説明

表示装置

【課題】製作費を抑えてコスト削減を図ると共に、警戒区域の視認性に優れ、面照光輝度の均一化を図ることができ、且つレイアウト変更にも容易に対応することができる表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係わる表示装置20において、表示部17は、表示図形が形成された透明な表示シート2と、表示シート2に形成された区画域の非照光領域を遮光する遮光シート19と、表示シート2を差し替え自在に保持する窓板1、透明押さえ板3とを備える。また照光部18は、警戒区域21に合わせて切り出し成形され、背面側から照射された光を表示部17の前面側に向けて面照光する導光パネル5と、導光パネル5の背面に移設自在に保持されたLED11とを備え、導光パネル5の照光面を除く外周域に、反射部材となる反射テープ6、反射フィルム7が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、詳しくは、火災等の発生場所や、感知器や防火戸等の端末機器の位置を図形化して表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多層建築物等では、集中管理室に複合受信機が設置されている。この複合受信機は、火災時の警戒の報知機能と、防火設備の制御機能とを備え、全階層の警戒制御領域内に配置された複数の感知器や防火戸等の端末機器群と信号回線で接続されている。そして、この複合受信機は感知器の感知動作に即応して、火災の発生を全警戒制御領域内に報知すると共に、防火戸等の端末機器が動作するように制御して、人命の喪失や大災害の発生を未然に防止するようになっている。上記複合受信機に入力された感知(検出)データに基づいて、火災発生等の状況を目視により確認する手段として表示装置がある。
【0003】
従来、この種の表示装置としては、図7〜図9に示すように、警戒制御領域を地図もしくは略図として表示し、この地図もしくは略図を、地区、部屋、廊下等に区画して、その複数の区画域(以下、警戒区域という)毎に、状況を図形化した画像を表示するものが知られている。なお、図7は従来の表示装置100の正面図、図8は表示装置100の分解斜視図、図9は表示装置100の要部断面図である。
【0004】
図7に示す表示装置100は、表側から目視することにより、例えば、事務室、会議室等の位置関係を示す間仕切り図(略図)110のそれぞれの警戒区域において、その警戒区域の番号や名称等の表示図形が火災状態の発生の有無に応じて点灯表示されるように構成されている。
【0005】
表示装置100は、図8に示すように、前面側から順に、2枚の透明板101、103と、遮光隔壁104と、この遮光隔壁104内に配置される、ランプ106を備えたランプソケット107と、このランプソケット107が保持されるランプソケット保持板105とを備えて構成されている。また、ランプソケット107に接続された配線108は、ランプソケット保持板105の裏側から装置外部に引き出されている。
【0006】
図7〜図9に示すように、透明板101の裏面には、建物の内部を平面的に間仕切りした間仕切り図110が裏面から描かれている。間仕切り図110内には、丸数字109や文字111が表示されている。これら丸数字109や文字111は、輪郭に沿って切削加工がなされ、彫られた切削溝に異なる色の塗料が塗り込まれている。また、間仕切り図110の平面部分には、半透明塗料102が塗布され、所定範囲の警戒区域が色分けして表示されている。なお、透明板101は、切削加工ができる程度の厚さを有するアクリル樹脂板で形成されている。そして、この透明板101には、所定箇所に切削加工が施されている。
【0007】
透明板103の裏面側には、各警戒区域に対応するように、遮光隔壁104が取り付けられている。この遮光隔壁104は、間仕切り図110内の区画線の直線に対応した長さの板に切断・加工されて、透明板101の背面側に箱枠形となるように1枚づつ接着されている。そして、ランプソケット107を介してランプソケット保持板105に取付られたランプ106の光が遮光隔壁104の内部を照らし、それ以外の区域には光が洩れないようになっている。
【0008】
このような従来の表示装置100において、実際の警戒区域に配置された端末機器が動作した場合は、対応する警戒区域の遮光隔壁104内に配置されたランプ106が点灯する。そして、点灯した警戒区域のランプ106の光は、透明板103を介して警戒区域に対応する透明板101の領域が背面から照射される。他の警戒区域においても、端末機器が動作した場合には、同様な点灯表示が行われる。この結果、明るく照らし出された警戒区域が警報の発信箇所であることを目視により判断できることになる。
【0009】
他の従来技術としては、発泡部材で構成した取付位置移替手段に、発光ダイオードのリード脚を移し替え可能に差し込むようにした機器が知られている(特許文献1参照)。また、上述した従来の表示装置における光源の投影像と投影対象とのズレを補償する改良を施した機器が知られている(特許文献2参照)。また、図柄を模した光透過部を有する遮光シートを、内部に光源が配置された遮光筒の前面側に差し替え可能に支持するように構成した装置が知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第2920757号公報
【特許文献2】特許第3030774号公報
【特許文献3】特開2005−189442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図7〜図9に示した従来の表示装置100では、以下に説明するような課題がある(上記特許文献で解決されている課題を除く)。
【0011】
(イ)遮光隔壁104を間仕切り図110と同じ形状に切断・加工して透明板103の裏面に一枚づつ接着しているので、作業工数が増えてコストが一層高くなる。
【0012】
(ロ)遮光隔壁104で区画された警戒区域が広い場合には、ランプ106の光がスポット的となるため、火災発生がどの警戒区域かが判別し難く、視認性が悪くなる。
【0013】
(ハ)レイアウト変更による表示位置変更を行った場合、透明板101だけでなく、遮光隔壁104及びランプソケット保持板105などの改造が必要になるため、レイアウト変更に伴う改造作業が大がかりになる。
【0014】
(ニ)警戒区域の外形に凹凸があったり、内部に非照光エリアが存在する場合には、ランプ106の光が行き渡らない場所が発生し、表示面における面照光輝度が均一にならない。
【0015】
以上のように、従来の表示装置100においては、製作費がかさむためにコスト高になるとともに、警戒区域の視認性の向上や面照光輝度の均一化を図ることができず、且つレイアウト変更が大がかりになるという課題があった。
【0016】
本発明の目的は、製作費を抑えてコスト削減を図るとともに、警戒区域の視認性に優れ、面照光輝度の均一化を図ることができ、且つレイアウト変更にも容易に対応することができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1に係わる発明は、複数の区画域と文字情報とを含む表示図形が形成された表示部と、この表示部の背面側から光源の光を照射して、前記表示図形を前記表示部の前面側に投影表示する照光部とを備えた表示装置であって、前記表示部は、前記表示図形が形成された透明な表示シートと、この表示シートに形成された区画域の非照光領域を遮光する遮光シートと、前記表示シート及び遮光シートを差し替え自在に保持するシート保持手段とを備え、前記照光部は、前記区画域と近似する形状に切り出し成形され、背面側から照射された光を前記表示部の前面側に向けて面照光する導光部材と、前記表示図形の区画域に合わせて前記導光部材の背面に移設自在に保持された光源とを備え、前記導光部材の外周域に、光を前記導光部材側に反射する反射部材が設けられたことを要旨とする。
【0018】
請求項2に係わる発明は、請求項1において、前記光源の照射側前面に、照射された光を拡散する拡散部材を設けたことを要旨とする。
【0019】
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2において、前記導光部材は、厚さ方向に貫通する導光穴が形成されると共に、この導光穴の内部壁面に遮光部材が形成され、光源が前記導光穴の上部に移設自在に保持されることを要旨とする。
【0020】
請求項4に係わる発明は、請求項3において、前記遮光部材は、光を反射する反射面を備え、その反射面が前記導光部材側に向くように形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、面照光手段となる導光部材は、所望の形状に切り出し成形され、その外周域に反射部材を形成することにより製作することができるため、従来技術のような遮光隔壁を間仕切り図と同じ形状に切断・加工して透明板の裏面に一枚づつ接着するのに比べて、製作が極めて容易なものとなる。したがって、上記従来技術よりも作業工数が少なくなり、製作費を抑えてコスト削減を図ることができる。
【0022】
また、光源からの光は導光部材により面照光されるので、警戒区域の面積が広い場合でも、光源の光がスポット的にならず、火災発生がどの警戒区域かの判別が容易となり、視認性に優れた表示を行うことができる。
【0023】
さらに、レイアウト変更による表示位置変更を行った場合でも、表示シートや導光部材などの製作を容易に行うことができるだけでなく、光源を支持する部材の改造も不要となるため、レイアウト変更にも容易に対応することができる。
【0024】
また、導光部材は区画域と近似する形状に切り出し成形されるため、光源からの照射光は、表示図形の非照光領域で遮られることなく、導光部材の隅々まで行き渡ることになる。そして、この導光部材から面照光された光は、表示シートの背面側に設けられた遮光シートにより一部が遮光され、残りの光が表示部の前面側に投影表示されることになる。このように、表示部に投影表示された光は、均一に面照光された光の一部を平面的に遮光したものであるため、面照光輝度を均一化することができる。
【0025】
また、光源を導光部材の背面側から照射する構成としたので、すべての光源と周辺部材の構成を同一とすることができるようになり、部品の共通化によるコスト削減を実現することができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、光源の照射側前面に拡散部材を設けたことにより、光源からの光が拡散され、導光部材において、より均一な面照光を行うことが可能となる。
【0027】
請求項3の発明によれば、導光部材に、厚さ方向に貫通する導光穴を形成し、その上部に光源を移設自在に保持するようにしたので、この光源からの光は導光部材を通過することなく表示部に照射することになる。このため、警戒区域内に配置された制御用の端末機器である防火戸や、シャッター、垂壁等の作動状態をスポット表示することができる。そして、このようなスポット表示と警戒区域の面照光とを併用した場合は、火災発生の場所を容易に判別できると共に、防火戸等の作動状態を速やかに確認することができるようになるため、火災発生時等における対応をより迅速に行うことが可能となる。また、スポット表示用の光源を導光穴の上部に移設自在に保持するようにしたので、レイアウト変更にも容易に対応することができる。また、導光穴の内部壁面に遮光部材を設けたことにより、導光部材に照射された光が、導光穴の内部に漏れることがないので、部分的な光量不足を生じることがなく、均一な面照光を行うことができる。
【0028】
請求項4の発明によれば、光を反射する反射面を備えた遮光部材を用い、その反射面を導光部材側に向けた構成としたので、光源から導光部材に照射された光のうち、導光穴の付近に達した光は、導光穴の内部壁面に形成された前記遮光部材により導光部材の内部に向けて反射されることになり、この部分に遮光部材を形成しない場合に比べて光の損失が少なくなり、より均一な面照光を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係わる表示装置の実施形態について説明する。なお、本実施形態に示す図面は模式的なものであり、各部材の寸法の比率等は現実のものとは異なる。
【0030】
[投影画像の説明]
まず、本実施形態に係わる表示装置の構成を説明する前に、表示部に投影表示される画像について説明する。図2は、表示装置の正面図である。図2に示すように、表示装置20の表示部正面には、建物内部の警戒区域21を平面的に間仕切りした間仕切り図22が表示されている。この間仕切り図22は、警戒区域21と後述の文字情報とを含む表示図形である。
【0031】
各警戒区域21内には、文字情報として、火災感知器(警戒用の端末機器)を示す丸数字23、防火戸(制御用の端末機器)を示す文字24、その区域の名称、用途や防火設備等の場所名を示す文字列25が表示されている。なお、警戒用の端末機器としては、火災報知器(自動火災報知機感知器)のほかに、防排煙設備用感知器等がある。制御用の端末機器としては、防火戸のほかに、シャッター、垂壁等の防排煙設備がある。
【0032】
そして、各警戒区域21には、後述する発光ダイオードの光を均一に面照光する面照光部26が設けられている。また、警戒区域21には、必要に応じてスポット表示部27が設けられている。図2では、事務室のある警戒区域21において、防火戸D1をスポット表示部27としている。ただし、スポット表示部27はこの例に限らず、例えば、火災感知器の丸数字23をスポット表示部27としてもよい。また、スポット表示部27は、警戒区域21ごとに設けてもよいし、一つの警戒区域21に複数設けてもよい。
【0033】
また、事務室のある警戒区域21には、非照光領域として、非照光エリア28、29が存在している。この非照光エリア28、29は、該当する面照光部26において照光されない領域であり、警戒区域21の外形に存在する柱等の凹凸を示している。また、上述したスポット表示部27も、面照光部26において照光されない領域であり、警戒区域21の内部に存在する非照光エリアとなる。したがって、事務室のある警戒区域21には、非照光領域として、非照光エリア28、29、及びスポット表示部27が存在していることになる。
【0034】
[装置構成]
次に、表示装置20の構成について説明する。図1は、本実施形態に係わる表示装置20の分解斜視図である。図1に示すように、表示装置20は、最も前面側(目視方向側)に位置する窓板1と、窓板1の背面側に配置される表示シート2と、この表示シート2の背面側に配置される遮光シート19と、この遮光シート19の背面側に配置される透明押さえ板3と、光源支持部材としての支持板14とを備えている。そして、透明押さえ板3と支持板14との間に、照光部18が配置されている。
【0035】
窓板1は、比較的厚みのある矩形状の透明な板であり、表示装置20の最前部に配置されて表示面となっている。この窓板1の構成材料としては、例えばアクリル樹脂等の各種の透明性を有する樹脂や、耐久性を有するガラス等の透明材料を用いることができる。また、表面側に正面反射防止のノングレア処理を施すことが望ましい。
【0036】
表示シート2は、窓板1とほぼ同じ形状にカットされている。表示シート2としては、例えばマイラーフィルムのような樹脂からなる透明又は半透明フイルムを用いることができる。そして、表示シート2の表面には、警戒区域21を示す間仕切り図22、丸数字23、文字24及び文字列25が印刷により形成されている(図2参照)。印刷により形成される線の色は、例えば、後述する遮光シート19の表側の色が白色であれば、黒色等の濃い色とする。この印刷は、普通紙用のカラープリンタを用いてプリントすることができる。したがって、間仕切り図22をパソコンにより作成し、図形データとして保存しておけば、修正も短時間に且つ容易に行うことができ、製作費も安く抑えることができる。したがって、レイアウト変更の際にも、規模の大小にかかわらず、容易に対応することができる。
【0037】
なお、建物内部や部屋内部を警戒区域ごとに色分けしたり、部屋内部を階ごとに色分けしたり、あるいは建物内部全体に色付けをする場合には、該当領域の全面を色印刷することにより対応することができる。その場合、濃い色に印刷すると光の透過量が少なくなるため、光透過性の高い淡い色に印刷することが望ましい。淡い色に印刷した場合は、光源の光量にもよるが、その部分を半透過領域とすることができる。
【0038】
遮光シート19は、表示シート2に形成された表示図形において、非照光領域となる部分を遮光するためのシートである。遮光シート19としては、光を通さない色のPETシート又はポリカーボネートシートを用いることができる。図3は、遮光シート19の正面図である。図3に示すように、遮光シート19は、間仕切り図22(図2)のうち、3つの警戒区域21を除いた外周域や廊下、階段、及び非照光エリア28、29を非照光領域として遮光するものである。このような遮光シート19は一例として、白色又は黒色のPETシート上に、間仕切り図22の図形データに基づいて光透過エリアとなる図形を形成し、レーザーカッターでこの光透過エリアを切断、除去することにより作成することができる。
【0039】
透明押さえ板3は、窓板1や表示シート2とほぼ同じ形状にカットされた透明な板材であり、後述する照光部18を保持するために用いられる。透明押さえ板3としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明素材を用いることができる。
【0040】
上述した窓板1、表示シート2、遮光シート19、及び透明押さえ板3が本実施形態における表示部17となる。そして、窓板1と透明押さえ板3が、表示シート2と遮光シート19とを差し替え自在に保持するシート保持手段として機能する。
【0041】
両面接着シート4は、両面に接着層が形成された接着シートであり、間仕切り図22とほぼ同じ形状にカットされている。本実施形態の両面接着シート4としては、反復した剥離が可能な接着層を有し、且つ透光性を有する透明両面接着シートが用いられる。この両面接着シート4によって、表示部17と照光部18とが接合される。
【0042】
照光部18は、大別すると、光源となる発光ダイオード(以下、LEDという)と、入射した光を前面側に向けて面照光する導光部材としての導光パネル5と、これらの周辺部材とから構成されている。
【0043】
本実施形態におけるLEDは、面照光用のLED11と、スポット表示用のLED11Aとに区分される。以下の説明では、LED11、11Aを包括的に説明する場合は「LED11」と表記し、それ以外の場合は「面照光用のLED11」、「スポット表示用のLED11A」と表記する。
【0044】
LED11は、LEDプリント基板12に実装され、このLED11を取り囲む筒形の遮光筒10の内部に収納される。LEDプリント基板12に接続された配線13は、装置外部に引き出されて、図示しない制御回路と接続されている。面照光用のLED11が収納される遮光筒10の照射側前面には、両面接着シート9と、拡散フィルム8とが取り付けられている。また、スポット照光用のLED11Aが収納される遮光筒10の照射側前面には、両面接着シート9が取り付けられている。なお、光源としては、LEDのほかに蛍光灯や冷陰極管等を用いることができる。
【0045】
両面接着シート9は、遮光筒10を導光パネル5の背面に貼り付けるための円形の接合部材であり、この両面接着シート9によって、遮光筒10は導光パネル5の背面に移設自在に保持される。両面接着シート9としては、反復した剥離が可能な接着層を有し、且つ透光性を有する透明両面接着シートが用いられる。拡散フィルム8は、面照光用のLED11からの光を拡散し、後述する導光パネル5において、より均一な面照光となるようにするためのものである。
【0046】
また、本実施形態では、各警戒区域21に、面照光用のLED11を一つづつ配置した例について示しているが、警戒区域21の面積が広い場合には、均一な面照光に必要な光量を確保することができないため、設置数を増やすことで対応することができる。
【0047】
導光パネル5は、入射した光を内部の拡散層で乱反射させて、前面側に向けて面照光させる厚板形状の導光部材である。各導光パネル5は、配置される警戒区域と近似する形状に合わせて切り出し成形されるとともに、照光面を除く外周域に、光を内側に反射する反射部材として、後述する反射テープ6と反射フィルム7とが貼り付けられている。
【0048】
導光パネル5の側面には、光を反射する不透明の反射テープ6が、透明の接着剤により導光パネル5の側面に貼り付けられている。この透明の接着剤(又は透明の接着シート)は、反復した剥離が可能な接着部材からなるものが望ましい。本実施形態では、反射部材として反射テープ6を貼り付けた例を示したが、代わりに反射用塗料を導光パネル5の側面に塗布してもよい。
【0049】
また、導光パネル5の背面には、光を反射する不透明の反射フィルム7と、LED11を収納した遮光筒10とが貼り付けられている。反射フィルム7の遮光筒10取り付け位置には、照射穴15が穴加工により形成されており、遮光筒10は、その照射側前面に取り付けられた両面接着シート9により照射穴15の上部に移設自在に保持されている。照射穴15は、穴加工により簡単に形成することができるため、レイアウト変更に際しても、LED11の位置を容易に移設することが可能となる。
反射フィルム7は、光を反射する反射面が導光パネル5側に向くように、透明の接着剤により導光パネル5の背面に貼り付けられている。この透明の接着剤(又は透明の接着シート)は、反復した剥離が可能な接着部材からなるものが望ましい。本実施形態では、反射部材として反射フィルム7を貼り付けた例を示したが、代わりに反射用塗料を導光パネル5の背面に塗布してもよい。
【0050】
また、導光パネル5において、スポット表示部27(図2参照)の取り付け位置には、導光パネル5の厚さ方向に貫通する導光穴16が形成されている。そして、スポット表示用のLED11Aを収納した遮光筒10は、その照射側前面に取り付けられた両面接着シート9により導光穴16の上部に移設自在に保持されている。導光穴16の上部に保持されたスポット表示用のLED11Aからの光は、導光パネル5の拡散層を通過せずに、導光穴16を通過して表示部17に照射される。
【0051】
導光穴16の内部壁面には、遮光部材として反射テープ6が貼り付けられている。本実施形態において、反射テープ6は、光を反射する反射面が導光パネル5側に向くように貼り付けられている。このように、導光穴16の内部壁面に遮光部材を設けたことにより、面照光用のLED11から導光パネル5に照射された光は、導光穴16の内部に漏れることがないので、部分的な光量不足を生じることがなく、均一な面照光を行うことができる。
【0052】
とくに、遮光部材として反射テープ6を用い、その反射面を導光パネル5側に向けた構成とすることにより、面照光用のLED11から導光パネル5に照射された光のうち、導光穴16付近に達した光は、導光穴16の内部壁面に貼り付けられた反射テープ6によりパネル内部に向けて反射されることになる。したがって、この部分に遮光部材を貼り付けない場合に比べて光の損失が少なくなり、より均一な面照光を行うことが可能となる。なお、導光パネル5の面積が比較的小さく、面照光用のLED11からの光により十分な面照光ができる場合は、少なくとも、導光パネル5を通過する光が導光穴16内に漏れないようにすればよい。したがって、反射面を有しない、例えば黒色のテープを遮光部材としてもよい。本実施形態では、導光穴16の内部壁面に、反射部材として反射テープ6を貼り付けた例について示したが、反射テープ6の代わりに、反射用塗料を導光穴16の内部壁面に塗布してもよい。
【0053】
上述したような導光パネル5の切り出し成形(切断)や穴加工には、例えば、レーザーカッターを用いることができる。
【0054】
また、導光パネル5は、入射した光を内部の拡散層で乱反射させて、前面側に向けて面照光させることができるものであれば、どのような部材を用いてもよい。一例として、株式会社きもと社製「パネビー」(登録商標)を用いることができる。この導光部材は、透明なアクリルプレートの内部に拡散体となるビーズが均一に分散された拡散層が形成され、入射した光がビーズに乱反射することにより、面照光となるものである。
【0055】
また、反射テープ6は、光を反射する性質を有するものであれば、どのような部材であってもよい。反射フィルム7は、光を反射する性質を有するものであれば、どのような部材であってもよい。一例として、株式会社きもと社製「レフホワイト188」を用いることができる。
【0056】
支持板14は、LED11が配置された各導光パネル5を背面から押えて、剥がれないようにするための部材であり、緩衝素材が用いられる。
【0057】
上記のように構成された導光パネル5と周辺部材は、両面接着シート4を介して透明押さえ板3と接合されている。そして、窓板1と支持板14との間に、上述した表示シート2、遮光シート19、透明押さえ板3、両面接着シート4、及び照光部18を配置し、厚み方向に接合することにより、パネル形状の表示装置20となる。
【0058】
[表示原理の説明]
次に、本実施形態に係わる表示装置20の表示原理について説明する。図4は表示装置20の要部断面図である。表示装置20は、図示しない複合受信機と信号回線で接続されており、例えば、火災発生により端末機器が動作すると、複合受信機は、表示装置20の該当する警戒区域21内の面照光用LED11に対して制御信号を供給する。この制御信号により面照光用LED11が点灯すると、その照射光Lは遮光筒10の照射側前面に設けられた拡散フィルム8により拡散され、遮光筒10の丸形状よりも大きな丸形状の光となって導光パネル5に照射される。導光パネル5に照射された光のうち、一部の光は導光パネル5の内部を通過して窓板1から外部に向けて照射される。また、そのほかの光は、導光パネル5の内部に均一に分散された拡散体に反射して、各種方向に拡散されるとともに、反射テープ6や反射フィルム7で反射された後、窓板1から外部に向けて光L1として照射される。この光L1によって、警戒区域21の面照光部26は均一に面照光されて、表示部17の前面側に投影表示されることになる。
【0059】
また、導光パネル5の導光穴16の上部に保持されたスポット表示用のLED11Aでは、照射光Lが遮光筒10内を乱反射しながら通過し、遮光筒10の丸形状と同じ丸形状の光L2となり、導光パネル5の内部層を通過することなく、表示部17の前面側に投影表示されることになる。
【0060】
なお、導光穴16の上部に保持されたスポット表示用のLED11Aには、その照射側前面に拡散フィルム8は設けられていないが、すべてのLED11に拡散フィルム8を設けてもよい。このように、すべてのLED11と周辺部材の構成を同一とした場合は、部品の共通化によるコスト削減を実現することができる。
【0061】
次に、非照光エリア28、29、及びスポット表示部27が設けられた警戒区域21の照光について説明する。
【0062】
図5は、導光パネル5を非照光エリア28、29の形状に合わせて切り出し成形した場合の平面図、図6は、導光パネル5を警戒区域21と近似する形状に合わせて切り出し成形した場合の平面図である。ここでは、図2の事務室のある警戒区域21を例として説明する。
【0063】
図5に示すように、警戒区域21の形状に合わせて、導光パネル5の外形に非照光エリア28、29に対応する切り欠きや、内部にスポット表示部27に対応する貫通穴を設けた場合は、図中に破線円で示す面照光用のLED11からの照射光Lが行き渡らない場所、すなわち、図中に一点鎖線で示す領域において、面照光輝度が均一にならないことが考えられる。しかしながら、本実施形態の構成では、図6に示すように、導光パネル5の外形が警戒区域21と近似する形状に合わせて切り出し成形されているため、図中に破線円で示す面照光用のLED11からの照射光Lは拡散しながら導光パネル5の隅々まで行き渡る(スポット表示部27に対応する貫通穴の裏側にも横方向から拡散した照射光Lが回り込む)ことになり、警戒区域21の面照光部26は均一に面照光される。そして、導光パネル5から面照光された光のうち、一部は遮光シート19で遮光され、残りの光が表示部17の前面側に投影表示されることになる。この投影表示された光は、均一に面照光された光の一部を平面的に遮光したものであるため、表示部17において均一な面照光輝度を得ることができる。
【0064】
[実施形態の効果]
本実施形態に係わる表示装置20において、面照光手段となる導光パネル5は、レーザーカッター等により所望の形状に切り出し成形し、その外周域に反射部材となる反射テープ6や反射フィルム7を形成することにより製作することができる。これによれば、従来技術(図8参照)のような遮光隔壁104を間仕切り図110と同じ形状に切断・加工して透明板103の裏面に一枚づつ接着するのに比べて、製作が極めて容易なものとなる。したがって、上記従来技術よりも作業工数が少なくなり、製作費を抑えてコスト削減を図ることができる。
【0065】
また、面照光用のLED11から照射された光は導光パネル5により表示部17の前面側に面照光されるので、警戒区域21の面積が広い場合でも、面照光用LED11の光がスポット的にならず、火災発生がどの警戒区域かの判別が容易となり、視認性に優れた表示を行うことができる。
【0066】
さらに、レイアウト変更による表示位置変更を行った場合でも、表示シート2、遮光シート19及び導光パネル5の製作を容易に行うことができる。また、反射フィルム7の照射穴15を穴加工により簡単に形成することができるため、LED11の位置を容易に移設することができる。さらには、LED11の移設に合わせて支持板14の改造も不要となる。以上のことから、レイアウト変更にも容易に対応することができる。
【0067】
また、LED11を導光パネル5の背面側から照射する構成としたので、すべてのLED11と周辺部材の構成を同一とすることができるようになり、部品の共通化によるコスト削減を実現することができる。
【0068】
また、本実施形態に係わる表示装置20では、面照光用のLED11の照射側前面に拡散フィルム8を設けているため、LED11からの光が拡散され、導光パネル5において、より均一な面照光を行うことが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、導光パネル5を警戒区域21と近似する形状に合わせて切り出し成形しているため、面照光用のLED11からの照射光Lは非照光エリアで遮られることなく、導光パネル5の隅々まで行き渡ることになる。そして、この導光パネル5から面照光された光は、表示シート2の背面側に設けられた遮光シート19により一部が遮光され、残りの光が表示部17の前面側に投影表示されることになる。このように、表示部17に投影表示された光は、均一に面照光された光の一部を平面的に遮光したものとなるため、表示部17において面照光輝度の均一化を図ることができる。したがって、複雑な形状の表示図形であっても均一な面照光を行うことが可能となる。また、非照光エリアの形状が複雑であっても、導光パネル5は警戒区域21と近似する形状に合わせて切り出し成形すればよいため、導光パネル5の製作が容易なものとなる。
【0070】
また、本実施形態に係わる表示装置20では、導光パネル5の一部において、厚さ方向に貫通する導光穴16を形成し、その上部に保持されたスポット表示用のLED11Aからの光を導光パネル5を通過させずに、表示部17に照射する構成としたので、警戒区域21内に配置された制御用の端末機器である防火戸や、シャッター、垂壁等の作動状態をスポット表示することができる。このようなスポット表示と警戒区域21の面照光とを併用した場合は、火災発生の場所を容易に判別できると共に、防火戸等の作動状態を速やかに確認することができるため、火災発生時等における対応をより迅速に行うことが可能となる。さらに、スポット表示用のLED11Aを導光穴16の上部に移設自在に保持するようにしたので、レイアウト変更にも容易に対応することができる。
【0071】
また、導光穴16の内部壁面に遮光部材を設けたことにより、面照光用のLED11から導光パネル5に照射された光は、導光穴16の内部に漏れることがないので、部分的な光量不足を生じることがなく、均一な面照光を行うことができる。とくに、本実施形態では遮光部材として反射テープ6を用い、光を反射する反射面を導光パネル5側に向けた構成としたので、面照光用のLED11から導光パネル5に照射された光のうち、導光穴16付近に達した光は、導光穴16の内部壁面に貼り付けられた反射テープ6によりパネル内部に向けて反射されることになり、この部分に遮光部材を貼り付けない場合に比べて光の損失が少なくなり、より均一な面照光を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、火災報知設備、防排煙設備、警備設備、防犯設備、建設設備、安全管理設備等の他に、案内板、広告板等で利用することが可能である。広告板で利用する場合の一例を挙げると、「ABCDEFG」の文字列の表示を一括して表示/非表示とするだけでなく、上記文字列を「ACE」や「ABC」のような異なる文字列として表示を行うことや、「ABCDEFG」→「ACE」→「ABC」というように連続的に異なる文字列の表示を行うことができる。これらの表示を行う場合においても、製作費を抑えて低コストとすることができ、また表示内容の変更も容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施形態に係わる表示装置の分解斜視図。
【図2】実施形態に係わる表示装置の正面図。
【図3】遮光シートの正面図。
【図4】実施形態に係わる表示装置の要部断面図。
【図5】導光パネルを非照光エリアの形状に合わせて切り出し成形した場合の平面図。
【図6】導光パネルを警戒区域と近似する形状に合わせて切り出し成形した場合の平面図。
【図7】従来の表示装置の正面図。
【図8】従来の表示装置の分解斜視図。
【図9】従来の表示装置の要部断面図。
【符号の説明】
【0074】
1…窓板
2…表示シート
3…透明押さえ板
4…両面接着シート
5…導光パネル
6…反射テープ
7…反射フィルム
8…拡散フィルム
9…両面接着シート
10…遮光筒
11…面照光用のLED
11A…スポット表示用のLED
12…LEDプリント基板
13…配線
14…支持板
15…照射穴
16…導光穴
17…表示部
18…照光部
19…遮光シート
20…表示装置
21…警戒区域
23…丸数字
24…文字
25…文字列
26…面照光部
27…スポット表示部
28、29…非照光エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区画域と文字情報とを含む表示図形が形成された表示部と、この表示部の背面側から光源の光を照射して、前記表示図形を前記表示部の前面側に投影表示する照光部とを備えた表示装置であって、
前記表示部は、前記表示図形が形成された透明な表示シートと、この表示シートに形成された区画域の非照光領域を遮光する遮光シートと、前記表示シート及び遮光シートを差し替え自在に保持するシート保持手段とを備え、
前記照光部は、前記区画域と近似する形状に切り出し成形され、背面側から照射された光を前記表示部の前面側に向けて面照光する導光部材と、前記表示図形の区画域に合わせて前記導光部材の背面に移設自在に保持された光源とを備え、前記導光部材の照光面を除く外周域に、光を前記導光部材側に反射する反射部材が設けられたこと、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光源の照射側前面に、照射された光を拡散する拡散部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記導光部材は、厚さ方向に貫通する導光穴が形成されると共に、この導光穴の内部壁面に遮光部材が形成され、光源が前記導光穴の上部に移設自在に保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記遮光部材は、光を反射する反射面を備え、その反射面が前記導光部材側に向くように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−305007(P2008−305007A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149443(P2007−149443)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(591077003)沖電気防災株式会社 (17)
【Fターム(参考)】