説明

表示装置

【課題】 サブフレーム階調表示において、表示走査の合間に消去走査を行って走査期間よりも短い発光期間を得るときに、消去走査が重複して走査期間が長くなってしまう。
【解決手段】 1フレーム期間を分割した複数のサブフレーム期間の各々で、データ線に表示データを供給し、走査線に順に選択信号を供給することにより、表示データを書き込む表示走査が行われる表示装置において、少なくとも2つのサブフレーム期間に、データ線に消去データを供給し、走査線に順に選択信号を供給することにより、消去データを書き込む消去走査が行われる。2つのサブフレーム期間の消去走査の開始から終了までの期間は、一部が互いに重複しており、消去走査の重複期間中に、2つの走査線に同時に選択信号を供給することにより、消去データが2つの走査線の画素回路に共通に書き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に有機エレクトロルミネセンス(EL)表示素子を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型有機EL表示装置の階調表示方法として、1フレーム期間を長さの異なる複数のサブフレーム期間に分割し、サブフレームごとに走査を行ってデータを書き換えるサブフレーム階調技術がある。特許文献1は、データの書き込みをおこなう表示走査と消去を行う消去走査の期間をオーバラップさせることにより、走査に要する時間より短い発光時間を得るサブフレーム階調駆動方法を開示する。特許文献2は、2以上の走査期間がオーバラップするとき、1行についての走査選択期間を、オーバラップする走査の数に等しい区間に分けて、各区間でデータを発生させ、かつ各区間に1つの走査線の選択パルスが入るようにする発明を開示する。2つの表示走査がオーバラップするときは、各行の走査選択期間を2つの区間に分けて、それぞれの区間で、データ線にデータを与え走査線に選択信号を与える。表示走査と消去走査がオーバラップするときは、一方の区間に表示データ、もう一方に期間に消去データを与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−343933号公報
【特許文献2】特開2001−324958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走査期間が重複するときに走査選択期間を複数の区間に分けて1区間で1つの走査線を選択する方式においては、重複する走査の数が増えるにつれて区間の数が増える。それにつれて走査選択期間が長くなり、その結果、走査の開始から終了までの時間も長くなる。
【0005】
1フレーム期間の長さは1フレームの画像データが表示装置に入力される周期によって決まっているので、表示走査に要する時間が長くなると1フレーム内のサブフレーム数が減少し、表示できる階調数が少なくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の走査線、前記複数の走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路、前記複数の走査線に交差する複数のデータ線、前記複数のデータ線にデータ信号を供給するデータ線駆動回路、前記複数の走査線の1本と前記複数のデータ線の1本とに接続された画素回路、ならびに前記画素回路に接続された発光素子、を有する表示装置であって、
1フレーム期間を分割した複数のサブフレーム期間の各々で、前記データ線駆動回路が前記データ線に表示データを供給し、前記走査線駆動回路が前記走査線に順に選択信号を供給することにより、前記表示データを前記画素回路に書き込む表示走査が行われ、各サブフレーム期間の前記発光素子の発光時間の1フレーム期間についての合計によって階調を表示する表示装置であって、
少なくとも2つのサブフレーム期間において、前記データ線駆動回路が前記データ線に消去データを供給し、前記走査線駆動回路が前記走査線に順に選択信号を供給することにより、前記消去データを前記画素回路に書き込む消去走査が行われ、
前記少なくとも2つのサブフレーム期間の消去走査の開始から終了までの期間は、一部が互いに重複しており、前記消去走査の重複期間中に、前記走査線駆動回路が2つの前記走査線に同時に選択信号を供給することにより、前記データ線に供給された前記消去データが、前記選択信号が供給された2つの走査線の前記画素回路に共通に書き込まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
消去走査が重複する期間中は、データ線に消去信号を供給するタイミングで、走査線に同時に選択信号を与えて、重複する消去走査を同時に行う。これにより、消去走査が重複しても走査期間が長くなることがないので、1フレーム期間内のサブフレーム数を減らすことがない。その結果階調度の高い表示を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1のサブフレームごとの走査を示す図である。
【図2】実施例1のデータ信号と走査信号のタイミングチャートである。
【図3】図1のサブフレームの順序を変えたときの走査を示す図である。
【図4】比較例のデータ信号と走査信号のタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施例2のサブフレームごとの走査を示す図である。
【図6】実施例2のデータ信号と走査信号のタイミングチャートである。
【図7】本発明の表示装置の(a)全体と(b)画素の各構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、複数の走査線と複数のデータ線が交差した部分に画素が配置されたマトリクス表示装置に適用される。マトリクス表示装置は、走査線を決められた順に選択してデータ線のデータを画素に書き込む。全走査線が1回ずつ選択されると1つの画面が表示される。これを走査という。
【0010】
図1は、4ビットのディジタル画像信号で16階調を表示する場合の走査のシーケンスを示す。横方向は時間、縦方向は走査線の位置(アドレス)を表している。斜め線は時間とともに走査線が上から下に順次選択されていく様子を示している。
【0011】
1フレーム期間1Fは4つのサブフレームSF1−SF4に分割される。各サブフレーム期間に実線で示す表示走査W1−W4が行われる。表示走査は、データ線に画像データに対応した表示データが供給され、これを画素に書き込む走査である。
【0012】
1つの表示走査開始から次の表示走査開始までの期間が1つのサブフレーム期間である。サブフレーム期間の長さは、表示走査期間を単位として、SF1=2、SF2=1、SF3=1、SF4=1である。各サブフレーム期間に、ディジタル画像データを書き込むための表示走査W1−W4が行われる。各サブフレームの発光時間は、表示走査期間を単位として、先頭から順にS1=2、S2=1、S3=1/2、S4=1/4である。サブフレームSF3とSF4は、発光期間がサブフレーム期間より短いので、破線の消去走査E3、E4が行われる。
【0013】
どのサブフレームでも、先の表示走査が終了してから次の表示走査が開始されるので、表示走査には時間的重なりはない。しかし、サブフレームSF3の消去走査E3が終了しないうちに、サブフレームSF4の表示走査W4と消去走査E4が始まるので、消去走査E3とE4は一部の期間が重複する。
【0014】
表示走査および消去走査について、その開始から終了までの期間を走査期間という。走査期間が重なりを持っているとき、それらの2つの走査は重複しているという。発光期間がサブフレーム期間より短いサブフレームでは、表示走査とそれに続く消去走査が重複する。また、図1では、消去走査E3とE4とその間にある表示走査W4の3つの走査が重複している。
【0015】
本発明は、消去走査に重複がある場合に、重複期間中、データ線に消去データを供給し、重複する2つの消去走査の走査線を同時に選択して、1つの消去データを共通に書き込むものである。これにより、1つの選択期間中にデータ線に供給するデータの数は、表示データと消去データの2つだけとなり、消去走査が重複してもデータ線の区間数を増やす必要がない。その結果、走査の開始から終了までの期間が消去走査の重なりによって長くなることがなく、階調数の減少が防止できる。
【0016】
図1は4ビット8階調表示の例であるが、ビット数およびサブフレーム数はこれに限らない。また、消去走査はサブフレームSF1とSF2にもあってもよく、その場合の消去走査は次のサブフレームの表示走査の直前に設けられる。
【0017】
以下、実施例により本発明を説明する。
【実施例1】
【0018】
図2は本発明の表示装置における駆動の形態を表すタイミングチャートであり、図1のサブフレームSF3とSF4の一部分を、データ線と走査線の信号で描いたものである。ただし、簡単のため走査線本数を16本としてある。
【0019】
データ線にはデータ信号Vdataが供給される。データ信号Vdataに同期して、走査線に走査信号Vscan(1)−Vscan(16)が与えられ、16本の走査線が順次選択される。
【0020】
1つのサブフレーム期間は、16本の走査線に対応してT1−T16の選択期間に分けられる。
【0021】
各期間T1−T32はいずれもAとBの2区間に分けられている。データ線には、時間的に先の区間AでH(high)レベルまたはL(low)レベルの表示データが供給され、後の区間BではHレベルの消去データ(黒データ)が与えられる。
【0022】
1つの走査は、T1−T16のいずれかの選択期間で一番上の走査線から開始され、16の選択期間をかけて一番下の走査線に到達して終了する。サブフレームSF3の表示走査W3の選択信号は、図2には示されていないが、サブフレームSF3の選択期間T1で開始され、選択期間T16で終了する。その直後のサブフレームSF4の選択期間T1で表示走査W4が開始され、T16で終了する。
【0023】
各サブフレームの表示走査は、区間A,Bのうち先の区間Aに同期して行われる。すなわち、表示走査の走査信号Vscanは、区間Aで選択信号(Lレベル)になりその行を選択する。それによってデータ線に供給されている表示データが画素回路に書き込まれる。
【0024】
表示走査W3に遅れて消去走査E3が行われる。サブフレームSF3の消去走査E3は、図2には示されていないが表示走査W3から8行分の選択期間だけ遅れてサブフレームSF3の期間T9で開始され、次のサブフレームSF4の期間T8で終了する。
【0025】
表示走査と消去走査の時間間隔は発光期間に対応するように設定される。サブフレームSF4の発光期間はサブフレームSF3の発光期間の1/2であるから、サブフレームSF4の消去走査E4は、表示走査W4から4行分の選択期間だけ遅れて、選択期間T5で開始される。
【0026】
サブフレームSF3では、期間T9からT16の間、表示走査W3と消去走査E3が重複して行われる。サブフレームSF4では、期間T5からT16の間で表示走査W4と消去走査E4が重複する。このように、消去走査は、同じサブフレームの表示走査と一部の期間重複しており、その期間中、区間Aと区間Bに、データ線に表示データと消去データが交互に供給され、同時に、走査線に表示走査と消去走査の選択信号があたえられる。
【0027】
さらに、消去走査E3とE4は、サブフレームSF4の選択期間T5から選択期間T8の間で重複する。そして、いずれの消去走査も、区間Bに同期して走査線に選択信号が与えられる、したがって、重複期間中は2つの走査線に同時に選択信号(Lレベル)が与えられ、共通の消去データが画素回路に書き込まれる。
【0028】
消去走査が重複しているときに、走査線を同時に選択し、1つの消去データを共通に使って消去する。消去走査が3つ重複していても、3本の走査線を同時に選択し、1つの消去データを共通に使って消去する。消去データは1つの区間に供給するだけですみ、2以上の消去データ区間を設ける必要はない。
【0029】
本実施例では、表示走査にオーバラップがないので、表示データの区間Aも1つでよい。したがって、選択期間T1−T16をそれぞれA、Bの2つの区間に分割し、一方を表示データ区間、他方を消去データ区間とすればよい。
【0030】
図3は、図1のサブフレーム順序を逆に並べ替えたものである。発光期間は、S1=1/4、S2=1/2、S3=1、S4=2である。発光期間が短いものから長いものへの順になったので、消去走査E1とE2は重複期間がない。
【0031】
このように、発光期間の順序が変わると消去走査のオーバラップがなくなることがある。しかし、表示走査と消去走査は必ずオーバラップするので、1行に割りあてられた期間には2つの区間A,Bが必要であり、かつ表示走査に重複がないかぎり2つの区間で十分である。図1と図3以外に発光順序をどのように変更しても表示走査にはオーバラップは生じないから、選択期間に表示データと消去データの2つの区間を設ける本実施例の走査方式は、任意のサブフレーム順序に切り替えて実行することができる。サブフレーム順序は、後述する走査線駆動回路の走査開始タイミングを制御し、データ線駆動回路にディジタル画像信号の順序を変えて送ることにより、任意に切り替えることができる。サブフレーム順序を変更可能にしておくことは、動画のボケをなくし、またサブフレーム階調に特有の擬似輪郭を少なくするための有効な手段である。
【0032】
(比較例)
図4は、図1の駆動方式において、消去走査が重なるときに、データ線に消去データを2区間にわたって供給し、重複する消去走査の走査線をこの2区間に別々に選択して選択信号を与える方式を示す。
【0033】
1つのサブフレームは、実施例1と同様に16の選択期間T1−T16に分けられ、各選択期間はA,B,B’の3つの区間に分割される。区間Aではデータ線にHレベルまたはLレベルの表示データが供給され、区間BとB’ではHレベルの消去データ(黒データ)が供給される。
【0034】
表示走査W3とW4は重複することがないので、ともに区間Aで走査線に選択信号(Lレベル)となる走査信号が与えられる。消去走査E3とE4はサブフレームSF4の選択期間T5からT8の間で重複し、消去走査E3の走査線は区間Bに同期して選択信号が与えられ、消去走査E4の走査線には区間B’に同期して選択信号が与えられる。この結果、1つの区間には1本の走査線のみに選択信号が与えられる。
【0035】
このように1区間で1本の走査線を選択する方式は、データ線駆動回路から見ると、常に1つの画素回路にのみ書き込みが行われるので、出力負荷の変動がないというメリットがある。しかし、3つのデータ区間が必要なため、走査の開始から終了までの時間が実施例1の走査時間の1.5倍になる。1フレームを1/60秒とすると実施例1の走査時間は1/300秒である。これが1.5倍の1/200秒になると、1フレームに3つのサブフレームしか入らないので3ビットのディジタル階調しか表示できない。
【実施例2】
【0036】
図5は、表示走査に重複期間がある場合の駆動の形態を示す図である。実施例1や比較例と同じ4ビット16階調表示であるが、サブフレーム期間が走査期間の半分の長さになっている。サブフレームSF1,SF3、SF4の表示走査は、直前のサブフレームの表示走査が半分終了した時点で開始される。
【0037】
サブフレームSF3で表示走査W2とW3、サブフレームSF4で表示走査W3とW4、サブフレームSF1で表示走査W1と前のフレームのW4、のそれぞれ表示走査同士が重複する。また、サブフレームSF1とSF4では、消去走査E3とE4同士が重複する。
【0038】
実施例1では、1つの表示走査の期間が終了した後に次の表示走査が始まるので、2つの表示走査が重なることはなかった。本実施例のようにサブフレーム期間が表示走査期間よりも短いときは、表示走査の間に重複が生じる。また、重複する表示走査の間に消去走査が行われると、消去走査同士の重複も生じる。
【0039】
図6は、図5の駆動走査方式におけるデータ線と走査線の各信号を示すタイミングチャートである。走査線の本数は16本とした。サブフレームSF3とSF4はそれぞれ8つの選択期間分の長さになる。
【0040】
表示走査のオーバラップは2であるから、1つの選択期間に2つの表示データ区間を設ける必要がある。一方、消去走査のオーバラップ数は時間によって変動し、1(オーバラップなし)または2であるが、消去は同時に行うことができるので消去データ区間は1つでよい。したがって、各選択期間は3つの区間A,A’,Bに分割され、そのうち2つが表示データ区間A,A’、残る1つが消去データ区間Bとなる。
【0041】
表示データ区間Aの表示データに同期して、サブフレームSF3の表示走査W3が行われる。表示走査W3は、図6では示されていないが、サブフレームSF3の選択期間T1で開始され、そのサブフレーム内では半分の1行−8行が走査され、引き続いて9行−16行が次のサブフレームSF4のT1−T8の選択期間に行われる。
【0042】
サブフレームSF4の表示走査W4は、表示データ区間A’に同期している。W4は、SF4の選択期間T1で開始され、図6では示されていないが、次のフレームのSF1の選択期間T8まで続く。したがって、サブフレームSF3の表示走査W3とサブフレームSF4の表示走査W4は、サブフレームSF4の選択期間T1−T8で重複する。しかし、W3の走査線は区間Aで選択信号のレベルになり、W4の走査線は区間A’で選択信号のレベルになるので、別々の表示データで書き込みが行われ、相互に表示データがまじりあうことはない。
【0043】
一方、消去走査は、サブフレームSF3の表示走査W3に続く消去走査E3が、サブフレームSF3のT5からT8、サブフレームSF4のT1からT8、さらに次のフレームのサブフレームSF1のT1からT4まで、区間Bに同期して行われる。また、サブフレームSF4の表示走査W4に続く消去走査E3は、サブフレームSF4のT3から始まって次フレームのサブフレームSF2のT2まで、同じ区間Bに同期して走査される。消去走査E1とE2はしたがってサブフレームSF4のT5から次フレームのサブフレームSF1のT4までの期間、重複する。2つの消去走査は区間Bに同期して同時に走査線が選択され、同時に消去が行われる。
【0044】
表示走査が重なるときは、その重なりの数に等しい数の表示データ区間が必要である。しかし、消去データがいくつ重複しても、消去走査を同時に行うことにより消去データ区間は1つでよい。これにより、消去走査の重複によって走査時間が長くなることがなく、階調数の減少が防止できる。
【0045】
(表示装置の説明)
図7(a)は本発明の実施例1および2の表示装置の概略図、(b)は1つの発光素子と画素回路を示す図である。
【0046】
図7(a)に示す表示装置は、赤、緑、青の3色をそれぞれ発光する3つの画素DCR、DCG、DCBを1つの表示単位PXLとして、これがN行M列の行列をなして配置され、マトリクス表示部1を構成している。個々の画素PXLには点灯または消灯の2つの状態をとる有機EL素子ELと、それを駆動する画素回路10が備わっている。
【0047】
各画素は,N本の走査線SL(1)、SL(2),・・・、SL(N)と、3M本のデータ線DLR,DLG,DLBの交差部にあり、交差する走査線SLとデータ線DCに接続されている(以下、位置によらない一般の走査線の意味で用いるときは、行を示す添え字(i)を省略する。また、色によらず一般に画素を指すときはRGBの添え字も省略する)。
【0048】
各画素回路1は、図7(b)に示すように、2つのトランジスタTr1,Tr2と容量Cとを持っており、トランジスタTr1は、ゲートが走査線SLに接続されて、走査線の電圧により、データ線DLに接続されたドレインと容量の一端に接続されたソースとの間を接続または遮断する。走査線SLにL(low)レベルの選択信号があたえられるとTr1がオンになり、そのときのデータ線DLの電圧Vdataを容量Cに伝える。走査線がH(high)レベルになると、トランジスタTr1は遮断されるが、データ線DLの電圧は容量Cに保持される。トランジスタTr2は、ゲートが容量Cの一端およびトランジスタTr1のソースに接続され、ソースが電源電位VELに、ドレインが有機EL素子ELのアノードに接続されている。有機EL素子ELのカソードは接地されている。トランジスタTr2は、容量Cの電圧がソース−ゲート間電圧となり、その電圧に応じて有機EL素子ELに電流を供給する。
【0049】
図7(a)に戻り、走査線に走査信号を与える走査線駆動回路3と、データ線にデータ信号を供給するデータ線駆動回路2と、外部との接続端子4が、マトリクス表示部1の周囲に配置されている。接続端子4からは、配線5を通じて走査線駆動回路3に走査開始タイミングを与える制御信号が入力される。データ線駆動回路2にはサブフレームごとのディジタル画像信号が送られる。ディジタル画像信号の順序を変え、表示走査及び消去走査の開始タイミングを制御することにより、サブフレームの順序を切り替えることができる。
【0050】
(サブフレーム階調の説明)
サブフレーム階調表示においては、入力される画像データの1フレームが何ビットか(実施例1,2の場合は4ビット)のディジタル信号画像に変換されて表示装置に入力される。各ビットのディジタル信号画像は、サブフレーム期間に表示部1において表示される。各サブフレームの画像を1フレームについて時間平均をとると元の画像となる。1フレーム期間は1つの画像が表示されるのに要する時間である。
【0051】
各サブフレームのディジタル信号画像は2値画像である。各画素の発光時間の1フレームについての合計がその画素の輝度を示す。元の画像は、サブフレームのディジタル信号画像の1フレームについての時間平均画像として表わされる。
【符号の説明】
【0052】
SL(1)−SL(N) 走査線
DLR,DLG,DLB データ線
10 画素回路
EL 発光素子
1 表示部
2 データ線駆動回路
3 走査線駆動回路
1F 1フレーム期間
SF1−SF16 サブフレーム期間
S1−S4 発光期間
A,A’ 表示データ区間
B,B’ 消去データ区間
W1−W4 表示走査
E1−E4 消去走査
T1−T16 選択期間
Vdata データ信号
Vscan(1)−Vscan(16) 走査信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線、前記複数の走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路、前記複数の走査線に交差する複数のデータ線、前記複数のデータ線にデータ信号を供給するデータ線駆動回路、前記走査線の1本と前記データ線の1本とに接続された画素回路、ならびに前記画素回路に接続された発光素子、を有する表示装置であって、
1フレーム期間を分割した複数のサブフレーム期間の各々で、前記データ線駆動回路が前記複数のデータ線に表示データを供給し、前記走査線駆動回路が前記複数の走査線に順に選択信号を供給することにより、前記表示データを前記画素回路に書き込む表示走査が行われ、前記発光素子の発光時間の1フレーム期間についての合計によって階調を表示する表示装置であって、
少なくとも2つのサブフレーム期間に、前記データ線駆動回路が前記複数のデータ線に消去データを供給し、前記走査線駆動回路が前記複数の走査線に順に選択信号を供給することにより、前記消去データを前記画素回路に書き込む消去走査が行われ、
前記少なくとも2つのサブフレーム期間の消去走査の開始から終了までの期間は、一部が互いに重複しており、前記消去走査の重複期間中に、前記走査線駆動回路が2つの前記走査線に同時に選択信号を供給することにより、前記データ線に供給された前記消去データが、前記選択信号が供給された2つの走査線の前記画素回路に共通に書き込まれることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記消去走査の開始から終了までの期間は、それぞれのサブフレーム期間の前記表示走査の開始から終了までの期間と一部が重複しており、前記消去走査と前記表示走査の重複期間中に、前記データ線に前記消去データと前記表示データが交互に供給されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示走査の開始から終了までの期間は互いに重複しないことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
2つのサブフレームの前記表示走査の開始から終了までの期間が互いに重なる重複期間を有しており、前記表示走査の重複期間中に、前記データ線駆動回路が別々の時間に前記複数のデータ線に2つの表示データを供給し、各表示データが供給されている時間に前記走査線駆動回路が別々の前記走査線に選択信号を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記走査線駆動回路に、サブフレーム期間の順序を入れ替える制御信号が入力されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−3462(P2013−3462A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136533(P2011−136533)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】