説明

表示装置

【課題】 多彩な標識機能や装飾機能を発揮しうる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、標識11を設けるための標識体10と、乱反射部21を有する表示体20と、標識体10及び表示体20に光を入射するための光源であるLED群30と、標識体10と表示体20とを固定するための固定部材40と、表示体20と標識体10とをシールするためのカバー部材50とを備えている。乱反射部21には、壁面が曲面状の複数の凹凸部21a,21b,21c,…が形成されており、乱反射部21に、LED群30の色調や強度の変化に応じて多彩に変化する模様が現れる。また、表示体20の標識表示用スペース25を通して、文字や図形などの標識11が見えるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子などの光源からの光を側方から入射させて広い面を光らせるようにするとともに、光り方に装飾性を付与した、看板、標識などの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、看板や各種標識に用いられる表示装置として、面発光装置といわれる以下のものが知られている。
【0003】
特許文献1には、透明アクリル板の側面からLEDの光を導入して、面上に描かれたすりガラス状の文字や図形等の識別標識を表示する表示装置が開示されている。この表示装置においては、アクリル板に、LEDから離れるに従って大きい面積を有するグラディエーションパターンを設け、さらにLEDが配置された側面以外の側面に遮光テープを貼り付けることにより、表示面をできるだけ均一に光らせるようにしている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の表示装置では、表示面全体をほぼ均一に光らせることができるものの、単に識別標識を表示するだけの単調な表示機能しか発揮することができない。
【0005】
特許文献2には、表示板の背面に複数個のLEDを配置し、その光をLED全面に設けたレンズで拡散させて表示板の一部をむらなく光らせるようにした面発光表示装置が開示されている。この表示装置では、立て看板等の大面積の表示面を比較的均一に光らせることができるものの、単調な表示機能しか得られず、しかも、多数のレンズを設けるためにコストが過大となる。
【0006】
特許文献3には、面発光体の側面から形成された凹所内にLEDランプを埋設し、光取り出し面に線状の溝を形成しておいて、所定範囲の面積を照明するようにした表示装置が開示されている。この表示装置では、単に夜間照明などとして機能するにすぎず、文字,図形等の標識として機能することもできない。
【0007】
【特許文献1】特開平9−97024号公報
【特許文献2】特開2005−17573号公報
【特許文献3】特開2000−348518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示面全体に光源を設置したりレンズを設けたりすることなく、表示面に多彩な装飾機能を付与しつつ光らせることができる、標識機能を有する表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の表示装置は、標識を設けるための標識体と;上記標識体の標識に対峙する標識表示用スペース及び該標識表示用スペースに隣接して設けられた乱反射部を有する透明材料製表示体と;前記表示体及び標識体に光を入射するための光源と;を備えた表示装置であって、前記乱反射部は、前記透明材料製表示体の壁面に設けられた、複数の凹凸部からなっている。
【0010】
前記乱反射部によって、表示体の標識用スペース以外の部分が全体的にほぼ均一と見えるように光らせて装飾機能を高めるとともに、標識体を適宜変えることにより、多様な顧客のニーズに応えることができる汎用性の高い表示装置を提供できる。
【0011】
前記複数の凹凸部は、平面視においてサイズが異なる複数の凹凸部からなり、相対的に小さな凹凸部が相対的に大きな凹凸部同士の隙間を埋めるように設けられている好ましく、より好ましくは、前記凹凸部の凹部が曲面状になっていて、サイズが異なる複数の凹凸部の組み合わせが石垣状パターンを構成している。これにより、表示体の光り方が興趣あるものとなって、装飾機能がさらに高められる。
【0012】
また、前記凹凸部は、多角形で且つ凹部が角錐状である凹凸部であって、前記乱反射部は、該凹凸部が規則正しく配列されたものであってもよい。角錐状の凹部は、凹部における頂部と他の部分との光の集まり方、すなわち光り方が異なることにより、乱反射部全体としてマクロ的には均一であるとともに、角凹部に注目した場合には凹部においてミクロ的に光り方が異なるといった興趣あるものなり、石垣状パターンとは別種も装飾機能を付与することができる。
【0013】
さらに、前記標識表示用スペースには窓用凹部が設けられており、前記窓用凹部の内側面のうち少なくとも光源に近い部分には、光を反射させるための反射部材が設けられていることが好ましい。窓用凹部を設けた場合、光源からの光が乱反射部と窓用凹部との境界面から光が外部へ抜け出てしまい、窓用凹部周縁付近、特に光源に近い側の窓用凹部周縁は光りにくくなるが、反射部材を設けることにより、光が外部へ漏れ出るのを防止するとともに再度、乱反射部内へ戻されるので、乱反射部の輝度を保持するとともに、窓用凹部周縁部付近でも窓用凹部周縁から離れた部分と同様に光らせることができ、光っている部分の均一性が高められる。
【0014】
尚、本発明の第1の表示装置において、標識表示用スペースは、窓用凹部に限らず、貫通孔であってもよい。
【0015】
本発明の第2の表示装置は、乱反射部を有する透明材料製表示体と、前記表示体に光を入射するための光源とを備えた表示装置において、前記乱反射部は、前記透明材料製表示体の壁面に設けられた、平面視においてサイズが異なる複数の凹凸部からなり、前記凹凸部の凹部が曲面状になっていて、前記サイズが異なる複数の凹凸部は、相対的に小さな凹凸部が相対的に大きな凹凸部同士の隙間を埋めるような石垣状パターンを構成している。
【0016】
本発明の第2の表示装置は、前記乱反射部が文字、図形を構成していて、標識機能を有している表示装置であってもよいし、前記透明材料製表示体に標識用スペースが設けられていて、前記乱反射部が前記標識用スペースに隣接して設けられている表示装置であってもよい。
【0017】
第2の表示装置では、表示体とは別に標識体を備えなくても、表示体単独で装飾機能を有する標識機能を発揮することができる。乱反射部が文字等を構成している場合には、文字等の標識部分が装飾機能を有した標識であり、表示体に標識用スペースが設けられている場合には標識用スペースに標識となる文字や図形を直接設ければよく、これにより、部品点数を減らして、組立て工程が簡単で且つ第1の表示装置と同程度の装飾機能を発揮できる。
【0018】
本発明の第1の表示装置及び第2の表示装置に双方において、前記乱反射部の端部は断面形状がくさび状であることが好ましい。これにより、乱反射部の外周縁や表示体の外周面に反射部材を設けなくても乱反射部全体、表示体全体を光らせることができ、透明感の高い表示装置を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の第1又は第2の表示装置によると、多彩な標識機能や装飾機能を発揮しうる表示装置を提供することができ、第1の表示装置では標識体を変えるだけで多様な顧客ニーズに応えることができ、第2の表示装置では、表示体単独で装飾機能と標識機能を発揮できるので、組立て生産の手間、コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1(a)〜(c)は、それぞれ順に、本発明の一実施形態に係る表示装置の正面図、Ib−Ib線における断面図、及びIc−Ic線における断面図である。
【0021】
図1(a)〜(c)に示すように、本実施形態の表示装置1は、主要部品として、標識11を設けるための標識体10と、乱反射部21を有する表示体20と、標識体10及び表示体20に光を入射するための光源であるLED群30と、標識体10と表示体20とを固定するための固定部材40と、表示体20と標識体10とをシールするためのカバー部材50とを備えている。後に図1(a)〜(c)に示す全体構造の作用について説明することにして、まず、図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)を参照しながら、各主要部品の構造について、説明する。
【0022】
図2(a)〜(c)は、それぞれ順に、本実施形態における標識体10とLED群30とをユニット化した標識ユニット2の正面図、側面図及びIIc−IIc線における断面図である。図2(a)〜(c)に示すように、標識ユニット2は、標識11を設けるためのほぼ矩形状の透明板(本実施形態では、アクリル板)からなる標識体10と、標識体10及びLED群30を固定している中枠12と、LED群30を中枠12に傾けて(たとえば10°程度)取り付けるための側方固定具13と、LED群30の位置を調節するためのスペーサ14と、LED群30自体が標識体10や表示体20に写ることを防止するためにLED群30の高さよりも高い位置までLED群30からの直接の光を反射できるように、スペーサ14の表面を覆った反射板15と、標識体10の外周面を覆い、標識体10の内部からの光を内部側に反射させて標識11を効率よく光らせるための反射テープ16とを備えている。標識11(本実施形態においては、ABCDEの文字)は、標識体10の平滑面である裏面をレーザ彫刻することにより形成されている。
【0023】
標識11の加工方法は、本実施形態のようなレーザ加工に限定されるものではなく、たとえば、サンドブラストによる方法や、粗面の標識が形成された金型を用いた樹脂成形による方法であってもよい。
【0024】
LED群30は、青色LED30aと、赤色LED30bと、緑色LED30cとを順に配置して構成されている。そして、各LED30a,30b,30cの発光強度をプログラム制御して、標識11や表示体20の色彩を時間とともに青色,赤色,緑色及び二色又は三色の混合色に変化させるように構成されている。ただし、単色又は二色のLEDのみが配置されていてもよい。そして、各LED30a〜30cをその先端が標識体11から遠ざかる方向に傾斜するように各LED30a〜30cを垂直方向から所定角度(たとえば10°程度)傾けることにより、表示体20の乱反射部21の壁面に対して効率よく入射させることができるとともに、標識体10の標識11に斜め方向から光を照射して(図1(c)参照)、標識11をより強く光らせることができる。
【0025】
また、本実施形態においては、LED群30を標識体10に取り付けた標識ユニット2を設けたが、LED群30を表示体20に取り付けた表示体ユニットを設けておいて、この表示体ユニットに標識体を取り付ける構造としてもよい。さらに、本実施形態においては、LED群30が標識体10及び表示体20の双方に光を入射するための光源であったが、標識体10用及び表示体20用各々に光を入射するための光源(LED群)を取り付けてもよい。この場合、標識体10用の光源は、標識体10に最も効率よく光を入射できるように、標識体10の下端縁と中枠12との間にスペースを設け、このスペースに標識体用光源となるLED群を中枠に直立させることが好ましい。
【0026】
図3(a)〜(c)は、それぞれ順に、本実施形態における表示体20の正面図、IIIb−IIIb線における断面図、及びIIIc−IIIc線における側面図である。
【0027】
図3(a)〜(c)に示すように、本実施形態の表示体20は、透明な材料(本実施形態ではアクリル板)からなり、標識体10の標識11に対応する領域である標識表示用スペース25を取り囲む乱反射部21と、標識表示用スペース25に設けられた窓用凹部23と、全体を囲むほぼ矩形状の外枠26とを有しており、樹脂成形により上記各部分が一体的に形成されている。そして、窓用凹部23の内周面のうち下側半分、つまりLED群30に近い側(図1(c)参照)には、反射テープ24が貼り付けられている。
【0028】
乱反射部21は、表示体20の壁面にスペース25を除いて設けられ、全体が部分錐状となるように形成されて、断面では端部に向かって厚みが減少する,所謂くさび状になっている。表示体の側に傾けられた(本実施形態では10°程度)LED群30からの光は、乱反射部21の断面くさび状となっている壁面に対して鋭角に効率よく入射されることができ、入射光は表示体20の表面(観察される側の面)と裏面(標識体10に対峙する側の面)との間、さらには反射テープ24との間で反射を繰り返すことにより、光源に近い部分だけでなく、光源に遠い部分、窓用凹部23の上側、側方側にも光を送りこむことができる。そして、くさび状の乱反射部21は、乱反射部21の外周縁となる端部にむかって厚みが減少することにより、乱反射部21内に入射された光が、屈折、反射を繰り返す際に、乱反射部21の外部に漏出することを防止し、これにより、乱反射部21の輝度を保持するとともに、光源に近い側だけでなく、乱反射部21全体に光を送り込んで、窓用凹部23の上側周縁部(図1中「P」)を含めて、ほぼ均一に全体を光らせることができる。
【0029】
従って、乱反射部21全体が部分錘状となっていて、外方端部に向かって厚みが減少していることにより、一旦、乱反射部21に入光した光が、乱反射部21の周縁から漏れ出ることを防止することができるので、窓用凹部23の周縁のように、乱反射部21の外周面に反射テープ等の反射部材を設けなくても、乱反射部21の輝度を確保することができる。
【0030】
乱反射部21は、サイズが異なる多数の凹凸部21a,21b,21c,…が分布することにより形成されており、各凹凸部21a,21b,21c,…の凹部は曲面状になっている。平面視において、各凹凸部21a,21b,21c,…全体のパターンは、サイズが大きめの複数の凹凸部21aと中くらいのサイズの複数の凹凸部21bとがランダムに充填された感じになっていて、さらにこれらの隙間を埋めるように、小さなサイズの複数の凹凸部21cが存在し、全体として、石垣状パターンに構成されている。このように、表示体20の壁面に、乱反射部21となる複数のサイズが異なる凹凸部21a,21b,21c,…が形成されていることにより、後述するように、表示体20内に導入された光をいろいろな方向に屈折させることができるので、単なるすりガラス状や規則正しい凹凸パターンの乱反射部よりも複雑で興趣ある模様が浮かび上がったように乱反射部21全体にわたって光ったように見え、高い装飾機能を発揮することができる。
【0031】
また、窓用凹部23の内側面に、反射部材としての反射テープ24が貼り付けられていることにより、表示体20から標識表示用スペース25に漏れ出る光をできるだけ抑制することができるので、表示体20の乱反射部21をより強く光らせることができて、表示体20の輝度を上げることができるとともに、標識表示用スペース25周縁、特に光源側に該当する下側周縁部も他の乱反射部21と同様に効率よく光らせることができる。尚、反射テープ24は、窓用凹部23の内周面全体を覆っていてもよいし、本実施形態のように、下側(LED群30側)だけに設けられていてもよい。乱反射部21のうちLED群30(光源)に近い領域は、乱反射部21に導入された光が反対側に抜けやすいが、反射テープ24を設けることにより、乱反射部21のうちLED群30に近い領域をも強く光らせることができる。反射テープ24をどの部分に設けるかは、乱反射部21の形状や乱反射部21とLED群30との位置関係などに応じて、表示体20全体ができるだけ均一に光るように、適宜設計することができる。また、反射テープ24に代えて、蒸着膜などの反射部材を設けてもよい。
【0032】
次に、本実施形態の表示装置1の組み立て手順について説明する。図4(a)〜(c)は、本実施形態の表示装置1の組み立て手順を説明するための斜視図である。
【0033】
まず、図4(a)に示すように、表示体20(図3(a)〜(c)参照)を樹脂成形により形成しておく。また、図4(b)に示すように、標識ユニット2(図2(a)〜(c)参照)を組み立てておいて、標識ユニット2を表示体20の外枠26の内面に嵌合させる。また、図4(c)に示す固定部材40に、標識ユニット2及び表示体20の底部を嵌合させる。本実施形態では、固定部材40は断面コ字状の板40aと平板40bとを貼り合わせて構成されているが、断面コ字状の板40aだけでもよい。また、標識ユニット2と表示体20とを別の手段によって固定できれば、例えば直接透明樹脂接着剤などを用いて固定すれば、固定部材40は必ずしもなくてもよい。そして、図4(a)〜(c)には図示されていないが、図1(b),(c)に示すカバー部材50を標識ユニット2の背面側において表示体20の外枠26の内面に嵌合させることにより、図1(a)〜(c)に示す表示装置1が組み立てられる。その際、必要に応じて、ねじ等の固定手段を用いて固定することができる。
【0034】
図5は、本実施形態の表示装置1を正面斜め方向からみた斜視図である。以下、図1及び図5を参照しながら、表示装置1全体の作用について説明する。
【0035】
本実施形態の表示装置1は、図1の紙面の手前であって、図5の紙面の手前斜め方向から標識11を見るように構成されている。つまり、表示体20の乱反射部21で囲まれた標識表示用スペース25を通して標識体10の標識11が見えている。標識11は、標識体10の裏面にレーザ彫刻によって形成されたABCDEの反転文字のすりガラス状のパターンであり、このすりガラス状のパターンが表示体20の標識表示用スペース25を通過して表示体20の前方から見えることになる。乱反射部21の凹凸部21a,21b,21c,…は、表示体の後面側に形成されており、乱反射部21の各凹凸部21a,21b,21c,…の壁面から表示体20の内部に入った光が表示体20の前面から外方に出射されて,乱反射部21全体が模様として光って見える。そして、LED群30の各LED30a,30b,30cの強度が時間とともに個別に変化すると、それに応じて乱反射部21の模様が多様に変化する。また、表示体20の乱反射部21の光模様は、表示装置1の後面側からも観察されるので、標識11が左右反転してもよいもの(図形など)であれば、両側から観察するために用いることができる。
【0036】
本実施形態の表示装置1においては、乱反射部21が単なるすりガラス状の面や一定の規則パターンに基づいた凹凸面ではなく、大きさがランダムに分布し、具体的にはサイズが小さめの凹凸部がサイズが大きめの凹凸部間の隙間を埋めるように、石垣状パターンに構成されているので、光が屈折される方向や強度がLED群30全体の色調や色強度に応じて多様に変化し、この作用によって乱反射部21には多様に光り方が変化する模様が現れる。このような多様に変化する光模様は、主として外部から表示体20の各凹凸部21a,21b,21c,…の内部に光が入ったり(再入射も含む)外に出る際には光の波長によって光の屈折方向が変化することによって生じると考えられる。
【0037】
また、本実施形態の表示装置1では、標識体と表示体が別体となっているので、標識体については、顧客の多様なニーズに合わせた標識を個別に作成し、表示体は共通にすることができるので、汎用性が高い。
【0038】
尚、上記実施形態では、標識体10の標識11は、光源からの光を受けて光ることができるように、標識部分が凹凸で形成されていたが、本発明の表示装置はこれに限定されず、単に標識をペイントなどで形成してもよい。本発明の表示装置は、表示体の部分が模様パターンを描くように光ることができるので、標識部分が光っていなくても、装飾性の高い表示装置という点は満足できる。
【0039】
また、上記実施形態では、標識表示用スペース25が表示体20に設けられた窓用凹部であったが、本発明の表示装置では、標識体10の標識11が表示体表面(観察側面)から観察することができればよいので、単なる貫通孔であってもよい。
【0040】
さらに上記実施形態では、表示体20に標識ユニット2を組合わせた後、カバー部材50を表示体20の外枠26に嵌合させて密閉していたが、標識ユニット2の標識体10を外枠26に嵌合するサイズとすることにより、カバー部材50の役割を兼用させてもよい。
【0041】
またさらに、上記実施形態では、乱反射部21は、全体が部分錘状に形成されていたが、本発明のは表示装置は、これに限定されず、周縁が段差になって、乱反射部となる壁面(凹凸部表面)だけが石垣状パターンの曲面で構成されたものであってもよい。この場合、乱反射部への入射光は周縁の段差面から入光されるように表示体用光源であるLED群を設置する必要があり、また、入光面となる段差面以外の周縁面には、光が漏れ出ないように、反射テープ等の反射部材が取り付けられていることが好ましい。
【0042】
さらにまた、上記実施形態では、乱反射部20を構成する凹凸部が、凹部が曲面の凹凸部で、またサイズが異なる複数種類の凹凸部21a,21b,21cがランダムに配置されて石垣状パターンを形成していたいが、本発明の表示装置に用いられる乱反射部はこれに限定されない。例えば、図6に示す表示体20’の乱反射部21’のように、凹部が四角錘となった方形状の凹凸部が規則正しく配列されたものであってもよい。凹部による乱反射の繰り返しで、乱反射部21’全体を光らせることができる。凹凸部は方形状に限らず、三角形、五角形以上の多角形であってもよく、凹部は、四角錐だけでなく、三角錐などの角錐状であってもよい。また、凹部が角錐状の多角形凹凸部からなる乱反射部の場合、乱反射部を構成する凹凸部は、同一種類の多角形でサイズが異なる組み合わせであってもよいし、異なる複数種類の多角形の組み合わせであってもよい。
【0043】
さらにまた、表示体20(又は20’)の乱反射部21(又は21’)とは反対側(本実施形態の前面側)から光を導入した場合にも、外部から表示体20(20’)の各凹凸部の内部に光が入ったり(再入射も含む)外に出る際には光の波長によって光の屈折方向が変化する作用が生じるので、本実施形態と同じ効果を発揮することができる。
【0044】
本発明の表示装置は、上記実施形態の構造に限定されるものではなく、以下のような変形例が可能である。
【0045】
図7は、第1の変形例であって、表示体20に複数の標識表示用スペース25を設け、その周囲を乱反射部21で囲んだ構造を概略的に示す平面図である。図7には図示されていないが、各標識表示用スペース25の向こう側には、それぞれ標識を有する標識体が設けられている。乱反射部21の構造は、上記実施形態と同様に、全体的には断面がくさび状であり、壁面はサイズが異なる複数の凹凸部によって構成され、好ましくは壁面表面が曲面状となった石垣状パターンで構成されている。この場合、光源であるLED群30は、下方(実線参照)又は上方に配置されていてもよいし、側方に配置されていてもよい(破線参照)。この変形例は、たとえば店舗などの大きな看板に適した構造であり、この変形例によっても、上記実施形態と同様に、乱反射部全体を一様に光らせることができ、また多様に変化する模様を表すことができる。尚、この変形例では、乱反射部の上端部も下端部も、標識用スペース25,25間の乱反射部も一様に光らせるために、標識用スペースの窓用凹部の内周面に反射テープ等の反射部材を適宜設けておくことが好ましい。
【0046】
図8は、第2の変形例であって、乱反射部21の両側に2つの標識表示用スペース25が設けられ、標識表示用スペース25の一側方が乱反射部によって囲まれていない構造を概略的に示す平面図である。図8には図示されていないが、各標識表示用スペース25の向こう側には、それぞれ標識が設けられている。乱反射部21の構造は、上記実施形態と同様に、全体的には断面がくさび状であり、壁面が複数のサイズが異なる凹凸部によって構成されている。この場合、光源であるLED群30は、下方(実線参照)又は上方に配置されていてもよいし、側方に配置されていてもよい(破線参照)。このように、乱反射部21が標識表示用スペース25を囲んでいない構造であっても、乱反射部全体が光って見えるようにすることができる。この変形例においても、表示用スペースとなる窓用凹部の内周面には、乱反射部が一様に光ることができるように、光源との位置関係に応じて、適宜反射部材を設けることが好ましい。
【0047】
図9は、第3の変形例であって、表示体自体が、装飾機能を発揮できる標識を備えたもので、別体としての標識体を用いない表示装置である。すなわち、表示体60に、サイズが異なる複数の凹凸部から構成される乱反射部61が、文字や図形を形成していて、それ自体、標識の役割を果たしている。ここで、乱反射部61を構成している凹凸部の凹部は曲面状になっていて、サイズが小さめの凹凸部がサイズが大きめの凹凸部間の隙間を埋めるように設けられた石垣状パターンを構成している。また、乱反射部61は、表示体60壁面に対して形成される標識(図9の例ではA、B、C自体の文字)に光が入射されるとともに、乱反射部61が有効に光ることができるように、標識を形成する乱反射部が全体として部分錘状で、表示体壁面に対して乱反射部端部が楔状となるように構成されていることが好ましい。
【0048】
この変形例では、表示体単独で模様パターンを形成するように光ることができる標識機能を有しているので、別途標識体ユニットを作成したり、表示体ユニットと標識体ユニットとを合体させる組立て工程を省くことができる。このような構造は、たとえば交通標識のように、標識の文字や図形が自体がすでに定められているものに適している。なお、LED群30は、図9に示すように下部に配置してもよいし、上方又は側方に配置してもよい。
【0049】
第4の変形例は、表示体の標識用スペースに直接標識を形成することによって、表示体単独で、標識機能を有する表示装置である。図1に示す表示装置1の表示体20とその乱反射部21に光を入射する光源(LED群)、カバー材50で構成してもよいし、図10に示すように、表示体70に設けられた乱反射部71が、表示体70の内壁面から段差をもって全体として直方体状の凸部を形成し、その中央部に標識用スペースとなる窓用凹部73が凹設されたものでもよい。乱反射部71において、標識用スペース以外の表壁面は、サイズの異なる複数の凹凸部で形成され、好ましくは石垣状パターンを形成している。また、標識用スペース73には、文字や図形などの標識72が形成されている。LED群は、乱反射部の段差となる外周面下端部から光を入射できるように、立設されている。窓用凹部73の内周面には、少なくとも光源側となる下側半分は、反射テープ等の反射部材74aが設けられていることが好ましい。また、乱反射部71の入光面となる外周面以外の外周面にも、光が乱反射部71内部から外部へ漏れ出ないように、反射部材74bが設けられていることが好ましい。この変形例では、標識72をレーザー彫刻、サンドブラスト等で文字、図形を刻設しているが、ペイント等によって形成してもよい。いずれにおいても、第4変形例では、第3変形例と同様に、別途標識体を要することなく、乱反射部による装飾機能を発揮できる標識機能を有する表示装置である。また、標識をペイント等で形成した場合には、標識形成のためのコストを削減しつつ、装飾機能を有する汎用タイプの表示装置を提供できる。そして、カバー部材50により表示体70内部をシールすることができるので、屋外に設置される表示装置として、雨水に対処することもできる。
【0050】
なお、第4変形例において、乱反射部全体を部分錘状として、断面楔状となるようにした場合(表示体20の転用の場合)、光源となるLED群は、乱反射部の楔状となっている面に有効に光を入射できるように、LED群を傾けて設置することが好ましい。
【0051】
上記実施形態及び変形例のいずれも平板状の表示体に乱反射部が設けられていたが、本発明の表示装置に用いられる表示体は平板に乱反射部が設けられたものに限定されない。表示体全体が、乱反射部が設けられない側の面、すなわち表示体の表面(観察側となる面)が観察者側に凸となる曲面状のものであってもよい。乱反射部内での光の屈折、乱反射に影響を及ぼさない程度の曲率で観察者側に緩やかに凸となる曲面を有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の表示装置は、看板や交通標識などの表示装置、特に装飾機能を持たせたい看板等の表示装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(a)〜(c)は、それぞれ順に、本発明の実施形態に係る表示装置の正面図、Ib−Ib線における断面図、及びIc−Ic線における断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、それぞれ順に、本発明の実施形態における標識ユニットの正面図、側面図及びIIc−IIc線における断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、それぞれ順に、本発明の実施形態における表示体の正面図、IIIb−IIIb線における断面図、及びIIIc−IIIc線における断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の実施形態の表示装置の組み立て手順を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の実施形態の表示装置の斜視図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態の表示体の他の実施例に係る表示体の正面図、(b)はIVb−IVb線における断面図である。
【図7】本発明の実施形態の第1の変形例に係る表示装置の平面図である。
【図8】本発明の実施形態の第2の変形例に係る表示装置の平面図である。
【図9】本発明の実施形態の第3の変形例に係る表示装置の平面図である。
【図10】本発明の実施形態の第4の変形例に係る表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 表示装置
2 標識ユニット
10 標識体
11 標識
16 反射テープ
20,20’ 表示体
21,21’ 乱反射部
21a,21b,21c 凹凸部
23 窓用凹部
24 反射テープ
25 標識表示用スペース
26 外枠
30 LED群
30a,30b,30c LED
40 固定部材
50 カバー部材
60 表示体
61 乱反射部
70 表示体
71 乱反射部
72 標識
73 標識用スペース
74a,74b 反射部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識を設けるための標識体と、
上記標識体の標識に対峙する標識表示用スペース及び該標識表示用スペースに隣接して設けられた乱反射部を有する透明材料製表示体と、
前記表示体及び標識体に光を入射するための光源と
を備えた表示装置であって、
前記乱反射部は、前記透明材料製表示体の壁面に設けられた、複数の凹凸部からなっている表示装置。
【請求項2】
前記複数の凹凸部は、平面視においてサイズが異なる複数の凹凸部からなり、相対的に小さな凹凸部が相対的に大きな凹凸部同士の隙間を埋めるように設けられている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記凹凸部の凹部が曲面状になっていて、サイズが異なる複数の凹凸部の組み合わせが石垣状パターンを構成している請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記凹凸部は、多角形で且つ凹部が角錐状である凹凸部であって、
前記乱反射部は、該凹凸部が規則正しく配列されたものである請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記標識表示用スペースには窓用凹部が設けられており、
前記窓用凹部の内周面のうち少なくとも光源に近い部分には、光を反射させるための反射部材が設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
乱反射部を有する透明材料製表示体と、前記表示体に光を入射するための光源とを備えた表示装置において、
前記乱反射部は、前記透明材料製表示体の壁面に設けられた、平面視においてサイズが異なる複数の凹凸部からなり、
前記凹凸部の凹部が曲面状になっていて、
前記サイズが異なる複数の凹凸部は、相対的に小さな凹凸部が相対的に大きな凹凸部同士の隙間を埋めるような石垣状パターンを構成している表示装置。
【請求項7】
前記乱反射部は、文字、図形を構成していて、標識機能を有している請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記透明材料製表示体には、標識用スペースが設けられていて、
前記乱反射部は、前記標識用スペースに隣接して設けられている請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記乱反射部の端部は断面形状がくさび状である、請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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