説明

表示装置

【課題】光源の光と、この光によって励起される蛍光層の光とを用いて効率良くカラー表示を行うこと。
【解決手段】本発明は、光を出射する光源10と、光源10から出射された光によって励起され、当該光の波長と異なる波長の光を生成する蛍光層20と、光源10から出射された光もしくは蛍光層20によって生成された光を変調する変調層(液晶層50)と、蛍光層20に対して光源側に配置され、光源10から出射される光を透過し、蛍光層20で生成される光を反射する第1の波長選択膜31と、蛍光層20に対して光源10と反対側に配置され、光源10から出射される光を反射し、蛍光層20で生成される光を透過し、一部に光源10から出射される光を透過する透過部を備える第2の波長選択膜32とを有する表示装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、詳しくは、光源から出射された光によって波長変換された光を生成する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶表示素子はバックライトからの照明光として白色光を用い、各画素に設けた赤、緑、青のカラーフィルタによって色分離を行っている。そのために光の利用効率は約1/3になる。それに加えて、使用するガラス基板や偏光板の光透過率、バックライトの光取り出し効率、TFT(Thin Film Transistor)基板の開口率などを勘案すると、最終的な光利用効率は4〜8%程度になる。
【0003】
このような光利用効率の観点から、青色光によって蛍光体層を励起することで赤色光、緑色光を発光させて画像を得る形式のカラー液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−4099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蛍光体層を励起する従来の表示素子では、十分な光の利用効率を得られていないという問題がある。一方、光の利用効率を高めようとした場合、消費電力の低減を図ることが困難となる。
【0006】
本発明は、表示装置における光の利用効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光を出射する光源と、光源から出射された光によって励起され、当該光の波長と異なる波長の光を生成する蛍光層と、光源から出射された光もしくは蛍光層によって生成された光を変調する変調層と、蛍光層に対して光源側に配置され、光源から出射される光を透過し、蛍光層で生成される光を反射する第1の波長選択膜と、蛍光層に対して光源と反対側に配置され、光源から出射される光を反射し、蛍光層で生成される光を透過し、一部に光源から出射される光を透過する透過部を備える第2の波長選択膜とを有する表示装置である。
【0008】
このような本発明では、光源から出射される光の波長変換を行う蛍光層が第1の波長選択膜と第2の波長選択膜との間に配置されているため、蛍光層での光生成の効率を高めることができるようになる。すなわち、第1の波長選択膜では、光源から出射された光を透過し、蛍光層で生成された光を反射するため、光源側へ戻ろうとする光が反射して表示側へ向かうようになる。また、第2の波長選択膜では、光源から出射された光のうち蛍光層を透過する分を反射して蛍光層へ戻すため、光の変換効率を高めることができるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、波長選択膜を有しない従来の表示装置に比べて光の利用効率を向上させることが可能となる。これにより、従来技術に比べ、同じ光量の場合の消費電力の低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.表示装置の構成例
2.特性評価
3.表示装置の製造方法
【0011】
<1.表示装置の構成例>
[概略構成例]
図1は、本実施形態に係る表示装置の概略構成例を説明する模式斜視図である。本実施形態の表示装置1は、光を出射する光源10と、光源10から出射された光によって光を生成する蛍光層20と、画素を駆動するTFT40と、光源10の光もしくは蛍光層20によって生成された光を変調する例えば液晶から成る変調層50とを備えている。さらに、表示装置1は、光源10から出射される光を透過し、蛍光層20で生成される光を反射する第1の波長選択膜31と、光源10から出射される光を反射し、蛍光層20で生成される光を透過し、一部に光源10から出射される光を透過する透過部を備える第2の波長選択膜32とを備えている。
【0012】
光源10には、例えば波長が450nm程度の青色の光を出射するLED(Light Emitting Diode)が用いられている。
【0013】
蛍光層20は、光源10から出射される青色(B)の光によって青色とは異なる波長である光を生成する。光源10が青色の光を出射する場合、蛍光層20には緑色(G)の光を生成する蛍光体21と、赤色(R)の光を生成する蛍光体22とが設けられる。また、蛍光層と同層には、光源から出射される青色の光を透過する第1の透過部23が設けられている。この緑色の蛍光体21の領域と、赤色の蛍光体21の領域と、青色の光を透過する第1の透過部23とが各々1つの単位画素に対応して配置されることになる。
【0014】
第1の波長選択膜31は、蛍光層20に対して光源側に配置されている。この第1の波長選択膜31は、光源10が青色の光を出射する場合、この光を透過する一方、蛍光層20で生成された緑色および赤色の光を反射するものとなっている。
【0015】
第2の波長選択膜32は、蛍光層20に対して光源10と反対側に配置されている。この第2の波長選択膜32は、緑色の蛍光体21の領域と赤色の蛍光体22の領域に対応して設けられ、これらの色の光を透過し、青色の光を反射するものとなっている。また、第2の波長選択膜31には、蛍光層20の第1の透過部23に対応して、光源10から出射された青色の光を透過する第2の透過部32bが設けられている。
【0016】
このように、本実施形態では、第1の波長選択膜31と第2の波長選択膜32とで蛍光層20を挟持した構造となっている。これにより、蛍光層20で生成した光の漏れが少なく、光の利用効率が高く高輝度で、かつ広色域な表示を行うことが可能となる。また、外光に含まれる青色光の入射を抑制でき、外光が蛍光層20に入射することによる不要な励起の発生を防止し、高コントラストで広色域な表示を得ることが可能となる。
【0017】
通常、液晶表示装置は、光源であるバックライトに白色光を用い、各画素に設けられた赤、緑、青のカラーフィルタによって色分離している。したがって、原理的に白色光の2/3を捨てていることになり、非常に効率が悪い。
【0018】
これに対して、本実施形態の表示装置のように、光励起蛍光体で波長変換する場合の効率は原理的に80%程度であり、およそ33%の効率しかないカラーフィルタによる色分離と比較すると大幅に改善される。したがって、本実施形態の表示装置では、光の利用効率を大幅に改善することができる。さらに、蛍光体を使用することでカラーフィルタよりも広い色域の表示が可能になる。
【0019】
[一般的な表示装置の構成例]
ここで、蛍光層によって光を生成する表示装置の基本的な構成としては、図2および図3の模式断面図に示すものが挙げられる。図2に示す構成は、蛍光層20が液晶の変調層50に対して光源10側に配置されている例、図3に示す構成は、蛍光層20が液晶の変調層50に対して光源10と反対側に配置されている例である。
【0020】
図2に示す構成では、光源10から出射された光により蛍光層20が励起され、蛍光層20で生成された光が液晶の変調層50を介して変調される。一方、図3に示す構成では、光源10から出射された光が液晶の変調層50を介して変調された後、蛍光層20を励起することになる。
【0021】
いずれの構成でも表示装置として高効率で広色域という特性を有しているが、いくつかの特性において一長一短がある。例えば、図3に示す構成では、最終的に蛍光層20の発光を目視するので、非常に広い視野角が得られるが、外光の反射を受けやすいという短所があり、図2に示す構成ではその逆となる。
【0022】
しかしながら、図2、3に示す構成の表示装置の共通する課題としては、次のようなものが挙げられる。
(1)一定の割合で蛍光層を透過してしまう光が存在すること。
(2)蛍光層20での発光の50%程度が後方に放射されてしまい、前方に取り出せる光量が少ないこと。
(3)外光に含まれる青色成分により、蛍光層20で不必要な励起と発光が生ずること。
本実施形態に係る表示装置1は、上記の課題を解決するためのものであり、入射光の波長により反射か透過を選択する波長選択膜を形成して、光励起蛍光層を上下から挟む構造が特徴である。
【0023】
[本実施形態の表示装置の具体的構成例:その1]
図4は、本実施形態の表示装置の具体的な構成例(その1)を説明する模式断面図である。この表示装置は、光源10、第1の波長選択膜31、蛍光層20、第2の波長選択膜32、第1の偏光子61、TFT40および透明電極が形成されたガラス基板S1、第1の配向膜H1、液晶層である変調層50、第2の配向膜H2、透明電極D、第2の偏光子62、ガラス基板S2によって構成されている。
【0024】
光源10は、例えば波長が450nm程度の青色(B)の光を出射するLEDが用いられている。
【0025】
第1の波長選択膜31は、ガラス基板S3上に形成され、光源10から出射された青色(B)の光を透過して、緑色(G)および赤色(R)を反射する光学膜である。
【0026】
蛍光層20は、第1の波長選択膜31の上に形成されている。蛍光層20は、各単位画素(青、緑、赤の各画素)のうち緑と赤に対応する部分に蛍光体21、22が設けられ、青に対応する部分に第1の透過部23が設けられている。
【0027】
緑の蛍光体21は、光源10から出射され、第1の波長選択膜31を透過した青色(B)の光によって緑色(G)の光を生成する。また、赤の蛍光体22は、光源10から出射され、第1の波長選択膜31を透過した青色(B)の光によって赤色(R)の光を生成する。また、第1の透過部23は、第1の波長選択膜31を透過した青色(B)の光をそのまま透過させる。
【0028】
第2の波長選択膜32は、緑および赤の蛍光体21、22の上に設けられ、蛍光層20の青色に対応する第1の透過部23の上には第2の透過部32bが設けられている。第2の波長選択膜32は、緑色(G)および赤色(R)の光を透過し、青色(B)の光を反射する光学膜である。
【0029】
第1の偏光子61は、蛍光層20で生成された光および光源10から出射された光から所定の偏光成分を取り出す光学膜である。ガラス基板S1上に形成されるTFTおよび透明電極は、画素ごとに液晶を駆動する素子である。
【0030】
第1の配向膜H1は、液晶に所定の配向を設ける膜である。液晶層である変調層50は、TFTによって駆動され、光の偏光方向を制御する層である。第2の配向膜H2は、液晶に所定の配向を設ける膜である。透明電極Dは、各TFT40に対応した対向電極である。第2の偏光子62は、液晶層を透過した光のうち所定の偏光方向の光を透過させる光学膜である。
【0031】
このような構成から成る表示装置1では、第1の波長選択膜31で光源10から出射される青色(B)の光を透過し、蛍光層20で励起された緑色(G)の光と赤色(R)の光を反射する。その一方、第2の波長選択膜32は、蛍光層20で励起された緑色(G)の光と赤色(R)の光とを透過して、青色(B)の光を反射する。こうすることで、青色(B)の光は蛍光層20を往復して効率よく励起に寄与することができるとともに、漏れ光が無くなるのでコントラスト性能や色純度性能を高めることができる。
【0032】
また、蛍光層20で発光した緑色(G)と赤色(R)の光のうち、後方(光源側)に放射される光は第1の波長選択膜31で反射され、結果として発光した光はすべて観察者側に取り出される。したがって、原理的には約2倍の正面輝度を得ることができ、ディスプレイとしての発光効率を大幅に向上させることができる。
【0033】
さらに、外光に含まれる青色成分は第2の波長選択膜32によって反射され、蛍光層20の励起に寄与しないので、不要な励起を発生させず、コントラストや色域に対する悪影響を抑制でき、表示品位を向上させることが可能となる。
【0034】
なお、外光の影響をさらに小さくしたい場合は、最表面(最も観察者側の表面)となるガラス基板S2の表面に無反射コートなどを追加しても良い。これは外光の映り込みを低減するとともに、青色が反射されて青味がかった表示となることを防ぐ効果がある。
【0035】
[本実施形態の表示装置の具体的構成例:その2]
図5は、本実施形態の表示装置の具体的な構成例(その2)を説明する模式断面図である。この表示装置は、光源10、第1の偏光子61、TFT40および透明電極が形成されたガラス基板S1、第1の配向膜H1、液晶層である変調層50、第2の配向膜H2、透明電極D、第2の偏光子62、第1の波長選択膜31、蛍光層20、第2の波長選択膜32、ガラス基板S2によって構成されている。
【0036】
光源10は、例えば波長が450nm程度の青色(B)の光を出射するLEDが用いられている。第1の偏光子61はガラス基板S1の裏面(光源側)に設けられており、光源10から出射された光から所定の偏光成分を取り出す光学膜となっている。
【0037】
ガラス基板S1上に形成されるTFT40および透明電極は、画素ごとに液晶を駆動する素子である。第1の配向膜H1は、液晶に所定の配向を設ける膜である。液晶層である変調層50は、TFT40によって駆動され、光の偏光方向を制御する層である。第2の配向膜H2は、液晶に所定の配向を設ける膜である。透明電極Dは、各TFT40に対応した対向電極である。第2の偏光子62は、液晶層を透過した光のうち所定の偏光方向の光を透過させる光学膜である。
【0038】
第1の波長選択膜31は、第2の偏光子62上に形成され、光源10から出射され、液晶を透過した青色(B)の光を透過する一方、緑色(G)および赤色(R)を反射する光学膜である。
【0039】
蛍光層20は、第1の波長選択膜31の上に形成されている。蛍光層20は、各単位画素(青、緑、赤の各画素)のうち緑と赤に対応する部分に蛍光面21、22が設けられ、青に対応する部分に第1の透過部23が設けられている。緑の蛍光面21は、光源10から出射され、第1の波長選択膜31を透過した青色(B)の光によって緑色(G)の光を生成する。また、赤の蛍光面22は、光源10から出射され、第1の波長選択膜31を透過した青色(B)の光によって赤色(R)の光を生成する。また、第1の透過部23は、第1の波長選択膜31を透過した青色(B)の光をそのまま透過させる。
【0040】
第2の波長選択膜32は、緑および赤の蛍光面の上に設けられ、蛍光面の青色に対応する第1の透過部23の上には第2の透過部32bが設けられている。第2の波長選択膜32は、緑色(G)および赤色(R)の光を透過し、青色(B)の光を反射する光学膜である。
【0041】
このような構成から成る表示装置1では、第1の波長選択膜31で液晶層を透過した光源の青色(B)の光を透過し、蛍光層20で励起された緑色(G)の光と赤色(R)の光を反射する。その一方、第2の波長選択膜32は、蛍光層20で励起された緑色(G)の光と赤色(R)の光とを透過して、青色(B)の光を反射する。こうすることで、青色(B)の光は蛍光層20を往復して効率よく励起することができるとともに、漏れ光が無くなるのでコントラスト性能や色純度性能を高めることができる。
【0042】
蛍光層20で発光した緑色(G)と赤色(R)の光のうち、後方(光源側)に放射された光は第1の波長選択膜31で反射され、結果として発光した光はすべて観察者側に取り出される。したがって、原理的には約2倍の正面輝度を得ることができ、ディスプレイとしての発光効率を大幅に向上させることができる。
【0043】
さらに、外光に含まれる青色成分は第2の波長選択膜32によって反射され、蛍光層20の励起に寄与しないので、不要な励起を発生させず、コントラストや色域に対する悪影響を抑制でき、表示品位を向上させることが可能となる。
【0044】
なお、外光の影響をさらに小さくしたい場合は、最表面(最も観察者側の表面)となるガラス基板S2の表面に無反射コートなどを追加しても良い。これは外光の映り込みを低減するとともに、青色が反射されて青味がかった表示となることを防ぐ効果がある。
【0045】
[波長選択膜の特性]
図6は、第1の波長選択膜の光学特性の一例を示す図である。第1の波長選択膜では、青色は透過して緑色および赤色は反射する特性を持つ。このような層は屈折率の異なる薄膜を積層して最適化することによって得られる。図6に示す例では、SiO2とNb25を31層重ねた波長選択膜の特性を示している。
【0046】
図7は、第2の波長選択膜の光学特性の一例を示す図である。第2の波長選択膜では、図6に示す第1の波長選択膜と比較して波長に体知る透過と反射とが逆になるように設計されている。したがって、本実施形態では、青色は反射して緑色および赤色は透過する特性を持つ。
【0047】
<2.特性評価>
図8は、本実施形態の表示装置の効果を実験で確認した結果を示す図である。すなわち、ここでは、同一の青色光の光源を用いて、第1の波長選択膜無しなしで緑色の蛍光面単独の場合と、第1の波長選択反射膜(赤と緑は反射して青は透過する)有りの場合とで各々の輝度を積分球で比較した。その結果、第1の波長選択反射膜が有る場合は波長変換された緑の輝度が1.64倍増加している。このように、第1の波長選択反射膜を付加することによって大きく輝度が向上することが検証された。
【0048】
さらに、第2の波長選択反射膜を追加することにより、図9に示すように蛍光面を透過してしまう約10〜20%の青色光も緑色に波長変換することができるので、一層の輝度向上が実現可能となる。
【0049】
<3.表示装置の製造方法>
次に、実際に波長選択膜を製造する工程を例を挙げて説明する。例えば、図4に示す表示装置の構造の場合には、先ず、ガラス基板S1上に第1の波長選択膜31となる薄膜をスパッタなどで積層した後、印刷やフォトリソグラフィなどにより蛍光層20をパターニングする。蛍光層20は、青色画素の部分を除き、赤色画素および緑色画素に対応した部分に形成する。本実施形態では、各色の蛍光面をストライプ状にして順次繰り返して形成し、単位画素の境界と対応する部分にブラックストライプを設けている。
【0050】
具体的には、赤色の感光性の蛍光体粒子組成物(赤色発光蛍光体スラリー:例えばポリビニルアルコール(PVA)樹脂と水に赤色発光蛍光体粒子を分散させ、さらに、重クロム酸アンモニウムを添加した赤色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色の蛍光面を形成する。
【0051】
次いで、緑色の感光性の蛍光体粒子組成物(緑色発光蛍光体スラリー:例えばポリビニルアルコール(PVA)樹脂と水に緑色発光蛍光体粒子を分散させ、さらに、重クロム酸アンモニウムを添加した緑色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色の蛍光面を形成する。
【0052】
なお、赤色の蛍光面の形成と緑色の蛍光面の形成の順序を逆にしてもよい。また、赤色および緑色の蛍光面の形成方法は、以上に説明した方法に限定されず、赤色発光蛍光体スラリー、緑色発光蛍光体スラリーを順次塗布した後、各蛍光体スラリーを順次露光、現像して、各蛍光面を形成してもよいし、スクリーン印刷法等により各蛍光面を形成してもよい。
【0053】
続いて、SiO2などを塗布して蛍光層の頂部を平坦化し、さらに第2の波長選択膜32となる薄膜をスパッタなどで積層する。ここで、青色画素の部分は第2の波長選択膜32を除去する必要があるので、フォトリソグラフィとエッチングなどで除去する。その後、第1の偏光子61を貼り付け、リアパネルとする。
【0054】
そして、対向するTFT基板を既存の工程で製造し、これをフロントパネルとして、リアパネルと貼り合わせる。フロントパネルとリアパネルとを貼り合わせた後は、リアパネル側に光源10を取り付けることで、表示装置1が完成する。
【0055】
また、図5に示す表示装置の構造の場合には、先ず、ガラス基板S2上に第2の波長選択膜32となる薄膜をスパッタなどで積層した後、フォトリソグラフィとエッチングなどで青色画素の部分を除去する。
【0056】
そして、第2の波長選択膜32の上に印刷やフォトリソグラフィなどにより蛍光層20をパターニングする。蛍光層20は、青色画素の部分を除き、赤色画素および緑色画素に対応した部分に形成する。本実施形態では、各色の蛍光面をストライプ状にして順次繰り返して形成し、単位画素の境界と対応する部分にブラックストライプを設けている。
【0057】
具体的には、赤色の感光性の蛍光体粒子組成物(赤色発光蛍光体スラリー:例えばポリビニルアルコール(PVA)樹脂と水に赤色発光蛍光体粒子を分散させ、さらに、重クロム酸アンモニウムを添加した赤色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色の蛍光面22を形成する。
【0058】
次いで、緑色の感光性の蛍光体粒子組成物(緑色発光蛍光体スラリー:例えばポリビニルアルコール(PVA)樹脂と水に緑色発光蛍光体粒子を分散させ、さらに、重クロム酸アンモニウムを添加した緑色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色の蛍光面21を形成する。
【0059】
なお、赤色の蛍光面22の形成と緑色の蛍光面21の形成の順序を逆にしてもよい。また、赤色および緑色の蛍光面の形成方法は、以上に説明した方法に限定されず、赤色発光蛍光体スラリー、緑色発光蛍光体スラリーを順次塗布した後、各蛍光体スラリーを順次露光、現像して、各蛍光体層を形成してもよいし、スクリーン印刷法等により各蛍光体層を形成してもよい。
【0060】
続いて、SiO2などを塗布して蛍光層20上を平坦化し、さらに第1の波長選択膜31となる薄膜をスパッタなどで積層する。その後、第2の偏光子62を形成した上に、一般的な液晶セル構造と同様に透明電極や液晶配向膜を形成する。こうしてできた蛍光面基板をフロントパネル、対向するTFT基板をリアパネルとして両者を貼り合わせる。
【0061】
フロントパネルとリアパネルとを貼り合わせた後は、リアパネルに第1の偏光子61を貼り付け、光源10を取り付けることで、表示装置1が完成する。
【0062】
このような本実施形態に係る表示装置1では、光の利用効率が高く高輝度で、かつ広色域な表示を行うことが可能となる。また、外光の影響を受けにくく、蛍光層で生成された光の漏れも少なくなるので、高コントラストで広色域な表示を得ることが可能となる。
【0063】
なお、上記説明した実施形態では、青色の光を出射する光源10を用い、緑色および赤色の光を生成する蛍光面21、22を用いる例を説明したが、これ以外の色の組み合わせであっても適用可能である。また、白色の光源を用い、青色、緑色、赤色の3色について単位画素ごと光を生成する蛍光面をそれぞれ設けた構成であってもよい。
【0064】
このような本実施形態に係る表示装置1は、表示パネル部品としてのみならず、表示部として筐体に組み込まれたテレビ受像機、携帯端末装置、パーソナルコンピュータ等の電子機器にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態に係る表示装置の概略構成例を説明する模式斜視図である。
【図2】一般的な表示装置の構成例を説明する模式断面図(その1)である。
【図3】一般的な表示装置の構成例を説明する模式断面図(その2)である。
【図4】本実施形態の表示装置の具体的な構成例(その1)を説明する模式断面図である。
【図5】本実施形態の表示装置の具体的な構成例(その2)を説明する模式断面図である。
【図6】第1の波長選択膜の光学特性の一例を示す図である。
【図7】第2の波長選択膜の光学特性の一例を示す図である。
【図8】本実施形態の表示装置の効果を実験で確認した結果を示す図である。
【図9】蛍光面を透過する光を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1…表示装置、10…光源、20…蛍光層、31…第1の波長選択膜、32…第2の波長選択膜、50…液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源から出射された光によって励起され、当該光の波長と異なる波長の光を生成する蛍光層と、
前記光源から出射された光もしくは前記蛍光層によって生成された光を変調する変調層と、
前記蛍光層に対して前記光源側に配置され、前記光源から出射される光を透過し、前記蛍光層で生成される光を反射する第1の波長選択膜と、
前記蛍光層に対して前記光源と反対側に配置され、前記光源から出射される光を反射し、前記蛍光層で生成される光を透過し、一部に前記光源から出射される光を透過する透過部を備える第2の波長選択膜と
を有する表示装置。
【請求項2】
前記第1の波長選択膜と前記第2の波長選択膜とで前記蛍光層を挟持した構造となっている
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記蛍光層の光の出射側となる基板の最表面に装置外から入射する光を反射する光学層が設けられている
請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記光源は、青色の光を出射し、
前記第1の波長選択膜は、赤色および緑色の光を反射し、
前記第2の波長選択膜は、赤色および緑色の光を透過する
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記蛍光層、前記第1の波長選択膜および前記第2の波長選択膜は、前記光源から出射される光の出射方向に沿って前記変調層より前段に配置されている
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記蛍光層、前記第1の波長選択膜および前記第2の波長選択膜は、前記光源から出射される光の出射方向に沿って前記変調層より後段に配置されている
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−96955(P2010−96955A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267216(P2008−267216)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】