説明

表示装置

【課題】複数の表示ユニットを配列した表示装置において、表示ユニットの取り付け、取り出し作業を簡単に行うことができるようにする。
【解決手段】表示装置は、映像を表示する表示面を有する複数の表示ユニット(200)と、これら複数の表示ユニット(200)を、それぞれの表示面が基準面上に整列するように収納する架台(100)とを備える。架台(100)は、表示ユニット(200)を、表示面が基準面上に位置するように収納する収納位置と、当該収納位置から前方に突出する突出位置との間で案内する案内部(3,4)と、表示ユニット(200)の背面側に設けられ、表示ユニット(200)を、収納位置から突出位置に向けて押し出すカム機構(7,8)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像を表示する複数の表示ユニットを、それぞれの表示面が同一面上に整列するように配置した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の表示ユニットを縦横に組み合わせた大画面表示装置が知られている。このような表示装置では、隣接する表示ユニットの継ぎ目(隙間)が表示画面の目地として表れるため、できるだけ隙間なく表示ユニットを配列することが必要である。
【0003】
一方、表示装置を構成する表示ユニットのメンテナンス等の際には、表示装置から特定の表示ユニットを取り出す必要がある。そこで、例えば特許文献1には、表示ユニットを表示装置のフレームに対して固定し、また固定を解除する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−233832号公報(段落0028,0031および図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高品位に大画面を表示するためには、表示ユニットをより隙間なく密に配列する必要がある。そのため、表示装置からの表示ユニットの取り出しや、表示ユニットからの配線の取り外しが難しくなるという問題がある。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、表示ユニットの収納や取り出し作業の作業性を向上することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、映像を表示する表示面を有する複数の表示ユニットと、複数の表示ユニットを、それぞれの表示面が基準面上に整列するように収納する架台とを備える。架台は、表示ユニットを、表示面が基準面上に位置するように収納する収納位置と、当該収納位置から前方に突出する突出位置との間で案内する案内部と、表示ユニットの背面側に設けられ、表示ユニットを、収納位置から突出位置に向けて押し出すカム機構とを有する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、表示ユニットの背面側に設けられたカム機構により、表示ユニットを収納位置から突出位置に向けて押し出すことができるため、複数の表示ユニットを密に配列した場合であっても、表示ユニットの収納作業や取り出し作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1における表示装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1における表示装置の架台の構成を示す分解斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1における表示装置のベース、およびこれに取り付けられた各部材の構成を示す分解斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1における表示装置の表示ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態1における表示ユニットの収納動作の第1の状態を示す側面図である。
【図6】この発明の実施の形態1における表示ユニットの収納動作の第2の状態を示す側面図である。
【図7】この発明の実施の形態1における表示ユニットの収納動作の第3の状態を示す側面図である。
【図8】この発明の実施の形態1における表示ユニットの収納動作が完了した第4の状態を示す側面図である。
【図9】この発明の実施の形態1における表示ユニットの収納動作が完了した状態を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態1における表示装置の引き出し動作が完了した状態を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態2における表示装置のベース、およびこれに取り付けられる各部材の構成を示す分解斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態2における表示装置の表示ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態2における表示装置のベース、およびこれに取り付けられる各部材の構成を示す斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態2における表示ユニットの収納動作の第1の状態を示す側面図(A)、および第1の状態におけるスライドカムとローラとの関係を示す図(B)である。
【図15】この発明の実施の形態2における表示ユニットの収納動作の第2の状態を示す側面図(A)、および第2の状態におけるスライドカムとローラとの関係を示す図(B)である。
【図16】この発明の実施の形態2における表示ユニットの収納動作の第3の状態を示す側面図(A)、および第3の状態におけるスライドカムとローラとの関係を示す図(B)である。
【図17】この発明の実施の形態2における表示ユニットの収納動作の第4の状態を示す側面図(A)、および第4の状態におけるスライドカムとローラとの関係を示す図(B)である。
【図18】この発明の実施の形態2における表示ユニットの収納動作が完了した第5の状態を示す側面図(A)、および第5の状態におけるスライドカムとローラとの関係を示す図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における表示装置10の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、表示装置10は、映像を表示する表示パネル20を有する表示ユニット200を、それぞれの表示パネル20の表示面が同一面上に整列するように縦横(鉛直方向および水平方向)に配列し、架台100に取り付けたものである。
【0011】
図1において、表示パネル20の鉛直上方を+Y方向とし、下方を−Y方向とする。+Y方向を向いて時計回り方向をβ方向とする。また、表示パネル20に向かって左方向を+X方向とし、右方向を−X方向とする。+X方向を向いて時計回り方向をα方向とする。また、X方向とY方向に直交する方向であって、表示パネル20から表示装置10の背面側(裏面側)に向かう方向を+Z方向(後方)とし、裏面側から表示パネル20に向かう方向を−Z方向(前方)とする。+Z方向を向いて時計回り方向をγ方向とする。
【0012】
ここでは、各表示ユニット200の表示パネル20の表示面が整列される面(XY面)を、基準面と称する。なお、図1に示した例では、X方向に5つ、Y方向に4つの合計20の表示ユニット200が配列されているが、このような構成に限定されるものではない。
【0013】
図2は、表示装置10の架台100の構成を示す分解斜視図である。図2には、架台100のうち、2つの表示ユニット200を保持する部分を示す。架台100は、各表示ユニット200(図1)のX方向両側に沿ってY方向に延在する一対のフレーム1を有する。また、これらフレーム1の−Z側(前方)には、各表示ユニット200(図1)が取り付けられるベース2が取り付けられている。
【0014】
フレーム1は、コの字状の断面を有する鉄骨で形成されている。フレーム1のコの字の底面をなす前面板1aには、表示ユニット200の後述する位置決めピン23a(図4)と嵌合して、表示ユニット200を位置決めする位置決め穴1bが設けられている。また、フレーム1の前面板1aには、位置決め穴1bと同じ高さで且つ−X方向に隣接する位置に、X方向に長い長穴1cが設けられている。なお、長穴1cは、図では略円形として描かれている。
【0015】
これら一対のフレーム1は、各ベース2のY方向両端(上下端)に対応する位置で、X方向に延在する横フレーム14によって互いに連結されている。フレーム14は、図示しないねじにより各フレーム1に固定されており、一対のフレーム1の間隔を所定の間隔に保持している。
【0016】
ベース2は、それぞれ一つの表示ユニット200を支持するものである。ベース2は、板金により形成され、X方向両側を−Z方向(前方)に折り曲げて略コの字状にしたものである。より具体的には、ベース2は、背面板2fと、その両側に形成された一対の側面板2aとを有している。各側面板2aには、表示ユニット200を案内する案内溝3,4が設けられている。
【0017】
案内溝3,4は、それぞれ、YZ面において円弧を描くように形成された円弧状部分3a,4aと、これら円弧状部分3a,4aの終端から+Z方向に直線状に延在する直線状部分3b,4bとを有している。円弧状部分3a,4aは、いずれも、側面板2aの−Z方向の端部(前端)から+Z方向に進むほど高さが低くなるように円弧を描いて延在しており、円弧状部分3aの方が円弧状部分4aよりも大きな曲率半径を有している。また、円弧状部分3aの前端には、凹部3cが形成されている。
【0018】
また、一対の側面板2aの−Z側の端部(前端)には、X方向外側に延伸するフランジ部2bが形成されている。各フランジ部2bには、ねじを貫通させる貫通穴2cが設けられており、フレーム1に形成されたねじ穴1dにねじ止めされている。また、フランジ部2bには、表示ユニット200の2つの位置決めピン23aおよび座面ピン23b(後述)を貫通させる貫通穴2d,2eが設けられている。貫通孔2d,2eは、位置決めピン23aおよび座面ピン23bと接触しないように十分大きく形成されている。
【0019】
図3は、ベース2、およびベース2に取り付けられる各部材の構成を示す分解斜視図である。ベース2の背面板2fの中央部には、2つのポスト5が圧入されている。また、ベース2の背面板2fの+Y方向端部(上端)近傍には、ポスト6が圧入されている。ポスト5,6の外周面には、それぞれ、図示しない切り欠き溝が形成されている。
【0020】
ベース2の−Z方向の面(前面)には、カム機構を構成するスライドカム(スライド体)7が設けられている。スライドカム7は、板金で形成され、背面板7fと、そのX方向両端に形成された一対の側面板7hとを有している。各側面板7hの−Z側(前側)の端面には、カム斜面7aが形成されている。また、背面板7fの中央部には、+Y方向(上方)に延在する延在部7jが形成されている。
【0021】
スライドカム7の背面板7fの中央部には、Y方向に延在する2つの長穴7cが形成されている。2つの長穴7cは、Y方向の位置が互いにずれるように、X方向に並んで配置されている。これら長穴7cは、ベース2の2つのポスト5の切り欠き溝にそれぞれ係合している。これにより、スライドカム7が、Y方向に移動可能に且つ−Z方向に抜けないように、ベース2に取り付けられる。また、長穴7cの−Y方向端部(下端)には、ポスト5の外径よりも大きい端部穴7dが形成されている。スライドカム7をベース2に組み付ける際には、ポスト5を端部穴7dに挿通してから、長穴7cに係合させる。
【0022】
また、スライドカム7の背面板7fの四隅には、+Z方向に突出する突部7bが形成されている。スライドカム7をベース2に取り付けた状態で、突部7bはベース2の背面板2fに当接する。また、スライドカム7の延在部7jの先端部には、突部7eが曲げにより形成されている。
【0023】
ベース2の背面板2fの−Z側の面(前面)には、操作部材としてのレバー8が、上記のポスト6に回転可能に取り付けられている。レバー8は、板金で形成されており、略半円形を有し、その中心を挟んで180度の2箇所に突部(曲げ起こし部)8c,8eを有している。また、レバー8の半円形の外周に沿った3箇所に、+Z方向(後方)に突出する突部8aが形成されている。レバー8の中心には、貫通穴8bが形成されており、ベース2のポスト6と係合している。レバー8の貫通穴8bをポスト6に係合させ、eリング9をポスト6の図示しない切り欠き溝部に嵌めることにより、レバー8がZ軸回りに回転可能に、且つ−Z方向に抜けないようにベース2に取り付けられる。
【0024】
レバー8の−X側(右側)の突部8cには穴部8dが設けられており、この穴部8dにはワイヤ13(後述)が貫通する。また、レバー8の+X側(左側)の突部8eには長穴8fが形成されており、この長穴8fは、スライドカムの突部7eと係合する。レバー8がポスト6を中心として回転すると、長穴8fと突部7eとの係合により、スライドカム7がY方向に移動する。
【0025】
ベース2の背面板2fの−Z側の面(前面)には、レバー8から垂れさがるワイヤ13(図9)をガイドするワイヤガイド11が設けられている。このワイヤガイド11は、ベース2においてスライドカム7よりも−X側(図10参照)に配置される。ワイヤガイド11は、複数の表示ユニット200に対応するワイヤ13同士の絡まりを防止するものである。
【0026】
また、ベース2の背面板2fの前面には、一対のマグネットクランプ15が取り付けられている。マグネットクランプ15は、後述する表示ユニット200の背面板金を吸引して、表示ユニット200を後方(+Z方向)に付勢するマグネットを保持している。ベース2の両側面板2aの内面には、案内溝4に沿うように、ラック12がねじ穴12iにねじ止めされている。ラック12は、案内溝4の円弧状部分4aから直線状部分4bに沿ったギア部を有し、後述する歯車31と噛み合うことにより、表示ユニット200を左右で同期させて着脱させるものである。
【0027】
図4は、表示ユニット200の構成を示す分解斜視図である。図4に示すように、表示ユニット200は、表示パネル20と、この表示パネル20を支持する筺体22を有している。表示パネル20は、例えば液晶パネルやマイクロミラーデバイスを用いた表示デバイスであり、約3mmの厚さを有し、表面がガラスで構成されている。筺体22の前面には、制御基板21が設けられており、表示パネル20と接続されている。筺体22は、表示パネル20よりも−Y方向(下方)に突出しており、作業者が表示ユニット200を床などに仮置きした際に、表示パネル20が床に接触しないようになっている。筐体22の+Y側の面(上面)には、取っ手24が板金の曲げ加工により形成されている。
【0028】
筺体22の+Z側の面(背面)には、背面カバー25が取り付けられており、この背面カバー25の裏面には多数の穴25aが設けられている。背面カバー25の上部には、配線(電源線、信号線等)を接続するコネクタ26が設けられている。筺体22の背面において、背面カバー25のX方向(左右)両側には、位置決めピン23aが一本ずつ設けられている。また、筺体22の背面の下端近傍には、左右に一本ずつ座面ピン23bが設けられている。
【0029】
筐体22の+Z側(背面側)には、シャーシ27が取り付けられる。シャーシ27は、板金で形成され、そのX方向両側に2つずつ、筺体22に向けて(−Z方向に)突出する合計4つの脚部27cを有している。各脚部27cの先端には、取り付け穴27aが形成されている。また、4つの脚部27cのうち、表示パネル20の座面ピン23bに対向する脚部27cには、座面ピン23bに嵌合する穴27dが形成されている。シャーシ27の4つの脚部27cの先端を筺体22の背面に当接させ、穴27dを座面ピン23bに嵌合させると共に、4つの取り付け穴27aを貫通させたねじを筺体22の背面のねじ穴に螺合させることにより、シャーシ27が筺体22に取り付けられる。なお、上記の背面カバー25は、筺体22とシャーシ27との間に位置する。
【0030】
シャーシ27は、そのX方向両側に一対の側面板27eを有しており、両側面板27eの+Z側(背面側)には、互いに内側に折り曲げられた折り曲げ部27bが形成されている。折り曲げ部27bは、表示ユニット200が架台100に収納された状態で、マグネットクランプ15と対向する位置に配置されている。
【0031】
シャーシ27は、そのZ方向両端(上端および下端)の近傍に、X方向を軸方向とする2本のシャフト28a,28bを有している。上側のシャフト28aの両端には、被案内部材としての溝車29(第1の溝車)が取り付けられている。この溝車29は、図示しないeリングにより抜け止め(X方向の位置規制)が施され、シャフト28aを中心として回転可能に支持されている。なお、溝車29は、その外周面に、案内溝3の幅よりも僅かに広い溝を有する円板状またはローラ状の部材である。
【0032】
また、シャフト28aの溝車29よりも内側には、カムフォロアとしての溝車30(第2の溝車)が取り付けられている。この溝車30は、それぞれの両端に設けられたeリングによりX方向の移動が規制され、シャフト28aを中心として回転可能に支持されている。
【0033】
下側のシャフト28bの両端には、被案内部材としての歯車31が取り付けられている。歯車31は、図示しないeリングによりX方向の移動が規制され、シャフト28bを中心として回転可能に支持されている。
【0034】
次に、表示ユニット200を架台100に収納する動作(収納動作)について説明する。図5〜図8は、表示ユニット200の収納動作における各状態を示す側面図である。図5は、表示ユニット200の歯車31が、架台100のベース2の案内溝4と係合した第1の状態を示す。図6は、表示ユニット200の溝車29が、ベース2の案内溝3と係合し、かつ、歯車31がラック12と噛み合った第2の状態を示す。図7は、表示ユニット200の溝車29および歯車31が、ベース2の案内溝3,4の円弧状部分3a,4aの終端まで移動した第3の状態を示す。図8は、表示ユニット200の収納が完了した第4の状態を示す。各図では、上段の架台100には表示ユニット200が既に収納されており、下段の架台100に表示ユニット200が収納される。動作を分かり易くするため、陰線を破線で示している。
【0035】
まず、図5に示すように、作業者は、表示ユニット200の歯車31をベース2の案内溝4に係合させるように、表示ユニット200を架台100内に挿入する。歯車31は案内溝4に沿って移動し、これにより表示ユニット200も案内溝4に沿って移動する。表示ユニット200の歯車31が案内溝4の途中まで進むと、案内溝4に沿って配設されたラック12と噛み合い、図5に示す第1の状態となる。
【0036】
この第1の状態では、表示ユニット200の収納動作の途中で歯車31がラック12と噛み合うため、左右の歯車31が同期して案内溝4に沿って移動する。そのため、表示ユニット200のY軸回りの傾きを抑制することができ、引っ掛かりがなくスムーズな収納を行うことができる。
【0037】
第1の状態(図5)から、作業者が、表示ユニット200をさらに架台100内に挿入し、表示ユニット200の溝車29をベース2の案内溝3に嵌合させると、図6に示す第2の状態となる。案内溝3の前端には凹部3cが形成されており、この凹部3cに表示ユニット200の溝車29が保持される。
【0038】
表示ユニット200の歯車31がラック12に噛み合い、溝車29が凹部3cに保持された状態で、表示ユニット200は、図6に示すように表示面が傾いた姿勢で安定に保持される。この状態で、表示ユニット200の背面カバー25上に設けられたコネクタ26は上方に露出しているため、作業者は、コネクタ26に対する配線の接続や取り外しを容易に行うことができる。
【0039】
第2の状態(図6)から、さらに表示ユニット200を案内溝3,4に沿って挿入すると、溝車29および歯車31が、案内溝3,4の円弧状部分3a,4aの終端に達し、図7に示す第3の状態となる。案内溝3,4は、第2の状態(図6)から第3の状態(図7)までの表示ユニット200の移動過程において、表示ユニット200の重心位置32の高さa(Y方向位置)が変化せずに、重心位置32が+Z方向に移動するような形状を有している。そのため、収納動作および引き出し動作において、作業者が表示ユニット200の上げ降ろしを行う必要がなく、ほぼ一定の力で表示ユニット200を収納し、また引き出すことができる。
【0040】
第3の状態(図7)から、表示ユニット200を+Z方向に押すと、図8に示す収納完了状態となる。第3の状態(図7)から第4の状態(図8)までは、溝車29および歯車31が、案内溝3,4の円弧状部分3a,4aの終端から続く直線状部分3b,4bに沿って移動し、これにより表示ユニット200は+Z方向に直進移動する。
【0041】
この第4の状態では、表示ユニット200の左右一対の位置決めピン23aが、フレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1c(図2)とそれぞれ嵌合し、これにより、表示ユニット200のX方向およびY方向の位置決めがなされる。また、溝車29および歯車31は、それぞれ案内溝3,4の内面から僅かに離間するように構成されている。そのため、表示ユニット200のX方向およびY方向の位置決めは、表示ユニット200の位置決めピン23aと、フレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1cとによってなされる。
【0042】
表示ユニット200のY方向の配列精度は、フレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1cの穴径および配設ピッチの精度で管理することができる。また、表示ユニット200のX方向の配列精度は、横フレーム14の長さによりフレーム1の間隔を決めることで管理することができる。そのため、表示ユニット200を高い位置決め精度で収納することができる。このように表示ユニット200の位置決め精度を向上することにより、複数の表示ユニット200を配列して大画面表示装置(図1)を構成する際に、隣接する表示ユニット200との隙間を少なくすることができ、これ隙間による画面上の目地を目立たなくすることができる。また、フレーム1は、それ自体は高い部品精度が要求されないため、比較的低コストで作成することができる。
【0043】
表示ユニット200の収納が完了した第4の状態(図8)では、ベース2に取り付けられたマグネットクランプ15と、表示ユニット200の背面側のシャーシ27の折り曲げ部27bとが対向する。マグネットクランプ15には図示しないマグネットが装着されており、このマグネットの吸引力がシャーシの折り曲げ部27bに作用して、表示ユニット200を+Z方向に付勢する。表示ユニット200が+Z方向に付勢されることで、表示ユニット200(筺体22)の位置決めピン23aの座面(フランジ面)および座面ピン23bの先端面がフレーム1の前面板1aに押し付けられた状態で、表示ユニット200のZ方向の位置決めがなされる。以上で、表示ユニット200の架台100への収納が完了する。
【0044】
次に、図9および図10を参照して、表示ユニット200を架台100から取り出す(引き出す)方法について説明する。図9は、表示ユニット200が架台100に収納された収納状態を示す斜視図である。図10は、スライドカム7により表示ユニット200を引き出した状態を示す斜視図である。図9および図10では、動作をわかりやすく示すため、表示パネル20、制御基板21、筐体22および背面カバー25を省略している。
【0045】
表示ユニット200を取り出す際には、図9に示すワイヤ13を矢印A方向(−Y方向)に引き下げる。ワイヤ13は、作業者が操作できるように、表示装置10(図1)の背面側あるいは底部に垂れ下がっているものとする。なお、ワイヤ13は、必要に応じて、例えば表示装置10の側面から垂れ下がるようにしてもよい。図9に示すように、ワイヤ13はレバー8の穴部8dに取り付けられているため、ワイヤ13を矢印A方向に引き下げると、レバー8は、貫通穴8b(ポスト6)を中心として時計回り(矢印B方向)に回転する。レバー8の突出部8eの長穴部8fには、スライドカム7の突部7eが嵌合しているため、レバー8の矢印B方向の回転によってスライドカム7は+Y方向に付勢される。スライドカム7は、その長穴7cがベース2のポスト5と係合することによりY方向に移動可能に支持されているため、レバー8の矢印B方向の回転により+Y方向に移動する。
【0046】
スライドカム7が+Y方向に移動すると、表示ユニット200の背面側(シャーシ27)に設けられたカムフォロアとしての溝車30が、スライドカム7のカム斜面7aに沿って移動する。この溝車30の移動に伴って、溝車30と同じシャフト28aに取り付けられた溝車29が、案内溝3に沿って移動する。また、歯車31は、案内溝4に沿って(ラック12と噛み合いながら)移動する。これにより、表示ユニット200が、ベース2の案内溝3,4に案内されて、図10に示すように引き出される。
【0047】
図10の状態から、作業者が表示ユニット200の上部の取っ手24を掴み、図6の状態まで表示ユニット200を引き出す。これにより、コネクタ26(図4)から配線を取り外し、表示ユニット200を架台100から取り出すことができる。このとき、ワイヤ13から手を離すと、スライドカム7は自重により−Y方向に移動して元の位置に戻る。以上で、表示ユニット200の架台100からの取り出しが完了する。
【0048】
なお、ここでは、ワイヤ13によるレバー8の回転操作によって表示ユニット200が収納位置から図10に示す位置まで移動するように構成したが、ワイヤ13によるレバー8の回転操作によって、表示ユニット200が図6に示す突出位置まで移動するようにしてもよい。
【0049】
このように、この実施の形態1によれば、表示ユニット200の溝車29および歯車31を筺体100の案内溝3,4に係合させて、表示ユニット200を突出位置から収納位置まで移動させることができるため、表示ユニット200の収納および引き出しを簡単に行うことができる。
【0050】
特に、表示ユニット200を収納時において、表示ユニット200が、案内溝3,4の円弧状部分3a,4aに沿って、表示面が傾斜した状態から、表示面がXY面と平行となる状態まで移動(回転)し、その後、案内溝3,4の直線状部分3b,4bに沿って+Z方向に直進移動するため、複数の表示ユニット200を密に配列した表示装置10(図1参照)においても、他の表示ユニット200と接触することなく、表示ユニット200を収納することができる。
【0051】
また、表示ユニット200の収納および取り出し時に、表示ユニット200が図6に示すように表示面が傾いた姿勢で安定に保持されるため、表示ユニット200のコネクタ26に対する配線の接続や取り外しを容易に行うことができる。
【0052】
また、スライドカム7が、表示ユニット200を突出位置に向けて押し出すため、作業者は表示装置10の前面側から、表示ユニット200を簡単に引き出すことができる。特に、表示ユニット200の背面側に設けられたワイヤ13を操作することで表示ユニット200を前方に引き出すことができるため、表示装置10の背面側の作業スペースが少ない場合でも、表示ユニット200を簡単に取り出すことができる。
【0053】
実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。上述した実施の形態1では、表示ユニット200の背面側に設けられたワイヤ13を手動で操作することで、表示ユニット200を取り出したが、実施の形態2では、モータの駆動力を用いて表示ユニット200の収納および取り出しを行う。
【0054】
図11は、この発明の実施の形態2における表示装置のベース40、およびこれに取り付けられる各部材の構成を示す分解斜視図である。実施の形態1と同様の構成要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
実施の形態2のベース40は、実施の形態1のベース2と同様、背面板40fと、そのX方向両側に形成された一対の側面板40gとを有している。但し、ベース40の背面板40fには、Y方向を軸方向とするスクリューシャフト43(送り機構)が取り付けられている。スクリューシャフト43の両端は、背面板40fのX方向中央に形成された第1のシャフトベース44および第2のシャフトベース45により、回転可能に支持されている。第2のシャフトベース45には、モータ49がねじにより取り付けられている。スクリューシャフト43には、ギア46がスナップピン47により固定されており、このギア46が、モータ49の出力軸に固定されたウォーム48と噛み合っている。また、ギア46の+Y側の面(上面)には、ギア46を手動で回転させる際に把持するピン46aが立設されている。
【0056】
ベース40の背面板40fにおいて、スクリューシャフト43の−Y側(下側)には、Y方向に延在する長穴40aが設けられている。また、スクリューシャフト43のX方向の両側に隣接するように、Y方向に長く、「Z」字型の断面を有するように屈曲された板金からなる一対の抜け止め部材41が取り付けられている。各抜け止め部材41の下方には、プッシュスイッチ42がそれぞれ取り付けられている。
【0057】
ベース40の一対の側面板40gには、実施の形態1と同様の案内溝3,4が形成されている。但し、実施の形態1で説明したラック12は、設けられていない。
【0058】
実施の形態2におけるカム機構を構成するスライドカム50(スライド体)は、板金で形成され、背面板50kと、そのX方向両端に形成された第1の側面板50aと、第1の側面板50aよりもさらにX方向外側で、かつ下方(−Y方向)に形成された第2の側面板50fとを有している。スライドカム50の背面板50kには、ベース40の長穴40aに係合するポスト59(図13)が取り付けられている。
【0059】
スライドカム50の一対の第1の側面板50aには、それぞれカム溝50bが形成されている。なお、第1の側面板50aは、カム溝50bの−Z側端部(前端部)の近傍でX方向内側に屈曲され、コの字形状の平板部50dを形成している。そのため、カム溝50bが閉じた溝となり、スライドカム50の強度を確保することができる。また一対の第1の側壁50aには、絞り加工などで形成された台形形状の突起部50eが、X方向外側に突出するように各1箇所ずつ設けられている。これら突起部50eは、スライドカム50が+Y方向、−Y方向の移動限界に到達した際に、ベース40のプッシュスイッチ42に当接するものである。
【0060】
スライドカム50の一対の第2の側面板50fの+Z方向(前方)の端面には、カム斜面50cが形成されている。また、スライドカム50の−Y方向の端部(下端部)近傍には、一対の第2の側面板50fを貫通するように、X方向を軸方向とするシャフト51が設けられている。シャフト51の両端には、車輪52が回転可能に挿通され、eリング53によりX方向の位置を規制されている。
【0061】
スライドカム50には、第1および第2の側面板50a,50fのX方向内側に、これら第1および第2の側面板50a,50fにそれぞれ対向するように、立ち壁50g,50iが設けられている。第1の側面板50aと立ち壁50gとの間には、X方向を軸方向とするシャフト54aが貫通しており、第2の側面板50fと立ち壁50iとの間には、X方向を軸方向とするシャフト54bが貫通している。シャフト54a,54bの第1および第2の側面板50a,50f側には、それぞれ車輪52が回転可能に取り付けられ、eリング53によりX方向の位置を規制されている。
【0062】
シャフト54aには、第1の側面板50aと立ち壁50gの間に位置するように、付勢部材としてのアーム55aと捩りばね56aとが回転可能に挿通されている。捩りばね56aの一端は、スライドカム50の背面板50kに当接し、他端はアーム55aに当接して、X軸を中心とする−α方向の付勢力を発生するようになっている。同様に、シャフト54bには、第2の側面板50fと立ち壁50iの間に位置するように、付勢部材としてのアーム55bと捩りばね56bが回転可能に挿通されている。捩りばね56bの一端は、スライドカム50の背面板50kに当接し、他端はアーム55bに当接して、X軸を中心とする−α方向の付勢力を発生するようになっている。
【0063】
また、スライドカム50の背面板50kのX方向中央の+Y方向の端部(上端)には、スクリューシャフト43に係合するナット58を保持するナット保持部材57が、ねじ止めされている。ナット保持部材57に対向するように、スライドカム50の背面板50kの上端部が−Z方向に屈曲されて、XZ面に平行な平面部50hを形成している。この平面部50hには2箇所のスリットが形成されており、これらのスリットに、ナット保持部材57のスリットが嵌合している。ナット保持部材57と平面部50hとにY方向に挟まれた空間内に、ナット58が遊挿されている。
【0064】
図12は、表示ユニット200の構成を示す分解斜視図である。実施の形態2のシャーシ60は、そのX方向両端に設けられた一対の側面板60eの間に、X方向を軸方向とするシャフト61およびシャフト28を有している。上側のシャフト61は、2つに分割されており、シャーシ60の各側面板60eと、それぞれの内側に形成された立ち壁60aとを貫通して保持されている。
【0065】
分割された各シャフト61の外側端部には、被案内部としての溝車29aが回転可能に挿通されている。また、下側のシャフト28の両端には、被案内部としての溝車29bが回転可能に挿通されている。なお、実施の形態1では、下側のシャフト28bに歯車31が設けられていたが、この実施の形態2では、上下のシャフト61,28とも、溝車29a,29bが設けられている。
【0066】
また、分割された各シャフト61の内側端部には、カムフォロアとしての2個のローラ62が回転可能に挿通され、さらに内側に、被付勢部材としての2個のローラ63が回転可能に挿通されている。ローラ62,63は、いずれもeリングにより、X方向の移動を規制されている。下側のシャフト28には、カムフォロアとしての2個のローラ64が回転可能に挿通され、これらローラ64のそれぞれ内側に、被付勢部材としての2個のローラ65が回転可能に挿通されている。ローラ64,65は、いずれもeリングにより、X方向の移動を規制されている。
【0067】
図13は、ベース40、およびこれに取り付けられる各部材の構成を示す斜視図である。図13において、スライドカム50は、第1の側面板50aおよび第2の側面板50fのそれぞれX方向外側に、上述した合計6個の車輪52を有しており、これら車輪52がベース40の背面板40fに接触している。
【0068】
また、スライドカム50の裏面に設けられたポスト59が、ベース40の背面板40fの上記の長穴40aを裏面側(+Z側)に貫通し、ベース40の裏面側からねじが取り付けられている。ポスト59と長穴40aとの係合により、スライドカム50がY方向に案内される。なお、ポスト59に取り付けられるねじの頭部(ねじ頭)の外径は、ベース40の長穴40aの溝幅よりも大きいため、スライドカム50がベース40から外れないように保持する抜け止めの機能も有する。スライドカム50をY方向に移動する際には、スライドカム50の車輪52がベース40の背面板40fに沿って転がるため、スライドカム50をY方向に軽い力で移動させることができる。また、スライドカム50の上側(+Y側)に位置する車輪52は、上述した抜け止め部材41と背面板40fとによりZ方向に挟まれ、スライドカム50の−Z方向の浮き上がりを規制している。
【0069】
上記のスクリューシャフト43に固定されたギア46は、ベース40の+Y方向(上方)に露出している。そのため、ベース40からモータ49を取り外した状態で、ギア46のピン46aを手でつまんで回転させることができる。これにより、モータ49が故障した場合でも、手動で表示ユニット200を引き出すことができる。
【0070】
スライドカム50のナット保持部材57には、上記のとおり、スクリューシャフト43に螺合するナット58が保持されている。ナット保持部材57のX方向の内側寸法は、ナット58の同方向の外側寸法とほぼ同じ大きさに形成されており、ナット58がY軸を中心として回転しないようになっている。モータ49の回転によりスクリューシャフト43がβ方向に回転すると、スクリューシャフト43に螺合しているナット58が+Y方向に移動し、スライドカム50が+Y方向に移動する。ここでは、モータ49は、リモコンの操作によって駆動されるものとする。
【0071】
次に、図14から図18を参照して、表示ユニット200の収納動作について説明する。図14(A),15(A),16(A),17(A)および18(A)は、表示ユニット200の収納動作を示す段階ごとの側面図である。図14(A)は、表示ユニット200の溝車29a,29bをベース40の案内溝3,4に挿入し、電動引き込みを開始する第1の状態を示す。図15(A)は、表示ユニット200の収納動作において、ローラ64とスライドカム50のカム斜面50cとが接触する第2の状態を示す。図16(A)は、表示ユニット200が+Z方向の直進移動に移行する第3の状態を示す。図17(A)は、表示ユニット200の位置決めピン23aがフレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1cと嵌合を開始する第4の状態を示す。図18(A)は、表示ユニット200の収納が完了した第5の状態を示す。
【0072】
また、図14(B),15(B),16(B),17(B)および18(B)は、は、スライドカム50とローラ62,64との位置関係を分かりやすく示すため、図14(A),15(A),16(A),17(A)および18(A)からベース40、溝車29a,29bおよびシャーシ60を除いて示す図である。
【0073】
作業者が、表示ユニット200を、溝車29a,29bを案内溝3,4に係合させるようにベース40に挿入すると、図14(A),(B)に示す第1の状態となる。この第1の状態では、図14(B)に示すように、表示ユニット200のローラ62が、スライドカム50のカム溝50bに係合する。この状態からモータ49を起動し、スクリューシャフト43をβ方向に回転させると、上述したようにナット58(図13)が−Y方向に移動し、スライドカム50が−Y方向に移動(下降)する。
【0074】
スライドカム50が−Y方向に移動すると、表示ユニット200は、そのローラ62がスライドカム50のカム溝50bに沿って移動することにより、ベース40側に引き込まれる(図14(B))。このとき、表示ユニット200は、溝車29a,29bとベース40の案内溝3,4との係合により、案内溝3,4に沿って案内される(図14(A))。
【0075】
このように、スライドカム50が−Y方向に移動し、表示ユニット200が案内溝3,4に案内されて移動すると、スライドカム50のローラ64が、スライドカム50のカム斜面50cに当接し、図15(A),(B)に示す第2の状態となる。
【0076】
表示ユニット200の重心32は、溝車29a,29bよりも−Z方向にあるため、表示ユニット200には、ローラ62を支点としたX軸回りのモーメントが−α方向に生じ、その結果、表示ユニット200には、図15に矢印Cで示す方向(+Z方向)の力が作用する。この矢印Cで示す方向の力により、表示ユニット200は、案内溝3,4の端部に形成された直線状部分3b,4bに到達する。この際、下側の溝車29bが、上側の溝車29aよりも先に直線状部分3b,4bに到達する。
【0077】
この第2の状態では、表示ユニット200に作用する矢印C方向の力をカム斜面50cで受けることにより、表示ユニット200のX軸回り(−α方向)の回転を抑えている。また、ローラ62,64がカム溝50bおよびカム斜面50cに係合することにより、表示ユニット200が左右で同期して+Z方向に直進移動することができる。
【0078】
第2の状態(図15)からスライドカム50が更に−Y方向に移動すると、表示ユニット200のローラ62,64と、スライドカム50のカム溝50bおよびカム斜面50cとの係合により、表示ユニット200の溝車29a,29bが案内溝3,4の直線状部分3b,4bに到達する。これにより、表示ユニット200が+Z方向の直進移動を開始し、図16(A),(B)に示す第3の状態となる。第3の状態では、表示ユニット200は、表示パネル20の表示面の方向がXY面(基準面)に平行となる姿勢を保ったまま、+Z方向に直進する。
【0079】
この第3の状態では、表示ユニット200の被付勢部材としてのローラ63,65(図12)に、スライドカム50に設けられた付勢部材としてのアーム55a,55b(図13)の+Z側の面が当接する。アーム55a,55bは、捩りばね56a,56b(図11)により−α方向に付勢されており、各ローラ63,65を+Z方向に付勢する。
【0080】
第3の状態(図16)からスライドカム50がさらに−Y移動に移動すると、スライドカム50のアーム55a,55bが表示ユニット20のローラ63,65を+Z方向に付勢することにより、表示ユニット200が+Z方向に移動する。これにより、表示ユニット200の左右一対の位置決めピン23aが、フレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1c(図2)に嵌合を開始し、図17(A),(B)に示す第4の状態となる。
【0081】
表示ユニット200の左右一対の位置決めピン23aがフレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1cとの嵌合を開始すると同時に、溝車29a,29bは、案内溝3,4(直線状部分3b,4b)の内面から僅かに離間する。これにより、溝車29a,29bと案内溝3,4との係合による表示ユニット200の案内は終了し、表示ユニット200が、左右の位置決めピン23aとフレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1cとの嵌合によって案内される状態となる。
【0082】
このように、表示ユニット200を、位置決めピン23aとフレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1cとの嵌合により位置決めするため、フレーム1に対して案内溝3,4の位置がずれていても、表示ユニット200の移動には支障がない。また、位置決めピン23aは先が細い形状を有しており、フレーム1に対して案内溝3,4の位置がずれていても、位置決めピン23aが傾斜に沿ってフレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1cに嵌合することができる。
【0083】
この第4の状態(図17(A),(B))からスライドカム50がさらに−Y方向に移動すると、位置決めピン23aの座面(フランジ面)および座面ピン23bの先端面がフレーム1の前面板1a(図2)に当接し、図18(A),(B)に示すように、表示ユニット200の収納が完了した第5の状態となる。このとき、上述したアーム55a,55bが表示ユニット200のローラ63,65を+Z方向に付勢しているため、表示ユニット200は常にフレーム1に押し付けられている。
【0084】
また、この第4の状態では、表示ユニット200の溝車29a,29bが案内溝3,4の内面から僅かに離間すると共に、表示ユニット200のローラ62,64が、カム溝50bの内面およびカム斜面50cから僅かに離間している。従って、表示ユニット200は、位置決めピン23aと、フレーム1の位置決め穴1bおよび長穴1cとの嵌合のみにより位置決めされた状態で、アーム55a,55bによって+Z方向に付勢されてフレーム1に固定される。以上で、表示ユニット200の架台100への収納が完了する。
【0085】
また、モータ49を、表示ユニット200の収納時とは反対の方向(図13に示したβ方向とは反対の方向)に回転させることで、上述した収納動作(図14から図18)とは逆の段階を経て、表示ユニット200を架台100から引き出すことができる。
【0086】
このように、この実施の形態2によれば、表示ユニット200の収納時には、作業者は、表示ユニット200の溝車29a,29bを案内溝3,4に係合させてモータ49を作動させるだけで、モータ49の駆動力により表示ユニット200を架台100に収納することができる。また、表示ユニット200の取り出し時には、モータ49を作動させて表示ユニット200を収納位置から突出位置まで移動させたのち、その突出位置から表示ユニット200を取り出すことができる。そのため、表示ユニット200を、簡単に収納し、また取り出すことができる。
【0087】
さらに、リモコン操作によりモータ49を駆動して表示ユニット200を前方に取り出すことができるため、表示装置10の背面側からワイヤの操作(実施の形態1)を行う必要がない。そのため、表示装置10を、部屋の壁に接するように設置すること(いわゆる壁ピタ設置)が可能になる。
【0088】
特に、表示ユニット200の収納時には、表示ユニット200が、案内溝3,4の円弧状部分3a,4aに沿って移動(回転)した後、案内溝3,4の直線状部分3b,4bに沿って+Z方向に直進移動する。そのため、収納が完了する直前に、隣接する(既に収納された)表示ユニット200との隙間が狭くなった場合でも、当該隣接する表示ユニット200に接触することがなく、表示ユニット200の損傷を防止することができる。
【0089】
加えて、表示ユニット200の回転により、表示ユニット200が突出位置にあるときには取っ手24が露出しているため、前面側から表示ユニット200を簡単に引き出すことができる。また、表示ユニット200の収納時には、表示ユニット200の取っ手24を把持して、溝車29a,29bを案内溝3,4に簡単に係合させることができる。
【0090】
なお、本発明は、上述した第1および第2の実施の形態に限定されるものではなく、適宜、変形が可能である。
【0091】
本発明は、複数の表示ユニットを配列して大画面を構成する表示装置、例えば大画面マルチディスプレイ等と称される表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 フレーム、 2 ベース、 3,4 案内溝(案内部)、 3a,4a 円弧状部分、 3b,4b 直線状部分、 7 スライドカム(スライド体)、 8 レバー(操作部材)、 10 表示装置、 11 ガイド部材、 12 ラック、 13 ワイヤ、 14 横フレーム、 15 マグネットクランプ、 20 表示パネル、 21 制御基板、 22 筐体、 23 位置決めピン、 24 取っ手、 25 背面カバー、 26 コネクタ、 27 シャーシ、 28a,28b シャフト、 29,29a,29b 溝車(被案内部)、 30 溝車(カムフォロア)、 31 歯車(被案内部)、 32 重心、 40 ベース、 41 抜け止め部材、 42 プッシュスイッチ、 43 スクリューシャフト(送り機構)、 44 第1のシャフトベース、 45 第2のシャフトベース、 46 ギア、 47 スナップピン、 48 ウォーム、 49 モータ、 50 スライドカム(スライド体)、 52 車輪、 55a,55b アーム、 56a,56b 捩りばね、 57 ナット保持部材、 58 ナット、 60 シャーシ、 62,64 ローラ(カムフォロア)、 63,65 ローラ(被付勢部材)、 100 架台、 200 表示ユニット。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示面を有する複数の表示ユニットと、
前記複数の表示ユニットを、それぞれの表示面が基準面上に整列するように収納する架台と
を備え、
前記架台は、
前記表示ユニットを、前記表示面が前記基準面上に位置するように収納する収納位置と、前記収納位置から前方に突出する突出位置との間で案内する案内部と、
前記表示ユニットの背面側に設けられ、前記表示ユニットを、前記収納位置から前記突出位置に向けて押し出すカム機構と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記表示ユニットが前記突出位置にあるときに、前記表示ユニットを、前記表示面が前記基準面に対して傾斜した姿勢で保持することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示ユニットは、その上部に、配線を接続するためのコネクタを有し、
前記表示ユニットが前記傾斜した姿勢で保持されている状態で、前記コネクタが外部に露出していることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記案内部は、前記表示ユニットを前記突出位置から前記収納位置まで案内する過程において、第1の区間では、前記表示ユニットを、前記表示面が傾斜した状態から前記基準面と平行な状態に移行させ、第2の区間では、前記表示ユニットを、前記表示面に垂直な方向に直進移動させることを特徴とする請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記案内部は、案内溝であり、
前記案内溝は、前記第1の区間に相当する円弧状の第1の溝部と、前記第2の区間に相当する直線状の第2の溝部とを有していることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記案内溝の前記第1の溝部に、前記表示ユニットの被案内部を保持可能な凹部を有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記カム機構は、前記表示ユニットを、使用者が前記表示ユニットの取っ手を把持して引き出すことが可能な位置まで押し出すことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示ユニットは、前記表示面を有する表示パネルと、前記表示パネルを支持する筺体とを有し、前記筺体の底部は、前記表示面よりも下方に突出していることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示ユニットが前記収納位置に達した状態で、前記表示ユニットに対し、前記表示面に垂直な方向に付勢力を作用させる付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記付勢部材は、マグネットであることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記付勢部材は、前記カム機構に設けられ、前記表示ユニットに設けられた被付勢部材を、前記表示面に垂直な方向に押圧することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示ユニットは、前記表示面に対して背面側にカムフォロアを有し、
前記カム機構は、前記カムフォロアに当接することにより前記表示ユニットを移動させるカム面またはカム溝を有するスライド体を有すること
を特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記カム機構は、前記スライド体を移動させるために手動操作される操作部材をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記カム機構は、前記スライド体を移動させるためのモータおよび送り機構をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項15】
前記カムフォロアは、前記表示ユニットの背面側において、高さが異なる少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とする請求項12から14までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示ユニットは、前記表示面に対して背面側に突出する位置決めピンを有し、
前記架台には、前記位置決めピンに係合する位置決め穴が設けられていることを特徴とする請求項1から15までのいずれか1項に記載の表示装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−255878(P2012−255878A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128292(P2011−128292)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】