説明

表示装置

【課題】購入者が複数商品の試着状態を鏡のような立体的な像でリアルタイムに確認および比較検討することのできる表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の表示装置は、画像を表示する表示手段と、表示手段に表示された画像を投射結像する第1投射手段と、第1投射手段により投射された投射画像の結像位置よりも、第1投射手段から離れた位置に設けられた半透過反射手段と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
選んだ商品を身体に試着し、その試着した状態を自分自身で観察して商品を選択することのできる装置が提案されている(特許文献1,2)。この特許文献1では、眼鏡を試着した自分の姿を自分自身で撮影し、撮影した複数枚の画像をモニタに映し出すことのできる表示装置が開示されている。特許文献2には、購入者が実際に着衣を試着することなく、試着した状態を再現できる表示装置が開示されている。ここでは、マネキン画像の体型および肌色を試着人物に近づくように画像変換し、違和感なく画像合成を行う方法を採用している。このような表示装置によって、購入者は、モニタに映し出された画像を見ながら複数パターンの試着姿を比較して、一人で好みの商品を選ぶことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−040953号公報
【特許文献2】特開平09−106419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術では、基本的に撮影した画像を元にその後に比較検討するものであり、リアルタイムに試着検討することができなかった。また、モニタに表示される画像は平面的なものであり、鏡のような立体的な像で試着姿を確認することができないという問題点を有している。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、購入者が複数商品の試着状態を鏡のような立体的な像でリアルタイムに確認および比較検討することのできる表示装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された画像を投射結像する第1投射手段と、前記第1投射手段により投射された前記投射画像の結像位置よりも、前記第1投射手段から離れた位置に設けられた半透過反射手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これによれば、観察者は、第1投射手段と半透過反射手段との間の空間に形成される実像と、半透過反射手段において反射される自身の虚像とを重ね合わせて見ることができる。例えば、観察者は半透過反射手段に映し出された自身の姿と、第1投射手段により形成された画像(商品の画像)とを重ねて見ることができるため、鏡のような立体的な自身の試着姿をリアルタイムに確認することができる。これにより、商品を試着することなく好みの商品を選択することができる。
【0008】
また、前記表示手段は、第2投射手段を備えたプロジェクターと、前記第2投射手段からの投射像を表示する透過型スクリーンと、を備えている構成としてもよい。
これによれば、表示手段としてプロジェクターと透過型スクリーンを用いたため、観察者が第1投射手段と半透過反射手段との間の空間に形成される実像と、半透過反射手段において反射される自身の虚像とを重ね合わせて見ることができるとともに、表示手段から射出される光の射出角度を容易に所定の範囲とすることができる。
【0009】
また、前記透過型スクリーンの前記半透過反射手段側の面には、凹凸が設けられ、前記投射像の結像位置を異ならせる構成としてもよい。
これによれば、投射像が立体的な実像となるため、凹凸を人体や人物顔の形状とすることで観察者の体や顔に合った像を立体的に表示することができる。これにより、より自然な合成像を提供することができる。
【0010】
また、前記第1投射手段を前記第1投射手段の光軸方向に移動可能な移動手段を備えている構成としてもよい。
これによれば、空間像の位置を観察者が見やすい位置に調整することができる。
【0011】
また、前記プロジェクター、前記透過型スクリーン、前記第1投射手段および前記半透過反射手段を収容する筐体と、前記透過型スクリーンを交換する交換手段と、を備える構成としてもよい。
これによれば、表示装置の各構成要素を筐体内に収容することでこれらを保護することができるとともに互いの位置関係が適宜固定されるので、取り扱いが容易である。
【0012】
また、前記凹凸が、人物の外形に沿うように円筒状に形成されている構成としてもよい。
これによれば、衣類などの商品を試着することなくリアルタイムで自身の試着姿を確認することができるので、好みの商品を効率よく選択することができる。
【0013】
また、前記凹凸が、人物の顔面を模した形状に形成されている構成としてもよい。
これによれば、化粧の仕方や色調、濃さなどを変えた像を表示することにより、観察者は、自身の顔に化粧品を付けることなく、好みの化粧品や化粧方法をシミュレーションすることができる。
【0014】
また、前記凹凸が、眼鏡の形状を模した形状に形成されている構成としてもよい。
これによれば、眼鏡などの商品を試着した自身の試着姿をリアルタイムで確認することができるので、好みの商品を効率よく選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の表示装置の構成を模式的に示す図。
【図2】リアスクリーンを示す図であって、(A)正面図、(B)A−A’線に沿う断面図。
【図3】空間像の表示原理を説明するための図。
【図4】第2実施形態の表示装置の構成を模式的に示す斜視図。
【図5】空間像の表示原理を説明するための図。
【図6】第3実施形態における表示装置の構成を模式的に示す斜視図。
【図7】第4実施形態における表示装置のリアスクリーンの構成を示す斜視図。
【図8】第5実施形態における表示装置のリアスクリーンの構成を示す斜視図。
【図9】第6実施形態の表示装置の構成を示す斜視図。
【図10】スライド機構にリアスクリーンが保持された状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
各実施形態における表示装置は、店舗などに設置されており、購入者が商品を試着した姿の空間像Zを形成するものである。購入者は、表示装置の方向を見ることで空間像Zを確認することができ、複数の商品を試着した姿を比較しながら商品を選ぶことができるようになっている。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の表示装置の構成を模式的に示す図である。図2は、リアスクリーンを示す図であって、(A)正面図、(B)A−A’線に沿う断面図である。
【0019】
本実施形態の表示装置100は、図1に示すように、プロジェクター(表示手段)1と、リアスクリーン(透過型スクリーン、表示手段)2と、フレネルレンズ(第1投射手段)3と、ハーフミラー(半透過反射手段)4と、を有している。プロジェクター1には、ライトバルブ5や投射レンズ(第2投射手段)6などが搭載されているとともに、図示しないパーソナルコンピューターなどの映像信号生成手段が接続されている。プロジェクター1は、映像信号生成手段から入力された映像信号に基づいてリアスクリーン2に映像を投射する。このプロジェクター1から射出される光の光路上に、リアスクリーン2、フレネルレンズ3、ハーフミラー4がプロジェクター1側からこの順に配置されている。
【0020】
リアスクリーン2は光拡散機能を備える。図2に示すように、リアスクリーンはフレネルレンズ2Aと拡散シート2Bとが貼り合わされて構成されるもので、フレネルレンズ2A側をプロジェクター1側に向けて設置されている。このため、プロジェクター1から射出された光はフレネルレンズ2Aに入射する。フレネルレンズ2Aは、微小な間隔で同心円状に設けられた複数のプリズム13を有している。
【0021】
プロジェクター1から射出された投射光はリアスクリーン2に入射する前は発散光であるが、フレネルレンズ2Aの作用により光軸方向にある程度集束された状態で拡散シート2Bに入射する。拡散シート2Bでは投射光が結像し、像が形成された後、予め設定された角度で投射光が拡散する。なお、フレネルレンズ2Aは、空間像Zの見え方が最適になるように焦点距離を設定すれば良い。また、拡散シート2Bの側がプロジェクター1を向くように設置され、プロジェクター1からの投射光が拡散シート2Bに入射する構成であっても良い。その場合も上記とほぼ同等な機能を実現することができる。
【0022】
フレネルレンズ3の基本構成はリアスクリーン2の一部を構成するフレネルレンズ2Aと同様であるが、全体の寸法、各プリズム13の寸法や焦点位置が異なっている。リアスクリーン2の光軸とフレネルレンズ3の光軸は一致している。なお、リアスクリーン2の光軸とは、リアスクリーン2の投射面の中心を通り、リアスクリーン2の投射面に垂直な軸のことである。
【0023】
ハーフミラー4は、フレネルレンズ3よりも観察者K側に配置されている。具体的には、フレネルレンズ3より投射された投射画像の結像位置よりも、フレネルレンズ3から離れた位置に設けられている。このハーフミラー4は、入射する光の一部を反射するとともに一部を透過させる。
プロジェクター1から映像光が投射されている場合、ハーフミラー4の前方に位置する観察者Kは、ハーフミラー4に映し出される鏡像に重ね合わせて自分の姿を視認することができる。一方、プロジェクター1から映像が投射されてない場合、ハーフミラー4の前方に位置する観察者Kは、ハーフミラー4の前方側から入射して反射された光を鏡像として視認することになる。つまり、観察者Kは、ハーフミラー4を通常のミラーとして利用することができる。
【0024】
次に、上記構成の表示装置で空間像が生成される原理について説明する。
図3は、空間像の表示原理を説明するための図である。
プロジェクター1内のライトバルブ5には図示しない回路により装着品の映像が表示されており、リアスクリーン2に投射表示される。この像は、フレネルレンズ3で空間に実像として結像される。さらに、観察者Kはハーフミラー4を介して実像を観察することができる。このとき、実像とハーフミラー4との間の距離をdとすると、観察者Kはハーフミラー4から距離dだけ離れた位置に立つことで、自分自身の反射による虚像と実像とを略同じ位置に合成して見ることができる。
【0025】
例えば、プロジェクター1から洋服の写真又はCG画像をリアスクリーン2に投射した場合、観察者Kからはハーフミラー4越しに自分の虚像と洋服の実像が合成して見える。この際、観察者Kは、前後左右に少し移動することで、自分の虚像と洋服の実像とが最も自然に合成される位置を求めることができる。
【0026】
本実施形態の構成によれば、観察者Kは、フレネルレンズ3とハーフミラー4との間の空間に生成された実像を、ハーフミラー4を通じて観察することができる。つまり、観察者Kは、ハーフミラー4により反射して生成される観察者K自身の虚像と、空間に生成された実像(例えば、衣類の実像)とを同時に見ることができるため、ハーフミラー4の正面に立つことによって、自身の虚像に実像を重ねてみることができる。
このため、観察者が商品を選択する際、鏡のような立体的な自身の試着姿をリアルタイムに確認することができるため、商品を試着することなく好みのものを気軽に選択することができる。
本実施形態では、プロジェクター1をリアスクリーン2に投射表示する構成としたが、これに代えてフラットパネルディスプレイを用いてもよい。この場合は、フラットパネルディプレイは本実施形態のリアスクリーン2の位置に配置すればよい。
【0027】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の表示装置について述べる。
図4は、第2実施形態の表示装置の構成を模式的に示す斜視図である。図5は、空間像の表示原理を説明するための図である。
本実施形態における表示装置200のリアスクリーン2は、その前面2aにおける中央部にフレネルレンズ3側に向かって円筒状に膨らんだ凹凸20が設けられている。
プロジェクター1から洋服の写真またはCG画像がリアスクリーン2に投射されると、この投射像はフレネルレンズ3により、リアスクリーン2とは反対側の空間(フレネルレンズ3とハーフミラー4との間の空間)に実像として結像される。本実施形態のリアスクリーン2はその中央部が円筒状に膨らんでいることから、実像も円筒状に膨らんで結像されることになる。そのため、観察者Kからは自分の虚像とともに洋服の像も立体的に見えるため、より自然な合成画像として確認することができる。
【0028】
ここで、図5に示すように、リアスクリーン2とフレネルレンズ3との間の距離をa、フレネルレンズ3と虚像との間の距離をb、フレネルレンズ3の焦点距離をfとすると、
1/f=1/a+1/bが成立している。
また、リアスクリーン2上の投射像のサイズに対する実像のサイズの倍率(横倍率Mt)は、Mt=b/aとなる。
【0029】
ここで、レンズの光軸方向の倍率(縦倍率Ml)は、
Ml=(Mt) となる。
従って、実像の光軸方向の厚さをTとすると、リアスクリーン2の凹凸20の膨らみBは、
B=T/Ml=T/(Mt) と設定しておけばよい。
【0030】
本実施形態の構成によれば、リアスクリーン2の一面側に凹凸20を設けることにで、投射像の結像位置を異ならせることができる。リアスクリーン2の一面(フレネルレンズ3側の面)側が、プロジェクター1によりリアスクリーン2に投射される像に関連した形状に加工した非平面形状であるため、投射した像が奥行きを備えた形状の実像となり、観察者Kの体や顔などの形状に合った立体的な像を表示することができる。これにより、より自然な合成像を提供することができる。
【0031】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の表示装置の構成について述べる。
図6は、第3実施形態における表示装置の構成を模式的に示す斜視図である。
本実施形態における表示装置300は、フレネルレンズが移動可能とされている点において第2実施形態とは異なる。
【0032】
フレネルレンズ3の下方には、プロジェクター1の光軸方向に該フレネルレンズ3を平行移動することができるレンズ移動機構(移動手段)21が備えられている。
レンズ移動機構21は、フレネルレンズ3の両側に光軸LXと平行に延在する一対のガイド部22,22を有する。これら一対のガイド部22,22に不図示の取付部を介してフレネルレンズ3の下端側が支持され、取付部がガイド部22,22に沿ってスライド移動されることでフレネルレンズ3が光軸方向に平行移動可能とされる。光路上におけるフレネルレンズ3の位置を調整することができるように構成されたことにより、空間像が形成される位置を観察者Kが見やすい位置に調整することが可能になる。
【0033】
フレネルレンズ3と虚像の間の距離bは、1/b=1/f−1/aであるから、
b=f(1+Mt)で表すことができる。
【0034】
リアスクリーン2から実像までの距離は、a+b=(f(1+Mt))/Mt
となる。
【0035】
フレネルレンズ3の位置を移動させることにより、横倍率Mtを変えるだけで実像の大きさを変えることができる。このとき、実像の位置は上式の値のように移動することになる。
【0036】
本実施形態の構成によれば、フレネルレンズ3を光軸LXに沿って平行移動可能なレンズ移動機構21を備えているため、リアスクリーン2に投射された像及びリアスクリーン2の形状により生成される実像のサイズを変更可能であるため、例えば観察者Kの体のサイズに対応して表示する洋服のサイズを変更することができる。
【0037】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態における表示装置のリアスクリーンの構成について述べる。
図7は、第4実施形態における表示装置のリアスクリーンの構成を示す斜視図である。
図7のように、リアスクリーン24は人物の顔の形状を模した凹凸25を有している。この凹凸25は、リアスクリーン2の前面2aの中央部に位置し、フレネルレンズ3側に向かって突出している。
なお、空間に結像される実像はフレネルレンズ3により上下左右が反転されるため、リアスクリーン24の凹凸25は、前面2a側から見て顔形状の上下左右が逆になるように設けられている。
【0038】
プロジェクター1からは、顔写真やCG画像が凹凸25の形状に略一致する大きさでリアスクリーン24へと投射される。そして、生成された空間の実像に対して、観察者Kが自分の顔の位置が合うような位置に立つことで、自分の顔を投射された顔とほぼ一致させて見ることができる。ここで、表示する投射画像において、化粧の仕方や色調、濃さなどを変えた写真や画像を準備しておき、選択的に切り替えることにより、観察者Kは化粧品や化粧方法をシミュレーションしながら好みのものを選択することができる。
【0039】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の表示装置におけるリアスクリーンの構成について述べる。
図8は、第5実施形態における表示装置のリアスクリーンの構成を示す斜視図である。
図8のように、リアスクリーン26は眼鏡の形状を模した凹凸27を有している。この凹凸27においても、リアスクリーン26の前面2aの中央部に位置し、フレネルレンズ3側に向かって突出している。
なお、空間に結像される実像はフレネルレンズにより上下左右が反転されるため、リアスクリーン26の凹凸27も、前面2a側から見て眼鏡形状の上下左右が逆になるように設けられている。
【0040】
プロジェクター1からは、眼鏡の写真やCG画像が凹凸27の形状に略一致する大きさでリアスクリーン26へと投射される。そして、生成された空間の実像に対して、観察者Kが自分の顔の位置が合うような位置に立つことで、自分の顔の眼の位置に、投射された眼鏡を一致させて見ることができる。つまり、自分自身が眼鏡を装着したかのように見ることができる。
【0041】
ここで、表示する投射画像において、あらかじめ複数の眼鏡の写真やCG画像を準備しておき、選択的に切り替えることにより、観察者Kは眼鏡をかけ替えるようにして好みのフレームを選択することができる。
【0042】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態の表示装置の構成について述べる。
図9は、第6実施形態の表示装置の構成を示す斜視図である。図10は、スライド機構にリアスクリーンが保持された状態を示す側面図である。
図9に示すように、本実施形態の表示装置400では、プロジェクター1、リアスクリーン2、フレネルレンズ3などが筐体31内に収容されており、フレネルレンズ3はその下部に設けられたレンズ移動機構21によって移動可能に保持されている。
【0043】
レンズ移動機構21は、筐体31の底部両側に光軸LXと平行に延在する一対のガイド部22,22を有する。これら一対のガイド部22,22に不図示の取付部を介してフレネルレンズ3の下端側が支持され、取付部がガイド部22,22に沿ってスライドすることで光軸方向に移動可能とされる。これにより、フレネルレンズ3を所定の位置で固定できるようになっている。その結果、空間像の位置を観察者が見やすい位置に調整することが可能になる。
【0044】
筐体31は、プロジェクター1、リアスクリーン2、フレネルレンズ3およびハーフミラー4等を保持する箱状の部材である。この筐体31は、プロジェクター1が収容される第1収容部31Aと、フレネルレンズ3およびレンズ移動機構21が収容される直方体形状の第2収容部31Bとを有する。なお、これら第1収容部31Aおよび第2収容部31Bの形状はこれに限られない。
【0045】
本実施形態では、筐体の第2収容部31Bの側面31bにはリアスクリーン2の出し入れを可能とする調整口32が設けられており、この調整口32を介して筐体31の内部に設置されたリアスクリーン2を交換することが可能となっている。
具体的には、図10に示すような交換手段34を介してリアスクリーン2を交換することができるように構成されている。交換手段34は、第1収容部31Aと第2収容部31Bとの境界部分に立設されたスクリーン取付板33の前面33aに設けられている。
【0046】
図10に示すように、スクリーン取付板33には、プロジェクター1からの投射光を透過させるための開口33Aが設けられている。交換手段34は、この開口33Aの周辺に配置される一対の取付金具35,35とストッパー36とを有し、光軸LXに対するリアスクリーン2の位置決めを行う。
【0047】
リアスクリーン2は、スクリーン取付板33の前面33aにその上下方向に所定間隔をおいて配置された断面視L字状の取付金具35,35間に挿入され、筐体31の調整口32とは反対側の取付金具35,35間の端部同士を繋ぐように存在するストッパー36に側部が当接した状態で保持される。つまり、調整口32から見てリアスクリーン2よりも奥側にストッパー36が位置する。このストッパー36によって位置決めされたリアスクリーン2の位置を表示位置とする。また、一対の取付金具35,35は、光軸LXに直交する上下方向において光軸LXからの距離が互いに等しい位置にある。すなわち交換手段34は、プロジェクター1の光軸LX上にリアスクリーン2の中心(中央部)が位置するように保持する位置決め機能を備える。
【0048】
なお、ストッパー36は取付金具35,35の端部同士を繋ぐ形状とされていなくても良く、光軸LXに対するリアスクリーン2の位置決め(水平方向における位置決め)を最適に行うことができれば形状は問わない。
【0049】
筐体31内に設置されたリアスクリーン2を別の形態を有するリアスクリーン2に交換する場合には、ユーザーにより、交換手段34により上記したような表示位置に保持されているリアスクリーン2がストッパー36から遠ざかる方向へスライド移動されながら交換位置へと引き出され、調整口32を介して別のリアスクリーン2に交換される。そして、取付金具35,35に沿ってスライドさせストッパー36に当接するまで移動させる。このようにして別の形態のリアスクリーン2が表示位置に設置されることになる。
このように、様々な形態のリアスクリーン2を用意しておくことによって用途に応じてリアスクリーン2を簡単に交換することができる。
【0050】
また、プロジェクター1やリアスクリーン2などの表示ユニットを筐体31内に収納したために、設置場所の環境光の影響を受けることなく、コントラストの高い表示が可能となり、よりリアリティの高い表示画像を得ることができる。また、リアスクリーン2を交換可能としたため、複数のリアスクリーン2を準備しておき、表示する物の形状に応じてリアスクリーン2を容易に交換することができる。
なお、調整口32に開閉扉37が設けられていてもよい。
【0051】
以上述べたように、上記した各実施形態によれば、観察者Kが装着品をリアルタイムに装着してシミュレーションできるため、洋服の選択、化粧品や化粧方法の比較検討、眼鏡の選択などの場合に実際の物を装着しなくても、本物を装着したように、商品の選択をリアルタイムで補助することができる。さらに、表示される実像が奥行を備えるため、より本物に近い感覚で装着品を確認できる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0053】
例えば、表示装置に観察者の位置を検出する位置検出手段を備えた構成としても良い。カメラなどにより観察者Kの位置を検出して表示する像の位置を移動可能にすれば、観察者Kが移動しなくても、最適な位置に実像を表示することが可能になる。
また、リアスクリーン2を光軸方向に移動可能な移動手段を備えてもよい。このように、リアスクリーン2にも移動機構を設けることで、フレネルレンズ3の移動機構とともに自動調整して、観察者Kにより最適な状態で合成した像を表示することが可能になる。
【0054】
また、ハーフミラー4は、環境の明るさにより、合成した像が最適に見えるように反射と透過の濃度を選択すればよい。さらには、観察者Kを照明する照明装置を備えておけば、照明の明るさを調整することで、表示する像の内容によって合成像の実像と虚像の明るさの割合を調整して表示することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…プロジェクター(表示手段)、2…リアスクリーン(透過型スクリーン、表示手段)、3…フレネルレンズ(第1投射手段)、6…投射レンズ(第2投射手段)、K…観察者、Z…空間像、20,25,27…凹凸、21…レンズ移動機構(移動手段)、31…筐体、34…交換手段、LX…光軸、100,200,300,400…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された画像を投射結像する第1投射手段と、
前記第1投射手段により投射された投射画像の結像位置よりも、前記第1投射手段から離れた位置に設けられた半透過反射手段と、を備えた
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、
第2投射手段を備えたプロジェクターと、
前記第2投射手段からの投射像を表示する透過型スクリーンと、を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記透過型スクリーンの前記半透過反射手段側の面には、凹凸が設けられ、前記投射像の結像位置を異ならせる
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1投射手段を前記第1投射手段の光軸方向に移動可能な移動手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記プロジェクター、前記透過型スクリーン、前記第1投射手段および前記半透過反射手段を収容する筐体と、
前記透過型スクリーンを交換する交換手段と、を備える
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記凹凸が、人物の外形に沿うように円筒状に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記凹凸が、人物の顔面を模した形状に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項8】
前記凹凸が、眼鏡の形状を模した形状に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−80043(P2013−80043A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218982(P2011−218982)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】