表示装置
【課題】「3板方式」を採用した場合と同等の表示素子の小型化を実現しつつ、また、「3板方式」と同等の表示画像の画質を維持しつつ、「単板方式」を採用し、製造コストの低廉化が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】光源1と、光源1からの照明光を少なくとも3つの原色成分R,G,Bに色分解するカラーフィルタ2と、カラーフィルタ2を経た原色光により照明され供給される画像データに応じて照明光を変調する反射型液晶表示デバイス6と、反射型液晶表示デバイス6を経た照明光を結像させる投射レンズ7とを備える。カラーフィルタ2は、各原色成分光R,G,Bを反射型液晶表示デバイス6におけるそれぞれ異なる画素6aに同時に入射させるとともに、画像データの1フレーム期間内において、各画素6aに対して全ての原色成分光R,G,Bを順次入射させる。
【解決手段】光源1と、光源1からの照明光を少なくとも3つの原色成分R,G,Bに色分解するカラーフィルタ2と、カラーフィルタ2を経た原色光により照明され供給される画像データに応じて照明光を変調する反射型液晶表示デバイス6と、反射型液晶表示デバイス6を経た照明光を結像させる投射レンズ7とを備える。カラーフィルタ2は、各原色成分光R,G,Bを反射型液晶表示デバイス6におけるそれぞれ異なる画素6aに同時に入射させるとともに、画像データの1フレーム期間内において、各画素6aに対して全ての原色成分光R,G,Bを順次入射させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型液晶表示デバイス等の空間光変調素子を用いて構成されるプロジェクタ、電子ビューファインダ(EVF)、または、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像を表示するための種々の表示装置が提案されているが、近年においては、表示装置における表示画面の大型化への要望が高まっている。表示画面の大型化は、特に、屋外における公衆向け表示(いわゆるパブリックビュー)や、管制業務用表示、または、ハイビジョン等の高精細映像の表示を行う表示装置において要望が高い。そして、大画面の映像表示が行える表示装置として、投射型の表示装置(プロジェクタ)が提案されている。
【0003】
投射型の表示装置としては、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、透過型の液晶表示デバイス(LCD:Liquid Crystal Display)を用いた透過方式のものと、反射型の液晶表示デバイスを用いた反射方式のものとが提案されている。これらいずれの方式の表示装置でも、液晶表示デバイスを用いて構成され、この液晶表示デバイスを照明光により照明し、この照明光を液晶表示デバイスにより映像信号に対応させて画素単位で変調し、この液晶表示デバイスを経た変調光を結像させて、表示映像を得るようにしている。
【0004】
図5は、反射型の液晶表示デバイスを用いた従来の表示装置の構成を示す側面図である。
【0005】
反射型の液晶表示デバイスを用いた従来の表示装置は、図5に示すように、照明光Lを発生する光源101を有している。光源101から発せられた照明光Lは、偏光ビームスプリッタ102の偏光分離面102aによって反射されて、反射型の液晶表示デバイス103に入射される。この液晶表示デバイス103は、内部に液晶が封入されて構成され、入射された照明光Lを映像信号に応じて偏光変調して反射する。液晶表示デバイス103により変調されて反射された変調光Lは、偏光ビームスプリッタ102に戻り、偏光ビームスプリッタ102の偏光分離面102aを透過し、投射レンズ104に入射される。投射レンズ104は、変調光Lをスクリーン105上に投射し結像させることにより、このスクリーン105上に映像を表示する。
【0006】
液晶表示デバイス103は、駆動基板106と透明な対向電極107との間に液晶LCを封入して構成されている。駆動基板106の表面には、複数の反射型の画素電極(反射電極)108がマトリックス状に形成されている。この液晶表示デバイス103においては、各画素電極108が所定の画素間幅だけ離間されて縦横方向へマトリックス状に配列されていることにより、複数の画素がマトリックス状に縦横方向に配列されていることになる。
【0007】
図6は、液晶表示デバイスにおける1つの画素を示す等価回路図である。
【0008】
液晶表示デバイス103における1つの画素は、図6の等価回路図に示すように、例えば、MOSトランジスタよりなるスイッチングトランジスタTrと、このスイッチングトランジスタTrのドレインDに接続される保持容量Cとを有し、ドレインDが画素電極108にも接続されて構成されている。また、スイッチングトランジスタTrは、ソースSが映像信号が伝送される信号線109に接続され、ゲートGがゲート線110に接続されている。
【0009】
この液晶表示デバイス103においては、信号線109に映像信号を印加した状態で、ゲート線110によりゲートGをオンしてこの画素を周期的に選択することにより、映像信号が保持容量Cに蓄積される。すると、ゲートGをオフしても、所定時間に亘って保持容量Cに蓄積された電荷が画素電極108に供給され、この画素の液晶LCが駆動されることになる。
【0010】
図7は、液晶表示デバイスの要部の構成を示す拡大断面図である。
【0011】
前述したように、液晶表示デバイス4は、図7に示すように、駆動基板106と、対向電極107と、これらの間に封入された液晶LCとを有して構成されている。駆動基板106は、例えばP型シリコン基板よりなる半導体基板111を有しており、この表面上にソースS、ドレインD及びゲートGよりなるスイッチングトランジスタTrが形成されている。このトランジスタTrに隣接して保持容量Cが形成され、これらトランジスタTr及び保持容量Cにより、画素電極108を駆動する駆動回路が構成されている。
【0012】
駆動基板106の上層部にマトリックス状に配置された複数の画素電極108は、隣り合う画素電極108同士間に僅かな隙間112が形成されていることにより、互いに絶縁状態となっている。この隙間112の幅は、画素間幅となる。
【0013】
そして、画素電極108と半導体基板111との間には、例えばSiO2よりなる絶縁層113を介して配線も兼ねる遮光層114が設けられている。この遮光層114は、隙間112を介して半導体基板111側へ入ってくる侵入光をできるだけ遮断するようになっている。この遮光層114は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金により形成される。
【0014】
また、遮光層114と半導体基板111との間には、例えばSiO2よりなる絶縁層115を介して配線層116が形成されている。この配線層116は、複数に分割されており、一部は信号線としてスイッチングトランジスタTrのソースSに接続され、他の一部はドレインDと保持容量Cとを接続するとともに、遮光層114を介して画素電極108へも接続されている。そして、画素電極108の上面には、配向膜117が形成されている。
【0015】
一方、対向電極107は、例えば、透明なガラス板よりなる透明基板118の下面に形成されており、この対向電極107の下面にも、配向膜119が形成されている。そして、駆動基板106と対向電極107付きの透明基板118との間に図示しないスペーサを介して、液晶LCが封入されることにより、液晶表示デバイス103が構成される。なお、駆動基板106と対向電極107付きの透明基板118との間にスペーサを設けない構成であってもよい。
【0016】
このような反射型の液晶表示デバイス103は、スイッチングトランジスタTr及び保持容量Cからなる駆動回路を画素電極108の下方(裏側)に形成することができるため、透過式の液晶表示デバイスと比較して、開口率を大きくとることができるという効果がある。開口率とは、光変調に係わる画素領域が表示領域全面に対して占める割合である。なお、この効果は、画素の大きさが小さくなるほど、顕著になる。したがって、反射型の液晶表示デバイス103は、透過型の液晶表示デバイスに比較して、より小さい面積で高解像度の映像表示が可能となるという利点がある。このような反射型の液晶表示デバイス103は、投射型の表示装置(プロジェクタ)やヘッドマウントディスプレイ(HMD)などに用いた場合に、極めて高精細な映像を表示することができる。
【0017】
そして、このような表示装置においては、カラー画像を表示するための種々の方式が提案され、また、実用化されている。例えば、特許文献3に記載されているように、前述した液晶表示デバイスを3枚用いて、これら液晶表示デバイスを、赤(R)、青(B)及び縁(G)の3原色の光により照明し、各液晶表示デバイスを経た各色の光を重ね合わせて結像させることによりカラー画像を得る「3板方式」の表示装置が提案されている。
【0018】
また、特許文献4に記載されているように、1枚の液晶表示デバイスを、R、G及びBの3原色の光により時分割的に順次照明し、各色の光を重ね合わせて結像させ、この画像を見ている人間の脳内で積分されてカラー画像に見えるようにした「フィールドシーケンシャル単板方式」の表示装置が提案されている。
【0019】
さらに、カラーフィルタを用いて、液晶表示デバイスの各画素を、赤(R)、青(B)及び縁(G)の3原色の光により照明し、各画素を経た各色の光を重ね合わせて結像させることによりカラー画像を得る「単板方式」の表示装置が提案されている。
【0020】
【特許文献1】特開2000−193994公報
【特許文献2】特開2003−185972公報
【特許文献3】特許第3617692号公報
【特許文献4】特許第3514194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、前述のような表示装置において、「3板方式」は、「単板方式」に比べて光の利用効率が高く、優れた方式といえる。しかし、「3板方式」においては、液晶表示デバイス等の表示素子を「単板方式」に対する3倍の枚数用いる必要があり、また、色合成光学系を用いる必要があるために構成が複雑となるので、装置構成の小型化や製造コストの低廉化の観点からは、「単板方式」に劣ることになる。
【0022】
一方、「単板方式」においては、「フィールドシーケンシャル単板方式」を採った場合、例えば、図8に示すように、白色光源からの照明光のうち、所定の色の光のみが順次通過されるようにカラーホイール120を回転させて、照明光をコントロールする。そのため、一の色成分(例えば、赤色光)を透過させているときには、他の二の色成分(例えば、青色光及び緑色光)の成分は使用されず、無駄になってしまうので、光の利用効率が低い。
【0023】
また、「フィールドシーケンシャル単板方式」においては、1フレームを3つのサブフレームに分割して、R、G、Bの各色画像を順次表示したとき、表示画像を正視している場合には、問題なくカラー画像を観察することができる。しかし、この場合、瞬きや視点移動をした際には、瞬間的に一つのサブフレームのみが視野に入ってしまい表示画像に不必要な単色が加わって見えてしまうことがあり、このような「色割れ現象」が問題となっている。
【0024】
このような「色割れ現象」を回避するためには、図9に示すように、表示素子103にカラーフィルタ121を設けた「単板方式」が考えられる。この方式においては、「色割れ現象」は発生しないが、「3板方式」や「フィールドシーケンシャル単板方式」に比較して、等しい画質の画像を表示するためには、3倍の画素数が必要になる。例えば、図10に示すように、表示素子としてDMD(Digital Mirror Device)を用いた「フィールドシーケンシャル単板方式」においては、それぞれ1画素となるマイクロミラー122がR、G、Bの各色画像に使用されるが、カラーフィルタを用いた「単板方式」では、それぞれの1画素はR、G、Bのうちのいずれかの色にしか使用されない。したがって、カラーフィルタを用いた「単板方式」においては、表示素子の小型化が困難となる。
【0025】
液晶表示デバイスのような、いわゆるマイクロディスプレイにおいては、表示素子の小型化は重要な課題であり、装置構成の小型化のみならず、製造プロセスにおける多数個取りや歩留まり向上による製造コストの低廉化という効果を生ずるものである。
【0026】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、「3板方式」を採用した場合と同等の表示素子の小型化を実現しつつ、また、「3板方式」と同等の表示画像の画質を維持しつつ、「単板方式」を採用し、製造コストの低廉化が可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、以下の構成のいずれか一を有するものである。
【0028】
〔構成1〕
少なくとも3つの原色成分を含む照明光を発する光源と、光源からの照明光を少なくとも3つの原色成分に色分解する色分解手段と、色分解手段を経た原色光により照明され供給される画像データに応じて照明光を変調する空間光変調素子と、空間光変調素子を経た変調光を結像させる結像手段とを備え、色分解手段は、照明光から色分解した各原色成分光を空間光変調素子におけるそれぞれ異なる画素に同時に入射させるとともに、画像データの1フレーム期間内において、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させ、空間光変調素子は、各画素に入射された原色成分光に応じた画像データに基づく変調を各画素において行うことを特徴とするものである。
【0029】
すなわち、本発明に係る表示装置は、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補うものであり、表示画面全体については、照明光から色分解した各原色成分光が空間光変調素子におけるそれぞれ異なる画素に同時に入射され、画素ごとに異なる原色光が入射されるため、「色割れ現象」が生ずることがなく、また、画像データの1フレーム期間内において空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光が順次入射されることにより、各画素に着目すれば、「フィールドシーケンシャル方式」によるカラー表示が行われる。
【0030】
したがって、空間光変調素子の各画素には、3色以上の原色光が入射されることになるので、「3板方式」と同等の高精細な画像を表示することができる。
【0031】
〔構成2〕
構成1を有する表示装置において、色分解手段は、各原色成分光のいずれかを透過させる複数の色フィルタからなりこれら色フィルタが空間光変調素子における各画素に対応されたカラーフィルタを有し、このカラーフィルタを画像データの1フレーム期間を周期として、駆動手段により面内方向に移動操作させることによって、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させることを特徴とするものである。
【0032】
ここで、カラーフィルタには、一般的な顔料分散カラーフィルタのみならず、体積ホログラムも含まれる。カラーフィルタとして顔料分散カラーフィルタを用いると、各色フィルタを光線が通過する際に不要な色が吸収され、光量が低下することがあるが、体積ホログラムを用いると、各原色光が分光されて分離されるので、照明光の利用効率を大幅に向上させることができる。
【0033】
〔構成3〕
構成1を有する表示装置において、色分解手段は、各原色成分光を異なる射出角度で射出させるとともに、これら原色成分光をマイクロレンズを介して空間光変調素子における各画素に入射させ、各原色成分光の射出角度を、画像データの1フレーム期間を周期として、変化させることによって、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る表示装置は、構成1を有することにより、色分解手段は、照明光から色分解した各原色成分光を空間光変調素子におけるそれぞれ異なる画素に同時に入射させるとともに、画像データの1フレーム期間内において、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させるので、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補うことができる。
【0035】
すなわち、この表示装置においては、表示画面全体については、照明光から色分解した各原色成分光が空間光変調素子におけるそれぞれ異なる画素に同時に入射され、画素ごとに異なる原色光が入射されるため、「色割れ現象」が生ずることがなく、また、画像データの1フレーム期間内において空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光が順次入射されることにより、各画素に着目すれば、「フィールドシーケンシャル方式」によるカラー表示が行われる。
【0036】
また、本発明に係る表示装置は、構成2を有することにより、色分解手段は、各原色成分光のいずれかを透過させる複数の色フィルタからなりこれら色フィルタが空間光変調素子における各画素に対応されたカラーフィルタを有し、このカラーフィルタを画像データの1フレーム期間を周期として、駆動手段により面内方向に移動操作させることによって、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させるので、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補ったカラー表示を行うことができる。
【0037】
ここで、カラーフィルタには、一般的な顔料分散カラーフィルタのみならず、体積ホログラムも含まれる。カラーフィルタとして顔料分散カラーフィルタを用いると、各色フィルタを光線が通過する際に不要な色が吸収され、光量が低下することがあるが、体積ホログラムを用いると、各原色光が分光されて分離されるので、照明光の利用効率を大幅に向上させることができる。
【0038】
そして、本発明に係る表示装置は、構成3を有することにより、色分解手段は、各原色成分光を異なる射出角度で射出させるとともに、これら原色成分光をマイクロレンズを介して空間光変調素子における各画素に入射させ、各原色成分光の射出角度を画像データの1フレーム期間を周期として変化させることによって、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させるので、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補ったカラー表示を行うことができる。
【0039】
すなわち、本発明は、「3板方式」を採用した場合と同等の表示素子の小型化を実現しつつ、また、「3板方式」と同等の表示画像の画質を維持しつつ、「単板方式」を採用し、製造コストの低廉化が可能な表示装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0041】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明に係る第1の実施の形態における表示装置の構成を示す断面図である。
【0042】
本発明に係る表示装置は、図1に示すように、少なくとも3つの原色成分(例えば、R(赤色)光、G(緑色)光及びB(青色)光)を含む照明光を発する光源1を有している。このような光源1としては、白色光を発する超高圧水銀ランプ(UHPランプ)やキセノンランプ、その他のハロゲンランプ等が挙げられる。
【0043】
光源1から発せられた照明光は、この照明光を少なくとも3つの原色成分(例えば、R(赤色)光、G(緑色)光及びB(青色)光)に色分解する色分解手段を構成するカラーフィルタ2に入射される。このカラーフィルタ2は、駆動機構3によって、面内方向に往復移動操作されるようになっている。
【0044】
駆動機構3としては、リニアアクチュエータを用いることができる。例えば、ピエゾ素子を使用したリニアアクチュエータを駆動機構3として用いることにより、1ミリ秒間隔で隣接する画素6aヘ各原色成分光の結像位置を移動させることができる。
【0045】
駆動機構3は、カラーフィルタ2を、およそ1/3フレームずつの周期で、各原色成分光を各画素6aに入射させる所定位置において保持する。これらの所定位置間を移動する間、すなわち、各原色成分光を各画素6aに入射させない状態においては、正規の画素6aに到達しない照明光の反射光が表示画像に混入し、混色が生じて表示画像が劣化することがある。
【0046】
そこで、各原色成分光が各画素6aに入射されないカラーフィルタ2の移動期間においては、光源1の発光輝度を落とすことが望ましい。例えば、光源1の発光輝度は、4.5ミリ秒間の保持期間と、1ミリ秒間の非発光期間とを繰り返すようにする。駆動機構3は、1ミリ秒間の非発光期間において、カラーフィルタ2を次の所定位置まで移動させる。光源1としてレーザ光源を用いた場合には、表示画像のフレーム周期に同期させて発光強度を変調させることは容易である。また、光源1としてキセノンランプ等の白色光源を用いた場合には、回転ホイールを用いた光チョッパ等を用いることにより、表示画像のフレーム周期に同期させて照明光の強度を変化させることができる。
【0047】
カラーフィルタ2を経た各原色光は、リレーレンズ4及びビームスプリッタ5を経て、空間光変調素子となる反射型液晶表示デバイス6を照明する。この反射型液晶表示デバイス6は、供給される画像データに応じて、入射された照明光を変調して反射する。
【0048】
反射型液晶表示デバイス6は、前述した従来の表示装置において使用されているものと同様のものであり、駆動基板と透明な対向電極との間に液晶を封入して構成されている。駆動基板の表面には、複数の反射型の画素電極(反射電極)がマトリックス状に形成されている。この反射型液晶表示デバイスにおいては、各画素電極が所定の画素間幅(ピッチ)だけ離間されて縦横方向へマトリックス状に配列されていることにより、複数の画素がマトリックス状に縦横方向に配列されていることになる。
【0049】
反射型液晶表示デバイス6により反射された変調光は、ビームスプリッタ5に戻り、このビームスプリッタ5を透過することにより、光源1からの照明光の入射光路とは異なる光路に分岐されて、結像手段となる投射レンズ7に入射される。この投射レンズ7は、入射された変調光を、図示しないスクリーン上に結像させ、このスクリーン上に反射型液晶表示デバイス6の表示面の実像を形成する。
【0050】
反射型液晶表示デバイス6において変調されなかった照明光の一部が、ビームスプリッタ5を透過して投射レンズ7に入射する可能性があるが、そのような光は、図示しない偏光板によってカットするようにすれば、表示画像の品質が劣化することはない。
【0051】
なお、この表示装置は、結像手段がスクリーン上に反射型液晶表示デバイス6の表示面の実像を結像させる場合には、投射型の表示装置(プロジェクタ)となり、結像手段が反射型液晶表示デバイス6の表示面の虚像を結像させる場合には、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や電子ビューファインダ(EVF)等となる。
【0052】
図2は、本発明に係る第1の実施の形態における表示装置の動作原理を説明するための図である。本実施の形態では、反射型液晶表示デバイス6を用いて説明しているので、その構成図に沿って説明すると、光路が重複して複雑なものとなるので、図2においては、反射型液晶表示デバイス6の動作を基に説明する。
【0053】
図2(A)に示すように、この表示装置において、カラーフィルタ2は、駆動機構3による面内方向の往復移動動作矢印Mにより光源1からの照明光から色分解した各原色成分光(R光、G光、B光)を反射型液晶表示デバイス6に入射させるようになっている。図2(B)において、(a),(b),(c)はシーケンシャルタイミングにそれぞれ相当し、(a)→(b)→(c)→(a)とタイミング遷移させている。そして、図2(B)の上段は反射型液晶表示デバイス6を入射側から見た図(反射型液晶表示デバイス6上にカラーフィルタ2で各原色成分光(R光、G光、B光)に色分解された成分光が入射された状態を図示している)、図2(B)の下段は反射型液晶表示デバイス6の断面図を示している。
【0054】
ここで、図2(A)(B)に示すように、カラーフィルタ2はマトリクス状に配列された画素に対して1列毎にR,G,Bとなるストライプ状の例を用いており、その配列に応じて反射型液晶表示デバイス6上の各画素6aも1列毎にストライプ状にグループ分けを行い、その列毎に駆動するようにしている。
【0055】
すなわち、反射型液晶表示デバイス6における全画素6aの概ね1/3に対して、第1の原色光(R光)が入射され、次の概ね1/3に対して、第2の原色光(G光)が入射され、残る概ね1/3に対して、第3の原色光(B光)が入射される。これら各原色光が入射される画素6aの位置は、それぞれの原色光について、表示画面全体に均等に分散していることが好ましい。すなわち、一つの原色光が表示画面中のある領域に集中するのではなく、各原色光のいずれもが表示画面全体に均等に分散し、例えば上述のように、隣接する1画素ごとに異なる原色光が入射されるようにすることが好ましい。
【0056】
そこで、この表示装置においては、カラーフィルタ2が駆動機構3によって面内方向に往復移動操作されるようにすることにより、画像データの1フレーム期間内において、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aに対して、全ての原色成分光(R光、G光、B光)が1列毎を単位として順次入射される。そして、反射型液晶表示デバイス6は、各画素6aに入射された原色成分光に応じた画像データに基づく変調を、各画素6aにおいて行う。
【0057】
カラーフィルタ2としては、各原色成分光(R光、G光、B光)のいずれかを透過させる複数の色フィルタ(顔料分散色フィルタ)からなるものを用いることができる。このカラーフィルタ2は、駆動機構3により画像データの1フレーム期間を周期として面内方向に往復移動操作されることによって、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aに対して、全ての原色成分光(R光、G光、B光)を順次入射させる。
【0058】
このようにして、この表示装置においては、反射型液晶表示デバイス6の表示画面全体については、各原色成分光(R光、G光、B光)がそれぞれ異なる画素6aに同時に入射され、画素6aごとに異なる原色光が入射されるため、「色割れ現象」が生ずることがなく、また、画像データの1フレーム期間内において反射型液晶表示デバイス6の各画素6aに対して全ての原色成分光(R光、G光、B光)が順次入射されることにより、各画素6aについては、「フィールドシーケンシャル方式」によるカラー表示が行われる。
【0059】
このことを分かりやすく説明すると、図2(B)において(a),(b),(c)にそれぞれ最大値の各原色成分光(R光、G光、B光)が入射された場合、その合成光は図2(C)に示すように各原色成分光(R光、G光、B光)の合成色となり白色Wを表示することができる。
【0060】
したがって、この表示装置においては、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aには、各原色成分光(R光、G光、B光)が入射されることになるので、「3板方式」と同等の高精細な画像を表示することができ、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補うものである。
【0061】
〔第2の実施の形態〕
図3は、本発明に係る第2の実施の形態における表示装置のフィルタの構成の原理を示す断面図である。
【0062】
この表示装置におけるカラーフィルタ2としては、図3に示すように、各原色成分光(R光,G光,B光)を異なる射出角度で射出させるものとしてもよい。すなわち、カラーフィルタ2としては、体積型ホログラム2aを用いることもできる。カラーフィルタ2として体積型ホログラム2aを用いることにより、光源1からの照明光は、各原色成分光(R光、G光、B光)に分光され、それぞれが反射型液晶表示デバイス6の各画素6a上に集光される。
【0063】
体積型ホログラム2aにおいては、各原色成分光のエネルギが大きなロスを生ずることなく分光され、変調光として画像表示に寄与することになるので、照明光の利用効率を向上させることができる。
【0064】
各原色成分光への分光及び各画素6a上への結像を正確に行うためには、光源1からの照明光における各原色成分光の中心波長からの半値幅は、極力狭い方が望ましい。また、体積ホログラム2aの性質上、図3に示すように、波長により照明光の入射角度を変えると、さらに集光効率を上げることができる。
【0065】
これらのことから、カラーフィルタ2として体積型ホログラム2aを用いる場合には、照明光として、白色光ではなくレーザ光を用いることが望ましい。照明光としてレーザ光を用いることにより、照明光の分光特性が理想的な複数の単色光となり、また、各波長の照明光の入射角度をそれぞれ最適角度とすることができ、体積ホログラム2aの特徴を利用した良好な分光を行うことができる。
【0066】
ところで、カラーフィルタ2は、図1に示すように、駆動機構3により面内方向に往復移動操作されるため、反射型液晶表示デバイス6に対する相対位置がずれることになるため、反射型液晶表示デバイス6内に組み込むことはできない。体積ホログラム2aによって分光された各原色成分光が結像される位置間の距離は、図3に示すように、反射型液晶表示デバイス6における画素ピッチのせいぜい数倍程度であり、体積ホログラム2aと反射型液晶表示デバイス6とを離間させて配置した場合には、図1に示すように、カラーフィルタ2の位置に体積ホログラム2aを配置し、この体積ホログラム2aと反射型液晶表示デバイス6との間にリレーレンズ4を介することにより、各画素6a上に各原色成分光を結像させることができる。
【0067】
なお、この第2の実施の形態のように、カラーフィルタ2として体積ホログラム2aを用いる場合には、駆動機構3は、この体積ホログラム2aを面内方向に往復移動操作するものに限定されず、カラーフィルタ2を傾斜させるものであってもよい。この場合には、駆動機構3は、体積ホログラム2aを傾斜なく保持する状態、一方側に傾斜させて保持する状態、及び、他方側に傾斜させて保持する状態を順次繰り返すことになる。
【0068】
〔第3の実施の形態〕
図4は、本発明に係る第3の実施の形態における表示装置の構成を示す断面図である。
【0069】
本発明に係る表示装置における色分解手段として、各原色成分光を異なる射出角度で射出させるものを用いた場合において、これら各原色成分光は、図4に示すように、マイクロレンズ8を介して反射型液晶表示デバイス6における各画素6aに入射させることができる。
【0070】
この場合には、光源1からの照明光の入射角度を変化させることにより、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aに対して、各原色成分光を順次入射させることができる。
【0071】
各マイクロレンズ8は、反射型液晶表示デバイス6の入射面に形成されており、各原色成分光が角度Aから反射型液晶表示デバイス6に入射することにより、各画素6a上に各原色成分光が集光される。そして、照明光の入射角度が変化し、各原色成分光が角度Bから反射型液晶表示デバイス6に入射するときには、各画素6a上には、各原色成分光が一画素ピッチ分ずれて集光される。このようにして、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aには、各原色成分光が順次入射される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態における表示装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態における表示装置の動作原理を示す断面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態における表示装置のフィルタの構成の原理を示す断面図である。
【図4】本発明に係る第3の実施の形態における表示装置の構成を示す断面図である。
【図5】反射型の液晶表示デバイスを用いた従来の表示装置の構成を示す側面図である。
【図6】液晶表示デバイスにおける1つの画素を示す等価回路図である。
【図7】液晶表示デバイスの要部の構成を示す拡大断面図である。
【図8】「フィールドシーケンシャル方式」の動作原理を示す斜視図である。
【図9】「カラーフィルタを用いた単板方式」における表示素子の構成を示す断面図である。
【図10】「フィールドシーケンシャル方式」における表示素子の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 光源
2 カラーフィルタ
2a 体積ホログラム
3 駆動機構
4 リレーレンズ
5 ビームスプリッタ
6 反射型液晶表示デバイス
7 投射レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型液晶表示デバイス等の空間光変調素子を用いて構成されるプロジェクタ、電子ビューファインダ(EVF)、または、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像を表示するための種々の表示装置が提案されているが、近年においては、表示装置における表示画面の大型化への要望が高まっている。表示画面の大型化は、特に、屋外における公衆向け表示(いわゆるパブリックビュー)や、管制業務用表示、または、ハイビジョン等の高精細映像の表示を行う表示装置において要望が高い。そして、大画面の映像表示が行える表示装置として、投射型の表示装置(プロジェクタ)が提案されている。
【0003】
投射型の表示装置としては、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、透過型の液晶表示デバイス(LCD:Liquid Crystal Display)を用いた透過方式のものと、反射型の液晶表示デバイスを用いた反射方式のものとが提案されている。これらいずれの方式の表示装置でも、液晶表示デバイスを用いて構成され、この液晶表示デバイスを照明光により照明し、この照明光を液晶表示デバイスにより映像信号に対応させて画素単位で変調し、この液晶表示デバイスを経た変調光を結像させて、表示映像を得るようにしている。
【0004】
図5は、反射型の液晶表示デバイスを用いた従来の表示装置の構成を示す側面図である。
【0005】
反射型の液晶表示デバイスを用いた従来の表示装置は、図5に示すように、照明光Lを発生する光源101を有している。光源101から発せられた照明光Lは、偏光ビームスプリッタ102の偏光分離面102aによって反射されて、反射型の液晶表示デバイス103に入射される。この液晶表示デバイス103は、内部に液晶が封入されて構成され、入射された照明光Lを映像信号に応じて偏光変調して反射する。液晶表示デバイス103により変調されて反射された変調光Lは、偏光ビームスプリッタ102に戻り、偏光ビームスプリッタ102の偏光分離面102aを透過し、投射レンズ104に入射される。投射レンズ104は、変調光Lをスクリーン105上に投射し結像させることにより、このスクリーン105上に映像を表示する。
【0006】
液晶表示デバイス103は、駆動基板106と透明な対向電極107との間に液晶LCを封入して構成されている。駆動基板106の表面には、複数の反射型の画素電極(反射電極)108がマトリックス状に形成されている。この液晶表示デバイス103においては、各画素電極108が所定の画素間幅だけ離間されて縦横方向へマトリックス状に配列されていることにより、複数の画素がマトリックス状に縦横方向に配列されていることになる。
【0007】
図6は、液晶表示デバイスにおける1つの画素を示す等価回路図である。
【0008】
液晶表示デバイス103における1つの画素は、図6の等価回路図に示すように、例えば、MOSトランジスタよりなるスイッチングトランジスタTrと、このスイッチングトランジスタTrのドレインDに接続される保持容量Cとを有し、ドレインDが画素電極108にも接続されて構成されている。また、スイッチングトランジスタTrは、ソースSが映像信号が伝送される信号線109に接続され、ゲートGがゲート線110に接続されている。
【0009】
この液晶表示デバイス103においては、信号線109に映像信号を印加した状態で、ゲート線110によりゲートGをオンしてこの画素を周期的に選択することにより、映像信号が保持容量Cに蓄積される。すると、ゲートGをオフしても、所定時間に亘って保持容量Cに蓄積された電荷が画素電極108に供給され、この画素の液晶LCが駆動されることになる。
【0010】
図7は、液晶表示デバイスの要部の構成を示す拡大断面図である。
【0011】
前述したように、液晶表示デバイス4は、図7に示すように、駆動基板106と、対向電極107と、これらの間に封入された液晶LCとを有して構成されている。駆動基板106は、例えばP型シリコン基板よりなる半導体基板111を有しており、この表面上にソースS、ドレインD及びゲートGよりなるスイッチングトランジスタTrが形成されている。このトランジスタTrに隣接して保持容量Cが形成され、これらトランジスタTr及び保持容量Cにより、画素電極108を駆動する駆動回路が構成されている。
【0012】
駆動基板106の上層部にマトリックス状に配置された複数の画素電極108は、隣り合う画素電極108同士間に僅かな隙間112が形成されていることにより、互いに絶縁状態となっている。この隙間112の幅は、画素間幅となる。
【0013】
そして、画素電極108と半導体基板111との間には、例えばSiO2よりなる絶縁層113を介して配線も兼ねる遮光層114が設けられている。この遮光層114は、隙間112を介して半導体基板111側へ入ってくる侵入光をできるだけ遮断するようになっている。この遮光層114は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金により形成される。
【0014】
また、遮光層114と半導体基板111との間には、例えばSiO2よりなる絶縁層115を介して配線層116が形成されている。この配線層116は、複数に分割されており、一部は信号線としてスイッチングトランジスタTrのソースSに接続され、他の一部はドレインDと保持容量Cとを接続するとともに、遮光層114を介して画素電極108へも接続されている。そして、画素電極108の上面には、配向膜117が形成されている。
【0015】
一方、対向電極107は、例えば、透明なガラス板よりなる透明基板118の下面に形成されており、この対向電極107の下面にも、配向膜119が形成されている。そして、駆動基板106と対向電極107付きの透明基板118との間に図示しないスペーサを介して、液晶LCが封入されることにより、液晶表示デバイス103が構成される。なお、駆動基板106と対向電極107付きの透明基板118との間にスペーサを設けない構成であってもよい。
【0016】
このような反射型の液晶表示デバイス103は、スイッチングトランジスタTr及び保持容量Cからなる駆動回路を画素電極108の下方(裏側)に形成することができるため、透過式の液晶表示デバイスと比較して、開口率を大きくとることができるという効果がある。開口率とは、光変調に係わる画素領域が表示領域全面に対して占める割合である。なお、この効果は、画素の大きさが小さくなるほど、顕著になる。したがって、反射型の液晶表示デバイス103は、透過型の液晶表示デバイスに比較して、より小さい面積で高解像度の映像表示が可能となるという利点がある。このような反射型の液晶表示デバイス103は、投射型の表示装置(プロジェクタ)やヘッドマウントディスプレイ(HMD)などに用いた場合に、極めて高精細な映像を表示することができる。
【0017】
そして、このような表示装置においては、カラー画像を表示するための種々の方式が提案され、また、実用化されている。例えば、特許文献3に記載されているように、前述した液晶表示デバイスを3枚用いて、これら液晶表示デバイスを、赤(R)、青(B)及び縁(G)の3原色の光により照明し、各液晶表示デバイスを経た各色の光を重ね合わせて結像させることによりカラー画像を得る「3板方式」の表示装置が提案されている。
【0018】
また、特許文献4に記載されているように、1枚の液晶表示デバイスを、R、G及びBの3原色の光により時分割的に順次照明し、各色の光を重ね合わせて結像させ、この画像を見ている人間の脳内で積分されてカラー画像に見えるようにした「フィールドシーケンシャル単板方式」の表示装置が提案されている。
【0019】
さらに、カラーフィルタを用いて、液晶表示デバイスの各画素を、赤(R)、青(B)及び縁(G)の3原色の光により照明し、各画素を経た各色の光を重ね合わせて結像させることによりカラー画像を得る「単板方式」の表示装置が提案されている。
【0020】
【特許文献1】特開2000−193994公報
【特許文献2】特開2003−185972公報
【特許文献3】特許第3617692号公報
【特許文献4】特許第3514194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、前述のような表示装置において、「3板方式」は、「単板方式」に比べて光の利用効率が高く、優れた方式といえる。しかし、「3板方式」においては、液晶表示デバイス等の表示素子を「単板方式」に対する3倍の枚数用いる必要があり、また、色合成光学系を用いる必要があるために構成が複雑となるので、装置構成の小型化や製造コストの低廉化の観点からは、「単板方式」に劣ることになる。
【0022】
一方、「単板方式」においては、「フィールドシーケンシャル単板方式」を採った場合、例えば、図8に示すように、白色光源からの照明光のうち、所定の色の光のみが順次通過されるようにカラーホイール120を回転させて、照明光をコントロールする。そのため、一の色成分(例えば、赤色光)を透過させているときには、他の二の色成分(例えば、青色光及び緑色光)の成分は使用されず、無駄になってしまうので、光の利用効率が低い。
【0023】
また、「フィールドシーケンシャル単板方式」においては、1フレームを3つのサブフレームに分割して、R、G、Bの各色画像を順次表示したとき、表示画像を正視している場合には、問題なくカラー画像を観察することができる。しかし、この場合、瞬きや視点移動をした際には、瞬間的に一つのサブフレームのみが視野に入ってしまい表示画像に不必要な単色が加わって見えてしまうことがあり、このような「色割れ現象」が問題となっている。
【0024】
このような「色割れ現象」を回避するためには、図9に示すように、表示素子103にカラーフィルタ121を設けた「単板方式」が考えられる。この方式においては、「色割れ現象」は発生しないが、「3板方式」や「フィールドシーケンシャル単板方式」に比較して、等しい画質の画像を表示するためには、3倍の画素数が必要になる。例えば、図10に示すように、表示素子としてDMD(Digital Mirror Device)を用いた「フィールドシーケンシャル単板方式」においては、それぞれ1画素となるマイクロミラー122がR、G、Bの各色画像に使用されるが、カラーフィルタを用いた「単板方式」では、それぞれの1画素はR、G、Bのうちのいずれかの色にしか使用されない。したがって、カラーフィルタを用いた「単板方式」においては、表示素子の小型化が困難となる。
【0025】
液晶表示デバイスのような、いわゆるマイクロディスプレイにおいては、表示素子の小型化は重要な課題であり、装置構成の小型化のみならず、製造プロセスにおける多数個取りや歩留まり向上による製造コストの低廉化という効果を生ずるものである。
【0026】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、「3板方式」を採用した場合と同等の表示素子の小型化を実現しつつ、また、「3板方式」と同等の表示画像の画質を維持しつつ、「単板方式」を採用し、製造コストの低廉化が可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、以下の構成のいずれか一を有するものである。
【0028】
〔構成1〕
少なくとも3つの原色成分を含む照明光を発する光源と、光源からの照明光を少なくとも3つの原色成分に色分解する色分解手段と、色分解手段を経た原色光により照明され供給される画像データに応じて照明光を変調する空間光変調素子と、空間光変調素子を経た変調光を結像させる結像手段とを備え、色分解手段は、照明光から色分解した各原色成分光を空間光変調素子におけるそれぞれ異なる画素に同時に入射させるとともに、画像データの1フレーム期間内において、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させ、空間光変調素子は、各画素に入射された原色成分光に応じた画像データに基づく変調を各画素において行うことを特徴とするものである。
【0029】
すなわち、本発明に係る表示装置は、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補うものであり、表示画面全体については、照明光から色分解した各原色成分光が空間光変調素子におけるそれぞれ異なる画素に同時に入射され、画素ごとに異なる原色光が入射されるため、「色割れ現象」が生ずることがなく、また、画像データの1フレーム期間内において空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光が順次入射されることにより、各画素に着目すれば、「フィールドシーケンシャル方式」によるカラー表示が行われる。
【0030】
したがって、空間光変調素子の各画素には、3色以上の原色光が入射されることになるので、「3板方式」と同等の高精細な画像を表示することができる。
【0031】
〔構成2〕
構成1を有する表示装置において、色分解手段は、各原色成分光のいずれかを透過させる複数の色フィルタからなりこれら色フィルタが空間光変調素子における各画素に対応されたカラーフィルタを有し、このカラーフィルタを画像データの1フレーム期間を周期として、駆動手段により面内方向に移動操作させることによって、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させることを特徴とするものである。
【0032】
ここで、カラーフィルタには、一般的な顔料分散カラーフィルタのみならず、体積ホログラムも含まれる。カラーフィルタとして顔料分散カラーフィルタを用いると、各色フィルタを光線が通過する際に不要な色が吸収され、光量が低下することがあるが、体積ホログラムを用いると、各原色光が分光されて分離されるので、照明光の利用効率を大幅に向上させることができる。
【0033】
〔構成3〕
構成1を有する表示装置において、色分解手段は、各原色成分光を異なる射出角度で射出させるとともに、これら原色成分光をマイクロレンズを介して空間光変調素子における各画素に入射させ、各原色成分光の射出角度を、画像データの1フレーム期間を周期として、変化させることによって、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る表示装置は、構成1を有することにより、色分解手段は、照明光から色分解した各原色成分光を空間光変調素子におけるそれぞれ異なる画素に同時に入射させるとともに、画像データの1フレーム期間内において、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させるので、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補うことができる。
【0035】
すなわち、この表示装置においては、表示画面全体については、照明光から色分解した各原色成分光が空間光変調素子におけるそれぞれ異なる画素に同時に入射され、画素ごとに異なる原色光が入射されるため、「色割れ現象」が生ずることがなく、また、画像データの1フレーム期間内において空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光が順次入射されることにより、各画素に着目すれば、「フィールドシーケンシャル方式」によるカラー表示が行われる。
【0036】
また、本発明に係る表示装置は、構成2を有することにより、色分解手段は、各原色成分光のいずれかを透過させる複数の色フィルタからなりこれら色フィルタが空間光変調素子における各画素に対応されたカラーフィルタを有し、このカラーフィルタを画像データの1フレーム期間を周期として、駆動手段により面内方向に移動操作させることによって、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させるので、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補ったカラー表示を行うことができる。
【0037】
ここで、カラーフィルタには、一般的な顔料分散カラーフィルタのみならず、体積ホログラムも含まれる。カラーフィルタとして顔料分散カラーフィルタを用いると、各色フィルタを光線が通過する際に不要な色が吸収され、光量が低下することがあるが、体積ホログラムを用いると、各原色光が分光されて分離されるので、照明光の利用効率を大幅に向上させることができる。
【0038】
そして、本発明に係る表示装置は、構成3を有することにより、色分解手段は、各原色成分光を異なる射出角度で射出させるとともに、これら原色成分光をマイクロレンズを介して空間光変調素子における各画素に入射させ、各原色成分光の射出角度を画像データの1フレーム期間を周期として変化させることによって、空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させるので、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補ったカラー表示を行うことができる。
【0039】
すなわち、本発明は、「3板方式」を採用した場合と同等の表示素子の小型化を実現しつつ、また、「3板方式」と同等の表示画像の画質を維持しつつ、「単板方式」を採用し、製造コストの低廉化が可能な表示装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0041】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明に係る第1の実施の形態における表示装置の構成を示す断面図である。
【0042】
本発明に係る表示装置は、図1に示すように、少なくとも3つの原色成分(例えば、R(赤色)光、G(緑色)光及びB(青色)光)を含む照明光を発する光源1を有している。このような光源1としては、白色光を発する超高圧水銀ランプ(UHPランプ)やキセノンランプ、その他のハロゲンランプ等が挙げられる。
【0043】
光源1から発せられた照明光は、この照明光を少なくとも3つの原色成分(例えば、R(赤色)光、G(緑色)光及びB(青色)光)に色分解する色分解手段を構成するカラーフィルタ2に入射される。このカラーフィルタ2は、駆動機構3によって、面内方向に往復移動操作されるようになっている。
【0044】
駆動機構3としては、リニアアクチュエータを用いることができる。例えば、ピエゾ素子を使用したリニアアクチュエータを駆動機構3として用いることにより、1ミリ秒間隔で隣接する画素6aヘ各原色成分光の結像位置を移動させることができる。
【0045】
駆動機構3は、カラーフィルタ2を、およそ1/3フレームずつの周期で、各原色成分光を各画素6aに入射させる所定位置において保持する。これらの所定位置間を移動する間、すなわち、各原色成分光を各画素6aに入射させない状態においては、正規の画素6aに到達しない照明光の反射光が表示画像に混入し、混色が生じて表示画像が劣化することがある。
【0046】
そこで、各原色成分光が各画素6aに入射されないカラーフィルタ2の移動期間においては、光源1の発光輝度を落とすことが望ましい。例えば、光源1の発光輝度は、4.5ミリ秒間の保持期間と、1ミリ秒間の非発光期間とを繰り返すようにする。駆動機構3は、1ミリ秒間の非発光期間において、カラーフィルタ2を次の所定位置まで移動させる。光源1としてレーザ光源を用いた場合には、表示画像のフレーム周期に同期させて発光強度を変調させることは容易である。また、光源1としてキセノンランプ等の白色光源を用いた場合には、回転ホイールを用いた光チョッパ等を用いることにより、表示画像のフレーム周期に同期させて照明光の強度を変化させることができる。
【0047】
カラーフィルタ2を経た各原色光は、リレーレンズ4及びビームスプリッタ5を経て、空間光変調素子となる反射型液晶表示デバイス6を照明する。この反射型液晶表示デバイス6は、供給される画像データに応じて、入射された照明光を変調して反射する。
【0048】
反射型液晶表示デバイス6は、前述した従来の表示装置において使用されているものと同様のものであり、駆動基板と透明な対向電極との間に液晶を封入して構成されている。駆動基板の表面には、複数の反射型の画素電極(反射電極)がマトリックス状に形成されている。この反射型液晶表示デバイスにおいては、各画素電極が所定の画素間幅(ピッチ)だけ離間されて縦横方向へマトリックス状に配列されていることにより、複数の画素がマトリックス状に縦横方向に配列されていることになる。
【0049】
反射型液晶表示デバイス6により反射された変調光は、ビームスプリッタ5に戻り、このビームスプリッタ5を透過することにより、光源1からの照明光の入射光路とは異なる光路に分岐されて、結像手段となる投射レンズ7に入射される。この投射レンズ7は、入射された変調光を、図示しないスクリーン上に結像させ、このスクリーン上に反射型液晶表示デバイス6の表示面の実像を形成する。
【0050】
反射型液晶表示デバイス6において変調されなかった照明光の一部が、ビームスプリッタ5を透過して投射レンズ7に入射する可能性があるが、そのような光は、図示しない偏光板によってカットするようにすれば、表示画像の品質が劣化することはない。
【0051】
なお、この表示装置は、結像手段がスクリーン上に反射型液晶表示デバイス6の表示面の実像を結像させる場合には、投射型の表示装置(プロジェクタ)となり、結像手段が反射型液晶表示デバイス6の表示面の虚像を結像させる場合には、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や電子ビューファインダ(EVF)等となる。
【0052】
図2は、本発明に係る第1の実施の形態における表示装置の動作原理を説明するための図である。本実施の形態では、反射型液晶表示デバイス6を用いて説明しているので、その構成図に沿って説明すると、光路が重複して複雑なものとなるので、図2においては、反射型液晶表示デバイス6の動作を基に説明する。
【0053】
図2(A)に示すように、この表示装置において、カラーフィルタ2は、駆動機構3による面内方向の往復移動動作矢印Mにより光源1からの照明光から色分解した各原色成分光(R光、G光、B光)を反射型液晶表示デバイス6に入射させるようになっている。図2(B)において、(a),(b),(c)はシーケンシャルタイミングにそれぞれ相当し、(a)→(b)→(c)→(a)とタイミング遷移させている。そして、図2(B)の上段は反射型液晶表示デバイス6を入射側から見た図(反射型液晶表示デバイス6上にカラーフィルタ2で各原色成分光(R光、G光、B光)に色分解された成分光が入射された状態を図示している)、図2(B)の下段は反射型液晶表示デバイス6の断面図を示している。
【0054】
ここで、図2(A)(B)に示すように、カラーフィルタ2はマトリクス状に配列された画素に対して1列毎にR,G,Bとなるストライプ状の例を用いており、その配列に応じて反射型液晶表示デバイス6上の各画素6aも1列毎にストライプ状にグループ分けを行い、その列毎に駆動するようにしている。
【0055】
すなわち、反射型液晶表示デバイス6における全画素6aの概ね1/3に対して、第1の原色光(R光)が入射され、次の概ね1/3に対して、第2の原色光(G光)が入射され、残る概ね1/3に対して、第3の原色光(B光)が入射される。これら各原色光が入射される画素6aの位置は、それぞれの原色光について、表示画面全体に均等に分散していることが好ましい。すなわち、一つの原色光が表示画面中のある領域に集中するのではなく、各原色光のいずれもが表示画面全体に均等に分散し、例えば上述のように、隣接する1画素ごとに異なる原色光が入射されるようにすることが好ましい。
【0056】
そこで、この表示装置においては、カラーフィルタ2が駆動機構3によって面内方向に往復移動操作されるようにすることにより、画像データの1フレーム期間内において、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aに対して、全ての原色成分光(R光、G光、B光)が1列毎を単位として順次入射される。そして、反射型液晶表示デバイス6は、各画素6aに入射された原色成分光に応じた画像データに基づく変調を、各画素6aにおいて行う。
【0057】
カラーフィルタ2としては、各原色成分光(R光、G光、B光)のいずれかを透過させる複数の色フィルタ(顔料分散色フィルタ)からなるものを用いることができる。このカラーフィルタ2は、駆動機構3により画像データの1フレーム期間を周期として面内方向に往復移動操作されることによって、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aに対して、全ての原色成分光(R光、G光、B光)を順次入射させる。
【0058】
このようにして、この表示装置においては、反射型液晶表示デバイス6の表示画面全体については、各原色成分光(R光、G光、B光)がそれぞれ異なる画素6aに同時に入射され、画素6aごとに異なる原色光が入射されるため、「色割れ現象」が生ずることがなく、また、画像データの1フレーム期間内において反射型液晶表示デバイス6の各画素6aに対して全ての原色成分光(R光、G光、B光)が順次入射されることにより、各画素6aについては、「フィールドシーケンシャル方式」によるカラー表示が行われる。
【0059】
このことを分かりやすく説明すると、図2(B)において(a),(b),(c)にそれぞれ最大値の各原色成分光(R光、G光、B光)が入射された場合、その合成光は図2(C)に示すように各原色成分光(R光、G光、B光)の合成色となり白色Wを表示することができる。
【0060】
したがって、この表示装置においては、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aには、各原色成分光(R光、G光、B光)が入射されることになるので、「3板方式」と同等の高精細な画像を表示することができ、「単枚方式」でありながら、「フィールドシーケンシャル方式」及び従来の「カラーフィルタを用いた単板方式」の双方の欠点を補うものである。
【0061】
〔第2の実施の形態〕
図3は、本発明に係る第2の実施の形態における表示装置のフィルタの構成の原理を示す断面図である。
【0062】
この表示装置におけるカラーフィルタ2としては、図3に示すように、各原色成分光(R光,G光,B光)を異なる射出角度で射出させるものとしてもよい。すなわち、カラーフィルタ2としては、体積型ホログラム2aを用いることもできる。カラーフィルタ2として体積型ホログラム2aを用いることにより、光源1からの照明光は、各原色成分光(R光、G光、B光)に分光され、それぞれが反射型液晶表示デバイス6の各画素6a上に集光される。
【0063】
体積型ホログラム2aにおいては、各原色成分光のエネルギが大きなロスを生ずることなく分光され、変調光として画像表示に寄与することになるので、照明光の利用効率を向上させることができる。
【0064】
各原色成分光への分光及び各画素6a上への結像を正確に行うためには、光源1からの照明光における各原色成分光の中心波長からの半値幅は、極力狭い方が望ましい。また、体積ホログラム2aの性質上、図3に示すように、波長により照明光の入射角度を変えると、さらに集光効率を上げることができる。
【0065】
これらのことから、カラーフィルタ2として体積型ホログラム2aを用いる場合には、照明光として、白色光ではなくレーザ光を用いることが望ましい。照明光としてレーザ光を用いることにより、照明光の分光特性が理想的な複数の単色光となり、また、各波長の照明光の入射角度をそれぞれ最適角度とすることができ、体積ホログラム2aの特徴を利用した良好な分光を行うことができる。
【0066】
ところで、カラーフィルタ2は、図1に示すように、駆動機構3により面内方向に往復移動操作されるため、反射型液晶表示デバイス6に対する相対位置がずれることになるため、反射型液晶表示デバイス6内に組み込むことはできない。体積ホログラム2aによって分光された各原色成分光が結像される位置間の距離は、図3に示すように、反射型液晶表示デバイス6における画素ピッチのせいぜい数倍程度であり、体積ホログラム2aと反射型液晶表示デバイス6とを離間させて配置した場合には、図1に示すように、カラーフィルタ2の位置に体積ホログラム2aを配置し、この体積ホログラム2aと反射型液晶表示デバイス6との間にリレーレンズ4を介することにより、各画素6a上に各原色成分光を結像させることができる。
【0067】
なお、この第2の実施の形態のように、カラーフィルタ2として体積ホログラム2aを用いる場合には、駆動機構3は、この体積ホログラム2aを面内方向に往復移動操作するものに限定されず、カラーフィルタ2を傾斜させるものであってもよい。この場合には、駆動機構3は、体積ホログラム2aを傾斜なく保持する状態、一方側に傾斜させて保持する状態、及び、他方側に傾斜させて保持する状態を順次繰り返すことになる。
【0068】
〔第3の実施の形態〕
図4は、本発明に係る第3の実施の形態における表示装置の構成を示す断面図である。
【0069】
本発明に係る表示装置における色分解手段として、各原色成分光を異なる射出角度で射出させるものを用いた場合において、これら各原色成分光は、図4に示すように、マイクロレンズ8を介して反射型液晶表示デバイス6における各画素6aに入射させることができる。
【0070】
この場合には、光源1からの照明光の入射角度を変化させることにより、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aに対して、各原色成分光を順次入射させることができる。
【0071】
各マイクロレンズ8は、反射型液晶表示デバイス6の入射面に形成されており、各原色成分光が角度Aから反射型液晶表示デバイス6に入射することにより、各画素6a上に各原色成分光が集光される。そして、照明光の入射角度が変化し、各原色成分光が角度Bから反射型液晶表示デバイス6に入射するときには、各画素6a上には、各原色成分光が一画素ピッチ分ずれて集光される。このようにして、反射型液晶表示デバイス6の各画素6aには、各原色成分光が順次入射される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態における表示装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態における表示装置の動作原理を示す断面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態における表示装置のフィルタの構成の原理を示す断面図である。
【図4】本発明に係る第3の実施の形態における表示装置の構成を示す断面図である。
【図5】反射型の液晶表示デバイスを用いた従来の表示装置の構成を示す側面図である。
【図6】液晶表示デバイスにおける1つの画素を示す等価回路図である。
【図7】液晶表示デバイスの要部の構成を示す拡大断面図である。
【図8】「フィールドシーケンシャル方式」の動作原理を示す斜視図である。
【図9】「カラーフィルタを用いた単板方式」における表示素子の構成を示す断面図である。
【図10】「フィールドシーケンシャル方式」における表示素子の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 光源
2 カラーフィルタ
2a 体積ホログラム
3 駆動機構
4 リレーレンズ
5 ビームスプリッタ
6 反射型液晶表示デバイス
7 投射レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの原色成分を含む照明光を発する光源と、
前記光源からの照明光を少なくとも3つの原色成分に色分解する色分解手段と、
前記色分解手段を経た原色光により照明され、供給される画像データに応じて照明光を変調する空間光変調素子と、
前記空間光変調素子を経た変調光を結像させる結像手段と
を備え、
前記色分解手段は、前記照明光から色分解した各原色成分光を前記空間光変調素子の表示画素領域に入射させるとともに、前記画像データの1フレーム期間内において、前記空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させ、
前記空間光変調素子は、各画素に入射された原色成分光に応じた画像データに基づく変調を各画素において行う
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記色分解手段は、前記各原色成分光のいずれかを透過させる複数の色フィルタからなりこれら色フィルタが前記空間光変調素子における各画素に対応されたカラーフィルタを有し、このカラーフィルタを前記画像データの1フレーム期間を周期として、駆動手段により面内方向に移動操作させることによって、前記空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させる
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記色分解手段は、前記各原色成分光を異なる射出角度で射出させるとともに、これら原色成分光をマイクロレンズを介して前記空間光変調素子における各画素に入射させ、前記各原色成分光の射出角度を、前記画像データの1フレーム期間を周期として、変化させることによって、前記空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させる
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項1】
少なくとも3つの原色成分を含む照明光を発する光源と、
前記光源からの照明光を少なくとも3つの原色成分に色分解する色分解手段と、
前記色分解手段を経た原色光により照明され、供給される画像データに応じて照明光を変調する空間光変調素子と、
前記空間光変調素子を経た変調光を結像させる結像手段と
を備え、
前記色分解手段は、前記照明光から色分解した各原色成分光を前記空間光変調素子の表示画素領域に入射させるとともに、前記画像データの1フレーム期間内において、前記空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させ、
前記空間光変調素子は、各画素に入射された原色成分光に応じた画像データに基づく変調を各画素において行う
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記色分解手段は、前記各原色成分光のいずれかを透過させる複数の色フィルタからなりこれら色フィルタが前記空間光変調素子における各画素に対応されたカラーフィルタを有し、このカラーフィルタを前記画像データの1フレーム期間を周期として、駆動手段により面内方向に移動操作させることによって、前記空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させる
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記色分解手段は、前記各原色成分光を異なる射出角度で射出させるとともに、これら原色成分光をマイクロレンズを介して前記空間光変調素子における各画素に入射させ、前記各原色成分光の射出角度を、前記画像データの1フレーム期間を周期として、変化させることによって、前記空間光変調素子の各画素に対して全ての原色成分光を順次入射させる
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−86377(P2009−86377A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256898(P2007−256898)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]