説明

表面き裂の進展解析方法および装置

【課題】構造部材の表面き裂の進展解析について、深さ方向と表面上でのき裂進展特性の違いを考慮することが可能な表面き裂の進展解析方法および装置を提供する。
【解決手段】本発明の表面き裂の進展解析方法および装置においては、き裂進展速度を計算する際に、き裂最深点とき裂表面点とで環境状態が異なるためにき裂進展特性が異なることを考慮して、構造部材の深さ方向へのき裂進展特性と、構造部材の表面上でのき裂進展特性とをそれぞれ独立に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部材の表面に発生する表面き裂の進展を解析する表面き裂の進展解析方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の構造部材の表面におけるき裂の進展解析においては、応力拡大係数あるいはその変動範囲とき裂進展速度との間に単一の関係を与え、部材の深さ方向へのき裂進展速度と、部材表面での長さを増す方向へのき裂進展速度は、ともに同一の応力拡大係数とき裂進展速度の関係を用いている(非特許文献1参照)。以下、応力拡大係数あるいはその変動範囲とき裂進展速度との関係をき裂進展特性と称する。
【非特許文献1】吉川直紀、白鳥正樹、松田宏行、松下久雄、影響関数法による複数表面き裂の応力拡大係数の解析とその応用、日本材料学会第52期学術講演会論文集、2003年5月、pp,321−322.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、腐食性環境中に晒される材料のき裂進展速度は、応力腐食割れ(以下、SCCと称する)、腐食疲労のいずれの場合においても、その環境状態、例えば溶存酸素濃度や不純物イオン濃度にも依存するため、応力拡大係数のみによって一義的に定まらない。実際に腐食環境中に晒される構造部材の表面き裂においては、表面き裂内での毛管凝縮現象や腐食液の滞留が生じるため、表面き裂最深部と部材表面とで環境状態が異なることになる。従って、構造部材の深さ方向へのき裂進展速度と、表面上におけるき裂進展速度とは、異なるき裂進展特性を有することになる。
【0004】
また、多くの構造部材においては、その製造段階において切削や研削などの加工を受けることにより、部材表面層の材質と内部の材質とで、硬さやき裂進展速度の環境感受性が変化していることがある。その結果、表面き裂の深さ方向への進展特性と、表面上での進展特性が異なる場合がある。
【0005】
しかしながら、従来の表面き裂の進展解析方法においては、構造部材の深さ方向への進展速度および表面上における進展速度ともに、材質と応力拡大係数のみにより決定できることを仮定しているため、構造部材の深さ方向と表面上でのき裂進展特性の違いを考慮することができなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、構造部材の表面き裂の進展解析について、深さ方向と表面上でのき裂進展特性の違いを考慮することが可能な表面き裂の進展解析方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表面き裂の進展解析方法および装置は、上述した課題を解決するために、構造部材の表面き裂の進展を解析する表面き裂の進展解析方法において、表面き裂の進展速度を計算する際に、前記構造部材の深さ方向へのき裂進展特性と、前記構造部材の表面上におけるき裂進展特性とをそれぞれ独立して設定することを特徴とする方法である。
【0008】
また、本発明の表面き裂の進展解析装置は、上述した課題を解決するために、構造部材の表面き裂の進展を解析する表面き裂の進展解析装置が、前記構造部材の表面におけるき裂長さと前記構造部材の深さ方向のき裂深さを入力する入力手段と、応力拡大係数を計算する計算手段と、き裂進展速度を算出する算出手段と、き裂進展増分の計算手段と、き裂寸法の更新手段とを備え、前記き裂進展速度を算出する算出手段にてき裂進展速度を計算する際に、前記構造部材の深さ方向へのき裂進展特性と、前記構造部材の表面上でのき裂進展特性とをそれぞれ独立して設定することが可能な構成としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表面き裂の進展解析方法および装置によれば、構造部材の深さ方向と表面におけるき裂進展特性を独立に設定してき裂進展速度を計算し、表面き裂進展解析を行うので、より現実に近い条件により精度の高い表面き裂進展解析を実施することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る表面き裂の進展解析方法および装置の実施例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0011】
本発明の表面き裂の進展解析装置は、解析対象である構造部材の表面におけるき裂長さと前記構造部材の深さ方向のき裂深さを入力する入力手段と、応力拡大係数を計算する計算手段と、き裂進展速度を算出する算出手段と、き裂進展増分の計算手段と、き裂寸法の更新手段とを備え、き裂進展速度を算出する算出手段にてき裂進展速度を計算する際に、構造部材の深さ方向へのき裂進展特性と、構造部材の表面上でのき裂進展特性とをそれぞれ独立して設定することが可能なように設けた装置である。
【0012】
なお、本発明の表面き裂の進展解析方法および装置において、表面き裂進展機構は、疲労によるもの、応力腐食割れによるもの、クリープによるもの、あるいはそれらの相互作用下における表面き裂進展のいずれであってもよい。
【実施例1】
【0013】
まず、図1(A)、図1(B)、図2および図3を用いて、表面き裂の進展解析方法の実施例1について説明する。
【0014】
図1(A)に構造部材の表面き裂モデルを示す。この図1(A)に示すように構造部材1の表面に表面き裂2が存在し、例えば軽水炉の炉水のような液体環境に晒されている。この表面き裂2の長さを2cとし、深さをaとする。表面き裂2のき裂表面点4が晒される環境は、炉水の平均的な水質であるが、き裂最深点3が晒される環境は、表面き裂内での炉水の滞留や毛管凝縮などにより、き裂表面点4の水質とは異なっている。この表面き裂2が進展すると、図1(B)に示す構造部材の表面き裂進展後モデルのような成長後の表面き裂5となる。
【0015】
図2に応力拡大係数とSCCき裂進展速度との関係を示す。図2のグラフは、材料のSCCき裂進展特性が材質と環境の組合せにより異なることを示している。
【0016】
すなわち、図2に模式的に示すように、材質Aの環境xにおけるSCCき裂進展速度6と、材質Aの環境yにおけるSCCき裂進展速度7と、材質Bの環境xにおけるSCCき裂進展速度8は、それぞれ異なる曲線で表される。なお、図2における縦軸のき裂進展速度とは、単位時間あたりの表面き裂成長量である。
【0017】
従って、図1(A)および図1(B)に示す表面き裂2の最深点3とき裂表面点4での水質の差により、き裂進展特性も異なることになる。なお、疲労による表面き裂進展の場合は、図2の応力拡大係数Kを応力拡大係数範囲ΔKに、SCCき裂進展速度da/dtを疲労き裂進展速度da/dN(m/cycle)にそれぞれ読み替えるものとする。ここで、疲労き裂進展速度da/dNとは、1回の荷重変動による表面き裂成長量を表すものである。
【0018】
図3に、本実施例の表面き裂の進展解析方法のフローを示す。図3のフローにおける各ステップは、表面き裂の進展解析装置の各構成手段におけるデータ処理を示している。
【0019】
通常、表面き裂2の進展解析は、図3に示すフローにより実施される。まず、ステップ11において、ある時点tにおけるき裂深さをa、き裂長さを2cとし、これに部材の形状や寸法および作用する応力を考慮して、ステップ12においてき裂最深点3とき裂表面点4での応力拡大係数KaおよびKcを求める。
【0020】
次に、ステップ13において、最深点3のき裂進展速度da/dtをKaから、き裂表面点4のき裂進展速度dc/dtをKcから、下記の関係を用いて求める。
[数1]
da/dt=f(Ka)
dc/dt=f(Kc)
ここで、関数f,関数fは、き裂進展特性に係る関数であり、図2に示したように、材質と環境の組合せごとに異なるき裂進展速度と応力拡大係数の関係を示す関数である。従来の表面き裂の進展解析方法においては、ある一つの表面き裂2に対して、最深点3とき裂表面点4とで関数fと関数fとして同じ関数を用いていた。
【0021】
一方、本発明の表面き裂の進展解析方法においては、き裂最深点の水質がき裂表面点の水質と異なるためにき裂進展特性が異なることを考慮して、例えば最深点3に対しては、図2に示す材質Aの環境yにおけるSCCき裂進展速度7を適用する一方、き裂表面点4に対しては、材質Aの環境xにおけるSCCき裂進展速度6を適用する。すなわち、解析対象である構造部材1の深さ方向へのき裂進展特性に対する関数fと、構造部材の表面上でのき裂進展特性に係る関数fとをそれぞれ独立して設定する。
【0022】
このようにして構造部材1の深さ方向へのき裂進展特性と表面上でのき裂進展特性について、それぞれ最深点3とき裂表面点4におけるき裂進展速度da/dtおよびdc/dtを求めた後に、ステップ14にて、ある微小時間増分Δtの間におけるき裂深さ3の増分Δaとき裂長さ4の増分Δcを、それぞれ
[数2]
Δa=da/dt・Δt
Δc=dc/dt・Δt
として求め、ステップ15にて、これらの増分を元のき裂寸法に足し合わせることにより、微小時間増分Δt後のき裂寸法を求める。すなわち、この時点をti+1とすると、
[数3]
i+1=t+Δt
i+1=a+Δa
2ci+1=2(c+Δc)
として、時刻ti+1におけるき裂寸法、すなわちき裂深さai+1と長さ2ci+1を決定する。なお、図1に示すように成長後の表面き裂5の形状としては、き裂深さがai+1、長さ2ci+1の半だ円を仮定する。
【0023】
本実施例の表面き裂の進展解析方法によれば、表面き裂2の最深点3とき裂表面点4とで、環境が異なることを考慮してき裂進展特性を独立に設定してき裂進展速度を計算して表面き裂進展解析を行うので、より現実の構造部材における表面き裂に近い精度の高い表面き裂進展解析を実施することが可能である。
【0024】
なお、図3において、き裂進展特性である関数fと関数fとは、予めデータベースに保存しておく構成とすることができる。このような構成とすることにより、構造部材1の材料名を入力するか、材料名リストから特定の材料を選択することによって、き裂進展特性を呼び出すことが可能となる。
【0025】
また、図3のフローに従って計算された解析の計算結果を記憶媒体に記録して、この計算結果を任意に取り出し可能な構成としても良い。さらに、この記憶媒体に記録された入力データの一部を変更して新たに表面き裂進展解析を実施することも可能である。
【0026】
一方、図3のフローのステップ12における応力拡大係数の計算において、複数の応力拡大係数の計算式が適用可能な場合に、これら複数の応力拡大係数の計算式をデータベースとして備えておき、これらの識別名を入力するか、リストから選択することにより、適合する応力拡大係数の計算式を読み込む構成とすることも可能である。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明に係る表面き裂の進展解析方法の実施例2について、図4および5を用いて説明する。
【0028】
一般に切削や研削などの機械加工により製造した構造部材1の表面には、図4に示すように加工による硬化層である加工層21が存在する。加工層21は、塑性変形を受けたことによる転位密度の増加などが生じているため、化学成分こそ変化しないものの、強度的性質等について材質自体が変化している。このため、図2のグラフにおいて、例えば、加工を受けていない材料は、き裂進展速度が材質Aの環境xにおけるSCC進展速度6を示すとしても、加工層21は、材質Bの環境xにおけるSCC進展速度8となることがある。
【0029】
このような場合においても、本発明の表面き裂の進展解析方法によれば、図3のフローに従って表面き裂の進展解析を実施することが可能である。
【0030】
図5に本発明の表面き裂の進展解析方法によるSCC表面き裂進展解析結果の例を示す。図5(A)は、き裂深さの経時変化を示し、図5(B)は、き裂長さの経時変化を示したグラフである。
【0031】
すなわち、最深点3,き裂表面点4ともに低SCC進展速度、例えば、図2に示す材質Aの環境xにおけるSCC進展速度6で表面き裂が進展するとした場合…(ケース1、曲線22)、最深点3,き裂表面点4ともに高SCC進展速度、例えば、図2に示す材質Bの環境xにおけるSCC進展速度8で表面き裂が進展するとした場合…(ケース2、曲線23)、最深点3においては、低SCC進展速度、例えば、図2に示す材質Aの環境xにおけるSCC進展速度6で進展し、き裂表面点4においては、高SCC進展速度、例えば、図2に示す材質Bの環境xにおけるSCC進展速度8で進展するとした場合…(ケース3、曲線24)の3ケースについての表面き裂の進展解析についてのグラフである。
【0032】
ここで、従来の表面き裂の進展解析方法においては、最深点3とき裂表面点4とに同一のき裂進展特性を設定することしかできなかったために、上記(ケース1)、(ケース2)、(ケース3)のケースのうち、(ケース1)および(ケース2)の2ケースの解析のみしか実施できず、実際の表面き裂形状の変化を高精度で予測できなかったが、本発明によれば、最深点3とき裂表面点4とのき裂進展特性を独立に設定してき裂進展速度を計算するので、(ケース3)のケースのように、表面き裂形状の変化をより現実的に解析することが可能である。
【0033】
本実施例の表面き裂の進展解析方法によれば、表面き裂2の最深点3とき裂表面点4とで、材質が異なることを考慮して、き裂進展特性を独立に設定し、き裂進展速度を計算して表面き裂進展解析を行うので、より現実に近い条件で精度の高い表面き裂進展解析を実施することができる。
【実施例3】
【0034】
次に、本発明に係る表面き裂の進展解析方法の実施例3について、図6を用いて説明する。
【0035】
突合せ溶接継手においては、母材31と母材32とを溶接金属33により接合するため、図6に示すように、溶接金属33が母材31と母材32との間に挟まれた構造となっている。ある種の材料の場合、母材31および母材32よりも溶接金属33の方がSCCに対する感受性が極めて高く、溶接金属33に発生したSCC表面き裂は、溶接金属33内のみを進展し、母材31および母材32部においては進展しないと見なせることがある。
【0036】
このような場合に、本実施例の表面き裂の進展解析方法によれば、き裂最深点3とき裂表面点4とがともに溶接金属33内にある間は、最深点3とき裂表面点4とに同じき裂進展特性を与えて表面き裂進展解析を実施する。次に表面上のき裂長さが溶接金属33の幅に達した後は、き裂表面点のき裂進展速度を応力拡大係数の値に関わらず0として表面き裂進展解析を継続する。この方法により、図6に示す成長後の表面き裂5のような表面き裂形状を得ることができ、深さ方向のみに表面き裂が進展するモデルの解析を実施することが可能である。
【0037】
本実施例によれば、表面き裂2がき裂進展特性の異なる材質にさしかかった時点で最深点3とき裂表面点4とで独立にき裂進展速度を設定し直して表面き裂進展解析を行うので、SCC感受性の異なる材質で構成される溶接継手における表面き裂進展解析を高精度で実施することが可能である。
【実施例4】
【0038】
次に、本発明に係る表面き裂の進展解析方法の実施例4について、図7を用いて説明する。
【0039】
本実施例の表面き裂の進展解析方法は、前記実施例3とは反対に、母材41の方が溶接金属42よりもSCC感受性が高い場合について解析する。本実施例は、表面き裂2の進展解析の過程において、表面き裂2の先端であるき裂表面点43とき裂表面点44のうち、き裂表面点43の一端が溶接金属42にさしかかった時点において、き裂表面点43でのき裂進展速度を応力拡大係数の値に関わらず0とおき、表面き裂進展解析を継続する。この方法により、成長後の表面き裂5のような表面き裂形状を得ることができる。
【0040】
本実施例によれば、表面き裂2の2つのき裂表面点43およびき裂表面点44のうち、いずれか一方がき裂進展特性の異なる材質にさしかかった時点で、き裂表面点43と他方のき裂表面点44とき裂最深点3とでそれぞれ独立にき裂進展速度を設定し直して表面き裂進展解析を行うので、SCC感受性の異なる材質で構成される溶接継手の表面き裂進展解析を精度良く実施することができる。
【実施例5】
【0041】
次に、本発明に係る表面き裂の進展解析方法の実施例5について、図8を用いて説明する。本実施例5の表面き裂の進展解析方法は、表面き裂の成長に従って、解析モデルを変更することを特徴とする方法である。
【0042】
図1のような構造部材1の表面に表面き裂2が存在する場合に、まず図8(A)に示すような表面き裂51を有する平板モデル52として、表面き裂進展解析を実施する。
【0043】
次に、表面き裂51が平板モデル52の端部に到達したと判断された時点で、この表面き裂51を包絡するコーナー表面き裂53に置き換え、図8(B)に示すように、コーナー表面き裂53を有する平板モデル54として、表面き裂進展解析を継続実施する。
【0044】
さらに、このコーナー表面き裂53が成長してき裂深さが平板モデル54の板厚全体に達した時点で、このコーナー表面き裂53を包絡する板厚貫通2次元表面き裂55に置き換え、図8(C)に示すように、板厚貫通2次元表面き裂55を有する平板モデル56として表面き裂進展解析を実施する。この板厚貫通2次元表面き裂55は、図8(D)に示す平板モデル56の平面図のような表面き裂形状となっている。
【0045】
本実施例の表面き裂の進展解析方法によれば、表面き裂の寸法に応じてモデルを順次置き換える表面き裂進展解析を行うので、実機における複雑な形状の構造部材中に存在する表面き裂の進展解析をより高精度で実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(A)は、構造部材の表面き裂を示す模式図、(B)は、進展後の表面き裂を示す模式図。
【図2】SCCき裂進展速度と応力拡大係数の関係の例を模式的に示す図。
【図3】本発明に係る表面き裂の進展解析のフローを示す図。
【図4】実施例2の表面き裂の進展解析の構成を示す図。
【図5】(A)は、実施例2の表面き裂の進展解析方法によるき裂深さの経時変化を示すグラフ、(B)は、き裂長さの経時変化を示すグラフ。
【図6】実施例3の表面き裂の進展解析方法の構成を示す図。
【図7】実施例4の表面き裂の進展解析方法の構成を示す図。
【図8】(A)は、表面き裂を有する平板モデルの側面図、(B)は、表面き裂がコーナー表面き裂に進展した平板モデルの側面図、(C)は、コーナー表面き裂が板厚貫通2次元表面き裂に進展した平板モデルの側面図、(D)は、(C)の平板モデルの平面図。
【符号の説明】
【0047】
1 構造部材
2 表面き裂
3 き裂最深点
4 き裂表面点
5 成長後の表面き裂
6 材質Aの環境xにおけるSCC進展速度
7 材質Aの環境yにおけるSCC進展速度
8 材質Bの環境xにおけるSCC進展速度
11 ステップ
12 ステップ
13 ステップ
14 ステップ
15 ステップ
21 加工層
22 ケース1
23 ケース2
24 ケース3
31 母材
32 母材
33 溶接金属
41 母材
42 溶接金属
43 き裂表面点
44 き裂表面点
51 表面き裂
52 半だ円表面き裂を有する平板モデル
53 コーナー表面き裂
54 コーナー表面き裂を有する平板モデル
55 板厚貫通2次元表面き裂
56 板厚貫通2次元表面き裂を有する平板モデル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材の表面き裂の進展を解析する表面き裂の進展解析方法において、表面き裂の進展速度を計算する際に、前記構造部材の深さ方向へのき裂進展特性と、前記構造部材の表面上におけるき裂進展特性とをそれぞれ独立して設定することを特徴とする表面き裂の進展解析方法。
【請求項2】
前記構造部材の表面き裂の進展解析を実施する際に、前記構造部材の深さ方向のき裂寸法であるき裂深さおよび部材表面上のき裂寸法であるき裂長さのいずれか一方が、予め定めた寸法に達した際に、前記き裂寸法のうちいずれか一方が前記予め定めた寸法以上増加しないよう一定値に固定して、他方のき裂寸法のみが増加するものとして表面き裂進展解析を継続することを特徴とする請求項1記載の表面き裂の進展解析方法。
【請求項3】
前記構造部材の表面き裂の進展解析を実施する際に、前記構造部材の表面上における2点の表面き裂先端のうち、いずれか一方の表面き裂先端が、予め定めた位置に到達した場合に、前記表面き裂先端が前記予め定めた位置以上進展しないよう位置を固定して、他方の表面き裂先端およびき裂最深点の2点のみが増加するものとして進展解析を継続することを特徴とする請求項1記載の表面き裂の進展解析方法。
【請求項4】
前記表面き裂の形状を半だ円形状と想定し、き裂深さとき裂長さの情報のみを用いて半だ円形状の表面き裂形状を決定することを特徴とする請求項1記載の表面き裂の進展解析方法。
【請求項5】
前記表面き裂の成長に伴って表面進展解析の解析モデルを変更することを特徴とする請求項1記載の表面き裂の進展解析方法。
【請求項6】
構造部材の表面き裂の進展を解析する表面き裂の進展解析装置が、前記構造部材の表面におけるき裂長さと前記構造部材の深さ方向のき裂深さを入力する入力手段と、応力拡大係数を計算する計算手段と、き裂進展速度を算出する算出手段と、き裂進展増分の計算手段と、き裂寸法の更新手段とを備え、前記き裂進展速度を算出する算出手段にてき裂進展速度を計算する際に、前記構造部材の深さ方向へのき裂進展特性と、前記構造部材の表面上でのき裂進展特性とをそれぞれ独立して設定することが可能な構成としたことを特徴とする表面き裂の進展解析装置。
【請求項7】
材料のき裂進展特性のデータを予めデータベースとして備え、材料名を入力するか、または材料名リストから選択することによってき裂進展特性のデータを読み込むことを特徴とする請求項6記載の表面き裂の進展解析装置。
【請求項8】
表面き裂進展解析の計算結果を記録し、この計算結果を取り出すことが可能な記憶媒体を設けたことを特徴とする請求項6記載の表面き裂の進展解析装置。
【請求項9】
前記記憶媒体に記録された過去の入力データを読み出した後、この入力データの一部を変更して表面き裂進展解析を実施することを特徴とする請求項8記載の表面き裂の進展解析装置。
【請求項10】
表面き裂の応力拡大係数を計算する際に、複数の応力拡大係数計算式が適用可能な場合に、これら複数の応力拡大係数計算式をデータベースとして備え、識別名を入力するかまたはリストから選択することにより適合する応力拡大係数計算式を読み込むことを特徴とする請求項6記載の表面き裂の進展解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−105673(P2006−105673A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290164(P2004−290164)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】