説明

表示装置

【課題】表示装置において、発光時に非発光となる部分を生じ難くする。
【解決手段】表示装置1は、面状発光素子2、3が素子基板4、5上に配置されて用いられる。面状発光素子2、3は、模様が形成されている発光層9、13と、発光層9、13と同一平面上において発光層9、13が配置されていない箇所に配置される透明絶縁層10と、発光層9、13及び透明絶縁層10を挟持し発光層9、13に給電する陽極電極7及び陰極電極11と、を有する。組み合わせられる複数の面状発光素子2、3の発光層9、13は、面状発光素子2、3の面と直交する方向から見たとき、相互にオーバーラップする。この構成により、発光層9、13間に隙間が生じ難くなるので、非発光となる部分を生じ難くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の面状発光素子を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数色が使用されている表示装置において、それぞれの色を独立して点滅制御することが可能となれば、表示装置の存在感を際立たせることができる。このような表示装置が、例えば、誘導灯などに用いられると、存在感を高め、誘目性を向上することができる。このような表示装置において、複数色を別々に制御する場合、一つの方法としてドット単位で並べるディスプレイが挙げられるが、構造が複雑となるので、製造コストが高くなる。
【0003】
また、例えば、特許文献1に示されるように、一つの基板上に、複数の発光セグメントを配置してなる有機EL素子が知られているが、各発光セグメントを接続する不透過の導体部により、非発光部が生じる。
【0004】
また、発光層を製造する際、蒸着マスクを用いて色を分ける方法も挙げられるが、マスク部が非発光部となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−227326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、発光時に非発光となる部分を生じ難くすることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、発光によって模様を表示する面状発光素子と、前記面状発光素子が配置される素子基板と、を備え、前記面状発光素子は、模様が形成されている発光層と、前記発光層と同一平面上において該発光層が配置されていない箇所に配置される透明絶縁層と、前記発光層及び透明絶縁層を挟持し該発光層に給電する陽極電極及び陰極電極と、を有し、前記面状発光素子が複数組み合わせて用いられる表示装置であって、前記組み合わせられる複数の面状発光素子の発光層は、該面状発光素子の面と直交する方向から見たとき、相互にオーバーラップするように構成されているものである。
【0008】
請求項2の発明は、前記面状発光素子は、前記発光層の発光色が単色であるものである。
【0009】
請求項3の発明は、前記組み合わせられる複数の面状発光素子は、電力供給系統がそれぞれ相違するものである。
【0010】
請求項4の発明は、前記面状発光素子の全部又は一部は、前記素子基板の表裏それぞれに配置されるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、各面状発光素子の発光層が相互にオーバーラップすることで、発光層間に隙間が生じないので、非発光となる部分を生じ難くすることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、発光層の発光色が複数色の場合に発光層中の発光色間に隙間が生じるが、この隙間が生じないので、非発光となる部分を生じ難くすることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、各面状発光素子ごとに発光の制御ができるので、演出性が向上する。これにより、装置の存在感を際立たせることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、1つの素子基板に2つの面状発光素子が配置されるので、用いる素子基板の数を減らすことができる。これにより、装置の厚さを薄くすることができ、かつ、部品点数が減少するので、製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の斜視図。
【図2】同表示装置の平面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】同表示装置の分解斜視図。
【図5】同表示装置の変形例の斜視図。
【図6】図5のB−B線断面図。
【図7】同表示装置の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る表示装置について、図1乃至図4を参照して説明する。図1及び図2に示されるように、表示装置1は、第1の面状発光素子2と第2の面状発光素子3が、第1の素子基板4と第2の素子基板5上にそれぞれ配置され、第1の面状発光素子2上に第2の面状発光素子3が積み重なって形成されている。この表示装置1は、最も表側が第2の面状発光素子3となり、最も裏側が第1の素子基板4となる。また、表示装置1は、第1の面状発光素子2と第2の面状発光素子3に、それぞれ電気的に接続されている電源6を備え、電源6からの給電によって表側から発光し、矢印のピクトグラムに係る模様を表示する。
【0017】
図3及び図4に示されるように、第1の面状発光素子2は、第1の素子基板4上に陽極電極7及び陰極取り出し部8と、模様が形成されて黄色に発光する発光層13及び透明絶縁層10と、陰極取り出し部8と電気的に接続される陰極電極11と、封止基板12とがこの順に積層されて成る。陽極電極7及び陰極取り出し部8は、電気的に分離された状態で同一平面上に配置される。透明絶縁層10は、発光層9と同一平面上において、発光層9が配置されていない箇所に配置される。第2の面状発光素子3は、発光層9と発光色及び模様が異なる発光層13を用いる以外は、第1の面状発光素子2と同様に構成される。
【0018】
第1の素子基板4は、例えば、透明でないプラスチックフィルムで形成されている。なお、表示装置1の裏側も発光させたいとき、第1の素子基板4は、透明なプラスチックフィルムで形成されていてもよい。第2の素子基板5は、例えば、透明なガラス板やプラスチックフィルム等で形成されている。
【0019】
素子基板4、5の陽極電極7、陰極取り出し部8及び陰極電極11は、ITO、IZO、AZO、GZO、ATO、SnO等の透明導電膜で形成されている。透明絶縁層10は、例えば、SiO等の透明な絶縁材料で形成されている。封止基板12は、透明なガラス板やシリコン樹脂などで形成されている。第1の面状発光素子2の陽極電極7と陰極電極11は、発光層9及び透明絶縁層10を挟持し、第2の面状発光素子3の陽極電極7と陰極電極11は、発光層13及び透明絶縁層10を挟持する。
【0020】
第1の面状発光素子2の透明絶縁層10は、矢印の模様に形成されている。第1の面状発光素子2の発光層9は、黄色の単色で発光する材料から成り、第1の面状発光素子2の透明絶縁層10の矢印をくり抜いた模様に形成されている。
【0021】
第2の面状発光素子3の発光層13は、緑色の単色で発光する材料から成り、矢印の模様に形成される。第2の面状発光素子3の透明絶縁層10は、第2の面状発光素子3の発光層13の矢印をくり抜いた模様に形成される。表示装置1は、発光層の発光色が複数色の場合に発光層中で発光色間に生じる隙間が、単色の発光層9、13中では生じないので、非発光となる部分を生じ難くすることができる。なお、発光層9、13の模様や発光色は、表示装置1が表示するピクトグラムに応じて適宜選択される。
【0022】
図2及び図3のC部に示されるように、第1の面状発光素子2の発光層9は、面状発光素子2、3の面と直交する方向から見たとき、第2の面状発光素子3の発光層13と相互にオーバーラップするように構成されている。すなわち、発光層9、13は、発光層9の矢印枠9aが、発光層13の矢印枠13aよりも内側となるように構成されている。
【0023】
電源6は、第1の面状発光素子2と第2の面状発光素子3の陽極電極7の端部と、陰極取り出し部8の端部とに、電力供給系統がそれぞれ相違するように電気的に接続されているので、第1の面状発光素子2と第2の面状発光素子3を別々に制御することができる。これにより、表示装置1は、第1の面状発光素子2を制御して黄色のみで点灯又は点滅、第2の面状発光素子3を制御して緑色のみで点灯又は点滅、面状発光素子2、3の両方を制御して両色で点灯又は点滅、各色を交互に点灯又は点滅させることができる。
【0024】
上記のように構成された表示装置1においては、面状発光素子2、3と直交する方向から見て、各発光層9、13が相互にオーバーラップすることで、発光層9、13間に隙間が生じないので、非発光となる部分を生じ難くすることができる。また、各面状発光素子2、3ごとに発光の制御ができるので、演出性が向上する。これにより、装置の存在感を際立たせることができる。
【0025】
(変形例)
図5乃至図7は、本実施形態の変形例に係る表示装置1を示す。この変形例の表示装置1は、2つの素子基板4、5上のそれぞれに面状発光素子2、3が配置されるものに代えて、素子基板14の表裏それぞれに面状発光素子2、3が配置されるものである。具体的には、第1の面状発光素子2の陽極電極7が、素子基板14の裏側と接し、第2の面状発光素子3の陽極電極7が、素子基板14の表側と接している。
【0026】
また、第1の面状発光素子2の陰極電極11は、透明でない材料であるAlや銀などで形成されている。第1の面状発光素子2の封止基板12は、透明でない材料である銅などで形成されている。なお、第1の面状発光素子2の陰極電極11及び封止基板12は、表示装置1の裏側も発光させたいときは、透明な材料で形成されていてもよい。
【0027】
上記のように構成された表示装置1においては、2つの面状発光素子2、3で1つの素子基板14が配置されるので、用いる素子基板の数を減らすことができる。これにより、装置の厚さを薄くすることができ、かつ、部品点数が減少するので、製造コストを削減することができる。
【0028】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、2つの面状発光素子が組み合わせられているものを示したが、最も裏側にある素子基板と面状発光素子以外の素子基板と面状発光素子が透明であれば、面状発光素子が3つ以上設けられているものであっても構わない。
【符号の説明】
【0029】
1 表示装置
2 第1の面状発光素子(面状発光素子)
3 第2の面状発光素子(面状発光素子)
4 第1の素子基板(素子基板)
5 第2の素子基板(素子基板)
7 陽極電極
9 発光層
10 透明絶縁層
11 陰極電極
13 発光層
14 素子基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光によって模様を表示する面状発光素子と、前記面状発光素子が配置される素子基板と、を備え、
前記面状発光素子は、模様が形成されている発光層と、前記発光層と同一平面上において該発光層が配置されていない箇所に配置される透明絶縁層と、前記発光層及び透明絶縁層を挟持し該発光層に給電する陽極電極及び陰極電極と、を有し、
前記面状発光素子が複数組み合わせて用いられる表示装置であって、
前記組み合わせられる複数の面状発光素子の発光層は、該面状発光素子の面と直交する方向から見たとき、相互にオーバーラップするように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記面状発光素子は、前記発光層の発光色が単色であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記組み合わせられる複数の面状発光素子は、電力供給系統がそれぞれ相違することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記面状発光素子の全部又は一部は、前記素子基板の表裏それぞれに配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−171068(P2011−171068A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32788(P2010−32788)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】