操作が行われたかを調べ(ステップA8)、開始操作が行われるまで待ち状態となる。
【0047】
いま、コンテンツの再生開始操作が行われたときには(ステップA8でYES)、再生対象として選択されたコンテンツの先頭からその再生動作を開始させるが(ステップA9)、その際、ユーザ設定テーブルUTの“実行可否”に対応する「設定フラグ」を参照して(ステップA10)、3D表示に関する制御として、音に応じた表示制御を実行するか否かを判別する(ステップA11)。ここで、“実行可否”の「設定フラグ」の値が“0”(実行不可)の場合には(ステップA11でNO)、3D表示を実行しない場合であるから、ステップA12に移り、2D表示処理として、再生対象コンテンツ内の画像を2D表示させると共に、その画像に対応する音をサウンドスピーカ10から出力させる。また、“実行可否”の「設定フラグ」の値が“1”(実行可)の場合には(ステップA11でYES)、3D表示処理に移る(ステップA13)。
【0048】
図9は、上述した3D表示処理(図8のステップA13)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、中央制御部1は、ユーザ設定テーブルUTの“音情報の種類”を参照し(ステップB1)、3D表示制御をどのような種類の音の情報で実行するか、つまり、“振幅”、“周波数”、“振幅変化速度”、“周波数変化速度”、“チャンネル数”のいずれで3D表示制御を実行するのかを判別する(ステップB2)。いま、“音情報の種類”の「設定フラグ」の値が“1”、つまり、音の種類として“振幅”が選択されているときには(ステップB2)、その音を解析して振幅を検出取得する(ステップB3)。ここで、振幅を取得する際には、所定のサンプリング周期にしたがって所定時間毎に音の振幅を検出取得するようにしているが、予め音声トラック部に記録されている振幅を読み出し取得するようにしてもよい。
【0049】
更に、ユーザ設定テーブルUTの“表示方法”を参照し(ステップB4)、3D表示制御をどのような内容で実行するか、つまり、音の種類として“振幅”が設定されている場合に、図3(1)〜(6)に示す“正比例”、“折れ線”、“曲線(正相関)”、“不感帯付き正比例”、“曲線(正負)”、“不感帯付きステップ”のうち、そのいずれの内容で3D表示制御を実行するのかを、対応する「設定フラグ」の値から判別して表示方法を決定し(ステップB5)、その“表示方法”で3D表示処理の実行に移り、再生対象コンテンツ内の画像を3D表示させると共に、その画像に対応する音をサウンドスピーカ10から出力させる(ステップB6)。その後、図8のフローに戻る。
【0050】
また、ユーザ設定テーブルUTの“音情報の種類”を参照した結果、その「設定フラグ」の値が“2”、つまり、音の種類として“周波数”が選択されているときには(ステップB2)、その音を解析して周波数を検出取得する(ステップB7)。そして、ユーザ設定テーブルUTにおいて、周波数に対応する“表示方法”を参照し(ステップB8)、3D表示制御をどのような内容で実行するか、つまり、音の種類として周波数が設定されている場合に、図5(1)〜(3)に示す“正比例”、“不感帯付き正比例”、“不感帯付き逆比例”のうち、そのいずれの内容で3D表示制御を実行するのかを決定する(ステップB9)。この場合、周波数に対応する“表示方法”に対応付けられている「設定フラグ」の値から判別して表示方法を決定する。そして、その“表示方法”で3D表示処理の実行に移り、再生対象コンテンツ内の画像を3D表示させると共に、その画像に対応する音をサウンドスピーカ10から出力させる(ステップB6)。
【0051】
また、音の種類として“振幅変化速度”が選択されているときには(ステップB2)、その音を解析して振幅を検出取得すると共に(ステップB10)、その振幅を微分してその微分値を振幅変化速度として算出する(ステップB11)。そして、ユーザ設定テーブルUTの振幅変化速度に対応する“表示方法”を参照し(ステップB12)、3D表示制御をどのような内容で実行するかを判別してその表示方法を決定し(ステップB13)、その“表示方法”で3D表示処理の実行に移り、再生対象コンテンツ内の画像を3D表示させると共に、その画像に対応する音をサウンドスピーカ10から出力させる(ステップB6)。
【0052】
同様に、音の種類として“周波数変化速度”が選択されているときには(ステップB2)、その音を解析して周波数を検出取得すると共に(ステップB14)、その周波数を微分してその微分値を周波数変化速度として算出する(ステップB15)。そして、ユーザ設定テーブルUTの周波数変化速度に対応する“表示方法”を参照し(ステップB16)、3D表示制御をどのような内容で実行するかを判別して表示方法を決定し(ステップB17)、その“表示方法”で3D表示処理の実行に移り、再生対象コンテンツ内の画像を3D表示させると共に、その画像に対応する音をサウンドスピーカ10から出力させる(ステップB6)。
【0053】
また、音の種類として“チャンネル数”が選択されているときには(ステップB2)、その音を解析してチャンネル数を検出取得する(ステップB18)。そして、ユーザ設定テーブルUTのチャンネル数に対応する“表示方法”を参照し(ステップB19)、3D表示制御をどのような内容で実行するか、つまり、“チャンネル数(2ch)”、“チャンネル数(マルチ)”のうち、そのいずれを実行するのかを、対応する「設定フラグ」の値にから判別して表示方法を決定する(ステップB20)。
【0054】
いま、“チャンネル数(2ch)”であれば(ステップB21でYES)、そのチャンネル数に基づいてステレオであるかを判別し(ステップB22)、ステレオではなければ、つまり、モノラルであれば(ステップB22でNO)、2D表示処理を実行した後(ステップB23)、図8のフローに戻る。また、ステレオであれば(ステップB22でYES)、3D表示処理の実行に移り、再生対象コンテンツ内の画像を3D表示させると共に、その画像に対応する音をサウンドスピーカ10から出力させる(ステップB6)。また、“チャンネル数(マルチ)”であれば(ステップB21でNO)、そのチャンネル数に基づいて図7のチャンネル数テーブルCHを参照することによって、チャンネル数に応じた飛び出し量を決定した後(ステップB24)、3D表示処理の実行に移り、再生対象コンテンツ内の画像を3D表示させると共に、その画像に対応する音をサウンドスピーカ10から出力させる(ステップB6)。
【0055】
上述のようにして3D表示処理(図8のステップA13)を実行した後は、現在の再生位置を検出して、その再生位置はその最後位置か、つまり、再生終了であるかを調べたり(図8のステップA14)、再生終了操作が行われたかを調べたりする(ステップA15)。以下、再生終了検出又は再生終了操作が行われるまで上述のステップA11に戻る。この場合、ユーザ設定テーブルUTの”実行可否”を参照し、その「設定フラグ」の値が“0”(実行不可)であれば(ステップA11でNO)、2D表示処理を繰り返すが(ステップA12)、「設定フラグ」の値が“1”(実行可)であれば(ステップA11でYES)、3D表示処理を繰り返す(ステップA13)。
【0056】
以上のように、第1実施形態において中央制御部1は、画像に対応付けられている音からその音の情報を取得すると共に、この音の情報に応じて決定した3D表示制御方法に応じた表示処理を実行するようにしたので、音に関連させた3D表示を実現することができ、表現力を向上させることができる。すなわち、視認者の視聴感覚特性を利用して画像の表現力(プレゼンテーション効果や娯楽性(エンターテイメント性)など)を向上させることができ、また、聴覚に障害を持つ方にとっても効果的なものとなる。
【0057】
音の振幅に応じて3D表示の飛び出し量を決定するようにすれば、音量で飛び出し量を制御することができ、視覚(飛び出し量)で音量変化を認識することができる。
【0058】
音の振幅が大きい程、3D表示の飛び出し量が大きくなるように決定するようにすれば、音量変化の迫力を画像変化の迫力として表現することができる。
【0059】
音の振幅が所定の値以上の場合に3D表示を行うようにすれば、音量変化に追従した過多な表示制御を防ぐことができ、見やすさを保つことができるほか、3D表示効果のメリハリを付けることができる。
【0060】
音の周波数情報に応じて3D表示の飛び出し量を決定するようにすれば、音階(音程)で飛び出し量を制御することができ、視覚(飛び出し量)で音階変化を認識することができる。
【0061】
音の周波数が高い程、3D表示の飛び出し量が大きくなるように決定するようにすれば、音階変化の迫力を画像変化の迫力として表現することができる。
【0062】
音の周波数が所定の値以上の場合に3D表示を行うようにすれば、音階変化に追従した過多な表示制御を防ぐことができ、見やすさを保つことができるほか、3D表示効果のメリハリを付けることができる。
【0063】
音のチャンネル数に応じて3D表示に関する表示方法を決定するようにすれば、例えば、音のチャンネル数がステレオかモノラルかに応じて2D表示/3D表示に切り替えることができる。
【0064】
音のチャンネル数が多い程、3D表示の飛び出し量が大きくなるように決定するようにすれば、マルチチャンネルの迫力を画像変化の迫力として表現することができる。
【0065】
音の振幅や周波数の微分値に応じて3D表示の飛び出し量を決定するようにすれば、音量変化や音階変化の速さに応じて画像を変化させることができる。
【0066】
ユーザ設定テーブルUTの内容をユーザ操作によって任意に設定可能とするようにすれば、音の情報に応じて3D表示制御を実行するか否かを設定したり、3D表示制御を実行する場合には、どのような種類の音の情報で実行するかを設定したり、その表示制御の仕方を設定したりすることができ、ユーザの意向を反映させることが可能となる。
【0067】
なお、上述した第1実施形態においては、音の振幅が所定の値以上の場合や音の周波数が所定の値以上の場合に3D表示を行うようにしたが、これとは逆に、音の振幅が所定の値以下の場合や音の周波数が所定の値以下の場合に3D表示を行うようにしてもよい。
【0068】
上述した第1実施形態においては、2次元画像を3次元画像に変換する場合の例で説明したが、画像が元々3次元画像の場合であっても、その画像の3次元表示効果を、飛び出し量の制御を変えた異なる3次元画像への変換で、音の情報に応じて程度を変化させるようにして、適用することができる。
【0069】
また、上述した第1実施形態においては、予め画像に対応づけられている音からその音の情報を取得する場合の例で説明したが、音を後から付加して、画像とともに流すようにする場合であってもよい。つまり、画像に対応付けられた音とは、予め画像に対応づけられている音であってもよいし、後から画像に対応付けられた音であってもよい。
【0070】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態について図10〜図12を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、画像に対応付けられている音の情報に応じて3D表示制御を実行する場合に、その画像の全体に対して表示制御を行うのか、画像内の一部に対して表示制御を行うのか、つまり、画像内のどの領域に対して表示制御を行うのかについては、特に言及しなかったが、この第2実施形態においては、画像内の一部分に対して表示制御を行うようにしたものである。この場合、画像内のうち、音の発生源と推定される領域(音発生領域)を特定し、その音発生領域に対して、他の領域とは異なる3D表示を行うようにしている。なお、この音発生領域に対する3D表示制御は、上述した第1実施形態と基本的に同様であるため、その説明を簡略するものとする。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0071】
図10は、第2実施形態のユーザ設定テーブルUTを説明するための図である。
ユーザ設定テーブルUTは、ユーザ操作によって任意に設定された情報を複数記憶するテーブルで、3D表示制御を実行するか否かを示す“実行可否”と、画像内で音の発生源と推定される領域(音発生領域)を特定する場合にユーザ操作によって特定するのか、画像を解析することによって自動的に特定するのかを示す“音発生領域特定方法”とを記憶する構成となっている。“実行可否”の「設定フラグ」は、上述した第1実施形態と同様に、その値が“1”のときに有効、“0”のときに無効を示し、図示の例は、「設定フラグ」の値が“1”、つまり、3D表示を実行する場合であることを示している。
【0072】
また、“音発生領域特定方法”の「設定フラグ」の値が“1”のときには、画像解析による自動特定であることを示し、“0”のときには、ユーザ操作による特定であることを示している。なお、図示の例は、「設定フラグ」の値が“1”、つまり、再生対象コンテンツ内の画像を解析することによって音の発生源と推定される音発生領域を自動的に特定する場合であることを示している。中央制御部1は、画像解析機能を有し、コンテンツ再生中に再生対象の画像の中から特定の動きのある部分を検出し、その部分を音の発生源(音発生領域)であると推測するようにしている。
【0073】
例えば、図11(1)に示すように、和太鼓を演奏している画像(動画)の場合には、画像解析によって画像の中から特定の動きのある部分として、太鼓の部分を認識する。すなわち、太鼓の膜部分の振動(特定の動きのある部分)を、太鼓を叩いた音“ドーン、ドーン”の音源として検出し、その膜部分の全体を音発生領域(図中、破線で囲んだ領域)として特定するようにしている。なお、特定の動き以外の動きとして、ここでは、太鼓の撥の動きや演奏者の動きなどは除かれる。このようにして音発生領域を特定すると、その音発生領域(太鼓の膜部分)に対して、他の領域とは異なる3D表示を行う。すなわち、この音発生領域に対する3D表示は、上述した第1実施形態と同様に、画像に対応付けられている音からその音の情報を取得すると共に、この音の情報に応じて3D表示制御方法を決定し、この3D表示制御方法に応じた表示処理を実行するようにしている(以下、同様)。例えば、太鼓を叩いた音の振幅に応じて音発生領域(太鼓の膜部分)の飛び出し量を制御するようにしている。
【0074】
また、図11(2)に示すように、海辺の画像(動画)の場合には、特定の動きのある部分として、波打ち部分を認識する。すなわち、波打ち部分(特定の動きのある部分)を、
波の音“ザーッ、ザーッ”の音源として検出し、その波打ち部分の全体を音発生領域(図中、破線で囲んだ領域)として特定するようにしている。この場合、音発生領域(波打ち際の部分)に対して、他の領域とは異なる3D表示を行う。例えば、波の音の情報(例えば、周波数)に応じて音発生領域(波打ち際の部分)の飛び出し量を制御するようにしている。また、図11(3)に示すように、選挙での(当選という文字)のフラッシュ画像の場合には、動きのあるフラッシュ画像の全体を、当選を告げる音“トウセンデス、トウセンデス”の音源として検出し、そのフラッシュ画像の全体を音発生領域として特定するようにしている。この場合、音発生領域(フラッシュ画像)に対して、他の領域(背景部分)とは異なる3D表示を行う。例えば、当選を告げる音の情報(例えば、振幅)に応じて音発生領域(フラッシュ画像)の飛び出し量を制御するようにしている。
【0075】
図12は、第2実施形態における3D表示処理(図8のステップA13)を詳述するためのフローチャートである。なお、この第2実施形態におけるコンテンツ再生処理は、図8のフローチャートと同様であるために、その説明は省略するものとする。
先ず、中央制御部1は、ユーザ設定テーブルUTの“音発生領域特定方法”を参照し(ステップC1)、画像内で音の発生源と推定される領域(音発生領域)をどのようにして特定するのか、つまり、音発生領域をユーザ操作によって特定するのか、画像を解析することによって自動的に特定するのかを判別する(ステップC2)。
【0076】
また、“音発生領域特定方法”の「設定フラグ」の値が“0”、つまり、ユーザ操作による特定が選択されている場合には(ステップC2でNO)、ユーザ操作を受け付けて、その操作に応じて音発生領域を特定する(ステップC3)。このようして音発生領域を特定すると、音発生領域に対して3D表示処理を実行し、他の領域(例えば、2D表示させる領域)とは異なる3D表示を行う(ステップC8)。この場合、音発生領域に対して、第1実施形態と同様に、音の情報に応じて3D表示の飛び出し量を制御する処理を行う。その後、図8のフローに戻る。
【0077】
また、“音発生領域特定方法”の「設定フラグ」の値が“1”、つまり、画像解析による自動特定が選択されている場合には(ステップC2でYES)、画像解析処理を実行して(ステップC4)、動きのある領域の有無を調べる(ステップC5)。ここで、動きのある領域の検出は、1つの領域に限らず、複数の領域を検出するようにしてもよい。いま、画像内に動きのある領域が1つも無ければ(ステップC5でNO)、領域を特定せずに、第1実施形態と同様、音の情報に応じた3D表示処理に移り、音の情報に応じて3D表示の飛び出し量を制御する(ステップC6)。このような3D表示処理を実行した後は、図8のフローに戻るが、上述の画像解析の結果、動きのある領域が有れば(ステップC5でYES)、その領域を音発生領域として特定する(ステップC7)。そして、音発生領域の特定に応じて、この音発生領域に対する3D表示処理の実行に移り、他の領域(例えば、2D表示させる領域)とは異なる3D表示を行う(ステップC8)。
【0078】
以上のように、第2実施形態においては、画像の中から音発生領域を取得し、この領域に対して、他の領域と異なる3D表示を行うようにしたので、発生領域を目立たせることができると共に、音に関連させた3D表示を実現することができ、表現力を向上させることが可能となる。
【0079】
画像の中から特定の動きのある領域を音発生領域として特定するようにすれば、画像の動きから音の発生源を容易に推測することができる。
【0080】
画像内の音発生領域に対して、音の情報に応じて3D表示制御を行うようにすれば、この音発生領域に対して第1実施形態と同様の効果を有する。
【0081】
ユーザ設定テーブルUTの内容をユーザ操作によって任意に設定可能とするようにしたので、音の情報に応じて3D表示制御を実行するか否かを設定したり、3D表示制御を実行する場合には、どのような種類の音の情報で実行するかを設定したり、その表示制御の仕方を設定したりすることができ、ユーザの意向を反映させることが可能となる。
【0082】
なお、上述した第2実施形態においては、音発生領域に対して、他の領域(2D表示)とは異なる3D表示を行う場合に、音発生領域と他の領域との関係は、2D表示と3D表示を例示したが、これに限らず、いずれも3D表示を行うようにしてもよい。この場合、音発生領域と他の領域とでは、3D表示の飛び出し量を相違させるようにすればよい。
【0083】
上述した各実施形態においては、コンテンツ記憶部CTに記憶されているコンテンツを再生対象として読み出して再生出力させる場合を例示したが、リアルタイムなコンテンツとして、例えば、テレビ放送を受信して出力させたり、映画コンテンツをストリーミング再生したりする場合でも同様に適用可能である。また、再生対象は動画に限らず、音に対応付けられている静止画であってもよい。
【0084】
また、上述した各実施形態においては、右目用のコンテンツと左目用のコンテンツを同時に表示して、それらが正しく3Dに見えるように視差バリアを表示部8に生成して3D表示を行う方法を例示したが、例えば、コンテンツが3Dに見えるような視覚効果を施して3D表示を行う方法であれば、任意の3D表示方法であってもよい。
【0085】
上述した各実施形態においては、音の情報として、“振幅”、“周波数”、“振幅変化速度”、“周波数変化速度”、“チャンネル数”を例示したが、音長などであってもよく、また、これらの組み合わせであってもよい。
【0086】
上述した各実施形態においては、表示装置として携帯電話機を例示したが、これに限らず、例えば、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、それらの複合機などであってもよい。
【0087】
更に、上述した実施形態において示した“装置”や“機”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 中央制御部
3 記憶部
6 操作部
8 3D対応表示部
9 2D/3D変換処理部
10 サウンドスピーカ
CT コンテンツ記憶部
UT ユーザ設定テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を立体的に視認させる3次元表示が可能な表示装置であって、
画像に対応付けられた音からその音の情報を取得する取得手段と、
この取得手段により取得された音の情報に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する決定手段と、
この決定手段により決定された表示方法に応じた表示処理を実行させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記音の情報は、音の振幅情報であり、
前記決定手段は、前記取得手段により取得された振幅に応じて3次元表示に関する飛び出し量を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記取得手段により取得された振幅が大きい程、3次元表示の飛び出し量が大きくなるように決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記取得手段により取得された振幅が所定の値以上又は以下の場合に3次元表示を行うように決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記音の情報は、音の周波数情報であり、
前記決定手段は、前記取得手段により取得された周波数に応じて3次元表示に関する飛び出し量を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記取得手段により取得された周波数が高い程、3次元表示の飛び出し量が大きくなるように決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記取得手段により取得された周波数が所定の値以上又は以下の場合に3次元表示を行うように決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項8】
前記音の情報は、音のチャンネル数の情報であり、
前記決定手段は、前記取得手段により取得されたチャンネル数の情報に応じて3次元表示に関する表示方法を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記取得手段により取得されたチャンネル数が多い程、3次元表示の飛び出し量が大きくなるように決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項8記載の表示装置。
【請求項10】
前記決定手段は、前記取得手段により取得された振幅又は周波数の微分値に応じて3次元表示に関する飛び出し量を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項11】
3次元表示に関する表示制御方法をユーザが設定可能なユーザ設定手段を更に備え、
前記決定手段は、前記ユーザ設定手段により設定された設定内容に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項12】
画像を立体的に視認させる3次元表示が可能な表示装置であって、
前記画像の中から音の発生領域を取得する領域取得手段と、
この領域取得手段により取得された領域に対して、他の領域と異なる3次元表示を行う表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
前記画像の中から特定の動きのある領域を検出する動き抽出手段を更に備え、
前記領域取得手段は、前記動き抽出手段によって抽出された動きのある領域を音の発生領域として取得する、
ようにしたことを特徴とする請求項12記載の表示装置。
【請求項14】
画像に対応付けられた音からその音の情報を取得する音情報取得手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記音情報取得手段により取得された音の情報に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する決定手段を含む、
ようにしたことを特徴とする請求項12記載の表示装置。
【請求項15】
3次元表示に関する表示制御方法をユーザが設定可能なユーザ設定手段を更に備え、
前記決定手段は、前記ユーザ設定手段により設定された設定内容に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項12記載の表示装置。
【請求項16】
コンピュータに対して、
画像を立体的に視認させる3次元表示を行う機能と、
音の情報を取得する機能と、
前記取得された音の情報に応じて3次元表示に関する表示制御方法を決定する機能と、
前記決定された表示方法に応じた表示処理を実行する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項17】
コンピュータに対して、
画像を立体的に視認させる3次元表示を行う機能と、
前記画像の中から音の発生領域を取得する機能と、
前記取得された領域に対して、他の領域と異なる3次元表示を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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