説明

表示装置

【課題】操作を煩雑にすることなく、複数の画像の拡大表示が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、第1、第2画像データを表示する表示部を備える。表示部を駆動し、第1画像データに対応する第1画像FP1の一部を拡大表示した後、第2画像データに対応する第2画像を表示する場合に、第1拡大表示領域画像LP1の第1画像FP1に対する位置関係を特定し、特定した位置関係に基づいて、第2画像の拡大表示を行う制御部を備える。制御部は、第1拡大表示領域LP1の第1画像FP1に対する位置関係として、第1拡大表示領域LPにおける基準点PPの、第1画像FP1内の移動範囲(mx1、my1)に対する位置関係を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に拡大表示が可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1などの表示装置において、全体画像を表示する他、全体画像の一部を拡大して表示する機能を有する表示装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−202106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1などの表示装置では、拡大表示した画像から切り替えて他の画像を表示する場合には、拡大表示が解消されて全体表示されるか、拡大表示される場所が変えられて全体画像の中心などが拡大表示される。そのため、再度、同じ場所を拡大表示するために、方向キーなどを操作して拡大表示領域を再設定する必要があり、操作が煩雑であった。
【0004】
したがって本発明の目的は、操作を煩雑にすることなく、複数の画像の拡大表示が可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る表示装置は、第1、第2画像データを表示する表示部と、表示部を駆動し、第1画像データに対応する第1画像の一部を第1拡大表領域として拡大表示した後、第2画像データに対応する第2画像を表示する場合に、第1拡大表示領域の第1画像に対する位置関係を特定し、特定した位置関係に基づいて、第2画像の拡大表示を行う制御部とを備え、制御部は、第1拡大表示領域の第1画像に対する位置関係として、第1拡大表示領域における基準点の、第1画像内の移動範囲に対する位置関係を特定する。
【0006】
好ましくは、制御部は、基準点の第1画像内の移動範囲に対する位置関係に基づいて、第2画像における拡大表示を行う第2拡大表示領域の基準点を特定し、第2拡大表示領域の基準点に基づいて、第2拡大表示領域を特定する。
【0007】
また、好ましくは、第1拡大表示領域における基準点の第1画像内の移動範囲の横方向の長さは、第1画像の横方向の長さから第1拡大表示領域の横方向の長さを引いたものであり、縦方向の長さは、第1画像の縦方向の長さから第1拡大表示領域の縦方向の長さを引いたものである。
【0008】
また、好ましくは、第1、第2拡大表示領域の縦横比は、表示部の表示領域の縦横比と等しい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、操作を煩雑にすることなく、複数の画像の拡大表示が可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1は、デジタルカメラである。本実施形態は、撮像した画像を表示できるデジタルカメラを使って説明するが、制御部と表示部を備える他の装置であってもよい。
【0011】
撮像装置1の撮像に関する部分は、操作部10、制御部30、撮影部50、記録部70、及び表示部90を備える(図1参照)。操作部10は、拡大表示及び縮小表示を行うダイヤルなどの拡大縮小キー11と、拡大表示する領域を指定する四方向キーなどの方向キー12、前後の画像と表示切り替えを行うページ送りキー13を有する。方向キー12を操作すると、表示部90に表示された画像上に拡大表示枠が表示され、この拡大表示枠が方向キー12の操作に対応して移動せしめられる。拡大表示枠は、後述する第1、第2拡大表示領域LP1、LP2を特定する領域で、拡大表示枠内の特定の位置(本実施形態では左上の角部)を基準点PPとする。
【0012】
被写体像は、レンズ(不図示)を介した光学像として、撮影部50の撮像素子で撮像される。撮像された画像は、表示部90に表示され、撮像された画像のデータは記録部70に記録される。本実施形態では、記録部70は、第1、第2画像データを記録し、表示部90は、制御部30の駆動に基づいて、第1、第2画像データに対応する第1、第2画像FP1、FP2を順に再生表示出来る。
【0013】
図2は、横長の第1画像FP1と、拡大表示枠に対応する第1拡大表示領域LP1の位置関係を示す図であり、図3は、次に再生表示される、縦長の第2画像FP2と、拡大表示枠に対応する第2拡大表示領域LP2の位置関係を示す図である。
【0014】
第1、第2画像FP1、FP2を表示部90で表示する場合に、画像の全体を表示する全体表示と、画像の一部(第1、第2拡大表示領域LP1、LP2)を拡大して表示する拡大表示が可能である。
【0015】
全体表示の場合は、制御部30は、画像の縦横比を保持した状態で、画像の縦方向、横方向の少なくとも一方が表示部90の表示領域と一致し、他方が表示領域以下になる状態で、表示部90に表示する。例えば、画像の縦横比と、表示領域の縦横比が一致する場合(いずれも横長方向で縦横比が同じ)は、画像の縦方向、横方向の両方が表示領域と一致する状態で表示される。また、画像の縦横比と、表示領域の縦横比が一致しない場合(画像は縦長方向で、表示領域は横長方向)は、画像の縦方向が表示領域の縦方向の長さと一致し、画像の横方向が表示領域の横方向の長さに比べて短い状態で表示される。
【0016】
拡大表示の場合は、使用者の拡大縮小キー11、及び方向キー12の操作によって設定された拡大表示枠に対応して、制御部30は、全体表示で表示部90に表示されている第1、第2画像FP1、FP2における拡大表示する第1、第2拡大表示領域LP1、LP2を、表示部90の表示領域に拡大して表示する。
【0017】
制御部30は、表示部90を駆動し、第1画像データに対応する第1画像FP1の一部を拡大表示した後、第2画像データに対応する第2画像FP2を表示する場合に、第1拡大表示領域LP1(拡大表示枠)の第1画像FP1に対する位置関係(拡大表示枠に対応する基準点PPの第1画像FP1内の移動範囲に対する位置関係)を特定し、特定した位置関係に基づいて、第2画像FP2の拡大表示を行う。
【0018】
基準点PPの第1画像FP1内の移動範囲の横方向の長さは、第1画像FP1の横方向の長さから第1拡大表示領域LP1の横方向の長さを引いたもの、縦方向の長さは、第1画像FP1の縦方向の長さから第1拡大表示領域LP1の縦方向の長さを引いたもので特定される。
【0019】
具体的には、拡大表示が行われた状態で、使用者によってページ送りキー13の操作が行われると、制御部30は、基準点PPの、基準点PPの第1画像FP1内の移動範囲に対する位置関係(原点poからの距離と移動範囲との割合)を特定する。基準点PPの第1画像FP1内の移動範囲とは、拡大表示させるポイントとして指定可能な領域をいう。本実施形態では、基準点PPは、第1拡大表示領域LP1(第2拡大表示領域LP2)における左上の端点であるとして説明するが、第1、第2拡大表示領域LP1、LP2内の同じ場所であれば、他の場所(例えば第1拡大表示領域LP1や第2拡大表示領域LP2の中心点)であってもよい。また、基準点PPを特定するための、第1画像FP1の左上の端点を原点poとする。
【0020】
全体表示している第1画像FP1の横方向の長さをX1、縦方向の長さをY1、第1拡大表示領域LP1の横方向の長さをax1、縦方向の長さをay1、基準点PPの原点poからの横方向の長さをxx1、縦方向の長さをyy1とする。第1画像FP1の横方向の長さX1、縦方向の長さY1は、第1画像データの読込時に特定され、第1拡大表示領域LP1の横方向の長さax1、縦方向の長さay1は、第1画像FP1の大きさと予め設定された拡大表示する際の拡大率から算出される。第1拡大表示領域LP1の縦横比は、表示部90の表示領域の縦横比と一致するように設定される。第1画像FP1の横方向の長さX1、縦方向の長さY1は、撮影時に、縦横センサによって検出される画像の向きと共に、第1画像データのヘッダ内に記録される。
【0021】
第1画像FP1において、基準点PPの横方向の移動範囲mx1は、X1―ax1で表され、縦方向の移動範囲my1は、Y1−ay1で表される。これにより、基準点PPの原点poからの距離と移動範囲との割合は、横方向が第1割合r1=xx1÷(X1−ax1)、縦方向が第2割合r2=yy1÷(Y1−ay1)で表される。制御部30は、第1、第2割合r1、r2の値を内部メモリなどに一時記憶する。
【0022】
基準点PPの、基準点PPの第1画像FP1内の移動範囲に対する位置関係(原点poからの距離と移動範囲との割合)に基づいて、制御部30は、第1画像FP1の次の画像に相当する第2画像FP2に対応する第2画像データを記録部70から読み出しし、表示部90の表示領域に拡大表示する。
【0023】
第2画像FP2の一部を拡大表示する際、制御部30は、第2画像FP2の原点poから、基準点PPの第2画像FP2の移動範囲に対して、横方向に第1割合r1、縦方向に第2割合r2の位置を基準点PPとし、ここから横方向にax2、縦方向にay2の領域を第2拡大表示領域LP2として特定し、表示部90の表示領域に拡大表示する。
【0024】
全体表示している第2画像FP2の横方向の長さをX2、縦方向の長さをY2、第2拡大表示領域LP2の横方向の長さをax2、縦方向の長さをay2、基準点PPの原点poからの横方向の長さをxx2、縦方向の長さをyy2とする。第2画像FP2の横方向の長さX2、縦方向の長さY2は、第2画像データの読込時に特定され、第2拡大表示領域LP2の横方向の長さax2、縦方向の長さay2は、第2画像FP2の大きさと予め設定された拡大表示する際の拡大率から算出される。第2拡大表示領域LP2の縦横比は、表示部90の表示領域の縦横比と一致するように設定される。本実施形態では、第1画像FP1を拡大表示する際の拡大率と、第2画像FP2を拡大表示する拡大率は同じ値であるとして説明するが、異なる値であってもよい。第2画像FP2の横方向の長さX2、縦方向の長さY2は、撮影時に、縦横センサによって検出される画像の向きと共に、第2画像データのヘッダ内に記録される。
【0025】
第2画像FP2の原点poから、基準点PPの第2画像FP2の移動範囲に対して、横方向に第1割合r1の長さ(位置)xx2は、(X2−ax2)×r1=(X2−ax2)×xx1÷(X1−ax1)で表され、縦方向に第2割合r2の長さ(位置)yy2は、(Y2−ay2)×r2=(Y2−ay2)×yy1÷(Y1−ay1)で表される。
【0026】
これにより、第1画像FP1と、第2画像FP2が連続して拡大表示された場合に、それぞれの縦横比が異なったとしても、ほぼ同じ場所を拡大表示することが可能になる。それぞれの縦横比が同じ場合(X1:X2=Y1:Y2、ax1=ax2、ay1=ay2)は、同じ場所を拡大表示することが可能になる。そのため、第1画像FP1と、第2画像FP2が同じ被写体で、縦横比が異なる場合や、画像サイズが異なる場合などに、拡大表示枠を移動させて基準点PPを再設定することなく、同じ被写体のほぼ同じ場所の拡大画像を見ることが可能になる。
【0027】
特に、第1画像FP1の四隅のいずれかを第1拡大表示領域LP1として拡大表示させた状態で、次の第2画像FP2を拡大表示させる場合に、第2画像FP2の四隅の同じ位置を第2拡大表示領域LP2として拡大表示させることが可能になる。
【0028】
次に、本実施形態における拡大表示の流れを図4のフローチャートを用いて説明する。第1画像FP1が表示部90の表示領域に全体画像が表示された状態で、拡大表示を行う操作(拡大縮小キー11や方向キー12の操作)が行われると、ステップS11で第1画像FP1の一部(基準点PPを含む拡大表示枠(第1拡大表示領域LP1))が拡大表示される。
【0029】
ステップS12で、ページ送りキー13の操作が行われたか否か、すなわち異なる画像(第2画像FP2)を表示する操作が行われたか否かが判断される。行われない場合は、ステップS12が繰り返され、行われた場合はステップS13に進められる。
【0030】
ステップS13で、第1画像FP1における基準点PPの位置が特定される。すなわち、基準点PPの第1画像FP1の原点poからの横方向の距離xx1、及び縦方向の距離yy1が特定される。
【0031】
ステップS14で、第1画像FP1の横方向の長さX1、縦方向の長さY1、及び第1拡大表示領域LP1の横方向の長さax1、縦方向の長さay1に基づいて、第1画像FP1における基準点PPの移動範囲が算出される。第1画像FP1における、基準点PPの横方向の移動範囲mx1は、X1―ax1で表され、縦方向の移動範囲my1は、Y1−ay1で表される。
【0032】
ステップS15で、基準点PPの移動範囲内の位置関係(原点poからの距離と移動範囲との割合)が計算され、第1、第2割合r1、r2が算出される。
【0033】
ステップS16で、第2画像FP2の横方向の長さX2、縦方向の長さY2、及び第2拡大表示領域LP2の横方向の長さax2、縦方向の長さay2に基づいて、第2画像FP2における基準点PPの移動範囲が算出される。第2画像FP2における、基準点PPの横方向の移動範囲mx2は、X2―ax2で表され、縦方向の移動範囲my2は、Y2−ay2で表される。
【0034】
ステップS17で、第1、第2割合r1、r2、及び第2画像FP2における基準点PPの移動範囲に基づいて、第2画像FP2における基準点PPの座標が算出される。すなわち、基準点PPの第2画像FP2の原点poからの横方向の距離xx2、及び縦方向の距離yy2が算出される。
【0035】
ステップS18で、第2画像FP2における基準点PPの座標、及び第2拡大表示領域LP2の横方向の長さax2、縦方向の長さay2に基づいて、第2画像FP2の一部(第2拡大表示領域LP2)が拡大表示される。
【0036】
なお、横長の第1画像FP1の次に縦長の第2画像FP2を表示する形態を説明したが、再生表示する順序は逆であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態における撮像装置の構成図である。
【図2】第1画像における第1拡大表示領域の位置関係を示す図である。
【図3】第2画像における第2拡大表示領域の位置関係を示す図である。
【図4】第1画像の第1拡大表示領域の表示から、第2画像の第2拡大表示領域を表示する過程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 撮像装置
10 操作部
11 拡大縮小キー
12 方向キー
13 ページ送りキー
30 制御部
50 撮影部
70 記録部
90 表示部
ax1、ax2 第1、第2拡大表示領域の横方向の長さ
ay1、ay2 第1、第2拡大表示領域の縦方向の長さ
FP1、FP2 第1、第2画像
LP1、LP2 第1、第2拡大表示領域
mx1、mx2 第1、第2画像における、基準点の横方向の移動範囲
my1、my2 第1、第2画像における、基準点の縦方向の移動範囲
PP 基準点
po 原点
X1、X2 第1、第2画像の横方向の長さ
xx1、xx2 第1、第2画像の基準点と、第1、第2画像の原点との横方向の距離
Y1、Y2 第1、第2画像の縦方向の長さ
yy1、yy2 第1、第2画像の基準点と、第1、第2画像の原点との縦方向の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2画像データを表示する表示部と、
前記表示部を駆動し、前記第1画像データに対応する第1画像の一部を第1拡大表領域として拡大表示した後、前記第2画像データに対応する第2画像を表示する場合に、前記第1拡大表示領域の前記第1画像に対する位置関係を特定し、前記特定した位置関係に基づいて、前記第2画像の拡大表示を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1拡大表示領域の前記第1画像に対する位置関係として、前記第1拡大表示領域における基準点の、前記第1画像内の移動範囲に対する位置関係を特定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基準点の前記第1画像内の移動範囲に対する位置関係に基づいて、前記第2画像における前記拡大表示を行う第2拡大表示領域の基準点を特定し、前記第2拡大表示領域の基準点に基づいて、前記第2拡大表示領域を特定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1拡大表示領域における基準点の前記第1画像内の移動範囲の横方向の長さは、前記第1画像の横方向の長さから前記第1拡大表示領域の横方向の長さを引いたものであり、縦方向の長さは、前記第1画像の縦方向の長さから前記第1拡大表示領域の縦方向の長さを引いたものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1、第2拡大表示領域の縦横比は、前記表示部の表示領域の縦横比と等しいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−71027(P2008−71027A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247817(P2006−247817)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】