説明

表示装置

【課題】入力される映像信号の特徴量に応じて輝度の補正を適切に行うことにより、表示される映像品質の低下を防止する。
【解決手段】発光部を含む表示部と、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布とを表す輝度分布情報が記憶されている輝度分布記憶部150Aと、複数の画素の映像信号から抑制補正必要量を判定するための映像の特徴量を算出する特徴量算出部190,200と、輝度分布情報と特徴量とに基づき、画素の表示輝度データを抑制補正する輝度抑制処理部210,220と、を備え、輝度抑制処理部は、特徴量に基づき各画素の表示輝度の抑制補正必要量を判定し、表示部の発光輝度分布が目標輝度分布より高い高輝度領域に対応する画素の表示輝度データを抑制補正必要量に基づき抑制補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光変調素子として液晶を用いた表示装置は、液晶パネルを背面から照明するバックライトを備え、バックライトから出射される光の透過率を液晶によって制御することで、任意の画像を液晶パネルに表示している。従来、液晶パネルを背面から照明するバックライトに起因して、液晶パネル上に輝度の不均一が現れる場合があった。そこで、映像信号を補正することにより、輝度の不均一を補正する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術においては、映像信号の補正を行う際に、表示画面全体で、入力映像信号の信号レベルと位置とに応じてガンマ補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−145471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、入力される映像信号の特徴量によっては、輝度を補正する必要性が高かったり、輝度を補正する必要性が低かったりする。しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、入力される映像信号に関係なく補正を行っており、映像信号の特徴量に基づき輝度を補正する必要性を考慮していない。したがって、輝度を補正する必要性が低い場合でも、輝度の補正を行っていることから、上記特許文献1に記載の技術では、表示される映像の品質が低下するなどの問題が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、入力される映像信号の特徴量に応じて輝度の補正を適切に行うことにより、表示される映像品質の低下を防止することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る表示装置は、光を出射する1または複数の光源を有する発光部を含み、前記発光部の前記1または複数の光源から出射される光を用いて、複数の画素ごとに設定された、表示輝度データを含む映像信号に対応する映像を表示する表示部と、前記表示部の発光輝度分布と所定の目標輝度分布とを表す輝度分布情報が記憶されている輝度分布記憶部と、前記複数の画素の前記映像信号から、前記画素の表示輝度の抑制補正の必要度合いを表す抑制補正必要量を判定するための前記映像の特徴量を算出する特徴量算出部と、前記輝度分布記憶部に記憶されている前記輝度分布情報と、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量とに基づき、前記画素の表示輝度データを抑制補正する輝度抑制処理部と、を備え、前記目標輝度分布は、前記発光部の発光輝度分布より低い輝度値を有する領域を含むように設定され、前記輝度抑制処理部は、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づき前記各画素の前記表示輝度の抑制補正必要量を判定し、前記表示部の前記発光輝度分布が前記目標輝度分布より高い高輝度領域に対応する前記画素の表示輝度データを前記抑制補正必要量に基づき抑制補正する。
【0007】
上記構成によれば、表示部は、光を出射する1または複数の光源を有する発光部を含み、発光部の1または複数の光源から出射される光を用いて、複数の画素ごとに設定された、表示輝度データを含む映像信号に対応する映像を表示する。輝度分布記憶部は、表示部の発光輝度分布と所定の目標輝度分布とを表す輝度分布情報を記憶している。特徴量算出部は、複数の画素の映像信号から、画素の表示輝度の抑制補正の必要度合いを表す抑制補正必要量を判定するための映像の特徴量を算出する。輝度抑制処理部は、輝度分布記憶部に記憶されている輝度分布情報と、特徴量算出部により算出された特徴量とに基づき、画素の表示輝度データを抑制補正する。目標輝度分布は、表示部の発光輝度分布より低い輝度値を有する領域を含むように設定されている。輝度抑制処理部は、特徴量算出部により算出された特徴量に基づき各画素の表示輝度の抑制補正必要量を判定し、表示部の発光輝度分布が目標輝度分布より高い高輝度領域に対応する画素の表示輝度データを補正必要量に基づき抑制補正する。したがって、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差による影響を抑制し、表示部の発光輝度分布が目標輝度分布を有するときに表示される映像を表示部に表示することができる。
【0008】
上記の表示装置において、前記特徴量算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データが所定の周波数範囲の輝度成分を積算した積算値を前記特徴量として算出する周波数算出部を含み、前記輝度抑制処理部は、前記周波数算出部により算出された前記積算値が大きくなるほど前記抑制補正必要量が小さくなると判定することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、特徴量算出部は、周波数算出部を含む。周波数算出部は、映像信号の表示輝度データが所定の周波数範囲の輝度成分を積算した積算値を特徴量として算出する。輝度抑制処理部は、周波数算出部により算出された積算値が大きくなるほど抑制補正必要量が小さくなると判定する。映像信号の表示輝度データが所定の周波数範囲の輝度成分を積算した積算値が大きくなると、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差は目立たない。したがって、上記積算値が大きくなるほど抑制補正必要量が小さくなると判定することにより、より適切に、高輝度領域に対応する画素の表示輝度データを抑制補正することが可能になる。
【0010】
上記の表示装置において、前記周波数算出部は、前記表示部の前記発光輝度分布と前記目標輝度分布との差分の変化度合いに基づき下限値及び上限値を設定し、前記下限値から前記上限値までの周波数範囲で前記映像信号の前記表示輝度データをフィルタリングして、フィルタリング後に含まれる輝度成分を積算した積算値を前記特徴量として算出することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、周波数算出部は、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差分の変化度合いに基づき下限値及び上限値を設定し、下限値から上限値までの周波数範囲で映像信号の表示輝度データをフィルタリングして、フィルタリング後に含まれる輝度成分を積算した積算値を特徴量として算出する。表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差分の変化度合いに基づき下限値及び上限値を設定しているため、補正必要量を適切に判定することができる。
【0012】
上記の表示装置において、前記特徴量算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データの平坦性の確度を前記特徴量として算出する平坦度算出部を含み、前記輝度抑制処理部は、前記平坦度算出部により算出された前記平坦性の確度が大きくなるほど前記抑制補正必要量が大きくなると判定することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、特徴量算出部は、平坦度算出部を含む。平坦度算出部は、映像信号の表示輝度データの平坦性の確度を特徴量として算出する。輝度抑制処理部は、平坦度算出部により算出された平坦性の確度が大きくなるほど抑制補正必要量が大きくなると判定する。映像信号の表示輝度データの平坦性の確度が大きくなるほど、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差が目立つ。したがって、映像信号の表示輝度データの平坦性の確度が大きくなるほど抑制補正必要量が大きくなると判定することにより、より適切に、高輝度領域に対応する画素の表示輝度データを抑制補正することが可能になる。
【0014】
上記の表示装置において、前記平坦度算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データに基づき、3個以上の区分範囲ごとの画素数を表す輝度ヒストグラムを算出し、前記各区分範囲の画素数のうちで最も多い画素数に基づき、前記平坦性の確度を算出することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、平坦度算出部は、映像信号の表示輝度データに基づき、3個以上の区分範囲ごとの画素数を表す輝度ヒストグラムを算出し、各区分範囲の画素数のうちで最も多い画素数に基づき、平坦性の確度を算出する。したがって、平坦性の確度を簡易な演算で算出することができる。
【0016】
本発明の他の局面に係る表示装置は、光を出射する1または複数の光源を有する発光部を含み、前記発光部の前記1または複数の光源から出射される光を用いて、複数の画素ごとに設定された、表示輝度データを含む映像信号に対応する映像を表示する表示部と、前記表示部の発光輝度分布と所望の目標輝度分布とを表す輝度分布情報が記憶されている輝度分布記憶部と、前記複数の画素の前記映像信号から、前記画素の表示輝度の向上補正の必要度合いを表す向上補正必要量を判定するための前記映像の特徴量を算出する特徴量算出部と、前記輝度分布記憶部に記憶されている前記輝度分布情報と、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量とに基づき、前記画素の表示輝度データを向上補正する輝度向上処理部と、を備え、前記目標輝度分布は、前記表示部の発光輝度分布より高い輝度値を有する領域を含むように設定され、前記輝度向上処理部は、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づき前記各画素の前記表示輝度の前記向上補正必要量を判定し、前記表示部の前記発光輝度分布が前記目標輝度分布より低い低輝度領域に対応する前記画素の表示輝度データを、前記向上補正必要量に基づき向上補正する。
【0017】
上記構成によれば、表示部は、光を出射する1または複数の光源を有する発光部を含み、発光部の1または複数の光源から出射される光を用いて、複数の画素ごとに設定された、表示輝度データを含む映像信号に対応する映像を表示する。輝度分布記憶部は、表示部の発光輝度分布と所定の目標輝度分布とを表す輝度分布情報を記憶している。特徴量算出部は、複数の画素の映像信号から、画素の表示輝度の向上補正の必要度合いを表す向上補正必要量を判定するための映像の特徴量を算出する。輝度向上処理部は、輝度分布記憶部に記憶されている輝度分布情報と、特徴量算出部により算出された特徴量とに基づき、画素の表示輝度データを向上補正する。目標輝度分布は、表示部の発光輝度分布より高い輝度値を有する領域を含むように設定されている。輝度向上処理部は、特徴量算出部により算出された特徴量に基づき各画素の表示輝度の向上補正必要量を判定し、表示部の発光輝度分布が目標輝度分布より低い低輝度領域に対応する画素の表示輝度データを、向上補正必要量に基づき向上補正する。したがって、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差による影響を抑制し、表示部の発光輝度分布が目標輝度分布を有するときに表示される映像を表示部に表示することができる。
【0018】
上記の表示装置において、前記特徴量算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データが所定の周波数範囲の輝度成分を積算した積算値を前記特徴量として算出する周波数算出部を含み、前記輝度向上処理部は、前記周波数算出部により算出された前記積算値が大きくなるほど前記向上補正必要量が小さくなると判定することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、特徴量算出部は、周波数算出部を含む。周波数算出部は、映像信号の表示輝度データが所定の周波数範囲の輝度成分を積算した積算値を特徴量として算出する。輝度向上処理部は、周波数算出部により算出された積算値が大きくなるほど向上補正必要量が小さくなると判定する。映像信号の表示輝度データが所定の周波数範囲の輝度成分を積算した積算値が大きくなると、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差は目立たない。したがって、上記積算値が大きくなるほど向上補正必要量が小さくなると判定することにより、より適切に、低輝度領域に対応する画素の表示輝度データを向上補正することが可能になる。
【0020】
上記の表示装置において、前記周波数算出部は、前記表示部の前記発光輝度分布と前記目標輝度分布との差分の変化度合いに基づき下限値及び上限値を設定し、前記下限値から前記上限値までの周波数範囲で前記映像信号の前記表示輝度データをフィルタリングして、フィルタリング後に含まれる輝度成分を積算した積算値を前記特徴量として算出することが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、周波数算出部は、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差分の変化度合いに基づき下限値及び上限値を設定し、下限値から上限値までの周波数範囲で映像信号の表示輝度データをフィルタリングして、フィルタリング後に含まれる輝度成分を積算した積算値を特徴量として算出する。表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差分の変化度合いに基づき下限値及び上限値を設定しているため、補正必要量を適切に判定することができる。
【0022】
上記の表示装置において、前記特徴量算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データの平坦性の確度を前記特徴量として算出する平坦度算出部を含み、前記輝度向上処理部は、前記平坦度算出部により算出された前記平坦性の確度が大きくなるほど前記向上補正必要量が大きくなると判定することが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、特徴量算出部は、平坦度算出部を含む。平坦度算出部は、映像信号の表示輝度データの平坦性の確度を特徴量として算出する。輝度向上処理部は、平坦度算出部により算出された平坦性の確度が大きくなるほど向上補正必要量が大きくなると判定する。映像信号の表示輝度データの平坦性の確度が大きくなるほど、表示部の発光輝度分布と目標輝度分布との差が目立つ。したがって、映像信号の表示輝度データの平坦性の確度が大きくなるほど向上補正必要量が大きくなると判定することにより、より適切に、低輝度領域に対応する画素の表示輝度データを向上補正することが可能になる。
【0024】
上記の表示装置において、前記平坦度算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データに基づき、3個以上の区分範囲ごとの画素数を表す輝度ヒストグラムを算出し、前記各区分範囲の画素数のうちで最も多い画素数に基づき、前記平坦性の確度を算出することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、平坦度算出部は、映像信号の表示輝度データに基づき、3個以上の区分範囲ごとの画素数を表す輝度ヒストグラムを算出し、各区分範囲の画素数のうちで最も多い画素数に基づき、平坦性の確度を算出する。したがって、平坦性の確度を簡易な演算で算出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、映像に応じて最適な輝度補正を行うことで、副作用を生じさせることなく、様々なシーンにおいて高画質の映像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示される映像信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】現状の輝度分布の一例を概略的に示す模式図である。
【図4】目標輝度分布の一例を概略的に示す模式図である。
【図5】周波数解析部による解析結果の一例を概略的に示す模式図である。
【図6】表示画面が4×4の分割領域に仮想的に分割された液晶パネルを概略的に示す模式図である。
【図7】平坦性解析部により生成される輝度ヒストグラムを概略的に示す模式図である。
【図8】広義単調増加関数の一例を概略的に示す模式図である。
【図9】本発明の第2実施形態の液晶表示装置に設けられる映像信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図10】輝度抑制補正に用いる目標輝度分布の一例を概略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。図1に示される液晶表示装置100は、表示部110、映像信号処理部120、液晶駆動部122、バックライト駆動部124を備える。表示部110は、液晶パネル111、バックライト112を備える。
【0029】
映像信号処理部120は、入力される映像信号を補正して補正信号を生成し、生成した補正信号を液晶駆動部122に出力する。また、映像信号処理部120は、バックライト駆動部124に制御信号を出力して、バックライト112を点灯させる。映像信号処理部120は、後に詳述される。
【0030】
液晶パネル111は、それぞれ図示を省略する、水平方向に延びる複数の走査線、垂直方向に延びる複数の信号線、スイッチング素子及び複数の画素を備える。複数の信号線及び複数の走査線の交点にマトリクス状に複数の画素が配置され、水平方向に配列される1ラインの画素により1走査ラインが構成される。液晶駆動部122は、映像信号処理部120からの補正信号に基づき、複数の信号線に画素信号を供給し、複数の走査線に走査信号となるゲートパルスを供給する。液晶駆動部122は、各画素に対応する液晶層に信号電圧を印加し、液晶の透過率を制御する。なお、液晶パネル111としては、IPS(In Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、その他のいずれの方式を適用してもよい。
【0031】
バックライト112は、所定の輝度分布で発光して液晶パネル111を背面から照明して液晶パネル111に画像を表示させる。バックライト112は、例えば冷陰極蛍光ランプ等の光源を有する。バックライト駆動部124は、映像信号処理部120からの制御信号に基づき、バックライト112を駆動する。なお、液晶パネル111とバックライト112との間に、バックライト112からの光を液晶パネル111に導く導光板や、バックライト112からの光を拡散して液晶パネル111に導く拡散板などを備えるようにしてもよい。
【0032】
図2は、図1に示される映像信号処理部120の構成を示すブロック図である。図3は、現状の輝度分布の一例を概略的に示す模式図である。図4は、目標輝度分布の一例を概略的に示す模式図である。図5は、周波数解析部による解析結果の一例を概略的に示す模式図である。図6は、表示画面が4×4の分割領域に仮想的に分割された液晶パネルを概略的に示す模式図である。図7(a)は、平坦性解析部により生成される輝度ヒストグラムの一例を概略的に示す模式図である。図7(b)は、輝度ヒストグラムの別の例を概略的に示す模式図である。図8は、広義単調増加関数の一例を概略的に示す模式図である。図1ないし図8を参照して、映像信号処理部120による信号処理が説明される。
【0033】
映像信号処理部120は、図2に示されるように、周波数解析部190、平坦性解析部200、輝度分布記憶部150、第1決定部160、関数記憶部170、第1補正処理部180を備える。また、映像信号処理部120は、入力側に、逆ガンマ(γ)回路181及び逆マトリクス回路182を備える。また、映像信号処理部120は、出力側に、色補正回路183、マトリクス回路184、及びガンマ(γ)回路185を備える。
【0034】
輝度分布記憶部150は、現状の輝度分布および目標輝度分布に関する情報を記憶している。現状の輝度分布とは、バックライト112を点灯し、液晶パネル111の各画素の液晶の透過率を100%に設定したときの、液晶パネル111の表示画面における輝度分布である。輝度分布記憶部150は、例えば図3に示されるように、現状の輝度分布L10として、2次元の輝度分布情報を記憶している。現状の輝度分布は、バックライト112の発光輝度特性に依存する。なお、導光板や拡散板を備えている場合には、現状の輝度分布は、バックライト112の発光輝度特性に加えて、導光板や拡散板の光特性に依存する。図3に示されるように、現状の輝度分布L10は、一般に、液晶パネル111の表示画面の中央部分において輝度が最も高く、周囲の端部に近づくほど輝度が低くなり、四隅において輝度が最も低くなっている。
【0035】
目標輝度分布は、バックライト112を点灯し、液晶パネル111の各画素の液晶の透過率を100%に設定したときの、液晶パネル111の表示画面における目標とする輝度分布である。この第1実施形態では、目標の輝度分布は、現状の輝度分布に比べて、位置変化に対する輝度変化の傾斜が緩やかで、かつ、現状の輝度分布以上の輝度値を一部または全体において有するように設定されている。この実施形態では例えば、図4(a)に示されるように、目標輝度分布L0は、位置によって変化しない平坦な輝度分布に設定されている。なお、目標輝度分布は、図4(a)に示されるように平坦な輝度分布に限られない。代替的に、例えば図4(b)に示されるように、緩やかな傾斜を持つ輝度分布を目標輝度分布L1に設定してもよい。但し、上述のように、目標輝度分布L1の傾斜は、現状の輝度分布L10に比べて緩やかになっている。輝度分布は、図3に示されるように、2次元的な分布を有するが、図4では、説明の便宜上、輝度分布は1次元的に示されている。
【0036】
この実施形態では、輝度分布記憶部150は、目標輝度分布L0と、現状の輝度分布L10とを記憶しているが、これに限られない。代替的に、輝度分布記憶部150は、目標輝度分布L0と現状の輝度分布L10との差分に関する情報を記憶してもよい。
【0037】
映像信号処理部120は、輝度分布記憶部150に記憶されている輝度分布情報と、向上補正必要量とに基づいて、目標輝度分布で液晶パネル111が照明されているときに表示される映像を実現するように、映像信号の輝度データを向上させる。かかる処理により、液晶パネル111からの発光輝度分布が目標輝度分布と近似するように、表示部110に映像を表示することができる。周波数解析部190及び平坦性解析部200は、それぞれ映像信号の特徴量を算出する。第1決定部160は、周波数解析部190及び平坦性解析部200による算出結果に基づき向上補正必要量を算出する。第1補正処理部180は、第1決定部160により算出された向上補正必要量に基づき、入力される映像信号を補正する。本実施形態において、周波数解析部190及び平坦性解析部200は特徴量算出部の一例に対応し、第1決定部160及び第1補正処理部180は輝度向上処理部の一例に対応する。また、本実施形態において、周波数解析部190は周波数算出部の一例に対応し、平坦性解析部200は平坦度算出部の一例に対応する。
【0038】
周波数解析部190は、映像信号の特徴量として、図5に示されるように、入力される映像信号に対し所定の周波数帯f1〜f2でフィルタリングして、そのフィルタリング結果に含まれる輝度成分の積算値を算出する。周波数解析部190は、液晶パネル111の表示画面を、例えば図6に示されるように、4×4の分割領域A1〜A16に仮想的に分ける。周波数解析部190は、映像信号に対するフィルタリングを、図6に示される分割領域A1〜A16ごとに行う。周波数解析部190は、分割領域A1〜A16ごとに、フィルタリング結果に含まれる輝度成分の積算値を算出する。さらに、周波数解析部190は、各分割領域A1〜A16の積算値を、それぞれ重み付けして全体を積算する。ここで、図3、図4(a)から分かるように、目標輝度分布L0と現状の輝度分布L10との差分は、液晶パネル111の四隅が最も大きい。したがって、周波数解析部190は、分割領域A1,A4,A13,A16の重み係数を最も大きく設定して積算を行う。
【0039】
周波数解析部190は、輝度分布記憶部150に記憶されている現状の輝度分布L10に基づき、低周波側の遮断周波数f1と高周波側の遮断周波数f2とを決定する。周波数解析部190は、目標輝度分布L0に対する現状の輝度分布L10の差分の傾斜(変化率)が、映像に埋もれて目立たないか否かに基づき遮断周波数f1、f2を決定する。周波数解析部190は、分割領域A1〜A16ごとに、遮断周波数f1、f2を決定する。
【0040】
周波数解析部190は、目標輝度分布L0に対する現状の輝度分布L10の差分の傾斜が緩やかであれば、低い周波数の映像信号でも埋もれて目立たないため、低周波側の遮断周波数f1を比較的小さい値に設定する。周波数解析部190は、目標輝度分布L0に対する現状の輝度分布L10の差分の傾斜が急峻であれば、低い周波数の映像信号では埋もれずに目立つため、遮断周波数f1を比較的大きい値に設定する。
【0041】
目標輝度分布L0に対する現状の輝度分布L10の差分の傾斜が緩やかな場合、チェッカー模様等のように非常に高い周波数の映像信号では、緩やかな傾斜がかえって目立つ。そこで、周波数解析部190は、上記差分の傾斜が緩やかな場合は、高周波側の遮断周波数f2を比較的小さい値に設定する。周波数解析部190は、上記差分の傾斜が急峻な場合は、高い周波数の映像信号で埋もれて目立たないため、遮断周波数f2を比較的大きい値に設定する。
【0042】
なお、本実施形態では、周波数解析部190は、図5に示される分割領域ごとに、遮断周波数f1、f2を決定しているが、これに限られない。代替的に、周波数解析部190は、分割領域A1〜A16のすべてにおいて共通の遮断周波数f1、f2を決定してもよい。また、周波数解析部190は、入力映像が表示される表示画面の水平成分または垂直成分のいずれか一方のみを用いて、周波数解析を行なってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、周波数解析部190は、一定周波数f2以上の高周波側および一定周波数f1以下の低周波側にフィルタをかけて遮断を行なっているが、これに限られない。代替的に、周波数解析部190は、必要に応じて高周波成分または低周波成分が徐々に遮断されるような傾斜を持ったフィルタを用いて遮断を行なってもよい。
【0044】
第1決定部160は、周波数解析部190による算出結果(つまりフィルタリング結果に含まれる輝度成分の積算値)が大きい場合には、目標輝度分布L0と現状の輝度分布L10(図4(a))との差分が映像に埋もれて目立たないため、輝度データの向上補正必要量が小さいと判定する。第1決定部160は、周波数解析部190による算出結果(フィルタリング結果に含まれる輝度成分の積算値)が小さい場合には、目標輝度分布L0と現状の輝度分布L10(図4(a))との差分が映像に埋もれずに目立つため、輝度の向上補正必要量が大きいと判定する。周波数解析部190による算出結果に基づき、第1決定部160は、周波数の観点からの向上補正必要量P3を0≦P3≦255の数値として算出する。
【0045】
平坦性解析部200は、図7に示されるように、入力される映像信号に基づき、輝度ヒストグラムを生成する。平坦性解析部200は、生成した輝度ヒストグラムに基づき、映像信号の表示輝度データの平坦性の確度を算出する。
【0046】
映像信号の表示輝度データが平坦な場合、現状の輝度分布L10の傾斜が目立つ。そこで、第1決定部160は、平坦性解析部200により算出された、映像信号の表示輝度データの平坦性の確度が高いときは向上補正必要量が大きいと判定し、算出された平坦性の確度が低いときは向上補正必要量が小さいと判定する。
【0047】
平坦性解析部200は、この実施形態では、例えば図7(a)に示されるように、入力信号レベル0〜255の範囲を8個に区分し、各区分内のレベルを持つ画素数を区分ごとに積算する。平坦性解析部200は、図7(a)に示されるように、例えば最多の積算値MAX1が所定の閾値THを超えている(つまりMAX1>TH)ときに、その超えた差分(MAX1−TH)が大きいほど、平坦性の確度が高いと判定する。平坦性解析部200は、差分(MAX1−TH)に基づき、平坦性の確度P10を0≦P10≦255の値として算出する。第1決定部160は、平坦性解析部200により算出された平坦性の確度に基づき、平坦性の観点からの向上補正必要量P4を0≦P4≦255の数値として算出する。
【0048】
平坦性解析部200は、この実施形態では、最多の積算値MAX1のみに基づき、平坦性の確度を算出しているが、これに限られない。代替的に、平坦性解析部200は、最多の積算値MAX1と、2番目に多い積算値MAX2とを用いて平坦性の確度を算出してもよい。例えば、平坦性解析部200は、(MAX1+MAX2)>THのときに、差分(MAX1+MAX2−TH)に基づき、平坦性の確度を算出してもよい。さらに代替的に、平坦性解析部200は、(MAX1×MAX2)>THのときに、差分(MAX1×MAX2−TH)に基づき、平坦性の確度を算出してもよい。さらに代替的に、平坦性解析部200は、2番目に多い積算値MAX2のみを用いて、平坦性の確度を算出してもよい。例えば平坦性解析部200は、図7(b)に示されるように、MAX2>THのときに、その超えた差分(MAX2−TH)に基づき、平坦性の確度を算出してもよい。なお、これらの形態では、2番目に多い積算値MAX2は、最多の積算値MAX1から3区分以上離れているものを使用する。
【0049】
また、平坦性解析部200は、図7(a)に示されるように、入力信号レベルを8個に区分しているが、これに限られない。代替的に、平坦性解析部200は、例えば入力信号レベルを16個に区分してもよい。
【0050】
関数記憶部170は、図8に示される広義単調増加関数を記憶している。この広義単調増加関数は、y=x以上の関数であって、入力値が増加すると、出力値が単調に増加するか又は同一値をとる関数である。この広義単調増加関数は、いわゆるガンマ補正カーブに類似する形状を有する。この広義単調増加関数は、複数のパラメータαに対応する複数の関数f(α)を含む。図8では、説明の便宜上、3個の関数のみが示されている。この広義単調増加関数に含まれる複数の関数は、パラメータが決まると、一意に決まる。複数の関数は、パラメータが増加すると、関数値が増加するか又は同一値をとるように設定されている。つまり、α1<α2<α3とすると、入力値全体に亘って、f(α1)≦f(α2)≦f(α3)となる。
【0051】
第1決定部160は、周波数解析部190及び平坦性解析部200の両方の解析結果を考慮した向上補正必要量P5を、
P5=P3×P4/256
によって算出する。つまり、第1決定部160は、0≦P5≦255の数値として、向上補正必要量P5を定量的に求める。
【0052】
第1決定部160は、目標輝度分布L0と現状の輝度分布L10との各画素における差分と、算出した向上補正必要量P5とに基づき、関数記憶部170に記憶されている広義単調増加関数のパラメータαを画素ごとに決定し、第1補正処理部180に出力する。逆ガンマ回路181は、入力されたR,G,Bの映像信号のガンマ(γ)特性を1.0に線形化する。逆マトリクス回路182は、逆ガンマ回路181の出力信号をY,Cb,Cr信号に変換する。第1補正処理部180は、第1決定部160から出力されるパラメータαに対応する関数f(α)を用いて、画素ごとに、入力されたY(輝度)データを向上させる。色補正回路183は、第1補正処理部180におけるYデータの(出力/入力)の比をCb,Crデータに乗算して色バランスを保つ。マトリクス回路184は、色補正回路183により補正されたY,Cb,CrデータをR,G,B信号に変換する。ガンマ回路185は、マトリクス回路184により変換されたR、G,B信号のガンマ(γ)特性を0.45にして、液晶駆動部122に出力する。
【0053】
以上説明されたように、この第1実施形態では、周波数解析部190は、入力される映像信号の周波数を解析し、平坦性解析部200は、入力される映像信号の平坦性を解析し、第1決定部160は、これらの解析結果に基づき、輝度データの向上補正必要量を定量的に算出する。したがって、第1実施形態では、副作用を生じさせない範囲で輝度を向上させる補正を行なうことで、液晶パネル111の発光輝度分布を現状の輝度分布から目標とする輝度分布に近似させることにより、高画質の映像を表示させることができる。
【0054】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置に設けられる映像信号処理部の構成を示すブロック図である。図10は、目標輝度分布の一例を概略的に示す模式図である。第2実施形態では、第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。
【0055】
第2実施形態の液晶表示装置は、第1実施形態の映像信号処理部120に代えて、映像信号処理部120Aを備える。映像信号処理部120Aは、第1実施形態の映像信号処理部120において、輝度分布記憶部150に代えて輝度分布記憶部150Aを備え、第1決定部160に代えて第2決定部210を備え、第1補正処理部180に代えて第2補正処理部220を備える。また、映像信号処理部120Aは、第1実施形態の映像信号処理部120が備える関数記憶部170を備えていない。
【0056】
輝度分布記憶部150Aは、現状の輝度分布および目標輝度分布に関する情報を記憶している。輝度分布記憶部150Aが記憶している現状の輝度分布は、第1実施形態の輝度分布記憶部150が記憶している現状の輝度分布と同様である。すなわち、現状の輝度分布とは、バックライト112を点灯し、液晶パネル111の各画素の液晶の透過率を100%に設定したときの、液晶パネル111の表示画面における輝度分布である。輝度分布記憶部150Aは、例えば図3に示されるように、現状の輝度分布L10として、2次元の輝度分布情報を記憶している。現状の輝度分布は、バックライト112の発光輝度特性に依存する。なお、導光板や拡散板を備えている場合には、現状の輝度分布は、バックライト112の発光輝度特性に加えて、導光板や拡散板の光特性に依存する。図3に示されるように、現状の輝度分布L10は、一般に、液晶パネル111の表示画面の中央部分において輝度が最も高く、周囲の端部に近づくほど輝度が低くなり、四隅において輝度が最も低くなっている。
【0057】
目標輝度分布は、バックライト112を点灯し、液晶パネル111の各画素の液晶の透過率を100%に設定したときの、液晶パネル111の表示画面における目標とする輝度分布である。この第2実施形態では、目標の輝度分布は、現状の輝度分布に比べて、位置変化に対する輝度変化の傾斜が緩やかで、かつ、現状の輝度分布以下の輝度値を一部または全体において有するように設定されている。この第2実施形態では例えば、図10(a)に示されるように、目標輝度分布L4は、位置によって変化しない平坦な輝度分布に設定されている。なお、目標輝度分布は、図10(a)に示されるように平坦な輝度分布に限られない。代替的に、例えば図10(b)に示されるように、緩やかな傾斜を持つ輝度分布を目標輝度分布L1に設定してもよい。但し、上述のように、目標輝度分布L1の傾斜は、現状の輝度分布L10に比べて緩やかになっている。輝度分布は、図3に示されるように、2次元的な分布を有するが、図10(a)、図10(b)では、説明の便宜上、輝度分布は1次元的に示されている。
【0058】
この第2実施形態では、輝度分布記憶部150Aは、目標輝度分布L4と、現状の輝度分布L10とを記憶しているが、これに限られない。代替的に、輝度分布記憶部150Aは、目標輝度分布L4と現状の輝度分布L10との差分に関する情報を記憶してもよい。
【0059】
映像信号処理部120Aは、輝度分布記憶部150Aに記憶されている輝度分布情報と、抑制補正必要量とに基づいて、目標輝度分布で液晶パネル111が照明されているときに表示される映像を実現するように、映像信号の輝度データを抑制する。かかる処理により、液晶パネル111からの発光輝度分布が目標輝度分布と近似するように、表示部110に映像を表示することができる。第2決定部210は、周波数解析部190及び平坦性解析部200による算出結果を用いて、輝度を抑制補正するための輝度抑制パラメータを決定する。第2補正処理部220は、第2決定部210により算出された輝度抑制パラメータに基づき、画素ごとに、入力されたY(輝度)データを抑制する。本実施形態において、周波数解析部190及び平坦性解析部200は特徴量算出部の一例に対応し、第2決定部210及び第2補正処理部220は輝度抑制処理部の一例に対応する。また、本実施形態において、周波数解析部190は周波数算出部の一例に対応し、平坦性解析部200は平坦度算出部の一例に対応する。
【0060】
第2決定部210は、上記第1実施形態における第1決定部160と同様に、周波数解析部190による解析結果を用いる。すなわち、第2決定部210は、周波数解析部190による算出結果(フィルタリング結果に含まれる輝度成分の積算値)が小さい場合には、目標輝度分布L4と現状の輝度分布L10(図10(a))との差分が映像に埋もれずに目立つため、輝度の抑制補正必要量が大きいと判定する。周波数解析部190による算出結果に基づき、第2決定部210は、周波数の観点からの抑制補正必要量P21を0≦P21≦255の数値として算出する。
【0061】
第2決定部210は、上記第1実施形態における第1決定部160と同様に、平坦性解析部200による解析結果を用いる。すなわち、第2決定部210は、平坦性解析部200により算出された、映像信号の表示輝度データの平坦性の確度が高いときは、目標輝度分布L4と現状の輝度分布L10(図10(a))との差分が目立つため、抑制補正必要量が大きいと判定する。一方、平坦性解析部200により算出された平坦性の確度が低いときは、目標輝度分布L4と現状の輝度分布L10(図10(a))との差分が目立つため、第2決定部210は、抑制補正必要量が小さいと判定する。第2決定部210は、平坦性解析部200により算出された平坦性の確度に基づき、平坦性の確度の観点からの抑制補正必要量P22を0≦P22≦255の数値として算出する。
【0062】
第2決定部210は、抑制補正必要量P21と抑制補正必要量P22とを合わせた抑制補正量P23を、
P23=P21×P22/256
によって算出する。つまり、第2決定部210は、0≦P23≦255の数値として、抑制補正量P23を定量的に求める。さらに、第2決定部210は、抑制補正量P23を、最大値を1として正規化し、輝度抑制パラメータβを0≦β≦1として決定する。
【0063】
第2補正処理部220は、第2決定部210により決定された輝度抑制パラメータβに基づき、入力されるY(輝度)データに対して、目標輝度分布に比べて現状の輝度分布における輝度が超えている位置に対応する画素の表示輝度データを抑制補正する。図10(a)を用いて、第2補正処理部220による処理の一例が説明される。図10(a)において、現状の輝度分布L10の輝度値をBLとし、目標輝度分布L4の輝度値をM1とする。
【0064】
第2補正処理部220に入力されるY(輝度)データをYbf、輝度抑制後の補正信号をYdnとすると、
Ydn=Ybf×{1−(1−M1/BL)×β}・・・(式1)
で表される。例えば、M1/BL=0.7、β=0.5のときYdn=Ybf×0.85となる。つまり、目標輝度分布L4に等しくなるようにするためには、M1/BL=0.7まで抑制する必要がある。しかし、βによって抑制の度合いを制御している。
【0065】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に色補正回路183を有している。色補正回路183は、第2補正処理部220の入力映像輝度を入力、第2補正処理部220の出力映像輝度を出力として入出力ゲインを算出し、Cb,Crデータに対して、同ゲインを乗算する。
【0066】
以上のように、この第2実施形態では、第2決定部210は、周波数解析部190及び平坦性解析部200による解析結果を用いて、抑制補正必要量を算出し、抑制補正必要量を考慮して輝度を抑制補正している。すなわち、副作用を生じさせない範囲で輝度を抑制させる補正を行なうことで、液晶パネル111の発光輝度分布を現状の輝度分布から目標とする輝度分布に近似させることにより、輝度の過度な低下を防止して、高画質の映像を表示させることができる。
【0067】
また、この第2実施形態では、第2決定部210は、輝度抑制パラメータβを全画面で同一値に設定している。これによって、分割領域ごとに設定することにより境界が視認されるのを防止している。
【0068】
(その他)
上記第1及び第2実施形態では、入力される映像信号をY,Cb,Crデータに変換している。しかし、映像信号は必ずしもY,Cb,Crデータに変換する必要はなく、逆マトリクス回路182及びマトリクス回路184を省略しても良い。このとき、代替的に、Y(輝度)データに代えて、画素毎のR,G,B信号の最大値であるV(明るさ)データを用いても良い。この場合、色補正回路183には、Yデータに代えてVデータ(=R,G,Bのうちいずれか)が入力され、Cb,Crデータに代えて、R,G,Bデータのうち最大値ではない2つのデータが入力される。この色補正回路183から出力されるR,G,B信号がガンマ回路185において最終的な補正信号とされて、液晶駆動部122に入力される。
【0069】
また、上記各実施形態では、バックライトを備えた液晶表示装置が説明されているが、本発明はこれに限られない。代替的に、プラズマディスプレイパネルを備えるプラズマディスプレイ装置や有機ELパネルを備える有機EL表示装置等の、いわゆる自発光の表示装置を採用してもよい。プラズマディスプレイ装置や有機EL表示装置における自発光素子のばらつきに対しても、上記各実施形態のように映像信号を補正することにより、画質を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
光を出射する1または複数の光源を有する発光部を含み、映像信号に対応する映像を表示する表示部を備えた表示装置において、入力される映像信号の特徴量に応じて輝度の補正を適切に行うことにより、表示される映像品質の低下を防止することができる表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0071】
110 表示部
111 液晶パネル
112 バックライト
120,120A 映像信号処理部
150,150A 輝度分布記憶部
160 第1決定部
170 関数記憶部
180 第1補正処理部
190 周波数解析部
200 平坦性解析部
210 第2決定部
220 第2補正処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する1または複数の光源を有する発光部を含み、前記発光部の前記1または複数の光源から出射される光を用いて、複数の画素ごとに設定された、表示輝度データを含む映像信号に対応する映像を表示する表示部と、
前記表示部の発光輝度分布と所定の目標輝度分布とを表す輝度分布情報が記憶されている輝度分布記憶部と、
前記複数の画素の前記映像信号から、前記画素の表示輝度の抑制補正の必要度合いを表す抑制補正必要量を判定するための前記映像の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記輝度分布記憶部に記憶されている前記輝度分布情報と、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量とに基づき、前記画素の表示輝度データを抑制補正する輝度抑制処理部と、
を備え、
前記目標輝度分布は、前記発光部の発光輝度分布より低い輝度値を有する領域を含むように設定され、
前記輝度抑制処理部は、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づき前記各画素の前記表示輝度の抑制補正必要量を判定し、前記表示部の前記発光輝度分布が前記目標輝度分布より高い高輝度領域に対応する前記画素の表示輝度データを前記抑制補正必要量に基づき抑制補正することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記特徴量算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データが所定の周波数範囲の輝度成分を積算した積算値を前記特徴量として算出する周波数算出部を含み、
前記輝度抑制処理部は、前記周波数算出部により算出された前記積算値が大きくなるほど前記抑制補正必要量が小さくなると判定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記周波数算出部は、前記表示部の前記発光輝度分布と前記目標輝度分布との差分の変化度合いに基づき下限値及び上限値を設定し、前記下限値から前記上限値までの周波数範囲で前記映像信号の前記表示輝度データをフィルタリングして、フィルタリング後に含まれる輝度成分を積算した積算値を前記特徴量として算出することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記特徴量算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データの平坦性の確度を前記特徴量として算出する平坦度算出部を含み、
前記輝度抑制処理部は、前記平坦度算出部により算出された前記平坦性の確度が大きくなるほど前記抑制補正必要量が大きくなると判定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記平坦度算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データに基づき、3個以上の区分範囲ごとの画素数を表す輝度ヒストグラムを算出し、前記各区分範囲の画素数のうちで最も多い画素数に基づき、前記平坦性の確度を算出することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
光を出射する1または複数の光源を有する発光部を含み、前記発光部の前記1または複数の光源から出射される光を用いて、複数の画素ごとに設定された、表示輝度データを含む映像信号に対応する映像を表示する表示部と、
前記表示部の発光輝度分布と所望の目標輝度分布とを表す輝度分布情報が記憶されている輝度分布記憶部と、
前記複数の画素の前記映像信号から、前記画素の表示輝度の向上補正の必要度合いを表す向上補正必要量を判定するための前記映像の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記輝度分布記憶部に記憶されている前記輝度分布情報と、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量とに基づき、前記画素の表示輝度データを向上補正する輝度向上処理部と、
を備え、
前記目標輝度分布は、前記発光部の発光輝度分布より高い輝度値を有する領域を含むように設定され、
前記輝度向上処理部は、前記特徴量算出部により算出された前記特徴量に基づき前記各画素の前記表示輝度の前記向上補正必要量を判定し、前記表示部の前記発光輝度分布が前記目標輝度分布より低い低輝度領域に対応する前記画素の表示輝度データを、前記向上補正必要量に基づき向上補正することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記特徴量算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データが所定の周波数範囲の輝度成分を積算した積算値を前記特徴量として算出する周波数算出部を含み、
前記輝度向上処理部は、前記周波数算出部により算出された前記積算値が大きくなるほど前記向上補正必要量が小さくなると判定することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記周波数算出部は、前記表示部の前記発光輝度分布と前記目標輝度分布との差分の変化度合いに基づき下限値及び上限値を設定し、前記下限値から前記上限値までの周波数範囲で前記映像信号の前記表示輝度データをフィルタリングして、フィルタリング後に含まれる輝度成分を積算した積算値を前記特徴量として算出することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記特徴量算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データの平坦性の確度を前記特徴量として算出する平坦度算出部を含み、
前記輝度向上処理部は、前記平坦度算出部により算出された前記平坦性の確度が大きくなるほど前記向上補正必要量が大きくなると判定することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記平坦度算出部は、前記映像信号の前記表示輝度データに基づき、3個以上の区分範囲ごとの画素数を表す輝度ヒストグラムを算出し、前記各区分範囲の画素数のうちで最も多い画素数に基づき、前記平坦性の確度を算出することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−247751(P2012−247751A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121861(P2011−121861)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】