説明

表示装置用ケース

【課題】表示部を有する表示装置を収納した場合に、表示部の割れや破損を軽減できる表示装置用ケースを提供する。
【解決手段】表示装置の一面側に装着される第1ケースと、他面側に装着される第2ケースを備えた表示装置用ケースであって、第1ケースは、第1窓部と第1緩衝部を有する弾性部材からなる第1本体部と、表示装置を支持する第1配置部と、第1本体部の外面に密着固定される第1表示保護部と、第1配置部の周縁に設けられる枠状の第1シール部を有し、第2ケースは、第2窓部と第2緩衝部を有する弾性部材からなる第2本体部と、表示装置を支持する第2配置部と、第1本体部の外面に密着固定される第1表示保護部と、第1配置部の周縁に設けられる枠状の第1シール部を有し、第1ケースと第2ケースを固定具により圧着して固定した場合に、第1表示保護部と第2表示保護部との間に密閉された密閉空間部を形成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を有する表示装置を収納する表示装置用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器を外部からの衝撃から保護するための収納ケースが提案されている。例えば、特許文献1の収納ケースは、ペン入力タイプの携帯用コンピュータ等を収納するためのケースであり、外部の衝撃から携帯用コンピュータを保護するために、各角部に緩衝部材が取り付けられている。
【0003】
そして、携帯用コンピュータ本体の表示パネルや操作部の位置する箇所には窓部が設けられており、窓部から露出した表示パネルや操作部を保護する保護カバーが開閉可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−160366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような携帯用コンピュータの表示パネルとして、例えば、平板状の液晶や電気泳動式の表示パネルが用いられる。このような表示パネルは、局所的な負荷やたわみに弱く割れや破損が生じやすい傾向がある。上記従来技術の収納ケースは、表示パネルの割れや破損を軽減することが難しかった。
【0006】
本発明は、表示部を有する表示装置を収納した場合に、表示部の割れや破損を軽減できる表示装置用ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1発明の表示装置用ケースは、情報を表示する表示部を有する表示装置の一面側に装着される第1ケースと、前記表示装置の他面側に装着される第2ケースを備えた表示装置用ケースであって、前記第1ケースは、第1窓部と外側に突出する第1緩衝部を有する弾性部材からなる第1本体部と、前記第1本体部の内側に設けられ、前記第1窓部と前記表示部が対応するように前記表示装置の外縁を支持する第1配置部と、少なくとも前記第1窓部の上方を被覆し、前記第1本体部の前記外面に密着するようにして固定される第1表示保護部と、前記第1配置部の周縁に設けられる枠状の第1シール部を有し、前記第2ケースは、第2窓部と外側に突出する第2緩衝部を有する弾性部材からなる第2本体部と、前記第2本体部の内側に設けられ、前記第2窓部と前記表示部が対応するように前記表示装置の外縁を支持する第2配置部と、少なくとも前記第2窓部の上方を被覆し、前記第2本体部の前記外面に密着するようにして固定される第2表示保護部と、前記第2配置部の周縁に設けられる枠状の第2シール部を有し、前記第1ケースと前記第2ケースを固定具により圧着して固定した場合に、少なくとも前記第1シール部と前記第2シール部のいずれかが変形して密着することにより、前記第1表示保護部と前記第2表示保護部との間に密閉された密閉空間部を形成することを特徴とする。
【0008】
第2発明の表示装置用ケースは、上記第1発明の構成に加えて、前記表示装置用ケースは平面視で略矩形状であって、前記第1ケースは、前記第1ケース本体部の角部にそれぞれ前記第1緩衝部を有し、第1方向において、それぞれの前記第1緩衝部は、前記第1窓部の前記第1方向の第1中心線に対して等間隔に配置されると共に、前記第2方向において対向する前記第1緩衝部は、前記第2窓部の前記第2方向の第2中心線に対して等間隔に配置され、前記第2ケースは、前記第2ケース本体部の角部にそれぞれ前記第2緩衝部を有し、第1方向において、それぞれの前記第2緩衝部は、前記第2窓部の前記第1方向の第1中心線に対して等間隔に配置されると共に、前記第2方向において対向する前記第2緩衝部は、前記第2窓部の前記第2方向の第2中心線に対して等間隔に配置されことを特徴とする。
【0009】
第3発明の表示装置用ケースは、上記第2発明に加えて、前記第1ケースと前記第2ケースを固定具により固定した場合に、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において、前記第1配置部と前記第1緩衝部との間隔と、前記第2配置部と前記第2緩衝部との間隔が同じであることを特徴とする。
【0010】
第4発明の表示装置用ケースは、上記第1発明ないし第3発明のいずれかにおいて、前記表示装置用ケースは略矩形状であって、前記表示装置を前記表示装置用ケースに収納して、前記第1ケースと前記第2ケースを固定具により圧着して固定した場合に、前記第1ケース本体部が前記角部に有する4つの前記第1緩衝部と前記第2ケース本体部が前記角部に有する4つの前記第2緩衝部がそれぞれ対向し、前記表示装置は前記第1配置部と前記第2配置部との間に挟持されて、前記第1表示保護部と前記第1窓部と前記第1配置部と前記第2表示保護部と前記第2窓部と前記第2配置部との間に形成される前記密閉空間部内に保持されることを特徴とする。
【0011】
第5発明の表示装置用ケースは、上記第1発明ないし第4発明のいずれかにおいて、前記第1ケースは、前記表示装置の前記表示面側に装着されて、前記第1表示保護部は透明な樹脂材料からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明の表示装置用ケースによれば、第1ケースは、第1窓部と外側に突出する第1緩衝部を有する弾性部材からなる第1本体部を有し、第2ケースは、第2窓部と外側に突出する第2緩衝部を有する弾性部材からなる第2本体部を有し、第1ケースと第2ケースを固定具により圧着して固定した場合に、少なくとも第1シール部と第2シール部のいずれかが変形して密着することにより、第1表示保護部と第2表示保護部との間に密閉された密閉空間部を形成する。そのため、表示装置用ケースに外部から負荷がかかると、突出した緩衝部が変形し、さらに負荷がかかると本体部全体が弾性変形する。また、密閉空間部の空気層により表示部を保護することができる。そのため、表示装置がたわむのを防止して、表示装置の表示部の割れや破損を軽減することができる。
【0013】
第2発明の表示装置用ケースによれば、第1発明の効果に加え、第1ケースの第1方向において対向する第1緩衝部は、第1窓部の第1方向の第1中心線との間隔が等しく配置されると共に、第2方向において対向する第1緩衝部は、前記第2窓部の前記第2方向の第2中心線に対して等間隔で配置される。また、第2ケースの第1方向において対向する第2緩衝部は、第2窓部の第1方向の第1中心線に対して等間隔で配置されると共に、第2方向において対向する第2緩衝部はそれぞれが、第2窓部の第2方向の第2中心線に対して等間隔に配置される。このように、窓部に対して対向する緩衝部を等間隔に配置することで、表示装置がたわむのを軽減して、さらに表示部を確実に保護することができる。
【0014】
第3発明の表示装置用ケースによれば、第2発明の効果に加え、第1ケースと第2ケースを固定具により固定した場合に、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向において、第1配置部と第1緩衝部との間隔と、第2配置部と第2緩衝部との間隔が同じである。このように、配置部から緩衝部を等間隔に配置することで、表示装置がたわむのを軽減して、さらに表示部を確実に保護することができる。
【0015】
第4発明の表示装置用ケースによれば、第1発明ないし第3発明のいずれかに加え、表示装置を表示装置用ケースに収納して、第1ケースと第2ケースを固定具により圧着して固定した場合に、第1ケース本体部が角部に有する4つの第1緩衝部と第2ケース本体部が角部に有する4つの第2緩衝部がそれぞれ対向し、表示装置は第1配置部と第2配置部との間に挟持されて、第1表示保護部と第1窓部と第1配置部と第2表示保護部と第2窓部と第2配置部との間に形成される密閉空間部内に保持される。そのため、表示装置は確実に密閉空間部内に支持されて、表示装置がたわむのを軽減して、さらに表示部を確実に保護することができる。
【0016】
第5発明の表示装置用ケースによれば、第1発明ないし第4発明のいずれかに加え、第1ケースは、表示装置の表示面側に装着されて、第1表示保護部は透明な樹脂材料からなる。仮に、表示部の位置が表示装置のいずれかの方向に偏っていたりしても、ユーザは内部が視認できるので、窓部の内側に表示部が配置されるように、表示装置用ケース内に表示装置を上下方向正しく配置できる。これにより、確実に表示部を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の表示装置用ケースの外観を示す斜視図である。
【図2】表示装置用ケースに表示装置を載置した状態を示す全体斜視図である。
【図3】開いた状態の表示装置用ケースを外側から示す斜視図である。
【図4】開いた状態の表示装置用ケースの上面図である。
【図5】表示装置を収納した状態の表示装置用ケースの上面図である。
【図6】図5の表示装置用ケースを6−6線で切断した断面図である。
【図7】図6の一点鎖線7で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。
【図8】図5の表示装置用ケースを8−8線で切断した断面図である。
【図9】表示装置用ケースの使用状態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<表示装置用ケースの概略構成について>
以下に、本発明の表示装置用ケースの好ましい実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。本実施形態の表示装置用ケース1は平面視で略長方形状の箱状に形成されている。表示装置用ケース1は表示部550を有する表示装置500を収納するのに用いられる。
【0019】
表示装置用ケース1は、上ケース10と下ケース20とを有している。下ケース20は表示装置500の底面を載置し、上ケース10は表示装置500の上側から表示装置500挟むようにして装着される。
【0020】
上ケース10の側面11と下ケース20の側面21は蝶番50を介して連結されている。また、上ケース10と下ケース20が連結された反対側において、上ケース10の側面12の左右には中央に横長の開口部を有する固定具40がそれぞれ設けられ、下ケース20の側面22には2つの固定具40の開口部が係着する2つの留め具41が設けられる。
【0021】
上ケース10と下ケース20は蝶番50を介して開閉自在であり、表示装置用ケース1に表示装置500を収納する場合は、固定具40を留め具41に係着することで、上ケース10と下ケース20を蝶番50を軸にして固定することができる。なお、本発明において、上ケース10が第1ケース、下ケース20が第2ケースに相当する。
【0022】
(上ケースについて)
上ケース10について、図1及び図2を用いて説明する。上ケース10は表層カバー110と本体部100を有している。
【0023】
本体部100は平面視で略枠形状であり、窓部135、緩衝部130、配置部140、突部150が一体的に形成される。本体部100は弾性変形可能な樹脂により形成される。好ましい樹脂の一例としては、ウレタン、ゴム等である。なお、上ケース10の本体部100は本発明の第1本体部に相当する。
【0024】
窓部135は平面視で長方形状であり、本体部100の略中央に形成されている。表示装置500が表示装置用ケース1に収納されたときに、表示部550全体が窓部135の内側に収まるように、表示部550に対する窓部135の大きさは、平面視で同程度の大きさかそれ以上の大きさで設けられる。なお、窓部135は本発明の第1窓部に相当する。
【0025】
緩衝部130は本体部100から外方に向けて突出するように、本体部100の角部に4つ設けられる。各緩衝部130は略角柱状であり、それぞれが同じ大きさ、高さで形成されている。
【0026】
外部から表示装置用ケース1全体に衝撃、負荷が加わった場合に、まず、外方へ突出した緩衝部130が変形する。緩衝部130が変形することで、最初に表示装置500への衝撃、負荷を緩和する。なお、緩衝部130は本発明の第1緩衝部に相当する。
【0027】
ここで、上ケース10の本体部100の窓部135、緩衝部130を覆うように、本体部100の外表面全体が表層カバー110により被覆される。本体部100の外表面は表層カバー110と接着剤等で固着される。表層カバー110は弾性変形可能な樹脂により形成される。表層カバー110として好ましい樹脂は、例えばゴム、エラストラマー等の比較的柔らかい樹脂である。
【0028】
なお、本実施形態では、上ケース10の外表面を覆う表層カバー110として透明な樹脂が用いられる。これにより、ユーザは後述の窓部135から表示装置用ケース1に収納した表示装置1の表示部550を視認することができる。なお、表層カバー110は本発明の第1表示保護部に相当する。
【0029】
配置部140は、本体部100の内側において、窓部135の周辺に沿って一定幅に形成される。表示装置500を支持したときに、配置部140は表示装置500の表示部550がちょうど窓部135の内側に配置されるように設けられる。また、配置部140は、後述の下ケース20の配置部240と協同して表示装置500を保持する。
【0030】
本実施形態では、表示装置500の片側に操作部が形成されているので、配置部140はその幅分も考慮して配置部140の片側が比較的幅広に形成される。なお、配置部140は本発明の第1配置部140に相当する。
【0031】
突部150は配置部140の外周を囲むように、本体部100の内面から突出して形成される。上ケース10と下ケース20を固定具40で固定したときに、突部150は後述の下ケース20の溝部250に圧着されて変形する。なお、突部150は本発明の第1シール部に相当する。
【0032】
(下ケースについて)
次に、下ケース20について、図3及び図4を用いて説明する。下ケース20の構成は、上ケース10の突部150に対応して形成される溝部250を除いて、上ケース10と同様であるので、適宜、説明を省略して説明する。
【0033】
下ケース20は表層カバー210と本体部200を有している。本体部200は窓部235、緩衝部230、配置部240、溝部250を有しており、これらが一体的に成形される。下ケース20の構成と材質は上ケース10と同様である。なお、下ケース20の本体部200は、本発明の第2本体部に相当する。
【0034】
窓部235は、上ケース10の窓部135と同様の構成である。窓部235は表示装置500を載置したときに、表示部550のちょうど下側に配置される。上ケース10と下ケース20を蝶番50を軸にして固定したときに、上ケースの窓部135と下ケースの窓部235の配置が重なるように形成される。
【0035】
具体的には、下ケース20の本体部200における窓部235の配置位置は、上ケース10の本体部100における窓部135の配置位置と鏡像関係になっている。なお、窓部235は、本発明の第2窓部に相当する。
【0036】
緩衝部230は略角柱状であり、本体部200から外方に突出して設けられる。緩衝部230の構成は上ケース10の緩衝部130と同様である。なお、緩衝部230は本発明の第2緩衝部に相当する。
【0037】
ここで、下ケース20の本体部200の窓部235、緩衝部230を覆うように、本体部200の外表面は表層カバー210により被覆されている。表層カバー210の材質は上カバー10の表層カバー110と同様である。
【0038】
本実施形態では、下ケース20の外表面を覆う表層カバー210は不透明な樹脂が用いられる。前述のように、上ケース10の表層カバー110を透明にし、下ケース20の表層カバー210を不透明にすることで、ユーザは上ケース10と下ケース20を判別しやすい。なお、下ケース20の表層カバー210は、本発明の第2表示保護部に相当する。
【0039】
配置部240は、表示装置500の底部を支持する。表示装置500を配置部240に載置したときに、表示部550が窓部235の内側に配置されるように、窓部235の周辺に沿って一定幅に形成される。配置部240の構成は上ケース10の配置部140の構成と同様である。
【0040】
下ケース20の配置部240の深さと上ケース10の配置部140の深さを合わせると、表示装置500の厚みよりも同程度か若干大きくなるように形成される。なお、配置部240は本発明の第2配置部に相当する。
【0041】
溝部250は配置部240の外周を囲むように枠状に形成される。溝部250は上ケース10の突部150に対応して形成され、上ケース10と下ケース20を閉じたときに、上ケース10の突部150が下ケース20の溝部250に嵌合される。
【0042】
溝部250の深さは上ケース10の突部150の高さ分よりも浅く形成される。なお、溝部250は本発明の第2シール部に相当する。
【0043】
<表示用装置ケースの詳細について>
続いて、上ケース10と下ケース20を固定具により圧着したときに形成される密閉空間部30について、図5〜図8を用いて説明する。
【0044】
上ケース10と下ケース20を一体的に固定すると、密閉空間部30は中央に横長の略長方形状に形成される(図6及び図8参照)。密閉空間部30は上ケース10の表層カバー110、窓部135、配置部140と下ケース20の表層カバー210、窓部235、配置部240に囲まれて形成される密閉空間である。
【0045】
(本体部と表層カバーのシールについて)
まず、上ケース10の表層カバー110と本体部100とのシールについて説明する。表層カバー110は窓部135を被覆して本体部100に密着している。
【0046】
具体的には、窓部135の外側周縁に沿って、突部102が枠状に形成されている。一方、表層カバー110の内側には溝部113が突部102に対応して形成されている。突部102の幅は、溝部113の幅よりも若干大きく形成されており、突部102が溝部113に圧着して嵌合される。
【0047】
なお、窓部135の周縁が表層カバー110と密着していればよく、表層カバー110が本体部100を被覆するそのほかの部分については、表層カバー110と本体部100が特に密着されていなくても構わない。
【0048】
同様に、下ケース20の表層カバー210と窓部235との接合について説明する。表層カバー210は窓部235を被覆して本体部200に密着している。
【0049】
具体的には、窓部235の外側周縁に沿って、突部202が枠状に形成されている。一方、表層カバー210の内側には溝部213が突部202に対応して形成されている。突部202の幅は、溝部213の幅よりも若干大きく形成されており、突部202が溝部213に圧着して嵌合される。
【0050】
なお、窓部235の周縁が表層カバー210と密着していればよく、表層カバー210が本体部200を被覆するそのほかの部分については、表層カバー210と本体部200が特に密着されていなくても構わない。
【0051】
(上ケースと下ケースのシールについて)
上ケース10と下ケース20を固定具40により圧着固定するときの、上ケース10の本体部100と下ケース20の本体部200のシールについて説明する。
【0052】
前述のように、上ケース10の内面側には突部150が形成されている。また、突部150に対応して下ケース20の内面側には溝部250が形成されている。突部150の高さは溝部250の深さ分よりも高いので、上ケース10と下ケース20を固定具40により圧着させたときに、突部150は溝部250の高さからはみ出た分が変形して溝部250に密着して嵌合される。
【0053】
以上により、上カバー10と下カバー20を蝶番50を中心として閉じて、固定具40と留め具41により固定すると、表示装置用ケース1の中央には上ケース10の表層カバー110、窓部135、配置部140と下ケース20の表層カバー210、窓部235、配置部240に囲まれた密閉空間部30が形成される。
【0054】
次に、表示装置用ケース1に表示装置500を収納する場合の密閉空間部30と表示装置500との関係について説明する。
【0055】
下ケース20の配置部240に表示装置500を載置して、上ケース10を被せて固定具40と留め具41により固定すると、表示装置500は上ケース10の配置部140と下ケース20の配置部240との間に挟持される。
【0056】
すなわち、表示装置500は、上ケース10の配置部140、表層カバー110、窓部135と下ケース20の配置部240、表層カバー220、窓部235に囲まれた密閉空間部30内に保持される。
【0057】
密閉空間部30は表示装置500により表示装置500の上側の空間と下側の空間に2分される。表示装置500の表示パネル550はこの上側の空間の空気層30Aと下側の空間の空気層30Bとの間に配置されて、上側と下側の両側から空気層により保護され、外部からの衝撃に対してたわみにくくなる。
【0058】
<表示装置用カバーの作用について>
続いて、図9を用いて、表示装置用カバー1の作用について説明する。表示装置500を収納した表示装置用カバー1が床F上に載置されているときに、表示装置用カバー1上に表示装置用カバー1よりも大きなものが落下したような場合を例に説明する。
【0059】
表示装置用カバー1の中央に矢印A方向に負荷がかかった場合、上ケース100の緩衝部130と、下ケース20の緩衝部230が変形して衝撃を吸収する。緩衝部130、230はそれぞれ本体部100,200からそれぞれ外方に突出して形成されているので、まず、緩衝部130,230が衝撃を吸収することができる。
【0060】
さらに、緩衝部130は本体部100と一体に形成されている。表示装置用ケース1に外部から負荷が加えられた場合、本体部100から外方に突出した緩衝部130のみが変形するのではなく、負荷が大きくなると本体部100自体が圧縮されるように弾性変形する。
【0061】
そのため、表示装置500は上ケース10の配置部140と下ケース20の配置部240の間で挟持されたまま、上ケース10の本体部100と下ケース20の本体部200の変形に伴い、上下方向に表示装置500の位置も変化する。
【0062】
緩衝部130を含めた本体部100全体が弾性変形することで、表示装置500への負荷を軽減することができる。
【0063】
さらに、上述したように、表示装置500は密閉空間部30内に保持されており、表示装置500の上側の空気層30Aと下側の空気層30Bにより表示装置500が保護される。この2つの空気層30Aと空気層30Bとの間に表示装置500が挟持されることで、表示装置500がたわむのをより確実に軽減することができる。
【0064】
また、窓部135、235の大きさよりも小さい範囲の局所的な負荷が表示装置500にかかった場合にも、密閉空間部30により確実に表示パネル550を保護できる。
【0065】
なお、本実施形態では、上ケース10の本体部100の緩衝部130に上方向から負荷が加わった場合に、ちょうど窓部135を被覆する表示カバー110と同じ高さぐらいまで本体部100が圧縮して変形するようになっている。
【0066】
上ケース10の緩衝部130と、下ケース20の緩衝部230が窓部を被覆する中央付近の表層カバー110、210と同じ表面上になるまで変形すると、表示装置用ケース1全体に負荷がかかるようになる。そのため、さらに、表示装置用ケース1内の表示装置500がたわみにくくなる。なお、下ケース20についても同様であるので説明を省略する。
【0067】
<緩衝部の配置について>
表示装置用ケース1に表示装置500を収納したときに、外部からの負荷によって表示装置500がたわまないようにするために、緩衝部130,230は以下のように配置されることが好ましい。
【0068】
図5の上ケース10において、窓部135のX軸方向の中心線を中心線C1とする。4つの緩衝部130はそれぞれ中心線C1から距離L1だけ離間して形成されている。なお、本実施形態では、中心線C1と緩衝部130の距離は、緩衝部130の中心位置を基準に説明するが、緩衝部130の端部などを基準に考えてもよい。以下同様である。
【0069】
Y軸方向の中心線を中心線C2とする。4つの緩衝部130はそれぞれ中心線C2から距離L2だけ離間して形成されている。
【0070】
一方、特に図示しないが、反対側の下ケース20においても、同様である。具体的には、4つの緩衝部230が窓部235のX軸方向の中心線から同じ距離だけ離間して形成されている。また、4つの緩衝部230は窓部235のY軸方向の中心線から同じ距離だけ離間して形成されている。
【0071】
ここで、表示装置500を表示装置用ケース1に収納したときに、上ケースの窓部135と下ケースの窓部235の間にちょうど表示パネル550が配置される。
【0072】
そのため、緩衝部130,230は、窓部135、235からの距離がそれぞれ同じであることが好ましい。これにより、表示パネル550の一部に負荷が偏らずに、全体に均一に負荷がかかることが期待できる。
【0073】
また、表示装置用ケース1の厚み方向においては、上ケース10と下ケース20を蝶番50を中心にして固定具40により固定したときに、同じ角部に配置される上ケース10の緩衝部130と下ケース20の緩衝部230は次のような関係であることが好ましい。
【0074】
図6に示すように、上ケース10の緩衝部130の上面と第1配置部140との距離L3と、下ケース20の緩衝部230の上面と第2配置部240との距離L3が等しいことが好ましい。
【0075】
このように、上ケース10の緩衝部130と下ケース20の緩衝部230を配置部140、240から等間隔に配置することで、表示装置用ケース1の上下方向から同じように衝撃を緩和して、表示装置500を保護することができる。
【0076】
以上説明した実施形態では、上ケース10は外表面全体が表層カバー110に覆われている。しかしながら、少なくとも窓部135が被覆されて本体部100に密着されていればよく、表層カバー110が窓部135周辺だけ被覆していたり、窓部135を被覆する部分と上ケース10の本体部100を被覆する部分が別の部材で形成されていてもよい。下ケース20も同様である。
【0077】
また、上ケース10の緩衝部130は角部に4つ設けられているが、角部でなく表示装置用ケース1の辺上に設けられていてもよく、緩衝部130の数も特に限定されない。下ケース20の緩衝部230も同様である。
【0078】
加えて、上ケース10の緩衝部130と下ケース20の緩衝部230はそれぞれ角部に設けられて、表示装置用ケース1を閉じたときに、上ケース10の緩衝部130と下ケース20の緩衝部230が対向しているが、上ケース10の緩衝部130と下ケース20の緩衝部230が対向していなくてもよく、それぞれの数が同じでなくてもよい。
【0079】
なお、本実施形態においては、上述のように本体部とカバーの溝部が嵌合されて、本体部とカバーが密着されるが、本体部とカバーに突部や溝部を形成せずに接着剤等を塗布することにより接着して密着させてもよい。
【0080】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 表示装置用カバー
10 上カバー
20 下カバー
100,200 本体部
110,210 表層カバー
135,235 窓部
140,240 配置部
150 突部
250 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示部を有する表示装置の一面側に装着される第1ケースと、前記表示装置の他面側に装着される第2ケースを備えた表示装置用ケースであって、
前記第1ケースは、
第1窓部と外側に突出する第1緩衝部を有する弾性部材からなる第1本体部と、
前記第1本体部の内側に設けられ、前記第1窓部と前記表示部が対応するように前記表示装置の外縁を支持する第1配置部と、
少なくとも前記第1窓部の上方を被覆し、前記第1本体部の前記外面に密着するようにして固定される第1表示保護部と、
前記第1配置部の周縁に設けられる枠状の第1シール部を有し、
前記第2ケースは、
第2窓部と外側に突出する第2緩衝部を有する弾性部材からなる第2本体部と、
前記第2本体部の内側に設けられ、前記第2窓部と前記表示部が対応するように前記表示装置の外縁を支持する第2配置部と、
少なくとも前記第2窓部の上方を被覆し、前記第2本体部の前記外面に密着するようにして固定される第2表示保護部と、
前記第2配置部の周縁に設けられる枠状の第2シール部を有し、
前記第1ケースと前記第2ケースを固定具により圧着して固定した場合に、少なくとも前記第1シール部と前記第2シール部のいずれかが変形して密着することにより、前記第1表示保護部と前記第2表示保護部との間に密閉された密閉空間部を形成することを特徴とする表示装置用ケース。
【請求項2】
前記表示装置用ケースは平面視で略矩形状であって、
前記第1ケースは、
前記第1ケース本体部の角部にそれぞれ前記第1緩衝部を有し、
第1方向において、それぞれの前記第1緩衝部は、前記第1窓部の前記第1方向の第1中心線に対して等間隔に配置されると共に、
前記第2方向において対向する前記第1緩衝部は、前記第2窓部の前記第2方向の第2中心線に対して等間隔に配置され、
前記第2ケースは、
前記第2ケース本体部の角部にそれぞれ前記第2緩衝部を有し、
第1方向において、それぞれの前記第2緩衝部は、前記第2窓部の前記第1方向の第1中心線に対して等間隔に配置されると共に、
前記第2方向において対向する前記第2緩衝部は、前記第2窓部の前記第2方向の第2中心線に対して等間隔に配置されことを特徴とする請求項1に記載の表示装置用ケース。
【請求項3】
前記第1ケースと前記第2ケースを固定具により固定した場合に、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において、前記第1配置部と前記第1緩衝部との間隔と、前記第2配置部と前記第2緩衝部との間隔が同じであることを特徴とする請求項2に記載の表示装置用ケース。
【請求項4】
前記表示装置用ケースは略矩形状であって、
前記表示装置を前記表示装置用ケースに収納して、前記第1ケースと前記第2ケースを固定具により圧着して固定した場合に、
前記第1ケース本体部が前記角部に有する4つの前記第1緩衝部と前記第2ケース本体部が前記角部に有する4つの前記第2緩衝部がそれぞれ対向し、
前記表示装置は前記第1配置部と前記第2配置部との間に挟持されて、前記第1表示保護部と前記第1窓部と前記第1配置部と前記第2表示保護部と前記第2窓部と前記第2配置部との間に形成される前記密閉空間部内に保持されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の表示装置用ケース。
【請求項5】
前記第1ケースは、前記表示装置の前記表示面側に装着されて、
前記第1表示保護部は透明な樹脂材料からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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