説明

表示装置及び表示方法

【課題】バックライトとしてLEDを用いることの利点を活かして更なる省電力化を実現した表示装置及び表示方法を提供すること。
【解決手段】表示部と、補助光部と、輝度値検出部と、画素分類部と、補助光制御部と、を表示装置に具備させる。前記表示部は、複数の画素を備える。前記補助光部は、前記複数の画素に対応して設けられた複数の照明素子から成り、前記表示部を照明する。前記輝度値検出部は、前記表示部において表示画像を構成する各画素の輝度値を検出する。前記画素分類部は、前記検出された輝度値と所定の閾値とを比較し、前記表示に係る画像を構成する各画素を、前記検出された輝度値が前記所定の閾値よりも大きい第1の画素と、前記検出された輝度値が前記所定の閾値以下である第2の画素とに分類する。前記補助光制御部は、前記第1の画素を照明する前記照明素子を、前記第2の画素を照明する前記照明素子よりも高輝度で点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像等を表示する表示装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばLCD等の表示装置のバックライトとしては蛍光灯が多く用いられているが、近年では蛍光灯の代替としてLEDも用いられている。バックライトとして蛍光灯の代わりにLEDを用いることのメリットとしては、消費電力の低減化やバックライトの長寿命化を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−121914号公報
【特許文献2】特開平2−216514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックライトとして蛍光灯の代わりにLEDを用いることで、上述したような消費電力の低減化というメリットを享受できるが、LEDの特性をより活かした構成を採ることで更なる消費電力の低減を実現することが可能である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、バックライトとしてLEDを用いることの利点を活かして更なる省電力化を実現した表示装置及び表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、表示装置は、複数の画素を備える表示部と、前記複数の画素に対応して設けられた複数の照明素子から成り、前記表示部を照明する補助光部と、前記表示部において表示画像を構成する各画素の輝度値を検出する輝度値検出部と、前記検出された輝度値と所定の閾値とを比較し、前記表示に係る画像を構成する各画素を、前記検出された輝度値が前記所定の閾値よりも大きい第1の画素と、前記検出された輝度値が前記所定の閾値以下である第2の画素とに分類する画素分類部と、前記第1の画素を照明する前記照明素子を、前記第2の画素を照明する前記照明素子よりも高輝度で点灯させる補助光制御部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
一実施形態において、表示方法は、個々に制御可能な複数の照明素子を備える補助光部により照明される、複数の画素から成る表示部に画像を表示させる表示方法であって、前記表示部において表示画像を構成する各画素の輝度値を検出し、前記検出された輝度値と、所定の閾値とを比較して大小関係を判定し、前記検出された輝度値が所定の閾値よりも大きい値であると判定された画素を照明する照明素子を、前記検出された輝度値が前記所定の閾値以下であると判定された画素を照明する照明素子よりも高輝度で点灯させる、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、補助光ON/OFFテーブルの一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置のCPUの制御によるバックライト制御処理のフローチャートを示す図である。
【図4】図4は、図3に示すフローチャートの処理により点灯制御されたバックライトで照明された表示部の一表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、表示装置としてLCDディスプレイを例に、本発明の一実施形態に係る表示装置及び表示方法を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置のシステム構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、表示装置1は、電源回路101と、CPU109と、I/Oコントローラ111と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)115と、HDD(Hard Disc Drive)119と、表示部12と、を具備する。
【0011】
前記電源回路101は、例えば商用電源等の電源に接続され、該電源の電圧を当該表示装置1の各部に印加する。
前記CPU109は、ROM113に格納された各種プログラムを読み出して実行し、当該表示装置1の各部を統括的に制御する制御部である。
前記I/Oコントローラ111は、データバスによってCPU109及び各I/O機器と接続されているコントローラである。CPU109は、このI/Oコントローラ111を介して当該表示装置1のシステム全体を制御する。
【0012】
前記ROM113は、CPU109が実行する各種プログラムや各種データテーブル等を記憶している。
前記RAM115は、CPU109が各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するメモリであり、例えば表示部12に表示する画像データ等の各種表示データを記憶する表示メモリを少なくとも備える。
【0013】
前記HDD119は、各種情報を記憶する記憶媒体であり、“補助光ON/OFFテーブル”を記憶している。図2は、この“補助光ON/OFFテーブル”の一例を示す図である。“補助光ON/OFFテーブル”は、表示部12が備える複数の画素の各々に割り当てられた画素IDと、バックライト12bが備える複数のLEDの各々に割り当てられたLED−IDと、各々のLEDの点灯/消灯の設定を示す“補助光ON/OFFフラグ”と、が対応付けられて記載されたテーブルである。図2に示すテーブルにおいて、セルに記載された“○印”は、当該セルに対応するIDの画素が当該セルに対応するIDのLEDの照明対象画素であることを示している。他方、セルに記載された“×印”は、当該セルに対応するIDの画素が当該セルに対応するIDのLEDの照明対象画素でないことを示している。なお、“補助光ON/OFFフラグ”の初期値(デフォルト)設定は“OFF”であり、後述する処理によって必要に応じて“ON”に設定される。
【0014】
つまり、この“補助光ON/OFFテーブル”は、どのLEDがどの画素を照明しているかを示す情報と、それら各LEDの点灯/消灯の設定を示す情報とが記載されたテーブルである。
【0015】
前記表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)から成る表示パネルであり、LED(Light Emitting Diode)から成るバックライト12bと、調光回路12mと、が設けられている。前記バックライト12bは、前記表示パネルの裏面に配設され、当該表示パネルを裏面側から照明する照明手段である。前記調光回路12mは、CPU109からの制御信号に基づいて、バックライト12bの点灯/消灯並びに輝度を制御する。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置1のCPU109の制御によるバックライト制御処理のフローチャートを示す図である。なお、図3に示すフローチャートは1フレーム分の処理を示しており、実際には表示に係るフレーム毎に同フローチャートの処理を実行する。図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置1及び表示方法による表示の一例を示す図である。
【0017】
まず、当該表示装置1において画像データが発生する(例えばHDD119に記録されたグラフィックデータがRAM115の表示メモリにロードされる)と、CPU109は、1フレームの表示画像を構成する各画素の輝度値を検出する(ステップS1)。続いて、CPU109は、ステップS1において輝度値を検出した全画素(1フレームの表示画像の画素)について、“補助光ON/OFFフラグ”の設定(ステップS4における処理)が完了したか否かを判定する(ステップS2)。詳細には、このステップS2においてCPU109は、HDD119に記憶されている“補助光ON/OFFテーブル”を参照して前記判定を行う。
【0018】
このステップS2をNOに分岐する(ステップS1において輝度値を検出した全画素について“補助光ON/OFFフラグ”の設定が完了していない)場合、CPU109は、ステップS1において輝度値を検出した各画素について、当該画素の輝度値が所定の閾値よりも大きい値であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0019】
ところで、1つのLEDが複数の画素を照明する構成を採る場合、このステップS3における判定では、特定のLED(例えば図2に示す“LED−1”)の照明対象である複数の画素(例えば図2に示す“画素1”〜“画素4”)の各々について前記判定を行った上で、それら複数の画素(例えば図2に示す“画素1”〜“画素4”)のうち少なくとも1つの画素の輝度値が所定の閾値よりも大きい値であれば、当該ステップS3をYESに分岐する。換言すれば、照明対象である複数の画素(例えば図2に示す“画素1”〜“画素4”)の全ての輝度値が所定の閾値以下の場合のみ、当該ステップS3をNOに分岐する。このように、ステップS3における処理は、各LEDの照明対象である画素群ごとに実行する。
【0020】
このステップS3をNOに分岐する場合、前記ステップS2に戻る。他方、このステップS3をYESに分岐する場合、CPU109は、当該画素に対応する(当該画素を照明する)LEDについて、“補助光ON/OFFテーブル”における“補助光ON/OFFフラグ”をONに設定する(ステップS4)。その後、前記ステップS2に戻る。つまり、ステップS2乃至ステップS4における処理は、輝度値が前記所定の閾値よりも大きい画素を少なくとも1つ以上照明するLEDのみを点灯させるように、“補助光ON/OFFフラグ”を設定する為の処理である。
【0021】
なお、上述したように“補助光ON/OFFフラグ”の初期値(デフォルト)設定はOFFであるので、前記ステップS4においてONに設定されたLED以外のLEDの“補助光ON/OFFフラグ”はOFFに設定されたままである。
【0022】
こうして、ステップS1において輝度値を検出した全画素(1フレームの表示画像を構成する全画素)について完了するまで、各LEDが照明する(対応する)画素群毎に上述の一連の処理を実行する。
【0023】
そして、ステップS2をYESに分岐する場合、つまりステップS1において輝度値を検出した全画素について“補助光ON/OFFフラグ”の設定が完了した場合、CPU109は、I/Oコントローラ111を介して調光回路12mを制御し、バックライト12bを構成するLEDのうち“補助光ON/OFFフラグ”がONに設定されたLEDのみを点灯させ(ステップS5)、当該1フレーム分のバックライト制御処理が完了する。
【0024】
図4は、図3に示すフローチャートの処理により点灯制御されたバックライト12bで照明された表示部12の一表示例を示す図である。図4に示す表示例では、当該表示フレームを構成する各画素の輝度値の観点から、第1の部位110と第2の部位120と第3の部位130とに分類することができる。
【0025】
第1の部位110及び第2の部位120は、輝度値が所定の閾値よりも大きい値であると判定された画素から成り、対応するLEDは点灯状態に設定され、バックライト12bにより照明されている部位である。一方、第3の部位130は、輝度値が所定の閾値以下であると判定された画素から成り、対応するLEDは消灯状態の為、バックライト12bにより照明されていない部位である。
【0026】
ここで、第1の部位110または第2の部位120に属する画素と、第3の部位130に属する画素との両者を照明するLED(換言すれば、各部位間の境界領域の画素を照明するLED)については、照明対象に少なくとも1つの高輝度画素を含んでいる為、上述したステップS3乃至ステップS5の処理で点灯状態に設定される。
【0027】
図4に示すように、表示画像のうち低輝度の部分(例えば濃い黒色の部分)についてはバックライトを消灯させた状態にすることで、省電力化が実現する上に、コントラストも強調される。
【0028】
なお、上述の例では、走査に係る表示画像のうち低輝度の部分については、対応するバックライトのLEDを消灯させるとしているが、消灯させる代わりに当該LEDの発光輝度を下げるとしてもよい。すなわち、“補助光ON/OFFフラグ”がONに設定されていないLEDを消灯状態に設定する代わりに、“補助光ON/OFFフラグ”がONに設定されたLEDよりも低輝度で発光させてもよい。
【0029】
ところで、前記表示部12は、複数の画素を備える表示部を構成する。前記バックライト12bは、前記複数の画素に対応して設けられた複数の照明素子から成り、前記表示部を照明する補助光部を構成する。前記CPU109は、図2のステップS1の処理において、前記表示部において表示画像を構成する各画素の輝度値を検出する輝度値検出部を構成する。前記CPU109は、図2のステップS3,S4の処理において、前記検出された輝度値と所定の閾値とを比較し、前記表示に係る画像を構成する各画素を、前記検出された輝度値が前記所定の閾値よりも大きい第1の画素と、前記検出された輝度値が前記所定の閾値以下である第2の画素とに分類する画素分類部を構成する。前記CPU109は、図2のステップS5の処理において、前記第1の画素を照明する前記照明素子を、前記第2の画素を照明する前記照明素子よりも高輝度で点灯させる補助光制御部を構成する。
【0030】
以上説明したように、本一実施形態によれば、バックライトとしてLEDを用いることの利点を活かして更なる省電力化を実現した表示装置及び表示方法を提供することができる。
【0031】
すなわち、上述したように表示部に表示するコンテンツの内容に基づいて、バックライトを点灯/消灯制御することで、消費電力が低減される。このように、蛍光灯と異なり局所的に点灯/消灯制御及び輝度調整の制御が可能なLCDの特性を活かして、省電力化を実現できた。
【0032】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この一実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な一実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この一実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…表示装置、 12…表示部、 12b…バックライト、 12m…調光回路、 101…電源回路、 109…CPU、 111…I/Oコントローラ、 113…ROM、 115…RAM、 119…HDD。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を備える表示部と、
前記複数の画素に対応して設けられた複数の照明素子から成り、前記表示部を照明する補助光部と、
前記表示部において表示画像を構成する各画素の輝度値を検出する輝度値検出部と、
前記検出された輝度値と所定の閾値とを比較し、前記表示に係る画像を構成する各画素を、前記検出された輝度値が前記所定の閾値よりも大きい第1の画素と、前記検出された輝度値が前記所定の閾値以下である第2の画素とに分類する画素分類部と、
前記第1の画素を照明する前記照明素子を、前記第2の画素を照明する前記照明素子よりも高輝度で点灯させる補助光制御部と、
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記補助光制御部は、前記照明素子のうち前記第1の画素を照明する照明素子のみを点灯させる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記補助光部の照明素子と前記表示部の画素との対応関係は、1つの前記照明素子が複数の前記画素を照明する対応関係であり、
前記補助光制御部は、少なくとも1つの前記第1の画素を照明する前記照明素子を、前記第2の画素のみを照明する前記照明素子よりも高輝度で点灯させる
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記補助光制御部は、少なくとも1つの前記第1の画素を照明する前記照明素子のみを点灯させる
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部は液晶表示装置であり、前記補助光部はバックライトである
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
個々に制御可能な複数の照明素子を備える補助光部により照明される、複数の画素から成る表示部に画像を表示させる表示方法であって、
前記表示部において表示画像を構成する各画素の輝度値を検出し、
前記検出された輝度値と、所定の閾値とを比較して大小関係を判定し、
前記検出された輝度値が所定の閾値よりも大きい値であると判定された画素を照明する照明素子を、前記検出された輝度値が前記所定の閾値以下であると判定された画素を照明する照明素子よりも高輝度で点灯させる、
ことを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−54242(P2013−54242A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193104(P2011−193104)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】