説明

表示装置

【課題】迷光により表面輝度が低下したりコントラストが低下したりすることがなく、角度依存性が少なく、かつ外光の散乱反射の少ない表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネルを備え、透光性を有するとともに表裏が平坦であるベースフィルムを具備し、断面形状略台形の複数の単位レンズを一次元方向に形成した2枚の光拡散シートが、一次元方向が90°向きが異なってベースフィルムを挟むように該ベースフィルムの表裏に貼付され、それぞれの前記光拡散シートにおいて、単位レンズは台形の下底を入光部、上底を出光部、斜辺を全反射部とし、単位レンズは高屈折率物質で形成され、隣接する単位レンズに挟まれた断面形状三角形の部分は高屈折率物質の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率物質で形成されるとともに、低屈折率物質には光吸収粒子が添加されている二次元視野角拡大部材を有し、二次元視野角拡大部材は液晶パネルの観察者側に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元視野角拡大部材を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置等においては、観察者の視認性を高めるため液晶パネルの観察者側に光拡散シートを用いたものが知られている。この光拡散シートは、例えば、透光性フィルムの表面を凹凸処理したもの(特許文献1等)、樹脂フィルムの内部に光拡散性微粒子を含有させたもの、円柱状のレンズが一つの平面上に並列配置されたレンチキュラーレンズシート等がある。また、これらのシートを二、三枚組み合わせて用いることも行なわれている。これらは、フィルム、大気、微粒子等の各屈折率の差を利用してこれらの境界において映像光を多方向に屈折させ、映像光を広範囲に拡散して観察者側に出射することで視認性の向上を図ろうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−073808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、光拡散性微粒子や凹凸が形成されたシート表面によって、映像光が乱反射して多くの迷光を生じさせることになり、ディスプレイの表面輝度、コントラストの低下等を招いていた。また、表面の凹凸処理により拡散性を有するものは、その拡散性および透明性に角度依存性があるため、ディスプレイを見る角度によって視認性が変化するという問題があった。一方、光拡散シートの光拡散性は、外光の散乱反射を増加させることにもつながり、コントラストが著しく低下して映像がボケやすいという問題点もあった。一枚の光拡散シートを単独で使用した場合、水平または垂直いずれかの方向の視野角の拡大が不十分となるという問題もあった。
【0005】
そこで本発明は、迷光により表面輝度が低下したりコントラストが低下したりすることがなく、角度依存性が少なく、かつ外光の散乱反射が少ない二次元視野角拡大部材を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、本発明について説明する。
【0007】
請求項1に記載の発明は、液晶パネルを備え、透光性を有するとともに表裏が平坦であるベースフィルムを具備し、断面形状略台形の複数の単位レンズを一次元方向に形成した2枚の光拡散シートが、一次元方向が90°向きが異なってベースフィルムを挟むように該ベースフィルムの表裏に貼付され、それぞれの光拡散シートにおいて、単位レンズは台形の下底を入光部、上底を出光部、斜辺を全反射部とし、単位レンズは高屈折率物質で形成され、隣接する単位レンズに挟まれた断面形状三角形の部分は高屈折率物質の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率物質で形成されるとともに、低屈折率物質には光吸収粒子が添加されている二次元視野角拡大部材を有し、二次元視野角拡大部材は液晶パネルの観察者側に配置されていることを特徴とする表示装置である。
【0008】
この表示装置によれば、光拡散シートは単位レンズの一次元配列方向を略90°ずらせて配置されているので水平方向と垂直方向の拡散を同時に実現することができる。
【0009】
また、ここに備えられる光拡散シートにおいて、単位レンズ部と比較して断面形状三角形の部分は低屈折率なので、両者が接する断面形状台形の斜辺において単位レンズへの入射光を全反射することができる。
【0010】
さらに、それぞれの光拡散シートにおいて、断面形状三角形の部分全体を光吸収性の材料とはせず、材料中に光吸収粒子を分散させる構成をとったので、斜辺部での全反射が効率よく行われる。したがって輝度とコントラストが高い表示装置を得ることができる。また光吸収する材料の着色濃度に影響されることなく斜辺部の全反射と、断面形状三角形部の光吸収とを高いレベルで両立させて実現することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、光吸収粒子の低屈折率物質中への添加量は、10〜60質量%であることを特徴とする。光吸収粒子の添加量はさらに好ましくは、30〜50質量%である。
【0012】
この発明によれば、光吸収粒子の添加効果を最大とすることができる。これより添加量が少ないと断面形状三角形部への充填量が不足して、いわゆるブラックストライプの幅が狭くなり、コントラストの悪化を招くことがある。またこれ以上の添加を行うと出光面(台形の上底部)に着色粒子が残留してしまうことがある。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の表示装置において、光吸収粒子の平均粒径は、断面形状台形の上底を形成する単位レンズ出光部の長さの1/30〜2/3であることを特徴とする。この光吸収粒子の平均粒径は、さらに好ましくは、出光部の長さの1/10〜1/3である。
【0014】
この発明によれば、それぞれの光拡散シートにおいて、光吸収効果を効率よいものとすることができる。また製造時に問題なく光吸収粒子を断面形状三角形部へと充填することができる。粒径を必要以上に大きくした場合、三角形部に粒子が埋まりきらずにはみだしてしまい、さらに隙間が発生しやすくなる傾向がある。逆に粒径が必要以上に小さすぎると、三角形部への充填は簡単になるが、製造時に着色粒子を出光面から掻き落とすことが困難となって、レンズ出光面に着色粒子が残留してしまう傾向が強くなるからである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、液晶パネルを備え、透光性を有するとともに表裏が平坦であるベースフィルムを具備し、断面形状略台形の複数の単位レンズを一次元方向に形成した2枚の光拡散シートが、一次元方向が90°向きが異なってベースフィルムを挟むように該ベースフィルムの表裏に貼付され、それぞれの光拡散シートにおいて、単位レンズは台形の下底を入光部、上底を出光部、斜辺を全反射部とし、単位レンズは高屈折率物質で形成され、全反射部を構成する斜辺の部分には高屈折率物質の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率物質により、透明低屈折率層が形成されている二次元視野角拡大部材を有し、二次元視野角拡大部材は液晶パネルの観察者側に配置されていることを特徴とする表示装置である。
【0016】
この発明によれば、それぞれの光拡散シートにおいて、単位レンズに入射した光を透明低屈折率層表面にて全反射することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の表示装置において、透明低屈折率層の層厚は、0.1μm以上であることを特徴とする。さらにこの透明低屈折率層の層厚の上限は10μmとすることが好ましい。透明低屈折率層の層厚を0.1μm以下とした場合、斜面で映像光がほとんど反射されず、透過率が大幅に低下する。一方層厚を10μm以上にするとその部分を通る外光が増えて、コントラストの劣化が起きると考えられるからである。また製造上でも10μm以上の層厚を形成するには多大な時間を要するので不利である。さらに代表的な低屈折率物質であるシリカ等においてはそのような層厚とすると脆さの欠点が顕著なものとなってくるからである。またさらに、単位レンズのピッチが小さい場合には、10μm以下であって、かつ、溝部分の幅の1/5の厚さとすることが好ましい。
【0018】
この発明によれば、それぞれの光拡散シートにおいて、透明低屈折率層による全反射を確実なものとすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の表示装置において、透明低屈折率層に挟まれた断面形状三角形の部分には、透明低屈折率層を形成する物質の屈折率より高い屈折率を有する物質に光吸収粒子が添加されて充填されていることを特徴とする。
【0020】
この発明においては、それぞれの光拡散シートにおいて、観察者側から断面形状三角形の部分に入射した光は光吸収粒子により吸収される。また、大きな角度をもつ入射光が単位レンズ側から透明低屈折率層を透過してきた場合にも、この光吸収粒子により吸収される。したがって迷光や反射光の少ない、鮮明な画面が得られる表示装置を提供することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載された表示装置において、2枚の光拡散シートのそれぞれにおいて、高屈折率物質の屈折率をN1、低屈折率物質の屈折率をN2、台形の斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
かつ
N1<1/sin2θ
なる関係が成立することを特徴とする。ここに単位レンズの断面形状は略台形なので、θは一定、すなわち斜辺は直線状であることを基本とするが、本発明は曲線状の斜辺や、浅い角度をなす複数の直線の組み合わせである場合をも含むものである。この場合にθは変化するが、斜辺をなす各部分におけるθの90%以上が上記関係を満たせば下記の効果を奏することができるので、本発明の技術的思想に包含されると解されるべきものである(θに関して以下同じ。)。
【0022】
この発明によれば、それぞれの光拡散シートにおいて、出光面法線に平行な入射光は断面形状台形斜辺の表面にて全反射され、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光される。したがって輝度とコントラストが高い表示装置を得ることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載された表示装置において、2枚の光拡散シートのそれぞれにおいて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、それぞれの光拡散シートにおいて、出光面法線に対して最大10°の傾きをもって入射し、単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層表面にて反射された光でも、隣接する単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層にいたることなくの出光面から観察者側に出光される。したがって輝度が高く迷光の少ない表示装置を得ることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載された表示装置において、屈折率N1およびN2、並びに台形の上底の長さTおよび高さHが、
1<N1<5.76
0.23<N2/N1<0.996
かつ
H<T/0.57
なる関係を満たすことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、θが5〜15°の範囲において、出光面法線に平行な入射光を斜辺にて全反射し、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光することができる。また、各光拡散シート内において一度斜辺にて反射された光は、再び他の斜辺に到達することなく出光面から出光される。ここにθの範囲を5〜15°としたのは、このような単位レンズのテーパー角を5〜15°とすることで、好適な視野角特性を得ることができるからである。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の表示装置において、二次元視野角拡大部材の液晶パネル側には拡散剤を混入したシートが貼り合わされていることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、入光を均一にならすことができる。この拡散剤を混入したシートを貼り合わせるための接着層、または粘着層の屈折率は単位レンズの屈折率と同程度でよい。光学的に大きな影響は出ないと考えられるからである。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置において、二次元視野角拡大部材より観察者側に反射防止、ハードコート、偏光フィルター、帯電防止、防眩処理、防汚処理、タッチセンサのうち少なくとも一つの機能を備えたシートが配置されていることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、表示装置に多様な機能を持たせることができる。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の表示装置において、二次元視野角拡大部材は液晶パネルに、接着により一体化していることを特徴とする。
【0032】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12に記載の表示装置において、液晶パネルから出射される映像光は、半値角で略5°〜15°であることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、映像光源である液晶パネルからの出射光に対して最適な表示装置の性能を得ることができる。
【0034】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれかに記載の表示装置において、各光拡散シートの単位レンズの方向は、液晶パネルの画素の方向とは異なるように配置されていることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、表示装置におけるモアレ模様の発生を回避することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、水平方向と垂直方向の拡散を同時に実現することができる。
【0037】
また、それぞれの光拡散シートに関して単位レンズは高屈折率物質で形成され、隣接する単位レンズに挟まれた断面形状三角形の部分は高屈折率物質の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率物質で形成すれば、それぞれの光拡散シートにおいて、単位レンズ部と比較して断面形状三角形の部分は低屈折率なので、両者が接する断面形状台形の斜辺において単位レンズへの入射光を全反射することができる。
【0038】
低屈折率物質には光吸収粒子が添加されていることとすれば、それぞれの光拡散シートにおいて、断面形状三角形の部分全体を光吸収性の材料とはせず、材料中に光吸収粒子を分散させる構成となるので、斜辺部での全反射が効率よく行われる。したがって輝度とコントラストが高い表示装置を得ることができる。また光吸収する材料の着色濃度に影響されることなく斜辺部の全反射と、断面形状三角形部の光吸収とを高いレベルで両立させて実現することができる。
【0039】
また、光吸収粒子の低屈折率物質中への添加量は、10〜60質量%であることとすれば、光吸収粒子の添加効果を最大とすることができる。これより添加量が少ないと断面形状三角形部への充填量が不足して、いわゆるブラックストライプの幅が狭くなり、コントラストの悪化を招く。またこれ以上の添加を行うと媒体材料と十分に混合を行うことが困難になって、製造時に三角形底辺部分に光吸収粒子が残ってしまうこととなる。
【0040】
光吸収粒子の平均粒径は、断面形状台形の上底を形成する出光部の長さの1/30〜2/3であることとすれば、それぞれの光拡散シートにおいて、光吸収効果を効率よいものとすることができる。また製造時に問題なく断面形状三角形部へと充填することができる。
【0041】
また、それぞれの光拡散シートに関して単位レンズは高屈折率物質で形成され、全反射部を構成する斜辺の部分には高屈折率物質の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率物質により透明低屈折率層が形成されていることとすれば、それぞれの光拡散シートにおいて、単位レンズに入射した光を透明低屈折率層表面にて全反射することができる。
【0042】
透明低屈折率層の層厚は、0.1μm以上であることとすれば、それぞれの光拡散シートにおいて、透明低屈折率層による全反射を確実なものとすることができる。
【0043】
透明低屈折率層に挟まれた断面形状三角形の部分に高屈折率物質を充填した場合には、外光反射率の低減を図ることができる。
【0044】
また、透明低屈折率層のさらに出光方向側には光吸収層が形成されていることとすれば、それぞれの光拡散シートにおいて、出光面法線に対して所定以上の傾きをもって入射した光の一部は透明低屈折率層表面にて全反射されず、透明低屈折率層内部に入射するが、光吸収層により吸収される。また観察者側から出光面以外の部分に入射された光も光吸収層により吸収される。したがって迷光や反射光の少ない、鮮明な画面が得られる表示装置を提供することができる。
【0045】
さらに、透明低屈折率層に挟まれた断面形状三角形の部分には、着色された物質が充填されていることとすれば、観察者側から断面形状三角形の部分に入射した光は着色された物質により吸収されるので観察者側への反射光を減らすことができる。また、大きな角度をもつ入射光が単位レンズ側から透明低屈折率層を透過してきた場合にも、この着色された物質により吸収され、観察者側に出光されることが防止される。したがって迷光や反射光の少ない、鮮明な画面が得られる二次元視野角拡大部材を提供することができる。
【0046】
透明低屈折率層に挟まれた断面形状三角形の部分には、透明低屈折率層を形成する物質の屈折率より高い屈折率を有する物質に光吸収粒子が添加されて充填されていることとすれば、それぞれの光拡散シートにおいて、観察者側から断面形状三角形の部分に入射した光は光吸収粒子により吸収される。また、大きな角度をもつ入射光が単位レンズ側から透明低屈折率層を透過してきた場合にも、この光吸収粒子により吸収される。したがって迷光や反射光の少ない、鮮明な画面が得られる二次元視野角拡大部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】表示装置の構成の一例を示す図である。
【図2】第一実施形態の表示装置に備えられる光拡散シートの断面を示す図である。
【図3】第二実施形態の表示装置に備えられる光拡散シートの断面を示す図である。
【図4】光拡散シートに垂直光が入射した場合の光路を示す図である。
【図5】光拡散シートに10°の傾きを持った光が入射した場合の光路を示す図である。
【図6】光拡散シートに10°の傾きを持った光が、低屈折率部がなす三角形の頂点付近に入射した場合の光路を示す図である。
【図7】低屈折率部の形状の諸態様を示す図である。
【図8】光拡散シートの構成の一例を示す図である。
【図9】光拡散シートの構成の他の一例を示す図である。
【図10】第二実施形態の表示装置に備えられる光拡散シートの一変形例の断面を示す図である。
【図11】第一実施形態の表示装置に備えられる光拡散シートの製造方法の一例を示す図である。
【図12】第一型ロールおよび第二型ロールを示す図である。
【図13】図11のE点、F点、G点におけるシートの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0049】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。図1は本発明の1つの実施形態にかかる表示装置の構成を示している。図1において、紙面手前左下方向が観察者側であり、紙面奥側右上方向を映像光源側とする。本実施形態の表示装置は、観察者側から順に、反射防止、ハードコート、偏光フィルター、帯電防止、防眩処理、防汚処理、タッチセンサのうち少なくとも一つの機能を備えた機能性シート101と、単位レンズが垂直方向に配列された光拡散シート102と、単位レンズが水平方向に配列された光拡散シート103と、フレネルレンズ104と、液晶(以下において「LCD」という。)パネル105と、を備えている。なお、光拡散シート102と、光拡散シート103の配置を入れ替えてもよい。図1においてはこれらが互いに離れて表されているが、これは図面の理解のためであり、実際にはこれらは互いに接するか、または接着されている。
【0050】
また本発明において、「二次元視野角拡大部材」とは、2枚の光拡散シート102、103の組み合わせを構成の中核とするが、図1にあるように、これらの出光側に機能性シート101や、入光側にフレネルレンズ104などが配置されている場合には、これら機能性シート101やフレネルレンズ104をも含む概念である。
【0051】
図2および図3には、本発明の表示装置に備えられる二次元視野角拡大部材を構成する第一および第二実施形態の表示装置に具備される光拡散シートS1およびS2の断面が示されている。これらの図においては、図面右側に映像光源、例えばLCDパネルが配置され、図面の左側に観察者が位置している。本発明の表示装置に備えられる二次元視野角拡大部材は、第一実施形態に具備される光拡散シートS1、または第二実施形態に具備される光拡散シートS2のそれぞれ2枚を単位レンズの配列方向を略90°ずらせて組み合わせて構成してもよいし、第一実施形態に備えられる光拡散シートS1と第二実施形態に備えられる光拡散シートS2とを単位レンズの配列方向を略90°ずらせて組み合わせて構成することもできる。
【0052】
図2は、第一実施形態に備えられる光拡散シートS1を示している。この光拡散シートS1は、観察者側から映像光源方向に順に、拡散剤入りシート1、単位レンズ2、ベースシート3が貼り合わされて配置されている。単位レンズ2は高屈折率N1を有する物質により形成されている。さらに、隣接する単位レンズ2、2に挟まれた断面形状三角形の部分(以下において「レンズ間部分7」という。)には、N1より小さな屈折率N2を備えた透明な物質(以下において「透明低屈折率物質6」という。)中に光吸収粒子5が添加された材料で埋められている。
【0053】
本実施形態においては、単位レンズ(高屈折率部)2の屈折率N1と、透明低屈折率物質6の屈折率N2との比は、光拡散シートS1の光学特性を得るために所定の範囲に設定されている。また、レンズ間部分7と単位レンズ(高屈折率部)2とが接する斜辺が、出光面の法線(当該光拡散シートS1に対する垂直入射光に平行である。)となす角度は所定の角度θに形成されている。
【0054】
単位レンズ(高屈折率部)2は通常、電離放射線硬化性を有するエポキシアクリレートなどの材料にて構成されている。また、透明低屈折率物質6として通常、電離放射線硬化性を有するウレタンアクリレートなどの材料が使用されている。光吸収粒子5は市販の着色樹脂微粒子が使用可能である。また、拡散剤入りシート1、およびベースシート3は、単位レンズ(高屈折率部)2と略同一の屈折率を有する材料にて構成されている。拡散剤入りシート1の観察者側には、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層などの機能層が適宜設けられている。
【0055】
次に光拡散シートS1の単位レンズ2内に入光した光の光路について、図2を参照しつつ説明する。なお、図2において、光L1〜L4の光路は模式的に示されたものである。図2において、映像光源側から単位レンズ2の中央部付近に入射した垂直光L1は、そのまま光拡散シートS1の内部を直進して通過し、観察者に至る。映像光源側から単位レンズ2の端部付近に入射した垂直光L2は、単位レンズ(高屈折率部)2と透明低屈折率物質6との屈折率差により斜辺にて全反射され、所定の角度をもって観察者側に出光される。映像光源側から単位レンズ2の端部付近に角度をもって入射した光L3は、斜辺にて全反射され、入射時とは反対方向にさらに大きな角度をもって観察者側に出光される。斜辺に所定以上の大きな角度をもって入射する迷光L4aは、単位レンズ(高屈折率部)2と低屈折率物質6との屈折率差によっても反射されることなくレンズ間部分7の内部に入光して、光吸収粒子5に吸収され、観察者側に至ることはない。また、観察者側からレンズ間部分7に入光した迷光L4bは、光吸収粒子に吸収されるので、観察者側に反射光となって、出光されることがない。このようにして広い視野角をもち、コントラスト、輝度の高い光拡散シートS1を得ることができる。
【0056】
図3は、第二実施形態に備えられる光拡散シートS2を示している。この光拡散シートS2も、観察者側から映像光源方向に順に、拡散剤入りシート1、単位レンズ2、ベースシート3が貼り合わされて配置されている。単位レンズ2は高屈折率N1を有する物質により形成されている。さらに、隣接する単位レンズ2、2、の斜辺には、N1より小さな屈折率N2を備え透明な物質により形成された層4(以下「透明低屈折率層4」という。)が形成されている。また隣接する単位レンズ2の間に挟まれた断面形状三角形の部分は、N2より高い屈折率を有する物質8中に光吸収粒子5が添加された材料で埋められている。以後の説明においてはこの断面形状三角形の部分を「レンズ間部分9」という。
【0057】
単位レンズ(高屈折率部)2の屈折率N1と、透明低屈折率層4の屈折率N2との比は、光拡散シートS2の光学特性を得るために所定の範囲に設定されている。また、透明低屈折率層4と単位レンズ(高屈折率部)2とが接する斜辺が、出光面の法線(当該光拡散シートS2に対する垂直入射光に平行である。)となす角度は所定の角度θに形成されている。これらについては後に詳述する。
【0058】
単位レンズ(高屈折率部)2は通常、電離放射線硬化性を有するエポキシアクリレートなどの材料にて構成されている。また、透明低屈折率層4は、シリカ等、単位レンズの透明樹脂の屈折率より低い屈折率を有する材料にて形成されている。光吸収粒子5は市販の着色樹脂微粒子が使用可能である。また、拡散剤入りシート1、およびベースシート3は、単位レンズ(高屈折率部)2と略同一の屈折率を有する材料にて構成されている。拡散剤入りシート1の観察者側には、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層などの機能層が適宜設けられている。
【0059】
次に光拡散シートS2の単位レンズ2内に入光した光の光路について、図3を参照しつつ説明する。なお、図3において、光L1〜L4の光路は模式的に示されたものである。図3において、映像光源側から単位レンズ2の中央部付近に入射した垂直光L1は、そのまま光拡散シートS2の内部を直進して通過し、観察者に至る。
【0060】
映像光源側から単位レンズ2の端部付近に入射した垂直光L2は、単位レンズ(高屈折率部)2と透明低屈折率層4との屈折率差により斜辺にて全反射され、所定の角度をもって観察者側に出光される。映像光源側から単位レンズ2の端部付近に角度をもって入射した光L3は、斜辺にて全反射され、入射時とは反対方向にさらに大きな角度をもって観察者側に出光される。斜辺に所定以上の大きな角度をもって入射する迷光L4aは、単位レンズ(高屈折率部)2と透明低屈折率層4との屈折率差によっても反射されることなく透明低屈折率層4の内部に入光する。迷光L4aはレンズ間部分9の光吸収粒子5に吸収され、観察者側に至ることはない。また、観察者側からレンズ間部分9に入光した迷光L4bも、光吸収粒子5に吸収され、観察者側に反射光となって、出光されることがない。このようにして広い視野角をもち、コントラスト、輝度の高い光拡散シートS2を得ることができる。
【0061】
次に、図4および図5を参照しつつ、それぞれの光拡散シートの単位レンズ部に入射した光拡散シート内の光が斜辺にて全反射され、かつ出光面においては、全反射されずに観察者側に透過する条件について説明する。
【0062】
図4は、光拡散シート内において第二実施形態に備えられる光拡散シートS2の斜辺に垂直光L5が入射した場合の光路を示す図である。図4において、映像光源は図面上方に、観察者は図面下方に位置しているものとする。また拡散剤入りシート1、およびベースシート3は説明の簡略化のため省略している(以下図5および図6において同じ。)。
【0063】
図4において、斜辺に入射した垂直光L5が、斜辺のA点において全反射され始める条件(臨界条件)は、スネルの法則により、
sin(90°−θ)=N2/N1
であるから、垂直光L5が常に全反射されるためには、
(式1) sin(90°−θ)>N2/N1
なる条件を満たす必要がある。
【0064】
また、斜辺のA点にて反射された光L5が、出光面のB点において全反射され始める条件(臨界条件)は、大気の屈折率を1とした場合、スネルの法則により、
sin2θ=1/N1
であるから、光L5がB点から観察者側に確実に出光されるためには、
(式2) sin2θ<1/N1
なる条件を満たす必要がある。
【0065】
なお参考のために図5を参照しつつ、光拡散シートS2の斜辺に10°の傾きを持った光拡散シート内の光L6が入射した場合の光路について以下に簡単に説明する。
【0066】
図5において、光拡散シート内で、斜辺に入射した10°の傾きを持つ光L6が、斜辺のA点において全反射され始める条件(臨界条件)は、スネルの法則により、
sin(80°−θ)=N2/N1
であるから、10°の傾きを持った光L6が常に全反射されるためには、
(式3) sin(80°−θ)>N2/N1
なる条件を満たす必要がある。
【0067】
また、斜辺のA点にて反射された光L6が、出光面のB点において全反射され始める条件(臨界条件)は、大気の屈折率を1とした場合、スネルの法則により、
sin(2θ+10°)=1/N1
であるから、光L6がB点から観察者側に確実に出光されるためには、
sin(2θ+10°)<1/N1
すなわち、
(式4) N1<1/sin(2θ+10°)
なる条件を満たす必要がある。
【0068】
次に、図6を参照しつつ光拡散シートS2の斜辺にて反射された光が、隣接する斜辺に到達しない条件について説明する。この条件を見出すためには、出光面法線に対して最も大きな角度(現実的には10°)を持つ入射光L7が、低屈折率層4がなす三角形の頂点付近の斜辺上の点Cにて全反射された場合に、その反射光が隣接する斜辺に到達しないように、三角形の高さHと単位レンズの上底の長さTとの関係を定めればよい。
【0069】
図6において、三角形の底辺の長さを2Sとすれば、
tanθ=S/H
tan(2θ+10°)=(S+T)/H
したがって、
H=T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
Hが上記値より小であれば、反射光が隣接する斜辺に到達しない。したがってその条件は、
(式5) H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
で表される。
【0070】
次にθが5°〜15°であるとして、その範囲においてさらに具体的にN1とN2の値を考察する。5°<θ<15°の範囲においては、
sin(90°−θ)<0.996
であり、式1により、N2/N1の値はこれより小さいから、
(式6) N2/N1<0.996
一方、5°<θ<15°の範囲では、
1/sin2θ<5.76
であるから、式2より、
(式7) N1<5.76
さらに、入手しうる現実の材料を考慮した場合、N2の最小値は1.30なので、
N2/N1>1.30/5.76=0.23
したがって上式と式6とから、
(式8) 0.23<N2/N1<0.996
上記式7および式8が5°<θ<15°の範囲での、N1およびN2の値がとりうる条件である。
【0071】
また、式5においては、θ=15°の時にHに対する条件が決定され、
H<T/0.57
となる。
【0072】
図7は、本発明に備えられる二次元視野角拡大部材を構成する各光拡散シートのレンズ間部分7または9の形状の諸態様を示す図である。このレンズ間部分7または9は、隣接する二つの単位レンズ2、2の斜辺により形成される略三角形の形状を基礎としている。図7(a)は、斜辺が直線にて形成されている場合を表している。この場合には、斜辺と出光面法線とがなす角度θ1は斜辺上のどの点においても一定である。図7(b)は、斜辺が滑らかな曲線で形成されている場合を表している。また図7(c)は、斜辺が2本の直線にて構成されている場合を示している。これらの場合、斜辺と出光面法線とがなす角度θ2、またはθ3若しくはθ4は、斜辺上の位置により異なる。本発明において図7(b)や図7(c)の場合のように斜辺と出光面法線のなす角度が一定でないときは、斜辺の長さの90%以上において、以上に説明してきた式1〜8の各条件を満たせば本発明の効果を得ることができる。
【0073】
図8および図9は、第二実施形態に備えられる光拡散シートS2の構成の一例を示す図である。図8に示される光拡散シートは水平断面形状が垂直方向に一定な単位レンズ2を備えている。隣接する単位レンズ2、2の間には、透明低屈折率層4を介して、レンズ間部分9に光吸収粒子5が添加された樹脂材料8が充填されている。出光面側には拡散剤入りシート1が、入光面側にはベースシート3が配置されている。図面では理解のためにこれら三者が離れて表されているが、実際にはこれらは貼り合わされている。
【0074】
一方、図9に示されている光拡散シートにおいては、半載円錐状の単位レンズが垂直平面上に二次元状に配列されている。各単位レンズの半載円錐の頂部平面は同一面上に形成されており、この平面に拡散剤入りシート1が貼り合わされている。隣接する単位レンズ2、2との間の空隙は透明低屈折率層4を介してレンズ間部分9に光吸収粒子5が添加された樹脂材料8が充填されている。図8および図9のいずれに示されている光拡散シートの構成によっても二次元視野角拡大部材による効果を得ることができる。
【0075】
図10は、第二実施形態に備えられる光拡散シートS2において、単位レンズ2の出光面(断面形状台形の上底に相当する部分)が観者側に凸に形成されている例を示す図である。このような構成をとることにより製造工程において、先に単位レンズ2の部分を形成して、その後レンズ間部分9に光吸収粒子5を添加した材料8を充填する工程をとる場合、充填後にブレードにて出光面に残った光吸収粒子5を完全に取り去ることができる。
【0076】
次に図11〜図13を参照しつつ本実施形態に備えられる二次元視野角拡大部材の製造方法について説明する。図11は第一実施形態に具備される光拡散シートS1を2枚組み合わせた二次元視野角拡大部材の製造方法を示すものである。
【0077】
この製造方法に使用される製造装置は、第一型ロール10と、第二型ロール21と、第一ミラーロール29と、第二ミラーロール30と、ベースフィルム供給ロール16と、補助ロール群19、20、27、28、34、37と、電離放射線硬化型樹脂を供給するフィーダー12、15、25、31、32と、電離放射線照射機14、18、24、26、35、36と、ドクターブレード13、23、33とを備えている。
【0078】
図11の二次元視野角拡大部材の製造装置において、所定の速度で回転する第一型ロール10の表面には単位レンズ2を構成する断面形状台形の部分に対応する雌型がロールの長さ方向に彫られている。図12(a)に第一型ロール10のロール表面部の垂直方向断面形状を示す。
【0079】
所定温度に加温された高屈折率樹脂が樹脂フィーダー12から第一型ロール10上に供給され、台形の凹部に充填される。余剰の樹脂をドクターブレード13にて掻き落とした後、電離放射線照射機14にて電離放射線をロール表面に照射して、高屈折率樹脂を硬化させ、単位レンズを形成する。次いでフィーダー15から透明樹脂をロール幅のほぼ全長にわたって供給し第一型ロール10の表面に透明樹脂層を形成する。さらにその上面にベースフィルム17を供給ロール16から巻き出して形成したのち、再び電離放射線照射機18にて電離放射線を照射して、透明樹脂を硬化させる。そして補助ロール19により折り返して、さらに補助ロール20から第二型ロール21へと供給する。
【0080】
この補助ロール19での折り返しの工程により、第一型ロール10の表面凹部に形成されていた断面形状台形の単位レンズは、ロール表面から剥離される。この時点では、図13(a)のE点拡大図で示されるように、ベースフィルム上に透明樹脂層が形成され、さらに透明樹脂層の上面には、断面形状台形の単位レンズが高屈折率樹脂により形成されている。
【0081】
第二型ロール21のロール外周面には、レンズ間部分7を構成する断面形状三角形の部分に対応する雌型がロールの周方向に彫られている。図12(b)に第二型ロール21のロール表面部の水平方向断面形状を示す。
【0082】
再び図11において、所定温度に加温され黒色粒子が混入された低屈折率樹脂が樹脂フィーダー22から第二型ロール21上に供給され、ロール表面の断面形状三角形の凹部に充填される。余剰の樹脂をドクターブレード23にて掻き落とした後、電離放射線照射機24にて電離放射線をロール表面に照射して、黒色粒子混入低屈折率樹脂を硬化させる。次いでフィーダー25から透明樹脂をロール幅のほぼ全長にわたって供給し第二型ロール21の表面に透明樹脂層を形成する。
【0083】
透明樹脂層はロールの回転により送られて、補助ロール20から送られてきた中間製品の下面側に圧着される。そして再び電離放射線照射機26にて電離放射線を照射して、透明樹脂を硬化させる。さらにシートは補助ロール27にて折り返されて補助ロール28からミラーロール29、30側へと送られる。この補助ロール27での折り返しの工程により、第二型ロール21の表面凹部に形成されていた断面形状三角形の黒色粒子混入低屈折率樹脂は、ロール表面から剥離される。この時点においては図13(b)のF点拡大図に示されるように、E点における中間製品の下面に透明樹脂層が形成され、さらにその下側には黒色粒子混入低屈折率樹脂が断面形状三角形に形成されている。
【0084】
二つのミラーロール29、30は、わずかな所定の隙間をなすように配置されており、第一ミラーロール29は反時計回りに、第二ミラーロール30は時計回りに所定の同一速度で回転駆動されている。
【0085】
第一ミラーロール29においては、あらかじめロール表面に黒色粒子混入低屈折率樹脂が、フィーダー31から供給されて、ロールの回転により、硬化前のやわらかい状態でミラーロール29の表面に層をなしている。この層をなす黒色粒子混入低屈折率樹脂は、図13(b)に表されたF点拡大図の最上面にある単位レンズを構成する高屈折率樹脂の間の、断面形状三角形の谷間の部分に充填されるべきものである。
【0086】
一方第二ミラーロール30においては、あらかじめロール表面に高屈折率樹脂が、フィーダー32から供給されて、ロールの回転により、硬化前のやわらかい状態でミラーロール30の表面に層をなしている。この層をなす高屈折率樹脂は、図13(b)に表されたF点拡大図の最下面にある断面形状三角形の黒色粒子混入低屈折率樹脂の間の、断面形状台形の谷間の部分に充填されるべきものである。
【0087】
これらの層が、補助ロール28より送られてきた中間製品シートの両面に、両ミラーロール29、30に挟まれるようにして圧着される。第一ミラーロール29上の柔らかな黒色粒子混入低屈折率樹脂は、圧着されることにより、高屈折率樹脂で形成された断面形状台形の単位レンズの間の断面形状三角形の谷間に隙間なく入り込む。また、第二ミラーロール30上の柔らかな高屈折率樹脂は、圧着されることにより、黒色粒子混入低屈折率樹脂で形成された断面形状三角形の谷間の台形の部分に隙間なく入り込む。さらに図面左側の単位レンズ間に充填された黒色粒子混入低屈折率樹脂は、レンズ出光面となるべき部分からはみ出した余剰分がドクターブレード33により掻き取られる。
【0088】
さらに補助ロール37に至るまでの間にシートの両面側から電離放射線照射機35、36にて電離放射線を照射して、シート両側面部の黒色粒子混入低屈折率樹脂および、高屈折率樹脂を硬化させる。そしてシートは補助ロール37を通過して巻き取り機38に巻き取られる。この時点では、図13(c)のG点拡大図に示されるように、ベースフィルムの上下両面に単位レンズが直交するように二枚の光拡散シートが形成されている。
【0089】
なお、上記工程は、第一型ロール10にて断面形状台形の単位レンズ2を形成するものであるが、第一型ロール10により断面形状三角形のレンズ間部分7を形成して、第二型ロール21にて単位レンズを形成するように構成してもよい。
【実施例】
【0090】
単位レンズを構成する単位レンズ(高屈折率部)2(台形部分)の材料としてエポキシアクリレート、レンズ間部分7の透明低屈折率樹脂としてウレタンアクリレート、光吸収粒子として、大日精化(株)製「ラブコロール」(登録商標)を使用した。
【0091】
「ラブコロール」の平均粒径は8μmで、添加量を50質量%とした。
【0092】
単位レンズ(高屈折率部)2の屈折率は1.57、レンズ間部分7の屈折率は1.45であった。このように構成した光拡散シートをレンズ形成方向が直交するように配置して、LCDパネルとの間にフレネルレンズシートを、観察者側には拡散板を配置した。拡散板は、アクリル製三層構造で、中間層に拡散剤を混入したものを使用した。単位レンズ(高屈折率部)のレンズピッチは50μmとした。また、単位レンズ2の台形部分の上底長さと、低屈折率部の三角形底辺の長さを等しくなるようにし、いわゆるブラックストライプ率が50%となるようにした。さらに頂角θを10°に設定した。
【0093】
このように構成した二次元視野角拡大部材は、透過率が80%、反射率が5%、ゲインが2であった。また、垂直視野角(半値角:ある方向から観視したときの輝度が正面から観視したときの半分になる角度)、および水平視野角(半値角)はそれぞれ25゜であった。
【符号の説明】
【0094】
S1 光拡散シート
S2 光拡散シート
1 拡散剤入りシート
3 ベースシート(透明基材)
4 透明低屈折率層
5 光吸収粒子
6 低屈折率樹脂
7 レンズ間部分
8 高屈折率樹脂
9 レンズ間部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルを備え、
透光性を有するとともに表裏が平坦であるベースフィルムを具備し、
断面形状略台形の複数の単位レンズを一次元方向に形成した2枚の光拡散シートが、前記一次元方向が90°向きが異なって前記ベースフィルムを挟むように該ベースフィルムの表裏に貼付され、それぞれの前記光拡散シートにおいて、前記単位レンズは前記台形の下底を入光部、上底を出光部、斜辺を全反射部とし、前記単位レンズは高屈折率物質で形成され、隣接する前記単位レンズに挟まれた断面形状三角形の部分は前記高屈折率物質の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率物質で形成されるとともに、前記低屈折率物質には光吸収粒子が添加されている二次元視野角拡大部材を有し、
前記二次元視野角拡大部材は前記液晶パネルの観察者側に配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光吸収粒子の前記低屈折率物質中への添加量は、10〜60質量%であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光吸収粒子の平均粒径は、前記断面形状台形の上底を形成する前記単位レンズ出光部の長さの1/30〜2/3であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
液晶パネルを備え、
透光性を有するとともに表裏が平坦であるベースフィルムを具備し、
断面形状略台形の複数の単位レンズを一次元方向に形成した2枚の光拡散シートが、前記一次元方向が90°向きが異なって前記ベースフィルムを挟むように該ベースフィルムの表裏に貼付され、それぞれの前記光拡散シートにおいて、前記単位レンズは前記台形の下底を入光部、上底を出光部、斜辺を全反射部とし、前記単位レンズは高屈折率物質で形成され、前記全反射部を構成する斜辺の部分には前記高屈折率物質の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率物質により、透明低屈折率層が形成されている二次元視野角拡大部材を有し、
前記二次元視野角拡大部材は前記液晶パネルの観察者側に配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記透明低屈折率層の層厚は、0.1μm以上であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記透明低屈折率層に挟まれた断面形状三角形の部分には、前記透明低屈折率層を形成する物質の屈折率より高い屈折率を有する物質に光吸収粒子が添加されて充填されていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記2枚の光拡散シートのそれぞれにおいて、前記高屈折率物質の屈折率をN1、前記低屈折率物質の屈折率をN2、前記台形の斜辺が前記出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
かつ
N1<1/sin2θ
なる関係が成立することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された表示装置。
【請求項8】
前記2枚の光拡散シートのそれぞれにおいて、前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された表示装置。
【請求項9】
前記屈折率N1およびN2、並びに前記台形の上底の長さTおよび高さHが、
1<N1<5.76
0.23<N2/N1<0.996
かつ
H<T/0.57
なる関係を満たすことを特徴とする請求項8に記載された表示装置。
【請求項10】
前記二次元視野角拡大部材の前記液晶パネル側には拡散剤を混入したシートが貼り合わされていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
前記二次元視野角拡大部材より観察者側に反射防止、ハードコート、偏光フィルター、帯電防止、防眩処理、防汚処理、タッチセンサのうち少なくとも一つの機能を備えたシートが配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
前記二次元視野角拡大部材は前記液晶パネルに、接着により一体化していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】
前記液晶パネルから出射される映像光は、半値角で略5°〜15°であることを特徴とする請求項1〜12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記各光拡散シートの単位レンズの方向は、前記液晶パネルの画素の方向とは異なるように配置されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−98751(P2012−98751A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13079(P2012−13079)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【分割の表示】特願2008−319415(P2008−319415)の分割
【原出願日】平成13年8月27日(2001.8.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】