表示装置
【課題】運用・管理者が遠隔からも画像表示状況等のメンテナンスが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル148を備えて所定の画像を表示する表示装置において、液晶パネル148と対向配置され、液晶パネル148からの光を反射する反射パネル149と、液晶パネル148にもうけられており、反射パネル149によって反射された光を用いた撮像を行う撮像素子CCDとを備え、自機の液晶パネル148の画像表示状況を、自ら撮像する。
【解決手段】液晶パネル148を備えて所定の画像を表示する表示装置において、液晶パネル148と対向配置され、液晶パネル148からの光を反射する反射パネル149と、液晶パネル148にもうけられており、反射パネル149によって反射された光を用いた撮像を行う撮像素子CCDとを備え、自機の液晶パネル148の画像表示状況を、自ら撮像する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画素を有する液晶パネルを備えて画像の表示を行う表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の画質を向上させるための様々な技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、マルチスクリーンディスプレイの各コアの画面それぞれを複数のブロックに分けてコア毎に映像信号を補正するデータ変換器を設け、該データ変換器はLUTで構成し、かつ各データ変換器のデータをコア内の輝度むらとコア相互の輝度むらとがなくなるように演算制御装置を介して補間演算処理を用いて調整することにより、輝度むらを補正して高画質化を図るマルチスクリーンディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−173523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、例えば、街頭又は通路等に設置された広告用のディスプレイ、駅構内に設置された案内用のディスプレイ等の表示装置においては、該表示装置の液晶パネルを構成するサブ画素又は画素等の点灯状況を適宜チェックする必要がある。このため、運用・管理者は各表示装置の設置場所まで足を運び、該表示装置の画像表示状況を目視にて確認するか、又は別途設置されたカメラで遠隔監視する等の手間のかかる方法を用いていた。また、上述したような特許文献1のマルチスクリーンディスプレイでは、画像表示状況の確認方法等について考慮されておらず、このような問題を解決することができない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液晶パネルを備えて所定の画像を表示する表示装置において、前記液晶パネルと対向配置され、該液晶パネルからの光を反射する反射パネルと、前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う撮像素子とを備え、自機の液晶パネルの画像表示状況を、自ら撮像することにより、例えば、運用・管理者が、実運用、表示中の該表示装置を、撮像されたデータに基づく画像を用いて、遠隔メンテナンス可能な形で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、複数の画素を有する液晶パネルを備え、画像を表示する表示装置において、前記液晶パネルと対向配置され、該液晶パネルからの光を反射する反射パネルと、前記液晶パネルに設けられ、前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う撮像素子とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、前記反射パネルが前記液晶パネルと対向配置されており、該液晶パネルからの光を該液晶パネル側に反射する。この際、前記液晶パネルに設けられた撮像素子が前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う。
【0009】
本発明に係る表示装置は、前記反射パネルは、前記液晶パネルとの対向面に反射面を有する反射絵素と、前記画素からの光を選択的に透過させる透過絵素とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、前記反射パネルの反射絵素が前記液晶パネルとの対向面に反射面を有し、前記液晶パネルからの光を該液晶パネル側に反射する。また、前記反射パネルの透過絵素は前記画素からの光を選択的に透過させる。
【0011】
本発明に係る表示装置は、前記反射パネルは、前記反射絵素及び透過絵素からなる反射ドットが2次元に配列され、前記液晶パネルは、前記画素及び撮像素子からなる表示ドットが2次元に配列されており、前記反射ドットと、前記表示ドットとは、前記対向配置の方向における位置が整合するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、前記反射パネルには、前記反射ドットが2次元に配列されており、前記液晶パネルには、前記表示ドットが2次元に配列されている。かつ、前記反射ドットと、前記表示ドットとは、前記液晶パネル及び反射パネルの対向配置の方向における位置が整合するように構成されている。
【0013】
本発明に係る表示装置は、前記撮像素子及び反射絵素、並びに前記画素及び透過絵素は、各々前記対向配置の方向における位置が整合するように構成され、前記反射絵素は、一部が前記画素とオーバーラップするように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、前記撮像素子及び反射絵素の位置が、前記液晶パネル及び反射パネルの対向配置の方向において整合するように構成されており、また、前記画素及び透過絵素の位置も、前記液晶パネル及び反射パネルの対向配置の方向において整合するように構成されている。更に、前記反射絵素は、その一部が前記画素とオーバーラップするように構成され、前記反射絵素によって反射された光の前記撮像素子への入射をより確実にしている。
【0015】
本発明に係る表示装置は、前記反射パネルは、前記画素からの光を透過又は反射させる透過反射絵素を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、前記反射パネルの透過反射絵素は前記画素からの光を透過又は反射させる。該反射の際、該透過反射絵素は、前記液晶パネルからの光を該液晶パネル側に反射する。前記撮像素子が前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う。
【0017】
本発明に係る表示装置は、前記反射パネルは、前記透過反射絵素が2次元に配列され、前記液晶パネルは、前記画素及び撮像素子からなる表示ドットが2次元に配列されており、前記透過反射絵素と、前記表示ドットとは、前記対向配置の方向における位置が整合するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、前記反射パネルには前記透過反射絵素が2次元に配列されており、前記液晶パネルには前記表示ドットが2次元に配列されている。また、前記透過反射絵素と、前記表示ドットとは、前記液晶パネル及び反射パネルの対向配置の方向におけるその位置が整合するように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表示装置が自機の液晶パネルの画像表示状況を、自ら撮像することができるので、例えば、運用・管理者が、撮像されたデータに基づく画像を用いて遠隔からも該表示装置をメンテナンスすることができ、該表示装置の設置場所まで足を運ぶ必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る表示装置の外観を示した図である。
【図2】本発明に係る表示装置の要部構成を表わす機能ブロック図である。
【図3】本発明に係る表示装置における、表示パネル部とバックライトとを示す模式図である。
【図4】本発明に係る表示装置における、画素及び撮像素子、並びに透過絵素及び反射絵素の位置関係を説明する説明図である。
【図5】本発明に係る表示装置における、画素及び撮像素子、並びに透過絵素及び反射絵素の位置関係を説明する説明図である。
【図6】本発明に係る表示装置における、液晶パネルの駆動に係る回路と、液晶パネルの周辺回路とを示した図である。
【図7】本発明に係る表示装置において、撮像素子回路の動作に係るタイミングチャートを示した図である。
【図8】本発明に係る表示装置における、透過絵素の制御を説明する説明図である。
【図9】本発明に係る表示装置において、撮像素子によって撮像される領域(撮像領域)の一例を示す例示図である。
【図10】本発明に係る表示装置において、格子状のパタンを用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。
【図11】本発明に係る表示装置において、格子状のパタンを用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。
【図12】本発明に係る表示装置において、輝度信号波形の重畳期間の検出を用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。
【図13】本発明に係る表示装置において、輝度信号波形の重畳期間の検出を用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。
【図14】本発明に係る表示装置の撮像素子がセンサアレイである場合における、液晶パネル及び反射パネルの間隔と、必要な撮像素子の数との関係を説明するための説明図である。
【図15】本発明に係る表示装置の撮像素子がセンサアレイである場合における、液晶パネル及び反射パネルの間隔と、必要な撮像素子の数との関係を説明するための説明図である。
【図16】本発明に係る表示装置における、表示パネル部とバックライトとを示す模式図である。
【図17】本発明に係る表示装置の透過反射絵素の構成及び作用を説明する模式的断面図である。
【図18】本発明に係る表示装置の透過反射絵素の構成及び作用を説明する模式的断面図である。
【図19】本発明に係る表示装置における、画素及び撮像素子、並びに透過反射絵素の位置関係を説明する説明図である。
【図20】本発明に係る表示装置における、画素及び撮像素子、並びに透過反射絵素の位置関係を説明する説明図である。
【図21】本発明に係る表示装置における、透過反射絵素の制御を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る表示装置を、デジタルサイネージ等の大型液晶ディスプレイを例とし、図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明に係る表示装置100の外観を示した図である。
【0023】
表示装置100は、光センサ内蔵型の表示パネル部140を備えている。
【0024】
図2は本発明に係る表示装置100の要部構成を表わす機能ブロック図である。表示装置100は、演算処理装置101と、表示処理装置102とを含むものとする。
【0025】
なお、演算処理装置101はPC等の電子情報機器であっても良い。この場合、演算処理装置101及び表示処理装置102は必ずしも一体化している必要はない。
【0026】
演算処理装置101は、CPU110と、RAM171と、ROM172と、メモリカードリーダライタ173と、通信部174と、マイク175と、スピーカ176と、操作キー177とを備える。各構成要素は、相互にデータバスDB1によって接続されている。メモリカードリーダライタ173には、メモリカード1731が装着される。
【0027】
CPU110は、プログラムを実行する。操作キー177は、表示装置100の使用者による指示の入力を受ける。RAM171は、CPU110によるプログラムの実行により生成されたデータ、又は操作キー177を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM172は、データを不揮発的に格納する。また、ROM172は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどのデータの書込み及び消去が可能なROMである。通信部174は、図示しない他の電子機器との間で無線通信を行う。なお、図2には図示していないが、表示装置100が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(IF)を備える構成としてもよい。
【0028】
表示処理装置102は、ドライバ130と、表示パネル部140と、内部IF(Interface)178と、バックライト179と、画像処理エンジン180とを更に備える。
【0029】
ドライバ130は、表示パネル部140及びバックライト179を駆動するための駆動回路である。ドライバ130に含まれる各種の駆動回路については、後述する。
【0030】
表示パネル部140は、液晶パネル148及び反射パネル149を有している。液晶パネル148は、複数の画素を有し、液晶ディスプレイとしての機能と、撮像素子を有し、光センサとしての機能とを備えたデバイスである。つまり、液晶パネル148は、液晶を用いた画像の表示と、光センサを用いたセンシング(撮像)とを行うことができる。また、反射パネル149は、液晶パネル148からの光を反射して該液晶パネル148側に戻す。
【0031】
内部IF178は、演算処理装置101からの映像を含む信号データを表示処理装置102に伝達する。例えば、アナログVGA、DVI(Digital Visual Interface)、HDMI(High Definition Multimedia Interface)、Displayport、及びRS−232C等の規格に基づいた接続を行なっても良い。該信号データのやりとりは、必ずしも一つのIFで行う必要はなく、例えば、映像信号、音声信号、制御信号別に各々構成されても良い。また内部IF178は演算処理装置101に限らず、PC等の情報機器との間で信号データを送受信する構成であっても良い。
【0032】
バックライト179は、表示パネル部140(液晶パネル148)の裏面側に配置された光源である。バックライト179は、表示パネル部140(液晶パネル148)の裏面に対して均一な光を照射する。
【0033】
画像処理エンジン180は、ドライバ130を介して表示パネル部140の動作を制御する。ここで、当該制御は、内部IF178を介して演算処理装置101から送られてくる各種信号データに基づいて行われる。なお、当該各種信号データは、後述するコマンド(例えば、センシング指示)を含む。また、画像処理エンジン180は、表示パネル部140を介して入力されるデータを処理し、処理したデータを内部IF178を介して演算処理装置101に送る。さらに、画像処理エンジン180は、ドライバ制御部181と、タイマ182と、信号処理部183とを有する。
【0034】
ドライバ制御部181は、ドライバ130に対して制御信号を送ることによりドライバ130の動作を制御する。また、ドライバ制御部181は、演算処理装置101から送られてくるコマンドを解析する。そして、ドライバ制御部181は、当該解析の結果に基づいた制御信号をドライバ130に送る。ドライバ130の動作の詳細については、後述する。
【0035】
タイマ182は、時刻情報を生成し、信号処理部183に対して時刻情報を送る。また、信号処理部183は、前記光センサから出力されるデータを受け取る。ここで、前記光センサから出力されるデータはアナログデータであるため、信号処理部183は、まず当該アナログデータをデジタルデータに変換する。さらに、信号処理部183は、当該デジタルデータに対して、演算処理装置101から送られてくるコマンドの内容に応じたデータ処理を行う。そして、信号処理部183は、前記データ処理を行なった後のデータと、タイマ182から取得した時刻情報とを含んだデータ(以下、応答データと言う。)を演算処理装置101に送る。
【0036】
なお、タイマ182は、必ずしも画像処理エンジン180に備えられている必要はない。例えば、タイマ182は、表示処理装置102内における、画像処理エンジン180の外部に備えられていてもよい。又は、タイマ182は、演算処理装置101に備えられていてもよい。また、マイク175及びスピーカ176は、表示装置100が常に備える構成ではなく、表示装置100の実施例によっては、マイク175及びスピーカ176のいずれかあるいは両方を有さない構成であってもよい。
【0037】
本実施の形態では、ドライバ130(バックライト179を駆動する回路を除く)と、内部IF178と、画像処理エンジン180とが、液晶パネル148のガラス基板上に一体形成されている。
【0038】
ところで、表示装置100における処理は、各ハードウェア及びCPU110により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ROM172に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、メモリカード1731その他の記憶媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、メモリカードリーダライタ173その他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信部174または通信IF(図示せず)を介してダウンロードされた後、ROM172に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU110によってROM172から読み出され、RAM171に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU110は、そのプログラムを実行する。
【0039】
図3は本発明に係る表示装置100における、表示パネル部140とバックライト179とを示す模式図である。
【0040】
表示パネル部140は、上述したように、液晶パネル148及び反射パネル149を有している。液晶パネル148の表側には反射パネル149が設けられ、液晶パネル148の裏側にはバックライト179が設けられている。液晶パネル148及び反射パネル149は互いに対向するように設けられている。従って、バックライト179が発する光は、液晶パネル148を透過して反射パネル149側に進行する。
【0041】
液晶パネル148は、バックライト179からの光を用いて所定の画像を表示する複数の画素Pを有する。該画素Pは、2次元に配列されており、赤色のカラーフィルタを有するR絵素Rspと、緑色のカラーフィルタを有するG絵素Gspと、青色のカラーフィルタを有するB絵素Bspとから構成されている。
【0042】
更に、液晶パネル148は、2次元に配列された複数の撮像素子CCDを有している。撮像素子CCDは、図示しないフォトダイオード及び薄膜トランジスタを有しており、該フォトダイオードで光電効果を利用し光の強さを電荷の量に置き換えられる、それ自体公知のものである。撮像素子CCDは、バックライト179を光源とし、液晶パネル148を透過して反射パネル149によって反射される光を用いて撮像を行う。換言すれば、反射パネル149によって、液晶パネル148の表側の様子の像が反射され、撮像素子CCDが斯かる像を撮像する。撮像素子CCDによって得られる撮像データは、信号処理部183に送られる。例えば、信号処理部183では、各撮像素子CCDからの撮像データを取得して、これに基づき、液晶パネル148の表側の全体像を表す画像データを合成し、これは液晶パネル148に表示し、又は通信部174を介して外部に送られる。
【0043】
反射パネル149は、2次元に配列された、複数の透過絵素149A及び反射絵素149Bを備えている。
【0044】
透過絵素149Aは、液晶パネル148(画素P)を透過した光を遮り、又は透過させる。詳しくは、透過絵素149Aは、いわゆる、白色絵素と同様に、カラーフィルタが付されていないか、透明なカラーフィルタが付されている。従って、ドライバ130が透過絵素149Aに印加する電圧を切り替えることにより、選択的に液晶パネル148からの光を透過させることが出来る。
【0045】
反射絵素149Bは、表側面に低反射面が形成され、裏側面には鏡面が形成されており、該鏡面が液晶パネル148(画素P)を透過した光を反射させる。該鏡面は、例えば、アルミニウム、銀等の薄膜から構成されている。
【0046】
図4及び図5は本発明に係る表示装置100における、画素P及び撮像素子CCD、並びに透過絵素149A及び反射絵素149Bの位置関係を説明する説明図である。
【0047】
一対の画素P及び撮像素子CCDは1つのドットを構成し、一対の透過絵素149A及び反射絵素149Bは1つのドットを構成している。画素P及び撮像素子CCDからなるドットと、透過絵素149A及び反射絵素149Bからなるドットとは、反射パネル149及び液晶パネル148の対向方向において、同一の面積を有すると共に、その位置が整合するように設けられている。前記対向方向において、撮像素子CCDと反射絵素149Bとの位置が整合しており、画素Pと透過絵素149Aとの位置が整合している。
【0048】
撮像素子CCD及び反射絵素149Bは各々矩形を有しており、これらはその長手方向が同一方向になるように設けられている。また、反射絵素149Bの短手方向における寸法(幅)は、撮像素子CCDの幅より大きい。従って、反射絵素149Bは、幅方向(短手方向)の一部が、前記対向方向において、画素Pとオーバーラップしている。すなわち、図5に示すように、画素Pの表側の像が反射絵素149Bの鏡面149Brによって反射され、撮像素子CCDに確実に入射するように構成されている。
【0049】
次に、表示パネル部140の構成と、表示パネル部140の周辺回路の構成とについて説明する。図6は本発明に係る表示装置100における、液晶パネル148の駆動に係る回路と、液晶パネル148の周辺回路とを示した図である。
【0050】
液晶パネル148は、画素Pを駆動させる画素回路141と、撮像素子CCDを駆動させる撮像素子回路144とを有している。更に、液晶パネル148は、走査信号線Giと、データ信号線SRjと、データ信号線SGjと、データ信号線SBjと、センサ信号線SSjと、センサ信号線SDjと、読出信号線RWiと、リセット信号線RSiとを有する。なお、iは、1≦i≦mを満たす自然数であり、jは1≦j≦nを満たす自然数である。
【0051】
また、図2に示した表示処理装置102のドライバ130は、表示パネル部140の周辺回路として、走査信号線駆動回路131と、データ信号線駆動回路132と、撮像素子駆動回路133と、スイッチ134と、アンプ135とを有する。
【0052】
走査信号線駆動回路131は、図2に示すドライバ制御部181から制御信号TC1を受ける。そして、走査信号線駆動回路131は、制御信号TC1に基づき、各走査信号線(G1〜Gm)に対して、走査信号線G1から順に予め定められた電圧を印加する。より詳しくは、走査信号線駆動回路131は、単位時間毎に走査信号線(G1〜Gm)の中から1つの走査信号線を順次選択し、当該選択した走査信号線に対して後述するTFT(Thin Film Transistor)142のゲートをターンオンできるだけの電圧(以下、ハイレベル電圧)を印加する。なお、選択されていない走査信号線に対しては、ハイレベル電圧を印加することなく、ローレベル電圧を印加したままとする。
【0053】
データ信号線駆動回路132は、図2に示すドライバ制御部181から画像データ(DR,DG,DB)を受ける。そして、データ信号線駆動回路132は、3n個のデータ信号線(SR1〜SRn,SG1〜SGn,SB1〜SBn)に対して、前記単位時間毎に、1行分の画像データに対応する電圧を順次印加する。
【0054】
画素回路141は、1つの画素の輝度(透過率)を設定するための回路である。また、画素回路141は、マトリクス状にm×n個配されている。より詳しくは、画素回路141は、図6の縦方向にm個、横方向にn個配されている。
【0055】
画素回路141は、R絵素Rspを駆動させるR絵素回路141rと、G絵素Gspを駆動させるG絵素回路141gと、B絵素Bspを駆動させるB絵素回路141bとからなる。これら3つの回路(141r,141g,141b)の各々は、各絵素(Rsp,Gsp,Bsp)を構成する、TFT142と、画素電極と対向電極とからなる1組の電極対143と、図示しないコンデンサとを適宜駆動させる。
【0056】
なお、n型のトランジスタとp型のトランジスタとを作れるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を実現できること、キャリア(電子または正孔)の移動速度がアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(a-Si TFT)に比べて数百倍早いことなどから、表示処理装置102では、TFT142として多結晶シリコン薄膜トランジスタ(p-Si TFT)が用いられる。なお、TFT142は、n型チャネルの電界効果トランジスタであるとして説明する。ただし、TFT142がp型チャネルの電界効果トランジスタであっても良い。
【0057】
R絵素回路141r内のTFT142のソースはデータ信号線SRjに接続されている。当該TFT142のゲートは走査信号線Giに接続されている。さらに、TFT142のドレインは、電極対143の画素電極に接続される。そして、画素電極と対向電極との間には、液晶が配される。なお、G絵素回路141g及びB絵素回路141bについても、各TFT142のソースが接続されるデータ信号線が異なる以外は、R絵素回路141rと同じ構成であるので、これら2つの回路(141g,141b)についての説明は、省略する。
【0058】
ここで、画素回路141における輝度の設定について説明する。まず、走査信号線Giに前記ハイレベル電圧を印加する。当該ハイレベル電圧の印加により、TFT142のゲートがターンオンする。このようにTFT142のゲートがターンオンした状態で、各データ信号線(SRj,SGj,SBj)に対して、それぞれ指定された電圧(1画素分の画像データに対応する電圧)を印加する。これにより、当該指定された電圧に基づいた電圧が画素電極に印加される。その結果、画素電極と対向電極との間に電位差が生じる。この電位差に基づいて、液晶が応答し、画素の輝度は予め定められた輝度に設定される。
【0059】
撮像素子駆動回路133は、図2に示すドライバ制御部181から制御信号TC2を受ける。
【0060】
そして、撮像素子駆動回路133は、制御信号TC2に基づき、単位時間毎にリセット信号線(RS1〜RSm)の中から1つの信号線を順次選択し、選択した信号線に対して、予め定められたタイミングで通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。なお、選択されていないリセット信号線に対しては、選択されたリセット信号線に印加した電圧よりも低い電圧VSSRを印加したままとする。例えば、電圧VDDRを0Vに、電圧VSSRを−5Vに設定すればよい。
【0061】
また、撮像素子駆動回路133は、制御信号TC2に基づき、単位時間毎に読出信号線(RW1〜RWm)の中から1つの信号線を順次選択し、当該選択した信号線に対して、予め定められたタイミングで通常よりもハイレベルな電圧VDDを印加する。なお、選択されていない読出信号線に対しては、前記電圧VSSRを印加したままとする。例えば、VDDの値を8Vに設定すればよい。
【0062】
なお、電圧VDDRを印加するタイミング、及び電圧VDDを印加するタイミングについては、後述する。
【0063】
撮像素子回路144は、撮像素子CCDを構成する、フォトダイオード145、コンデンサ146、TFT147等を適宜駆動させる。なお、以下では、TFT147がn型チャネルの電界効果トランジスタであるとして説明する。ただし、TFT147がp型チャネルの電界効果トランジスタであっても良い。
【0064】
フォトダイオード145のアノードは、リセット信号線RSiに接続されている。一方、フォトダイオード145のカソードは、コンデンサ146の一方の電極に接続されている。また、コンデンサ146の他方の電極は、読出信号線RWiに接続されている。なお、以下では、フォトダイオード145とコンデンサ146との接続点をノードNと言う。
【0065】
TFT147のゲートは、ノードNに接続されている。また、TFT147のドレインは、センサ信号線SDjに接続されている。さらに、TFT147のソースは、センサ信号線SSjに接続されている。撮像素子回路144を用いたセンシングの詳細については、後述する。
【0066】
スイッチ134は、センサ信号線(SD1〜SDn)に対して、予め定められた電圧の印加又は非印加を切換えるために設けられたスイッチである。スイッチ134の切換え動作は、撮像素子駆動回路133により行われる。なお、スイッチ134が導通状態となった場合にセンサ信号線(SD1〜SDn)に印加される電圧については、後述する。
【0067】
アンプ135は、各センサ信号線(SS1〜SSn)から出力された電圧を増幅する。なお、増幅された電圧は、図2に示した信号処理部183に送られる。
【0068】
なお、画素回路141を用いて画像を液晶パネル148に表示させるタイミングと、撮像素子回路144を用いてセンシングするタイミングとについては、画像処理エンジン180が制御する。
【0069】
ここで、撮像素子回路144の動作について説明する。図7は本発明に係る表示装置100において、撮像素子回路144の動作に係るタイミングチャートを示した図である。図7において、電圧VINTは、撮像素子回路144内のノードNにおける電位を示している。また、電圧VPIXは、図6に示したセンサ信号線SSjからの出力電圧であって、アンプ135によって増幅される前の電圧を示している。
【0070】
以下では、撮像素子回路144をリセットするためのリセット期間と、撮像素子回路144を用いて反射絵素149Bからの反射光をセンシング(撮像)するためのセンシング期間と、センシングした結果を読み出す読出期間とに分けて説明する。
【0071】
まず、リセット期間について説明する。リセット期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧を、ローレベル(電圧VSSR)からハイレベル(電圧VDDR)へと瞬間的に切換える。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)のままとする。このように、リセット信号線RSiに前記ハイレベルの電圧を印加することにより、フォトダイオード145の順方向(アノード側からカソード側)に電流が流れ始める。その結果、ノードNの電位である電圧VINTは、以下の式(1)で示す値となる。なお、式(1)では、フォトダイオード145における順方向の電圧降下量をVfとしている。
【0072】
VINT=VSSR+|VDDR−VSSR|−Vf … (1)
それゆえ、ノードNの電位は、図7に示すとおり、電圧VDDRよりもVfだけ小さな値となる。
【0073】
ここで、電圧VINTは、TFT147のゲートをターンオンさせる閾値以下であるため、センサ信号線SSjからの出力はない。このため、電圧VPIXは変化しない。また、コンデンサ146の電極間には、前記電圧VINT分の差が生じる。このため、コンデンサ146には、当該差に応じた電荷が蓄積される。
【0074】
次に、センシング期間について説明する。リセット期間に続くセンシング期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧は、ハイレベル(電圧VDDR)からローレベル(電圧VSSR)へと瞬間的に切り換わる。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)のままとする。
【0075】
このように、リセット信号線RSiに印加する電圧をローレベルに変化させることにより、ノードNの電位は、リセット信号線RSiの電圧及び読出信号線RWiの電圧よりも高くなる。このため、フォトダイオード145においては、カソード側の電圧がアノード側の電圧よりも高くなる。つまり、フォトダイオード145は、逆バイアスの状態となる。このような逆バイアスの状態において、光源からの光をフォトダイオード145が受光すると、フォトダイオード145のカソード側からアノード側へと電流が流れ始める。その結果、図7に示すとおり、ノードNの電位(つまり、電圧VINT)は時間の経過とともに低くなる。
【0076】
なお、このように電圧VINTが低下し続けるため、TFT147のゲートはターンオンした状態にはならない。それゆえ、センサ信号線SSjからの出力はない。このため、電圧VPIXは変化しない。
【0077】
次に、読出期間について説明する。センシング期間に続く読出期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧をローレベル(電圧VSSR)のままとする。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)からハイレベル(電圧VDD)へと瞬間的に切り換わる。ここで、電圧VDDは、電圧VDDRよりも高い値である。
【0078】
このように、読出信号線RWiにハイレベルの電圧を瞬間的に印加することにより、図7に示すとおり、コンデンサ146を介してノードNの電位が引き上げられる。なお、ノードNの電位の上昇幅は、読出信号線RWiに印加する電圧に応じた値となる。ここで、ノードNの電位(つまり、電圧VINT)が、TFT147のゲートをターンオンさせる閾値以上まで引き上げられるため、TFT147のゲートがターンオンする。
【0079】
この際、TFT147のドレイン側に接続されたセンサ信号線SDj(図6参照)に予め一定電圧を印加しておけば、TFT147のソース側に接続されたセンサ信号線SSjからは、図7のVPIXのグラフに示すとおり、ノードNの電位に応じた電圧が出力される。
【0080】
ここで、フォトダイオード145が受光する光の量(以下、受光量と言う)が少ないと、図7のVINTのグラフに示す直線の傾きが緩やかになる。その結果、電圧VPIXは、受光量が多い場合に比べて高くなる。このように、撮像素子回路144は、フォトダイオード145の受光量に応じて、センサ信号線SSjに出力する電圧の値を変化させる。
【0081】
ところで、上記においては、m×n個存在する撮像素子回路のうち、1つの撮像素子回路144について、その動作を説明した。以下では、表示パネル部140における各撮像素子回路の動作について説明する。
【0082】
まず、撮像素子駆動回路133は、n個のセンサ信号線(SD1〜SDn)の全てに対して、予め定められた電圧を印加する。次に、撮像素子駆動回路133は、リセット信号線RS1に対して、通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。なお、他のリセット信号線(RS2〜RSm)及び読出信号線(RW1〜RWm)については、ローレベルの電圧を印加したままの状態とする。これにより、図6における1行目のn個の撮像素子回路が、上述したリセット期間に入る。その後、1行目のn個の撮像素子回路は、上述したように、センシング期間に入り、その後、1行目のn個の撮像素子回路は、読出期間に入る。
【0083】
なお、n個のセンサ信号線(SD1〜SDn)の全てに対して予め定められた電圧を印加するタイミングは、上記のタイミングに限定されず、少なくとも読出期間前に印加されるタイミングであればよい。
【0084】
1行目のn個の撮像素子回路の読出期間が終了すると、撮像素子駆動回路133は、リセット信号線RS2に対して、通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。つまり、2行目のn個の撮像素子回路のリセット期間に入る。リセット期間が終了すると、2行目のn個の撮像素子回路は、センシング期間に入り、その後は、読出期間に入る。
【0085】
以降は、上述した処理が、順に、3行目のn個の撮像素子回路、4行目のn個の撮像素子回路、…m行目のn個の撮像素子回路に対して行われる。その結果、センサ信号線(SS1〜SSn)からは、1行目のセンシング結果、2行目のセンシング結果、…、m行目のセンシング結果が、この順に出力される。
【0086】
一方、上述したセンシング期間の間、ドライバ130は反射パネル149の透過絵素149Aを制御し、液晶パネル148からの光が透過できないように遮断する。例えば、前記センシング期間の間、ドライバ130は透過絵素149Aの電極対の間に電圧を印加することにより、透過絵素149Aを不透明状態にする。
【0087】
図8は本発明に係る表示装置100における、透過絵素149Aの制御を説明する説明図である。
【0088】
撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)が前記センシングを行なっていない場合、例えば、液晶パネル148に所定の画像を表示している場合は、ドライバ130は透過絵素149Aへの電圧印加を行わない。従って、透過絵素149Aは透明な状態であり、液晶パネル148からの光が透過できる。換言すれば、この場合、透過絵素149Aを介して、液晶パネル148のR絵素Rsp、G絵素Gsp及びB絵素Bspが視認できるので、反射パネル149の表側の観察者が、液晶パネル148に表示された画像を視認することが可能となる。
【0089】
一方、撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)が前記センシングを行う場合は、ドライバ130が透過絵素149Aへの電圧印加を行う。従って、透過絵素149Aは不透明な状態となり、この状態にて前記センシング(撮像)が行われる。すなわち、該センシングの際、撮像素子CCDのフォトダイオード145は、反射絵素149Bから反射された光を受光する。また、フォトダイオード145が受光した光の光量に応じた電圧がセンサ信号線SSjから出力される。
【0090】
更に、このとき、透過絵素149Aは不透明の状態であるので、透過絵素149Aの裏側からも透過絵素149Aの表側が視認できない。従って、撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)によるセンシングの際、透過絵素149Aを介して、表側の像が共に撮像されることを防止する。
【0091】
この場合、斯かるセンシングの間は、反射パネル149の表側の観察者から、液晶パネル148に表示される画像の視認が出来なくなるが、透過絵素149Aを倍速駆動させることにより、反射パネル149の表側の観察者による液晶パネル148に表示された画像の視認には支障が生じない。すなわち、透過絵素149Aにおいて、透明及び不透明の間の切り替えを非常に速い速度、例えば120Hz、又は240Hzのリフレッシュレートにて実施することにより、反射パネル149の表側の観察者による液晶パネル148に表示された画像の視認に違和感を生じさせない。
【0092】
なお、これに限るものでなく、液晶パネル148に所定の画像を表示させる必要性がない時間帯、又は該必要性が低い時間帯にのみ、斯かるセンシングが行われるように構成しても良い。例えば、本実施の形態に係る表示装置100を、街頭又は通路等に設置された広告用のディスプレイに適用した場合は、人通りの少ない深夜、週末などに前記センシングが行われるように構成すれば良い。
【0093】
上述したように、本発明に係る表示装置100においては、液晶パネル148の表側の画像表示状況が反射パネル149によって反射され、撮像素子CCDが斯かる像を撮像する。すなわち、各撮像素子CCDによって得られる各画素Pに係る撮像データは、信号処理部183に送られ、信号処理部183によって液晶パネル148の表側の全体像を表す画像データが得られる。従って、表示装置100を図示しない外部の表示装置と接続して、斯かる画像データを通信部174を介して該表示装置に送信することにより、該画像データに基づく画像を用いて液晶パネル148の表側の様子が確認できるので、表示装置100の遠隔メンテナンス、例えば、該表示装置のドット欠け、表示ムラ、焼き付き、及びマルチディスプレイで構成されるシステムにおけるディスプレイ間での輝度ずれ、色度ずれ等の遠隔監視が可能となる。
【0094】
なお、本発明に係る表示装置100においては、例えば、その出荷時において、液晶パネル148と反射パネル149との位置ずれを防ぐために、予め位置合わせの処理を行うことが効果的である。
【0095】
以下に、液晶パネル148及び反射パネル149の位置合わせの処理について、2つの例を説明する。図9は本発明に係る表示装置100において、撮像素子CCDによって撮像される領域(撮像領域)の一例を示す例示図である。以下、説明の便宜上、図9に示すように、各撮像素子CCDによる撮像領域が互いに重畳している場合を例として説明する。また、図9中、1〜4の撮像領域(4つのCCDによる、互いに重畳する撮像領域)に対する処理を例に挙げて説明する。
【0096】
まず、前記位置合わせの処理として、格子状のパタンを用いる方法がある。図10及び図11は格子状のパタンを用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。斯かる位置合わせの処理においては、図10に示すように反射パネル149を格子状に分割したパタンに基づき、各撮像領域の内、他の撮像領域と重畳する部分(図11中、ハッチング部分)を算定し、斯かる重畳部分が均一になるように位置合わせを行い、又は該重畳部分がなくなるように位置合わせを行う。該重畳部分の算定には、各撮像素子CCDによって撮像された画像の重ね合わせ及び解析等、それ自体公知の技術を用いる。
【0097】
次に、撮像領域での輝度信号波形の重畳期間を検出することによって前記位置合わせの処理を行う方法を示す。図12及び13は輝度信号波形の重畳期間に着目した、位置合わせの処理を説明する説明図である。斯かる位置合わせの処理においては、図12に示すように、X軸における一列の画素PからなるラインL1(図中、点線にて囲む)と、Y軸における一例の画素PからなるラインL2(図中、点線にて囲む)とを、一定タイミングにて、各々の矢印方向に移動させながら表示させることにより、輝度信号波形の重畳期間を検出する。すなわち、斯かる移動表示の際、各撮像領域では当該領域範囲において輝度の増加が現れるが、前記重畳部分では、当該2つの撮像領域にて共に輝度の増加が現れる。
【0098】
例えば、上述したように、Y軸に沿う画素PのラインL2がX軸方向に移動表示を行なった場合、先に、1及び3の撮像領域に係る輝度の増加が現れ、次に、2及び4の撮像領域に係る輝度の増加が現れる。この際、図13Aに示すように、1及び3の撮像領域に係る輝度の増加範囲と、2及び4の撮像領域に係る輝度の増加範囲とにはオーバーラップする期間(図13A中、ハッチング部分)が存在し、該期間に該当する領域を前記重畳部分として特定できる。
【0099】
また、X軸に沿う画素PのラインL1がY軸方向に移動表示を行なった場合、先に、1及び2の撮像領域に係る輝度の増加が現れ、次に、3及び4の撮像領域に係る輝度の増加が現れる。この際、図13Bに示すように、1及び2の撮像領域に係る輝度の増加範囲と、3及び4の撮像領域に係る輝度の増加範囲とにはオーバーラップする期間(図13B中、ハッチング部分)が存在し、該期間に該当する領域を前記重畳部分として特定できる。
【0100】
更に、本発明に係る表示装置100は以上の記載に限定されるものでない。例えば、撮像素子CCDが複数のフォトダイオードを有する、いわゆるセンサアレイであるように構成しても良い。このように、撮像素子CCDがセンサアレイである場合は、上述したような位置合わせがより容易になると共に、液晶パネル148及び反射パネル149の間の間隔を適宜調整し、必要とされる撮像素子CCDの数を減らすことが出来る。
【0101】
以下、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔と、必要な撮像素子CCDの数との関係を詳しく説明する。図14及び15は本発明に係る表示装置100の撮像素子CCDがセンサアレイである場合における、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔と、必要な撮像素子CCDの数との関係を説明するための説明図である。説明の便宜上、撮像素子CCDが解像度256画素(16×16ドット)のセンサアレイである場合において、幅1920ドット、高さ1080ドットの画面解像度を有する、60インチFHDモニタを例に挙げて説明する。なお、図中、反射パネル149における、透過絵素149A及び反射絵素149Bの表示は省略する。
【0102】
例えば、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔が「H」であり、撮像素子CCDの視野角が60°であるとした場合、1つのセンサアレイの撮像素子CCDによる撮像範囲は、図15に示すように表すことができる。以下、図15中の「2R」を「視野直径」と言う。
【0103】
また、前記視野直径は、三平方の定理に基づき、「2R=2H/√3」の数式にて表現できる。すなわち、前記視野直径は、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔が「H」であるときに、1つの撮像素子CCDよって撮像可能な領域であるので、該視野直径が広いほど、斯かる撮像領域も広くなり、撮像可能な画素の数(以下、撮像有効画素数と言う。)も増えることになる。換言すれば、前記視野直径が広いほど、必要とされる撮像素子CCDの数が減少する。
【0104】
例えば、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔の「H」が(以下、間隔Hと言う。)1mmである場合、上述した数式によって、視野直径(2R)は1.15mmである。60インチFHDモニタの実質の画素ピッチが約0.7mmであることから、この場合の撮像領域に含まれる画素、すなわち、撮像有効画素数は1個である。換言すれば、1つの撮像素子CCDで1つの画素しか撮像できず、結果としては、1920(幅)×1080(高さ)個の撮像素子CCDが必要となる。
【0105】
一方、間隔Hが3mmである場合は、視野直径は3.46mmであり、この際の撮像有効画素数は、約5×5個であり、必要な撮像素子CCDの数は640×360個である。
【0106】
また、間隔Hが7mmである場合は、視野直径は8.08mmであり、この際の撮像有効画素数は、約11×11個であり、必要な撮像素子CCDの数は320×180個である。
【0107】
以上のように、間隔Hが1mmから3mm及び7mmと、大きくなることにつれて、必要な撮像素子CCDの数が、各々640×360個及び320×180個と、大幅に減少する。従って、間隔Hを適宜調整することにより、必要な撮像素子CCDの数を減らし、コストダウンを図ることができる。
【0108】
一方、例えば、液晶パネル148及び反射パネル149を密着させた状態にて装着した場合、各々の熱膨張係数、弾性係数等の差による撓み等が発生し、場合によっては、液晶パネル148の画像表示に支障を与え、又は破損の原因ともなる恐れがある。しかし、本発明の表示装置100においては、上述したように、液晶パネル148及び反射パネル149の間に所定の間隔を設けることにより、このような問題を未然に防止できる。
【0109】
更に、複数画素の平均的な輝度、色度等を検出する場合のように、厳密なセンシングでなく、概要的確認のためのセンシングを行う場合においても、間隔Hを適宜調整することにより対応できる。
【0110】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る表示装置100は、実施の形態1に係る表示装置100と同様の構成を有するが、反射パネル149の構成においで相違する。図16は本発明に係る表示装置100における、表示パネル部140とバックライト179とを示す模式図である。
【0111】
表示パネル部140は、液晶パネル148及び反射パネル149を有している。反射パネル149は液晶パネル148の表側に設けられ、液晶パネル148の裏側にはバックライト179が設けられている。液晶パネル148及び反射パネル149は互いに対向するように設けられている。従って、バックライト179が発する光は、液晶パネル148を透過して反射パネル149側に進行する。
【0112】
反射パネル149は、2次元に配列された、複数の透過反射絵素149Cを備えている。透過反射絵素149Cは、液晶パネル148(画素P)を透過した光を透過させ、又は反射させる。
【0113】
以下、透過反射絵素149Cについて詳しく説明する。図17及び図18は本発明に係る表示装置100の透過反射絵素149Cの構成及び作用を説明する模式的断面図である。
【0114】
透過反射絵素149Cは、反射型偏光選択板1495Cと、透過偏光軸可変部1496Cと、反射型偏光選択板1491Cとを備えており、透過偏光軸可変部1496Cは、更に、透明電極1492C、1494C及び液晶層1493Cを有している。反射型偏光選択板1495Cは透過偏光軸可変部1496Cの裏側(液晶パネル148側)に設けられており、反射型偏光選択板1491Cは透過偏光軸可変部1496Cの表側に設けられている。
【0115】
一方、液晶パネル148は、光を完全に遮るために、特定の偏光方向の光のみを透過させる偏光フィルタ(図示せず)を有しており、液晶パネル148(画素P)を透過した光は該偏光フィルタを通って、透過反射絵素149Cの反射型偏光選択板1495Cに入射される。すなわち、液晶パネル148(画素P)からは、特定の偏光軸を有する直線偏光が出射される。以下、説明の便宜上、液晶パネル148から出射される偏光の方向を第1方向と言い、該第1方向と偏光軸が直交する方向を第2方向と言う。
【0116】
反射型偏光選択板1495Cは、予め定めた方向の偏光成分を透過させ、それと直交する偏光成分を反射するように構成されている。すなわち、反射型偏光選択板1495Cは、第1方向の偏光成分は透過させ、第2方向の偏光成分は反射するように構成されている。
【0117】
透過偏光軸可変部1496Cは、入射される偏光が透過する際にその偏光軸を変更させることができる。詳しくは、透過偏光軸可変部1496Cは、入射される偏光の偏光軸を変化させる状態と、偏光軸を変化させない状態とを、電気的な切り替えにより選択できる構造を有している。本実施の形態の透過偏光軸可変部1496Cにおいては、上述したような、液晶層1493Cと、液晶層1493Cに電圧を印加するための透明電極1492C、1494Cとを含む液晶素子を用いている。
【0118】
透明電極1492Cには、電圧のオンオフを切り替える切り替えスイッチ(図示せず)が接続されている。該切り替えスイッチにより、液晶層1493Cに印加する電圧をオフにしているときには、液晶層1493Cは、入射された偏光の偏光軸を変化させる状態(以下、軸変化状態と言う。)となる。一方、前記切り替スイッチにより、液晶層1493Cに印加する電圧をオンにするときには、液晶層1493Cは、入射された偏光の偏光軸を変化させない状態(以下、軸不変状態と言う。)となる。
【0119】
すなわち、液晶層1493Cは、電圧オフのときに、液晶分子の長軸が透明電極1492Cと透明電極1494Cとの間で連続的に90°捩じれるように構成された、いわゆるツイストネマティック(TN)型液晶である。詳しくは、電圧オフの際の軸変化状態では、液晶層1493Cの配向方向は、反射型偏光選択板1495C側から入射された第1方向の偏光を第2方向の偏光へ変化させる方向に定めている。
【0120】
一方、電圧オンの軸不変状態の場合では、図18に示すように、液晶層1493Cの前記液晶分子は、透明電極1492C、1494Cに対して垂直に立った状態となり、反射型偏光選択板1495C側から入射された光の偏光軸を変化させることのできない状態となる。
【0121】
また、反射型偏光選択板1491Cは、予め定めた方向の偏光成分を透過し、それと直交する方向の直線偏光成分を反射する部材である。本実施の形態では、反射型偏光選択板1491Cは、入射される偏光のうち、第1方向の偏光成分は反射して第2方向の偏光成分は透過させるように構成されている。
【0122】
以上のような構成を有することがら、透過反射絵素149Cは、液晶パネル148からの光を反射する反射面状態と、液晶パネル148からの光を透過させる透明面状態を選択的に構成することができる。以下、透過反射絵素149Cの反射面状態及び透明面状態を詳しく説明する。
【0123】
図17に示すように、前記切り替えスイッチをオフにして、透過偏光軸可変部1496Cの液晶層1493Cの液晶分子が90゜捻れた軸変化状態である場合、透過反射絵素149Cは透明面状態を構成する。
【0124】
液晶パネル148から所定の画像光が透過反射絵素149Cに向けて出射された場合、該画像光は、上述したように、第1方向の偏光である。よって、斯かる画像光は、その偏光軸が反射型偏光選択板1495Cの透過偏光軸と一致しており、反射型偏光選択板1495Cを透過して、透過偏光軸可変部1496Cに入射される。
【0125】
この際、透過偏光軸可変部1496Cの液晶層1493Cは液晶分子が90゜捻れた軸変化状態であるので、透明電極1494Cを通って入射した第1方向の偏光の画像光は、前記液晶分子の捻れに沿ってその偏光軸が回転して第2方向の偏光となって、透明電極1492Cから出射される。第2方向の偏光となった画像光は、その偏光軸が反射型偏光選択板1491Cの透過偏光軸と一致しているため、これを透過でき、透過反射絵素149Cの外側の観察者にて視認できる。
【0126】
一方、図18に示すように、前記切り替えスイッチをオンにして、透過偏光軸可変部1496Cの液晶層1493Cの液晶分子を透明電極1492C、1494Cに対して垂直に立たせた軸不変状態にした場合、透過反射絵素149Cは反射面状態を構成する。
【0127】
液晶パネル148から透過反射絵素149Cに向けて出射される画像光は、上述したように、第1方向の偏光である。よって、斯かる画像光は、その偏光軸が反射型偏光選択板1495Cの透過偏光軸と一致しており、反射型偏光選択板1495Cを透過して、透過偏光軸可変部1496Cに入射される。
【0128】
この際、透過偏光軸可変部1496Cの液晶層1493Cは液晶分子が透明電極1492C、1494Cに対して垂直に立った軸不変状態であるので、透明電極1494Cを通って入射した第1方向の偏光の画像光は、その偏光軸が変化されることなく、透明電極1492Cから出射される。
【0129】
しかし、透過偏光軸可変部1496Cから出射された画像光は、第1方向の偏光のままであるので、その偏光軸が反射型偏光選択板1491Cの透過偏光軸と一致しない。従って、斯かる画像光は、反射型偏光選択板1491Cによって反射される。
【0130】
反射された画像光(以下、反射画像光)は再び透過偏光軸可変部1496Cを透過する。この際、透過偏光軸可変部1496Cは上述したように、軸不変状態であるので、透過偏光軸可変部1496Cを透過した反射画像光は依然として第1方向の偏光である。
【0131】
このように、透過偏光軸可変部1496Cから出射された反射画像光は第1方向の偏光であるので、その偏光軸が反射型偏光選択板1495Cの透過偏光軸と一致しており、反射型偏光選択板1495Cをそのまま透過して、液晶パネル148に入射される。液晶パネル148に入射された反射画像光に対して撮像素子CCDがセンシング(撮像)を行う。
【0132】
図19及び図20は本発明に係る表示装置100における、画素P及び撮像素子CCD、並びに透過反射絵素149Cの位置関係を説明する説明図である。
【0133】
一対の画素P及び撮像素子CCDは1つのドットを構成し、一つの透過反射絵素149Cが1つのドットに該当する。画素P及び撮像素子CCDからなるドットと、透過反射絵素149Cからなるドットとは、反射パネル149及び液晶パネル148の対向方向において、同一の面積を有すると共に、その位置が整合するように設けられている。
【0134】
透過反射絵素149Cが、反射面状態である場合、上述したような方法で、画素Pの表側の像が透過反射絵素149Cによって反射され、反射された像は撮像素子CCDによって撮像される。
【0135】
図21は本発明に係る表示装置100における、透過反射絵素149Cの制御を説明する説明図である。
【0136】
撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)が、実施の形態1で説明したように、前記センシングを行なっていない場合、例えば、液晶パネル148に所定の画像を表示している場合は、ドライバ130は透過反射絵素149Cへの電圧印加を行わない。従って、透過反射絵素149Cは前記透明面状態をなすので、液晶パネル148からの光が透過反射絵素149C透過できる。換言すれば、この場合、透過反射絵素149Cを介して、液晶パネル148のR絵素Rsp、G絵素Gsp及びB絵素Bsp並びに撮像素子CCDが視認できる状態であるので、反射パネル149の表側の観察者が、液晶パネル148に表示された画像を視認することが可能となる。
【0137】
一方、撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)が前記センシングを行うセンシング期間の場合(図7参照)は、ドライバ130が透過反射絵素149Cへの電圧印加を行う。従って、透過反射絵素149Cは前記反射面状態となり、この状態にて前記センシング(撮像)が行われる。すなわち、該センシングの際、各撮像素子CCDのフォトダイオード145は、透過反射絵素149Cによって反射された光を受光する。また、各フォトダイオード145が受光した光の光量に応じた電圧がセンサ信号線SSjから出力される。
【0138】
また、このときは、透過反射絵素149Cを介して、透過反射絵素149Cの裏側、すなわち、整合位置の画素P(液晶パネル148)が視認できない状態となっている。換言すれば、斯かるセンシングの間は、反射パネル149の表側の観察者から、液晶パネル148に表示される画像の視認が出来なくなるが、透過反射絵素149Cを倍速駆動させることにより、反射パネル149の表側の観察者による液晶パネル148に表示された画像の視認には支障が生じない。すなわち、透過反射絵素149Cにおいて、透明面状態及び反射面状態の間の切り替えを非常に速い速度、例えば120Hz、又は240Hzのリフレッシュレートにて実施することにより、反射パネル149の表側の観察者による液晶パネル148に表示された画像の視認に違和感を生じさせない。
【0139】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0140】
100 表示装置
130 ドライバ
181 ドライバ制御部
183 信号処理部
148 液晶パネル
149 反射パネル
149A 透過絵素
149B 反射絵素
149C 透過反射絵素
179 バックライト
P 画素
CCD 撮像素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画素を有する液晶パネルを備えて画像の表示を行う表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の画質を向上させるための様々な技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、マルチスクリーンディスプレイの各コアの画面それぞれを複数のブロックに分けてコア毎に映像信号を補正するデータ変換器を設け、該データ変換器はLUTで構成し、かつ各データ変換器のデータをコア内の輝度むらとコア相互の輝度むらとがなくなるように演算制御装置を介して補間演算処理を用いて調整することにより、輝度むらを補正して高画質化を図るマルチスクリーンディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−173523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、例えば、街頭又は通路等に設置された広告用のディスプレイ、駅構内に設置された案内用のディスプレイ等の表示装置においては、該表示装置の液晶パネルを構成するサブ画素又は画素等の点灯状況を適宜チェックする必要がある。このため、運用・管理者は各表示装置の設置場所まで足を運び、該表示装置の画像表示状況を目視にて確認するか、又は別途設置されたカメラで遠隔監視する等の手間のかかる方法を用いていた。また、上述したような特許文献1のマルチスクリーンディスプレイでは、画像表示状況の確認方法等について考慮されておらず、このような問題を解決することができない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液晶パネルを備えて所定の画像を表示する表示装置において、前記液晶パネルと対向配置され、該液晶パネルからの光を反射する反射パネルと、前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う撮像素子とを備え、自機の液晶パネルの画像表示状況を、自ら撮像することにより、例えば、運用・管理者が、実運用、表示中の該表示装置を、撮像されたデータに基づく画像を用いて、遠隔メンテナンス可能な形で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、複数の画素を有する液晶パネルを備え、画像を表示する表示装置において、前記液晶パネルと対向配置され、該液晶パネルからの光を反射する反射パネルと、前記液晶パネルに設けられ、前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う撮像素子とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、前記反射パネルが前記液晶パネルと対向配置されており、該液晶パネルからの光を該液晶パネル側に反射する。この際、前記液晶パネルに設けられた撮像素子が前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う。
【0009】
本発明に係る表示装置は、前記反射パネルは、前記液晶パネルとの対向面に反射面を有する反射絵素と、前記画素からの光を選択的に透過させる透過絵素とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、前記反射パネルの反射絵素が前記液晶パネルとの対向面に反射面を有し、前記液晶パネルからの光を該液晶パネル側に反射する。また、前記反射パネルの透過絵素は前記画素からの光を選択的に透過させる。
【0011】
本発明に係る表示装置は、前記反射パネルは、前記反射絵素及び透過絵素からなる反射ドットが2次元に配列され、前記液晶パネルは、前記画素及び撮像素子からなる表示ドットが2次元に配列されており、前記反射ドットと、前記表示ドットとは、前記対向配置の方向における位置が整合するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、前記反射パネルには、前記反射ドットが2次元に配列されており、前記液晶パネルには、前記表示ドットが2次元に配列されている。かつ、前記反射ドットと、前記表示ドットとは、前記液晶パネル及び反射パネルの対向配置の方向における位置が整合するように構成されている。
【0013】
本発明に係る表示装置は、前記撮像素子及び反射絵素、並びに前記画素及び透過絵素は、各々前記対向配置の方向における位置が整合するように構成され、前記反射絵素は、一部が前記画素とオーバーラップするように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、前記撮像素子及び反射絵素の位置が、前記液晶パネル及び反射パネルの対向配置の方向において整合するように構成されており、また、前記画素及び透過絵素の位置も、前記液晶パネル及び反射パネルの対向配置の方向において整合するように構成されている。更に、前記反射絵素は、その一部が前記画素とオーバーラップするように構成され、前記反射絵素によって反射された光の前記撮像素子への入射をより確実にしている。
【0015】
本発明に係る表示装置は、前記反射パネルは、前記画素からの光を透過又は反射させる透過反射絵素を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、前記反射パネルの透過反射絵素は前記画素からの光を透過又は反射させる。該反射の際、該透過反射絵素は、前記液晶パネルからの光を該液晶パネル側に反射する。前記撮像素子が前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う。
【0017】
本発明に係る表示装置は、前記反射パネルは、前記透過反射絵素が2次元に配列され、前記液晶パネルは、前記画素及び撮像素子からなる表示ドットが2次元に配列されており、前記透過反射絵素と、前記表示ドットとは、前記対向配置の方向における位置が整合するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、前記反射パネルには前記透過反射絵素が2次元に配列されており、前記液晶パネルには前記表示ドットが2次元に配列されている。また、前記透過反射絵素と、前記表示ドットとは、前記液晶パネル及び反射パネルの対向配置の方向におけるその位置が整合するように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表示装置が自機の液晶パネルの画像表示状況を、自ら撮像することができるので、例えば、運用・管理者が、撮像されたデータに基づく画像を用いて遠隔からも該表示装置をメンテナンスすることができ、該表示装置の設置場所まで足を運ぶ必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る表示装置の外観を示した図である。
【図2】本発明に係る表示装置の要部構成を表わす機能ブロック図である。
【図3】本発明に係る表示装置における、表示パネル部とバックライトとを示す模式図である。
【図4】本発明に係る表示装置における、画素及び撮像素子、並びに透過絵素及び反射絵素の位置関係を説明する説明図である。
【図5】本発明に係る表示装置における、画素及び撮像素子、並びに透過絵素及び反射絵素の位置関係を説明する説明図である。
【図6】本発明に係る表示装置における、液晶パネルの駆動に係る回路と、液晶パネルの周辺回路とを示した図である。
【図7】本発明に係る表示装置において、撮像素子回路の動作に係るタイミングチャートを示した図である。
【図8】本発明に係る表示装置における、透過絵素の制御を説明する説明図である。
【図9】本発明に係る表示装置において、撮像素子によって撮像される領域(撮像領域)の一例を示す例示図である。
【図10】本発明に係る表示装置において、格子状のパタンを用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。
【図11】本発明に係る表示装置において、格子状のパタンを用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。
【図12】本発明に係る表示装置において、輝度信号波形の重畳期間の検出を用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。
【図13】本発明に係る表示装置において、輝度信号波形の重畳期間の検出を用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。
【図14】本発明に係る表示装置の撮像素子がセンサアレイである場合における、液晶パネル及び反射パネルの間隔と、必要な撮像素子の数との関係を説明するための説明図である。
【図15】本発明に係る表示装置の撮像素子がセンサアレイである場合における、液晶パネル及び反射パネルの間隔と、必要な撮像素子の数との関係を説明するための説明図である。
【図16】本発明に係る表示装置における、表示パネル部とバックライトとを示す模式図である。
【図17】本発明に係る表示装置の透過反射絵素の構成及び作用を説明する模式的断面図である。
【図18】本発明に係る表示装置の透過反射絵素の構成及び作用を説明する模式的断面図である。
【図19】本発明に係る表示装置における、画素及び撮像素子、並びに透過反射絵素の位置関係を説明する説明図である。
【図20】本発明に係る表示装置における、画素及び撮像素子、並びに透過反射絵素の位置関係を説明する説明図である。
【図21】本発明に係る表示装置における、透過反射絵素の制御を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る表示装置を、デジタルサイネージ等の大型液晶ディスプレイを例とし、図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明に係る表示装置100の外観を示した図である。
【0023】
表示装置100は、光センサ内蔵型の表示パネル部140を備えている。
【0024】
図2は本発明に係る表示装置100の要部構成を表わす機能ブロック図である。表示装置100は、演算処理装置101と、表示処理装置102とを含むものとする。
【0025】
なお、演算処理装置101はPC等の電子情報機器であっても良い。この場合、演算処理装置101及び表示処理装置102は必ずしも一体化している必要はない。
【0026】
演算処理装置101は、CPU110と、RAM171と、ROM172と、メモリカードリーダライタ173と、通信部174と、マイク175と、スピーカ176と、操作キー177とを備える。各構成要素は、相互にデータバスDB1によって接続されている。メモリカードリーダライタ173には、メモリカード1731が装着される。
【0027】
CPU110は、プログラムを実行する。操作キー177は、表示装置100の使用者による指示の入力を受ける。RAM171は、CPU110によるプログラムの実行により生成されたデータ、又は操作キー177を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM172は、データを不揮発的に格納する。また、ROM172は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどのデータの書込み及び消去が可能なROMである。通信部174は、図示しない他の電子機器との間で無線通信を行う。なお、図2には図示していないが、表示装置100が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(IF)を備える構成としてもよい。
【0028】
表示処理装置102は、ドライバ130と、表示パネル部140と、内部IF(Interface)178と、バックライト179と、画像処理エンジン180とを更に備える。
【0029】
ドライバ130は、表示パネル部140及びバックライト179を駆動するための駆動回路である。ドライバ130に含まれる各種の駆動回路については、後述する。
【0030】
表示パネル部140は、液晶パネル148及び反射パネル149を有している。液晶パネル148は、複数の画素を有し、液晶ディスプレイとしての機能と、撮像素子を有し、光センサとしての機能とを備えたデバイスである。つまり、液晶パネル148は、液晶を用いた画像の表示と、光センサを用いたセンシング(撮像)とを行うことができる。また、反射パネル149は、液晶パネル148からの光を反射して該液晶パネル148側に戻す。
【0031】
内部IF178は、演算処理装置101からの映像を含む信号データを表示処理装置102に伝達する。例えば、アナログVGA、DVI(Digital Visual Interface)、HDMI(High Definition Multimedia Interface)、Displayport、及びRS−232C等の規格に基づいた接続を行なっても良い。該信号データのやりとりは、必ずしも一つのIFで行う必要はなく、例えば、映像信号、音声信号、制御信号別に各々構成されても良い。また内部IF178は演算処理装置101に限らず、PC等の情報機器との間で信号データを送受信する構成であっても良い。
【0032】
バックライト179は、表示パネル部140(液晶パネル148)の裏面側に配置された光源である。バックライト179は、表示パネル部140(液晶パネル148)の裏面に対して均一な光を照射する。
【0033】
画像処理エンジン180は、ドライバ130を介して表示パネル部140の動作を制御する。ここで、当該制御は、内部IF178を介して演算処理装置101から送られてくる各種信号データに基づいて行われる。なお、当該各種信号データは、後述するコマンド(例えば、センシング指示)を含む。また、画像処理エンジン180は、表示パネル部140を介して入力されるデータを処理し、処理したデータを内部IF178を介して演算処理装置101に送る。さらに、画像処理エンジン180は、ドライバ制御部181と、タイマ182と、信号処理部183とを有する。
【0034】
ドライバ制御部181は、ドライバ130に対して制御信号を送ることによりドライバ130の動作を制御する。また、ドライバ制御部181は、演算処理装置101から送られてくるコマンドを解析する。そして、ドライバ制御部181は、当該解析の結果に基づいた制御信号をドライバ130に送る。ドライバ130の動作の詳細については、後述する。
【0035】
タイマ182は、時刻情報を生成し、信号処理部183に対して時刻情報を送る。また、信号処理部183は、前記光センサから出力されるデータを受け取る。ここで、前記光センサから出力されるデータはアナログデータであるため、信号処理部183は、まず当該アナログデータをデジタルデータに変換する。さらに、信号処理部183は、当該デジタルデータに対して、演算処理装置101から送られてくるコマンドの内容に応じたデータ処理を行う。そして、信号処理部183は、前記データ処理を行なった後のデータと、タイマ182から取得した時刻情報とを含んだデータ(以下、応答データと言う。)を演算処理装置101に送る。
【0036】
なお、タイマ182は、必ずしも画像処理エンジン180に備えられている必要はない。例えば、タイマ182は、表示処理装置102内における、画像処理エンジン180の外部に備えられていてもよい。又は、タイマ182は、演算処理装置101に備えられていてもよい。また、マイク175及びスピーカ176は、表示装置100が常に備える構成ではなく、表示装置100の実施例によっては、マイク175及びスピーカ176のいずれかあるいは両方を有さない構成であってもよい。
【0037】
本実施の形態では、ドライバ130(バックライト179を駆動する回路を除く)と、内部IF178と、画像処理エンジン180とが、液晶パネル148のガラス基板上に一体形成されている。
【0038】
ところで、表示装置100における処理は、各ハードウェア及びCPU110により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ROM172に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、メモリカード1731その他の記憶媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、メモリカードリーダライタ173その他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信部174または通信IF(図示せず)を介してダウンロードされた後、ROM172に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU110によってROM172から読み出され、RAM171に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU110は、そのプログラムを実行する。
【0039】
図3は本発明に係る表示装置100における、表示パネル部140とバックライト179とを示す模式図である。
【0040】
表示パネル部140は、上述したように、液晶パネル148及び反射パネル149を有している。液晶パネル148の表側には反射パネル149が設けられ、液晶パネル148の裏側にはバックライト179が設けられている。液晶パネル148及び反射パネル149は互いに対向するように設けられている。従って、バックライト179が発する光は、液晶パネル148を透過して反射パネル149側に進行する。
【0041】
液晶パネル148は、バックライト179からの光を用いて所定の画像を表示する複数の画素Pを有する。該画素Pは、2次元に配列されており、赤色のカラーフィルタを有するR絵素Rspと、緑色のカラーフィルタを有するG絵素Gspと、青色のカラーフィルタを有するB絵素Bspとから構成されている。
【0042】
更に、液晶パネル148は、2次元に配列された複数の撮像素子CCDを有している。撮像素子CCDは、図示しないフォトダイオード及び薄膜トランジスタを有しており、該フォトダイオードで光電効果を利用し光の強さを電荷の量に置き換えられる、それ自体公知のものである。撮像素子CCDは、バックライト179を光源とし、液晶パネル148を透過して反射パネル149によって反射される光を用いて撮像を行う。換言すれば、反射パネル149によって、液晶パネル148の表側の様子の像が反射され、撮像素子CCDが斯かる像を撮像する。撮像素子CCDによって得られる撮像データは、信号処理部183に送られる。例えば、信号処理部183では、各撮像素子CCDからの撮像データを取得して、これに基づき、液晶パネル148の表側の全体像を表す画像データを合成し、これは液晶パネル148に表示し、又は通信部174を介して外部に送られる。
【0043】
反射パネル149は、2次元に配列された、複数の透過絵素149A及び反射絵素149Bを備えている。
【0044】
透過絵素149Aは、液晶パネル148(画素P)を透過した光を遮り、又は透過させる。詳しくは、透過絵素149Aは、いわゆる、白色絵素と同様に、カラーフィルタが付されていないか、透明なカラーフィルタが付されている。従って、ドライバ130が透過絵素149Aに印加する電圧を切り替えることにより、選択的に液晶パネル148からの光を透過させることが出来る。
【0045】
反射絵素149Bは、表側面に低反射面が形成され、裏側面には鏡面が形成されており、該鏡面が液晶パネル148(画素P)を透過した光を反射させる。該鏡面は、例えば、アルミニウム、銀等の薄膜から構成されている。
【0046】
図4及び図5は本発明に係る表示装置100における、画素P及び撮像素子CCD、並びに透過絵素149A及び反射絵素149Bの位置関係を説明する説明図である。
【0047】
一対の画素P及び撮像素子CCDは1つのドットを構成し、一対の透過絵素149A及び反射絵素149Bは1つのドットを構成している。画素P及び撮像素子CCDからなるドットと、透過絵素149A及び反射絵素149Bからなるドットとは、反射パネル149及び液晶パネル148の対向方向において、同一の面積を有すると共に、その位置が整合するように設けられている。前記対向方向において、撮像素子CCDと反射絵素149Bとの位置が整合しており、画素Pと透過絵素149Aとの位置が整合している。
【0048】
撮像素子CCD及び反射絵素149Bは各々矩形を有しており、これらはその長手方向が同一方向になるように設けられている。また、反射絵素149Bの短手方向における寸法(幅)は、撮像素子CCDの幅より大きい。従って、反射絵素149Bは、幅方向(短手方向)の一部が、前記対向方向において、画素Pとオーバーラップしている。すなわち、図5に示すように、画素Pの表側の像が反射絵素149Bの鏡面149Brによって反射され、撮像素子CCDに確実に入射するように構成されている。
【0049】
次に、表示パネル部140の構成と、表示パネル部140の周辺回路の構成とについて説明する。図6は本発明に係る表示装置100における、液晶パネル148の駆動に係る回路と、液晶パネル148の周辺回路とを示した図である。
【0050】
液晶パネル148は、画素Pを駆動させる画素回路141と、撮像素子CCDを駆動させる撮像素子回路144とを有している。更に、液晶パネル148は、走査信号線Giと、データ信号線SRjと、データ信号線SGjと、データ信号線SBjと、センサ信号線SSjと、センサ信号線SDjと、読出信号線RWiと、リセット信号線RSiとを有する。なお、iは、1≦i≦mを満たす自然数であり、jは1≦j≦nを満たす自然数である。
【0051】
また、図2に示した表示処理装置102のドライバ130は、表示パネル部140の周辺回路として、走査信号線駆動回路131と、データ信号線駆動回路132と、撮像素子駆動回路133と、スイッチ134と、アンプ135とを有する。
【0052】
走査信号線駆動回路131は、図2に示すドライバ制御部181から制御信号TC1を受ける。そして、走査信号線駆動回路131は、制御信号TC1に基づき、各走査信号線(G1〜Gm)に対して、走査信号線G1から順に予め定められた電圧を印加する。より詳しくは、走査信号線駆動回路131は、単位時間毎に走査信号線(G1〜Gm)の中から1つの走査信号線を順次選択し、当該選択した走査信号線に対して後述するTFT(Thin Film Transistor)142のゲートをターンオンできるだけの電圧(以下、ハイレベル電圧)を印加する。なお、選択されていない走査信号線に対しては、ハイレベル電圧を印加することなく、ローレベル電圧を印加したままとする。
【0053】
データ信号線駆動回路132は、図2に示すドライバ制御部181から画像データ(DR,DG,DB)を受ける。そして、データ信号線駆動回路132は、3n個のデータ信号線(SR1〜SRn,SG1〜SGn,SB1〜SBn)に対して、前記単位時間毎に、1行分の画像データに対応する電圧を順次印加する。
【0054】
画素回路141は、1つの画素の輝度(透過率)を設定するための回路である。また、画素回路141は、マトリクス状にm×n個配されている。より詳しくは、画素回路141は、図6の縦方向にm個、横方向にn個配されている。
【0055】
画素回路141は、R絵素Rspを駆動させるR絵素回路141rと、G絵素Gspを駆動させるG絵素回路141gと、B絵素Bspを駆動させるB絵素回路141bとからなる。これら3つの回路(141r,141g,141b)の各々は、各絵素(Rsp,Gsp,Bsp)を構成する、TFT142と、画素電極と対向電極とからなる1組の電極対143と、図示しないコンデンサとを適宜駆動させる。
【0056】
なお、n型のトランジスタとp型のトランジスタとを作れるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を実現できること、キャリア(電子または正孔)の移動速度がアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(a-Si TFT)に比べて数百倍早いことなどから、表示処理装置102では、TFT142として多結晶シリコン薄膜トランジスタ(p-Si TFT)が用いられる。なお、TFT142は、n型チャネルの電界効果トランジスタであるとして説明する。ただし、TFT142がp型チャネルの電界効果トランジスタであっても良い。
【0057】
R絵素回路141r内のTFT142のソースはデータ信号線SRjに接続されている。当該TFT142のゲートは走査信号線Giに接続されている。さらに、TFT142のドレインは、電極対143の画素電極に接続される。そして、画素電極と対向電極との間には、液晶が配される。なお、G絵素回路141g及びB絵素回路141bについても、各TFT142のソースが接続されるデータ信号線が異なる以外は、R絵素回路141rと同じ構成であるので、これら2つの回路(141g,141b)についての説明は、省略する。
【0058】
ここで、画素回路141における輝度の設定について説明する。まず、走査信号線Giに前記ハイレベル電圧を印加する。当該ハイレベル電圧の印加により、TFT142のゲートがターンオンする。このようにTFT142のゲートがターンオンした状態で、各データ信号線(SRj,SGj,SBj)に対して、それぞれ指定された電圧(1画素分の画像データに対応する電圧)を印加する。これにより、当該指定された電圧に基づいた電圧が画素電極に印加される。その結果、画素電極と対向電極との間に電位差が生じる。この電位差に基づいて、液晶が応答し、画素の輝度は予め定められた輝度に設定される。
【0059】
撮像素子駆動回路133は、図2に示すドライバ制御部181から制御信号TC2を受ける。
【0060】
そして、撮像素子駆動回路133は、制御信号TC2に基づき、単位時間毎にリセット信号線(RS1〜RSm)の中から1つの信号線を順次選択し、選択した信号線に対して、予め定められたタイミングで通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。なお、選択されていないリセット信号線に対しては、選択されたリセット信号線に印加した電圧よりも低い電圧VSSRを印加したままとする。例えば、電圧VDDRを0Vに、電圧VSSRを−5Vに設定すればよい。
【0061】
また、撮像素子駆動回路133は、制御信号TC2に基づき、単位時間毎に読出信号線(RW1〜RWm)の中から1つの信号線を順次選択し、当該選択した信号線に対して、予め定められたタイミングで通常よりもハイレベルな電圧VDDを印加する。なお、選択されていない読出信号線に対しては、前記電圧VSSRを印加したままとする。例えば、VDDの値を8Vに設定すればよい。
【0062】
なお、電圧VDDRを印加するタイミング、及び電圧VDDを印加するタイミングについては、後述する。
【0063】
撮像素子回路144は、撮像素子CCDを構成する、フォトダイオード145、コンデンサ146、TFT147等を適宜駆動させる。なお、以下では、TFT147がn型チャネルの電界効果トランジスタであるとして説明する。ただし、TFT147がp型チャネルの電界効果トランジスタであっても良い。
【0064】
フォトダイオード145のアノードは、リセット信号線RSiに接続されている。一方、フォトダイオード145のカソードは、コンデンサ146の一方の電極に接続されている。また、コンデンサ146の他方の電極は、読出信号線RWiに接続されている。なお、以下では、フォトダイオード145とコンデンサ146との接続点をノードNと言う。
【0065】
TFT147のゲートは、ノードNに接続されている。また、TFT147のドレインは、センサ信号線SDjに接続されている。さらに、TFT147のソースは、センサ信号線SSjに接続されている。撮像素子回路144を用いたセンシングの詳細については、後述する。
【0066】
スイッチ134は、センサ信号線(SD1〜SDn)に対して、予め定められた電圧の印加又は非印加を切換えるために設けられたスイッチである。スイッチ134の切換え動作は、撮像素子駆動回路133により行われる。なお、スイッチ134が導通状態となった場合にセンサ信号線(SD1〜SDn)に印加される電圧については、後述する。
【0067】
アンプ135は、各センサ信号線(SS1〜SSn)から出力された電圧を増幅する。なお、増幅された電圧は、図2に示した信号処理部183に送られる。
【0068】
なお、画素回路141を用いて画像を液晶パネル148に表示させるタイミングと、撮像素子回路144を用いてセンシングするタイミングとについては、画像処理エンジン180が制御する。
【0069】
ここで、撮像素子回路144の動作について説明する。図7は本発明に係る表示装置100において、撮像素子回路144の動作に係るタイミングチャートを示した図である。図7において、電圧VINTは、撮像素子回路144内のノードNにおける電位を示している。また、電圧VPIXは、図6に示したセンサ信号線SSjからの出力電圧であって、アンプ135によって増幅される前の電圧を示している。
【0070】
以下では、撮像素子回路144をリセットするためのリセット期間と、撮像素子回路144を用いて反射絵素149Bからの反射光をセンシング(撮像)するためのセンシング期間と、センシングした結果を読み出す読出期間とに分けて説明する。
【0071】
まず、リセット期間について説明する。リセット期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧を、ローレベル(電圧VSSR)からハイレベル(電圧VDDR)へと瞬間的に切換える。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)のままとする。このように、リセット信号線RSiに前記ハイレベルの電圧を印加することにより、フォトダイオード145の順方向(アノード側からカソード側)に電流が流れ始める。その結果、ノードNの電位である電圧VINTは、以下の式(1)で示す値となる。なお、式(1)では、フォトダイオード145における順方向の電圧降下量をVfとしている。
【0072】
VINT=VSSR+|VDDR−VSSR|−Vf … (1)
それゆえ、ノードNの電位は、図7に示すとおり、電圧VDDRよりもVfだけ小さな値となる。
【0073】
ここで、電圧VINTは、TFT147のゲートをターンオンさせる閾値以下であるため、センサ信号線SSjからの出力はない。このため、電圧VPIXは変化しない。また、コンデンサ146の電極間には、前記電圧VINT分の差が生じる。このため、コンデンサ146には、当該差に応じた電荷が蓄積される。
【0074】
次に、センシング期間について説明する。リセット期間に続くセンシング期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧は、ハイレベル(電圧VDDR)からローレベル(電圧VSSR)へと瞬間的に切り換わる。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)のままとする。
【0075】
このように、リセット信号線RSiに印加する電圧をローレベルに変化させることにより、ノードNの電位は、リセット信号線RSiの電圧及び読出信号線RWiの電圧よりも高くなる。このため、フォトダイオード145においては、カソード側の電圧がアノード側の電圧よりも高くなる。つまり、フォトダイオード145は、逆バイアスの状態となる。このような逆バイアスの状態において、光源からの光をフォトダイオード145が受光すると、フォトダイオード145のカソード側からアノード側へと電流が流れ始める。その結果、図7に示すとおり、ノードNの電位(つまり、電圧VINT)は時間の経過とともに低くなる。
【0076】
なお、このように電圧VINTが低下し続けるため、TFT147のゲートはターンオンした状態にはならない。それゆえ、センサ信号線SSjからの出力はない。このため、電圧VPIXは変化しない。
【0077】
次に、読出期間について説明する。センシング期間に続く読出期間においては、リセット信号線RSiに印加する電圧をローレベル(電圧VSSR)のままとする。一方、読出信号線RWiに印加する電圧は、ローレベル(電圧VSSR)からハイレベル(電圧VDD)へと瞬間的に切り換わる。ここで、電圧VDDは、電圧VDDRよりも高い値である。
【0078】
このように、読出信号線RWiにハイレベルの電圧を瞬間的に印加することにより、図7に示すとおり、コンデンサ146を介してノードNの電位が引き上げられる。なお、ノードNの電位の上昇幅は、読出信号線RWiに印加する電圧に応じた値となる。ここで、ノードNの電位(つまり、電圧VINT)が、TFT147のゲートをターンオンさせる閾値以上まで引き上げられるため、TFT147のゲートがターンオンする。
【0079】
この際、TFT147のドレイン側に接続されたセンサ信号線SDj(図6参照)に予め一定電圧を印加しておけば、TFT147のソース側に接続されたセンサ信号線SSjからは、図7のVPIXのグラフに示すとおり、ノードNの電位に応じた電圧が出力される。
【0080】
ここで、フォトダイオード145が受光する光の量(以下、受光量と言う)が少ないと、図7のVINTのグラフに示す直線の傾きが緩やかになる。その結果、電圧VPIXは、受光量が多い場合に比べて高くなる。このように、撮像素子回路144は、フォトダイオード145の受光量に応じて、センサ信号線SSjに出力する電圧の値を変化させる。
【0081】
ところで、上記においては、m×n個存在する撮像素子回路のうち、1つの撮像素子回路144について、その動作を説明した。以下では、表示パネル部140における各撮像素子回路の動作について説明する。
【0082】
まず、撮像素子駆動回路133は、n個のセンサ信号線(SD1〜SDn)の全てに対して、予め定められた電圧を印加する。次に、撮像素子駆動回路133は、リセット信号線RS1に対して、通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。なお、他のリセット信号線(RS2〜RSm)及び読出信号線(RW1〜RWm)については、ローレベルの電圧を印加したままの状態とする。これにより、図6における1行目のn個の撮像素子回路が、上述したリセット期間に入る。その後、1行目のn個の撮像素子回路は、上述したように、センシング期間に入り、その後、1行目のn個の撮像素子回路は、読出期間に入る。
【0083】
なお、n個のセンサ信号線(SD1〜SDn)の全てに対して予め定められた電圧を印加するタイミングは、上記のタイミングに限定されず、少なくとも読出期間前に印加されるタイミングであればよい。
【0084】
1行目のn個の撮像素子回路の読出期間が終了すると、撮像素子駆動回路133は、リセット信号線RS2に対して、通常よりもハイレベルな電圧VDDRを印加する。つまり、2行目のn個の撮像素子回路のリセット期間に入る。リセット期間が終了すると、2行目のn個の撮像素子回路は、センシング期間に入り、その後は、読出期間に入る。
【0085】
以降は、上述した処理が、順に、3行目のn個の撮像素子回路、4行目のn個の撮像素子回路、…m行目のn個の撮像素子回路に対して行われる。その結果、センサ信号線(SS1〜SSn)からは、1行目のセンシング結果、2行目のセンシング結果、…、m行目のセンシング結果が、この順に出力される。
【0086】
一方、上述したセンシング期間の間、ドライバ130は反射パネル149の透過絵素149Aを制御し、液晶パネル148からの光が透過できないように遮断する。例えば、前記センシング期間の間、ドライバ130は透過絵素149Aの電極対の間に電圧を印加することにより、透過絵素149Aを不透明状態にする。
【0087】
図8は本発明に係る表示装置100における、透過絵素149Aの制御を説明する説明図である。
【0088】
撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)が前記センシングを行なっていない場合、例えば、液晶パネル148に所定の画像を表示している場合は、ドライバ130は透過絵素149Aへの電圧印加を行わない。従って、透過絵素149Aは透明な状態であり、液晶パネル148からの光が透過できる。換言すれば、この場合、透過絵素149Aを介して、液晶パネル148のR絵素Rsp、G絵素Gsp及びB絵素Bspが視認できるので、反射パネル149の表側の観察者が、液晶パネル148に表示された画像を視認することが可能となる。
【0089】
一方、撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)が前記センシングを行う場合は、ドライバ130が透過絵素149Aへの電圧印加を行う。従って、透過絵素149Aは不透明な状態となり、この状態にて前記センシング(撮像)が行われる。すなわち、該センシングの際、撮像素子CCDのフォトダイオード145は、反射絵素149Bから反射された光を受光する。また、フォトダイオード145が受光した光の光量に応じた電圧がセンサ信号線SSjから出力される。
【0090】
更に、このとき、透過絵素149Aは不透明の状態であるので、透過絵素149Aの裏側からも透過絵素149Aの表側が視認できない。従って、撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)によるセンシングの際、透過絵素149Aを介して、表側の像が共に撮像されることを防止する。
【0091】
この場合、斯かるセンシングの間は、反射パネル149の表側の観察者から、液晶パネル148に表示される画像の視認が出来なくなるが、透過絵素149Aを倍速駆動させることにより、反射パネル149の表側の観察者による液晶パネル148に表示された画像の視認には支障が生じない。すなわち、透過絵素149Aにおいて、透明及び不透明の間の切り替えを非常に速い速度、例えば120Hz、又は240Hzのリフレッシュレートにて実施することにより、反射パネル149の表側の観察者による液晶パネル148に表示された画像の視認に違和感を生じさせない。
【0092】
なお、これに限るものでなく、液晶パネル148に所定の画像を表示させる必要性がない時間帯、又は該必要性が低い時間帯にのみ、斯かるセンシングが行われるように構成しても良い。例えば、本実施の形態に係る表示装置100を、街頭又は通路等に設置された広告用のディスプレイに適用した場合は、人通りの少ない深夜、週末などに前記センシングが行われるように構成すれば良い。
【0093】
上述したように、本発明に係る表示装置100においては、液晶パネル148の表側の画像表示状況が反射パネル149によって反射され、撮像素子CCDが斯かる像を撮像する。すなわち、各撮像素子CCDによって得られる各画素Pに係る撮像データは、信号処理部183に送られ、信号処理部183によって液晶パネル148の表側の全体像を表す画像データが得られる。従って、表示装置100を図示しない外部の表示装置と接続して、斯かる画像データを通信部174を介して該表示装置に送信することにより、該画像データに基づく画像を用いて液晶パネル148の表側の様子が確認できるので、表示装置100の遠隔メンテナンス、例えば、該表示装置のドット欠け、表示ムラ、焼き付き、及びマルチディスプレイで構成されるシステムにおけるディスプレイ間での輝度ずれ、色度ずれ等の遠隔監視が可能となる。
【0094】
なお、本発明に係る表示装置100においては、例えば、その出荷時において、液晶パネル148と反射パネル149との位置ずれを防ぐために、予め位置合わせの処理を行うことが効果的である。
【0095】
以下に、液晶パネル148及び反射パネル149の位置合わせの処理について、2つの例を説明する。図9は本発明に係る表示装置100において、撮像素子CCDによって撮像される領域(撮像領域)の一例を示す例示図である。以下、説明の便宜上、図9に示すように、各撮像素子CCDによる撮像領域が互いに重畳している場合を例として説明する。また、図9中、1〜4の撮像領域(4つのCCDによる、互いに重畳する撮像領域)に対する処理を例に挙げて説明する。
【0096】
まず、前記位置合わせの処理として、格子状のパタンを用いる方法がある。図10及び図11は格子状のパタンを用いる、位置合わせの処理を説明する説明図である。斯かる位置合わせの処理においては、図10に示すように反射パネル149を格子状に分割したパタンに基づき、各撮像領域の内、他の撮像領域と重畳する部分(図11中、ハッチング部分)を算定し、斯かる重畳部分が均一になるように位置合わせを行い、又は該重畳部分がなくなるように位置合わせを行う。該重畳部分の算定には、各撮像素子CCDによって撮像された画像の重ね合わせ及び解析等、それ自体公知の技術を用いる。
【0097】
次に、撮像領域での輝度信号波形の重畳期間を検出することによって前記位置合わせの処理を行う方法を示す。図12及び13は輝度信号波形の重畳期間に着目した、位置合わせの処理を説明する説明図である。斯かる位置合わせの処理においては、図12に示すように、X軸における一列の画素PからなるラインL1(図中、点線にて囲む)と、Y軸における一例の画素PからなるラインL2(図中、点線にて囲む)とを、一定タイミングにて、各々の矢印方向に移動させながら表示させることにより、輝度信号波形の重畳期間を検出する。すなわち、斯かる移動表示の際、各撮像領域では当該領域範囲において輝度の増加が現れるが、前記重畳部分では、当該2つの撮像領域にて共に輝度の増加が現れる。
【0098】
例えば、上述したように、Y軸に沿う画素PのラインL2がX軸方向に移動表示を行なった場合、先に、1及び3の撮像領域に係る輝度の増加が現れ、次に、2及び4の撮像領域に係る輝度の増加が現れる。この際、図13Aに示すように、1及び3の撮像領域に係る輝度の増加範囲と、2及び4の撮像領域に係る輝度の増加範囲とにはオーバーラップする期間(図13A中、ハッチング部分)が存在し、該期間に該当する領域を前記重畳部分として特定できる。
【0099】
また、X軸に沿う画素PのラインL1がY軸方向に移動表示を行なった場合、先に、1及び2の撮像領域に係る輝度の増加が現れ、次に、3及び4の撮像領域に係る輝度の増加が現れる。この際、図13Bに示すように、1及び2の撮像領域に係る輝度の増加範囲と、3及び4の撮像領域に係る輝度の増加範囲とにはオーバーラップする期間(図13B中、ハッチング部分)が存在し、該期間に該当する領域を前記重畳部分として特定できる。
【0100】
更に、本発明に係る表示装置100は以上の記載に限定されるものでない。例えば、撮像素子CCDが複数のフォトダイオードを有する、いわゆるセンサアレイであるように構成しても良い。このように、撮像素子CCDがセンサアレイである場合は、上述したような位置合わせがより容易になると共に、液晶パネル148及び反射パネル149の間の間隔を適宜調整し、必要とされる撮像素子CCDの数を減らすことが出来る。
【0101】
以下、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔と、必要な撮像素子CCDの数との関係を詳しく説明する。図14及び15は本発明に係る表示装置100の撮像素子CCDがセンサアレイである場合における、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔と、必要な撮像素子CCDの数との関係を説明するための説明図である。説明の便宜上、撮像素子CCDが解像度256画素(16×16ドット)のセンサアレイである場合において、幅1920ドット、高さ1080ドットの画面解像度を有する、60インチFHDモニタを例に挙げて説明する。なお、図中、反射パネル149における、透過絵素149A及び反射絵素149Bの表示は省略する。
【0102】
例えば、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔が「H」であり、撮像素子CCDの視野角が60°であるとした場合、1つのセンサアレイの撮像素子CCDによる撮像範囲は、図15に示すように表すことができる。以下、図15中の「2R」を「視野直径」と言う。
【0103】
また、前記視野直径は、三平方の定理に基づき、「2R=2H/√3」の数式にて表現できる。すなわち、前記視野直径は、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔が「H」であるときに、1つの撮像素子CCDよって撮像可能な領域であるので、該視野直径が広いほど、斯かる撮像領域も広くなり、撮像可能な画素の数(以下、撮像有効画素数と言う。)も増えることになる。換言すれば、前記視野直径が広いほど、必要とされる撮像素子CCDの数が減少する。
【0104】
例えば、液晶パネル148及び反射パネル149の間隔の「H」が(以下、間隔Hと言う。)1mmである場合、上述した数式によって、視野直径(2R)は1.15mmである。60インチFHDモニタの実質の画素ピッチが約0.7mmであることから、この場合の撮像領域に含まれる画素、すなわち、撮像有効画素数は1個である。換言すれば、1つの撮像素子CCDで1つの画素しか撮像できず、結果としては、1920(幅)×1080(高さ)個の撮像素子CCDが必要となる。
【0105】
一方、間隔Hが3mmである場合は、視野直径は3.46mmであり、この際の撮像有効画素数は、約5×5個であり、必要な撮像素子CCDの数は640×360個である。
【0106】
また、間隔Hが7mmである場合は、視野直径は8.08mmであり、この際の撮像有効画素数は、約11×11個であり、必要な撮像素子CCDの数は320×180個である。
【0107】
以上のように、間隔Hが1mmから3mm及び7mmと、大きくなることにつれて、必要な撮像素子CCDの数が、各々640×360個及び320×180個と、大幅に減少する。従って、間隔Hを適宜調整することにより、必要な撮像素子CCDの数を減らし、コストダウンを図ることができる。
【0108】
一方、例えば、液晶パネル148及び反射パネル149を密着させた状態にて装着した場合、各々の熱膨張係数、弾性係数等の差による撓み等が発生し、場合によっては、液晶パネル148の画像表示に支障を与え、又は破損の原因ともなる恐れがある。しかし、本発明の表示装置100においては、上述したように、液晶パネル148及び反射パネル149の間に所定の間隔を設けることにより、このような問題を未然に防止できる。
【0109】
更に、複数画素の平均的な輝度、色度等を検出する場合のように、厳密なセンシングでなく、概要的確認のためのセンシングを行う場合においても、間隔Hを適宜調整することにより対応できる。
【0110】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る表示装置100は、実施の形態1に係る表示装置100と同様の構成を有するが、反射パネル149の構成においで相違する。図16は本発明に係る表示装置100における、表示パネル部140とバックライト179とを示す模式図である。
【0111】
表示パネル部140は、液晶パネル148及び反射パネル149を有している。反射パネル149は液晶パネル148の表側に設けられ、液晶パネル148の裏側にはバックライト179が設けられている。液晶パネル148及び反射パネル149は互いに対向するように設けられている。従って、バックライト179が発する光は、液晶パネル148を透過して反射パネル149側に進行する。
【0112】
反射パネル149は、2次元に配列された、複数の透過反射絵素149Cを備えている。透過反射絵素149Cは、液晶パネル148(画素P)を透過した光を透過させ、又は反射させる。
【0113】
以下、透過反射絵素149Cについて詳しく説明する。図17及び図18は本発明に係る表示装置100の透過反射絵素149Cの構成及び作用を説明する模式的断面図である。
【0114】
透過反射絵素149Cは、反射型偏光選択板1495Cと、透過偏光軸可変部1496Cと、反射型偏光選択板1491Cとを備えており、透過偏光軸可変部1496Cは、更に、透明電極1492C、1494C及び液晶層1493Cを有している。反射型偏光選択板1495Cは透過偏光軸可変部1496Cの裏側(液晶パネル148側)に設けられており、反射型偏光選択板1491Cは透過偏光軸可変部1496Cの表側に設けられている。
【0115】
一方、液晶パネル148は、光を完全に遮るために、特定の偏光方向の光のみを透過させる偏光フィルタ(図示せず)を有しており、液晶パネル148(画素P)を透過した光は該偏光フィルタを通って、透過反射絵素149Cの反射型偏光選択板1495Cに入射される。すなわち、液晶パネル148(画素P)からは、特定の偏光軸を有する直線偏光が出射される。以下、説明の便宜上、液晶パネル148から出射される偏光の方向を第1方向と言い、該第1方向と偏光軸が直交する方向を第2方向と言う。
【0116】
反射型偏光選択板1495Cは、予め定めた方向の偏光成分を透過させ、それと直交する偏光成分を反射するように構成されている。すなわち、反射型偏光選択板1495Cは、第1方向の偏光成分は透過させ、第2方向の偏光成分は反射するように構成されている。
【0117】
透過偏光軸可変部1496Cは、入射される偏光が透過する際にその偏光軸を変更させることができる。詳しくは、透過偏光軸可変部1496Cは、入射される偏光の偏光軸を変化させる状態と、偏光軸を変化させない状態とを、電気的な切り替えにより選択できる構造を有している。本実施の形態の透過偏光軸可変部1496Cにおいては、上述したような、液晶層1493Cと、液晶層1493Cに電圧を印加するための透明電極1492C、1494Cとを含む液晶素子を用いている。
【0118】
透明電極1492Cには、電圧のオンオフを切り替える切り替えスイッチ(図示せず)が接続されている。該切り替えスイッチにより、液晶層1493Cに印加する電圧をオフにしているときには、液晶層1493Cは、入射された偏光の偏光軸を変化させる状態(以下、軸変化状態と言う。)となる。一方、前記切り替スイッチにより、液晶層1493Cに印加する電圧をオンにするときには、液晶層1493Cは、入射された偏光の偏光軸を変化させない状態(以下、軸不変状態と言う。)となる。
【0119】
すなわち、液晶層1493Cは、電圧オフのときに、液晶分子の長軸が透明電極1492Cと透明電極1494Cとの間で連続的に90°捩じれるように構成された、いわゆるツイストネマティック(TN)型液晶である。詳しくは、電圧オフの際の軸変化状態では、液晶層1493Cの配向方向は、反射型偏光選択板1495C側から入射された第1方向の偏光を第2方向の偏光へ変化させる方向に定めている。
【0120】
一方、電圧オンの軸不変状態の場合では、図18に示すように、液晶層1493Cの前記液晶分子は、透明電極1492C、1494Cに対して垂直に立った状態となり、反射型偏光選択板1495C側から入射された光の偏光軸を変化させることのできない状態となる。
【0121】
また、反射型偏光選択板1491Cは、予め定めた方向の偏光成分を透過し、それと直交する方向の直線偏光成分を反射する部材である。本実施の形態では、反射型偏光選択板1491Cは、入射される偏光のうち、第1方向の偏光成分は反射して第2方向の偏光成分は透過させるように構成されている。
【0122】
以上のような構成を有することがら、透過反射絵素149Cは、液晶パネル148からの光を反射する反射面状態と、液晶パネル148からの光を透過させる透明面状態を選択的に構成することができる。以下、透過反射絵素149Cの反射面状態及び透明面状態を詳しく説明する。
【0123】
図17に示すように、前記切り替えスイッチをオフにして、透過偏光軸可変部1496Cの液晶層1493Cの液晶分子が90゜捻れた軸変化状態である場合、透過反射絵素149Cは透明面状態を構成する。
【0124】
液晶パネル148から所定の画像光が透過反射絵素149Cに向けて出射された場合、該画像光は、上述したように、第1方向の偏光である。よって、斯かる画像光は、その偏光軸が反射型偏光選択板1495Cの透過偏光軸と一致しており、反射型偏光選択板1495Cを透過して、透過偏光軸可変部1496Cに入射される。
【0125】
この際、透過偏光軸可変部1496Cの液晶層1493Cは液晶分子が90゜捻れた軸変化状態であるので、透明電極1494Cを通って入射した第1方向の偏光の画像光は、前記液晶分子の捻れに沿ってその偏光軸が回転して第2方向の偏光となって、透明電極1492Cから出射される。第2方向の偏光となった画像光は、その偏光軸が反射型偏光選択板1491Cの透過偏光軸と一致しているため、これを透過でき、透過反射絵素149Cの外側の観察者にて視認できる。
【0126】
一方、図18に示すように、前記切り替えスイッチをオンにして、透過偏光軸可変部1496Cの液晶層1493Cの液晶分子を透明電極1492C、1494Cに対して垂直に立たせた軸不変状態にした場合、透過反射絵素149Cは反射面状態を構成する。
【0127】
液晶パネル148から透過反射絵素149Cに向けて出射される画像光は、上述したように、第1方向の偏光である。よって、斯かる画像光は、その偏光軸が反射型偏光選択板1495Cの透過偏光軸と一致しており、反射型偏光選択板1495Cを透過して、透過偏光軸可変部1496Cに入射される。
【0128】
この際、透過偏光軸可変部1496Cの液晶層1493Cは液晶分子が透明電極1492C、1494Cに対して垂直に立った軸不変状態であるので、透明電極1494Cを通って入射した第1方向の偏光の画像光は、その偏光軸が変化されることなく、透明電極1492Cから出射される。
【0129】
しかし、透過偏光軸可変部1496Cから出射された画像光は、第1方向の偏光のままであるので、その偏光軸が反射型偏光選択板1491Cの透過偏光軸と一致しない。従って、斯かる画像光は、反射型偏光選択板1491Cによって反射される。
【0130】
反射された画像光(以下、反射画像光)は再び透過偏光軸可変部1496Cを透過する。この際、透過偏光軸可変部1496Cは上述したように、軸不変状態であるので、透過偏光軸可変部1496Cを透過した反射画像光は依然として第1方向の偏光である。
【0131】
このように、透過偏光軸可変部1496Cから出射された反射画像光は第1方向の偏光であるので、その偏光軸が反射型偏光選択板1495Cの透過偏光軸と一致しており、反射型偏光選択板1495Cをそのまま透過して、液晶パネル148に入射される。液晶パネル148に入射された反射画像光に対して撮像素子CCDがセンシング(撮像)を行う。
【0132】
図19及び図20は本発明に係る表示装置100における、画素P及び撮像素子CCD、並びに透過反射絵素149Cの位置関係を説明する説明図である。
【0133】
一対の画素P及び撮像素子CCDは1つのドットを構成し、一つの透過反射絵素149Cが1つのドットに該当する。画素P及び撮像素子CCDからなるドットと、透過反射絵素149Cからなるドットとは、反射パネル149及び液晶パネル148の対向方向において、同一の面積を有すると共に、その位置が整合するように設けられている。
【0134】
透過反射絵素149Cが、反射面状態である場合、上述したような方法で、画素Pの表側の像が透過反射絵素149Cによって反射され、反射された像は撮像素子CCDによって撮像される。
【0135】
図21は本発明に係る表示装置100における、透過反射絵素149Cの制御を説明する説明図である。
【0136】
撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)が、実施の形態1で説明したように、前記センシングを行なっていない場合、例えば、液晶パネル148に所定の画像を表示している場合は、ドライバ130は透過反射絵素149Cへの電圧印加を行わない。従って、透過反射絵素149Cは前記透明面状態をなすので、液晶パネル148からの光が透過反射絵素149C透過できる。換言すれば、この場合、透過反射絵素149Cを介して、液晶パネル148のR絵素Rsp、G絵素Gsp及びB絵素Bsp並びに撮像素子CCDが視認できる状態であるので、反射パネル149の表側の観察者が、液晶パネル148に表示された画像を視認することが可能となる。
【0137】
一方、撮像素子CCD(撮像素子駆動回路133)が前記センシングを行うセンシング期間の場合(図7参照)は、ドライバ130が透過反射絵素149Cへの電圧印加を行う。従って、透過反射絵素149Cは前記反射面状態となり、この状態にて前記センシング(撮像)が行われる。すなわち、該センシングの際、各撮像素子CCDのフォトダイオード145は、透過反射絵素149Cによって反射された光を受光する。また、各フォトダイオード145が受光した光の光量に応じた電圧がセンサ信号線SSjから出力される。
【0138】
また、このときは、透過反射絵素149Cを介して、透過反射絵素149Cの裏側、すなわち、整合位置の画素P(液晶パネル148)が視認できない状態となっている。換言すれば、斯かるセンシングの間は、反射パネル149の表側の観察者から、液晶パネル148に表示される画像の視認が出来なくなるが、透過反射絵素149Cを倍速駆動させることにより、反射パネル149の表側の観察者による液晶パネル148に表示された画像の視認には支障が生じない。すなわち、透過反射絵素149Cにおいて、透明面状態及び反射面状態の間の切り替えを非常に速い速度、例えば120Hz、又は240Hzのリフレッシュレートにて実施することにより、反射パネル149の表側の観察者による液晶パネル148に表示された画像の視認に違和感を生じさせない。
【0139】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0140】
100 表示装置
130 ドライバ
181 ドライバ制御部
183 信号処理部
148 液晶パネル
149 反射パネル
149A 透過絵素
149B 反射絵素
149C 透過反射絵素
179 バックライト
P 画素
CCD 撮像素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する液晶パネルを備え、画像を表示する表示装置において、
前記液晶パネルと対向配置され、該液晶パネルからの光を反射する反射パネルと、
前記液晶パネルに設けられ、前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う撮像素子と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記反射パネルは、
前記液晶パネルとの対向面に反射面を有する反射絵素と、
前記画素からの光を選択的に透過させる透過絵素と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記反射パネルは、
前記反射絵素及び透過絵素からなる反射ドットが2次元に配列され、
前記液晶パネルは、
前記画素及び撮像素子からなる表示ドットが2次元に配列されており、
前記反射ドットと、前記表示ドットとは、前記対向配置の方向における位置が整合するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記撮像素子及び反射絵素、並びに前記画素及び透過絵素は、各々前記対向配置の方向における位置が整合するように構成され、
前記反射絵素は、一部が前記画素とオーバーラップするように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記反射パネルは、
前記画素からの光を透過又は反射させる透過反射絵素を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記反射パネルは、
前記透過反射絵素が2次元に配列され、
前記液晶パネルは、
前記画素及び撮像素子からなる表示ドットが2次元に配列されており、
前記透過反射絵素と、前記表示ドットとは、前記対向配置の方向における位置が整合するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項1】
複数の画素を有する液晶パネルを備え、画像を表示する表示装置において、
前記液晶パネルと対向配置され、該液晶パネルからの光を反射する反射パネルと、
前記液晶パネルに設けられ、前記反射パネルによって反射された光を用いた撮像を行う撮像素子と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記反射パネルは、
前記液晶パネルとの対向面に反射面を有する反射絵素と、
前記画素からの光を選択的に透過させる透過絵素と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記反射パネルは、
前記反射絵素及び透過絵素からなる反射ドットが2次元に配列され、
前記液晶パネルは、
前記画素及び撮像素子からなる表示ドットが2次元に配列されており、
前記反射ドットと、前記表示ドットとは、前記対向配置の方向における位置が整合するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記撮像素子及び反射絵素、並びに前記画素及び透過絵素は、各々前記対向配置の方向における位置が整合するように構成され、
前記反射絵素は、一部が前記画素とオーバーラップするように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記反射パネルは、
前記画素からの光を透過又は反射させる透過反射絵素を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記反射パネルは、
前記透過反射絵素が2次元に配列され、
前記液晶パネルは、
前記画素及び撮像素子からなる表示ドットが2次元に配列されており、
前記透過反射絵素と、前記表示ドットとは、前記対向配置の方向における位置が整合するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−3265(P2013−3265A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132565(P2011−132565)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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